劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』大阪公演 2023.05.18 マチネ

劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』大阪公演を観に行ってきました。

前回は35周年+1日という「オペラ座の怪人」にとって節目の公演でしたが、今回はそこから先に新たに歩み始めた舞台。私もまた新たな気持でこの日を迎えました。

清水くんのファントムを見るのは昨年の8月以来で本当に久しぶり。あのあと「美女と野獣」のビースト役にキャスティングされていたので、もう大阪で会える機会はないのかなぁと思っていたのですがまさかここに来て再会できるとは!BBは新たなビースト役(小林唯くん)も登場したようですから、ローテーションに余裕ができたのかも。
ただ「オペラ座の怪人」も8月の千穐楽が決まっていますし、清水くんのファントムを大阪で見れるのは今回で最後になるかもしれません。そういった意味でも非常に貴重な観劇となりました。

デジタルスタンプラリーも5つ貯まったのですが(先月突発観劇してペースが早まったw)、今回のスタンプ写真はなんと清水ファントムでちょっとビックリしました。ということは、清水くんがこの週からキャスティングされることは予定通りだったのかも!?なにせ四季は1週間前にしか出演者情報を出してくれないのでほんと色々ドキドキさせられっぱなしです(一時期の公演日が終わってから発表スタイルよりはずっとマシだけど 苦笑)。

ちなみに、新型コロナ禍な世の中もようやく収束へ向かい出したことで(まだ突然の中止公演とかあって気は抜けませんが)これまで約3年間禁じられてきた出演者への差し入れがようやく解禁されました(本部に送るのも禁止されてた 涙)。入り口の検温消毒も無くなり、劇場での大きな荷物預かりも可能に。劇団四季もようやくコロナ前の体制に戻ったような気がします。ここに至るまで本当に長かった…。

劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』感想一覧

以下、超ネタバレを含んだ感想になります。

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2023.05.18 マチネ公演 in 大阪四季劇場(大阪・西梅田)

主なキャスト

  • オペラ座の怪人:清水大星
  • クリスティーヌ・ダーエ: 藤原遙香
  • ラウル・シャニュイ子爵: 岸佳宏
  • カルロッタ・ジュディチェルリ:吉田絢香
  • メグ・ジリー: 黒柳安奈
  • マダム・ジリー:佐和由梨
  • ムッシュー・アンドレ:増田守人
  • ムッシュー・フィルマン:平良交一
  • ウバルド・ピアンジ:永井崇多宏
  • ムッシュー・レイエ:林和男
  • ムッシュー・ルフェーブル:勅使瓦武志
  • ブケー: 田辺容

【男性アンサンブル】

髙橋祐樹、川畑和寛、高舛裕一、安田楓汰、木内和真、吉田ケイン、貞松響

【女性アンサンブル】

早水小夜子、結城湊海、清水智紗子、柳葉奈、鳥越ゆみこ、徳山稚子、佐野奏実、小田島礼奈、吉村侑姫、石橋杏実、新山ひなこ、中川奈々美

先月はキャストボードの前に大行列ができる現象が起こっていましたが、今回はそこまでの長蛇の列にはなっておらず早めに写真を撮ることができました。

早水さんはお久しぶりになります。舞台上にいらっしゃるだけでなんだか安心感みたいなものが。それから、2幕でラウル子爵に怒られる警官役が木内くんに変わっていました。これまで新井くんで見ることが多かったのでなんだかとても新鮮でした。

全体感想・キャスト感想

オークション場面、ココ最近は下手の少し奥側に入ったところにいるヒゲのオジサマ(田辺さん)に注目してしまいます。ハンニバルのポスターのときも、髑髏の小道具のときも張り切って最初に札上げてるのに結局落札できずじまいなのがなんだか面白くて(笑)。かと言ってガッカリしてる様子もなくて切り替えが早そうだったりw、いいキャラしてます。

勅使河原オークショナーの一番面白いところは猿のオルゴールを紹介するときの台詞回し。「まだ、ちゃぁ〜〜んと・・・動きますっ!!」の言い方が間といい力の入れ加減といいホント絶妙ww。

岸老ラウルは猿のオルゴールを近くで見て歌いだしてからどんどん老け込んでいってしまう雰囲気。最後はもう消え入るような声になっていて息も絶え絶え・・・。まるで猿のオルゴールに命を吸い取られていくかのような儚さがとても印象的でした。

♪ハンニバル♪

吉田カルロッタ、自信満々なドヤ顔がすごいw。自分こそがプリマでスターだというプライドの塊みたいな感じ。歌の力強さも半端なくて、今回もちょっと近寄りがたい印象だなぁと最初は思いました(笑)。
それに対する永井ピアンジ”俺のプリマ、最高すぎるーーっ”オーラがすごい(笑)。おそらくあの場にいる人の中で一番彼女のことを信頼してる人物ではなかろうか。超ウルトラファンって感じがもう可愛くて癒やしww。

林レイエは久しぶりに見たのですが、以前よりもちょっと老け込んで見えたのは気のせいかな?見た目は寡黙なおじいちゃんぽいのですが、口を開けば頭の硬い厳しい演出家。作品への思い入れは誰よりも強く、ピアンジが”ローマ”を間違った発音で歌ったときの「ちがぁーーーうっ!!」のダメ出しはめっちゃ力んでて指導も本当に熱血でしたね。自分の思う通りの展開に行かないと気がすまないといった融通の効かなさがいい。
また、ピアンジがダメ出し後に同じところから歌い始めるシーンのときにはかな〜〜り彼の近くまで行ってチェック(舞台真ん中近くまで行ってたw)。1回目は修正できたものの2回めでまた同じミスを堂々とドヤ顔で歌う永井ピアンジwwを見て「ちょっとぉー!!」みたいに口を開き途中で止めようとするといったリアクションも。ここの細かいやり取りがとても面白かったです。めっちゃ得意顔で堂々とミスる永井ピアンジ、好きっ(笑)。

お久しぶりのケインくんダンサー、新しい支配人たちが自分のテリトリーに入ってきてることにめっちゃ苛立ってましたねw。鞭の叩きっぷりに彼の気持ちが出てる。それに対して増田アンドレはビビってるけど、平良フィルマンはシレッとしながら舞台装置に興味示してるのがいい(笑)。
あと、吉田カルロッタとケインくんダンサーの稽古中の目配せがけっこう意味深で面白かったですね。永井ピアンジ、それに全く気づいてなくて気の毒だなぁと思いながら見ちゃったよw。

新しい支配人にカルロッタとピアンジが紹介される場面。吉田カルロッタがデレデレな増田アンドレと談笑を始めたときの”早く私のことも紹介してーっ”とめっちゃソワソワし出す永井ピアンジ、最高(笑)。もうこのときの笑顔がたまらなく癒やされる。結局フィルマンにソデにされてお怒りモードになっちゃうんですけど、その直後にカルロッタが歌を披露するって流れになるとぱぁっと可愛い笑顔が復活ww。もう、ほんっと大好きなんだね、カーラのこと…ってめっちゃ微笑ましい気持ちになってしまう私です。

カルロッタが歌い始めてしばらくすると後ろの幕が突然落ちてくる場面。ここで椅子に座って怯えるカルロッタがお針子さんに何かを訴えている現場を初めて目撃しました。多分あのときにモフモフの毛皮を持ってくるように頼んだんだろうなとようやく悟った私です。今まで、彼女が突然出演拒否して帰るときになんでお針子さんはアレを準備できてたんだろうかと不思議に思っていたのですが(汗)ちゃんとやり取りがあったんですね〜。新たな発見でした。

田辺ブケー、ふてぶてしさがまたさらに増したようなw!?「居たとすりゃあの化け物だぁーー!!」の脅しっぷりの迫力がパワーアップしてて悲鳴を上げて逃げ惑う女子ダンサーズを追いかけようとまでしててびっくりよ(汗)。ますます凶暴化しちゃったなとw。

♪Think of me♪

藤原クリスティーヌが怯えながらもマダム・ジリーの顔を見ながら実力を発揮していく場面。この後本番舞台へと変わるわけですが、そのときにクリスティーヌの衣装をセッティングする早水お針子さんのアタフタっぷりがめっちゃ面白いww。ジリー親子に比べると明らかに焦ってて「早くつけなきゃっ」といった切羽詰まった気持ちが行動からにじみ出ちゃってるのが最高です。着替えが終わったあとの、ひと仕事終えたといったような安堵で悠然と後ろに下がっていくときの姿にギャップ萌え(笑)。

それにしても藤原クリスティーヌの歌声は本当に情感豊かで爽やかで美しい音色ですよねぇ。容姿のみならず歌声も凛として美しいなんて…ありゃ男性にモテちゃうよなと。
そんな彼女をボックス席から見つめていた岸ラウル。最初はけっこうクールな感じで観劇してるのですが(光田くんのほうが雑談率高めかもw)、オペラグラスを借りてクリスの姿を確認したときに心の内側から気持ちが盛り上がっていくのがリアルに伝わってきました。「ぶらぁーーーゔぁああーー!!!」の拍手の興奮も最高潮で、これぞ岸ラウルって感じw。初恋の相手に出会えたと言わんばかりのテンションの上がりっぷりが可愛いです。

舞台が終わったあとのカーテンコールの場面。指揮者を演じてる貞松くんはあまり派手なリアクションは取らないのですが、この日見たら表情がもう”感無量すぎるっ・・・”って感じ。しかも幕が閉まる寸前には感動のあまり涙を拭うというリアクションまで!これは新しいぞ!!感激屋さんの貞松くん指揮者、可愛かった。

クリスティーヌの成功を心から喜んでるダンサー仲間の女の子たち。その間を大道具さんが横切るシーンがあるのですが、この日演じてたのは木内くんだったかな。意中の女の子にウィンクして戻るときに”あ、ヤベッ!!”みたいな焦りの表情浮かべながら慌てて袖に戻っていったのが面白かったw。あれたぶん、上司に現場見られ睨まれたって設定だったんじゃないかな(笑)。

佐和ジリー夫人はクリスティーヌへの賛辞は意外とあっさりめだったかな。でもその後のダンサーの子たちへのダメ出しの台詞回しがすごく印象的です。「そして、あなたたち?」の呼びかけがめっちゃソフトなんですが、明らかに彼女たちの出来にイライラしてる気持ちが伝わってくるw。このあとの「今夜はぜぇんぜん、だめ」も穏やかな言い方なんだけどそれが逆に怖い(笑)。ダンサーの子たちもそれが分かってるからか何も言葉を返せず従うしかないといった様子だったのが面白かった。

♪エンジェル・オブ・ミュージック♪での藤原クリスと黒柳メグのやりとりは仲良しの女子トークな雰囲気が出ていてとても可愛らしかったです。徐々にクリスティーヌの様子がいつもと変わってくるシーンでの黒柳メグの不安そうな表情も印象深かった。

♪リトル・ロッテ♪

ラウルが支配人たちと楽屋へ向かう場面、この日の岸ラウルは最初の方はなんとか作り笑いをして話を合わせてるといった雰囲気でしたが、明らかに早くこの場から離れたいオーラがムンムンしてましたww。立ち止まったときはついに気持ちが表にダダ漏れちゃってて「早く開放してくれ」といった苛立ちが手にとるように伝わってきて面白すぎww。岸ラウルって本当に感情表現が素直なんだよねぇ。

楽屋へ入るときのラウルの第一声「君の赤いスカーフはどこへやった?」の台詞回し、岸くん、すごいいたずらっ子っぽい感じで可愛かったなぁ。あれは幼い頃の自分に戻ったつもりで発したセリフだったような気がします。ラウルのクリスティーヌへの愛しい気持ちがストレートに伝わってきてとても良かった。彼女がラウルの存在を認識して胸の中に飛び込んできてくれたときは本当に幸せそうで思わずほっこり。

クリスティーヌが父親の思い出を語っているときの岸ラウルの目線はとても温かい。でも、その直後の夕食に誘うときの目は”男性”的でしたね。クリスへの恋心を確信してテンションがぐんぐん上昇してる感じ。だけどそれに対して藤原クリスは”音楽の天使”の存在を気にして不安そうな表情になってて。ここの二人の反応の対比が面白い。
岸ラウルはそんなこと夢にも思ってないから、部屋を出ていくときの「かわいいロッテ」の言い方とかめっちゃ弾んだ感じで思わず笑い声が漏れちゃいそうな勢いだった(笑)。

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♪ミラー♪~♪The Phantom of the Opera♪~♪The  Music of the Night♪

久しぶりに清水くんのファントムと再会しましたが、やっぱり抜群に歌が上手い。鏡の奥から朗々と響き渡る声が劇場全体に浸透して支配していく感覚がありました。

ミラーのシーンはオペラ座観劇が長くなったからかファントムの立っている位置が光が当たらなくても見えるようになってきた私www。いよいよ姿が現れるって時の清水ファントムは見た目、本当にゾクっとするほど冷たくて近づきがたい雰囲気があります。
ボートの上の動きは滑らかといった感じではなくてどちらかというとちょっと全体的に力が入ってるかなぁと。カクカクはしてないんだけど、なんか体全体からすべてを支配してやるみたいな引力めいたオーラがひしひしと伝わってくる。

隠れ家に着いてクリスティーヌが歌い出すと、興奮状態がさらにパワーアップ。自己陶酔が本当に凄くて…清水ファントムその場で爆発しちゃうんじゃないかといらぬ心配が過ったほどw。ハットを投げる時もブン投げてる感じだしマントの畳み方もめくれたまま置いちゃう、みたいな。クリスの声が高まれば高まるほど清水ファントムの内面が膨張していく感じで、自分の頭を撫でまわす仕草はおそらくこれまで見てきたどのファントムよりも一番濃厚だと思う。

MotNを歌い出す最初の音を出すまでかなり間を空けていたのも印象的。「どうか」から「静かに」の間がものすごく厳粛な空気が張り詰めていて、見ているこちらも息が止まってしまいそうになりました。あの部分で自分の燃え盛っていた内面の炎を鎮めていったって感じかな。
ここのナンバーの歌いっぷりも実に見事というか、圧巻というか。特にロングトーンの長さは天下一品ではないでしょうか。「心は空に高く」「く」の伸ばしっぷりがもう神の領域だよ、あれは。初めて見た人は相当ビックリすると思う。

クリスティーヌへのボディタッチは佐野さん級に艶っぽいです。妖艶です。見るだけでドキドキしてしまうレベルw。清水くん一番若いファントムなのにあの色気を出せるのは本当に凄いと思う。自分の音楽に必要不可欠なクリスティーヌという存在を催眠術にかけるかのように包み込んでいく仕草は特に艶めかしい。

作曲中の清水ファントムは静かなんだけどものすごいエキセントリックなオーラがムンムン出てる。このあと気絶したクリスティーヌが目を覚ましてファントムのマスクを興味本位に取りに行くシーンになるわけですが、今回それを見ながら…”クリスってホント勇気あるよなぁ”と感心してしまった(笑)。私だったらあの清水ファントムに近づいていくの(ましてやマスク取ろうなんて)絶対無理。あの領域に踏み込んでいくのすら足がすくんじゃうってレベルなので。

マスクを剥がされた直後の場面は清水くんは洋輔くんのような悲鳴をあまり上げてませんね。ところが、「これが見たいのか!?ちくしょう!!!」のシャウトが恐ろしいのなんの!!!怒りのボルテージがあまりにも突然ハネ上がってて、見ているこちらの心拍数も急上昇してしまうほど怖い!!!
特に「ちっくしょうっっ」は興奮状態の頂点まで達したかのようにその場にうずくまり頭を抱えながらありったけの声で叫んでてビックリしました。あれを目の当たりにしたら、クリスティーヌじゃなくても恐怖のあまり泣きだしてしまうと思うわ(汗)。「地獄に行けっ!!!」の叫び方も…尋常ではないシャウトっぷり!あの一言だけで地獄が見えてくるかのよう(怖)。

この後じりじりと倒れ込んだクリスティーヌの元へ接近していくわけですが、清水ファントムは彼女に胸の内を伝えるというよりも自分自身に強く意識が向いているのかなぁという印象が強かったです。「美しいものに焦がれる」といったフレーズも、どちらかというと自らに語っている感じ。あの場面を見た時、清水ファントムは他のファントムよりも内向的な傾向がひときわ強いのかもしれないなと思いました。
マスクを返してもらうまでの嘆き哀しみっぷりはこの世の終わりみたいな雰囲気だったのが、マスクをつけた後彼女を地上へと導く時には感情の消えた冷たい雰囲気に変わっていたのも印象深かったです。

♪ブリマ・ドンナ♪

平良フィルマンは本当に新聞飛ばしがカッコいい。今回もシャッ、シャッと気持ちがいい切れ味で袖に飛ばしていましたw。増田アンドレは演劇大好きって雰囲気がまろやかに伝わってきて観ていてとても微笑ましい。

吉田カルロッタは前回観たときはめちゃめちゃ勝ち気でプライドが高すぎる怖いお姉さんって雰囲気だったけどw、今回は怒る時に口をキュッとすぼめるようなキュートな表情も加わっていてちょっと可愛らしくなってました。特に「私よりもあのチビがいいのね?」とスネる時の表情はけっこうツボw。あのツンデレっぷりは永井ピアンジもメロメロになっちゃうわと納得です(笑)。

そして岸ラウル、もうクリスティーヌのことが心配すぎて気が気じゃないって感じがすごい。ファントムから届いた手紙を手に入ってきたときから心配やらイライラやらでピリついてて、ハットを脱ぐ時も机の上にバンっって叩きつけるような感じだった。終始心配顔で見てるこちらの方が「大丈夫か?」と気になってしまうレベルw。岸くんはこういった恋愛表現がホント感情豊かで見ていて飽きないしついつい感情移入してしまいますね。
あと、重唱シーンになってもしっかりと歌声が聞こえてくるのが良い。一つ一つの言葉をとても丁寧に感情込めて歌ってて好印象です。

♪イル・ムート♪

イルムートの場面はどちらかというと両方のボックス席に目が粋がちな私。支配人ゾーンでは増田アンドレがめちゃめちゃ楽しそうに前のめりで観劇しているのに対し、平良フィルマンが退屈そうにふんぞり返って座ってるのが面白いww。二人のテンションがまるで違う。平良フィルマンののけぞりっぷりなんかもう、そのまま横になっちゃいそうだったしww。

5番ボックスに座っている岸ラウルは演目そのものに対してはけっこう渋い顔して見てるので、内容的にはお気に召していない様子w。でも、ふとクリスティーヌに目をやった瞬間はものすごく優しい眼差しになるんですよね。「僕のクリス、最高だよ」っていう心の声がダダ洩れてきそう(笑)。あれはまさに、私の推し中心観劇姿勢と被るものがあるなと思ってしまうww。いつの時代も、推しはその人の一番ってことなんだろうなと。

バレエシーンの時のケインくん、相変わらず爽やかさ全開だったんだけど、この日はファントムの影を目にしてしまったことへの動揺が殊更大きかったような気がします。女子’sを宥めなきゃって気持ちと恐怖との板挟みになってめっちゃアタフタしまくってたなw。それが可愛すぎて思わずクスッとなってしまった。

♪All I Ask of You♪

藤原クリスはファントムの存在を感じ取ってひたすら混乱している様子がとてもリアルに伝わってきます。怯えが止まらなくてラウルの支えを振りほどいてしまったり、ファントムの隠れ家での一件が蘇り思いを寄せたり、はたまた幻聴を聞いて怖くて泣きだしたり。あんな姿を見たら何としても自分が支えなきゃって躍起になるよね。
岸ラウルは情緒不安定なクリスに翻弄されて、振り払われた時は「なぜ僕の方を見ないんだ!?」とばかりに思い切り動揺が表情に出ているのですが、それでも諦めずに彼女に寄り添おうと必死に距離を縮めようとする努力する姿ががなんだかとても涙ぐましい。

クリスティーヌが胸の中に飛び込んできた瞬間の岸ラウルはちょっと驚いたような表情をして抱きしめる手に躊躇いが見えたのが印象的でした。本当に自分に身を預けてくれたのだろうかと一瞬疑心暗鬼気味になっていたのかも!?
でも、心が通じていたと悟ってからはとても逞しく自信にあふれてて笑顔にも余裕が。その表情がとにかく幸せそうで…そんな岸ラウル見ると心の底から「良かったねぇ」と思ってしまう。大人の余裕と少年のような純粋でまっすぐな想いとが入り混じった感じで本当に魅力的。

その様子をエンジェル像から見ていた清水ファントム、さぞかし哀しんでいるかと思ったのですが…私が観た印象では怒りの感情の方が大きかったように感じたかも。「そのお返しがこれだというのか」のところは嘆き悲しむというより「なぜ私の気持ちを理解してくれないんだ」といった底知れぬ苛立ちが籠っているように聞こえたんですよね。
なので、「これほどの辱めを」と感情爆発させる流れが非常に自然でスムーズに思えました。悲しみに寄った苛立ちが嫉妬と憎しみが入り混じった苛立ちへと変化するって感じだったかな。

そしてなんと言っても驚きなのが「許しはしないぞ」「ぞ」のところのロングトーン。イルムートのカテコシーンでクリスティーヌが登場してきたあとまで続いててビックリ仰天!!あそこまでレベルを落とさずに声を持続できるって…、清水くん、いったいどんな肺活量してるの!??あれはまさに驚異としか言いようがない。
余談ですけど、あのロングトーンを聞きながら…清水ジーザスの「ゲッセマネ」が聴きたくなってしまった(前の公演で見た時すごかったの思い出してまた見たくなっちゃった)。

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♪マスカレード♪

増田アンドレと平良フィルマンが恐る恐る顔を見合わせてホッとする冒頭、なんか気品あふれたおじ様二人のやり取りにホッと安心感が漂います。あと、変装してる吉田カルロッタがやけに可愛らしい。

岸ラウルはもう笑顔が恋する青年そのもの。クリスティーヌを見つめる眼差しがキラキラしてて彼女を自分のものにできたことへの喜びにあふれている。それだけに、クリスが婚約を公に発表しないことに対して納得できない気持ちが他のラウルよりも強そうだなと思いました。
それでも、はぐれた後にクリスと再会できた時は満面の笑みで迎えててとにかく可愛らしい。どんなに気持ちがざわついてても、恋心に勝るものはないといったところでしょうかw。

清水ファントムのレッドデスはさらに冷たさと不気味さが増してゾクッとするような雰囲気に溢れてますね。ドンファンの勝利の楽譜飛ばしは両手でしたが、洋輔くんよりもビヤッと早投げしてる感じで油断したら落としちゃうかもって感じだったw。

♪支配人室2♪~稽古場

ドンファンの勝利の配役に怒り心頭のカルロッタとピアンジ。なんか、プンスカしてる吉田カルロッタがどんどんかわいく見えてくる不思議(笑)。

クリスティーヌは主役を演じることに拒絶反応を起こしますが、それを庇う岸ラウルがまた熱い!「嫌なら嫌でいいよ」と歌う時の他の人への睨みがめっちゃすごいかかってる(笑)。「嫌なら」のところからすごい勢いで支配人たちのこと威嚇してて面白かったなww。彼女のためなら自分が縦になるぞ!といった気迫がすごいです。

ところが、ファントムからの手紙を聴き終わった後に妙案を思いついてからはその熱さが違うところへと向いてしまうラウル。ここの岸くんの芝居がとにかく激アツ!!クリスティーヌを庇うよりもファントムを仕留める仕事人的なモードに変わり目が血走りまくってたw。まさに、「僕のクリスティーヌに指一本でも触れさせてなるものか!」といった感じ。
そんな恋人の豹変を目にしたら、そりゃクリスも恐ろしくなるわな。必死に止めに掛かろうとする藤原クリスでしたが、岸ラウルはものすごい目をしながら「大丈夫、大丈夫だからっっ!!」と熱血先生バリに説得(笑)。これ、いつもはマイクオフになってるんだけどこの日はしっかり声が乗っててハッキリ聞こえてきました。とにかく岸ラウルの気迫、半端なかった!!

最後の「任せてくれ」とクリスティーヌに懇願する時も興奮冷めやらぬ的な熱さで迫ってた岸ラウル。なんとしてもこの計画を実行したいという執念が伝わってきた。彼女がそれを拒絶して走り去ってしまった後の「今度災いが襲い掛かるのはおまえの方だ!!」の威嚇っぷりもすごい圧。いやぁ、でも、清水ファントムに対してはあれくらいのテンションで立ち向かわなきゃダメかもしれないなという説得力もありめっちゃ見応えありましたね。
余談ですが…「今度災い~」のラウルのセリフ、私の中ではいまだに「今度泣きを見るのはおまえの方だ」っていう旧演出セリフがこびり付いてて離れないんですよね(汗)。「災い」というワードを聞くたびに”あ、そうだった”と思うわけでw。

お稽古シーンではやっぱり永井ピアンジが癒しです。自分の歌う個所が分からなくなった時にカルロッタから教えてもらって「あ、そこね」みたいにニッコリするのが本当に可愛すぎ!!

それから、正しい音階で歌えないピアンジにヤキモキした林レイエに最後カルロッタが正しく歌って迫る場面。その勢いがすごすぎて林さんめっちゃ逃げてたけど、「それそれ!!」って言いながら後ずさりしてたの最高でした(笑)。久しぶりにレイエがカーラに正しい音程はそれだと指摘するシーンが見れて嬉しかったです。私はこのパターンが一番好き。

♪墓場(Wishing You Were Somehow Here Again)

藤原クリスティーヌの美しく凛とした歌声が特に映えるシーンでもあります。亡くなった父親を想いながら感傷に浸る場面でもありますが、彼女の歌声で聴くと清々しさが感じられるんですよね。もっと聞いていたい心地良さすらある。

十字架から出現した清水ファントムの歌声は柔らかく美しいのですが、自らの想いを伝えるというよりかはクリスティーヌの心を操る催眠術のような雰囲気が感じられました。自分の音楽(=ファントムの命)のためにどうしても必要な彼女の存在を繋ぎ留めたい情念みたいなものが漂ってた。
そこへ現れる岸ラウル、なぜクリスティーヌがファントムの声に惹かれていくのか分からず混乱している様子が手に取るように伝わります。最後の「たいせつなひと」のフレーズをすごく思いを込めて歌ってた。

そしてファントムvsラウルの対決になるわけですが…、清水ファントムの火の玉攻撃、めっちゃ怖かった(汗)!!火の玉の飛んでいく速度が洋輔くんよりもすごい直線的で速いんですよ。山なりにしないでラウルに当たるように直線的に繰り出してるので流れ星みたいに見える瞬間すら(汗汗)。それに対し燃えるような熱血クリスティーヌ愛で立ち向かっていく岸ラウル。この二人の対決、ホント迫力ありました。

あと印象的だったのがクリスがラウルと一緒に走り去った後の清水ファントム。「行くな!」はあまり悲壮感がない叫び方だったんだけど、そのあとの「よぉし、そのつもりならば覚悟しろ」のセリフのところで冷たい笑い声を発してたんですよ。あれもゾクゾクっときたなぁ。すごい猟奇的な笑いっぷりだった。

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♪The Point of No Return♪

最近は安心して見ていられると思っていたピアンジのカーテン閉め。このところ永井さんもコツを掴んだからかイイ感じにシャッと引っ込んでたのですが、今回は掴む位置をうまく手繰れなかったようでカーテンの上の部分がちょっと開いたままになってしまう事態にw。久しぶりにカーテンちょい失敗場面見た(笑)。中が見えないように必死に中央で止めてる様子が見て取れてちょっとハラハラしました(あれはスタッフさんが抑えてるのかな)。
でもまぁ、一時期は黒ファントムが待機してるのも見えちゃう時もあったので(汗)それに比べたらOKってことで。永井ピアンジ、胸が高鳴りすぎてカーテン掴みそこなっちゃったのかもと思えばなんだか面白可愛くて許せてしまう(笑)。

舞台上に登場するアミンタ役のクリスティーヌはめちゃめちゃ女優だなと改めて感心してしまいます。少し前までは「できないわ!」と拒絶して泣きそうになりながら飛びだしていったのに、どう気持ち切り替えてあの場所に立ってるんだろうと改めて不思議に思ってしまったw。いやほんと、藤原クリス、妖艶に堂々としてるからなおさらですよ。何かラウルからの魔法の言葉でもあったのだろうか、なんてw。

清水ファントムは黒マント姿で登場しクリスティーヌと対峙している時は比較的静かな印象でした。まるで影のようにジワジワとクリスに寄り添っていく感じかな。でも、最短距離に彼女が近づいて離れた後は徐々に感情の昂りが表に出るようになって、最終的に我慢が効かなくなる。クリスの両手を掴み自分の元へ顔を引き寄せていく時の引力の強さがめちゃめちゃ凄そうだった。あれは逃げられない(汗)。

黒マントを剥がされた瞬間の清水ファントムは驚きというよりも苛立ちの感情の方が大きい印象。クリスティーヌの行動が理解できず「なぜ私を貶めるような行動ばかりするのだ」と責めそうな雰囲気が漂ってた。その目に対峙する藤原クリスの視線もすごい熱を帯びててこの場面はゾクゾクしましたね。見つめ合ってる時間がすごく長く感じられたほどだった。
その後一度後ろに下がり呼吸を整える清水ファントム。その後指輪を外しながら彼女に迫るわけですが、「共にどこまでも二人で」の歌いっぷりが凄かった。自分の人生にはクリスティーヌの存在がどうしても必要不可欠なのだといった情念がメラメラ漂ってきて怖いくらい。マスクを剥がされた後はまるで野獣の様に吠えて威嚇しながらクリスを連れ去ってたのも印象深かったです。

♪怪人の隠れ家♪

無理やり隠れ家へ引きずり込まれたクリスティーヌが「飢えた悪魔の餌食の私」とファントムを罵る場面、清水ファントムはその間もずっと追手のことばかり気にしていて落ち着きがなく彼女の言葉が耳に入ってきていない様子でした。このあと「血に呪われた運命」と歌い出すわけですが、彼女の言葉の意味を受けてというよりも、彼女が何か自分に否定的なことをぶつけてきたのだろうと把握したうえでの反論といった感じに見えたかも。

「醜く歪んだこの顔」と自分を卑下し過去を涙ながらに歌う場面の清水ファントムはめちゃめちゃ哀しかったです。あの歌声の中に彼の辿ってきた残酷で絶望的な人生が詰まっていて、聴いているこちらも苦しくなってきてしまったよ…。
「哀れみはいらぬ」と再び頑なな態度になった清水ファントムの耳にはクリスティーヌの「穢れは心の中よ」といった声は届いていない。自分だけの殻に入り込んで外の世界をシャットアウトしてしまうような感じ。

クリスティーヌを助けにやって来た岸ラウルとそれを迎え撃とうとする清水ファントムのやり取りもめちゃめちゃスリリングでしたね。特に「情け知らず」と罵るラウルに「情けなど知らない」と恐ろしい形相で叫ぶ清水ファントムは背筋が凍るほど恐ろしかった。
ラウルの首に縄をかけに行こうとしてる時の清水ファントムはまるで悪魔のよう。縄をかけた後クリスを恫喝する時も敵意剥き出しで…見てるこちらの心臓も止まりそうになるレベル(汗汗)。どちらかというとホラー的な空気が漂っていたようにも…。

その後の攻防もとにかくすごい迫力で…圧倒されすぎてちょっと記憶が飛んでしまったほど(汗)。クリスティーヌに対する想いの念がファントムもラウルもそれぞれすごく強力で。そんな二人の間に響き渡る藤原さんの凛とした声がなんだか救いのようにも感じられましたね。

究極の選択をクリスに迫った時の清水ファントムの「選べ!!!」怒号に近い。でも彼女はその言葉の内側にあるファントムの心の孤独を嗅ぎ取っていてキスという究極の行動に出るわけで。二度目の口づけの時には清水ファントム本当に彼女を抱きしめてしまいそうになるくらいまで手が動いてたのがすごく切なくて泣けました。そして、そんな二人を苦悶の表情で見つめ目を逸らす岸ラウルもひたすら哀しかったです…。
キスを受けた直後の清水ファントムは彼の中にまとわりついていた負のオーラが削ぎ落され「無」の状態になったよう。おそらくあの時彼は何の気配も感じていなかったのではないだろうか。漆黒の闇の先にわずかに見えたかすかな光を求めてただ茫然と歩みを進めていくといった雰囲気にすごく心打たれるものがありました。

クリスとラウルを逃がす決断をしたときの清水ファントムは相変わらず激しい口調なんだけど、キスをされる前のような冷酷さや怒りといった感情とは違う印象が強い。血が通った人間が放つ叫び声といった感じかな。猿のオルゴールに向かって♪マスカレード(リプライズ)♪を歌うシーンは、他のファントムよりも近づいていくまでに時間がかかってました。離れた距離のままオルゴールを見つめながら呆然と歌って、「この人生」のところでようやく傍に行きその顔を手で隠すといったリアクション。そこにファントムの切ない内面が滲み出てるような気がしてグッときましたね。

指輪を返しに来たクリスティーヌに向けて愛を告げる場面の清水ファントムの歌声はとても柔らかく温かい。あの時彼はようやく”人間”の心を宿すことができたのかもしれないなと思えて泣けました。去り行くボートの存在を感じながらクリスティーヌが投げ捨てたベールを胸に搔き集めそれを抱きながら泣く姿もめちゃめちゃ切なかったです。

後述

今回のカーテンコールは通常バージョンではありましたが、それでもかなり激熱で盛り上がりました。

注目したのは岸くん。「役を引きずってなかなか笑えない」なんて苦笑いしてたけど(←スタンプ特典のインタビューで語ってた)、この日見たらめちゃめちゃ良い笑顔!!以前はあんなに笑ってなかったぞww。カテコ笑顔のテンションに持っていくの大変みたいなこと言ってたけどww、だんだん慣れてきたという事なのかな。まんべんなく爽やか笑顔振りまいていてめっちゃ癒されましたわ。

あと、清水くんがすごい落ち着いた紳士的な雰囲気でスッと舞台中央に立ってる姿がとても美しかったですね。ファントム役者の中では一番若いけど一番大人っぽく見えるかもしれない(佐野さんは別格として)。

終演後のオフステージトークイベントレポは次の記事にて。

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