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劇団四季ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』東京公演 2025年5月9日マチネ感想

劇団四季の新作ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観に四季劇場秋まで行ってきました。

激戦の前売りを何とか潜り抜け確保したうちの2回目。先々の予定が付かないことや金銭面の懸念もあり(汗)これが手持ち最後のBTF観劇となります。

開幕してからおよそ1ヶ月。年末までほぼ満席状態が続くと思われますが、事前に複数チケットを確保したリピート観劇の人も増えてきたようで、4月の観劇時より物販コーナーも多少落ち着いていました(それでも休憩中を含めけっこうな列でしたが)。

それから、2階ロビーにある日付入りの巨大記念撮影用パネル。

これ↓

1か月前はパーテーションで区切るほどの大行列となっていましたが、今回行ってみると列を作らず横に広がって撮影するスタイルに変わっていました。ただ皆さん、私も含めてですが…どうしても中央からバーンと撮りたいという心理が働いてしまうもの。それゆえ列は作らないでほしいと言われても自然と真ん中ゾーンに人が集まって結局は列になってしまいます。ロビーの広さもあるのだから、やっぱり満席状態が続く時期は列を作るスタイルにしたほうがいいんじゃないかなぁと思ってしまいました。

客席内の機械的なブルーの光景は何度見ても圧巻!!舞台中央にある巨大映像にはタイトル名のほかにも様々な注意喚起のアナウンス文言が映し出されていきます。しかも1985年当時のコンピューターでよく見られる感じのやつ(ちなみに私は85年当時小学生だったのでコンピューターを見たことがありませんww)。数秒ごとに違うコメント窓が出てくるのですが、お堅いやつじゃなくて”デロリアン”が喋ってる的なものになってるのが面白くて良い!!

開演前のアナウンスも機械的な声になってるし、とにかく客席に一歩入った瞬間からそこはもう”デロリアンの車内”なのですよ!始まる前から舞台の世界観にガッツリ惹きこむ。外部舞台で言うところの…ミュージカル『ムーラン・ルージュ』みたいな感じでしょうか(あちらは真っ赤かでしたが)。

これ、本当に映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が好きな方だったらめちゃめちゃワクワクすると思います。映画に夢中になっていたであろう当時の少年または青年だった男性のお客さんが多いのも頷けます(四季作品で男性トイレに行列ができる光景はかなりレア)。
ワクワクドキドキする内容がてんこ盛りなので(冒険もの少年漫画好きな人は特にハマるかも)ぜひ多くの方に見ていただきたい作品です。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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2025年05月09日マチネ公演 in 四季劇場・秋(東京・浜松町)

※概要とあらすじについては2025年04月23日観劇レポートを参照してください。

上演時間約175分(2時間55分)。ただしカーテンコールは除く。

内訳は、1幕が80分(約1時間20分)25分休憩2幕が70分(約1時間10分)となります。マチネの終演時間はだいたい16時30分前後。

主なキャスト

  • マーティ・マクフライ: 立崇なおと
  • ドク・ブラウン:野中万寿夫
  • ロレイン・ベインズ:海沼千明
  • ジョージ・マクフライ:斎藤洋一郎
  • ビフ・タネン:酒井康樹
  • ゴールディ・ウィルソン: 安田楓汰
  • ジェニファー・パーカー:林愛夏
  • ストリックランド: 本城裕二
  • デイヴ・マクフライ:渡部斗希也
  • リンダ・マクフライ:多田毬奈

【男性アンサンブル】

勇貴、林晃平、紙谷昇世、桒原駿、奥村響、吉田功太郎

【女性アンサンブル】

辻茜、大橋美絵、青柳絵里奈、佐田遥香、岩井千秋

ちょうどキャストがほぼ総入れ替えになったタイミングだったので、2回しか確保しないなかで違うパターンのBTTFを見ることができたのは幸運でした。演じる方によってキャラクターの雰囲気も変わってくるので、色々と面白かったです。比べる楽しさがあるのも複数キャストで見る醍醐味ですよね。

全体感想・主なキャスト感想

いやぁ…ほんっとに、終わった後の高揚感ハンパないミュージカルですよ!!客席はデロリアンの内装のようだし、映像と舞台芝居の融合も臨場感たっぷりだし、ストーリーは映画の良さを損なわない面白さで体感あっという間だし・・・ありとあらゆるエンターテイメントがぎっしり詰まった作品。
これを劇団四季が上演してるというのがとても贅沢なことで。どちらかというと生真面目な印象が濃いあの劇団がこんなにも自由度の高い芝居を魅せてくれていることに非常に大きな意味、新時代の到来を感じて嬉しい。

そしてやっぱり思うのは、生演奏はやはり良い!!!ということ。特にBTTFは全編ほぼロックですから、生で伝わってくる音の迫力、厚みは言葉では言い表せないくらい感動しますよ。あの楽曲たちは生で浴びてこその醍醐味がある。全身が高揚して気が付けば指で自然にリズムを取りながら見てしまう(もちろん周りに迷惑かけない程度にですが)。それがたまらなく楽しくて仕方がないのです。
だから今後もし地方ロングランが決まったとしても、生オーケストラバンドを入れてほしい。四季はたまに生オケ入ることになっても東京だけっていうことが殆どですからね…(懐事情がという大人の事情も分かるけど、この作品だけは全国の人に生演奏の醍醐味を味わってほしいのです)。

ということで、今回は内容のネタバレをちょいちょい書いていこうかなと思います。

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幕開けの♪Overture♪は、映画でもおなじみのあの曲がババーーンとロックに奏でられます。BTTFを知らない人でもあれを聞いたことがあるという人は多いのでは。それが生のロックな旋律でバシィーーッとくるので、のっけからテンション上がらずにはいられませんぜ!

マーティがドクの自宅兼研究室に訪れてギターを弾いて巨大スピーカーが壊れたり本棚が倒れちゃったりするのは映画にも出てきます。ただ、映画のほうが派手にぶっ壊れてるのでwwそこはぜひ確認してみてください。舞台版だとちょっとショボい感がありますがそこは目をつぶって(笑)。
でもこのあとにマーティが歌うソロ♪It's Only a Matter of Time♪は映画音楽の高揚感そのままの雰囲気を引き継いだポップでロックなナンバー。退屈な日常からどうにかして這い上がりたいという彼の野心のようなものも感じられるし、町の人たちの活気も相まって見ていて非常にテンション上がります。

バンドの演奏オーディションにも早々に落選してしまったマーティを励ます恋人のジェニファー(♪Wherever We're Going♪)。ちょっとバラード調ではあるけどロックなテイストが随所に刻まれていて惹きこまれます。BTTF第1シリーズではジェニファーの出番は少ないので舞台版もそうなっていますが、彼女のまっすぐな愛情は見ていてとてもグッとくるものがありますよ。このナンバーで歌われるフレーズ「ど~こ~、ど~こ~♪」が個人的にかなりツボ(文字だと伝わらないのでぜひ劇場で見てw)。
ちなみにここで「時計台修復のチャリティに協力して」というシーンが入ります。これ、BTTFですごく重要な伏線になるので要チェック。

家に戻ったマーティはバラバラでだらしのない自分の家族にゲンナリ。それぞれの個性のクセがめっちゃ強いのですが、ああいう芝居を四季で見られるということが何とも新しいなと。堕落した家族の中に自分が埋もれてしまう危機感を感じたマーティが歌う♪Hello – Is Anybody Home?♪は爆発力のあるロックでグイグイ惹きこまれます。「ハロー!!お留守なのか!???」のフレーズがめっちゃ頭に残るw。

そしていよいよドクの登場!!ここの演出、初めて見た人はたぶんめっちゃビックリすると思う!!映画で見たのとほぼ同じ光景がそこに実現しているのでね。あの演出考えたクリエイター、そしてそれを見事に再現しちゃう四季の技術の凄さには本当に頭が下がる想い。そしてデロリアンがめっちゃ”デロリアン”!!!うわっ本物だ!!感半端ないっす!!あれはBTTFファンが興奮するの分かります。客席からは見えない内装もしっかりと作り込まれているそうですよ。
ドクは実験成功したと狂気乱舞になるのですが、この時彼が歌う♪It Works♪がめちゃめちゃ面白い!!!「やった~~!!やった~~!!」の連呼とか最高すぎ(笑)。もう頭の中でこれがグルグル回ってこびり付いちゃうよww。しかも演出が・・・めっちゃ『ミス・サイゴン』の”アメリカンドリーム”っぽいのです(←そう思ってるの私だけかもしれないけどww)。

ひととおりデロリアンについて説明したドクは再びタイムトラベルを試みようとしますが、”ある手違い”が生じ乗り込む前に倒れてしまう。このシーンは映画と違うんですよね。映画では”殺し屋に打ち殺される”というかなりヤヴァイ展開なので(汗)。舞台版はそれに比べればちょっと”おマヌケ”な印象があります、正直w。

マーティはデロリアンで医者を呼びに行こうとしたものの、ドクの「88マイルは出すな」という言いつけを守らず無我夢中でスピード上げてしまうわけで。ここの実写と映像との融合演出がとにかくすごいのです!!!まるでアトラクションに乗ったような気分になれますよ。初めて見た時は舞台の進化はついにここまで来たのかとビックリしました。映画のあのタイムスリップする瞬間をものの見事に表現してる。これはぜひ多くの方に目撃していただきたい。

ちなみに、1955年にタイムスリップしたマーティがどこぞの小屋に突っ込むのは映画と同じですが、そのあと住人に襲われることなく脱出してたのは舞台版ならではだったなとw。映画だと猟銃みたいなやつ撃ち込まれてマーティあわや命の危機状態になるので(汗)。

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1955年のドクを探すために街に繰り出したマーティが見た光景は、30年ごとはまるで違う”不健康”極まりないものに溢れています。「アスベストを積極的に使おう」とか「農薬まき散らして害虫退治しよう」とか、今では考えられないことを本気で信じてる人たちばかり。あの当時はそれが真実だと思われていたわけですから…ちょっとホラーでもあるんですよね。
とりあえずカフェに飛び込んだマーティ(映画では85年当時にあるものを注文しようとして悉く断られコーラになったというくだりありw)は、若き日の父・ジョージに遭遇。さらに若き日のビフにも遭遇し、85年と同じく父親がビフの言いなりになってヘコヘコしてる現場を目撃してしまい何とも言えない気分に(苦笑)。このあたりのリンクのさせ方がBTTFは非常に巧みで面白いんですよね。

カフェにはゴールディ・ウィルソンの姿も。85年には市長に立候補する人物なのですが、55年当時は店長にコキ使われる店員さんです。マーティはウィルソンに思わず「あなたは市長選に立候補することになる」と口走ってしまうのは映画と同じ。ただミュージカルでのウィルソンは映画よりもかなり大きくフィーチャーされていて♪Gotta Start Somewhere♪というビッグナンバーを歌います。
ウィルソンは映画では黒人。55年当時は差別もかなりキツかったと思うので彼の苦しい境遇は想像できます。舞台ではある時代から黒人を演じる人はデフォルメをしないようにという流れになったのでそのままの姿になっているのですが、世間の冷たい風にもメゲずに前向きに将来を見据えて進もうとする彼の精神はきちんと受け継がれているなと思いました。

話しかけるマーティから逃げるようにカフェから去ったジョージでしたが、向かった先は片想いしているロレインの家の前の大木。それを目撃したマーティが、父が実は母親の”覗き”をしていたことを知り衝撃を受けますw。これは映画と同じ(映画版のほうがショック大きそうだったけどww)。85年時点で母親が何回も語り草にしている”ジョージとの運命の出会い”が実はロマンチックなものじゃなかったという種明かしにもなってるんですよね(笑)。舞台ではギリギリの表現だったなと。映画のままやったらドン引きする案件なのでね(汗汗)。
ちなみに舞台では木から落ちてしまうジョージの下敷きになったマーティがロレインの家に運び込まれる展開になっていましたが、映画では木から落ちたジョージが車に轢かれそうになったのをマーティが庇って身代わりになりロレインの家に運ばれたということになってますw。

ロレインの家で目を覚ましたマーティは自分の置かれた状況にビビりまくり。なんであんな格好にさせられたんだよって話でw。ここは非常にセクスィな姿でオタつくマーティを楽しめます(?)ww。まぁ、「カルヴァン・クライン」の名前を出すためには必要なシーンですけどね。
それにしても、ロレイン、めっちゃ肉食女!!♪Pretty Baby♪はちょっと色っぽい歌なんだけどコミカルで思わずクスッと笑ってしまう。若き日の母親にあんなグイグイに迫られたら、そりゃ息子のマーティは堪らんわな(笑)。しかも、将来の祖父母にも遭遇しちゃうわけだから逃げるしかないww。

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やっとのことでドクの居場所を突き止めたマーティですが、最初は全く信じてもらえません(マーティが訪ねてくる前にドクが日本車について毒づくシーン、なんか2025年の世相と重なっててあまり笑えないw)。このあたりの展開は映画にも出てくるのですが、それの再現シーンがめちゃめちゃ面白かった。考えを読み取る怪しい機械をつけられてのやり取りとかまんまコメディでホント笑えるw。
なかなか信じてもらえないマーティが、ドクのタイムマシーン論を思い出して語ったことでようやく信用してもらえるくだりも良いんですよね。その前に起こった出来事や会話がちょいちょい生かされていくことの爽快感がたまらない。それがBTTFの醍醐味のひとつでもあります。

マーティに案内されて未来の自分が開発したタイムマシーンのデロリアンを見に行ったドクは衝撃を受けテンション上げ上げにww。未来へ帰るための電力を確保するための策を考えながら歌う♪Future Boy♪(←マーティのこと)では再びボーイズ&ガールズ(←妄想世界の皆さんw)が登場して大盛り上がり!!そして「為せば成る!!」をモットーに考えを巡らせついに方法を思いつきます。未来へ戻れる(ここで「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の台詞が出てきてタイトル回収するのがいい)事が分かったマーティは調子に乗って55年の販売物を85年に持ち帰りたいと口走ってしまう。
それを聞いたドクは血相を変えて歌を強制的に終了させるのですが、ここのコミカルすぎるやり取りを劇団四季で見れるということがなんとも不思議で新鮮で。台本通りのやり取りではありますが、あんなアドリブ風の自由な雰囲気でコメディ演技してる四季はこれまで私はお目にかかったことがなかったので、なんかすごく嬉しかった。

マーティは自分が将来の両親と会って関わってしまったことで未来が変わりつつある現実を知って愕然とする。このままだと兄姉はおろか自分までも消えてしまうことを自覚したマーティは軌道修正するためにジョージとロレイン(将来の両親)が通う学校へ行きなんとか二人の関係を取り持とうとします。ところがジョージは相変わらずナヨナヨした弱気な青年でまともにロレインとまともな会話すらできない状況ww。しかもそこへ天敵でロレインに目を付けているビフまで登場するものだから事態は混乱。
ビフはロレインを我が物にしようとするわけですが…ここのシーンを見るとどうしても過ってしまう『美女と野獣』でガストンがベルに迫るワンシーンをww。マーティはロレインを助けるために思わずビフを退治してしまうのですが、それを見た彼女はますます惚れちゃうという悪循環w。ロレインはナヨナヨしながらも外見はなかなか整ったジョージに嫌な気持ちは抱いていない感じなのですが、自分を守ってくれる強い男のほうに惹かれてしまうんですよね。

で、このあと超ドタバタ劇があるのですが…映画では街中を駆け回っての追いかけっこ状態になるところを舞台では学校の中で駆けずり回るといった展開に変えています。ちょっと場面的に狭い範囲にはなりましたが、ここの演出が実にスピーディで迫力満点!!っていうか、あれ相当な運動神経がないとこなせないと思いますよ。特にマーティは高いところをヒョイと駆け上がったり飛び降りたりもするので相当な体力が要求されるはず。役者さんってホントすごいと感動しまくりでした。
ちなみにここのビフとの対決場面で55年当時にはまだ登場しない「スターウォーズ」のネタを出してきているのがめっちゃ面白いです(笑)。これはたぶんジョージがひっそりSF小説書いていたということで出したんじゃないかなと予想。結果的にビフは敗北しますが、映画では肥溜めの中に突っ込む(シリーズ2や3でもここがリンクしてます)のが舞台では食料廃棄のゴミ入れに突っ込むに変更されていました。

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2幕の幕開けはドクのソロ♪21st Century♪から始まるのですが、このナンバー、めちゃめちゃカッコイイのです!!!妙な近未来の恰好をしたダンサーズが出てきますがww、それを従えて歌うドクのカッコよさがたまらなく良い。このナンバー聴けただけでもモトを取れたと思えるほど私は大好きです。早く日本版の音源が欲しい~~!!
これ、ドクが「21世紀の夢を見ていた」という顛末なのですが・・・演出がけっこう”おおっ!!”とどよめくものになってますよ。舞台『ハリーポッターと呪いの子』を担当したスタッフさんも入っているとのことで、なるほどだからかと納得しました。

学校でのドタバタ劇の中でビフを撃退したマーティを見てますます彼に夢中になってしまったロレインは、直接デート(魅惑の深海パーティ)に誘ってくる。未来の自分が存在しないことになる事態にまっしぐらであることを悟ったマーティは慌ててジョージのもとに駆けつけ、勇気を出してロレインを誘うように仕向けます。それでもナヨナヨしててなかなか話に乗らないジョージでしたがw、マーティは彼がロレインに気に入られる作戦を必死に絞り出して伝授していく。
ここで歌われる♪Put Your Mind to It♪のロックナンバーがとても微笑ましくてカッコいい。奇妙なジョージの動きも面白いし、次第に二人の間に奇妙な友情が芽生えていくのもほっこりする。「為せば成るさ」というフレーズが何回も出てくるのも印象深いです。85年当時のドクが常に口にしていた言葉をマーティはちゃんと受け継いでる。このフレーズはBTTFの大きなテーマのひとつだと思います。

マーティがいないあいだ、ドクはマーティが持参したハンディカメラに映っていた自分の未来の出来事を見てしまう。それを見て心がざわつくも、戻ってきたマーティがドクに未来の危険を語ろうとすることを決して許そうとしない。たとえ自分の身に危険が起こる未来が待っていたとしても…自分の行動でこれから起きることを変えることは許されないという信念がドクにはあるんですよね。
複雑な気持ちのマーティでしたがそれを受け入れるしかなく、ドクが思いついた”未来へ帰る方法”を学ぶ。ここでドクが作ったとされる模型が出てくるのですが(映画にも出てくる)、かなーーり精巧につくられてます。美術さんの技術が凄い!!

模型で再現してみるものの、火災が発生してしまいマーティは不安に襲われる。この火災を消すときのドクがこれまためちゃめちゃコメディで面白い!!!ここはかなりコメディセンス要求されるシーンだとも思うのですが、自然に笑えるほど楽しかった。
弱気になるマーティの前でドクが歌う♪For the Dreamers♪はこの作品の中では数少ないしっとりとしたバラードナンバーです。映画さながらなドクの部屋に掲げられている偉大な科学者たち(アインシュタインやエジソンなど)を見つめながら、どんなに非難されたとしても夢を諦めずに追い求めることの尊さがひしひしと伝わってきてジーンときます。

タイムトラベル決行の日、ドクはウィルソンに「天気の実験をする」と嘘をついてwケーブルを繋いでもらっていました。「こんな危険なこと絶対もやらないから!!」と興奮するウィルソンに「私には絶対できないことだからねぇ」とシレッと答えてるドクが面白かったww。
最後の仕上げをしに出掛けたドクを確認すると、マーティはパーティへ出かける前に”危険を知らせる手紙”を85年にもらった時計台修復チラシの裏に書く。彼は未来を変えるかもしれない危険を冒してでも大切な存在であるドクを守りたかったんですよね。このシーンはとてもグッときます。

ロレインと車でパーティへ向かったマーティ。駐車場に到着した時、マーティはジョージと示し合わせた通りに”芝居”を敢行しようとしますが・・・ロレインは彼が思っていた以上に積極的な肉食女子で(笑)。全く芝居ができないどころかチューーまで奪われてしまうという大失態ww。ところが、これが彼にとって幸運に傾くんですよねぇ。ロレインの台詞が予想外で面白い(映画でも笑った)。
しかしながら、予定の時間に現れたのはジョージではなくてビフ。マーティは呆気なく車の外に投げ出された挙句ゴミ入れのドラム缶みたいな中に閉じ込められてしまう(映画では車のトランクでしたが)。

ビフはロレインに強引に迫って万事休す!!という時にやっと現れるジョージ。ジョージはマーティが中にいると信じてるので示し合わせた通りの台詞を言い放つわけですが、事態が思っていたのとは全く違うことに気が付いて怖気づいてしまいます。このあとジョージはどうするのか!?ここはBTTFでもかなり肝になるシーンで。ここのジョージはけっこうカッコいいのでぜひ堪能していただきたい。
その後マーティはパーティのゲストで呼ばれたバンドメンバー(映画では黒人グループ)に助けられるのですが、ここの顛末は映画より舞台の方がけっこう”おマヌケ”で笑えますww。

なんだかんだでマーティは危機一髪のところで助かりまして…、そして映画と同じタイミングであの超有名な楽曲♪Johnny B. Goode♪が出てきます!!BTTFといえばコレ!!ですよねぇ。映画の再現度が高くてめちゃめちゃシビれました。要チェックです!

そしてついにマーティが1985年へ帰る時がやって来る。ここから先の展開は書きたいことがたくさんあるのですが…、まだ始まって2か月弱なのでちょっと控えようと思います。ストーリー、演出、音楽、すべてが規格外に凄いです!!!私はこんなことが舞台でできるのかっ!!と感動しまくりました。個人的にはドクが嵐の中時計台へ向かい、四苦八苦する場面の魅せ方がとても印象深く残っています。映画でめちゃめちゃスリリングだったあのシーンを舞台でどう表現するのかとても興味があったのですが、そうきたか!!と思わず心の中で拍手しましたからね。
さらに1985年に戻った後の世界、そしてまた次のステージへ向かうラスト。このラストシーンはホントに”うわぁ~~~!!”となります。初めて見た時はビックリして涙したけど、2回目の今回も気づけば涙が…!!このあたり、ぜひとも多くの方に体感していただきたいです。

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主なキャストについて

マーティ・マクフライ: 立崇なおとくん

立崇くんは映画でマイケル・J・フォックスさんが演じたマーティとかなり近いなという印象がありました。タイムスリップする前は心に鬱々としたものを抱え今にも爆発してしまいそうな感情を抱えているのにそれを出すことができない。そんな彼の繊細さを魅せるお芝居がいい。55年にタイムスリップしてしまった後は様々なことに翻弄されながらも、様々な人との出会いの中で少しずつ心の成長を見せていく。ここの芝居はとても自然体で等身大の青年といった雰囲気が出てきて感情移入しやすかったです。

運動量も相当多い役なのでかなり大量の汗をかいていましたが、伸び伸びとしたダイナミックな動きは迫力があり見応え十分。それにスコーンと突き抜けていくような歌声が大変心地よかったです。全編ロックということで時折音程をアレンジして歌うシーンもあったりして。以前の四季では見られないようなバリエーション豊かな歌唱を披露してくれて終始楽しませてくれました。
欲を言えば、あと少しだけコメディ芝居を大きくやってもよかったんじゃないかなと思ったかな。もっともっと面白くできるのではと感じたシーンもちょいちょいあったので。期間を置いてまた見てみたいです。

ドク・ブラウン:野中万寿夫さん

野中さんが善人の役を演じるのを見るのって…何年ぶりだろう(笑)。『マンマ・ミーア!』のビル役以来かもしれんww。それくらい悪役で見ることが多かったので、すごく貴重!!レアですっ!!!

野中さんのドクはとにかく終始可愛らしかった。年齢的にも映画版でクリストファー・ロイドが演じた雰囲気と近いし見ていて全く違和感がありませんでした。映画のほうがエキセントリックさがあったようにも思いますが、野中さんならではの愛らしさや優しさが役柄に沁み出ていて非常に魅力的なドクだったと思います。
そして何より…コメディセンスが抜群でいらっしゃいました!阿久津さんも驚かされましたが、野中さんも実に自然にアドリブのようなお芝居をしていて何度も笑っちゃいましたよ。個人的には「すぐ近くの界隈では雪の魔法が行われているが」っていうセリフがツボ(笑)。

ロレイン・ベインズ:海沼千明さん

海沼さんは『オペラ座の怪人』のクリスティーヌ役がとても濃く印象に残っていたので、それとは180度違う85年代のダイナミックな母ちゃんロレインとして登場した時は衝撃受けました(笑)。ガサツで何事にも動じなくて昔の話を大きく広げて喋ちらかして・・・最初は海沼さんだと気づかなかったくらいですwww。役者さんってホントすごい。

そして55年のロレインは見た目めっちゃキュート!!美人さんで可愛らしい。そんな彼女が肉食系女子っていうギャップがまた堪らなく面白いです。マーティにグイグイ迫っちゃうところはセクスィ―で艶っぽい。でもどこか可愛らしさもあって厭らしくなくなんかクスッと笑ってしまうようなキャラクターで。歌も場面によっていろいろ声色を使っていて漫画チック。どこをとっても魅力的で艶可愛いロレインでした。

ジョージ・マクフライ:斎藤洋一郎くん

洋一郎くん見るの久しぶりだったのですが、相変わらず細身でスラッとしたスタイルに惚れ惚れしてしまう。あの細い体であれだけの動きを体現できるのがホントすごい。

ジョージは気弱でナヨナヨしたキャラですが、動きも超独特なんですよね。洋一郎くんは細いしちょっと押したらすぐにポキっと折れて倒れてしまいそうな心配すら(汗)。でも、さすがダンサーでもあるため体の芯がしっかりしてる!あの独特なクネクネうようよ動きwwでちゃんと立っていられることがまず凄い。ジョージの可愛らしさや少しずつ勇気を身に着けていく過程のお芝居もとても良かったです。
見所はパーティシーンでのダンスですかね。あそこはまさに本領発揮。細くてスラリとした足が上に上がった時はめっちゃカッコイイです。でも個人的にツボだったのは”ジョージ笑い”ww。塚田くんとはまた違った笑い方しててめっちゃ面白かった(笑)。

ビフ・タネン:酒井康樹くん

酒井くんは『美女と野獣』でガストン役を演じた経験があるので、ビフのキャラが時折それと被って見えてしまう(←55年代のビフの髪型とかそっくりだし 笑)。特にロレインにグイグイ強引に迫っていくところなど、BBを彷彿とさせるヤバい奴w。あと、筋肉が惚れ惚れするほど非常に逞しいですなぁ~~。ビフは腕をまくり上げた服装をしているので、酒井くんの鍛え抜かれたすごい筋肉をこれでもかというほど堪能することができます。

冒頭とラストの直毛姿、めちゃめちゃ面白いww。神永くんとはまた違った面白みがあって思わず吹きましたw。カテコの時の弾けっぷりも必見です。すごいダンサーさんが踊った後にビフが…ってなるのですが、神永くんとは違うリアクションしてて可愛かったw。

ゴールディ・ウィルソン: 安田楓汰くん

安田くんは『ゴースト&レディ』でフィッツジェラルド役として観たことがありますが(オペラ座のアンサンブルでも)その時はあまり印象に残らなかったので、こんかいの堂々としたソロの歌いっぷりを見てビックリしました。素晴らしい歌声!それにちょっとコミカルな味を出しているところも可愛らしくて大好き。逆境に負けずポジティブシンキングで進もうとする逞しさと明るさが感じられ、見ているこちらが笑顔になるようなお芝居も素晴らしかったと思います。

そのほかの役者さんたちも個性的で映画版さながらの熱演。アンサンブルさんたちのダンスは非常にキレがあり統率力もあり見応え十分です。さすが劇団四季だなと思いました。

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後述

クライマックスからラストにかけての場面はもっと手拍子が起こってもいいのになぁと思いながら見てしまった。これ関西で上演したらもっと大きな手拍子来たりしたのでは?とも。でも私も含めて言えるんですが…なかなか先陣切ることが難しくもどかしい(汗)。それでも今回は思わず体が疼いて小さくだけどクライマックスのノリノリシーンは手拍子しちゃいましたw。

全てが終わった後のカーテンコールはめっちゃ盛り上がってます。ヒューヒュー声もあちらこちらから飛びまくりで、役者さんたちの充実感溢れる表情もとても印象深かった。

BTTFはすごく「アメリカ」を感じる作品。映画アメリカで制作されているので当然と言えばそうなのですが、最初にミュージカル化を実現した地はイギリスですからね。よくここまで”アメリカ”的な雰囲気を取り入れたなと驚いてしまう。
映画を知らない人も、アメリカ系のノリの作品に苦手意識のある方もこれはもしかしたらハマるかもしれません。まるでUSJのアトラクションに来たかのようなワクワク感満載のミュージカルなので。私は映画は大好きですが基本的にヨーロッパ系ミュージカルが好きなのですが、この作品は本当に凄いなと思いました。

もう手持ちのチケットもないし追加の先行販売にも参戦していないのでしばらく見に行けませんが、機会があればまた足を運びたいと思います。

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