ミュージカル『エリザベート』博多公演 2023.01.12ソワレ(イープラス貸切公演)

ミュージカル『エリザベート』を観に福岡・博多まで遠征してきました。これまでは博多というと一番遠い場所だったのですが、今や一番近い場所となったのでソワレ公演でしたが日帰りできてしまうという…ねw。

2023年観劇は『エリザベート』からスタート。イープラスの貸切公演、古川雄大くんの博多初日でした。

いつからか、エリザのチケットは”プラチナ”と名前がついてしまうほど入手困難となってしまいまして今回もかなり苦労しました。元々は2020年に上演が決まっていてチケットも無事手に入れることができていたのですが、憎っっきコロナのせいで全公演が中止になり喜びも泡と消えてしまったわけで…。
最初は東京限定初登板の山崎育三郎くんトートを観たいと思いいくつものチケットサイトにエントリーをかけていたのですが全て落選。それどころか、他の日程もすべてアウトとなってしまい焦った焦った(苦笑)。

今期のエリザはもう諦めるしかないかもしれないとネガティブ思考になっていたところで山口への引っ越しが決まり博多公演に希望を託す選択肢が増え、なんとか博多座公演2回分を確保できたという感じです。かなり厳しい戦いでございましたが(汗)、観に行くことができて本当に良かった…。

どちらかというと、これまであまり良席を確保できることが極めて少なかったイープラスさんでしたが…、今回は貸切公演当選に加え予想外の好座席をご用意くださりビックリ。2日目のエントリーは落選しましたが、1公演でも当ててもらったことに関してはもう本当に大感謝。見れるだけでありがたや。

それにしても、博多座さんは観劇ファンのことを本当に良く分かってくださっている!

痒いところにも手が届くサービスっぷりが素晴らしいです。私はアクスタを愛用していませんが、ここ最近は推しのアクスタを購入して撮影する方も増えている印象。そこに着目して”写真スポット”を用意してくださるなんてホント最高だなと。

実際のフォトスポットはこんな感じ。ところどころでアクスタを手に撮影している方がいらっしゃいました。数日後には撮影方法までツイートしてくれる博多座さん、ホント好きっ!

グッズ売り場も充実。気になっていたトートダンサーズのメモスタンドも無事にゲットできました♪

これ、めっちゃ可愛くないですか!?デザインも最高に素敵ですっ。手に入って良かった~。

以下、大いにネタバレ含んだ感想です。

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2023.01.12 ソワレ in 博多座(福岡・博多)e+貸切公演

※あらすじと概要については2019年6月のレポートを参照してください。

博多座公演の上演時間は3時間10分。内訳は、1幕80分休憩30分2幕80分になります(東京公演は休憩時間が25分だったそうなので3時間05分)。

これまでのミュージカル『エリザベート』の感想

主なキャスト

  • エリザベート:愛希れいか
  • トート:古川雄大
  • フランツ:佐藤隆紀
  • ルキーニ:上山竜治
  • ルドルフ:甲斐翔真
  • ゾフィー:涼風真世
  • マックス:原慎一郎
  • ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ:未来優希
  • エルマー:佐々木崇
  • 少年ルドルフ:西田理人

少年ルドルフ役の西田理人くん、歌も芝居も素晴らしかったです。最近の子役さんは抜群の歌唱力があると感じてきたけど、西田くんは将来すごく良い舞台役者になるんじゃないかと予感させる何かがありました。できれば海宝くんみたいになってほしいな。

原慎一郎くんのマックス公爵、最高なイケオジ感が出ていて魅了されました!カッコよさに加えて艶っぽさも出てきたかも。歌の上手さは劇団四季に在団していた頃から注目してたけど、存在感にさらに磨きがかかってきましたよね。

未来優希さんのルドヴィカは肝っ玉母ちゃん的な雰囲気が出ていて面白かったです。特にフランツが選んだのがヘレネの妹のシシィになった時の「うちの娘に変わりないわ」とほくそ笑むシーンの説得力がすごかったww。
そして2幕のマダム・ヴォルフ…迫力が半端ねぇ!!!彼女が仕切ってればあの娼婦宿はずっと安泰でいられそうと思ってしまう(笑)。ルキーニの”おイタ”にもビシッと余裕の対応してたのもカッコよかったw。

佐々木崇くんのエルマーはこれまで見てきた印象に比べると比較的落ち着いてるなぁと思いました。熱くなりすぎて突っ走るタイプじゃなくて、革命への闘志を心の内側で燃やしメラメラした感じかな。ちょっと大人な雰囲気もあって、松井工さん演じるツェップスとのコンビのバランスがとても良かった。猪突猛進型じゃないエルマーもイケるなぁと好印象でした。

エルマーの革命仲間であるシュテファンを演じる章平くんや、ジェラを演じる加藤将くんは若々しくどちらかというと熱く突っ走りそうなタイプ。二人とも凛々しくて見応えがありました。加藤くんは以前舞台版の『銀河英雄伝説』でキルヒアイスを演じていた頃から注目していたので、今回のような大型作品に出演した姿が見れてとても嬉しかったです。

そしてトートダンサーズの皆さんが本当に素晴らしい!体感の軸がしっかりしていて一つ一つの型が綺麗だし、フォーメーションもバッチリ。まさにトート閣下の分身!って感じで見応え充分でした。8人揃った姿を見れたのも嬉しかったです(過去公演では体調不良で休演された方もいたそうなので…)。

ただ、アンサンブルの奥山寛さんが止む無く休演という事態になってしまっていたのは非常に残念でした。どうか一日も早く回復して復帰されますように。

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全体感想

東京公演から名古屋、大阪を経てやって来た博多公演。ここに来るまで何度も中止公演のお知らせが流れてきたので…正直今回も劇場前に行くまでは気が気ではありませんでした(汗)。今のご時世、当日の幕が上がるまでは何が起こってもおかしくないわけで…無事に客電が落ちた時には心底安堵してしまった。

セットや演出は2019年公演の時とほぼ変わりなかったと思います。でも未だに旧演出時代の記憶の方が色濃く残ってるので、ところどころ「あれ?こんな感じだったっけ!?」と驚くこともしばしばw。新鮮に感じるシーンが多く色々と楽しめました。以下、印象に残った場面など少し振り返ってみます。

♪我ら息絶えし者ども♪

地獄から這い上がってきたルキーニと裁判官のやり取りから物語が動いていくのですが、♪我ら~♪のナンバーが始まる瞬間は毎回毎回背中にゾクゾクっと電気が走るほど興奮します。亡者たちが次々に立ち上がってエリザベートのことを語っていき、音楽もそれに合わせてどんどん盛り上がっていく。そして最高潮に達したところで一旦鎮まったと思ったらトート閣下が降臨!そしてさらなる盛り上がりに導かれていく。この一連の流れが実にドラマチックで、あの痺れるような感動を味わいたい故にエリザ観劇やめられないんだよなーーー!!という興奮に包まれている私ですw。
古川トートと上山ルキーニの「エリザベート!!」呼び合戦も最高にテンション上がった!!鋭さと美の共演、みたいな雰囲気がすごく良かったなぁ。

♪パパみたいに♪

マックス公爵とシシィのやり取りが毎公演重ねるごとに濃密になってるような気がします。ハラシンくんのパパと愛希さんのシシィの親子関係が実に微笑ましく、なんだか見ていてホッコリしちゃいました。
だけどこのシーンって冷静に考えてみると、マックス父さんはシシィの「私も一緒に連れてってよ」というお願いをなんとかスルーしようとしてる雰囲気も感じられるんですよね。シシィが銃声を鳴らさなかったら家庭教師ともっとイチャイチャできてたかもしれないわけでww、実際にはマックスは家族そのものが厄介な存在だったのかもしれないとも思うようになりました。

そういえばシシィのお姉さんのヘレネのドレス、今までよりもちょっと落ち着いた雰囲気に見えたかも(前回公演と同じだとは思いますが)。一時期”ちょっとゴチャつきすぎじゃね!?”と思うデザインもあったのでwwその記憶が未だに残ってるからかもしれない(汗)。

♪愛と死の輪舞♪

木登りに失敗して落ちたシシィが黄泉の国の入口に辿り着くシーンですが、個人的には以前の”シシィがフワッと浮いた(ダンサーズに持ち上げられて)”演出のほうが印象的で好きだったかなぁ。今はシシィがダンサーズをかき分けながら入ってくる、みたいなちょっと地味目な印象に変わってしまったので。

ここは無感情だった古川トートが愛希シシィの姿を見た瞬間にピリッと電流が走ったような感情を表に出すのが非常に印象深かった。あの瞬間に蒼白かったトートの姿がパッと赤みを帯びた”人間”的な雰囲気になるのを感じる。あぁ、”彼”はシシィに一瞬で心奪われてしまったんだなと思うとなんだか見ていてニンマリしてしまった私ですw。冷血漢が恋という感情に襲われる的な展開は大好物なもので(笑)。古川トートの表情、美しかった…!

♪皇帝の義務♪

フランツが母親の皇太后・ゾフィの言いなりになっててもどかしく感じる場面ではありますがw、「寛容で善意の名君と呼ばれたい」という本音と、「早まらないで見極めなくては」という使命感とが交錯するフランツの心情のもつれに心が痛むところでもあります。理想と現実の狭間でもがきながらも、”お母様の言うことは絶対だ”という信頼がどうしても勝っちゃうんですよね。それが”国のためだ”という暗示にもかかってるから仕方ないんだけど…なんだか切ない。

♪計画通り♪

そんなフランツが初めて”自らの本音”を優先させた出来事だったのがシシィとの出会い。ヘレネとのお見合いのはずが、自由奔放で明るくキラキラしたシシィに「もぎたてのフルーツ、フレッシュだ」と完全に心鷲掴みにされちゃって周囲の反対(特にゾフィママ)を押し切って自分の想いを貫いてしまう。シシィは”国のために生きる義務”を課せられ窮屈な想いをしていたフランツにとって”救い”の存在でもあったんじゃないかなと思います。

♪あなたが側にいれば♪

関係を深めたシシィとフランツはトントン拍子に結婚の約束まで取り付けます(シシィママのルドヴィカは「うちの娘に変わりないわ」と乗り気だったしねww)。ゾフィママは「マズイほうよ」と危機感を露にしてたけど、フランツに押し切られちゃったって感じですかね(笑)。いやでも、相当な抵抗はしたと思うんだよなぁ。どうやって突破したんだろうか…と余計なところが気になるww。

ラブラブな雰囲気のシシィとフランツでしたが、自由に夫と伸び伸び溌溂に暮らせるという夢物語が結婚生活で実現すると信じているシシィと、結婚したら様々な制約でがんじがらめになる現実が見えていながらその中でも彼女の存在を支えにしたいと願うフランツの思惑は最初から噛み合っていなかったというのが悲劇的だなぁと…。このシーン、2幕の「夜のボート」とリンクしてるから余計切なくなっちゃう。
結婚する前から意思の疎通がしっかりできていなかったわけで、見ている方とすればなんとも複雑な心境になってしまいます。

♪最後のダンス♪

結婚式の場面、長いベールの演出は初演からですがその”形状”はずいぶん印象が変わったなぁと思います。以前は出席者をベールでグルグル巻きにして一部から”トイレットペーパー”なんて揶揄されてたこともあったからねww。その時代から考えると、今は舞台を横に大きく使ったダイナミックな使い方に変わってより「美」が強調された演出になったなぁと。あと、司教様は最初の頃はトート閣下が担当していましたが、いつしかそれがなくなりましたね。
ちなみに現在はトート閣下は客席下手寄り中央通路を通って舞台上に上がるという演出になってます。コロナ禍ではありますが、客席を使う場面もここ最近増えてきた印象。

トート閣下がシシィに「お前は俺だけに微笑みかけている」と挑発しながら歌うこの場面は何度見てもテンションが上がります。ここのロックナンバーが最高にカッコいい!!必死に否定しその存在から逃げようとするシシィを飲み込もうとする勢いのトート閣下の迫力が最高です。古川君、ちょっと歌い方もアレンジしてましたね。

そういえば最初の頃は♪最後の~♪のシーンでトートダンサーが四つん這いに歩いていく上にシシィが座ってた…っていう演出もあったんだよなw。あれ、毎回ちょっと笑っちゃってたんですがwwそれが見れなくなったことにちょっと寂しさも覚えたりしています(←無い方がシーン的には美しくて良いんだけどね 笑)。

♪私だけに♪

シシィとフランツが二人で部屋に入っていったあとにルキーニが小鳥アイテムを出して飛ばすシーンがあるのですが、私が見た日は鳥さんが飛んで行ったままシューーッと落下してて…(汗)。たしか以前見た時はブーメランのようにルキーニの元に返ってくる仕組みになっていたように思うのですが、それは無くなったのかな??個人的には戻ってくる方がサマになってて好きだったんだけど。

結婚初日からシシィにとっての試練が始まります。その元凶であるのが皇太后ゾフィの存在。早朝から叩き起こされ細かいところをあれこれ厳しく指摘して彼女の理想を悉く打ち砕いていく。シシィにとっては災難でしかないんだけど、「皇后」であるためにはすべて必要なことであるというのも間違いなくて、ここはどうしてもゾフィのほうが正しいと感じてしまいますね。シシィはこの時初めて自分がとんでもないところに入り込んでしまったことを実感するのですが、時すでに遅し(汗)。
だけど、涼風ゾフィはシシィに厳しく当たってはいるもののどこかコケティッシュで怖さよりも可愛さがチラホラ見え隠れしててなんだか愛しくも感じてしまった。憎めない雰囲気のゾフィママも良い!

フランツに半べそかきながら「お母様がいじめるの!」と訴えたものの「母の言う通りにしてれば大丈夫」という想定外の回答が返ってきて絶望してしまうシシィ。そんな彼女の姿に「理解してくれないのか…」とばかりに寂しそうに唇をかむ佐藤フランツの姿がめっちゃ切なかった。こうなってしまう未来はなんとなく読めてしまっていたかもしれないんだけど、実際に目の当たりにするのは辛かっただろうなと同情してしまう。

シシィが「たとえ王家に嫁いだ身でも心だけは縛られない」と自我を歌い上げるシーンは圧巻です。でも、前回公演から登場したシシィの背後で鉄板がセリ上がってくる装置”は観ていてハラハラしてしまう(汗)。あれ相当重そうだし、万一のことがあったらかなり危険。さらにシシィは歌の途中でセリ上がって角度が付いた鉄板に上っていくわけで…シューっと滑り降りてくるところまでの一連の流れはけっこう心臓に悪い(←しかもけっこうな高さでやってるし 汗汗)。個人的にはそこが気になって歌に集中できないのでもうすこしソフトな演出に変えてほしい気がします(苦笑)。

♪ハンガリー訪問♪♪ミルク♪

フランツとの子供は次々に産まれるものの、ゾフィが養育するといって取り上げてしまう。フランツに返してもらうよう説得してほしいと頼んでも「お母様なら経験豊富だから」と拒絶されてしまいシシィの不満は見る見るうちに増大。ところが、ハンガリー訪問の機会が訪れた時に「一緒に来てほしい」と懇願したフランツに対し「子供たちを返してくれたら行く」と強気の態度に出てついに取り戻す。それにしても、「君の美貌が役に立つからハンガリーに一緒に来てくれ」っていうフランツの懇願シーンは毎回なんか微妙な気持ちになってしまう。彼はいつしかシシィの内面を求めることを諦め外見に執着するようになってしまったのだろうかと…(汗)。まぁ、あれだけ自我を主張されてはそうなっても仕方ないか。

ハンガリー訪問で二人がエルマー達テロリストの襲撃を受けそうになるシーンは個人的に好きなんですよね。エルマー達を助けるトート閣下と、危険を顧みずにハンガリー国旗色のドレスをパッと披露するシシィ。スリリングでかつドラマチックな「美」が感じられてドキドキします。

長女のゾフィを訪問先のハンガリーでトート閣下に奪われた後からシシィの攻撃性がアップ。皇太子ルドルフを設けたもののゾフィの元に預けられスパルタ教育を受けさせられていると知ると、フランツに「お義母様か私かを選んで!!」と最後通告を突きつける。彼女はあくまでもハプスブルク家の”皇后”ではなくシシィ個人の自我を押し通そうとするわけで…フランツとしては板挟み状態で気の毒の極致です(苦笑)。だけど惚れた弱味でどうしてもシシィに強い態度に出ることができないんだよなぁ。それがなんか哀れでねぇ。
シシィはいつまでたっても自分の理想とする生活を送ることができずストレスを募らせ精神的にも限界に近づいている。その疲弊した心の隙をついてトート閣下が迫るわけですが、ぐったりする彼女の椅子の後ろから音もなくスーーーッと現れる場面は非常にゾクっとさせられます。まるで透明人間が実態を表したかのよう。ここの古川君の色っぽさ、半端なかった!!

で、シシィとトート閣下の攻防が繰り広げられた後に♪ミルク♪の場面に変わるのですが…、二人のいるセットは後ろに下がっているものの暫く薄暗い背景のなかに見えちゃってるんですよね。「ミルクもうないの!?」と切迫した庶民たちの冒頭シーンの後ろに世界観の違う二人が動かず固まっている様子が客席にまだ見えてしまってるというのはちょっと…(苦笑)。あれ、もう少し背後の暗さを強めにするとか何かの幕で隠すとかできなかったのかなぁ。めっちゃ違和感あった。

♪私だけに<リプライズ>♪

庶民には届かないミルクを風呂に入れまくって美貌を磨いているシシィ(苦笑)。そこへフランツが「君の要求をすべて飲む、感情を捨てるのは皇帝の義務だけど君を失うくらいならその信念さえも捨てる」と告げにやってくる。惚れた弱味とは言うけれど…ここまで来ると”この人が皇帝で国は大丈夫なのか?”とすら思えてしまいます(汗)。フランツにとってシシィは危険な魔薬だったのかもしれないなぁ。

そんな皇帝の言葉を真っ白でまばゆいドレスに身に纏いながら満足そうに受け取るシシィでしたが「私の人生は私のものだから」と強気の態度を崩さない。そんな彼女の背後からトート閣下が「お前に命を与えてしまったために生きる意味を見つけてしまった」と後悔の念に駆られている。だけど、彼が欲してるのはシシィからの積極的な愛情だからねぇ。最初に出会った時は拒絶されちゃってたから命を返してしまった。トート閣下にとっても色々と計算違いが起こってるわけですw。

とにもかくにも、それぞれの思惑が交錯する1幕ラストの3人のシーンは圧巻。特に中央で圧倒的な輝きを放っているシシィ=エリザベートの美しさは息を飲むほどです。

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♪キッチュ♪

コロナ禍前まではルキーニが客席に降りてくる演出があったのですが、多少のお客さんイジリ的な展開もあるからか今回はずっと舞台上で歌うといった演出に変わっていました。1幕でトート閣下が客席から現れるシーンは歩くだけだから大丈夫だったけど、お客さんと…みたいな演出になるとまだやはり無理ってことになったんだろうな。早く以前のようなスタイルに戻ってほしいです。

♪エーヤン♪

1幕の冒頭と同じくらい大好きな場面。ハンガリー帝国の国王と皇后としてパレードするシシィとフランツにハンガリー市民たちが「エリザベート、エリザベート!!」と歌いながら熱狂するのですが、これがまた最高に盛り上がるんですよ。
ただ、二人が乗る馬車(今は巨大なボックスの上ということになってますが)を操っているトート閣下がいつからか下に降りて鞭を振るうようになっている演出に変わったのはちょっと寂しいかなと。個人的には馬車を操りながら後ろの二人を皮肉の目で見つめながらピシピシ鞭を振ってる姿のほうが好きだったのでね。でも、鞭を振り上げながら踊る古川君トートは美しくカッコ良かったのでこれはこれで良いのかも。

♪私が踊る時♪

トート閣下と二人きりの世界になった時、シシィは「人に認めさせることができた、これからは自分一人で歩いていける」と勝ち誇ったように歌う。それに対してトートも負けじと「俺だけがお前に自由を与えられるんだ」と食い下がる。あくまでもそれをツンとした態度で突っぱねるシシィでしたが、トート閣下にはまるで彼女が必ず自分に身を委ねる日が来るといった核心のようなものも見え隠れしていて余裕みたいなものも感じるんですよね。
どちらも強気の態度でぶつかり合うんだけど、歌のハーモニーの相性はすごく良いのでお互いに気づかないまま心のどこかで繋がるものがあるんじゃないかなとも思えるシーンです。

♪精神病院♪

直前の場面で「勝った」とドヤ顔してたシシィでしたが、実は心の中は満たされてないなかったと。そのために精神病院を頻繁に訪れて心の穴を埋めようと試みるわけですが、ここのシーンの演出がちょっと変わったような…。2019年の時の記憶がアヤフヤになってるだけかもしれませんが、自らをエリザベートだと信じ込んでいる患者・ヴィンディッシュはずっと台の上にいてシシィを見下ろしてたんですよね。以前は途中で降りてきてシシィの傘を奪い取ろうと暴れてたはずなのですが、今回見たら他の下にいる患者たちがシシィに襲い掛かろうと囲むって感じになっててちょっと怖かった(汗)。

それから印象的だったのはシシィが「跪くのはあなたよ」とヴィンディッシュに向かって告げる場面。以前は少し命令口調できつめの感じでしたが、今回見たらとても柔らかい優しい雰囲気で話しかけていました。こちらの方が、シシィが精神を病んだ患者さんたちに心を寄せようとしている様子がよりリアルに伝わってきて良いなと思います。

♪マダム・ヴォルフのコレクション♪

シシィにやられっぱなしでどんどん窮地に追い込まれる形になったゾフィは臣下たちにある秘策を授けることに。この時の涼風ゾフィ、彼らをちょっと弄んでるような楽しそうな雰囲気が出ててなんだか可愛かったなw。

ゾフィの秘策というのが、フランツにシシィ以上の美人の女性をあてがうことだった…というわけで娼婦宿のキワドイ場面が登場。なんかこのシーン、公演を重ねていくごとに卑猥になっていくような気がするんだよなぁ(苦笑)。ルキーニなんか、マダム・ヴォルフにがっつり抱きついてるし(汗)。
でもそれ以上に個人的に目をそむけたくなっちゃうのが娼婦マデレーネの場面。ここはあまりにもインパクトが強烈で前回公演の記憶がちゃんと残ってたわけですがw…、何度見てもやっぱり慣れない、あの、黄金の褌の演出…(苦笑)。あれ必要???せっかくの美人さんが台無しになる姿だと思っちゃうんだけど(汗)。それに、お子様には見せるの躊躇うんじゃないかね、あそこは(苦笑)。

♪最後のチャンス♪

フランツを通じて”フランス病”(日本でいうところの梅毒)に感染してしまったシシィ。それを告げたのはトート閣下なわけですが、最初は医者に変装してて声のエコーもほとんど入っていないんですよね。つまり、この時だけは実体のある姿として現れてる。ところが、シシィがショックを受け「命を捨てます!」と叫んだとたんに「それが良い、エリザベート!!待っていた!!」と真の姿を露にする。この時の声のエコーのかかり方がすごいっ!
あれって、ドクトル姿の時は他人にも見える存在だったのにシシィを奪えると確信した瞬間に実体のない者に変わったってことになるんですよね?傍から見たら「消えた!?」みたいになるんだろうか…とか、ちょっとくだらないことを考えてしまったw。

せっかくシシィが手に入りそうになったと勢い込んだものの、「この先フランツには心を閉ざして生きていくし、やった本当に自由になれる」と思い切り拒絶されてしまったトート閣下。この時の古川君の”まだ駄目なのか!?”的なギリギリした感情を露にしたシーンがすごく印象深かったし萌えたw。

♪ゾフィの死♪

とうとう本当にシシィの心が離れてしまったことにショックを受けたフランツはゾフィに対して激しく詰め寄り責めたてる。まぁ、誘惑に負けてしまったフランツも悪いっちゃ悪いんだけど…仕組まれてたからここは怒っても仕方のないところ。
そんな息子の態度に激しいショックを受けたゾフィは急速に体が弱り命が尽きてしまった。彼女はハプスブルク家を守るためにあらゆる手を尽くしてきたわけですから…それがシシィによって阻止されまくったうえに息子にまで見限られてしまうのはやはり気の毒だなと思ってしまいます。彼女の死を以て実質的にハプスブルク家は滅亡したのかもしれないな…とも。

♪パパみたいに(リプライズ)♪

シシィが宮廷に戻らず旅をつづける場面、一度ダミィのシシィが登場するのですが高い位置で走り去る演出に変わったのでそれが分かりづらくなりましたw。

ギリシャのコルフ島の場面、いつしかトートダンサーズ4人が舞台上に現れるようになりましたね。この演出によってシシィがどんどん「死」に向かって行く雰囲気がリアルに感じられる気がする。マックス公爵の亡霊に「この世で話す相手がいない」と嘆くシシィの切なさがこれまで以上に胸に迫ってくるようだったな。

♪闇が広がる<リプライズ>♪

シシィが不在の間にフランツと成長したルドルフとの間には埋められないほどの深い溝ができてしまっていた。父親を批判する記事を書いたことでますます険悪なムードになる二人。ドイツ民族主義者たちを覆い隠す”鍵十字”の巨大幕が取り払われたところで、ついにトート閣下がルドルフの前に姿を現す。前回公演からの演出になりますが、これがインパクト絶大で本当にカッコいい。幕の使い方がすごく上手いなぁと改めて感動してしまいました。

これから先の世の中を憂えて苦悩する甲斐ルドルフと、そんな彼を”良い獲物がきたぞ”とばかりにほくそ笑みながらグイグイ惹きこんでいく古川トートとのコラボレーションは圧巻で見応え充分。二人の歌声のハーモニーも素晴らしかったです。

トート閣下の口車にどんどん乗せられてエルマー達が率いる革命の仲間たちに惹きこまれてしまうルドルフ。とうとうそのトップに押し上げられたときはハプスブルクを裏切ってしまうことに恐怖を感じたじろいでしまうのですが、「ハンガリー国王になれる」というトートの一声に気持ちが昂って引き受けるわけで…。結局ルドルフも権力に興味があったということか。王冠に手を延ばそうとしたルドルフをあざ笑うかのようにサッと引っ込めるトート閣下のイケズさが好きww。

♪僕はママの鏡だから♪

反乱を起こしたものの結局失敗に終わってしまうルドルフ。彼を面白いように操りながらダンサーズと華麗にキレキレのダンスを余裕で踊ってる古川トートのなんと美しかったことよ!!

父親との亀裂も決定的なものとなり絶望したルドルフ皇太子。久しぶりに宮殿に戻ってきた母親のシシィに助けを乞うのですが「政治の話はもう乗りたくないし陛下とは話したくない」とハッキリ拒絶されてしまう。
シシィって皇太子の教育は自分にまかせてほしいと言ってゾフィから息子を取り戻したけど、結局は人の手に任せてしまったようだし、挙句の果てには一人旅に出て戻ってこない状況だったわけですよねぇ。ルドルフは幼いころから盛んに母親に会いたがっていたけれど、いったいどれくらい親子の時間を持ったのだろうか。母親としては息子に対してかなり酷い仕打ちをしていたように思えて仕方ない。

♪マイヤーリンク♪

孤立無援となったルドルフが絶望して「死」を選ぶ場面。本来は妻ではない恋人のマリーと心中した事件として知られていますが、この作品では彼女の存在は出てこないのでルドルフの孤独がより鮮明に浮き彫りになって見えてくる。

上着をトートダンサーズに剥がされるルドルフのダンス、以前よりも荒々しさがなくなってスマートな印象だったな。個人的にはもう少し激しいほうが臨場感があって好きだったんだけど。翻弄されて意のままに踊らされていたルドルフが舞台中央に立った時、満を持してトート閣下が冷たく微笑みながら近づいてくる。そして古川トートは甲斐ルドルフを闇に吸い込んでいくかのようなキスをするのですが…この光景が本当に冷ややかで美しく思わず息を飲んでしまった。

渡された銃の引き金を引いたルドルフはトートダンサーズたちに担がれて舞台中央の巨大棺の中へスベリ落されていきます。最初の頃は運ばれて行って消えていく的な感じだったけど、その時よりも”本当にルドルフは死んでしまったんだな”といった喪失感を覚えるようになりました。

シシィは泣きながら自分を激しく責めますが、息子に対するこれまでの仕打ちを思うと「報い」だと思えて仕方ないんだよなぁ…。自我を優先しすぎたが故の不幸だったのではないだろうか。「葬式さえも切り売りしてるしたたかさ」というルキーニの皮肉がすごくリアルに聞こえてくる。

♪夜のボート♪

以前はシシィとフランツがコートダジュールで歩く実際の写真がスライドとして流されていましたが、それが無くなりました。舞台の展開上は問題ないとは思うのですが…個人的にはあの写真に心惹かれるものがあったので見れなくなっちゃったのは少し寂しいです。

何とかシシィに戻ってきてほしいと懇願するフランツでしたが、頑なにそれを拒絶するシシィ。「もしも私の目で見てくれたなら、あなたの誤解も解けるでしょう」と二人で歌うシーンはとても切ない…。水の上に浮かんでいながらも近づくことなくすれ違っていくボートに自分たちを例えた歌は何度聞いても心が締め付けられる気持ちになる。

でも、個人的にはここはフランツの方に強く同情しちゃうかなぁ。”皇帝の義務”を放棄してでもシシィに尽くしてきましたからね、彼は。それほど溺愛してきたのに、彼女は自分の理想を追求し相手の心を思いやることがほとんどなかった(舞台上の展開では、ですが)。フランツの想いが最後まで彼女に届き切ることがなかったのは気の毒と言うしかないなと…。
そもそも最初の婚約時代から二人の意思はすれ違い状態でしたからね。そこにちゃんと向かい合わなかったが故に二人の関係は修復できないところへいってしまったのは悲劇だったなと思う。トート閣下にとっては都合のいい出来事だっただろうけどw。

♪悪夢♪

シシィと別れた後にフランツが見る「悪夢」。それは単なる”夢”ではなく実際に起こった一族の不幸の連鎖。それらをすべて操ってきたかのように白い衣装に身を纏ったトート閣下が勝ち誇った笑みを浮かべながらフランツを挑発。この時の二人の鬩ぎ合いがもう本当に凄くて…!!!毎回このシーン見て鳥肌立ちまくってるのですが、今回も体中の血が猛スピードで駆け巡るかのような興奮を覚えました。古川トートと佐藤フランツのシシィを巡る想いのぶつかり合いがとにかく激しくてスリリングで最高でした!!

さらにトート閣下がルキーニにナイフを託そうとする場面。古川君、「ルキーニ、早く取りに来い!!!」と歌ではなくほぼ台詞状態で叫んでて超鳥肌!!ここがシシィを手に入れられる絶好の機会なわけで、絶対にそれを逃すまいといった気迫が前面に溢れてました。それを必死に阻止しようと駆け寄りたくてもトートダンサーズたちに食い止められ、ついにナイフがルキーニの手に渡るのを目撃してしまうフランツがこれまた切ない…!!
ルキーニがどんどんシシィに近づいていく姿を目の当たりにして何とか止めようともがくフランツ。でも結局は阻止できなくて哀しみの淵に突き落とされたかのように舞台袖へ引きずり込まれていく姿が痛々しかった…。

♪愛のテーマ♪

黒い衣装を脱ぎ捨て白いシンプルな衣装に変わる時のシシィは神々しく美しい。あの黒装束は彼女にとってのこれまでの人生の”苦しみ”を表していたかのよう。ようやく安息の地を得たシシィに近づいていくトート閣下はそれまでの攻撃的な雰囲気を削ぎ落し、「やっと手に入った」といった感動で心が満たされているようにも見えました。最後のキスの時の柔らかさと艶っぽさがたまらなく素敵!
でも、キスをした後シシィは永遠の眠りにつくわけで…トート閣下的には今後どうやって愛する彼女とコミュニケーションを取っていくのかがちょっと気になったりしてw。っていうか、シシィと歌い合ってる時はもしかしてまだ彼女の息がある状態ってことだったのだろうか??なんか急にいろいろ気になってきてしまったぞww。

キャストの感想とカテコレポは次のページにて。