M&Oplaysプロデュース『八犬伝』2013.03.13マチネ

コクーン劇場で上演中の『八犬伝』を観に行ってきました(2度目)!

前回観てから中2日くらいだったんですけど、テンポも良くなってたし全体的に熱さも増した素晴らしい舞台に進化していました!好きな役者も一気にたくさん見れるしw、本当に贅沢な舞台です。

で、前回迷った挙句に見送ってしまった田辺誠一さんデザインの「八犬伝オリジナルTシャツ」。各公演枚数限定販売ということだったので…今回は迷わずお買い上げ(笑)。

表のデザインはこんな感じ。右端に映っているのはブゥじゃなくてですよ、www。そして裏には"八犬伝"ということで犬が8匹並んでおりますw。

下にずらズラっと書かれてるのはキャストとスタッフさんの名前。一番下の"しの ♡ はまじ"っていうのが可愛らしいw。そのさらに下には河原雅彦さんのイラストもあるんですが、これが一番似てるかも(笑)。

田辺画伯の素晴らしいイラストはツイッターでも大変話題になっているので(最近はくまモンにハマッているらしく、田辺さんらしいくまモンイラストが各所で大きな反響を呼んでますwww)、このTシャツをゲットできたのはなにげにラッキーかも。記念として大切に保管させていただきます。
ちなみに田辺さん、稽古着にくまモンTシャツを使っていたとは!!そんな姿を想像するとなんか、舞台に出てきた田辺さん見たら笑ってしまいそうで怖い(汗)。←めっちゃシリアスな役柄なのにw。

主なキャスト

犬塚信乃:阿部サダヲ、犬川荘助:瀬戸康史、犬坂毛野:中村倫也、犬江親兵衛:太賀、犬村大角:近藤公園、犬飼現八:尾上寛之、犬山道節:津田寛治、犬田小文吾:辰巳智秋、浜路:二階堂ふみ、網乾左母二郎・里見義実:増沢望、亀篠・雛衣・伏姫:内田滋、ゝ大法師(金碗大輔):田辺誠一 ほか

以下、ネタバレを含んだ感想です。

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前回は始まったばかりということでストーリーについてはあまり触れなかったのですが、だいたい中日過ぎくらいの時期になったのでもう少しネタバレ系の感想にしてみようかなと思います。まだ見ていない方はご注意を。

今回の『八犬伝』は今まで見てきたものよりも"男"をすごく感じる舞台だなぁという印象。なんかパワーが果てしなくすごいんですよね、登場人物の。和太鼓の演奏も相乗効果になっててギラギラして勢いが有り余ってる感じ。ドキドキワクワク感といった感情の動きが止まらないですw←私の場合特にww
幕開けから血だらけの屋敷がバーンと出てくる。これは最初見たとき衝撃的でした。信乃の飼っていた犬が亀篠の飼っていた猫をかみ殺してしまうという設定が何とも恐ろしい。でも、そんなホラー的な展開ですらエンターテイメントにしてしまうのがスゴイです。

サダヲさんの演じてる信乃のテンションが本当にのっけからMAXで、その勢いに観ている者は恐ろしい出来事を目撃してるはずなのになぜか次の展開がどうなるのかというワクワク感に捕らわれる。信乃のお父さんは哀しい最期を迎えるのになぜかものすごくあっけらかんとしていて、観ていてその潔さに爽快感すら感じさせるんですよね。こういう展開に見せるってすごいなぁと思ってしまうのです。

その流れでオープニングになるわけですが、これがまたカッコいい!!信乃と荘助が光る玉をたがいに持っていることで仲間意識を深める。自分たちには"大義"があるんだ!と大いに冒険心を煽ったところで、これから彼らが出会うであろう八犬士たちが影のようにササーッと現れて『八犬伝』という表題が映し出されます。
最初見たときにゾクゾクさせられたんですが、2回目もドキドキワクワクさせられました。なんか、アニメのオープニングみたいな演出。あぁ、エンターテイメントだなぁと。

1幕は信乃が偽物の村雨を持たされて敵に追い詰められる中で現八と出会い、さらに通りがかりの女田楽師の毛野や幼馴染である大角と遭遇するところまでが描かれます。荘助浜路の事が心配で信乃と別れ単独行動をする中で道節と出会います。道節は信乃の村雨を盗んだ左母二郎を討ち取り浜路を救出。その折に彼は浜路に兄の名乗りを挙げます。これまで見てきた『八犬伝』ではけっこう後半になってそのことを明らかにしていたので、ずいぶんあっさりと兄妹だってバラしちゃうんだなぁと最初思った(笑)。
1幕のラストは信乃、毛野、現八、大角が他の仲間を探しに飛び出していくんですが、これの魅せ方がまたすごくカッコよかったです!ベタっぽいんだけど、すごく分かりやすくて単純にドキドキワクワクできる魅せ方だなと思いました。

1幕で一番面白いのは信乃と現八の対決シーンですね。サダヲさんと尾上くんのやり取りがもう、兄弟ゲンカみたいで笑えるんですよ(笑)。ものすごい殺陣の数々をこなし、和太鼓まで競演し、もうありったけの迫力で動いてるんですが…あれはもうコメディw。サダヲさんのアドリブに尾上くんがものの見事に応えて非常にテンポある楽しいシーンになってます。尾上くんの現八がなんか妙な笑い方を習得しててww、それを聞いた信乃@サダヲさんが「お前、その笑い方やめろ!」とツッコミ入れまくってたのは特に笑いましたね(笑)。
ちなみにこの日はサダヲさんの刀無事に最後まで壊れずに済んでましたw。前回柄がとんでっちゃったシーンが近づいたときにはなんだかちょっとドキドキしてしまったよw。

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2幕に入って小文吾ゝ大法師を追いかけてやってくるシーンがあるんですけど、ここ、客席通路で会話劇があって。すぐ近くに田辺さんがやって来たので思わずドキドキしてしまった(笑)。いやぁ、田辺さん、細い!それに顔が小さくて綺麗!あんなに間近で田辺さん見たの、著書のサイン会に行った時以来だったかもw。
ちなみにこの時の小文吾と法師の会話はまったくチグハグで意思の疎通ができてないって設定で、一応お笑い系シーンではあるのですが…客のノリは今ひとつでした(爆)。あそこの会話、小文吾@辰巳さんが話題毎回変えれば面白くなるかもしれないのになぁ…ってちょっと思ったり。

亀篠を殺した領主を荘助が斬ったことで捕らわれてしまうわけですが、それを助けに入った際に信乃は傷を負い破傷風を発症。その時に泊まった宿の主が小文吾で、彼が拾って育てたのが親兵衛。親兵衛は「破傷風は男女の血を注ぐと治る」と助言したために荘助は浜路を手にかけ、さらに自分の体も傷つける。そしてその血を浴びた信乃が蘇るわけですが、1幕冒頭と同じく再び血まみれのシーンがここにも出てくるわけで。事情を知った信乃は冒頭のときと同じく「めちゃくちゃだーー!!」と叫ぶ。今回の八犬伝はこの信乃が度々口にする"めちゃくちゃ"っていうのがキーワードになっていると思います。
浜路は事切れてしまうものの、荘助は一命を取り留める。それと同時に小文吾と親兵衛も光る玉を持っていたということで…ここで八犬士が揃うわけです。

今回の八犬伝は八犬士が揃うまでに色々な人が犠牲になって命を落とす展開があるのですが、あまりそのことに関して深く悲しむシーンがないのが特徴的です。テンポがよくどんどんと先に進んでいくので、深く感傷に捕らわれてる場面とかはあまり出てこないんですよね。なので、最初はちょっと「みんな冷たいんじゃない?」とか思うこともあったけど(汗)、それよりも先の展開が気になるって気持ちの方が勝ってしまうw。そういった意味でも すごいエンターテイメント性が高いなぁと思います。

で、今回一番びっくりしたのが2幕の後半からの展開です。これはちょっとネタバレしてしまうと感動が減ってしまうと思うのであまりかけないんですけど…(汗)、鍵を握っていたのが毛野とゝ大法師…つまり金碗大輔でした。この二人には本当にびっくりさせられたといいますか…ショックだったと言いますか…。浜路の展開はちょっと予想できたんですけど、この二人が…って最初に観たときは絶句状態になってしまいましたw。
毛野はこれまで見てきた『八犬伝』の展開とは全く違う末路を辿ります。これ本当にショックだったんですけど、でも、後から考えると、そうなってしまうのも納得できるなと思ってしまうんですよね。これが一番彼にとって自然な道だったのかもしれないと…。今まで感じたことなかったんですけど、八犬士それぞれ色んなドラマがあって色んな物を背負っているわけですが、その中で一番不幸だったのは毛野かもしれないなと今回初めて思いました。

何と言っても、そう納得させるだけの芝居を魅せてくれる中村倫也くんが素晴らしいです!!クライマックスでの彼の叫び、あれがもう本当に切なくて切なくてねぇ…思わず涙ですよ(泣)。毛野の背負ってきた人生が彼のセリフの中にこれでもかというほど込められている。改めて倫也くんの芝居の素晴らしさに脱帽です。彼はこの舞台終ったらもっと仕事が増えてもいいと思うんだよなぁ。まだ若いのにすごく良い役者

そして金碗大輔、そう来るかーーー!みたいな。この人にはあんな道を選んでほしくなかったですよ、正直(涙)。でもそこが、人間の弱さっていうんだろうか…。これまでとは全く違う人物像にショックを受けましたけど、田辺さんの杖を使ったダイナミックな殺陣がとても魅力的で良かったです。ラストのあの表情はすごい!舞台上の田辺さんはあのユルい田辺画伯と同一人物とは思えないほど(笑)ドッシリとしていてカッコいいです!

そして最後に信乃はスッキリした笑顔で語るんですよね。

「本当の物語は"大義"なんてものにはなくて、全ての"物"の言葉のなかにあるんじゃないか」

佇む建物や破壊された破片など、すべての"物"にこそ本当のドラマがある。このセリフは深いなぁと思いました。自分は"犬(畜生)"ではなく、めちゃくちゃで弱さもある"人間"でいたい。最後に信乃がたどり着いた境地に清々しさと同時に胸熱くなるものを感じました。

瀬戸くん

前回見たときよりも少し肩の力が抜けていい感じになってきました。まだちょっと必死感が抜けないような感じではありますが、逆に荘助が信乃に食らいついていくのにリアリティがあって良いかもって思います。冒頭で信乃が興奮するのを抱きかかえるようにして止めるシーンがあるのですが、この時のサダヲさんとのやり取りが何とも可愛らしくて好きですww。

大角@公園さん

なんとなく地味な存在ではあるんだけど、決して埋もれていないところがスゴイです。あまり表だって自己主張するタイプじゃないので大角はなんとなく地味に思えてしまうのですが、公園さんが演じてるとそこにしっかり芯があってちゃんと存在感を発揮しています。信乃と木切れで殺陣をするシーンが印象深かったなぁ。あのしなやかな身のこなしが素晴らしい!涼しい顔して信乃の切っ先を交わしていく姿は特に痺れました!

現八@尾上くん

昨年見た現八のキャラクターも型破り系でしたが(もともと牢獄に入っていたという設定もあるしねw)、尾上くんの現八も躍動感十分です。型破りでいながらどこか弟キャラっぽくて強がっていても可愛らしい(笑)。特に信乃とのやりとりは兄弟ゲンカみたいで、サダヲさんとのやり取りの息もバッチリでした。クェックェッっていう笑い方はこの日初めて聞いたんですけどww、次回はまた違うのを持ってきたりするのかな?とにかくテンションMAXで面白くて可愛い現八くんです。

道節@津田さん

テレビでは何かと敵キャラを演じることが多い津田さん。あの鋭い面構えのせいでしょうがw、今回は浜路の兄でもあるということで懐の大きい落ち着いた雰囲気。でも、最初の火のついた櫓の中に突っ込んでいくときの形相は迫力十分だった!!ああいうところの魅せ方とか本当に最高でしたね。八犬士のなかでは一番上のお兄さんって感じ。この人がいるからバラバラの個性の八犬士がひとつになれる瞬間があったんじゃないかなぁと。津田さんはお芝居が本当にしっかりしてるので安心して見ていられます。

小文吾@辰巳さん

大きな体が特徴的な辰巳さん。小文吾も相撲大好きキャラになってますw。劇中では「隙っ歯」とか「動けるデブ」とか散々な謂れようでしたがw、親兵衛に対しては厳しい親の顔を見せたりしてそのメリハリが良かったです。小文吾は親兵衛と同じく2幕からの登場ですが、今回の芝居の中では一番気の毒な末路を辿ったような気がします。

亀篠@内田さん

この方は前から芝居が上手いなぁと思っていましたが、今回も存在感半端ないです!意地悪ババァの亀篠はもう、見ていて殴りたくなるようなキャラで(笑)。誰の目から見ても分かる悪役ババァを熱演!それとは正反対の雛衣と伏姫。さっきまでの悪徳ババァはどこへ行ったのかと思うくらいの健気な女性像をこれまた熱演です!あれだけの演じ分けができるのは本当にすごいなぁと感動してしまいました。

次回はかなり前方席からの観劇予定。残り2回です。ますます熱くなる『八犬伝』楽しみ!!

DVD発売中

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