劇団四季ミュージカル『ゴースト&レディ』東京公演感想 2024年6月7日マチネ

劇団四季の新作ミュージカル『ゴースト&レディ』を観に四季劇場秋へ行ってきました。

四季のミュージカルを観に行くのは2月に観た自由劇場のJCS以来約4か月ぶり。「バケモノの子」に続く四季の新作ということで事前購入をどうしようか悩んだのですが(「バケモノ~」は個人的にあまり好みに合わなかった 苦笑)、”もしかしたら好きな作品になるかもしれない”という直感を信じ2回分確保しました。

日本はここ最近ようやくオリジナル作品が目立つようになってきましたが、それでもまだ少ない印象があって。なかなか”これだ!”と思えるような好みの作品に出会える機会がないことにモヤモヤする日が続いていました(「この世界の片隅に」は数少ないクオリティの高い作品だった)。
韓国は手厚い支援もありミュージカル文化がだいぶ進んでいて、日本にもどんどん韓国産の作品が入ってきている。そういう現状を見ていると、本当にすごく羨ましい。それゆえ、劇団四季がオリジナル作品の発信にこれまで以上に力を入れ始めたことはとても素晴らしいことだと思っていて。集客が上手くいかないことも出てくるかもしれないけれど、資金的な体力があるうちは今後も挑戦を続けていってほしいです。

物販コーナーは思っていたよりも行列が少なく、割かしすぐ購入することができました。開幕してから1か月近くが経過してたこともあり、一通り皆さん手に入れられたということだったのかな。今回もラインナップがかなり豪華。けっこう色々目移りします(笑)。

私は、いつものようにパンフとクリアファイル(2種類)、それから東京公演限定キーホルダーシークレット巾着を選択。巾着は袋を開けないとどのキャラか分からない仕様になっています(帰宅後開封したら、アレックスだった。なかなかデザインが素敵)。

2階席のロビーには原作者の藤田和日郎さんによるオリジナルアート作品や、講談社から寄贈された原作の巨大パネルも展示してありとても華やかでした。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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2024年6月7日マチネ公演 in 四季劇場・秋(東京・浜松町)

主なキャスト

  • フロー(フローレンス・ナイチンゲール):真瀬はるか
  • グレイ:金本泰潤
  • ジョン・ホール軍医長官:野中万寿夫
  • デオン・ド・ボーモン:宮田愛
  • アレックス・モートン:寺元健一郎
  • エイミー:木村奏絵
  • ウィリアム・ラッセル:長尾哲平
  • ボブ:菱山亮祐

【男性アンサンブル】

味方隆司ハーバート戦時大臣)、安田楓汰フィッツジェラルド)、澁谷智也フローの父)、塚田拓也メンジーズ)、計倉亘、権頭雄太朗、渡部斗希也、緑川諒人、田邊祐真

【女性アンサンブル】

鳥原ゆきみ(フローの母/ヴィクトリア女王)、持田紗希(フローの姉 )、原田真理(レディエリザベス)町真理子(シャーロット)潮﨑亜耶、村田繭菜、清水智紗子、馬場杏奈、織田なつ美

アンサンブルさんもかなり豪華なメンツ。役名付きの方も数名いらっしゃって出番も多い印象でした。やはり劇団四季は層が厚い。

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概要とあらすじ

原作は、藤田和日郎さんによる漫画『黒博物館 ゴーストアンドレディ』(モーニングにて2014年~15年まで連載)。藤田さんの原作モノは他に「うしおととら」も有名です。

原作漫画の評価を見てみるとどれも軒並み高いです。初回観劇後に電子書籍で購入しましたが、とても面白く一気読みしました。

初演:日本(2024年5月6日~11月11日・四季劇場 秋)劇団四季制作
脚本・歌詞:高橋知伽江
作曲・編曲:富貴晴美
演出:スコット・シュワルツ

演出のスコットさんは『ノートルダムの鐘』に携われています。四季とのお仕事は今回が2度目とのこと。

スタッフの中には振付補助として加藤久美子さんが入られていました。カトクミさんは特にダンスが素敵な方なのですが、最近裏方で尽力されることが増えましたね。

音楽担当の富貴晴美さんは映像でのお仕事が多い方ですが(NHK朝ドラ「マッサン」や大河「西郷どん」など)、舞台音楽にもいくつも関わられています。四季の『バケモノの子』の音楽も富貴さんでした。

あらすじ

時は19世紀。舞台はイギリス。
ドルーリー・レーン劇場に現れたのは、有名なシアターゴースト グレイ。芝居をこよなく愛し、裏切りにあって命を落とした元決闘代理人。

そんなグレイのもとを一人の令嬢が訪ね、殺してほしいと懇願する。それは看護の道に強い使命感を抱くも、家族による職業への蔑みと反対にあって生きる意味を見失いかけていたフロー。最初は拒んだグレイだが、絶望の底まで落ちたら殺すという条件で彼女の願いを引き受ける。

死を覚悟したことでフローは信念をつらぬく決意をし、グレイとともにクリミアの野戦病院へ赴くことに。次第に絆を感じ始める2人だったが、そこで待っていたのは劣悪極まる環境と病院改革に奔走するフローを亡き者にしようと企む軍医の存在。さらにその傍らにはグレイと同じ、あるゴーストの姿が…。

<公式HPより引用>

上演時間

全2幕モノで上演時間は休憩を含んで約170分(2時間50分)。四季はカテコが長いことが多いので楽週以外だったら+10分くらい余分に見ておくのがベストかもしれません。

内訳は、1幕80分(1時間20分)休憩20分2幕70分(1時間10分)となります。カーテンコールの時間は除きます。

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全体・キャスト感想

今回のチケットは会員先行で確保したものでしたが、けっこうなサイド席。端っこになると背の小さい私は前に自分よりも高い人がくると真ん中ゾーンがアウトになってしまいまして(苦笑)。これはもう宿命だと諦めの境地ではあるのですが…、それでも意外と見づらいと感じるシーンは少なかったのでよかったです。
ちなみに、前方席ゾーン(中央列より前)のサイド2-3席は見切れが大きいようで空席扱いとなっていました。

今回は事前にネットでいくつも情報は流れてきましたがそれらを見ないまま、さらには原作の内容も知らないまま真っ新な気持ちで劇場へ。とはいえ、全く何も知らない状態では話についていけなくなる可能性も無きにしも非ずだったため(汗)、前日と開演直前に購入したパンフレットでさら~~っと全体の流れ的な部分は緩く頭に入れましたw。

ただ、一つだけ事前に入れてた情報がありまして。それが、かなり大きな音が鳴ってから物語が始まるという事。初日明けた後にこのことがけっこうSNSで話題になっていたからか、四季側もすぐに注意喚起を劇場ロビーに出したようです。

始まる前から「どんだけ大きい音なんだろうか」とビクビクしながら座っていましたがww、めちゃめちゃ構えまくっていたせいもあってか、個人的にはそんなにビビるほどじゃないなといった感覚で済みました(笑)。たしかに何も知らなかったらビクッとするかもしれないけど、今まで他の演劇であれより大きな音で始まる作品もあったし…大騒ぎするほどではないかなというのが正直な感想(あくまでも個人の意見なので悪しからず)。
それにしても、”喫煙シーン”についてまでこんなふうに記載しなければいけない時代になるとはねぇ…。ちょっと神経質になりすぎなのではと思わなくはなかった。世知辛い世の中になったものです。

さて内容についてですが、ほとんど何の知識も入れずに見てもすごく分かりやすいミュージカル作品だったしストーリーもなかなか面白かった。

富貴さんの音楽は全体的に物語をドラマチックに盛り上げているものが多く素晴らしかったです。一度聞いて耳に残るようなスタンダードナンバー的なものはなかったけれど、感情を揺さぶるような曲もたくさんあって楽しめました。
ただ、途中いくつかのシーンは「長いな」と思ってしまうものも…。今回は割愛しますが、特に2カ所、もう少し短くまとめてほしかったと思うところはありました。語りたい要素が詰まっているのは分かるんだけど、見ていて「早く物語を先に進めてほしい」と感じてしまったシーンもいくつかあったのは残念でした。

一番素晴らしいと思ったのはスコットさんによる緻密な演出。それぞれのシーンの“魅せ方”が本当にすごい。どのシーンも臨場感いっぱいだしファンタジー的なマジック要素も織り交ぜてあって、時を忘れ自然と「ゴーストアンドレディ」の世界観に惹きこまれていく感覚が非常に心地よかった。

冒頭の劇場シーンでグレイが客席に語り掛けるくだりなんかはホント上手いなと思います。あの瞬間に客席が一気に彼の話術に惹きこまれていくし、「掴みはOK」といった雰囲気になる。最初はとても臨場感のある上演中の劇場だったのがフローが登場する直前から一気に流れが変わり、場面がじわじわと次のシーンへと変化していく光景も見事で、ものすごくワクワクしました。
個人的には、フローとグレイが馬車に乗ってフローの自宅に向かうシーンの演出が特に印象深かったです。劇場の椅子をあんなふうに変化させるとは!あの発想はすごいと思う。

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1幕はフローがクリミア戦争の負傷兵看護に奮闘する姿が主に描かれていて、グレイはどちらかというと”傍観者”的立場で留まっていた印象が強かったかな。1幕のクライマックスからラストに向かう段階でようやく二人の関係が見えてくる感じ。

私はこの日まで原作を読んだことが全くなかったので、グレイのキャラクターについてはPRポスターの影の存在からしか膨らますことができていませんでした。で、最初に抱いたイメージというのが…「オペラ座の怪人」のファントム的なちょっとシリアスで哀しいキャラだったんですよね(汗)。
ところが、蓋を開けてみると…グレイはかなり陽気な、今風で言えば「陽キャ」的側面が強くまずそれにビックリしました(笑)。世の中をものすごく斜に構えて捻くれてるのによく喋る(笑)。このあたりが観る前まで描いていたイメージとだいぶ違っていたので、少し戸惑う部分はありました。やっぱりもう少し事前に予習しておくべきだったかなぁともw。

でも、グレイのキャラクターは個人的にはかなり好み。フローが絶望して死を望むことを心待ちにしていながらも、彼女が看護師として奮闘し傷つきながらも挫けずにひたすら前を向こうとする姿にいつの間にか心を掴まれてしまうっていうね。こういう設定、ものすごく好きなんですよ(笑)。
それだけに、1幕で二人の心が接近する兆し的なシーンをあと1つ2つ増やしてほしかったなぁというのはありました。病床でのダンスシーンの時に目が合って「あっ…」的なのはありましたが、病院シーンになってからはフローとグレイの接触する時間が少し物足りないと思ってしまったんですよね。

グレイがフローにランプを渡す場面はこの作品の中でも大きな「肝」になっていると思うのですが、そこに至るまでの二人のシーンにもう少し厚みがあればなぁと感じてしまって(苦笑)。1幕ラストで二人がお互いを想い合ってることが表面化しかなり壮大なナンバーを歌い盛り上がるのですが、私はどうしても「前のシーンであと一押しがあれば」という意識から抜け切れずどっぷり感動に浸ることができませんでした。
私個人の感覚が”二人の恋愛をもっと”と欲してしまったことがよくなかったんだろうなぁ。好きな設定だからこそ、求めてしまった…みたいな(苦笑)。これはたぶん、作品云々の問題ではなく、私個人の思い込みがダメだったのだと思います。

少し違和感があったのがフローの元恋人として登場するアレックス。彼は原作には出てこないキャラクターだそうですが、今回ミュージカルの中でオリキャラとして登場した意味が今ひとつ伝わってこなかったんですよね。
フローに最初は熱烈に求婚(サムシング・フォー)するものの、グレイの見えない横槍が入り結局そのまま彼女への気持ちはフェードアウト状態。暫く出てこないまま時が過ぎ、再登場したときはフローの看護仕事の役に立つ人物になっていて特に波風立てることも無し。最後は「いつの間に!?」ということになり拍子抜けするような感じで終了。

アレックスは報われない枠の”第2の男”なのかと最初見てしまった為ww、あえてこのキャラをオリジナルとして出す必要があったのかどうか考えてしまった。まぁ、あまり活躍させると原作の世界から逸脱する危険があるからかもしれないのですが、フローとグレイの関係にもう少し絡んだら(邪魔するっていうのじゃなくても)面白くなったのになとは思いました。

もう一人のオリジナルキャラの新米看護師エイミーは個人的には作品の中で活きてたなと感じました。フローの並外れた看護への情熱と真っ直ぐさに圧倒されすぎて心が折れそうになるくだりはものすごく人間的だし、見てて「気持ちわかる」と共感することも多かったです。でも退場の仕方が「あ、そっちいくのね」とちょっと拍子抜け感はあったかも(汗)。

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ストーリーは、2幕に入ってからの方が物語が激しく動いていく感覚があって楽しめました。特に悪役であるホール長官と彼に憑りついてるデオンの暗躍っぷりが面白い。ちなみに、ジョン・ホールはクリミア戦争当時に実在した人物のようで、本当にナイチンゲールのことを良く思っていなかったらしいですね。デオンもモデルになった人物がいたとのこと。

本当の絶望がどんなものかとグレイがフローに自らの過去を語るシーンはドラマチックで印象深かったです。2幕中盤までグレイの生い立ちや命を失った経緯について語られてこなかったので、彼自身が背負っていた哀しい運命が浮き彫りにされたように感じられて切なくなりました。
何度も過酷な裏切りに直面し、人に絶望してしまったグレイ。そんな彼にとって、信じた道をひたすら真っ直ぐ情熱的に突き進む強さと他人へ無償の愛を与えるフローの存在は救いになったんだろうなと思いました。グレイの過去を知ったフローが彼に告げる言葉もグッとくるんですよね。

ホールはフローへ集中する賞賛への嫉妬や妬みが募りに募り、ついにデオンに彼女を消す任務を与える。グレイはフローを守るためにデオンとの死闘に応じる。このあたりの展開が少年漫画っぽくて面白いし舞台映えします。
ただ、フライングでの殺陣は少し流れを止めてるような気がしてあまり好きではなかったかも(汗)。演じる役者さんはめちゃめちゃ大変だと思いますよ、あれは。色んなところに神経使わなきゃいけないし…動きもどうしてもスローになる。だったらやはり、地上で(もしくは高い台の上とか)激しくやり合ってくれたらもっと良かったのにと個人的には思いました。

デオンと剣を交えるなかでグレイが「そうか、俺はフローのことをこれまで守っていたのか」と自覚する場面はとても好き。それまでは「絶望して俺が●すまでは死なせない」っていう理念だったけれど、いつの間にかフローに想いを寄せる自分がいて彼女を守るために戦うゴーストになっていたことに気づくんですよね。あのシーンはめっちゃキュンときましたw。

キュンとするシーンは後半に行けば行くほど増加。ようやく私の望んでいた展開が盛られてきたぞとテンションアップ(笑)。グレイがフローを救うために自分の「気」を与える場面とか本当にロマンチックで食い入るように見てしまったw。その後の二人の反応がまた可愛らしかったんですけどねww。

一方、2幕の強敵だったデオンとホール長官ですが・・・デオンはかなりドラマチックに退場しますがホールさんは少し哀れといいますか…(苦笑)。めっちゃラスボス感あったにしては、最後あれだけ?となったのは私だけかもしれないですが…ちょっと残念でした。まぁ、実在していた人物なので退場の仕方に限界があったのかもしれませんけどね。

2幕クライマックスからラストにかけては舞台ならではの心揺さぶるストーリーや演出が素晴らしかったです。「そこが終着点ではないのか」という哀しくも美しいラストシーンも印象深い。けっこう周りからもすすり泣く声が聞こえてきたほどです。
私も最後は「うわぁ…」と心が震えたのですが、その到達点までに感じたいくつかの小さな違和感を拭うことができず…。タオルを用意して見ていたものの一度も涙することなく終わってしまった。

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主なキャスト感想

今回驚いたのが『ノートルダムの鐘』で観た方が多数キャスティングされていたことでした。それ故、所々のシーンで…ダメだと分かっているのにどうしても『ノートルダム~』が過っちゃって(汗)。

グレイとデオンの闘いのシーンは「カジモドとエスメラルダがバチバチに戦ってる」とかw、ジョン・ホールとデオンのシーンでは「フロローとエスメラルダがタッグを組んでる!」とかww。あと寺元くんのアレックス見ると「カジモド、またフラれちゃったのか」と関係ないところで気の毒になっちゃったり(笑)、塚田くんのメンジーズは「めっちゃ融通の利かないフレデリックだな」という目で見ちゃったり(笑)。

あと…、「フロー」と「フロロー」の名前が似てるが故に混乱しそうになったのはここだけの話w。

真瀬はるかさん
最初は少しオドオドした弱さも垣間見せながらも看護に対する情熱は一貫していてとても魅力的でした。後半に行くにしたがってどんどん精神的な強さを身につけていくフローですが、その中にもホワッとした愛情深い柔らかさがあって。グレイがいつの間にか心を奪われてしまうのも納得の説得力がありました。
クライマックスからラストシーンに至るまでの激しい感情表現は圧巻!!最後の激情は見ているこちらも胸が苦しくなったし、光の奥に映る立ち姿も非常に美しかったです。

金本泰潤くん
これまで何度か金本くんの舞台を見ていますが、今回ほど魅了されたのは初めてだったかもしれません。予想していた以上に心鷲掴みにされました。彼の演じるグレイが魅力的だったからこそ、もっとフローとの恋愛シーンが欲しいと思ってしまったのかもしれないw。セリフ回しも非常に滑らかだし、歌も本当に巧いし、何より観客の心を掴むのが本当に巧かったと思います(少なくとも私は完全に持ってかれた)。
どちらかというとヤンチャで拗ねた感じが少年のように見える瞬間もあって、口では辛辣なことを言ってるのにどこか可愛らしい。「絶対彼女のことなんか好きになんないぞ」的な空気を漂わせながらも、その想いと裏腹にドキッとしてしまう仕草とかもあってホント萌え要素満載(笑)。ツンからデレへの移行の芝居がとても自然だったし、どれもこれも私好みで最高でした。

野中万寿夫さん
ここ最近敵役での野中さんを見ることが増えてきたのですが、今回のジョン・ホール役もすごいラスボス感出まくってて迫力ありました。『ノートルダム~』の時のフロローは人間の弱さゆえの過ちといったキャラクターでしたが、今回は本当に自己の”欲”が強烈で「悪」の色がとても濃かった。
後半、フローを追い詰めるシーンはフロローの時とは違ったおぞましさがあって見ていて背筋が寒くなるレベル。まさに悪の総裁といった感じでこの作品の強烈なスパイスとなっていたと思います。それだけに、あの退場の仕方が展開的にちょっと残念だった。野中さんがめっちゃ熱演してただけになおさら…。

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宮田愛さん
『ノートルダム~』では女性らしさを残しながらもカッコいいエスメラルダを演じていた宮田さんですが、今回のデオンは”悪の魅力”増し増しで登場するだけでもゾクゾクしました。それに何といっても、あのスタイルの良さ!!!あんな細い体のどこからキレッキレなアクションをする体力が出てくるのだろうかと思ってしまう。
グレイとの対決シーンでは一つ一つの動きやポーズが惚れ惚れするほど美しい。最後はちょっと彼とのバディ感もあったりして終始カッコよかったです。

寺元健一郎くん
今回は原作には登場しないオリジナルキャラのアレックス役ということでしたが、『ノートルダム~』での寺元くんの素晴らしい存在感を見てきただけになんだかちょっと勿体ない役柄だったなぁと思ってしまいました。
前半、フローに熱烈プロポーズするところはかなりの積極性があって面白かったのですが、後半はあまり活躍どころもなく終わってしまって(汗)。多分もう一度見たら印象変わるかもしれないのですが、初回の感想としてはちょっと残念だったかなと。寺元くん自身はとても良い役者さんなのでなおさら。

エイミーを演じた木村奏絵さんは、フローへの幼い憧れから現実に直面しての苦悩までを可憐にリアルに演じられていたと思います。ラッセル役の長尾哲平くんは、舞台上から登場することが多かったのですがとてもよく響く明瞭な歌声が印象深く、物語を動かす担い手になっていました。ボブを演じた菱山亮祐くんは幼さが垣間見えながらも一生懸命フローを守ろうとする姿が可愛らしかった。もう少しセリフ回しが滑らかになればなお良かったけどね。

鳥原ゆきみさんはヴィクトリア女王の歌いっぷりが実に見事で、楽しそうに演じていたのが印象深い。塚田拓也くんは『ノートルダム~』で観てから注目してる役者さんですが、今回髭で半分あの美形が隠れてしまっているのがちょっと残念だったけどw、凛とした声やどこか憎めない忠実さの雰囲気はやっぱり大好きだなと思いました。

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後述

カーテンコールは6回くらいあったかな。四季のカテコはいつ行っても激熱です。最後、真瀬さんと金本くんがめっちゃ可愛らしい小芝居(真瀬さんが両手広げて受け入れようとしてるのに、一旦金本くんスルー・・・かと思いきやバックハグでラブラブみたいなw)してて客席もさらに盛り上がってましたね。皆、あれを見るまでは帰れないぞって感じかしら(気持ちわかるw)。

今回は殆ど予習もしないままの初見だったので、感想がちょっとズレたものになってしまったかもしれませんが、あくまでも個人の見解なので悪しからず。ちなみに、この作品は予習をしなくても十分楽しめるのは確かです。私の思い込みの脳内が小さな違和感を生んでしまった…っていうのが一番の原因かなと(苦笑)。

『ゴースト&レディ』のチケット、実はあと1回分手元にあります。ということで、原作電子コミックを上下巻購入。漫画の線の描き方とかは青年マンガ的なものがあるので好みは分かれるかもしれませんが、ストーリーはとても面白かった。読んでて思ったのは、やはり舞台オリジナルキャラがいないほうがグレイとフローの関係が濃密に感じられるかなってことだったかな。

次回観劇でまた違った感想も出てくるかもしれないので楽しみ。
そういえばこの作品、東京公演は11月での千穐楽がもう決まっていたんですね。知らなかった(汗)。次に見た時に追いチケしたいという気持ちになればいいなと思ってます(手に入るかどうかは別として)。

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