ミュージカル『スクルージ』2022.12.14ソワレ (特別カーテンコール有り)

ミュージカル『スクルージ』を観に東京まで遠征してきました。先週に続いての東京ということでけっこう無謀な計画になってしまいましたが(汗)この作品だけは個人的に絶対に欠かせないので(ちなみにこのあと年末の里帰りしてきましたw)。

1997年に初めて観て大号泣させられたあの日から、毎回上演が決まるたびにチケットを取っています。関東に住んでいた時期は当日券に並んだほど何度も観に行っていたほどw。一度あの心があり得ないほど震える体験をするともう抜け出せない!みたいな。ミュージカル『スクルージ』は私にとってはそういう作品です。
地方にもツアー出してほしいんだけど…(前回公演の時にも同じことを思っていたのですが)、今年もその願いは叶わずで遠征観劇ということになりました。まぁ、クリスマスの時期に上演するということで色々と劇場の折り合いも難しいのでしょうが、いつか実現させてほしい(初演の時は関西で上演中に阪神大震災が起こってしまったんでしたよね。あれ以来関西には来ていないみたい…)。

劇団ひまわりからホリプロに制作が移ってからは3~4年おきの上演となりました。引き継がれるまでの空白期間がめちゃめちゃ長かったので(約14年!!)定期的に公演を観られることになったのはとても喜ばしいことです。
ホリプロ版になってからだいたい1公演に付き2回は劇場に足を運んで観劇していたのですが、今回はどうしても都合がつかずこの1回のみ。それゆえに特別カーテンコールがあるというイベント日を狙ってチケットゲット。カテコのレポは最後にちょこっと触れたいと思います。

ちなみに、クリスマスシーズンということで日比谷の街がライトアップされていてとても奇麗でした。先週の赤坂とはまた違った雰囲気だったのも良かったなぁ。

シンプルだけど色合いがとても美しい劇場へ続く道。写真を撮る人も多く賑わっていました。

これまでの「スクルージ」感想一覧

以下、ネタバレをたくさん含んだ感想になります。

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2022.12.14 ソワレ in 日生劇場(東京・日比谷)

主なキャスト

  • エベネザー・スクルージ:市村正親
  • ボブ・クラチット:武田真治
  • ハリー / 若き日のスクルージ:相葉裕樹
  • イザベル / ヘレン:実咲凜音
  • トム・ジェンキンス:神田恭兵
  • ジェイコブ・マーレイ:安崎求
  • クラチット夫人 / 過去のクリスマスの精霊:愛原実花
  • フェジウィッグ夫人:今陽子
  • フェジウィッグ/未来のクリスマスの精霊:阿部裕
  • 現在のクリスマスの精霊:今井清隆
  • ティム:奥田奏太

今年の子役さんたちも元気いっぱい生き生きしていてとても楽しませてもらいました。私はあまり子供が多く出てくる作品を好んで見には行かないのですが、この作品だけは別。彼らの屈託のない笑顔や無垢で穢れのない真っ直ぐさが見る者の心を温かくしてくれます。みんな本当にお芝居が自然で上手い。

その中でもやはり注目したいのがティム役の子役さん。クラチット家の末っ子の男の子であるティムはこの作品の中でもとても大事な役ですが、奥田奏太くんは無垢な可愛さ且つ儚い雰囲気があって何度も涙を誘われました。特にクライマックスでスクルージの元に自力で歩いていく姿が本当にいじらしくてねぇ…。あの一生懸命な姿に思わず涙が溢れてしまったよ(泣)。

ティム役は過去には北村優くんや加藤憲史郎くん(清史郎くんの弟)も演じていました。北村君は現在劇団四季でメインを張れる役者として頑張ってるし、憲四郎くんも少年から青年へと着実に成長を重ねています。奥田君も将来この道に進むとしたら、とても良い俳優さんになるんじゃないかな。

あらすじと概要については2019年公演の感想を参照

上演時間は約2時間45分。内訳は、1幕75分(1時間15分)、休憩20分、2幕70分(1時間10分)になります。時間だけ見ると少し長めに思えますが、私の体感としてはボロボロ泣いている間にあっという間に終わってしまうといった感じ。優しさと愛情に満ちた豊かな時間を是非多くの人に体感していただきたいです。

なお、ミュージカル『スクルージ』の生みの親(脚本・作詞・作曲)であったレスリー・ブリカッスさんは昨年10月に惜しまれつつ天国へ旅立たれてしまったのだそうです…。パンフレットには日本初演から主演を務めている市村正親さんの追悼文が掲載されていました。

ブリカッスさん、素晴らしい作品を遺して下さり、本当に本当にありがとうございました(涙)。

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全体感想

1997年にあまりに号泣してしまった自分に衝撃を受けてから毎回観に行っている作品なので(2013年と2019年の感想はこちら。2015年は書きそびれてますが行ってますw)、もう殆どの場面の段取りやナンバーの歌詞、台詞などが頭に入ってて”次に何が起こるのか”も分かってしまってる私(笑)。それでもやっぱりこれだけは”生の舞台で”観ることにこだわりたい。

この作品は”不変”であるところも大きな魅力であると思います。今回もセットは前回見た時と変わっていませんでした。ナンバーも増えたり減ったりということがないし、段取りもセリフも初演とほとんど変わっていなのではないかと(少なくとも97年当時からの大きな変更点は見られません)。
こうやってずっと伝統を引き継ぐようにあえて”同じ雰囲気”を保ちながら上演し続ける作品というのはとても珍しい。『スクルージ』の場合は、”変わらないからこそ”の美しさや尊さを感じられる数少ない作品です。出来れば今後もずっとその歴史を紡いでいってほしいです。

今年の公演も本当に大いに泣かされたなぁ…。年齢を重ねて観るたびに涙するタイミングが早くなってきたような気すらしますw。それほど大きく心を揺さぶられる『スクルージ』。特に印象に残ったシーンを振り返ってみたいと思います。

オープニングの♪クリスマスキャロル♪はもう、最初の音楽が流れだした瞬間から涙腺がぶわっと緩んで涙涙な状況に。今回めちゃめちゃ間近で観れたこともあってか、カンパニーの皆さんの生の美しい声が直接胸に響いてきて泣けて泣けて仕方なかったです。あの雰囲気の優しさと温かさがほんっと沁みるんだよねぇ…。
そして歌が終わった後アンサンブルさんたちがハケると、暗い事務所が登場して一気に物語の世界へと惹き込まれていく。ここの演出も絶妙です。オープニングの明るさとは真逆の雰囲気の中にスクルージが存在していて、反対側にはちょっとびくびくしながら仕事をしてるボブがいる。明と暗のメリハリが効いているのがすごく良い。

甥っ子のハリーが訪ねてきて「クリスマスパーティに来てくださいよ」と誘いをかけても決してそれに乗ろうとしないスクルージ。でもどんなに邪険にされても明るい笑顔で接し続け「どうして僕たち友達になれないんですか?」と尋ねるハリーの姿がイジらしくてちょっと泣けるんだよなぁ。あの笑顔には決して嘘がないって伝わるから。
面白かったのは、ハリーが帰った後に就業終了の時間が訪れ時計の音が鳴る場面。スクルージが全くそれに耳を傾けないなか、ボブが「鐘が聴こえてきたなぁ」みたいなリアクションを地味に取り続けててww。この動きに気づいてほしい的な気持ちがダダ洩れてたのが可愛かった(笑)。

仕事を終えた帰り道にスクルージが文句を並べたてながら歌う♪嫌いだね人間なんて♪は、彼と町の人達との関係が一番良く見えてくる場面。ここで見るスクルージは本当に”悪徳商人”そのものでめちゃめちゃとっつきにくい(物乞いの女の子からお金を取るシーンなんかは特にひどい)。ただ、町の人たちもスクルージから借りているお金をなかなか返さない(返せないっていう状況もあるんだけど)ところもあるので微妙かなとは思うんですけどねw。スクルージが”悪”とされているのは、お金を貸す職業をしてること自体ではなくてお金を借りた人に法外な利息を課してしまってること。まぁ、今でいう”闇金”的なことやってたというところがダメなわけで。
でも、人との交流を遮断して孤独になった彼が最後に縋っているのが「金銭」だというのが哀しいところではあるんですよね。それゆえ、歌の最後に吐き捨てる「ヘンっっ!!バカバカしい!!」という言葉が今回はちょっと寂しげにも聞こえてしまった。

ちなみに、スクルージが登場してくる前に町の人たちがささやかな交流を繰り広げる場面があるのですが(♪クリスマスの子供たち♪)、ここで今井清隆さん演じる男性と愛原実花さん演じる女性がカップルで買い物をしてるんですよね。この二人、その後のシーンでスクルージと深く関わる役を演じているので…その前の姿を見るだけでなんだかブワッと涙腺が緩んでしまいました(涙)。

町の雰囲気とは全く違う暗く冷たい部屋にスクルージが戻ってくる場面。ここはもう市村さんの独断場で。スクルージが帰ってきてから身支度を整えて落ち着くまでの行動は最初にこの作品を観たときから全然変わってない。それゆえに次に何をして…みたいなルーティーンが読めちゃうわけですが(笑)それでもなんだか魅了されてしまうんですよね。ここのスクルージの動きがとにかく可愛らしくて面白い。張り詰めた空気の中でもどこかクスリとさせる柔らかみを見せてくるところがさすが市村さんだなと思いました。

マーレイの亡霊が突然現れる場面、最初に見た時はその登場にめちゃめちゃビビったのですがww今ではもう段取りが読めてるので「よし来た!」みたいな余裕をもって見れるようになりました(笑)。あの場面、マーレイの登場場所もちょっと予想外のところから出てくるので面白いんですよね。
幽霊を決して信じようとしないスクルージに恐ろしい形相で忠告するマーレイ。それに対してスクルージが浮いてる彼の姿を見て「足がちょっとプルプルしてる」とイジる場面は相変わらず可愛くて面白く、客席からも大きな笑いが漏れてきました。私も初めて見るシーンじゃないのに思わず吹き出しちゃったよww。あの時の市村さんと安崎さんのやりとりが絶妙なんだよね~。

♪精一杯、この世で生きろ♪と化け物仲間と一緒にスクルージに忠告しまくるマーレイ(化け物たちの迫力も見所の一つ)。ここは視覚的にちょっと楽しめるシーンでもあるけれど、歌詞を聞くと今の世の中にも通じるような教訓がちりばめられていてドキリとします。特に「この世で精一杯生きないと来世はもっと悲惨なことになる」というフレーズがとても印象深い(「もっと♪」の安崎マーレイの歌い方がラップ的で面白いんですけどねww)
いったんマーレイたちが去ったあと、スクルージが恐ろしさのあまり思わずやってしまっていた行動がこれまた可愛いww。何度も見てきたけど、やっぱり今回も萌えてクスッと笑ってしまった。

3人の精霊の訪れを告げた後マーレイは消え去ってしまうのですが、そんな彼に縋るように「まだ話したいことがたくさんあるんだ」と引き留めようとするスクルージの姿がめちゃめちゃ泣けました…。あんなに彼の登場を拒絶しているように見えたのに、本当は話し相手になってくれる友人が現れてくれたことに悦びを感じてしまっていたんですよね。そこにスクルージの底知れぬ孤独や寂しさが滲み出ていてめちゃめちゃ切なかったです(涙)。
それでも彼は人恋しい気持ちを斬り捨てるように♪わしのせいじゃない♪と心を閉ざしてしまうわけで…。「神から授かったこの体」のシーンで恥じらいを見せる行動をするのは可愛いんだけどねw。

マーレイの予言通り午前一時に一人目となる「過去の精霊」が登場。美しい女性の姿をした精霊に思わず鼻の下を延ばしてしまうスクルージの素直さが可愛いのですがww、そんな余裕はすぐに消え去ることに。彼女が見せていくのはスクルージの子供時代から青年期にかけての過去の姿。大好きだった妹との別れ、そして時を経て出会った愛する人との楽しい時間。
青年期のスクルージ(エベネザー)は心を閉ざしがちだったけれど、職場環境や人間関係には恵まれていたのは救いだなと思います。温かい人たちに囲まれていたから道を踏み外さずにいられたのかなとも感じたかな。そしてそこでイザベルという美しく優しい女性と出会い恋をする。

エベネザーとイザベルが心の距離を縮めていく♪しあわせ♪の場面は何度見ても号泣してしまいます。プロポーズを迷っている若き日の自分に思わず近づき彼女の方へそっと背中を押してやるスクルージの姿は涙無くしては観れない(泣)。二人が結ばれる姿を複雑な表情で見守るスクルージと、そんな彼を少し離れた場所から見つめていた過去の精霊が切なすぎて胸がギュっと苦しくなってしまうんです…。これはたぶん、その先の展開を知っていればこその感覚かもしれません。
やがて時が経ちエベネザーの仕事が軌道に乗った頃、イザベルとの関係が崩れていってしまう。彼女のことを大切に想いながらも、お金に纏わる仕事に執着してしまうエベネザー。彼の気持ちがお金に傾いていくほど自分に対する想いも軽いものになってしまったと直感してしまったイザベルは本当に辛かったと思う(涙)。

イザベルがエベネザーに「もし今あなたが私と会ったら私を愛してくれた?」と問いかけた時に「愛するよ!」と即答したのは現在のスクルージだったというのも本当に切ないです(涙)。当時の自分が即答できなかった言葉を今やっと言えたというのがたまらなく辛い…。その声は彼女には決して届くことはないと知りながらの行動だけに…。
イザベルが婚約指輪をエベネザーに返したシーン、ここでスクルージは若き日の自分に「なんか言えよ!」と必死に促すんですが、今までは市村さんのセリフに客席から笑いが起こることが多かったんですよね。だけど私が観劇したこの日は笑いが起こらずシンとして聴き入ってた。その雰囲気がすごく良くてまた泣いてしまったよ…。あの場面はこれまでどうしても私は笑えなかったので、今回コメディっぽい空気にならなかったのが嬉しかったです。

イザベルは「あなたが選んだ人生であなたが幸せになることができますように」と告げて去って行ってしまう。その背中を追いかけることができなかった若き日の自分に「バカ者!!!」と泣き叫ぶスクルージの姿にまた涙涙…。お金に対する執着心を捨てられずに愛する人を手放してしまった過去。それを悔いてももう元には戻せない。心の底から愛した人を去らせてしまった後悔を滲ませながら過去の自分と歌う♪君…君…♪は涙無くしては聴けません(泣)。このナンバーがまた有り得ないほどドラマチックで美しいのでなおさらなんだよねぇ…。

過去から現在に戻り泣き崩れるスクルージに対し、過去の精霊は「あなたはなぜ甥のハリーを愛さないの?」と意外な質問を投げかけてくる。その言葉にハッとした彼は、彼女の本当の正体をその時に初めて知るのです。ここのシーンも本当に反則だろう!!ってくらい胸揺さぶられるんですよね(涙)。
過去の精霊は「過去はもう取り戻せない。だから大切な人に愛情を隠してはいけない」と言い残しスクルージの元から去って行ってしまいます。その正体が明らかになった後に聞くその言葉の深さと重さに涙が止まりません…!!そして「わしを一人にしないでくれ!!」と泣き叫ぶスクルージの姿も哀しすぎて号泣…!!このあと哀しみを振り払うような♪わしのせいじゃないリプライズ♪のナンバーが入ってくるところがこの作品のニクいところで…。今回もほんっとに泣かされました(涙)。

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午前二時に現れたのは「現在の精霊」。巨大クリスマスツリーと共に豪快に登場するこの場面は”過去”のシーンと打って変わってワクワクした気持ちにさせてくれます。ここもずっと変わらずそのままの演出ですが、何年経っても色あせませんね。
現在の精霊とスクルージの丁々発止のやり取りは観ていてとても楽しい。スクルージが”ああ言えば”現在の精霊も負けずに”こう言う”みたいな。市村さんと今井さんの息の合ったやりとりが最高です。特に1幕クライマックスでスクルージが嫌々ながらも”幸せのしぼり汁”を飲む場面は面白い。あれ毎回思うんだけど、めっちゃ美味しそうなんだよなぁ。私としては今年も”イチゴミルク”的な飲み物を想像してしまうんですがww実際はどうなんだろう。

ここで印象深いのは、現在の精霊が「人生が女なら妻にしよう、好きだから」と歌うフレーズ。この表現力は独特で面白いなと思ってしまいます。それに対し最初は「わしは人生が嫌いだ」と答えるスクルージ。驚いた現在の精霊は強引に「好きさ、人生」と歌わそうとする。ここの攻防戦も面白くて好きです。どんどん二人が気の合う親友同士に近づいていってるようにも見えるんですよね。孤独だったスクルージの心に明るさがともる瞬間でもあるので個人的に好きな場面のひとつ。
”幸せのしぼり汁”を気に入ったスクルージと町に繰り出しどんどんテンションが上がっていく1幕ラストシーン。町の人たちはクリスマスの訪れを感じ楽し気に歌を歌っていて、その光景をバックに現在の精霊はスクルージにある仕掛けをします。この作品一番の盛り上がりのひとつにもなっているわけですが、もうなんか、心が震えまくって私は泣きながらそれを見てしまう。なんでか分からないけど無性に心がジーンときちゃって…年を取ったということかなぁ。

2幕はカンパニーの皆さんによる厳かで素敵な♪クリスマスの願い♪からスタート。この歌の響きがとにかく美しくて尊くてやっぱり涙が止まらない。まるで教会で賛美歌を聴いているような気持になって自然に涙が零れて仕方なかったです(泣)。

そこからのスクルージと現在の精霊とのやり取り。ウィットに富んだ会話が展開されるのですが、現在の精霊がちょいちょい皮肉なセリフで突き刺してくるのが印象的です。二人が訪れたのはボブ・クラチットの家。そこにはささやかだけど幸せな家族の姿があった。
ここで面白いのが、「スクルージさんに感謝を捧げよう」と真顔で告げるボブに対してクラチット夫人が「はぁ!???」と思いっきり否定的に食らいついてくる場面ww。夫人の役を過去の精霊を演じた愛原さんが演じてるんですが、全く違う肝っ玉母ちゃん的な雰囲気でめちゃめちゃ面白く毎回笑ってしまいますww。夫人からすれば、ダンナの給料をいつまでたっても上げないスクルージに感謝するなんてありえない話なので猛反論する気持ちはよく分かる。で、それをスクルージが間近で聞いてしまうってところがこの作品の面白いところなんですよね(笑)。家族からはその姿は見えていないというのが不幸中の幸いというわけw。

そして何度見ても涙が出てしまうのが、クラチット家の末っ子・ティムの存在。ティムは体が弱く小さな体を常に松葉杖で支えなくては立てないような状況です。そんな彼が健気に家族の前で歌う♪美しい日♪は本当に胸揺さぶられて涙が止まりません(泣)。幼いながらも家族に自分の病気のことで心配をかけまいと穏やかで優しい表情で歌う姿に胸が詰まる想いがしてしまう…。
そして、脇で聞いていたボブが思わずそっと涙を拭っている姿がこれまた泣けるんです…。ボブは今の状態のままではティムの命が長くないことを悟ってしまっていて、その辛さを一人で抱えてるんですよね(涙)。その本心を隠して皆の前で明るく振舞ったりスクルージに感謝したり…ボブの懐の深さと心の広さには本当に泣かされてしまいます。

クラチット家のクリスマスイブのひと時を目の当たりにしたスクルージは、これまで自分がしてきたボブへの仕打ちを顧みて初めて心を痛めてしまう。ボブが自分のことを本当に慕っていてくれたのだと知ったことも衝撃だったと思います。それまで子供に対しても冷たい態度を貫いてきたスクルージが、ボブの愛息子であるティムの命を救いたいと願ってしまった場面はとても印象深い。

現在の精霊はさらにハリーのクリスマスパーティの現場にも案内する。そこに参加している人にはスクルージの姿が見えていないので、彼はハリーの友人たちがこぞって自分の悪口を並べ立ててる現場に出くわしてしまうw。この時のチグハグしたやり取りがめちゃめちゃ面白くて毎回笑ってしまいます。
でも、皆がスクルージについての悪口をまくし立てるなかでハリーは「なぜか僕には古びた屍の中には外に出たいと戦っている別の男がいると思えるんだ」と告げます。叔父のやり口には疑問を感じつつ、本当はもっと違う一面が隠れているはずと信じてくれている甥の言葉に動揺を隠せないスクルージ。ハリーは他の皆がスクルージを毛嫌いし続けているなか、叔父が”本来の自分”を取り戻してくれる日が必ず来ると信じ続けてきたのかもしれないなと思うとなんだかとても切なくなってしまいます。ハリーはスクルージが愛した妹の息子だということも影響してるんだろうなと思いました。

パーティーでは♪牧師さんの猫♪という言葉遊びで大盛り上がり。皆からは見えないながらもスクルージも「この歌をわしは知ってるぞ!」とその輪に入って大はしゃぎ。言葉が出ずに終わってしまったハリーに対して「お前は間抜けだ!!」とツッコミ入れたりしてゲームを楽しんじゃってる。この声は聞こえないはずなのにハリーが「マヌケだ!!」と答えを導き出すシーンは面白いです(でも、他の皆は英単語で答えてるのにハリーだけ「M」で日本語の「まぬけ」が浮かぶっていうのはちょっと違和感!?なんて毎回思っちゃうww)。
ゲームが終わって暫くしてから解散していくハリーの仲間たち。自分の悪口を言いまくってた彼らに悪態をついてたスクルージでしたが、いざ別れの時間が訪れると「もうお帰りですか…」ととても寂しそうな表情を見せてしまう。この落差がまた切ないんですよね(でも、特に悪口を言ってた仲間の二人にはイタズラしちゃうところがチャーミングなんだけどw)。幸せそうなハリーとヘレン夫妻の背中を見つめながら、かつての自分とイザベルの姿を重ね泣きそうになってしまうスクルージの姿がこれまた切なくて泣けます(涙)。

スクルージとの時間の終わりを察した現在の精霊は「やりたいことの全てをやれる試しはないからこそ、人生を精一杯生きる。それがコツなのだ」と説きます。泣きながら「まだ話したいことが山ほどあるんだ」と縋ろうとするスクルージに「人の一生は短い。ある日突然お前はもうこの世にはいない」と最後に告げた言葉は観る者の心にも突き刺さります…。年齢を重ねるごとに現在の精霊の去り際の言葉の重さが心にのしかかってくる。
再び孤独な時間が訪れたとき、スクルージはそれに耐えきれず泣きながら「よりいい人生、わしにもあるのか!?」と歌う(♪より良い人生♪)。その心の痛みがこれでもかというほど伝わってきて、この場面も涙なしには見れません(泣)。実は孤独を人一倍恐れていたスクルージの姿がありありと見えてくる…。それをずっと必死に否定しながら生きてきたわけで、どんなにか辛かったかと思うと本当に胸が痛みます。

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午前三時、最後に現れた「未来のクリスマスの精霊」は口を利かない巨大で恐ろしい姿として現れる。スクルージは悲惨な未来を見に行くことを覚悟しながら導かれるまま町に出るのですが、そこには「スクルージさんに感謝!!」と狂喜乱舞する人々の姿があって驚いてしまう。
人々を扇動していたのはスープ屋のトム・ジェンキンス。スクルージには金銭問題で煮え湯を飲まされ続けてきた彼は喜びを爆発させながら♪サンキュー・ベリーマッチ♪を歌いまくっている。毎回このシーンは非常に複雑な心境で見てしまいますねぇ。ナンバーはめちゃめちゃ陽気で楽しい旋律なのですが、その裏に潜んでいる本当の意味を察しながら聞くと実に恐ろしく思えてくる。陰と陽の両面を含んでいるところが実にニクイなぁと。

しかし、スクルージは「町の人たちは実は自分のことを好いていてくれたのだ」と感じて胸躍らせながら大はしゃぎ。「わしへの感謝は控えめにお願いします」とか言っちゃって満面の笑みを浮かべてる。町の人たちがなぜあんなに喜んでいるかを察しながらその場面を見るともう本当に何とも言えない気持ちに苛まれる…。
歌が一番盛り上がったところで”種明かし”的に「アレ」が出てくるんですよねぇ…。でもスクルージは最後まで気づかなくて幸せな気持ちになっちゃってるし。うーーん、なんか、なんも言えねぇ…みたいな(汗)。

次に未来の精霊が連れて行った場所がクラチット家。現在の精霊と見に行った時の雰囲気から一転、暗く沈んだ家の空気に嫌な予感が過る。夫人と子供たちの会話がこれまた悲しすぎて涙涙ですよ…。泣き崩れそうになるのを必死にこらえている彼らの姿は涙無くしては観れません。
さらにその次の「墓場」の場面がもう辛すぎる!!小さな十字架の前でティムが歌っていた♪美しい日♪を引き継ぐように歌おうとしたボブが耐え切れず泣き崩れている姿はあまりにも痛々しい。健気に家族の前で歌っていた坊やの姿が目に焼き付いているだけに、スクルージが見た未来の世界はあまりにも残酷です(涙)。そして彼はもうひとつの墓石を見て大きな衝撃を受けるのです。この時初めて町の人たちが♪サンキュー・ベリーマッチ♪と感謝の歌を歌っていたのかを悟るスクルージの場面は胸が引き裂かれるような気持にさせられてしまう(涙)。自業自得と言えばそれまでなんだけど、その一言では片づけられない感情が沸き起こって涙が止まらないんですよね…。

未来の恐ろしい光景を目の当たりにしたスクルージ。悪夢にうなされたように叫びながら目を覚ました時には元の世界に戻っている。その日はちょうど”クリスマス”当日。生きていることに感謝しながら「生まれ変わるチャンスを与えられたのだ!」と胸震わせて歌う♪もう一度始めるぞ♪のナンバーは本当に号泣に次ぐ号泣で…嗚咽しそうになっちゃったよ(涙)。毎回このシーンはボロ泣きしてしまうのですが、今回もめちゃめちゃ泣きました。すべての重荷から解放されたように心が軽やかになったスクルージははやる気持ちを抑えきれず窓を開けて「メリー・クリスマス!」と叫ぶ。あんなにクリスマスを忌み嫌っていた彼がクリスマスを祝う気持ちで叫ぶ心境に至ったことが本当に感動的です。
さらに泣けるのが、そんなスクルージを優しい眼差しで見つめ満足げに飛び去って行ったマーレイ過去と現在の精霊が温かな視線で見守っている姿が見える場面。あれはもう本当にさらに涙を誘いますよ(泣)。マーレイはこれを機に鎖から解き放たれるのではないかと勝手に想像してしまいます。っていうか、そうあってほしい!!マーレイのおかげでスクルージは自分の新しい人生を始める決意をすることができたのだから。

クリスマス当日の町へ飛び出したスクルージは、少し恥ずかしい気持ちを残しながらも出会う人々に「メリー・クリスマス」と告げて回る。これまでとはあまりにも変わり果ててしまったその姿に最初は戸惑い驚きまくっていたみんなも、次第にそれを受け入れていく。この寛容さも心温かくなるエピソードのひとつです。まるで新しく生まれ変わったスクルージを祝福しているようで胸が熱くなる。

さらに泣けるのは、スクルージがおもちゃを持参してクラチット家に訪れる場面。「奥さんには現金!!」のところは大爆笑が起こるのですがww、その直後のティムとの交流は涙無くしては観れません(泣)。また、ボブがスクルージに告げた「あなたを信じます、全てを信じます」というセリフも本当に泣ける(直前の「スクルージさん、気が変になっちまった!」と大騒ぎするのは笑えるけどw)。
そしてもうひとつ、ハリーとヘレンとの再会のドラマ。ここでスクルージは二人の姿を叶うことがなかった過去の自分と重ねながら、ヘレンに「ある物」を託すんですよね…。これがまためちゃめちゃ泣けるんですよ(涙)。あの瞬間にスクルージ自身も本当の意味で救われたのかもしれないなと思うとなおさらこみ上げてきてしまう。

あと、スクルージが見た未来では残酷な意味で歌われていた♪サンキュー・ベリーマッチ♪のナンバーが2幕クライマックスではそれとは全く違う喜びと希望にあふれた意味で歌われるのが私は大好きです。丸でスクルージの新しい人生を祝福しているよう。歌詞は同じなのにこうも印象が変わるというのが本当に凄いと思います。
それから、町の人たちがいったんそれぞれの場所へ帰るために舞台からいなくなっていくシーンもグッときます。一番最後に去る人物が”あの人”というのが意外でもあり温かくもあり…、ここも泣けるポイントのひとつなんですよね(涙)。

ラストシーンでのスクルージの独白はもう、嗚咽レベルで泣けます!!っていうか、号泣しました。毎公演ラストは本当に泣いちゃうんですけど、なんかもう、心が飽和状態というか…溢れるものが抑えられない気持ちでいっぱいになるんですよ。
「大好きだよ、人間が」のセリフに辿り着くまでのドラマがあまりにも切なくて温かいこの作品。今年も見ることができて良かったと心の底から思いました。最高すぎました!

長くなったのでキャスト感想と特別カテコについては次のページにて。