ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』大阪公演 2019.04.02~03マチネ

2年ぶりに再演されたミュージカル『ロミオ&ジュリエット』を観るため大阪に遠征してきました。

初演から見続けてきたこの演目もすでに4演目。毎回新たなキャストが登場して進化を続けていますが、今年もジュリエット役の葵わかなさんを筆頭になかなかに興味深いメンツが揃いました。

東京公演からSNSで話題になっていた今回の物販。多くの人が買い求めることを踏まえてか、コーナーのスペースも取れていて大きな混乱はなかったようです。購入制限みたいなのもなかった気がするんだけど…それでも大行列ができとりました(笑)。

特に人気が高かったのはやはり「写真」でしょうか。ここ最近、舞台写真がグッズに加わることが増えてきたような気がする。まぁ、ロミジュリはキャストに美男美女揃えてますからね~、そりゃ売れるでしょw。プロマイドと舞台写真と両バージョン出てた。
あ、そういえば・・・「イヴ・サンローラン」の時も両方販売されてたっけ。でも値段はロミジュリの方がかなり強気でしたけど(汗)。

なんだかんだで、写真関連はどうしたって興味惹かれてしまうんですよねぇ。悔しいけどw。
最初はロミオとりょんくんオンリーにしようと思っていたんですが、舞台を見た後に買いたいキャラが増えてしまい・・・結局散財することに。ホ○プロの術中に見事にハマってしまった(苦笑)。

それとは別に嬉しいお知らせも!!ついに、ついに、ロミジュリのDVD化が決まりましたーー!!

大好きな作品なので、映像で残るのが嬉しい。ちなみに、私が観劇した4/2~4/3の公演が撮影日に当たってましたw。

両キャストが均等に観れると選んだ日が偶然にも収録日と重なるとは。しかも大阪公演を撮影日にしていたというのも何だか嬉しいじゃないですか。

以下、ネタバレを含んだ感想です。

 

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2019.04.02~03マチネ公演 in 梅田芸術劇場(大阪)

主なキャスト

4月2日マチネ

  • ロミオ:大野拓朗
  • ジュリエット:木下晴香
  • ベンヴォーリオ:三浦涼介
  • マーキューシオ:黒羽麻璃央
  • ティボルト:・渡辺大輔
  • 死:宮尾俊太郎

4月3日マチネ

  • ロミオ:古川雄大
  • ジュリエット:葵わかな
  • ベンヴォーリオ:木村達成
  • マーキューシオ:平間壮一
  • ティボルト:・廣瀬友祐
  • :大貫勇輔

全日キャスト

  • キャピュレット夫人:春野寿美礼
  • キャピュレット卿:岡幸二郎
  • 乳母:シルビア・グラブ
  • ロレンス神父:岸祐二
  • モンタギュー卿:宮川浩
  • モンタギュー夫人:秋園美緒
  • パリス:姜暢雄
  • ヴェローナ大公:石井一孝

 

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あらすじと概要

原作は云わずと知れたシェイクスピアの『ロミオ&ジュリエット』
ですが、”ロミオの実家であるモンタギュー家とジュリエットの実家であるキャピュレット家が骨肉の争いを繰り広げていたが故に、愛する二人が現世で結ばれることがなかった悲劇”といった骨格部分以外はよく知らないという人も多いのではないでしょうか。

シェイクスピア作品は好きな人じゃないとちょっと取っつきにくい側面があるのでなかなか本を手に取りづらいと思いますが、その門戸を広げる手段として登場したのがミュージカル版『ロミオ&ジュリエット』です。
現に私も『ロミオ~』の全容はほとんど記憶になかったクチでして(汗)ミュージカルを見て初めて「そういう流れだったのか」と納得することが多かったw。

物語の舞台を過去ではなく「近未来的な空間」と設定したことで、古典としてではなく新しい世界観の作品として魅せているのも面白いです。
まぁ、初演を見た時には突然携帯で連絡・・・みたいな演出が入ってきたことに驚いて引いてしまう部分もあったんですが(汗)、4演目にもなるとまぁ…慣れました(笑)。好きな演出…とは言えないですけどねw。

そんな中でこの作品の一番の魅力は、やはり多彩でドラマチックな音楽の数々だと思っています。心が湧き立つようなロックでポップな旋律から、讃美歌のような心現れる壮大なバラードまで…どこをとっても本当に名曲揃い。やっぱりフレンチミュージカル…好き!!

この音楽があってこそ、『ロミオ~』の中で展開されるドラマが多くの人の心に刺さるのではと思っています。ストーリーは惹かれないけど、あの音楽に浸りたいからという理由でこの作品に通う人も多いのではないかと。それくらい力があります。

音楽と共にダンスも忘れちゃいけない!
両家の若者たちによるダンス対決みたいなシーンから始まりますが、これがすごい迫力!あれは若くなきゃ出せないエネルギー。ここの演出は「ウェストサイド物語」を意識してるのかなと思うんですが、それよりもさらに激しいパッションをむき出しにしているのが見どころの一つでもあります。
その他にも随所にカッコいいナンバーに合わせた激しいダンスが展開。最後まで観る者の気持ちを惹きつける演出はさすがだなぁと思います。

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簡単なあらすじは以下の通り。

近未来の街・ヴェローナではモンタギュー家とキャピュレット家が長年にわたって激しく対立し合っている。街の統治者である大公も打つ手がない状態。

モンタギュー家の旗頭であるベンヴォーリオマーキューシオ、キャピュレット家の旗頭であるティボルトは顔を合わせるごとにお互い憎しみの炎を燃やし争いを繰り返していた。

その争いの輪に加わることがなかったのがモンタギュー家の跡取り息子・ロミオ。ロミオは争いを嫌い仲間たちを常に説得しようとする優しい青年だった。
一方のキャピュレット家の一人娘・ジュリエットは家の事情により望まぬ相手・ヴェローナ一ノ金持ちとされるパリス伯爵と無理やり婚約させられそうになっている。ロミオもジュリエットもお互いに「本当に愛する人」との出会いを渇望していた。

ある日、パリスとジュリエットの顔合わせとして催されたキャピュレット家の「仮面舞踏会」に仲間たちとこっそりと忍び込んでいたロミオは、ジュリエットと運命的な出会いを果たす。一目で恋に落ちた二人は、敵対する家同士だと知りながらも互いに愛を確信し想いを深めていく。
そして二人はついに結婚。祝福したのは理解者であるロレンス神父とジュリエットの乳母だけだったが二人は幸福の絶頂にいた。

しかし、その様子を偶然見ていた両家の若者たちが仲間たちに情報を拡散。従姉妹のジュリエットに密かに恋していたティボルトは激しい嫉妬の炎を燃やしロミオへの復讐を企てる。
一方のモンタギュー家もロミオとジュリエットの結婚の事実に激しい憤りをぶつけていた。

その憎しみの渦中に巻き込まれたロミオは思いもよらぬ行動に出てしまい…

ロミオとジュリエットには常に「死」の影が付きまとっています。どんなに喜びにあふれたシーンが展開されていても、ふと気が付くと物陰には「死」の存在がある。「死」をダンサーの肉体で表現しているのもこの作品の特徴の一つでもあります。
エリザベートとは違って、ロミジュリの「死」は一切言葉を発しません。それゆえに、ひたひたと迫りくる感じがけっこうゾクっとくるんですよね。

その無慈悲に迫る「死」と、ロミオとジュリエットがひた向きに信じる「愛」がどのように結びつき終焉を迎えていくのかが、この作品の大きな見どころの一つです。
誰もが知る悲劇のラストの捉え方が違って見えてくる。悲劇なんだけどその先には希望がある、みたいな。二人の「死」は決して無駄にはならないって思えるところがこの作品の魅力ではないかなと思います。

 

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全体感想

初演と再演では鉄骨を組んだだけの固定された巨大セットが印象的でしたが、2年前の3演目からボックス形式の稼働するものに変わりました。
このボックス、三段に重ねられているんですが…揺れるだろうし一番上にいたら相当怖いと思います(汗)。それを全く涼しい顔で縦横無尽に動きまわるキャストさんたちを見ると、ほんとにプロだなぁ~・・・と感心することしきり。

三演目からの変更としてちょっと残念だなと思っているのが、ロミオとジュリエットがお互いに初めて意識して向かい合う場面。ここ、最初は二つの階段が動いていて二人が向き合う時にバチっと重なることで「衝撃の出会い」が分かりやすく演出されてたんですよね。
今は大きめの階段1つでドラマが展開するようになったので、そこはちょっと寂しいかなと思ってしまいます。まぁ、二人が出会う直前にその場にいた大勢の人は舞台袖に捌けていなくなるので十分ドラマチックには描かれてますけど。この演出はちょっと『エリザベート』の最後のダンスシーンと似てる(同じ演出家だからなw)

それにしても、仮面舞踏会に出てくるマスク・・・あの特撮ヒーローに出てくる敵キャラみたいな尖がりまくってるデザインが気になって仕方ないww。最初はあんな奇妙なやつじゃなかったんだけどなぁ。カブトムシのツノみたいになってるから、敵対する両家が鉢合わせした時なんかどこかに刺さりゃしないかとハラハラしてしまう(汗)。

あと、映像を使う演出が増えたかなということかな。前回の記憶がちょっと曖昧なんですが、今回は特に背景に映像風景が映る回数が多いように思えました。両日とも舞台から遠い席で観劇したからなおさらそう見えたのかも。
だいたいは違和感なく「世界感が広がって見えていいな」と思えたんですが、ベンヴォーリオが仲間たちに打った『ロミオを探してほしい』というメールが届くシーンは映像いらなかったんじゃないかと少し違和感。ただでさえ「!?」と思わせる”携帯”を多用しているのにww、あそこで背景に英語の吹き出しで『ロミオはどこだ!?』みたいな文字をマンガチックに見せる必要はなかったのでは。マーキューシオと仲間たちの「どこだどこだ?」のパフォーマンスだけで十分って感じたのは私だけかな(汗)。

”携帯”の描写は久しぶりに見ると改めて多いなと実感。初めて見る人はこの演出に戸惑う人も多いかと思います。夢の世界から現実世界に引き戻されるような感覚になるんですよね、ちょっと。私も見慣れてきたとはいえ、やはり「何かほかに変わる手段はないものか」と未だに思うところもあるしw。
っていうか、携帯…っていうよりも”スマホ”使ってるんだけどね、みんな(笑)。

大事なシーンで”携帯”が出てくるのは未だにちょっと慣れない。
ロミオがジュリエットと愛を確かめ合った後に「携帯の連絡先教えて」と唐突に切り出すシーンとか(ジュリエットは父親から18になるまで携帯持たせてもらえないので断るんだけどw)、ジュリエットが薬で眠っているだけだとロレンス神父がロミオにメール送信するシーンとか(ヴェローナを追放されたロミオは呆然としていたため気づかないうちに携帯をスられていたという設定 汗)。
物語の進行上、大事なアイテムとして”携帯”は多用されている。斬新で面白いとは思うんだけど、近未来が舞台とはいえ、やってる演目は「シェイクスピアの物語」だからな~。その演出を完全に受け入れるまでにはいかない部分はあるんですよね。

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と、ここまでちょっとマイナス的なことばかり挙げてきてしまいましたが(汗)、作品全体としては本当に素晴らしかったし、改めて「ロミジュリ」が好きになりました。
音楽もダンスも最高に魅力的!特に結婚式とラストシーンで歌われる♪エメ♪は感動的で涙が出ました。

ロミオとジュリエットの出会って一瞬で恋に落ちて、そのあとすぐに結婚まで突っ走るスピードは現代では衝撃的過ぎる速さではありますが(レミゼのマリウスとコゼットも真っ青なスピードだし 笑)、あんなにひた向きに情熱を燃やして相手を愛する二人を見ていたら応援したい気持ちになってしまう。たとえ「結婚した後の方が大変なのよ」っていう現実的なことが過ったとしてもww、最後には一人の人を真っ直ぐに愛し抜くことの素晴らしさに感動させられてしまう。

ロミオとジュリエットの恋愛は周囲の人たちに波風を立てることになるけど、両家とも激しい争いに心が疲れていた時期でもあったことから、心のどこかでは二人のことを応援したいという気持ちもうっすらと感じ始めていた人たちもいる。
マーキューシオがティボルトに刺されて瀕死の状態になった時にロミオに向かって「お前は彼女を愛し抜け」と遺言を残すシーンは特に印象的です。表向きにはあんなにも二人の結婚のことを罵っていたのに、心の底では親友が貫いた愛情を応援する気持ちも芽生えていたんだなって思えて泣けました(涙)。その気持ちを打ち明けるのが死の間際だったというのが本当に切ない…。

ロミオとジュリエットがお互いの愛を現世ではなく死後の世界で成就することに至るクライマックス。二人の死を目の当たりにしたキャピュレット夫人は思わず「二人は愛し合っていたのよ!」と泣き叫びます。
争うことに躍起になっていた頃だったらこの言葉はいがみ合う両者には届かなかったと思うけど、敵対関係の家同士でありながらも最後まで愛を貫いたロミオとジュリエットを前にしてようやく皆我に返ることになる。おそらく、マーキューシオと同じようにみんな心のどこかで争うことの無益さに疑問を覚えていたからなのではないかなと。

だからこそ、永遠の眠りについた二人の前で心からの和解を結ぶ両家のシーンは説得力があるし、ものすごく泣けました(涙)。傷つけあう関係よりも、お互いを尊重し受け入れる関係の大切さをかみしめるように抱き合い手を結ぶラストは本当に感動的です。

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原作だと、もともとの争いの種はヴェローナを治めていた皇帝と教皇による激しい対立だったらしいです。モンタギューは皇帝派キャピュレットは教皇派。ミュージカルではその発端部分は描かれてないので「何故ここまで激しく争う関係になったのか」がよく分からないのですが、実は相当根が深いんですよね。
そんな環境の中でお互いに代々相手を憎むことを叩きこまれているわけで…それが悲劇に繋がってしまう。たぶんこの物語の人物たちは根っこの部分まではよく理解してなくて、「憎む」ということだけがプログラミングされてしまった状態ではないかと思います。そう考えると本当にすごい悲劇…。

ジュリエットにひそかに想いを寄せていたティボルトは、もしかしたら一番の被害者だったかもしれないなと…。彼も憎しみを叩きこまれていた一人でしたが、心の中では「本当の自分はこんな人間じゃない」と深い葛藤を繰り返していました。こんな環境の元に生まれなければ、ティボルトはもっと穏やかで優しい青年としてジュリエットと愛を成就できていたのかもしれない。
触ればヤケドしかねない危険な男と見られてきたティボルトでしたが、マーキューシオを刺し殺してしまったあとに心の均衡を失ってしまう場面が印象深い。表向きでは暴力的に振舞っていたけれど、本当の彼は人を傷つけて喜ぶような人物ではなかったのです。

親友を殺されて我を失ったロミオに命を奪われてしまうティボルトのシーンは心が痛みます…。ティボルトの気持ちは救われることなく命を奪われてしまったわけなので…。でももしかしたらあの瞬間、彼はロミオに命を奪われることを望んだのかもしれないなとも。死を以てすべてを終わらせたい気持ちもあったのかな。
どちらにしても、やっぱり切ない終わり方です…ティボルト。この物語の中で一番救われてほしかった人物だった。そう感じたのは4演目で初めてだったかもしれません。

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