ミュージカル『エリザベート』2012.06.26マチネ

5月から上演していた帝劇版エリザですが、今公演は結局2回のみの観劇となりました。

あまり多く観れないなと思ってはいたので組み合わせはかなり悩みました。なるべく多くの新キャストを見たい…ということで、マテをどこに入れるのか非常に悩みまして…結局初見が彼の楽日になってしまいました(汗)。

会えなかったのは古川君のルドルフと寿さんのゾフィ、それから加藤清史郎くんのチビルドだったかな。ただ、古川君は「ファントム」のフィリップ役で見ててなんとなくルドルフの雰囲気の想像がついてたので…見れなかったのは残念だけど悔いはないかな。寿さんは前回公演で見ていたし、清史郎くんもなんとなく想像がつく。とりあえず今自分が見てみたいキャストは2回の公演の中でなんとか制覇できたのでよかったです。

つい先日帝劇公演が無事千穐楽を迎えたようですが、私が観に行った日はちょうどその1日前で客席も満席状態。補助席も埋まっていて熱気にあふれておりました。前回公演ではラストに奮発してS席を取った記憶がありますが、今回はマイ楽でもA席で観劇w。舞台からは距離ありますが角度的には非常にいい感じで見やすかったです。

そしてやっぱり、楽が近くなると客席の熱気が舞台の上まで届くのか…前回観に行ったときよりも数割増しで舞台も熱かったですね。役者さんたちのテンションが非常に高くて勢いがありました。この後、博多や名古屋、大阪を回るそうですがいったん区切りを迎えるということで皆さんも色々思うところがあったのではないかと。

で、この日に東京での出演を終えたキャストが二人。ルドルフ役の平方くんトート役のマテさんです。私は二人ともこの日が初見だったのですが…いきなり最後の挨拶を聞くことになってしまいました(汗)。もう1回くらい見ていたらさらに感慨深いものがあったのかもしれないなぁ…なんて。東宝の動画サイトにその時のカーテンコールの様子がほぼノーカットでアップされていますね。とりあえずこちらでもその時の感想を少し…。

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まず最初に瀬奈さんがご挨拶して平方くんとマテさんが楽であることを客席にご報告。すると私の周りの席からは軽いどよめきが起こっていました(笑)。知らない方がけっこう多かったみたい。

最初に指名されたのが平方くん。自己紹介して挨拶始めたんだけど皆と同じ場所に立って話し始めたので、隣にいた杜さんが前に出て話しなさいとゾフィおばあ様の忠告としてかwポーンと平方くんの背中を押してやってました。

稽古からここまで演じてこれたことを感慨深げに語る平方くん。ああいった場所での挨拶はちょっと苦手なのかなって思いましたが、一生懸命思いの丈を話してくれて好印象。ほかの都市公演も頑張ってほしいです。

そしてマテさん。彼はハンガリー出身の役者さんでありロックミュージシャンでもあるのですが、昨年の大震災後に行われたミュージカル「MITSUKO」に家族の反対を押し切ってまで来日して演じてくれた経緯があって。それ以来私はものすごくマテに好印象を抱いてまして…。今回の挨拶もなんだか胸に迫るものがありましたね。

まず最初に「日本語であいさつしたい」とアピールするマテ。平方くんとは違って話しているうちにどんどんと前に進み出てくるのが可愛かった(笑)。一言一言、確かめるようにファンやキャスト・スタッフに感謝の言葉を述べるマテ。キャストの皆さんのことは「私の家族です」って言っててなんだか感動しちゃった。それに、「いつか私生活でも完璧に日本語で生活できるようになりたい」って夢まで話してくれて…そんなに日本を愛してくれてありがとうって私はもう胸熱でしたよ…(涙)。こちらこそ、ありがとう!と伝えたいです。

挨拶が終わって列に戻ると「ちゃんと伝わりましたか?」って瀬奈さんに確認w。そのあと拍手を要求してルキーニばりに〆ててwwそしたら「ルキーニ先生!」ってはしゃいでてやたら可愛いマテ(笑)。

さらには瀬奈さんと一緒に並んで前に出て「私は今日千穐楽、あなた(瀬奈さん)はまだ」とか言っててww。一番面白かったのが最後列に戻った時に「オツカレサマデシタ」って会場に挨拶しててその可愛さに皆が笑うと「あれ、マチガエチャッタ!?」と不安がるマテ。皆が「いや、大丈夫大丈夫」って言ってるうちに幕が下りて皆爆笑でした。可愛いよ、マテ!!

もう一度幕が上がると瀬奈さんと平方くんとチビルドくんとマテが登場。劇中ではチビルドに怖い表情向けてたマテでしたが、優しいお兄さんの顔でチビルドくんを肩車してあげてて可愛かったです。

いやぁ、本当によくあそこまで日本語をマスターしてくれたなと。気持ちも十分すぎるくらい伝わった。それだけで本当に感動モノです。他の都市公演でもその魅力を存分に振りまいてきてほしいなと思います。マテへの好感度がますます上がった挨拶でした。

主なキャスト
エリザベート:瀬奈じゅん、トート:マテ・カマラス、フランツ:岡田浩暉、ルキーニ:嶋政宏、ルドルフ:平方元基、ゾフィー:杜けあき、マックス:今井清隆、ルドヴィカ:春風ひとみ、マダム・ヴォルフ:伊東弘美、エルマー:岸祐二 ほか

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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まずはシーンについていくつか。最初にも書いた通りこの日はどのシーンも本当に激熱で!特にアンサンブルさんたちの勢いもすごくて圧倒されました。

♪我ら生絶えし者ども♪

これ、私がエリザベートの中で一番好きなシーン。音楽が超好み!ドラマチックでゾクゾクします。それに亡霊たちの激しい動きも好きなんですよね。ただ、数年前から取り入れられたルキーニの「さぁ、始めてくれ」に対しての「あぁぁ・・・・」っていうあの引っ込みだけはいまだにちょっと慣れない(苦笑)。なんか笑っちゃいそうになるんだよなぁ。

♪計画通り♪

コミカルなシーンでもあるんですけど、今公演ではヘレネがちょっと存在感アップしてます。親戚たちの前でお披露目しているときも動きがちょっと派手になってるしヘタレで可愛いお姫様っていう雰囲気が今まで以上にクローズアップされてて面白いのです。なので「3年間の花嫁修業、すべてパーなの♪」って歌うあのシーンがなんだか滑稽でもあり気の毒でもあり…今まで以上にヘレネに同情しちゃったな。

♪ハンガリー訪問♪~♪退屈しのぎ♪~♪ミルク♪

今回、一番熱いなと思った1幕のシーンはこの3つかな。アンサンブルさんたちの歌声がホントにすごい張りがあって勢いがあってちょっとビックリした。そのなかでも革命家の3人がすごかったですねぇ。筆頭の岸エルマーがそれはそれは熱い!!他の2人ももう目が血走らんばかりのテンションでして…革命家の鬼気迫る感じが非常に良く出てたと思います。
そういえば♪ミルクのナンバーにルドルフ役者が出てこなくなったみたいですね。前回までは帽子を深々かぶって一生懸命踊ってるルドルフ探すの楽しみだっただけにそこはちょっと残念w。

♪精神病院♪~♪魂の自由♪

ここのシーンもエリザの中では個人的に好きなんですよね。シシィが訪ねた先の精神病棟でヴィンデッシュ嬢と出会う…。この日の河合さん演じるヴィンデッシュ嬢が前回よりも3割増しくらいの迫力で暴れててビックリ!!押さえつける立場の役者さんたちも必死になっててものすごい臨場感ありました。ものすごい大熱演!あそこはヴィンデッシュ嬢が激しければ激しいほどシシィの孤独が際立つシーンでもあるので、この日は本当に感動しました。

♪独立運動♪

ルドルフを立ててエルマーたちが革命を起こすシーン。ここでも岸さんたちが激熱だったのでそれはそれはものすごい熱いシーンになってましたよ。それを操るマテトートの動きがこれまた妖艶なので見ていてゾクゾクしっぱなしだった。革命運動の鬼気迫った躍動感が今まで以上に感じられて非常に印象的なシーンになっていたと思います。

そしてクライマックス…いやぁ、なんか、畳み掛けるかのごとくのすごいテンションで…終わった後にはなんだか心地よい疲労感に包まれていたくらいだったなぁ。前回得られなかった満足感みたいなものが今回は感じられて本当に良かった。ここで色々と気持ち的に興奮状態になったのが、後のソワレ観劇に響いたんだよな(爆)。

以下、主なキャストの感想です。

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エリザベート@瀬奈じゅんさん

前回公演以来の瀬奈シシィ。娘時代の歌はやっぱりちょっと不安定だったかもなぁ…。それと春野さんと同じく高い音になると急に安定感がなくなる傾向も否めない。やはりシシィのナンバーはそれだけ難しいってことなんだと思います。可愛かったんですけどね…。

雰囲気的には以前よりも風格が出たと言いますか、印象に残るシーンが多かった。特にこの日はみんな熱かったからか瀬奈シシィも感情がバッと前面に出ていたように思います。トートと対するときの取り乱し方がすごかったなぁ。なんていうか、ヒステリックに拒絶してた…みたいな(汗)。体操室のシーンでは髪振り乱さんばかりの拒絶っぷりにちょっと驚きました。

瀬奈さんは歌っているときよりもお芝居しているときのほうが個人的には好きかもしれない。シシィの雰囲気は以前よりも増しているし感情表現も伝わるものがあります。でも、歌になると何となくどこかふらついてしまうような気が…。いいなと思う部分と残念だなと思う部分が半々だったかな。

トート@マテ・カマラスさん

ずっと見てみたかったんです、マテのトート!まさに念願叶ったり。しかも日本語で演じてくれるという贅沢さ。

まず、天から降りてくるシーンからして…これまで見てきたトートとは全く違う空気を感じましたね。なんだか異質なものがやって来た…みたいな緊迫感。明らかに一人だけ違うオーラを放ってるんですよ。さらにはトートの扮装に全く違和感がない!もともと外国人のような扮装なのでマテの場合は似合うというよりも…自然なんですよ。あんなにしっくりすんなりトートの外見が受け入れられるというのは本当にマテならではでしょう。クールで静かに獲物を狙うかのような…まるで氷のようなトート。

♪愛と死の輪舞♪ではシシィと出会って恋に落ちる瞬間のマテトートが非常に印象深かったです。近づいて行ってシシィを見たとたんにそこで時間が止まってる。ジーーッと見つめてて…あの瞳に見つめられたら吸い込まれてしまうかのようなそんな気持ちにさせられるに違いないって思いましたよ。見ているこちらが心臓バクバク(笑)。大きな動きをしていないにもかかわらずあの独特の緊張感を出せるっていうのがすごいなと思いました。

それからやっぱり♪最後のダンス♪でしょう!これまでのトートは♪さいーごのー、ダンっスはー…って歌い方だったのに対しマテは♪さいごのー、だんすはー…って感じの歌い方。日本語歌詞って難しいよね。最初はあれって思ったけど聞いているうちにやけに耳に馴染むw。それにロック歌手という一面があるマテならではのこのナンバー。アレンジも独特で本当に気持ちよさそうなロックの歌いっぷり!もう聞いていて心の底からゾクゾクきましたっ!まさに本物のロックな最後のダンス!それを日本で…しかも日本語で聞けるなんて感激でした。あれは日本人には出せない味だなと思いました。

マテの歌ってミュージカル歌唱としては「上手い」って感じじゃないんですけど、ロックな歌い方が聞いていると癖になってくるし雰囲気だけですべてを持って行ってしまうみたいなところがありますね。

1幕ラストの三重唱になるシーンはマテが登場した瞬間にドキリとしました。そのくらい艶っぽかった!!あれは惚れる(笑)。私たぶんあのとき目がハートになりましたからwww。それからチビルドに銃を向けるときの表情もゾクゾクした。なんか、本当に銃で撃ち殺しそうな…そんな冷酷さが目に宿っていて変に緊張までしてしまったよ(笑)。あの突き放したような、それでいて射るような目!!思い出すだけでもドキドキする。

シシィに対してはあくまでも冷静に忍び寄るようなイメージ。どんなに激しく拒絶されてもそこでガッと怒りを表現するんじゃなくて…今は静観しといてやる…みたいな余裕がある。その時の視線が本当に妖しくてかつ冷たい。日本人には出せないであろう雰囲気だろうなぁ、あれは。

ルドルフとの♪闇が広がる♪はすごかったです!あれは本当にすごいとしか言いようがない。鳥肌来ましたし、ナンバーが終わった後は軽くショーストップ状態になったくらい。あそこであんなすごい大拍手が起こる現場初めて体験したかも。ルドルフへのキスもまぁーなんて美しい!うっっっとりの連続www。そして最後にシシィを受け入れる時。その時も大きな感情表現はせずにあくまでもスマートでクールに振る舞うマテトート。ここでのキスも本当に素敵で…なんか外国の映画を見ているみたいだった。

そのほかにも見所がたくさんあったんだけど…本当に何から何まで魅力的なマテのトートでした。彼のトートを日本で見られて本当に幸せ!良いもの見させていただきました。

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フランツ@岡田浩暉さん

観劇前に"岡田さんののフランツは2幕がちょっと残念な感じ"という評判を聞いていたので(笑)ちょっと構えて観に行きました。そして見た感想ですが…噂に納得かなとw。

1幕に出てきた岡田フランツはとにかく若くて幼い。書類にサインしているときなんかはそこに感情がなくてまるでロボットみたいな表情だったのがとても印象的です。悩みながら書類に目を通している禅さんとは正反対ですね。戦争についての意見を尋ねられた時、それについて意見を述べようとしたところでゾフィの「答える必要ありません」という言葉が入ってくる。もう言う気満々だったところをくじかれたって感じだったのが面白かった。

シシィと出会って結婚するフランツですが…この時もなんかまるでルドルフがそこに立っているようで、とにかく頼りない感じ(笑)。瀬奈シシィが特に気が強くてゾフィに文句言ってるのでなおさら岡田フランツが小さく見えてしまうというww。ありゃ完全に尻に敷かれてます、ほんと(苦笑)。シシィのこと愛してるんだけどそれ以前にマザコンから抜けきらないというか…甘えん坊皇帝って雰囲気なんですよ。本当に彼は国を統治しているんだろうかって思ってしまうほど(汗)。

シシィの寝室に「なぐさめてほしい」ってやってくる時も、なんか、本当にこの人は一人じゃ眠れないんだろうなって雰囲気で。その訴えっぷりが真に迫っているというか…シシィに甘えたくて仕方ないみたいな弱々しさ(笑)。これはシシィに政治を任せたほうが絶対いいだろうと思わせてしまうかのような皇帝ですw。ちなみにそんな甘えん坊さんな雰囲気なのでヒゲ姿が…似合ってないんですよ(爆)。

そして2幕…ゾフィの差し金で娼婦と関係を持ってしまうフランツなのですが…これが初めて納得できてしまったかも(笑)。禅さんや綜馬さんは"なんでこの人が娼婦と…"って思ってしまう感じだったのですが、岡田さんになって初めて"この皇帝ならなびくだろうな"って腑に落ちちゃったw。

で、ゾフィに文句言いに来るんですが…なんか、雰囲気が、冬彦さんっぽくて…ちょっと吹きそうになった(爆)。岡田さん、一生懸命威厳を出そうと声も変えて役作りしてるのは分かるんだけど…歩き方とか姿勢とかセリフ回しとか、なんだかみんな空回りしちゃってるような気が…。今まで禅さんの皇帝らしいドンとした雰囲気を見てきてしまっているだけになおさら不安定に見えてしまって…あぁ、これ、残念な感じかも…って思っちゃったよ(苦笑)。

その残念な岡田フランツはその先もずっと変わらずで…どんどん情けなくなっていく(汗)。ところが、だからこその相乗効果もあります。それが♪悪夢♪。今まで禅さんのものすごい鬼気迫った熱い芝居に涙していたんですが、岡田フランツはこれまでが情けない雰囲気だっただけになおさら哀れさが際立っていてひたすら同情してしまう感じ。トートに翻弄されている姿が、もう、本当に哀しいほど惨めで憐れなんですよ…。そう思ったらなんかこみ上げてきてしまって気が付いたら泣いてました、私。

岡田さん自身、今回の役柄は本当に苦労されてるでしょうね。だけど歌声はとてもしっかりしていて好印象。ルドルフが息子だって納得できてしまう弱々しさも新しい感じでいいのかもしれないw。ただ皇帝ですから…もう少し威厳が出たほうがいいかもしれないなと。動きもまだちょっと硬いみたいだったので。そのあたり改善されればもっといい雰囲気になるんじゃないかなと思いました。

ルドルフ@平方元基くん

平方くんはロミジュリのときに初めて見て、そのパワフルな歌声に圧倒されたんですよね。それ以来。あの時は不良役だったのでものすごく激しいイメージが合ったのですが、それがひ弱なルドルフになるとどう変化するんだろうかと楽しみにしていました。

まずは雰囲気にちょっとビックリ。平方くんってあんな繊細そうな可愛い顔だったのか!ロミジュリとはまるで雰囲気が違う。それでいて歌声は相変わらずとてもしっかりしていて素晴らしいです。マテトートと歌った♪闇が広がる♪は素晴らしい歌いっぷりで大感動!

ちょっと知的なルドルフって印象だったかな。明らかに岡田フランツよりもしっかり者って感じだったので(笑)。そんな彼もトートの力には逆らえず革命に走ってしまう。「ハンガリー国王」と囃し立てられて馬車に乗る姿とかはなんだかとても脆い感じ。そのあたりのルドルフの持つ危うさを平方くんは上手く表現していたんじゃないかなと思います。破滅するときには意外とあっさりと死を受け入れてましたね。大野くんが時間を多く撮ってたからそう感じるのかもしれませんが…。それにしてもマテとのキスシーンは眼福ものの美しさでございました!

杜さんのゾフィは前回見たときよりも威厳が出てたし熱い感じでよかったです。迫力不足っていうのはやはりありましたけどね(汗)。

髙嶋ルキーニはこれまで見た中でめずらしくノーマルに近い芝居だったかも。あのくらいが個人的にはちょうどいい…けど、やはりそろそろ違う人で見たい。

他のアンサンブルさんも熱演で全体的に締まった舞台になっていてとても良かったと思います。
次にエリザベートが東京で上演されるのはいつだろう。またその時にマテのトートが見てみたいな…。

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