ミュージカル『RENT』12.11.08マチネ

クリエで上演が始まったミュージカル『RENT』1回目wに行ってまいりました!

 

ここ最近の傾向を見るに、だいたい2年おきに再演している感じですね。なんかついこの前観たような気がしますけど…意外と時が経っていたんだなぁなんて思ってしまいました。

 今回はキャストも数人を除いてはほぼ一新されていますし、演出やセットも変更になっている点が多かったのでまた新たな気持ちでRENTに向き合うことができました。

本公演前にオーディエンスを招いての稽古見学会がUstで配信されていて、それを見たときにけっこう完成度高いなと期待も膨らんで。それに私、この作品が本当に大好きですからね。またあの興奮と感動に浸れるかと思うとテンションも見る前から上がっちゃいますw。

ちなみにこの見学会、応募しようかと思って迷っているうちに締切になってしまいエントリーすらできませんでした(爆)。生中継が切れた後にトークショーもあったようなので迷わずに応募だけでもすればよかったなと後悔しています…。

 

客席はマチネと言うこともあってか少し空席も。私の横の席もズラッと数席空いていたのがなんだかちょっと複雑な心境になりまして…。チケットの売れ行きどうなんだろう?ロックミュージカルですから苦手な人もいるだろうし色々と難しいのかな。

でも、ノリはすごく良かったですよ!各ナンバーに対する拍手もすごく大きかったし、モーリーンの例のシーンなんかは懸念していたんですが…それが嘘のように客席から大きな声が上がっててビックリ。ソニンちゃんも嬉しそうだった!こういった客席の熱さが出演者にも伝わっていたのか、皆さん本当に大熱演で…ほんっとうに感動しました!!

やっぱりRENTは熱いっっ!!客席と舞台とが一体になって熱くなる舞台だなぁと実感しました。

約2年ぶりということもあって、久しぶりにRENTに触れて・・・ガンガン魂揺さぶられまくり。

1幕も途中から涙涙状態になったし、2幕なんかは中盤から号泣モードで大変なことに(汗)。滂沱の涙が後から後から溢れてくる状況で・・・たぶん化粧がほぼすべて流れ落ちました(爆)。そのまま外に出たら大変なことになるので化粧室に入って落ち着かせたくらいですw。

毎度毎度泣かされるこのミュージカルですが、ほんっとに沁みるんですよねぇ…。ジョナサン・ラーソンのバックボーンとかも知っているとラストなんかは涙なくして見れないし。クリエでRENT公演始まってから毎回観に行っているのでさらにストーリーに対する理解も深まってたし。何度見ても最高のミュージカルだと思います。

 

 

主なキャスト

マーク:賀来賢人、ロジャー:中村倫也、ミミ:Jennifer、エンジェル:ヨウスケ・クロフォード、モーリーン:ソニン、コリンズ:加藤潤一、ジョアンヌ:西国原礼子、ベニー:Spi、アンサンブル:海宝直人 ほか

 

以下、ネタバレ含んだ感想です。

 

 

キャストはロジャー、ミミ、モーリーン、コリンズが日替わりになっています。

この日に観劇を入れのは加藤潤一さんのコリンズが見たかったから。彼はなんと5公演しかエントリーされていないんですよね(汗)。殆どがTAKEさんのコリンズなので・・・全キャスト見てみたかったので加藤コリンズの日を入れました。たぶんこれが最初で最後になっちゃうと思う。

RENTはジョナサン・ラーソンが心血注いで制作したロックミュージカル。プレビュー公演初日の早朝に急死してしまったことは有名な話です。この作品にはそんなジョナサンの心の叫びみたいなものをすごく感じるんですよね。実際に彼が体験した出来事もミュージカルの中にいくつか出てきますし(恋人をレズビアンに略奪されちゃったエピソードとか、ライフサポートでのエイズ患者の言葉とか)。1980年代後半のニューヨーク社会で彼が感じていたであろう様々な感情がRENTには詰め込まれている。そんなバックボーンも心揺さぶられるひとつかもしれません。

 

ストーリーは1989年クリスマスから一年間までの出来事を描いています。

ニューヨークのイーストヴィレッジ一角でマークロジャーコリンズたち芸術家を称する若者が自由気ままなボヘミアン的生活を送っている。その住処を新しいサイバーランドに建て替えるために金持ちと結婚してボヘミアン生活から抜け出したベニーが「家賃(RENT)を払え」と追い出しにかかる。必死に抵抗するマークたち。

しかし彼らも一人一人様々な大きな問題を抱えていた。
ロジャーは恋人からエイズをうつされ、さらにその恋人に自殺までされてしまったために引きこもりひたすらギターを弾く毎日。マークはつい最近恋人のモーリーンをレズビアンのジョアンヌに取られてしまっている。コリンズは帰宅途中で暴漢に襲われ、ボロボロになったところをエンジェルと名乗る美しい青年に助けられる。二人は同じエイズ患者として共鳴していく。ミミはドラッグとエイズに苦しみもがきながらもロジャーと出会うことで必死に自分を変えようとしている。

RENTは色んな物を抱えた若者たちがそれぞれが共鳴したり、反発したり、互いの感情をぶつけ合いながら1分1秒を全力で生き抜いていく物語です。激しく命を燃やしながら生きる登場人物たちを目の当たりにするがゆえに、2幕冒頭で歌われる ♪Seasons of Love♪はものすごく泣けます(涙)。あれはまさにソウルミュージックですね。毎回ここで号泣です。

 

舞台セットは前回までに比べると少し豪華になった気がします。マークたちの部屋のストーブはたしか前見たときはドラム缶みたいな感じになってて実際に炎が上がっていたんですけど、今回はけっこうシッカリしたストーブらしい形になってました(笑)。

 周囲を囲んでいるセットも骨組み設計は変わらないんだけど以前より鉄柱の数が増えてたような気がします。どっしりした骨組みがマークたちの部屋を囲んでいる感じ。だけど、上に登ったキャストさんが歌うシーン、周りに柵がないので見ていてけっこう怖かった(汗)。しかも動きますからね、この骨組みセット。私だったら足がすくんじゃうと思ってしまった。

 

あと、冒頭シーンでマークがカメラを回していますが、今回は彼の部屋にモニターがあってそこにマークが映している映像が流れるという演出に変わってました。

演出的に変わったなぁと思ったのはエンジェルの最期が近づくシーンですかね。その前にモーリーンとジョアンヌが大喧嘩するシーンがあるんですが、この時に後ろでミミとロジャーのカップルとコリンズとエンジェルのカップルがジーッとその様子を見守ってるんです。

で、二人の大げんかが終わるとエンジェルとコリンズの二人にクローズアップ。
すると、エンジェルが服を脱ぎ始めて…それをコリンズが手伝うんですよね。エイズに冒され余命が少なくなってきたエンジェルが病院服に着替えるわけですが、まさかあそこで生着替えがあるとは思わなかったのでちょっとビックリしました(汗)。コリンズがその着替えを甲斐甲斐しくお手伝いしているのでなおさら色っぽいと言いますか…(エンジェルがパンツ一丁になりますしw)。でもその二人の様子がなんだかとても物悲しく切なくもあるんですよね。

そしてエンジェルの病の苦しみとミミのロジャーへの想いの苦しみがリンクして♪Without You♪が歌われるんですけど…ここの関連付けがすごく分かりやすくなってて、思わずボロ泣きしてしまいました(涙)。

 

ミミといえば、♪Out Tonight♪のシーンで激しく歌い踊る場面がありますが、前回は舞台最上部から飛出してきてものすごい勢いで動きまくっていたのが印象的でした。
でも今回はその舞台上部を使う演出がないので鉄柱セットでのパフォーマンスになってます。そのせいか、ダンスの動きは前回の激しさが嘘みたいにおとなしいものになってました。ちょっと小ぶりになっちゃったなぁという印象は否めませんでしたが(汗)その代り色っぽさが感じられたのでそれはそれで面白かったです。ミミが髪の毛を振った時に金粉みたいなものがパーッとそこから広がるのも綺麗だった。

モーリーンのライヴシーン。前回までは舞台の板の上でパフォーマンスしてましたが、今回は骨組みセットの最上階からのパフォーマンスになってます。前方席の人はかなり見づらいんじゃないかと思うくらい高い!

 

あとバックコーラスがいなくなってて、コーラス部分はモーリーンの脇で見守っているジョアンヌが担当していました。
このモーリーンのシーンって日本人には特に分かりづらいことがたくさんありますよね(汗)。貧乏人を追い出して再開発を進めようとするベニーたちへの痛烈な皮肉の意味が込められているわけですが、砂漠に牛がやって来て云々といった比喩的表現ばかり出てくるのでw何のことを言っているのかよく分からない人が多いと思います。

しかも、モーリーンはけっこう興奮してるのでテンションが高いし早口気味なので、聞いてる客席はクエスチョンマークになりやすくラストの「ムぅ~~」の掛け声も出しづらいことが多かった(笑)。

ところが、今回はモーリーンのバックにモニターを設置してあって、そこに砂漠やら牛やらが登場してくることで何が起こっているのかが目で見て分かるようになってました。ちなみに牛が月を飛び越えるとかいうくだりはマザーグースに引っかけているらしいですね。

まぁ、こうなったからと言ってハッキリその意図が理解できたわけじゃないんですけど(汗)私は前回よりかは分かりやすいなと思って見てました。客席からの「ムゥゥ」も予想以上に大きく声が上がってて演じてるソニンちゃんもすごく嬉しそうでよかったです。

 

それからラストシーンも少し演出変わりましたね。ミミが力尽きた後の間がほとんどなくなっていました。以前はミミが意識を失ってから気が付くまで少し間隔があったので、あそこで彼女が死んでしまったと思わせることを強調していたように思うのですが…、今回はミミが意識を失ってから殆ど間をおかずに現世に戻ってくる演出になってます。

なので、あの一瞬で彼女が死んだと思う人は前回よりも少ないかもしれません。
あのラストシーンはミミが生き返るという展開になっているので、初めて見る人は特に不思議な印象を持ってしまう事が多いかと思う難しい場面だと思います。私も一番初めに映画でこのシーン見たときはビックリしましたので(汗)。

でも、どこかの文献で"あのラストシーンにはジョナサン・ラーソンの希望が込められてる"みたいなのを読んでからガラリと印象が変わりました。ボロボロになったミミが再び蘇るのは、混沌とした社会の中にも必ず希望はあるというジョナサン・ラーソンの強い願望が込められているからなんだと…。より良い未来がきっと来るって希望をラーソンはミミに託したのかなと思うんですよね。そう思ってからはもうこのラストは何度見ても大号泣してしまう私です。

そういった意味では、今回の演出は自然だなと思えました。ミミが死を迎えたのではなくあの世へ行きかけたんだけど戻ってきたというニュアンスに取りやすい。マークが撮った映像と共に仲間たちが集まり、エンジェルも帰ってくる。本当にとても感動的なラストで号泣しました(涙)。

気が付いた点はこんなものかな。あと3回見る予定なので(笑)また発見したりしたときにはレポしようと思います。

 

それにしても、本当に楽曲が素晴らしい!!!2年ぶりのRENTということもあってか、もう、大号泣してしまいました(涙)。あの魂を揺さぶるような名曲の数々・・・私の心にこれでもかと言うほど染み渡るんですよね。

どれも名曲なんだけど、あえて挙げるとすれば・・・♪Anoter Day♪。引きこもったロジャーを外に誘おうとミミを始め仲間たちが呼びかけるナンバー。ストーリーの展開とこの楽曲の旋律がものすごいマッチしてて・・・この歌が流れてくると私はほぼ100パーセントの確率で泣きます。
同じ旋律がストーリーのラストにも出てくるんですけど、その一番最後は「No Day But Today」というフレーズで締めくくっている。"今、この瞬間を生きる"という彼らの歌声に私はどうしようもなく魂を揺さぶられてしまいます。1分1秒時間は無駄にできないものだと思い知らされるんだよなぁ、このナンバー聞くと。結局無駄にしてしまっていることが多い気がするけど(爆)。でもRENT見ると自分の人生がまた新しく始まるような気持になるんですよね。

さて、キャストについてですが、今回、田中ロウマくんとJenniferさんとソニンちゃんとSpiくん以外は新しくなっていますね。

 

Spiくんは前回アンサンブルでしたから、今回ベニーに昇格です。

 

ソニンちゃんは前回ミミでしたが、今回は何とモーリーンに役替え。彼女のモーリーンはなんだか想像ができなかったんですが、実際に見てみるとキュートで可愛くて最高でした!一番びっくりしたのは髪型ですね。いやぁ、思い切ったねぇ。角刈りになってて登場した時はビビったよ(笑)。レザースーツ着てるシーンとか見るとちょっとミミが過ったけどw。

 

賀来くんは役者としての姿しか知らなかったので、正直、ミュージカルで…しかもマーク役大丈夫かな?と心配していたんですよね。でも稽古場の映像見たときに「イケるかも!」と期待が膨らみ・・・そして本舞台で今回観て、うん、すごく頑張ってた!歌も歌えてるよ。賀来くんのマークは現代っ子みたいな感じかな。ちょっとお調子者っぽい雰囲気も少年っぽくて可愛いです。エンジェルが死んでしまった時のお葬式シーンではポロポロ涙を流していて、そんな姿を見たときにグッときてしまいました。

 

ヨウスケ・クロフォードくんは・・・私はまず最初に名前に注目してしまった(←分かる人には分かると思いますが 笑)。最近"ヨウスケ"という名前に過剰反応しちゃうよww。と言うのは置いときまして…いやぁ、めっちゃ美形でスタイル抜群!本当に美しいエンジェルだった。顔つきが外人さんなので異国情緒でミステリアスな雰囲気も良いです。臨終のときはエンジェルメイクを外すんですけど、その時の素顔が・・・これまた超美形でビックリしました。

ただ、歌唱力と言った点ではちょっと残念だったかなぁ。外してはいないんだけど、時折ちょっと微妙な音階が(汗)。

 

加藤潤一くんは最初にも書きましたが今公演でコリンズ出演が5回しかない。なんとか1回でも見に行きたいということでこの日のチケット取りました。前回の米倉コリンズの印象がものすごく濃いので、最初に出てきた癒し系のちょっと気のよさそうなお兄さんチックな風貌に多少戸惑いが…(笑)。

ガタイはいいですよね。物腰が柔らかそうで、あの癒し系笑顔で相手を優しく包み込むような雰囲気がとても良かったです。すごく優しいおっとり青年なんですよね。色気を漂わせまくっていた米倉コリンズとはかなりイメージ違いますがw、これはこれで有りだなと思いました。エンジェルが惹かれるのも分かるし。

ただですねぇ、やっぱり加藤君も時々音程がずれてしまうのがちょっとね…。特に見せ場の♪Santa Fe♪は後半ちょっとズレてて周囲のコーラスと重なるとなんとなく不協和音に聞こえてしまって…(汗)。これが残念だったなぁ。ただ、エンジェルの臨終から死までの加藤コリンズのお芝居は泣けました!エンジェルと一緒だったころに本当にとても穏やかそうで幸せそうな表情してたので、彼がいなくなったことへの哀しみに耐えかねてポロポロ涙を流しながら一生懸命歌っているシーンは本当に胸打たれて一緒に泣いたよ(涙)。このあたりの繊細な表現力はとてもいいなと思いました。
もう一度見てみたいけど…予定的に無理かもなぁ。もう少し見たかったです。

Jenniferは2度目の登板と言うこともあって余裕がありますよね。前回ちょっと聞き取りづらかった歌詞も今回はかなりの確率でよく聞こえてきたし。それにあのちょっとハスキーでパンチ力のある歌声がとても魅力的でした。

ロジャーへの愛に苦しみぬいて涙する♪Without You♪はものすごく泣けた(涙)。ミミの心の傷みがものすごくストレートに伝わってきてとても良かったです。表現力も前回よりアップした気がします。

 

西国原さんはジョアンヌの生真面目さがとても良く出ていたと思います。ただ、ちょっとおとなしい印象かなぁとも…。前回のShihoさんがものすごいパンチ力のある方だったのでなおさらだと思うんですが、ものすごく頑張ってると思うんですけど、歌声はもうちょっと頑張って前に押し出してほしい気がします。それともっと弾けてもいいかも。

 

海宝直人くんはアンサンブルなんですけど「真面目に生きてる」の青年やカフェの店員など様々な場所で大活躍。歌い方もミュージカル歌唱でなんだか見ていると落ち着くw。

海宝くん、マーク役とかイケそうなんだけどなぁとちょっと思ってしまいました。

 

そして今回一番驚いたのが中村倫也くんです。最初名前見たときは誰?とか思ったんですが、「中村友也」くんだったと知って納得。改名したの知らなかった(汗)。

彼がロジャー役と聞いたときにだいぶイメージが違うけど大丈夫かなぁと思いました。ロジャーって屈折したロックミュージシャンってイメージなので、中村くんのイメージだとロックミュージシャンというのはちょっと合わないんじゃないかと…。でも、稽古場映像見たときになかなか雰囲気が良かったので本舞台でどう出るかとても期待していました。

で、蓋を開けたらビックリ!!これまで何人かのロジャー見てきましたが…藤岡ロジャーと同じくらい私のツボだったよ!中村くんのロジャー、ものすごく魅力的でした。まずびっくりしたのが歌の上手さ。歌ってる中村くんは初めて見たんだけど…超上手いよ!!すごく繊細で綺麗な歌声で、それがまたこのロックミュージックに不思議なほどマッチしてる。

さらには演技が素晴らしかった!!中村ロジャーはガラス細工みたいにものすごく繊細で壊れやすいイメージ。常に何かに追い詰められているかのようなギリギリのところで生きているといった雰囲気なんですよね。それだけに、ストレートに彼の抱えている苦しみが伝わってきて泣けて仕方なかったですよ(涙)。

このあたりの役作りが、藤岡君とけっこう重なっている気がします。大好きで突発までした藤岡ロジャーにはもう出会えないのかと残念に思っていましたが、中村くんがその路線を引き継いでくれているようで嬉しい!!
さっそく2公演追加(笑)。中村ロジャーについては色々語りたいこともあるんですが、まだ2回見れるのでwその時に書きたいと思います。

キャスト全体の感想から言うと、みなさんすごい熱演してて素晴らしかったんだけど…個人的にバランスが良かったのは2年前の公演の方かなぁと。歌唱力や演技力と言った点で2年前のキャストは本当に抜群に良かったんですよね。特に福士マークと藤岡ロジャーは最強コンビだったなぁと思います。

でも、また日を重ねるごとに今回のカンパニーも進化していくと思うので、今年も大いにまた泣かせてもらいたいなと思います。

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