劇団四季ミュージカル『壁抜け男』2016.11.13 千穐楽

2年ぶりに再演されたミュージカル『壁抜け男』千穐楽を迎えました。

もう6年応援し続けている飯田洋輔くんが公演委員長としても頑張っていた今作。楽公演だけは何としても見届けに行きたくてチケット発売初日に気合入れて取っただけありかなりの良席でございました(ちなみに日帰り)。

千穐楽のキャストとスタッフ表。

新聞売りの少年役だけが今回ダブルキャストになっていて、序盤が有賀くん、その後からはずっと笠松くんが演じきってくれました。笠松君はアラジン役にも抜擢されているそうで、新聞売りの役も配役されたばかりの頃に比べたら格段良くなっていて表情や声の張りなど若々しさが新鮮でとても良かったと思います。

前回訪れた時とは違う「壁抜け新聞」が掲示してありました。

キャストの皆さん一人一人による「壁抜け男」への想いが綴られてました。こういう企画、過去にはなかったのでとても嬉しかったです。

洋輔くんの今回の作品への率直な想いも書かれていて、なんかそれを読んだらちょっと泣けてしまいました。

各シーズンごとにスタンプを台紙に押して3つ揃ったらキャストのサイン入りカードがもらえることになっていました。私は初日・トーク初日・千穐楽・・・と、スタンプの変わり目に遠征していたのでww3つ揃えることができたのですが、カードはお目当ての役者さんのがもらえるわけではなく、スタッフの人がランダムで受け渡すシステムになっていました。

過去にも四季でこういうイベントがあってランダムでカードっていうの体験してるんですけど、一度もお目当ての役者さんのをもらったことがなかったので、今回も諦めてました。そしたら・・・・まさかの、洋輔くんのカードが手渡されてビックリ!!!嬉しかったのと同時に、これで運を使い果たしたかという想いまで湧き起こったほどww。

ロビーは千穐楽ということもあり大混雑!!幕間のトイレ渋滞がハンパなくて戻れたのが2幕始まるギリギリでした。

久しぶりの「壁抜け~」観劇、しかも楽ということも相まって、1幕から滂沱の涙を流してまいりました。2幕はもう、中盤からずーーっと涙が止まらなくて、終わった時には目がウサギ状態という恥ずかしいことに。

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「普通」の生活に満足していた公務員デュティユル(洋輔くん)は職場でも目立たない存在。そんな彼がある日突然、壁を抜けられるような体になってしまう。戸惑い精神病院に相談に行っても、適当な病名を付けられ頭痛薬を渡されただけ。壁を抜けるようなたいそうなことをするよりもやはり自分は「普通」でいたいと望んでいたデュティユルですが、軍人上がりの理不尽な部長を壁抜けで驚かせ追い詰めたことで心が変わってきます。

そしてついにデュティユルは壁抜けでちょっとした事件を起こし、望み通り新聞の社会面に「謎の怪盗ガルガル」という名で掲載されることに。そして、職場の人や町の人とのかかわり方も少しずつ変化してきた頃、隣に住む美しい人妻のイザベルに恋をします。精神科医から「女だけは気をつけろ」と忠告を受けていたにもかかわらず彼女の魅力に惹きつけられていくデュティユルは大胆な行動に出ていくことに。
しかし、万事がうまく行き、イザベルとも結ばれた日…デュティユルに思いもよらない出来事が待っていました。

ざっとした概要はこんな感じのライトでお洒落で温かいフレンチミュージカルです。

演奏者は3人だけ。過去2回公演は生演奏ではなかったのですが、今公演は四季が頑張って生演奏を入れてくれました。最近の四季ミュージカルは一部を除いてほとんどがテープ演奏となってしまっているため(財政的な問題もあるらしい)、私は一度も洋輔くんが生演奏で歌っている作品を見たことがありませんでした。なので、今回、彼が初めて生演奏に合せて歌って芝居しているのを目の当たりにできて…本当に嬉しかったです。やはり生演奏だと演じる呼吸とか歌いだしのタイミングとか、テープよりもリアルで生き生きして見えるんですよね。あぁ、そこにデュティユルが生きている!といった感動がある。そういった点でも本当に感激した今公演でした。

飯田洋輔くんがデュティユルを演じて3度目になるのですが、今回が一番見ていて胸に沁みましたね。前回まではどちらかというと若くて可愛い等身大のデュティユルといった印象でしたが、今回はそれだけではない…どちらかというと人生を積み重ねてきた中での哀愁といった一面が前面に出ていて…その彼の孤独の部分がどうしようもなく自分の気持ちの中に入り込んできて見ているだけで涙が出ました。「普通でいたい」っていう言葉の中には人間が一度は抱いたことのあるであろう漠然とした孤独感みたいな感情も含まれているようで…見ていて思いきり感情移入してしまいました。

これまでの公演では、洋輔くんが主演に抜擢されて頑張って演じている姿を見て胸打たれて涙していることが多かったんですけど、今回は洋輔くんが演じるデュティユルという人物に自分の気持ちが共感して涙してしまったという部分が多かったように思います。そんな彼の成長を見て、あぁ、どんどん「いい役者さん」になっていくなって。

そんな洋輔くんを盛り立てている周りのカンパニーもとにかく温かいんですよ、オケの人も含めて。特に町の人たちがデュティユルを励まして歌い踊る♪口笛バレエ♪のシーンは何度見ても涙があふれて止まりませんでした。とにかく優しいんです、町の人たちのデュティユルに対する気持ちが!!すごく幸せで包み込まれた気持ちになって心がどうしようもなく温かくなって泣けるんです。
そんな雰囲気を醸し出しているのはやっぱり、洋輔くんの魅力あってこそだなって…今回も思いました。

切なくほろ苦いラストの後に歌われるフィナーレ。
何役もこなしているキャストさんたちの輝くような笑顔。イザベルの優しい歌声。そして、生きる喜びに溢れたまま登場するデュティユル。彼らの歌う最後の「人生は素敵、人生は最高!」のフレーズは客席で彼らを見守ってきた私たちへの最高の贈り物のように感じられました。

『壁抜け男』はそんな素敵なミュージカルです。

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千穐楽のカーテンコールも大変盛り上がりました。いったい何度あったでしょうか…10回はあったんじゃないかと思います。カテコの熱い拍手に応えて3回ほど客席と一緒に壁抜け男のソロを歌ってくれたのですが、もう私、一緒に歌おうにも涙が後から後から溢れて「人生は素敵、人生は最高」のところまで歌い切れませんでした。

スタンディングオベーションが起こったのはけっこう遅くて、最後のほうにやっとって感じだったかな。いや、その気持ちなんかわかります。立たなかったんじゃなくて、感動に浸りすぎて皆さん立てなかったんじゃないかと思うんですよね。私がそうだったんで。立ちたい気持ちはあるんだけど、もう余韻がすごくて感動の感情が体中に回っていてなかなか椅子から離れられない、みたいな。

最後のほうのカテコで、キャストの皆さんが一人一人袖から出てきて挨拶したのも千穐楽特別版って感じだったかな。一番最後に洋輔くんが出てくるはずなのにいなくて、キャストの皆さんが「あれ?」みたいにきょろきょろしてたら宝石店のジッパーをジーーーっと開けて登場!なんて粋な登場してくれたのが可愛かったな。前のほうに来たあと思い出したかのように「ちょっと待ってて」みたいにまた戻って律儀にジッパー締めなおしていたのがさらにかわいくて萌えましたw。

あまりの拍手喝采に3回目のソロを歌うことになった洋輔くんですが、その時に「じゃぁ、もう一回だけ…。これで、最後です」ってはにかみながら客席に伝えてて、そんなところもなんだかとっても愛しく思えてやっぱり泣けちゃいました。

こうして、大きな愛で包まれたミュージカル『壁抜け男』は有終の美を飾りました。またぜひ、できればさらに進化した洋輔くんのデュティユルで再演してほしいです。

まさに洋輔くんのための作品とも思えた『壁抜け男』。またいつか、成長した彼のデュティユルに再会したいです。

劇団四季ミュージカル『壁抜け男』の感想一覧

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