ミュージカル『 イヴ・サンローラン」』兵庫公演 大千穐楽 2019.03.26

ミュージカル『イヴ・サンローラン』を観に兵庫の西宮まで遠征してきました。マチネとソワレ1回ずつでしたが、どちらも千穐楽公演ということで多くのお客さんが来ていました。

このミュージカルの東京公演が楽を迎えたのは約3週間前で、その間ブランク空けての兵庫公演大千穐楽。ほかの地方公演なくしてここまで期間が空いての楽というのは結構珍しいですね。
東京で見た人にはもう過去の作品って捉えられてるかもしれませんが(汗)、私はこれが初観劇となるので”ようやく来たか”とちょっと待ちくたびれた感が強かったw。

中ホール前と劇場入ったところはきれいな楽屋花がたくさん飾られていて華やかでした。この劇場はスペースにけっこう余裕があるので大きな花も置けるのが良いですよね。

主役のイヴ役がWキャストということで、東山君も海宝君も観てみたかったこともありマチソワ観劇になりました。マチネの始まる時間が結構早かったので家を出る時間も早朝にならざるを得ずw、マチソワ乗り切れるかちょっと不安もあったんですがなんとか完走。
ちなみに、イヴの相手役となるピエールもWキャストだったのですが、上原理生くんはレミゼ稽古のため東京の途中で早抜けしたようなので西宮公演では見られずじまい。ちょっと残念。

Wキャスト観劇特典というものもあって、当初は東京公演のみとされていたのですが兵庫公演でもOKということになり、私も頂くことができました。


東山イヴと、海宝イヴのクリアファイル!!裏には他のキャストのコメントとサイン全員分が印刷されているというかなりの豪華版でした。マチソワ観劇できてよかったw。

以下、ネタバレ含んだ感想になります。

 

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2019.03.26 マチネ・ソワレ 大千穐楽公演 in 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール(兵庫・西宮)

主なキャスト

  • イヴ・サンローラン:東山義久(マチネ)・海宝直人(ソワレ)
  • ピエール・ベルジェ:大山真志
  • エルザ・スキャパレッリ:伊東弘美
  • ルル:皆本麻帆
  • クリスチャン・ディオール:川原一馬
  • アンディ・ウォーホル:神田恭兵
  • マルセル・ブサック:奥田努
  • パリの学生他:和田泰右
  • ココ・シャネル:安寿ミラ

メインキャストの皆さんについては後述しますが、特筆しておきたいのはダンサーの皆さんの美しさでした!!男性も女性も、よくぞここまで綺麗処のダンサーさんを揃えたなとビックリするほど美しかった…!!まるで踊るスーパーモデルって感じでしたよ、ほんとに。

特に目を惹いたのが青木謙くんです。最初見た時、外国のモデルさんかと思ってしまった。美しい顔・体のライン・そして艶やかなダンス・・・素晴らしかった!!まさに目の保養!今後注目したいダンサーさんです。

あと、個人的にはダンサーの中に中塚皓平くんがいたのも嬉しかったです。川原一馬くんもキャスティングされていたので『宝塚BOYS』のチームSKYを思い出しちゃった。
ちなみに、東山くんは『宝塚BOYS』のチームSEAでした。

 

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概要

フランスのファッション業界に「モードの帝王」として君臨したイヴ・サンローラン。ファッションに疎すぎる私ですらその名前を知っているほど著名なデザイナーです。


ブランドのロゴマークも誰もが知るところではないでしょうか。

しかし、そんな彼の生い立ちや辿ってきた人生は知らないことの方が多い。サンローランのビジネスパートナーであり、恋人でもあったピエール・ベルジェの回想を通してその人生を追体験していくのがこのミュージカルです。

2014年には映画化もされているようですが、ミュージカル化は今回の日本公演が世界初なのだそうです。(映画のHPはまだ残ってるようです)

昨今では、ブロードウェイやウェストエンドといった大型の海外作品に人気が集まりやすく、なかなか日本国産ミュージカルが出てこない感じになっていますが、そんな中でこうして「日本発」の作品を生み出していくことは舞台の活性化にもつながるしとても画期的なことだなと思います。

演出は荻田浩一さん。この方の創る作品の特徴はドラマチックで壮大な物語ではなく、どこか抽象的で幻想的な…どちらかというとつかみどころのない独特な世界観を表現するものが多い。
それがハマる作品とハマらない作品があるといつも感じてしまうんですが(苦笑)、今回もそんな荻田ワールドがかなり強く出ていたなぁという印象です。つまり、好き嫌いが分かれるだろうな…と(苦笑)。

最初に見た感想は…”悪くはないんだけど、どこか腑に落ちないようなちょっと気持ち悪い感じ”…だったw。そういう意味では、マチソワにしておいてよかったかもしれない。1回観ただけだとストーリー全体が把握しづらいなぁという想いは否めなかったので。
ソワレで隣に座っていたオジサマが一言「なんかよくわかんないなぁ…。きっと2回目に見れば理解できることも多いんだろうけど」って漏らしてて。あぁ、その気持ちめっちゃわかる!!と頷いてしまった(笑)。

日本国産ミュージカルを創るという意気込みはすごく良い事だと思うんですけど、世界に発信するという段階になると、今回の舞台はちょっと不向きかもしれないなぁと…。もう少しドラマチックに見る者の感情を揺さぶるような分かりやすい作品にしないと、なかなか難しいかなと。
演出家の個性というのもあるので今回のものはそれはそれで一つの完成品だと思いますが…、世界を見据えるのであれば違う演出家で構成から練り直していった方がいいかもしれません。

 

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全体感想

舞台美術は比較的簡素で、階段状の白い大きなセットがあるのみ。動くのはピエールとの新居に備え付けられていたと思われる噴水くらい。観音開きみたいに出てくるんですが、なんだかぎこちない動きだったような…(笑)。しかも”作りもの感”がけっこう強くて(汗)、全体的にあまり予算がつかなかったのかなぁと…ちょっと余計な心配をしてしまったw。

テーブルが出てくるシーンもあるのですが、キャストやダンサーさんが一本足のテーブルを自分で持って支えてたりすることが多かった。そこは予算削ったとかじゃなくてあくまでも演出のひとつなんだろうなと思いましたが、豪華なパーティーのシーンとかだとなんだかちょっと寂しかったかも(苦笑)。

あと、イヴとピエールのマラケシュでの新居の場面が出てくるんですが、この時も上から平たい家の形をした簡素なパネルが降りてくるのみw。でもここで大事なのはイヴのかつての生まれ故郷であるアルジェリアの景色を彷彿とさせることなので、美しいブルーの照明で表現されていたのはよかったなと思いました。
どちらかというとセットよりも照明の演出のほうがこの舞台では見応えがあったかもしれない。

音楽はシンセサイザーのみというのも思い切ったなと。シンセサイザーってあんなにも色々な音楽を奏でることができるのかと驚きました。

ただ、曲調はなんだかどこか古臭さも感じてしまって(苦笑)。ときおり「機動戦士ガンダム」に出てくるような「ピュ~~っ」みたいな甲高い機械音が入ってきたりしてちょっと吹きそうになることもww。なんか全体的に一昔前のロボット系アニメの音楽っぽいなと思ったんですよねぇ。
一緒に観劇した友人は「C-C-Bの音楽っぽい」と表現。そう、ほんとにそんな感じだったw。

あと、聞いている感覚がたまに「演歌っぽい」って思うことも…w。曲調は洋風なんだけど、ちょっとネットリとしたくどいような旋律…みたいなのもあったなぁ…みたいな。

今回の舞台はCDも発売予定とのことだったんですが、正直なところ…印象に残るような楽曲はほとんどなくて。ビッグナンバーのような歌もあったんですけど、ストーリー的に盛り上げるとも感じられず…目の前をサラサラと流れていってしまうようなイメージ。BGMとして聞くなら面白くて良いかもしれないけど、買いたいとまでは思わなかった。
でも、カーテンコールの時に流れてたちょっとポップな音楽(本編でも最初の方に出てきたっけ)は2回目に見た時はけっこう頭に残ってww。昭和のアイドルが歌ってたような雰囲気って思ったんだけどw、なぜかちょっとクセになった(笑)。

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ストーリーの構成ですが、このあたりがやはり荻田イズムといいますか…初めて見る人にはちょっと不親切な部分が多かったかなと思いました。
「エリザベート」や「モーツァルト」といった伝記ミュージカルのような、辿ってきた人生を真っ直ぐ追う感じではなくて・・・異空間に存在している有名デザイナーたちがアーダコーダとちゃちゃを入れつつなんとな~くイヴの人生を追っていく印象。

ストーリーテラーも、ピエールのほかにもう一人「ルル」という女の子がいて。どちらかというと「ルル」のほうが積極的にストーリーを回していく役目を持っていましたが、そもそも彼女が何者だったのかというのが最後までよく分からなかった(苦笑)。
自宅に戻って舞台レポートを読み返してみた時に初めて「ルルはイヴが落書きで生み出した架空の少女」ってことが判明したんだよなぁw。たしかに劇中で「ルルは僕が描いた落書きのキャラなんだ」っていうちょっとしたシーンはあったけど、見ていた時は正直「なんのこっちゃ??」だった(汗)。

あと、もう一つ個人的に問題だったのが・・・私がファッションについて本当に無知だったことです。「オートクチュール」とか「プレタポルテ」とか「モード」とか・・・ファッション用語がそこかしこに登場してくる。しかもそれに対する説明がほぼゼロだったので、「僕はプレタポルテを創りたい」というセリフが出てきても、それがどういうものなのか全く浮かんでこなくて「なんのこと??」って感じで実態を掴むことができずじまい(苦笑)。
いや~~、これは、失敗したなぁと思いましたよ。観る前にファッション用語の基礎知識を頭に入れておくべきだった(汗)。

ちなみに、オートクチュールっていうのは”注文生産高級服”のこと。注文した顧客のためだけに仕上げるオーダーメイド方式なので世界に一点しかない超高級服を指しています。
プレタポルテというのは、“高級既製服”のこと。受注生産ものではなく、多くの人が着れるように作られた(オートクチュールよりも安い)高級服のことを指しています。幅広い層に自分の創る服を着てほしいとイヴは思っていたってことなんですね。
モードというのは、最先端のファッションという意味なんだそう。イヴはそれを生み出す才能に長けていたということです。四角い色のついた模様の服は私も目にしたことがあるw。

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イヴとピエールの関係は劇中でもけっこうアツアツには描かれていましたが、今ひとつ感情移入しづらい部分があったんですよね…。人物の内面を追うというよりかは、その時その時に起こった出来事に焦点を置いてそこに人物をはめ込んでく、といった描き方のように思えたので…「ふーん、そんなことがあったんだ」と流して見てしまうこともしばしば(苦笑)。
イヴとピエールの恋愛関係って、もっと深いところで繋がる何かがあったと思うんですよね。だけどそこはあまり掘り下げてない印象があったのは少し拍子抜けするところでもありました。

イヴはクリスチャン・ディオールが逝ってしまったあとにデザイナーとして開花し、恋人のピエールとも良好な関係を築いて絶頂期を迎えようとしていましたが、その最中にフランス軍に召集されて精神を病んでしまいディオールのデザイナーも辞任させられてしまいます。
かなり山あり谷ありな経歴だと思うんですが、そこの描き方もかなり”幻想的”で独特。イヴが崩壊していく様子をドラマとして魅せるという感じではなく、”美”を追求したような詩的世界観の中で魅せるって印象が強かったので・・・「いつの間にかイヴが壊れてた」という風に見えてしまった。

その苦難を乗り越えてイヴは自身のブランド「イヴ・サンローラン」を発表するに至るんですが、その経緯についても流れるように事が進んでいく感じで今ひとつ大きなドラマが感じられなかった。

その後イヴが「プレタポルテ」でのデザインを成功させていく過程については比較的分かりやすくドラマチックに描かれていたのですが、ピエールとの関係の崩壊までの過程はドラマというよりショー的な要素が非常に強かったですね。
イヴに新しい相手ができるんですが、その相手をダンサーの一人である橋田さんが妖しく演じられていて。そこはすごく見応えあったんですけど…ダンスの表現が中心でセリフもなかったので、彼が何者なのかというのが最後のほうになるまでよく分からなかった(苦笑)。

全体的に、ストーリーテラー的存在の人物がたくさん出てきたり、現実の人物なのか過去の人物なのかがはっきりしなかったり・・・なんとも主題が見えにくい作品だったなという印象が強かった(汗)。
悪くはないんだけど、あまりに抽象的で幻想的な”美”にこだわった雰囲気が前面に出ていたので、肝心の物語の核が分かりづらいものになっていたのは個人的に残念に思うところでした。ショーの演出を得意とする荻田さん色が強く出ちゃったってことなのかなと(苦笑)。そういう意味でも好き嫌いが分かれる作品かもしれないと思います。