ミュージカル『Beautiful-ビューティフル-』 2017年東京公演

東京の帝国劇場で上演されたミュージカル『Beautiful-ビューティフル-』を観に行ってきました。
昨年の『ジャージーボーイズ』と同じく、悲しい哉…東京でしか公演予定がないということで最初は見に行くことを諦めていました。極力PR動画も見ないようにしていたのですが、ふとあるきっかけで水樹奈々さん平原綾香さんがWキャロルで歌う動画を目にしてしまいまして…行きたい欲が増幅😅。

すごく素敵な曲だし舞台で聴いてみたいなぁと思っていたところ…奇跡的に関東での用事が直近で入り(笑)チケットも希望日が空いていたこともあって、行くことができてしまいました😁。

帝国劇場は本当に久しぶりで…なんだか劇場の匂いすら懐かしかったです。数年前は結構な頻度で通っていたこともある馴染みの劇場なので、中に入るとちょっとホッとしますね。劇場の飾りつけも洗練されてます。

最近はこうして入口扉の上のガラスに素敵に貼り付けるのが帝劇流のようですね。私が通ってた時代はやってなかったので少し羨ましい。

観劇日はラッキーなことに期間限定でオリジナルグッズを配布している時期で、素敵なマスキングテープをいただくことができました😍。ちなみにその前の週にはうちわを配っていたそうです。

その数日前に観劇した『RENT』でもその日限定のマスキングテープをいただけたので思わず並べて写真を撮ってしまいました(笑)。観劇の神がついてきたような気持になって嬉しかったです。どちらも大切にします😊。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

 

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2017.08.20ソワレ in 帝国劇場 (東京)

主なキャスト

  • キャロル・キング:平原綾香
  • バリー・マン:中川晃教
  • ジェリー・ゴフィン:伊礼彼方
  • シンシア・ワイル:ソニン
  • ドニー・カーシュナー:武田真治
  • ジニー・クライン:剣幸

キャロルはダブルキャストで公演されていますが、私が観劇した回は平原綾香さんでした。

ほかの注目キャストとしては、

『ミスサイゴン』のトゥイ役がとても印象的だった神田恭兵くん

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『レミゼラブル』のエポニーヌ役が印象的だった綿引さやかさん

アンサンブル的な役柄でしたが、みんな歌も芝居も巧いので安心して見ていられます。今度はぜひメインキャストで見てみたい。

全体感想

この作品は実際のヒット曲で構成されたジュークボックス型ミュージカルと呼ばれています。『マンマ・ミーア』や『ジャージーボーイズ』が最近ではこのジャンルに数えられますね。
今回の楽曲は1960年代から現在まで活躍を続けているキャロル・キングの作曲したものを中心に構成されています。ただ、前述の2作品と趣が少し違うなと思ったのは主役のキャロル自身が歌う機会が意外と少ないということです。というのも、物語当時は彼女と夫のジェリーが作詞作曲を担当しそれを他の歌手が歌うというのが主流の時代だったからです。キャロルとジェリーのコンビとライバル関係だったバリーとシンシアも作詞作曲コンビだったので彼ら自身が歌い上げるといった機会もそんなに多くはなかったと思います。

今回の物語は、キャロルが作曲家として成功しライバルたちとしのぎを削るなかで時代の変化が訪れるまでを描いていました。
17歳だったキャロル(平原さん)母親(剣さん)から教師になることを熱望されていたものの音楽への情熱が捨てきれず友達と有名プロデューサーであるドニー(武田さん)に楽曲を売り込みに行きます。曲を気に入ったドニーに受け入れられ作曲家活動をスタートさせた矢先、キャロルは同じ大学のあこがれの先輩だったジェリー(伊礼くん)と出会い恋に落ちてしまう。やがて子供ができたことがわかり結婚した二人は子育てに追われながらもキャロルが作曲を担当しジェリーが作詞を行うというスタイルでヒット曲を生み出していく。
そんな彼女たちの前に、作詞家志望というシンシア(ソニンさん)がやってきます。キャロルたちと知り合いだった作曲家のバリー(中川くん)とひょんなことで意気投合しコンビを組むことに。そして彼らはキャロルたちのライバルとなり、お互いにヒット曲を作ることで切磋琢磨し良い関係を築いていきます。
しかしやがて時代は移ろい、これまでの楽曲作りに限界を感じ追い詰められていくジェリー。彼を必死に支えようとするキャロルでしたが、二人の距離は次第に大きく離れていってしまいます。キャロルが選ぶ道は…

私は洋楽は疎くて有名な曲以外はよく分からないのですが、キャロル・キングという人の名前だけは知っていました。洋楽に疎い私が知っているくらいなんだから、この人は本当にすごい伝説的な人だと思います😀。そのくらいの知識しかないのでw、人となりまでは全く知らず、ミュージカル化されるくらい紆余曲折のドラマチックな半生だったのかなと予想してました。
なので、予想外にけっこう地味でそこそこ充実した堅実な暮らしをしていたことにちょっと驚いてしまった😅。最初の旦那さんとなったジェリーとの関係も始めこそは出会ってすぐに恋に落ちて子供もすぐできちゃったみたいな感じだったけど😓、そのあとの共同作業はけっこう順調でライバルで友人のバリーとシンシアとも良い関係が続いてるんですよね。まぁ、だんだん夫婦仲は雲行きが怪しくなって、一度はジェリーが落ちるとこまで落ちるんだけど😰・・・ただ、キャロル自身はバリーたちとの絆があったおかげでドラマチックといえるまでは凹んだりしてなくて前向きに生きてくわけで。正直、ドラマ化するにはちょっと物足りないようなエピソードが多いかもしれないなという印象がありました。

だけど、なんでだろう・・・終わった後の爽快感と感動度がすごいあったんですよね😆。特に、キャロルが一人でやっていくくだりあたりからはなんだかすごく感情が盛り上がってジーンと来て・・・引越しするとき皆で歌う♪You've Got a Friend は思わず涙がこみあげてきてしまいました😢。キャロルが独り立ちしたところで、これまで彼女がたどってきた人生が色濃く蘇ってくるような感覚があったんです。ちょっと地味かなと思う部分があったのに、なんでそういう気持ちになったのかよく分からないんですが😅、なんか胸熱くさせられたんですよね。
そして一番印象的だったのが、キャロルがカーネギーホールでのコンサートを行う場面。この作品はまずそこからスタートするのですが、歌い終わった後に彼女がこれまでの人生を語りだすみたいな形で物語が展開していく。そしてその半生を辿り終ったところでラスト再び場面がカーネギーホールのコンサート場面に戻るんです。最初に聴くキャロルの歌声と最後に聴くキャロルの歌声は表情が全く違う。物語の最後を締めくくる♪Beautiful にはものすごい分厚いドラマを感じて涙が止まりませんでした😭。

出てくる楽曲たちもバラエティに富んでいて聴き応えあります。キャロル・キングの歌はほとんど知らなくて2-3曲しか分からなかったんですが、どれも素敵なナンバーばかりでした。ポップス的な楽しいものが多かったのが印象的です。♪ロコ・モーション をキャロル・キングが作ったものだというのは今回初めて知りました。しかもベビーシッターさんが歌ったんですね😁。個人的には大好きな ♪オン・ブロードウェイ が聴けたのが嬉しかった。こちらはバリーとシンシアの楽曲だったんですね。
あと、ドリフターズの歌う「ワンダフォっ」っていう合いの手が可愛かったw。ドリフターズっていうと日本のものしか思い浮かばなかったんですがwwこちらがオリジナルかな。それから山田元くんがけっこう重要な役でちょいちょい出てきたのも嬉しかったです😀。

主なキャスト別感想

平原綾香さん(キャロル・キング)

まずビックリしたのが、平原さんがめちゃめちゃミュージカルに適応していたことです!以前東京で公演があった「Love Never Dies」でのクリスティーヌ役がとても話題になっていたのは知っていたのですが、観に行くことができなかったのでどこまでミュージカルのお芝居ができるのかちょっと不安もありました。それが全くの杞憂に終わって、あぁ、平原さんのキャロルが見れてよかった!!と心から思えたので本当によかったです。
17歳の頃のキャロルのお芝居もすごく自然体で、あぁ、こういう子いそう!って思えたし表情もセリフ回しも全く違和感なかった。徐々に成長して大人の女性へと変わっていく過程もとても丁寧に演じていて・・・正直あそこまでハマってると思えるものを見れると思わなかったので嬉しい驚きでした。自分の体形を気にしてしまうくだりは平原さんバージョンだけってことはなかったのかなw。そのエピソードがすごく可愛くてねぇ…なんか、すごい感情移入してしまった😊。
そして何といっても素晴らしい安定感のある歌声がものすごく印象深かったです!彼女はこういう舞台で歌うことがすごく向いているのではないでしょうか。感情もしっかり歌詞に乗っていたし、最後のシーンで涙が出たのは彼女の歌にドラマが詰まっていたからでしたし。とにかく最高のキャロルを見せてもらいました。今後も機会があればどんどんミュージカルにチャレンジしてほしいと思います(さっそく来年の舞台も決まったようですしね)

中川晃教くん(バリー・マン)

今回2番目に名前がキャスティングされていたので、キャロルと深くかかわるのかなと思っていたのですが、ただの親友というポジションから抜けることはなく健全な関係のままでした(笑)。それが良かったのか残念だったのか、なんとも微妙ではありますが😅、アッキーにしては珍しくすごく抑えたお芝居していたのが印象的でした。彼は主役を食うくらいの光を持つ役者でもあるのですが、2番手に徹してほとんど前に出てきませんでした。ファンからするともしかしたら物足りないと思ってしまう節もあったかもしれませんが、逆に私はそれがとても新鮮でよかったなと思います。
だけど、少ないながらも歌うシーンは圧巻!歌い上げるナンバーはなかったものの、アッキーが一音を発した瞬間に場の空気がすごくカラフルになるのを感じましたね😃。やっぱり彼の歌はミュージカル界の宝だなと思いました。会話シーンでのちょっとウィットの利いたセリフ回しとかも実に絶妙で全く違和感がありません。ソニンさんとのコンビも息ぴったりで存分に楽しませてもらいました。

伊礼彼方くん(ジェリー・ゴフィン)

伊礼くんというと、先日の異質な存在感を放っていたライアン兄さんのインパクトがまだ強くてなかなかあのイメージが抜けないんですがw

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今回はほぼノーマルなカッコいい役柄だったのでなんだかちょっとホッとしました😅。それにキャロルの相手役というかなり美味しい役どころですから見どころも多かったです。なんとなく最初からつかみどころのないキャラクターで、キャロルと結婚した後もどこか満たされないような雰囲気を醸し出していたのが印象的だったかも。なので、後半に行くにしたがってキャロルと距離を置くようになっていくのがすごく納得できてしまいました。
歌声は爽やかでジェリーの雰囲気に合っていたと思います。久しぶりに普通の役の伊礼くんを見ることができてよかった😛。

ソニンさん(シンシア・ワイル)

今回はRENTに参加しないのかなと思っていたら、こちらの方に出ていたんですね。ソニンさんのモーリーンが好きだったのでちょっと残念に思っていたのですが、このミュージカルでの彼女を見てその考えも覆りましたよ😜。めちゃめちゃハマり役じゃないですか!!!今まで見てきたソニンさんの役の中で一番好きかもしれません。あまりに違和感なさ過ぎてびっくりしましたw。
アッキー演じるバリーとの会話がこうも見事にハマるとは嬉しい驚き。そのセリフ回しやちょっとした仕草、表情、そしてたまに飛ばすアメリカンジョーク、どこをとっても完璧でまるでそこに本物のシンシアが存在しているかのような錯覚を覚えたくらいです。バリーとの恋愛において、彼を振り回すような小悪魔的な一面もあるんだけど、それも納得できてしまうというか憎めない。バリーには気の毒だと思ったけどついシンシアに肩入れしちゃうみたいなこともあったり。
これ、彼女以外にここまでハマれる人いないんじゃないかな?再演がある折にはぜひ続投してほしいです😁。

武田真治さん(ドニー・カーシュナー)

凄腕プロデューサーのドニーということでしたが、凄腕というよりかは勘がいい直感的な雰囲気があったのが印象的でしたね。なんか次に何をやってくるのかが読めないような人物w。キャロルたちのことも期待しているのか、はたまただめだと思ったらすぐにクビにしちゃうのか、そのあたりの感情が読みづらいタイプみたいな😅。そういう意味では、只者ではない感がすごくあって面白かったです。武田さんらしさが随所に出ていたのではないでしょうか。ちょっとセリフ噛みそうになって危ういなと思う場面もちょこちょこありましたけどw、そこもなんだか武田さんだったら納得できてしまうみたいなのもあったかな。クライマックスで遠くに引っ越しを決めたキャロルを送るために歌う場面でさみしさの感情が溢れたからか涙をぬぐっていたのがすごく切なくてグッと来てしまいました。そういう素直な感情表現がある場面もあってとてもよかったです。

剣幸さん(ジニー・クライン)

剣さんを舞台で見たのは本当にものすごく久しぶりだったのですが、相変わらずスタイリッシュでとてもお奇麗でした。キャロルのお母さん役とのことでしたが、出番的には多い方ではありません。でも、要所要所でキャロルを励ましたり温かく見守ったりと素敵なお母さんっぷりが見られてすごく心和まされました。どんなにつらいことがあっても、このお母さんが最終的にはきっとキャロルを支えてくれるだろうなっていう安定感があったのが印象深かったです。

後述

カーテンコールはすごく盛り上がってて、なんと1回目から客席がほぼ総立ち状態になってビックリしました😆。久しぶりに帝劇で観劇したんですけど、すごいお客さんが洗練されてるなぁという印象持ちましたね。何度も観に来てるリピーター率が高いこともあってか、舞台の盛り上げ方をみんな分かっている感じ。
大阪もすごく盛り上がるんですが、いかんせん公演期間が短い作品が多いので何度も観に行くということが叶わないことが多い。お客さんの雰囲気の差はそんなところにも影響しているのかなってふと思いました。やっぱり東京・・・羨ましい。

今回は予定がつかなくて平原さんのキャロル・キングしか観れなかったのですが、雰囲気や声質が異なる水樹奈々さんのキャロル・キングも観てみたかったです。おそらく違うドラマが見えてくるんじゃないかなと。

東京だけの公演というのが実にもったいない。他の地域のお客さんも好きになれそうな作品だと思うので、次に再演するときにはぜひとも色んな地域に来てほしいです。関西方面にもぜひ来てほしい!!

 

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