ミュージカル『エリザベート』2010.10.12マチネ

図らずも、先週と同じくソンダンの翌日の『エリザベート』観劇になってしまった(苦笑)。
この日は城田優くんのトート瀬奈じゅんさんのエリザベートですが、この組み合わせは初めて。というか、二人ともこれがマイ楽となります。城田君は結局2回しか観れなかったなぁ。ちょっと残念。

それにしても、いつの間にか大人気となっていたしろたんトート!私がチケットを購入した時にはまだ少し余裕があってA席最前列も無事に確保できたんですけど(←帝劇はいつもこの席狙い 苦笑)、気がついたときには城田くんの回だけが完売状態になっていて朝から始まる当日券の抽選もものすごい倍率になっているらしい!!こりゃビックリだ!

先月私が彼のトートを観た時は"ちょっとつまらないトートかも…"とか思ってしまったので正直ここまで人気が出てることがあまりよく分からなかったんですよね。たしかにネームバリューあるし舞台栄えする体格と顔立ちだし何より人気者だし…でもそれ以上の何があるのかなと。

しかしながら、今回2回目の城田トートを観劇しまして…その人気の理由が腑に落ちました。先月よりもずっとよかった!これは人が集まるのも理解できる。ギリギリの時期だったかもしれないけど希望どおりの座席のチケットが確保できて本当によかった(汗)。

そんなこんなでロビーは先週以上に大混雑!30分前に行ったにもかかわらずロビーの椅子は既に埋まっていてお昼は座席で摂ることに(苦笑)。補助席もほぼ満席。たまたま私の前は空いていましたが…確保したものの観に来れなくなったのかなと思いました。当日券の抽選が熾烈な争いになっていると聞いているので(汗)。

主なキャスト
エリザベート:瀬奈じゅん、トート:城田優、フランツ:石川禅、ルキーニ:髙嶋政宏、ルドルフ:浦井健治、ゾフィー:寿ひずる、マックス:村井国夫、ルドヴィカ:春風ひとみ、マダム・ヴォルフ:伊東弘美、エルマー:岸祐二 ほか

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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城田トートがかなり好調だったこともあってか全体的にとてもまとまりのあるいい舞台だったと思います。ただ観劇疲れがちょっとピークに来始めているせいか(爆)シシィのみのシーンとかは若干記憶が遠くに行きかかることも…。アグレッシブで面白いシーンとそう感じられず気分が乗らないシーンとなんか落差があったかもしれないなぁ。

シシィ初登場でマックス@パパとのやりとりですが、瀬奈シシィがちょっと大人しく感じられあまりお転婆っぽくないのでなんとなくつまらない。ここは歌唱力にはちょっと不安はありますが芝居的には朝海さんのほうが好みです。それから、詩を書くシーンもちょっと記憶が飛びかけた…(爆)。不協和音の音楽がなんだか心地よくなってきて…。お芝居的にもあまり魅力が感じられなかったし…(毒)。

そういえば、ゾフィと侯爵たちのたくらみシーン。あそこで治田@グリュンネ伯爵が「彼女はきれい」と歌う場面があるんですけど、そこで治田さん、ゾフィの肩を組んでしまって「ハッ」みたいな小芝居がいつの間にかなくなっていますね。やはりさすがに皇太后に気安く肩を組む行為はNGだと思い始めたんでしょうか(笑)。今のリアクションになったのはつい最近からだと思うのですが、どういう心境の変化かちょっと聞いてみたい気がする。

マダム・ヴォルフのコレクションシーンでは阿部さんの弾けっぷりが面白いです。娼婦の脱ぎ捨てた衣装をまきつけながら最後の最後まで未練タラタラで去って行きますから(笑)。

ハンガリーの革命家達も日に日に熱くなっていて見応えがあります。カフェでこちょこょ相談事をしている時に「今日のメニューは?」と一般人が話しかけてきて慌てて紙を隠す谷口@シュテファンが好きです(笑)。それから岸@エルマーも「そう熱くなるな」と言われるのが分かるくらい熱血度が増しています(笑)。

♪ミルク♪のシーンは隠れキャラで浦井くん(ルドルフ役)が入っているんですが、トークショーでも鑑賞中でも体が動いていたというだけあってかなり張り切って踊っています。それにしてもあんなに目深に帽子をかぶってよく激しく動けるなぁと感心してしまった。ルドルフ役もあるのでキャラが分からないようにちょっと顔が観づらい扮装になってるんですけど、それにしてもかなり深かった気が…(笑)。

それからもうひとつ好きなシーンが精神病院の場面です。河合篤子さんの演じる精神病患者でエリザベート皇后だと思い込んでる女性がとても魅力的です。シシィを前に暴れだす場面はすごい迫力!主役よりも彼女のほうに目が行ってしまう。最後にボロボロの傘を開いて他の患者の前で歩く姿はとても神々しく見えます。

そういえば、この日はハプニングもありましたな。バートイシュルのお見合いシーンでマイクの音量調節がうまく行かないというトラブルが。特に寿@ゾフィのマイクは最初から最後まで全く入らない状況でちょっと手に汗を握ってしまった…。

しかしながら寿さんは何事もなかったかのように威厳たっぷりな存在感で地声でもしっかりその声が客席中に届いておりました。2階席後方までしっかりと聞こえたということですからすごいですよね。そんなわけでカーテンコールでは寿さんにはいつも以上に大きな拍手を送りました。

カーテンコールでのみんなの笑顔はいいですねぇ。特にさっきまで大熱演してた禅さんが柔和な笑顔でノリノリになっているのが可愛い(笑)。あのテンションの切り替え方はすごいよ。
かなり満足した舞台だったので私は今回最後にスタンディングしましたが、その時に瀬奈さんと城田くんがペアで出てきてダブルで投げキッスしてくれました(笑)。お茶目な優くんに萌えた!

以下、印象的なキャストの感想を少しだけ。

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トート@城田優くん

2度目の城田トートだったわけですが、先月よりも確実に進化しています!冒頭上から登場してきた時からなんだかすごい青白いオーラを放っていてビックリしました。まさに「死」が天から降りてきた感じ。それに歌い方が実に妖艶で魅力的です。城田くんってクラシック的ではなくどちらかというとポップス系の歌い方なんですが、彼なりに研究した色っぽさをそこにアレンジしているので聞いてるほうはなんだかゾクゾクしてきてしまうんですよ。

さらに動きも言動も決して派手ではないのですが、確実にそこに「死」の匂いがある。シシィの後ろにいつもボンヤリと…それでいて確実に付きまとっている。表情はあまり動くほうではないのですが、城田君の場合は逆にそれがすごくいい効果を出してているなぁと思いました。

変わったなぁと思ったのは1幕でのトートの仕草かな。ゾクっときたのが♪最後のダンス♪での口元に手をやってなにやら考えるポーズみたいな感じで出てきたところ。さらには歌い始める時は扉のところに気だるそうに寄りかかっている。一見すると"静"な雰囲気で派手さはないんですが、城田君が演じているとなぜかドキリとしてしまう。そのあともちょっとした仕草や動きが色々あって、前回淡白かも…と思えたシーンが全て魅力的だと思えるシーンに変わっていました。それを確認できただけでも今回観に行った甲斐があった。

2幕でも態度は相変わらずヒネた気だるさを前面に出しているトートなんですが、感情の高ぶりが一段階上がっています。それだけにさらに面白い!何と言っても、ドクトルの変装からトートの正体を現す芝居が最高にいいです!なんとなく古典的な変身って思うんですけど(笑)あの腰の曲がったジィさんキャラからバサっとマントを脱ぎ捨て立派な体格の迫力ある城田トートが出てくるといった演技プランは私はとてもいいと思う。それから、ルドルフの革命の時のダンス!大柄な城田トートが激しく踊るのでここもとても見応えがありますね。激しく踊ったあとにスッと熱が消えて「死」の影を表す芝居も上手い!

面白かったのは瀬奈シシィを抱きしめた時の図…。あれ、私には、お母さんに抱きついてる不良青年に見えちゃった(笑)。でも、静かな中でも確実にシシィへの執着愛が感じられるとても魅力的なトートでした。城田くん、また今後も舞台で見たい役者さんです。素敵な芝居をありがとう。

ルドルフ@浦井健治くん

前回のトークショーを見ていたこともあって、ルドルフの死への受け入れへの過程に注目して見てみました。浦井ルドルフはたぶん、母親のエリザベートに拒絶された瞬間に死を覚悟したんだなと思えましたね。「ママも僕を見捨てるんだね…」のセリフがとっても哀しかった(涙)。

伊礼くんは城田トートに追いかけられたあと催眠術にかかったように震えてましたが(笑)浦井君はちょっと逃げたあと城田トートの手の動きに合わせるようにすぐに彼のほうに向き直り拳銃を受け取りますね。キスシーン、あぁ、今浦井君は城田君のマシュマロの唇を感じているのね…とかちょっと思ってしまった(笑)。

浦井ルドルフのもうひとつの見どころはハンガリー国王に祭り上げられて馬車に乗るシーン。手を振ったあとに馬車から飛び降りる場面があるのですが、ここの飛び降りっぷりが戦隊ヒーローっぽくてなかなか面白いです。

フランツ@石川禅さん

本当に禅さんはいつ観ても期待を裏切りませんねぇ。若き日のフランツから老いていくフランツまで、実にきめ細かいお芝居をしてくれます。
若き日のフランツが書類に目を通して悩んでいる姿は萌えるほど可愛い(笑)。息子を助けてほしいと懇願する母親を切り捨てた後の心が潰れそうになってる表情は観ているこちらの胸も痛みます…。さらには声の出し方も秀逸!若くてお坊ちゃまな皇帝フランツを見事に表現しているしメイクもドンピシャですよ。

1幕で泣けるのはシシィに扉を開けてくれと懇願するシーン。ここは今回の公演でますます深みを増しているような気がします。もう一緒になってあの扉を叩いて「シシィ、出てきてやってよ!」と頼んであげたくなるような哀愁がビリビリ伝わってくるのです。しかも背中でそれを語ってる禅さんは本当にすごい。

そして何と言っても2幕の「夜のボート」でしょう!シシィとすれ違った瞬間の禅さんのフランツは本当に泣けます(涙)。あの空を切ってる手が…フランツの掴み損ねた愛情と重なっていて辛くて辛くて涙が溢れますよ。さらには最後の「愛している」のセリフ…。もう泣きながらの告白でしたよ、今日…。消え入りそうな声で…あれは本当に泣きますね(涙)。

その流れから「悪夢」。城田トートの指揮は禅さんにはちょっと難しい床の前トークで語ってましたけど…なるほど、たしかに"クイッ"て感じで首締められますね(笑)。気が狂ったようにトートに立ち向かっていく禅@フランツは涙無しには見れません!この熱演もあと1回でおしまいかぁ。次回はもっと心して見よう。

瀬奈じゅんさんのエリザベートですが…正直あまり魅力を感じることができなかったのがとても残念です。なんか色がないんですよね…。お芝居にもそんなに惹かれるところもなかったし。ただ、ルドルフの死のシーンでの嘆きっぷりはとてもよかったです。禅@フランツに支えられているシシィを初めて観た気がします。印象に残ったのはそのくらいかなぁ。

今年のエリザベート観劇も来週の1回を残すのみ。次回は奮発してS席を確保しているので石丸トートを堪能してこようと思います。

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