今期3度目にしてマイ楽となりました、ミュージカル『エリザベート』観てきました。
キャスティングは前回とほぼ同じ。前売りのかなり早い時期に購入したチケットだったので座席もけっこう前のほうでして、今まで以上に役者さんの表情がよく見えて非常に充実した観劇となりました。
エリザキャストが変わってから初めて観た時には"もうこの作品は卒業かも・・・"という想いが正直よぎってしまったんですけど(苦笑)、2回目に観た時にまたテンションが盛り返して…そして今回に至ります。やっぱりキャスティングの相性って私にとってはかなり大切だなと(汗)。自分の感性に合ったキャストで観るのと観ないのとでは作品への入り込み方が違うというのを実感いたしました。
そういった意味では、2回目と今回は私的にベストな組み合わせですね。マイ楽観劇で満足感が得られてよかったと思います。
この作品の魅力はやっぱり音楽かなぁ。特にオープニングの「われら息絶えし者ども」で私はいつも魂を持ってかれるようなゾクゾク感に襲われます。あそこからガーっとストーリーに入り込むって感じかな。それくらい私にとってはキーになる場面なんですよね。初演から数えるともう20回近く観ていますが、その感覚だけは今でも変わりません。
そのほかにもクラシックの流れを汲んだようなロック音楽や繊細で美しい音楽など多種多様。名曲ぞろいだと思います。
この日のカーテンコールもかなり盛り上がってました。後で知ったのですが、トート役の武田真治さんの誕生日だったようですね。皆もしかしたら特別カーテンコールみたいなものを期待していたのかも!?結局は何回か涼風さんと一緒に出てきてニコニコしながら盛んに手を振ってただけでしたけど・・・でも、その姿はなんか・・・異様に可愛かった(笑)。あの怪しいメイクで可愛いと思わせる武田真治、恐るべし!?
主なキャスト
エリザベート:涼風真世、トート:武田真治、フランツ:石川禅、ルキーニ:髙嶋政宏、ルドルフ:伊礼彼方、ゾフィー:寿ひずる、マックス:村井国夫、ルドヴィカ:春風ひとみ、マダム・ヴォルフ:伊東弘美、エルマー:中山昇 ほか
以下、ネタバレ込みのキャスト別感想です。
エリザベート@涼風真世さん
前回よりも少し近くの席で見たので、多少年齢の壁を感じる部分もあったんですけど(苦笑)、それでもお芝居はやっぱり分かりやすくてよかった。
少女期の涼風シシィは個人的に好きなんですよ。彼女のちょっとアニメ声みたいな部分が生かされてると思う。可愛いしお転婆娘っていうのもすごくわかる。活発で気が強い少女期のシシィの部分がそのまま大人になっても息づいているような感じだったと思います。そのせいかなぁ・・・今回はなんか、"闘う皇后"っていうのを特に強く感じた気がします。武田トートとの対決場面は激しく火花が散っているようで非常に面白かったですね。
その反面、ナイーブになりがちな後半のエリザベートの芝居もとても印象的でした。コルフ島で父親の霊と語るシーンやルドルフを亡くして生気を失うシーン、そしてフランツとの最後の語らい・・・どれも胸にジーンと迫るものがありましたが、一番心に残ってるのが精神病院のシーン。エリザベートだと思い込んでいる患者が暴れ出した時、涼風エリザは必死に彼女と対話しようと向き合ってるんですよね。今まであまり気付かなかったけど、その時の彼女の表情はなんというか・・・ハッとさせられるものがありました。"闘う皇后"が見せた本音の部分みたいなものが垣間見えて感動的でした。
トート@武田真治さん
今期3度目(通算すると5-6回目?)の武田トートだったんですが、今まで私が観た中でいい意味で少し粗っぽさが抜けているような、バランスが取れてきたような感じになってました。歌の強弱をつけるところも闇雲に怒鳴るようなところが少しなくなってきたかも。心なしか音程も安定してきたようだし・・・そういった意味では一番良い武田トートを見れたかもしれません。
ほんっとに相変わらず個性的で面白い芝居をしますよねぇ、武田さん。観ていてホント飽きません。彼があんな色気の出せる役者だとはトート見るまでは思いもしませんでしたから(笑)。艶っぽく、かつ、常に攻撃的で・・・それでいてたまに可愛く見えたり、非常に魅力的。「愛と死の輪舞」でシシィの命を取りに行こうとした時にハッと恋に落ちてしまう瞬間の芝居が私はものすごく好きです!!あそこから私も武田トートに持っていかれたみたいな(笑)。その後もたびたびエリザから拒絶されるわけですが、その瞬間瞬間の武田トートの表情が挑発的だったり切なげだったりで本当にコロコロ変わる。私的にはそれが観ていておもしろくて仕方ないわけです(笑)。
それから、もう一つの見どころが「悪夢」でのフランツとの対決。ここは本当にゾクゾクさせられっぱなしでした。あれはなんと言いますか・・・言葉にできないくらいの高揚感ですよ、ホント(笑)。特に禅さんとの対決だとさらにスゴイです。いいもの見させてもらいました。
フランツ・ヨーゼフ@石川禅さん
綜馬さんのフランツも好きだったんですけど、やはり禅さんのフランツのほうが私の感性に合うような気がします。なんというか・・・私好みの、心に響くとってもあったかい演技をされるんですよね。禅さんのフランツのエリザベートに対する愛情は本当に心の芯がジンワリ温かくなるような深い深いものなんだというのが痛いほど伝わってきます。
前回も思ったんですけど・・・若きフランツの時の禅さんはほんっとにきれいな顔をしてる。失礼ながらも「禅さんってこんなにきれいな顔立ちだったけ」とか思ってしまう(笑)。それでいて目がとても優しいからついつい惹き込まれてしまいます。シシィとの婚約時に贈り物を送った時の優しく穏やかな顔が特に印象的です。あの笑顔の中には今後シシィが束縛されてしまうことへの申し訳なさみたいな複雑な心境も見え隠れしているわけで非常に切ない(涙)。
そして泣けると言えば2幕の「夜のポート」から「悪夢」に行くまでですよ。今回舞台近くの席でありながらもオペラグラスで「夜のポート」の時の禅さんをピンで追ってたら・・・途中でエリザベートとすれ違うシーンの時にフランツは彼女を抱きとめようとしているんですよね。それを交わされてしまって、それはそれはものすごっっく哀しそうな顔してるわけですよ。私はそこで涙腺が壊れました(涙)。あれは泣けます!あんなに深く愛しているのに何で!?と思わずにはいられない。
そして「悪夢」で武田トートの持ったナイフを必死に奪おうと格闘する姿・・・。武田トートの勝ち誇ったような笑いと対照的な禅フランツの何とも言えない哀しい必死の形相のコントラストがものすごく印象的でした。あの、ナイフを取りに行く時の「やめろぉぉ!」っていう絶叫は何度見ても泣けます。
そんな優しい禅フランツがもうひとつ見せるのがルドルフに対する厳しい顔。ルドルフと対峙している時の禅フランツは本当にあの優しさが嘘のように怖くて厳しい。そしてゾフィーに対する決別の言葉を述べる時も毅然とした態度を取ってます。こうしたメリハリの効いた芝居が本当にうまい人だなぁと改めて感動させられました。
ルキーニ@高嶋政宏さん
高嶋さんのルキーニは・・・正直、ちょっと見るのに疲れてきました(苦笑)。あのくどい歌い方も最初数回聞く分には面白くていいと思うのですが、やはり回数を重ねて見てしまうと飽きます(爆)。なんでルキーニだけソロキャストでずっとやってるんだろうか?そろそろ違う人で…もう少し正統派なルキーニが観てみたいです。そう感じてしまうのはやっぱり昨年来日したウイーンエリザのコンサートでブルーノさんのルキーニを見ているせいかもしれないなぁ。
ルドルフ@伊礼彼方くん
綺麗な顔立ちなのでルドルフの姿が本当によく似合いますね。ちょっとダンスが重々しく見えてしまったんですけど、ルドルフの繊細さがよく表れていてよかったと思います。カッコいいと思うのがハンガリー国王に祭り上げられた時馬車に乗って手を振った後にヒラリと飛び降りるところ。あそこはとてもスマートな感じですごくいい!
伊礼くんのルドルフは常に何かに怯えているような感じですよね。背を向けた民衆に「なぁ・・・」と思わず声をかけてしまうところにそれが現れていると思います。トートのことも信頼しているように見えて実はどこかで怯えていて・・・マイヤーリンクのときのうろたえ方がなんだか観ていて気の毒になってしまう。
印象的なのはやっぱりトートのキスを受けた後自害するシーン。怯えから解き放たれて撃つ前に自分の運命を受け止めたような「間」があるんですよ。前回もそこに注目しましたが今回もすごく良かった。
ゾフィー@寿ひずるさん
実は1幕目を見た時はあまりキャスト確認をしていなかったのでゾフィーが寿さんではなくて初風さんだと思い込んでしまってて…(爆)、「あれ、今日はすごく声が出ていい感じじゃないか」と思ってしまってました・・・。ごめんなさい、寿さん!
少しお芝居がやわらかくなった感じですね。ゾフィーの威厳の他にもハプスブルクを守る抜かなければならないという切ない使命感も見えてとてもよかったと思います。
そして、今回の観劇でもう一人注目してしまったのが革命家のエルマー・・・じゃなくて、谷口浩久さん演じるシュテファンのほう。前々から感じていたんですが・・・近くで改めてよく見てみると・・・やっぱり見えてしまう・・・愛之助さんに。髪型と目もとが特に似て見えちゃうんですよ。そう思いだしたらもうどうにも止まらなくなって、革命シーンは谷口シュテファンにオペラグラス向けまくり(笑)。カーテンコールまでマジマジと見つめてしまった(爆)。これは全くの個人的主観なんですけど・・・偶然遭遇したネット友様も同意してくださいました(笑)。
そんなわけで、何粒も美味しい「エリザベート」観劇マイ楽でした。