ミュージカル『レ・ミゼラブル』(20周年SP)2007.07.12ソワレ

今期2度目にしてマイ楽となる「レミゼ」行って参りました。今回もかなりキャスト厳選しまして・・・調べた結果が偶然20周年SPキャストだったわけです。前回の観劇でちょっとショック受けてしまったのでレミゼ熱がかなり冷えた状態で劇場向いました(苦笑)。テンション的には10のうちの3くらい。あまりのテンション低さにオペラグラス忘れてしまったほどでした(今回は1階A席後方だったし最後の観劇だと思っていたので結局保証金払って借りました…トホホ)。

さて、そんな低~いテンションで臨んだ「レミゼ」でしたが・・・終わった時には“3”だったテンションが“9”くらいにまで上昇してました。本当に久しぶりに感動した!!何時以来だろう、「レミゼ観に行けてよかった」と思えたのは。たぶん、短縮バージョンになってから初めてってくらいじゃなかろうか。熱狂的に通っていた97年~99年(禅さんマリウスデビューの年)までは及ばないものの、それに迫るほど良い舞台だったと思います。これはかなり嬉しい誤算

キャストの組み合わせも私的にほぼドンピシャでした。特にさとしバルジャンと禅マリウス、禅マリウスと島田エポニーヌ・・・これがすごいハマってた気がします。20周年キャストが入るとやっぱり雰囲気変わりますねぇ。ボーボーのテンションで観ていた時代をちょっと思い出してしまいました(笑)。

また、この日は劇場で思いがけず多くのミク友様とお会いできました。懐かしい方ともお話できたし、初めましての方ともご挨拶できたし、そういった意味でもとても充実した観劇になりました。ありがとうございました。

主なキャスト
バルジャン:橋本さとし、ジャベール:今拓哉、エポニーヌ:島田歌穂、ファンティーヌ:シルビア・グラブ、コゼット:菊池美香、マリウス:石川禅、テナルディエ:駒田一、マダムテナルディエ:田中利花、アンジョルラス:岸祐二

以下、ネタバレな感想です。今回は好意的なものが多いと思います(笑)。

 

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思いがけずとっても感動した今回のレミゼですが、最初に不満点および気になったシーンについてちょっと書かせていただきます。

不満点はやっぱり2幕のマリウスへのバルジャンの告白シーン。改めてじっくり聞いてみましたが・・・やっぱり突然『話がある』と言って過去を語りだすのは不自然だと思えて仕方なかったです。ここは前置きの言葉

“愛する息子よ、わしも話そう・・・(略)、昔だ”

を入れたほうが流れ的にも自然だと思うんですよ。この部分の旋律もとても美しくて大好きだったので、抹殺されてしまったのが返す返すも残念でなりません。
逆に復活した1幕の宿屋シーン・・・前回これ観てかなり失望させられたわけですが、今回はさらに疑問符が頭の中巡ってた(爆)。2幕の告白をカットしたままでこれを復活させた意図がどうしてもつかめん。

ま、この件についてはいくら私が愚痴ってもどうにもならないのでこのあたりまでにしておきます(苦笑)。

ちょっと気になったハプニング(?)シーンは2つ。

工場長がファンティーヌに「♪なぁ、淑女のファンティーヌ」と歌うとき、“淑女”という言葉が出てこなくて“○×△※※”ってなふうな曖昧な言葉になってました(笑)。急に抜けちゃったのかな。
もうひとつは1幕ラスト近くでさとしバルジャンがコゼットを急かすシーン。ここでオケとさとしさんの歌とがちぐはぐ状態になってしまい、お互いに試行錯誤しながら最後強制的に合わせた形になってました(笑)。あれはどちらのミスかな?オケが先走ったようにも思えたけど・・・ここだけがちょっと手に汗握りました(笑)。

あとテンションが上がらなかったシーンがファンティーヌの場面テナルディエの宿の場面。この二つはちょっと退屈してしまった…。役者さんはよかったんだけど…なぜか好きじゃなくなってる。

それ以外はほぼ完璧に素晴らしかったです!上記の疑問点なども今回はあまり気にならなかった。ボロ泣きするような場面はなかったけれども、それでも心に響くとても良い舞台だったと思います。
バルジャンとジャベールの対決、ABCカフェ、ワンデイモア、オンマイオウン、バリケード、カフェソング、バルジャンの最期・・・どれもとても感動的でウルウルしまくりでした。こんな気持ちになったの、本当に何年ぶりだろうか。禅さんと歌穂さんが加わるだけでずいぶんと作品全体にも重みが出ていたような気がします。ここ数年感動が薄れてしまったシーンが急に色づいて見えたってそんな感じかな。

 

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以下、キャストの感想です。(矢印マークはテンションの高さ)

橋本さとしさん
今期レミゼは2回ともさとしバルジャンを敢えて選びました。以前「ミス・サイゴン」のエンジニアを見た時、私初めて泣いたんです…さとしさんの歌う『アメリカンドリーム』で。あの歌がこんなに泣けるとは!と思えたのがさとしさんだった。なので、今回のバルジャンもきっと琴線に触れるものを見せてくれるに違いないと思ってました。まさに、今回がそうだった!

前回はちょっと粗さも目立っていたのですが、この日はそれも気にならなくなりさとしさんなりのバルジャン像が確立してきたんじゃないかなと思わされました。最初の圧巻は「独白」シーン。司教に諭された後のバルジャン熱唱なんですが・・・思わず涙出るほど心に迫ったものでした!言葉の一つ一つにバルジャンの熱い想いがイヤと言うほど込められていてビシバシこちらにまでその気持ちが伝わってくるんですよ。本当に素晴らしかった!!

工場長になってからファンティーヌの死を看取る場面での優しさもジンワリくるものがあったし、その後のジャベールとの対決にも熱い感情が痛いほど伝わってくる。バリケードで傷ついたマリウスを運ぶ時のジャベールとの対決も圧巻です!
「見ろ!ジャベール!死に掛けてる!譲れ!」
ここの台詞が特に印象的で、久々にここで涙出ましたよ…。あんな形相でいわれたら冷徹なジャベールも譲っちゃうよなぁって納得できる。

それから、問題のマリウスへの告白シーンですが・・・今回のさとしバルジャンは本当に感情が言葉に乗って素晴らしかったので心底思ってしまいました・・・「愛する息子よと歌ってほしい」と。もしもこのシーンがさとしバルジャンで歌われていたら絶対号泣してたと思う。それでも禅マリウスを抱きしめて去っていく場面はとても感動的でウルッときました。本当にすごいよ、さとしバルジャン!

最期シーンも前回よりさらに良くなってました!弱っていく様が手に取るように分かる。その姿が切ないのなんの・・・泣けました~!涙零れましたもん。何年ぶりだろう、最期シーンで自然に泣けたの…。ラストの民衆の歌をちょっと手を広げ気味にして歌っているのも良かったです。
いや~、本当によかった、さとしバルジャン。歌の台詞のひとつひとつに魂が宿っている感じ。だから客席にストレートにバルジャンの感情が伝わってくるんですよ。今回私のレミゼ離れを引き戻してくれたのは間違いなくさとしバルジャンです。本当にありがとう、と言いたい気持ちでいっぱいです。

今拓哉さん
あまりにもさとしバルジャンに注目しすぎていたのでちょっと印象薄くなってしまいましたが(爆)、今さんのジャベールもとてもよかったと思います。ものすごく冷たい表情からバルジャンのことになるとだんだん熱が上がっていく感じ、こういう人間的な部分が好きでしたねぇ。自殺シーンもとても迫力がありました。

島田歌穂さん
99年の千秋楽公演以来、なんと8年ぶりに見る島田エポニーヌ。しかし!その月日の長さを全く感じさせない素晴らしい演技!!素晴らしすぎます。もう、すべてがエポニーヌなんですよ。なんていうか、演技を超えてます。たぶん、97~99年の間で観ていた時よりも感動した(この時期はどちらかというと美奈子さんのエポのほうが好きでした)。オン・マイ・オウンは特に秀逸で、久しぶりにこのシーンで泣けましたよ~。エポニーヌの哀しい片想いの気持ちが痛いほど伝わってくる。歌っていると言うよりも客席に向って切々と訴えてる感じ。ものすごく心動かされました。(フライング拍手がとても残念だった…)

そして「恵みの雨」。死の間際の演技がとてもリアルでこれまた素晴らしい!ここでも久しぶりに心底ウルウルきました。
改めて、歌穂さんのエポニーヌのすごさを思いしらされた気がしました。

シルビア・グラブさん
うーーーん、正直、私はあまりシルビアのファンティーヌは好きではなかったです。訴えてくるものはなんとなく感じるんだけど、十分に届いてこない感じ。なので、「夢やぶれて」などのナンバーがちょっと退屈に聞こえてしまいました。彼女にあまり合っていないんじゃないかなぁ、ファンティーヌ・・・。
それと気になったのが娼婦メイク。かなり濃くないですか。あれはちょっと味見もしたくなくなるかも(爆)。

菊池美香さん
うーーーん、前回に引き続きの菊池コゼットでしたが・・・やっぱりなんか歌が弱い気がするなぁ。今回周りのキャストが特に濃かったのでなおさら淡白に見えてしまったかも。可愛さはあるんですけどねぇ…。残念ながら特に印象には残りませんでした。

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石川禅さん
前回は冷たくて怖~いジャベールだったんですが、今回は20周年SPキャストということでマリウスに。真逆の役を短期間で観れるとはなんか得した気持ちに(笑)。歌穂さんと同じく、禅さんのマリウスも私が熱狂していた97年~99年以来・・・8年ぶりの再会となります。あの頃何度禅さんに泣かされたことか。それを思い出したくて今回厳選キャストに入れてたわけなのですが・・・禅マリウス、あの頃よりもちょっと精神的に大人になった感じでした(笑)。

私の覚えてる禅マリはとても感情的で涙もろく立ち直りが遅かったんですが、月日が経った禅マリは涙もろくはあってもエポニーヌの死から立ち直るのが意外と早かったり、戦いにも積極的に参加していたりしました。短縮バージョンになってしまいましたから、そのあたりの感情の入れ方とか調整したのかもしれませんね。

それでもやっぱり心の琴線に触れてくるとても熱い素敵な禅マリウスでした!全盛期よりも動きが鈍っていると感じることもありましたが(笑)、“今”を一生懸命生きているようなマリウスにとても心打たれました。さとしさんと同じく、禅さんのマリウスは歌に魂が入ってるんですよね。だから感情がストレートに伝わってくる。「恵みの雨」での涙の演技は特に深くて感動的でしたし、このあたりはさすがだなぁと思いました。
ただ一点気になったのは髪型…。ちょっとベートーヴェン風の爆発系が入ってるような・・・(笑)。

駒田一さん
やっぱり駒田さんうまいです!すごく生き生きしたテナルディエで常に目を惹きました。宿屋シーンは個人的にあまり盛り上がれなくなってしまいましたが、駒田さんの演技はとても素晴らしかった。どんな状況でも図太く生き抜いていく様が明確に表れていたと思います。

田中利花さん
うーーーん・・・前回同様やっぱりちょっと拍子抜けって感じだったかなぁ。テナ夫人の迫力があまり伝わってこないんですよね。どうしてだろう?期待していただけに残念です。

岸祐二さん
1年ぶりの岸さんのアンジョルラスでしたが、個人的には前回のほうがインパクト強かったのでちょっと淡白に見えてしまいました。が、ちゃんと一本の芯が通っている頼りがいのあるリーダーで安心して見ていられました。なのでちょっと年上の(笑)禅さんとも釣り合いが取れていたように思います。

印象的だったのはグランテールとの関係。特に死の間際、グランテールを見つめて笑みを浮かべた後に弾かれたようにバリケードにのぼっていく姿がとても感動的でした。身体が硬くて死んでるシーンが難しいと前に語ってた岸さんですが、ずいぶん貫禄ついてきてましたよ。

楽しかったのは結婚式の給仕さん。テナ夫人が食器を盗んでいるのを見つけて口あんぐり開けたまま呆然としてる姿がなんとも滑稽で可愛らしかった

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子役達も頑張ってましたね。ガブローシュもチビコゼもうまい子が揃っていたと思います。ただ、ちょっとガブくんは熱が入りすぎてた感じかなぁ。下手すると喉つぶしちゃうんじゃないかとちょっと心配になってしまった。もう少し加減したほうがいいかも…。
ソワレということで、子役達はカーテンコール出てきませんでした。アンジョルラスが仲間たちと一緒にカーテンコールするの初めて見た気がします(笑)。

カーテンコール、かなり盛り上ってました。このところレミゼでスタンディングしなかったんですが(前が見えなくても座ってたか帰ったりしてたんで 爆)、今日は素晴らしかったと素直に思ったので最後の方は周りと一緒にスタンディングしました。
キャストの皆さん達もとても楽しそうで。特にさとしさんがリードして禅さんと歌穂さんの20周年キャストをドーンと押し出してたり、何度目かの時にバル&ジャベでおどけてたり(マリ&エポもあったな)コチラも楽しませていただきました。

さて、今回をもって当分の間レミゼを封印したいと思います。来年公演があっても、よほどのサプライズか2幕の復活が無い限り観に行くことはないです。事実上、今回が一応の区切りになりました。思っていたよりもとてもいいラストが迎えられて本当によかったです。

最後にもう一言、さとしさん、ありがとう

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