ミュージカル『キングアーサー』東京公演 2023.01.18マチネ/01.19ソワレ

ミュージカル『キングアーサー』を観に東京まで遠征してきました。2023年最初の東京になります(今年もこのあと何度か訪れる予定w)。

関西は兵庫公演があるようなのですが、今回は予定がつかなかったので東京のみの観劇になりそうです。本来は和樹くんの出演する回だけのはずが(トークもあったし)、ダブルキャストの伊礼くんも興味があったし…それに”フレンチロックミュージカル”は大好物でして、ハマる予感がビンビンしたので別キャストバージョンも買い足してしまいましたw。

ところが、開幕直前になって初日から4日間の中止が発表に…。私の観劇予定日の直近まで今後の予定がハッキリわからない状況だったので、正直あまり生きた心地がしませんでした(汗)。SNSではカンパニーさんたちの気合いに満ちた充実した投稿が続いていただけに、どうにか開幕してほしいと祈るような気持で待っていて…。
で、15日の午後に17日から開幕できるというお知らせが流れてきてホッと一安心。けっこうな距離の遠征になる私としては直前の中止というのは本当にいろんな面でハイリスクを伴うのでハラハラものです(汗汗)。でも、健康が第一ですからね。体調を崩されたカンパニーの方が無事に回復できたことは本当に良かった。

2023年、今後もこういった事態に直面するのを覚悟しなければならないのかもしれないなぁ…。特に遠征者としては試練の時が続く。なんとか確保した分は観に行きたいんだけど、こればかりはどうにも…ねぇ。

新国立劇場に訪れるのはいつ以来かと遡って考えてみたら…なんと約5年ぶり!興味ある演目を多く上演してる劇場ではあるのですが、なかなかタイミングが合わずで本当に久しぶりということになってしまいました。個人的には後方席からも比較的舞台がよく見えるので好きな劇場ではあるのですが、”初台”という場所がちょっと行きづらいのがネックかなぁと。

劇場には開演45分くらい前と比較的早めに到着したのですが、物販売り場には既に長蛇の列ができていてびっくりしました。

今回は結構キャストビジュアルのグッズ(特にアクリル系のやつ)が充実してるので購入意欲は湧くよねぇw。まだ開幕してから早い時期だったので売切れ物はありませんでしたが、もしかしたら後半に入ったら入荷待ちになる物も出てくるかもしれません。なにせ美形揃いですから、皆さん。

ちなみに私はいつものようにパンフとクリアファイルだけ購入するつもりだったのですが…物販行列を見て購買意欲がムクムクと盛り上がってしまいww、アクリルカードをいくつかお買い上げ(笑)。エリザはカードよりもスタンドのほうが高かったけど、キング・アーサーはその逆だったのでちょっと予算オーバーに(苦笑)。

アーサーとメレアガン2人は1回目観劇時の開演前にお買い上げしたのですが、そのあと1幕を見て禅さんともっくんに予想以上にトキめいてしまい休憩時間に追加購入してしまったww。舞台観劇時の物販は私にとっては危険なエリアだわと改めて実感(←コラww)。

ちなみに、舞台写真は開幕して間がないこともあってか「カミングスーン」になっておりました(苦笑)。発売したら通販で買っちゃうかも…(危険w)。

※グッズ購入を希望される方はできるだけ早い時間に劇場入りしたほうが良いと思います。19日は開演20分前に到着したのですが、恐ろしいほどの行列になっていたので…。キャストボードの列も相当あるので早いほうが良いかなと。
それから、休憩時間は20分しかないにもかかわらずお手洗い行列が半端なかった(汗)。2幕までに間に合わないパターンも十分考えられるので、可能な方は観劇前の水分はなるべく控えたがいいかもしれません。

今回の公演は、開演前、休憩中、終演後の写真撮影が許可となっていました(公演中とカーテンコールは絶対NGです)

18日マチネはやや後方寄りの中央から、19日はかなりの前方からの観劇。全体像と近くと両方から見れたのはラッキーでした。

以下、ネタバレをけっこう含んだ感想になります。

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2023.01.18マチネ/01.19ソワレ in 新国立劇場 中劇場(東京・初台)

概要とあらすじ

ベースになっているのは中世の騎士道物語として語り継がれている『アーサー王伝説』(または『アーサー王と円卓の騎士たち』)です。最初は1130年代にブリトン(現在のウェールズ)人が書いたとされる歴史書(ほとんどが非現実的な内容とのことですが)から派生し、騎士道が盛んになった中世にはフランスを中心にヨーロッパ各地で次々とロマンスエピソードが加筆されていったそうな。
ちなみに、”アーサー王”が実在したかどうかについてはよく分かっていないとのことで未だ議論が続くところだそうですが、モデルになった人物はいたのではないかと言われています。

ミュージカル版の初演は2015年のフランス・パリ(原題「LA LEGENDE DU ROI ARTHUR」)。作詞・作曲(音楽)・脚本はミュージカル『1789ーバスティーユの恋人たちー』や『ロックオペラ モーツァルト』を手掛けていドーヴ・アチア氏

2016年には日本の宝塚で翻訳上演(『アーサー王伝説』)が実現。2019年には韓国でも上演され高い評価を得たそうです。そして2023年1月に満を持してホリプロ制作としての日本公演が実現。演出を担当したのは韓国版の演出を手掛けていたオ・ルピナさんで、日本版用の台本も執筆されています。

なお、2017年にガイ・リッチーが監督した映画『キング・アーサー』が上映されています。

クライヴ・オーウェン (出演), キーラ・ナイトレイ (出演), アントワン・フークア (監督)

興行成績的には振るわず赤字を出してしまったとのことで、計画していた続編が頓挫し制作中止に追い込まれたんだとか(苦笑)。とりあえず「アーサー王伝説」についての概要をざっくり楽しむのにはいいのかも?

ミュージカル版の簡単なあらすじは以下の通り。

その昔、英国の偉大なる王、ユーサー王がこの世を去り、王を失った英国にはサクソン族が侵入し危機が迫っていた。魔術師マーリンは混沌としたした時代に終止符を打つことができる新の王を王座に就かせるべく動き出す。

自らが王の血筋であることを知らずに育ったアーサー。騎士決闘場に義兄ケイの従者として赴いたアーサーはマーリンによって導かれ、伝説の剣エクスカリバーを抜くことになる。真の王として、平和と幸せを夢見て立ち上がるアーサー。

一方で、次なる王に就く野望を抱いていた最強の騎士メレアガンは、目の前でアーサーに剣を抜かれたことで、王の座を奪われ、さらには、婚約者であるグィネヴィアの心までも奪われてしまう。希望とプライド、人生の光を奪われたメレアガンは邪魔者アーサーを地獄へ突き落し再び自らの人生を取り戻すことを心に誓う。さらには、異父姉モルガンと若き騎士ランスロットの登場でアーサーは新たな運命と立ち向かうことになる。

<公式HPより引用>

上演予定時間は約3時間

内訳は、1幕80分(1時間20分)休憩20分2幕80分(1時間20分)になります

主なキャスト

  • アーサー:浦井健治
  • メレアガン:伊礼彼方(18日)/加藤和樹 (19日)
  • ランスロット:太田基裕(18日)/平間壮一 (19日)
  • グィネヴィア:宮澤佐江(18日)/小南満佑子 (19日)
  • ガウェイン:小林亮太
  • ケイ:東山光明
  • マーリン:石川禅
  • モルガン:安蘭けい

両日ともにキャストボードの前にも長蛇の列ができておりました。名前だけが掲載されるパターンが多いなか、今回はキャストのカッコ良すぎる扮装ビジュアルでのボードですからね。しかも横には”エクスカリバー”の剣があるし、これは普段撮影しない人でも並んででも撮りたいって思ってしまうんじゃないかな。

このキャストボードには載っていませんが(パンフレットにはお名前があります)・・・鹿賀丈史さんが「龍の声」を担当しています。最初に聞こえてきた時はちょっとびっくりしました。

マーリンの使いとしてアーサーに常に付き従っていた長澤風海くん演じる”狼”と工藤広夢くん演じる”鹿”が本当に素晴らしかった!!すごい身体能力で、ハードな動きなのに全くそれを感じさせず滑らかで殆ど音を立てずにこなしてたのが凄すぎてビックリ。まるで本物の精霊のようだった。

それからモルガンの侍女の碓井菜央さん演じるレイアもすごい印象深かったです。喋るセリフはないのですが、その代わりにしなやかでキレキレのダンスで感情をすべて語ってて。言葉として発せられない分すごく難しい役どころだと思いますが、見事に演じきっていて素晴らしかった。

グィネヴィアの父である当銀大輔くん演じるレオデグランス王もカッコよかった!メインキャスト扱いにしても良かったんじゃない?って思ったくらいです。
お父さん…というにはちょっと若い印象はあったけど、娘を常に気にかけている表情が印象的でした。特にラストシーンでグィネヴィアが裁かれているときの「娘を助けてやりたいけどアーサー王の騎士としては口出しすることができない」といったもどかしくもやるせない想いが表情に出ていたのがすごく良かったです。あれはお父ちゃんとしては本当に気が気じゃなかったよねぇ。

戦いのシーンなど群舞が多いのもこの舞台の特徴。アンサンブルさんたちのパワフルで勢いのあるキレキレな動きや歌、お芝居には魅了されまくったしとても感動しました。

日本のミュージカル役者さん、メインじゃないみなさんも凄くレベルが高いと思う。もっとメインに近い配役でもいいのに…と感じる方も何人もいらっしゃいました。

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全体感想

実は私、『アーサー王伝説』に関してはミュージカル『美女と野獣』の中に出てくるワンシーンでベルがビーストに読み聞かせをする場面のところしか聞いたことがないズブの素人でした(汗)。それ故知識としてあったのは…、

”アーサー王が岩に刺さったエクスカリバーという剣を3度目に引き抜いたことで王になったこと”

”グィネヴィアという女性がアーサー王が殺されたのを知って修道院に入ったこと”

というこの2点のみ(笑)。正直これだけの情報だと一体どんな物語だったのか野獣には理解できても私は無理ってことでwww。

最初はこれだけの乏しい知識のみのままで見に行こうと思っていたのですが、観劇できる機会が今回のみを予定しているということもあって…終わってみてどんな話か理解できなかったら嫌だなと思い事前にアウトラインだけを動画サイトで見て頭に入れて行きました。検索してみると、アーサー王伝説について分かりやすく短くまとめられているものがけっこうあって大変参考になりました。
その上での観劇となったわけですが…、ちょっと、事前にいろんなエピソードを予習したことが仇になるところもあったかも(←興味のあるエピソードに期待を持ちすぎた、みたいな 汗汗)。だけど、アウトラインを知っていたことで理解できた部分も大きかったし…、何も知らないで見に行くよりかは良かったと思う、たぶん。

以下、感じたことについて少々。最後の方にちょっと辛口も混じってるのであしからず(あくまでも個人の感想)。

舞台セットや照明はとても良かったです。特に照明は客席全体をも包み込むようなドラマチックなシーンが多くて見ていてものすごくワクワクした。演出も新国立劇場の横に広い舞台をうまく使っていて、騎士たちが躍動する場面などはダイナミックで見ごたえがありました。

決闘シーンや戦争シーンの迫力もすごいです。あの殺陣アクションは皆さん相当訓練を積まれたのではないでしょうか。キレキレなんだけど重さを感じる剣さばきは実に見事。それから個人的には、騎士たちが勢ぞろいして剣を一斉に上に向ける光景がめちゃめちゃ好きでしたね。あれ、超かっこいい!!

特筆すべきはやっぱり音楽でしょう!!フレンチロックミュージカル、最高!!ほんとカッコいい!!聴いていて思わず指がビートを刻んでしまうようなナンバーも多くて終始ワクワクが止まりませんでした。

一番印象的なナンバーはやっぱりメレアガンが歌う♪奪われた光♪かな。制作発表のときに聞いたときもシャウトばりの高音がめちゃめちゃ出てきてビックリしたんだけど、実際に舞台上で聞いてみるとさらにロック度がアップしてて迫力満点だった。伊礼くんも和樹くんもよくあの難曲をクリアしたなと心底感動してしまいましたよ。いろんなミュージカル見てるけど、この類のナンバーはあまり見かけないので歌いこなすの本当に大変だったと思います。

グィネヴィアが船に乗ってアーサーのもとにやってくるときの♪どこまでもあなたと♪のナンバーも印象深いです。彼女の恋心が喜びに踊る様子が手にとるように伝わってくる軽やかでポップな曲調が可愛い。でもこれも音の乱高下が激しいので歌いこなすのが大変だっただろうなと思いました(汗)。

1幕最後に出てくる”円卓の騎士”エピソードからの♪私は立ち上がる♪もドラマチックで非常に印象深かった。ちょっと『1789』味のある旋律がすっと心に馴染んでくるようでめちゃめちゃワクワクしました。1幕クライマックスに相応しい場面を見事に演出する楽曲だったと思います。

2幕最初の方でアーサーの腹違いの姉であるモルガンがメレアガンを誘惑して悪の提案を囁く♪復習の約束♪はドス黒い悪の勢いがグワッと押し出されてくるようなナンバー。メレアガンのメイクもすごいことになっててww恐ろしさ倍増。ロックでグイグイ悪の道に引きずり込まれていくかのような迫力がありました。
その後に出てくるグィネヴィアとランスロットの許されぬ恋愛シーンは一転して甘い少女漫画の世界観のような雰囲気で。ランスロットが歌うバラードナンバー♪愛とは愚かなもの♪はとても美しくうっとりしてしまった。この2つのシーンの落差が面白かったと思います。

そしてめっちゃ頭に残ってるのが、メレアガンとモルガン、アンサンブルによる♪誓いなさい♪のナンバー。いよいよ悪の計画を実行するぞというときのダンスを交えたアクロバティックな演出もすごく印象深いのですが、一番耳に残るのは「ダンダリ、ダンダリ・・・」と呪文みたいな言葉を連呼。それとあいまった特徴的な手の動きも面白くてなんかめちゃめちゃ刻まれてしまったw。
これ、どうやら宝塚版のときにも歌われたらしくファンの間では通称「ダンダリ」と呼ばれていたそうな(笑)。いやでも、そういいたくなる気持わかる。終わったあともなんか「ダンダリダンダリ…」って頭ぐるぐるしてたのでww。

繰り返しワードが出てきて気になったのがもう一つ、ランスロットが許されぬ恋心を振り払い聖杯探しに没頭しようと必死になってるときに歌われる♪目を覚ませ♪
森の妖精みたいな格好ながらちょっと不気味な雰囲気のアンサンブルさんたちとのコラボなのですが、ここでも「ウェイクアップ、ウェイクアップ」って言葉が何度も出てくるんですよね。しかも曲調がまた乱高下激しくてめちゃめちゃ難しそうな楽曲。それだけに耳に残りやすい。歌う方は相当大変だったと思うけどね。

2幕ラストシーンで歌われる♪この国の民のために♪はアーサー王と彼に忠誠を誓う円卓の騎士たちとの絆がドラマチックに重厚感たっぷりで歌い上げられていてとても感動的でした。ドロドロした展開が続いた先に見えた一筋の明るい光が指したような希望みたいなものが感じられたかも。

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楽曲とそこから紡ぎ出される一つ一つのエピソードや魅力的なキャラクターはとても良かった。ただ、「アーサー王伝説」という一つの物語として見ると…ちょっとあまりにも多くのエピソードを詰め込みすぎててテーマがボヤけてしまったようにも感じられちゃったんですよね。

最初の方にも書いたように今回は観劇前に「アーサー王伝説」についてのアウトラインを予習していたのですが、けっこう濃いめのドロドロとしたストーリーが次から次に出てきて色々びっくりしましてw。それと同時に、こんなにエグい話をどうやって一つの作品の中で描いていくのだろうかという不安みたいなものも正直よぎったんですよね(汗)。これ、何も知らないで観に行っていたらもしかしたら違う感想になったかもしれないんだけど…。

アーサー王が主人公の物語として見ると、正直ちょっと彼自身のエピソード力は弱いかなという印象は否めなかった。一番濃厚だったのはアーサーの腹違いの姉のモルガンの存在。彼女の桁違いの恨みと復讐心があまりにも激しすぎて(汗)アーサー自身の物語を食っちゃってたように思ったんですよね。
後半にモルガンの復讐計画に協力するようになるメレアガンもキャラがめちゃめちゃ濃くて、出番はそんなに多くないもののインパクトがかなり大きい。モルガンとメレアガンというブラックホール級の底しれぬ復讐心が合体したことで強力すぎる悪の物語が勝っちゃったんじゃないかな、みたいな(汗汗)。

メレアガンについては、実はアーサー王伝説の中ではそんなに多く活躍するキャラではないそうで。それを膨らませて登場させたのが今回の舞台だったわけですが、正直、ちょっと彼自身のドラマとしては描き方が中途半端だったなという残念感は拭えないかなぁ。
特にグィネヴィアとの関係のエピソードは殆ど描かれていないので、いくら彼が「愛している」とLOVEアピールしてもなんだかピンとこない(苦笑)。正直、なんで彼女にあんな執着してるのかが最後まで理解できなくて…気がついたらサヨナラってことに(立ったまま事切れた後にそのすぐ下でグィネヴィアとランスロットのラブラブな別れシーンが展開されてるのもちょっと違和感あったかも 汗)。伊礼くんも和樹くんもめちゃめちゃ熱演ですごい濃いキャラを創り上げてくれていただけに、メインで出すつもりならばもう少しエピソードを膨らませても良かったんじゃないかなと勿体なく感じてしまいました。

それから、ランスロットとグィネヴィアのエピソード。ここは「アーサー王伝説」のなかでもけっこう肝になる部分だというのを予習で学んでいたので理解はできたのですが、その割には二人の交流シーンがあっさりすぎるような気がして物足りなさを覚えてしまう。恋の始まり方が呆気ないと感じてしまったんです。
モルガンの恨みパワーがあまりにも強烈過ぎて二人の恋愛シーンがなんだか浮いたような印象も…。少女漫画のようなお花畑的な雰囲気で微笑ましくはあったんだけど、記憶に残りづらいというか…。っていうか、そもそもアーサー王とグィネヴィアの恋愛よりもランスロットとグィネヴィアの恋愛のほうが美しいしドラマチックで物語として仕立てるのに適してる気がするんだよなぁ。そうなると、タイトルから変えなきゃいけなくなりますがね(汗)。

アーサーはグィネヴィアの夫になるにもかかわらず、最初に出会った頃だけは恋に盛り上がるけど結婚式直前あたりから”あるエグい体験”をしたせいでそれどころじゃなくなってて(苦笑)。なんか、アーサーのグィネヴィアに対するLOVE度が低いように感じてしまい、ランスロットたちの”許されぬ恋”というのがリアルに見えなかったんですよ。そのまま結ばれても普通に文句言われず幸せになれそう、みたいなww。
たしかにアーサーはランスロットをものすごく信頼してたから彼と自分の妻の出来事を知りながら目をつぶっていた…みたいなエピソードは実際にあるらしいんだけど、それでも妻を愛する気持ちみたいなのはあったと思うんですよね。そこのドラマがスルーされてるように感じてしまったのが個人的にすごく残念でした。

あと、「円卓の騎士誕生」と、「聖杯を探す旅」の物語ですが…、今回のミュージカルではそれほど重視されてなかったような気がします。円卓の騎士はランスロットがほぼ独占してた印象だし…(せっかく集まった騎士たちの個性はほぼ描かれてない)。アーサーに常に忠実だったガウェインの見せ場ももっと見せてほしかった気がする。個人的には”円卓〜”シーンがドラマチックに描かれるのではと期待していたところがあったので、ちょっと拍子抜けしてしまった(装飾だと思ってた円が途中から下に降りて卓になるシーンの演出はとても印象深かったけど)。
「聖杯」のエピソードもなんだか”おまけ”程度にくっついてきたなって感じが否めない(苦笑)。たぶん全くアウトラインを知らないで見たら「聖杯を探すって何?」だけで終わっちゃうような気がするw。

2幕クライマックスではランスロットとの関係が知られてしまったグィネヴィアが円卓の騎士たちに責められるシーンが出てくるんですけど…、盛り上がりどころのエピソードとしては”付け足し程度”感がすごくて呆気なく流されちゃってたなと(苦笑)。アーサーも簡単に許してしまうし…。
『美女と野獣』でベルが最後に読んだ一節はアーサーとグィネヴィアがめちゃめちゃ切ないドラマチックな印象だったので、さぞかしグッと来るドラマがあるのかと期待してたんですが…、そんな気配になる予感がこの舞台では感じられなかったのはかなり残念(苦笑)。っていうか、そもそもそこまで描かれていなかったw(つまり、アーサーの死まではこの舞台では描かれていません)。

「アーサー王伝説」は濃厚エピソード盛りだくさんで一つのミュージカル作品の中で描くのはとても難しいと思うのですが・・・、個人的にはもう少しテーマをギュッとまとめて主人公のアーサーが際立つ物語にしてほしかったなと感じてしまいました。それぞれのエピソードの繋がりももうちょっとあればさらにドラマチックなストーリー展開になるんじゃないかなぁとも。あくまでも個人的な感想なのであしからず。

ちょっと蛇足を。

ちなみに、物語の冒頭でアーサーが岩盤から剣を引き抜く場面がありますが(あまりにも初っ端に登場したので始めてみたときはびっくりしたw)、一説によれば”エクスカリバー”はその剣ではなく別のシーンで登場するものだとされてるようです。
最初にケイのために引き抜いた剣はその後戦いで折れてしまい、その後湖を訪れたときにアーサーはもう1本手にすることになっていると(湖の中から美女の精霊の手が現れてそこに剣が握られてたらしい)。それこそが本当の”エクスカリバー”なんだとか。ミュージカル的には岩盤から引き抜いた剣を”エクスカリバー”としていましたが(そのほうがドラマ的には盛り上がるし良かったと思う)、実際は違うらしいです。

また、ランスロットが「湖の騎士」と呼ばれていたのは、アーサーにエクスカリバーを授けた湖の精霊に拾われ育てられたということになっているからだそうです(精霊はマーリンの弟子だったという逸話もあり)。

ようやくスタートを切ったばかりの『キングアーサー』。ストーリー的にはちょっと残念に感じるところも無きにしろあらずではありましたが、全体的にはなかなか面白い作品だったと思います。私は今回の遠征が最初で最後になりますが、公演を重ねるごとに進化を重ねさらに魅力的なステージになっていくんじゃないかな。応援しています。

キャスト感想と後述については次のページにて。