ミュージカル『マタ・ハリ』大阪公演

大阪で開幕したミュージカル『マタ・ハリ』を観に遠征してまいりました!私にしては珍しく、これが2018年最初の観劇となります。本当はもっと観に行きたい作品あったのですが、諸事情で我慢しまくりましてw・・・ここまでちょっと長かった😅。

このところの舞台作品はだいたい…ほとんどが東京公演を皮切りに他の地域へというスタイルでしたが、今回は珍しく大阪が日本初演となりました。
私は四国住まいなので大阪公演のものに行く機会が多いのですが、いつも東京が終わった後熟成されたものが関西にやってくるって感覚だったんですよね。話題には乗り遅れる形になるんですが(なんだかんだで演劇の中心は東京なので 苦笑)、より完成されたものがやってくるのはけっこうお得感がありました😁。が、今回はその逆パターン。熟成されたものも素晴らしいけど、たまには生まれたてものも観てみたいと思っていたので、大阪スタートは個人的に嬉しかったです。

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

 

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2018.01.24ソワレ~01.25マチネ公演 in 梅田芸術劇場(大阪)

主なキャスト

  • マタ・ハリ:柚希礼音
  • ラドゥー(25日)/アルマン(24日):加藤和樹
  • ラドゥー(24日):佐藤隆紀(LE VELVETS)
  • アルマン(25日):東啓介
  • ピエール:西川大貴
  • パンルヴェ:栗原英雄
  • アンナ:和音美桜
  • ヴォン・ビッシング:福井晶一

24日ソワレの組合せは アルマン:加藤和樹 ラドゥー:佐藤隆紀

25日マチネの組合せは アルマン:東啓介  ラドゥー:加藤和樹

和樹くんは日替わりでアルマンとラドゥーの2役を演じ分けています。全く違うキャラクターを1日おきに演じるなんて…本当に凄い!の一言でした😃。

 

あらすじと概要

<あらすじ>

1917年、第一次世界大戦の暗雲たれこめるヨーロッパ。

オリエンタルな魅力と力強く美しいダンスで、パリ市民の心をとらえて放さないダンサーがいた。名は、マタ・ハリ(柚希さん)
彼女の人気はヨーロッパ中におよび、戦時下であっても国境を越えて活動する自由を、手にしていた。
その稀有な存在に目をつけたフランス諜報局のラドゥー大佐(加藤くん・佐藤くん)は、彼女にフランスのスパイとなることを要求する。もし断れば、人生を賭けて隠してきた秘密を暴くことになる、そう、ほのめかしながら……。自らの過去に戻ることを恐れ、怯えるマタ。
同じ頃、彼女は、偶然の出来事から運命の恋人に出会う。戦闘パイロットのアルマン(加藤くん・東くん)は、彼女の孤独な心を揺らし、二人は、ともに美しい夜明けのパリを眺め、人生を語りあう。
一方ラドゥーの執拗な要求は続き、一度だけスパイをつとめる決心をしたマタ。彼女の世話を続けてきた衣裳係アンナの祈りの中、公演旅行でベルリンへ向かい、ドイツ将校ヴォン・ビッシング(福井さん)宅で、任務を無事遂行する。しかし、謀略はすでにマタ・ハリの想像を超えて進み、アルマンへの愛に目覚めた彼女の運命を、大きく歪めようとしていた…。

-公式HPより引用-

マタ・ハリとは実在したヨーロッパで人気のダンサーで、第一次世界大戦の最中にフランスとドイツの二重スパイの容疑をかけられ、有罪判決を受け即座に射殺されてしまいました。私はこの作品を観るまでその存在を知らなかったのですが、数奇な運命に翻弄された彼女は「女スパイ」の代名詞的存在としても有名だそうです。

現在では、マタ・ハリがかけられた二重スパイという嫌疑には疑問点が多く、不利な戦いを強いられていたフランス軍が戦意高揚のために彼女に罪を被せたという見方が有力視されているらしい。
二重スパイめいたことをしていたのはたしからしいのですが、実際の成果は双方にとって対して有益なものではなかった可能性が高いのだそう。つまり、スパイとしての能力は彼女はそんなに高くなかったようですね。男性を手玉に取りまくって情報を引き出していたのは信憑性が高いそうですが、彼女も生きることに必死だったのかもと思うと…なんともやりきれない想いも沸いてきてしまいます。ある意味、マタ・ハリも戦争の犠牲者だったのかもしれません。

ちなみに、ミュージカルの『マタ・ハリ』は彼女の史実関係はアウトラインをなぞった程度で、ドラマチックな創作部分が大半を占めているとのこと。
創作部分のドラマを堪能した後、マタ・ハリという女性についてもっと知りたくなるのでは。知らなかった人物や歴史に興味が持てるのもこの作品の魅力の一つかもしれません。ここ最近の歴史ものミュージカルはこういうパターンが多いですね。

 

全体感想

先にも述べたとおり、私は『マタ・ハリ』という女性のことを全くと言っていいほど知らなかったので😅、今回の舞台の内容もあえて予習せず把握しないまま観劇に臨みました。なので最初に韓国で上演されていたという事も知らなかったんですよね💦。分かっていたのは、たぶん暗い話なんだろうな~ってことくらいw。
で、実際観て・・・たしかに明るい展開ではないしハッピーエンドという作品ではないと思ったんですが、ストーリー的にかなり面白かったです。2日間、ガッツリのめり込んで堪能してきました。

音楽は日本ではもうお馴染みとなったフランク・ワイルドホーン。ダイナミックな音楽は健在で重厚な音のナンバーが多めでしたね。
個人的には福井さんが演じるヴォン・ビッシング将軍が歌うナンバーがちょっと耳に残ったかも。なんか一昔前のロボットアニメ的な曲調でwwスリリングなんだけど面白かった😁。ところどころ大好きな「ジキハイ」の曲調を思わせるようなものもあって、いつかCDとか出してほしいなと思ってしまいました。

セットについて。全体的に暗いイメージで、モノクロっぽい世界の中で物語が展開していきます。大型セットはほぼなく(階段くらいかな)、人間ドラマをメインで見せていくような印象がありました。移動の半分は男性俳優さんたちがさりげなく動かしてました。最近そういうパターンの舞台をけっこう観ますが、演技とセット移動の両立はとても大変だと思います💦。皆さん、本当にお疲れ様です🙇。
そんななか、面白いなと思ったのが舞台の下半分をカーテンのような幕が随所に出てきてうまいこと場面転換していたこと。特に、この物語はフランスとドイツが主な舞台になっているのですが、フランスの場面にはフランス国旗のカーテン幕、ドイツの場面にはドイツ国旗のカーテン幕が人物の後ろにサーっと引かれてくるので視覚的に分かりやすい。すごくシンプルなんだけど、こういう魅せ方はかえって新鮮で面白いなと思いました。

カーテン式の幕を多用していたのが目を惹いた今回の舞台ですが、そのほかにも様々な幕をうまく活用していたのも特徴かもしれません。裁判シーンに出てくる聴衆が持つ白い幕が場面によっていろんな形に変化するのも面白かったし、ラストシーンに舞台全体に広がる薄い幕も幻想的でとても美しかった。

演出を担当されたのは蜷川さんの演出助手の経験もあるという石丸さち子さん。昨年のスカピンも担当されたとのことですが、私はとある事情でチケットを手放してしまったので😅今回がはじめましてになります。
セットの一つ一つはとてもシンプルでアナログな感じも正直あったんですけどw、この物語は人間関係がとても濃密でシリアスなので、そこの部分を際立たせるといった意味ではよかったと思います。大きな舞台も広く有効に使っていたし、舞台中央の物語と奥のセットの上にいる兵士の動きをリンクさせている場面なんかも興味深かったです。

一番印象的だったのはラストの演出。この方式はちょっと東京でも賛否両論出るかもしれないなと思ったんですが…私は観る者に与えるインパクトの大きさといった点で「あり」だなと思いました。拍手の仕方はちょっと迷いますけどね😅。
だけど、マタ・ハリが一番強烈な輝きを放った瞬間の出来事…からの静寂という流れは、なんとも言えない衝撃と感動が押し寄せてきてグッと心を掴まれたような気がしたんです。あぁ、いま私は彼女の人生を見届けたんだなぁ…といった感慨深さみたいなものが観終わった後ジワジワと湧き起ってきました。この思い切った演出には拍手を送りたいかも。

ちょっと直した方がいいかなって思ったのは、マタ・ハリとアルマンがドイツのスパイを殺してしまう場面。倒れたスパイを後ろにズルズルと引っ張っていって暗転していくんですが、死んでしまったはずのスパイがまだ明るいうちに立って舞台奥に捌けていくのが見えてる😅。もう少し隠れた場所で捌けてほしかったかもww。
あと、ラドゥーとパンルヴェ首相の関係が舞台を観ただけでは分かりづらかったのも気になったかな。私はパンフレット購入して分かったんですが、ラドゥーの傍にいて気の強い女性は奥さんなんだか狙ってる女性なんだかちょっと分かりづらかった(実は彼女はラドゥーの奥さんでパンルヴェの娘だってことがパンフで判明しました😅)

物語はけっこう好きな部類に入るかもしれません。特に、マタ・ハリを巡る二人の男性の心の動きのドラマが・・・なんか、観ていてドキドキしたし時にキュンときたしで(笑)。
アルマンが自分の素性を隠しながらもマタに惹かれてしまって、後々になってバレてしまった時に大きく苦悩する展開は見ていて居たたまれなかったと同時に萌えたんですよねww。愛してしまったがゆえの苦悩というのが、個人的にかなり好きなパターン😁。
さらにそのさらに上の苦悩を抱えるのがラドゥー。この人の場合はアルマンよりも立場上マタに気を許せない環境にあっただけに、抑えきれない感情との間で苦悩する姿はもう・・・ドキドキというか萌えというかwww。展開はスリリングなのに見ながらかなりトキめいてました😂。しかも二人とも良い男だからね~、もう、目の保養もついてきて最高でしたwww。

 

キャスト別感想

柚希礼音さん

宝塚を退団された後から高い評判があった柚希さんですが、舞台上で見るのは今回が初めてでした。どんなパフォーマンスをされる方なのか知らなかったのでちょっとドキドキする部分もあったのですが…いやはや、御見それしました!!本当に素晴らしかったです😆!!

まず目に留まるのは美しいプロポーションとダンス。冒頭にマタ・ハリがジャワの踊りで登場するんですけど…セクシーな衣装がものすごくハマっててめっちゃカッコいい。そして何より驚いたのが、体幹です。片足で複雑な動きをしていた時にも軸が全くぶれてなくて美しくそこに在り続けてました。足の上がりっぷりもビックリするほど柔らかかったし(バレエされてたようですね)動きのすべてに無駄がなく、思わず見とれるほどでした。このマタ・ハリだったら名のある男性たちが吸い寄せられるのも納得です😁。

歌もすごく安定感があったし、アルマンの前でだけ見せた女性的な可愛さも説得力がありました。髪の毛を下した時のマタは女性っぽくてかわいかった。男役スターだったタカラジェンヌさんって最初はどうしても顔つきが「男」っぽく見えてしまう部分が大きいんですが😅、柚希さんはそれよりも早くに「女性」を出せる方なのかもしれません。もう少し「女の役」をこなしていったらさらに素敵な女優さんになるのではないでしょうか。期待しています。

 

加藤和樹くん

今回全くタイプの違う男性を2役演じてて…あぁ、和樹くんはミュージカルの世界でそこまで信頼される存在になったんだなぁとちょっと感慨深かったです。まだ大型作品に出る前の舞台で何度か彼を観ているのですが、その頃に比べると顔つきにミュージカル俳優の自信みたいなものが感じられるようになったんですよね。なんだかすごく嬉しいです。

24日ソワレはマタ・ハリをスパイしながらも彼女自身を愛してしまうアルマン役。最近主人公に叶わぬ恋をする役が続いているせいか、ものすごくハマってて見ていて安心感がありました(笑)。
明日をも知れぬパイロットという職業のアルマンが「将来生きている自分を想像できない」って語るんですが…このセリフがものすごく重く響いてきて、めちゃめちゃ切なかったです😢。この時点ではマタを裏切ってるってことになってるんですけど、あの会話をしているときはアルマンは素の自分を出していたんじゃないかなって思うんですよね。
さらにマタの過去の話を聞いたときの反応が、もう、引力に吸い寄せられるように彼女の気持ちにアルマンがリンクしていったのが分かって最高にドキドキさせられました😍。もうあの瞬間にアルマンはマタのスパイができない男になったなって悟ってしまって…。それだけに、ラドゥーから出撃命令を受けた場面はものすごく切なくて1幕ラストは思わず泣いちゃいました😭。切ない和樹くんの芝居は本当に最高です!!
さらに2幕はマタに素性がバレてしまってものすごく苦しむ。愛してる気持ちが本物だって分かってもらいたいのに通じなくてもだえ苦しむ姿はもう…居たたまれないのに観ていてめっちゃ萌える(笑)。あの場面だけ何度も見たいくらいでした😁。そのあとの、衝撃のラスト。あぁ、やっぱりなって思ったんですが😅、でも、アルマンな和樹くんはめっちゃ好みでした。

25日マチネはアルマンを苦しめる立場のラドゥー大佐。全く違う人物をどう演じるのかと思っていたんですが…登場した時の雰囲気にビックリ!!セクシーな感じだろうなと思っていたんですが、私の予想をさらに超えたセクスィ~~~さで驚嘆いたしました😳。
和樹くんのラドゥーはものすごく氷のような冷淡さを纏った男。見るからに体温が低そうな…前日の夜に全く違うキャラを見ていただけにものすごいギャップにちょっと戸惑いもあったりして(笑)。で、ラドゥーも結局はマタの虜になっていくわけですが…和樹くんのラドゥーはそうなってしまってもあまり表に出さない系なのかなと予想していたら、意外にも自分の意のままに動かないことが分かると感情をガっと表に出すタイプでしたね。なんていうか、感情の起伏が激しい。怒鳴ってるシーンもけっこう多くてそのあたりも少し驚きました。
マタに対する態度は時に甘いんですが、最初から興味はありそうなものの彼女と少し距離を置いていたのが印象的。同じ役の佐藤くんとはマタに対する接近の仕方みたいなのが違うなと感じました。和樹くんのラドゥーはマタ・ハリを自分の意のままに動かしたいみたいな、そういう歪んだ想いを感じたかも。なので、衝撃のクライマックスの行動の後のラドゥーは・・・生きられるかもしれないって思えたかな。

個人的には、アルマンの和樹くんのほうが好きだったかも。でも、もしあと数回見ることができていたら・・・同じくらいラドゥーの和樹くんも好きになったかもw。

 

佐藤隆紀くん(LE VELVETS)

いやぁ~~~、シュガーくんがこんなにもブラックな役がドンピシャで合うとは!!と歓喜するほどハマっていたラドゥー役でした😂。以前、スカピンのときにも敵役的なポジションを演じたことがありましたが、今回のはそれよりもガッツリと黒い感情がむき出しになってて。いつもはホンワカした雰囲気で笑顔が可愛い彼が、こんなにも黒くて激しい感情を顕にする役がハマるとは予想していなかったので本当に嬉しい驚きです。深く情感豊かな歌声も健在で、個人的には完璧なラドゥー大佐でした😂。

色気の点では和樹くんには及びませんがw、マタに対するアプローチ…執着していく過程としてはシュガーくんのお芝居の方が個人的には好きだったかもしれません。
シュガーくんのラドゥーはとにかく真面目で愚直。戦争の現場で作戦がうまく回らず、兵士が戦場で命を散らしていくことに激しい動揺と憤りを感じていた。だからこそ何としてでも戦争を終わらせたいという焦りに襲われて・・・真面目だけど不器用だったが故にその手段を選ばない方向へどんどんのめり込んでいくわけで、そんな最中にマタ・ハリの女性的な魅力に知らず知らず飲み込まれちゃうんですよね。「このイライラした気持ちはなんだろう」みたいな感情を歌う場面があるんですけど、この時点でもうマタ・ハリの魅力に取憑かれちゃったんだなぁっていうのがすごく伝わってきて見ていてキューーーっときましたよ😣。

シュガーくんラドゥーはマタとの距離感が和樹くんと比べるとけっこう近い。花を差し出す時の「素晴らしい!」にもめっちゃ感情乗ってたしw。
一番違いを感じたのが2幕でアルマンの元へ向かおうとするマタを引き留めようとしていた場面。和樹くんはけっこう早めに掴んだ手を振り払われて後追いすることなくイラついていたんですが、シュガーくんはマタにすがるようにしがみつこうとしてて、舞台袖に居なくなった後も倒れこんだまま泣きそうな顔でそちらの方向を見つめて感情を高ぶらせていってました。これ、変態的にも見えちゃうかもなんですがww、どうマタに自分の想いをぶつけていいか分からないがゆえの行動だと思って見ると・・・ものすごく萌えポイント高いんですよねw。なんか近づけば近づくほど破滅に向かっていくのが分かるだけに、シュガーくんのラドゥーにはかなり感情移入して見てしまった気がします。奥さんに別れを告げられた後、目を泳がせながらギリギリと爪を噛むようなしぐさをしていた表情もとても印象的でした(和樹くんは冷たく天を仰いでる感じだったかな)

さらにクライマックスのあり方も和樹くんとはだいぶ印象が違いました。和樹ラドゥーは「生きられるだろうな」と思ったけど、シュガーくんのラドゥーは「生きていけないだろうな」って思いました。なんていうか、ヘタレな部分が見え隠れするんですよね、彼のラドゥーは。その部分がものすごく人間臭くて感情移入してしまう部分も多かった。
叶うならばもう一度会いたい!!と思わせるラドゥー役でした。できれば映像化もしてほしいかも。

和樹くんのアルマンとシュガーくんのラドゥーの雰囲気はこんな感じ。舞台上でのシュガーくんはもっと眉間にしわ寄せて苦悶の表情しまくってたのでw、こういう写真見るとなんかホッとしますね😊。

 

東啓介くん

和樹くんとダブルキャストでアルマンを演じていた東くん。彼の舞台を見るのはたぶん今回がはじめましてです。これまでは2.5次元ミュージカルでの活躍が多かったようで、最近大型作品のほうに進出してきたのだとか。
前日のトークショーでは今時の明るいちょっと力の抜けてる青年って感じだったんですがw、アルマンとして舞台に立っていた彼はシャンとしていてすごいイケメンさんでした。一番最初のイメージは、明るくて正義感のある爽やかなんだけどその中にチラッと裏の顔みたいな部分も垣間見える青年。マタ・ハリを助けるところは、和樹くんのときには裏心が見えない雰囲気だったので後から事情を知って驚いたんですけどww・・・東くんは事情を知った後「あ、やっぱりそうだったのか」ってどこか納得できてしまうような危うい雰囲気があった気がします。

和樹くんのアルマンとマルガレッタでいるときのマタ・ハリの雰囲気は対等な恋人というように見えましたが、東くんの場合はマルガレッタが年下の男の子の笑顔と爽やかさに心を癒されていったといったような気持の流れが見えましたね。なので、全然アプローチの雰囲気が違ってとても面白かったです。
印象的だったのは、マルガレッタが自らの過去を語った場面。東アルマンは若いということもあってか、その話にストンと素直に惹きこまれてしまって…泣きそうな顔になりながら彼女の話に寄り添っていたんですよね。「この人は僕が守っていかなければ」的な年下ならではの熱い正義感みたいな部分が感じられてとても印象的でした。

2幕でマタ・ハリに自分の正体を知られてしまった時の反応は、なんというか、若さが出てるなぁって思いました。自分の主張を聞いてもらえなくてそのことが悔しくて自暴自棄っぽくなる。その時の投げかけた言葉が「もういいよ!!」みたいな突き放したような感じに聞こえて、ちょっと拗ねちゃったかな?みたいなw。だけどやっぱり自分の気持ちには嘘がつけなくて彼女の元へ走っていく。このあたりの不安定さが若いなぁって思いながら見てました。

東くんはまだ若いし、お芝居の深みもまだちょっと物足りないところはあったんだけど・・・歌声はものすごく良いものを持ってるなと思いました。将来がとても楽しみです。たくさん経験を積んで良い舞台俳優になってほしいな😀。

東くんのアルマンはこんな感じで、ちょっとヤンチャ味があって可愛いです。あと、目力があったのも印象深かったな。

 

西川大貴くん・和音美音さん

西川君は今回がはじめましての俳優さん。ピエールとして本格的に登場してくるのは1幕の最後のほうあたりからですが、冒頭のアンサンブルシーンも実はピエール役としてそこに立っているとのことです。これを念頭に2回目に観た時、戦争の犠牲になる人たちを目の当たりにして彼なりのありったけの正義でパイロット志願したのかもしれないな…と思いました。
ピエールは死ぬことを恐れて逃げ出そうとしますが、アルマンとの会話の中で再び立ち上がる勇気を持ちます。そのアルマンが次に再会した時には敵対する立場にあったわけですから、ラドゥーのもとにいた間中、密かに苦悩したんじゃないかなって…。それがたぶんクライマックスのあの行動に結びついたのかもしれないなと思いました。
小柄な体格でありながらもダイナミックな動きとお芝居がとても印象的でした。

和音さんは何度か舞台で拝見していますが、その中でも今回のアンナ役はかなりハマってて良いなぁと思いました。アンナはマタ・ハリの衣装係ですが、親友でもある。いつも彼女の気持ちに寄り添って励まし応援し続ける健気な女性。この関係って、もしかしたら親友以上の感情をアンナが抱いていたんじゃないかなと…そう感じさせるほど和音さんの演じるアンナは包容力があってどんなことがあってもマタを支え続けていました。実際のところ、どう思っていたんだろう…?
ラストシーンで、冒頭と全く同じセリフをマタに投げかける場面があるのですが、この時のアンナの心境を想うと切なすぎて…泣けて仕方なかったです😭。

 

栗原英雄さん・福井晶一さん

今回の舞台には元・劇団四季の役者さんが数人配役されていましたが(個人的には同じ香川の石井雅登くんにも注目してました。田村さんもかなり目立ってましたね)、その中でも栗原さんと福井さんが同じ舞台に立っているのを目撃できたことはとても嬉しかったです。退団した時期は離れていますが、私が一番夢中になっていた時代の四季で活躍していたお二人をこうして外部の舞台で再び見れたのは胸熱だったりします。

栗原さんの役はフランスの首相・パンルヴェ。ラドゥーの義理の父親ということで目をかけていたようでしたが、戦局が悪化していく中でいらだちを募らせてラドゥーにプレッシャーをかけていきます。自分の国を勝利に導きたいという想いが焦りとなって、それがラドゥーの気持ちをどんどん追い込んでいくんですよね😅。だけど、義理の息子としてその手腕は買っていたようだし、彼ならばなんとかしてくれそうだという期待みたいなものも見え隠れしていたように思えました。
パーティーのシーンではかなりの回数お酒に手を出していたのがちょっと面白かったw。表の顔では笑いながらも、実は戦局悪化で気持ちが落ち着かなくてお酒飲んで必死に自分セーブしてるのかなって。2幕でハッパかけにもう一度出てきた時は厳しい表情しか見せていなかったのでちょっとゾクっとしました。
栗原さんの登場シーンはとても少なかったけど、貫禄あったし物語のスパイス的なところがあって印象に残りました。ただ・・・!!栗さんは歌えるし踊りもできるので・・・そういった点ではちょっと残念だったなぁと。ソロ聞きたかったよ~~。次に期待。

和樹くんのラドゥーと栗原さんのパンルヴェの義理の親子が並ぶとこんな感じ!渋くて美しい!!

 

福井さんの役はドイツのヴォン・ビッシング。かなり高いくらいの将校ということでしたが、バルジャンを演じてから体格がしっかりしてどっしりとした存在感が加わった福井さんの雰囲気とものの見事にマッチしていました!歌声にもすごく厚みが増しましたよね~。さらには黒いドイツの軍服がものすごくお似合いでした😀。
ヴォン・ビッシングはマタ・ハリの最大のお得意さんでもあったんですが、彼女のパーティーにスパイが紛れ込んでいると知ると疑心暗鬼を募らせて甘い顔から眼光鋭い危険な男の顔を見せてくる。マタの前ではメロメロな振りをするのに、顔をそむけると獲物を狙うような怖い一面が…。このあたりの切り替えの芝居がすごく見ていてゾクゾクさせられました。そして最終的にはマタに見張りを付けるという…。彼女の最大のファンだったはずなのに、疑わずにはいられない。このあたりの微妙な気持ちの変化がとても印象に残りました。
そして最後にはフランスと事実上の結託をしてマタ・ハリを追いつめることになるわけですが…この時の表情がものすごく怖かったよ😱。福井さんのここまでの悪顔って初めて見た気がする。とても刺激的でした。

福井さんと和樹くんのツーショットもカッコいいな!!

 

そして個人的に「お!!」と思ったのが、クライマックス。マタ・ハリの元にやってくる警官二人が・・・栗原さんと福井さんなんですよね~!フランス首相として、ドイツ将校としてマタ・ハリを追いつめた役を演じた二人が、一番最後に警官役となって彼女を破滅の最終章へと導きにやってくる。この演出、すごいなと思いました。と、同時に、栗さんと福井さんが並んで一緒の舞台に立ってる!!っていうのが個人的にかなり胸熱でした😆。

 

後述

観た時期は始まったばかりという事もあり、拍手のタイミングもまだ客席が掴み切れていないところがあって。ビッグナンバーっぽい場面でも「シーン」ってところがあったりするとちょっと「いいのかな」ってドキドキしてしまいましたが、カーテンコールではほとんどがスタンディングで大いに盛り上がってたのでホッとしました😅。

カーテンコールの挨拶順ですが、和樹くんはどちらを演じていても2番手ということになっていました。2役演じてますし、そういった意味でリスペクトされていたのかもしれません。
最初のカテコが終わった後、柚希さんと二人で出てくるんですけど、アルマン役の日にはすぐに熱い抱擁でラブラブな雰囲気だったのに、ラドゥー役の日には柚希さんが「え~」っていうような反応を一瞬見せて和樹くんが「え!!」みたいな感じでショックでよろけるリアクション取ったりしてたのが面白かったwww。もちろんそのあとすぐに「和解のw」熱い抱擁かわしていましたけどね😁。

観終わった後に、じわじわと「もう一回見たい」と思わせてくれる作品だったと思います。同じキャストでまた近い将来再演してほしいですし、できればCDも出してほしい!もっと贅沢言うなら、両バージョンの映像も…。

新年最初の観劇でしたが、良い作品にさっそく巡り合えてよかったです😀。

※アフタートークショーのレポはこちら↓

ミュージカル『マタ・ハリ』トークショーin大阪
ミュージカル『マタ・ハリ』大阪公演の1月24日ソワレ後にアフタートークショーが行われました。 マチネでは限定グッズプレゼントとカテコ写真撮影OKだったので、それを逃したのはちょっと残念でしたが😅、ソワレのトークショーも楽しい話がたくさん聞け...
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