音楽劇『ライムライト』大阪公演 2019.04.27マチネ・ソワレ

主なキャスト別感想

石丸幹二さん(カルヴェロ役)

石丸さんはチャップリンものでは「ライムライト」が断トツで好きだと公言していますから、この作品に対する思い入れは並々ならぬものがあると思います。その気持ちがカルヴェロ役から分かりすぎるほど伝わってきました。実に生き生きと演じられていて…それでいて心地良さそうでもあったな。すべての身をカルヴェロに委ねているっていう感じ。本当に大好きなんだなって思えて胸が熱くなりました。

孤独や苦悩のお芝居も何度もグッと来て泣かされましたが、個人的には柔らかいタッチのコミカルなお芝居がとても印象的でした。色んなシーンでカルヴェロがおどける場面が出てくるのですが、石丸さんの持つ独特な温かさがそこにはあって…クスっとしながらもなぜかほんわかと癒された気持ちになる。あの味は石丸さんにしか出せないと思った。

あと、オルソップ夫人役の保坂さんとの息がぴったりですね!劇団四季時代多く共演を重ねてきたゆえんだなぁと。「日曜はダメよ」や「アスペクツ・オブ・ラブ」で二人のコンビを観てきましたが、一番強烈に印象深かったのは「アスペクツ~」なので、今でも二人並ぶと”ローズとアレックス”が目に浮かんでしまうw。
今回の役はそれとは全く違った関係性なので、二人のコミカルなやり取りが面白くてたまらなかった。次に再演されるときもぜひ石丸カルヴェロと保坂オルソップの楽しいやり取りを見せてもらいたいです。

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実咲凜音さん(テリー役)

宝塚を卒業して2年という実咲さんですが、今回が初めましてでした。初演の野々さんとは違ってどちらかというと儚さよりも芯の強さを感じさせるテリーで、カルヴェロに真っ直ぐと想いを伝えるシーンはとても印象深いものがありました。
特に愛の告白シーンのグイグイさは、カルヴェロが押し負けてしまうんじゃ!?という迫力があったな(笑)。なんか新しいテリー像を観たって感じでした。

歌もなかなか良かったのですが、バレエの安定感が素晴らしく踊る姿はとても美しかった!さすがは元娘役トップさんだなぁと思いました。カルヴェロがテリーに気持ちを揺さぶられるのも納得できました。

矢崎広くん(ネヴィル役)

矢崎くんは『ジャージー・ボーイズ』に出演してから本当に役者として大きく成長したなぁって思います。特に歌がすごく上手くなった!とても聴きやすい声だし清々しくてちょっとドキリとしてしまうような柔らかい色気のようなものも感じられる。

ネヴィルは1幕ではほとんど登場してこないので他の役で出てくることが多いのですが、どのキャラクターもそれぞれ演じ分けていてすごく面白かった。特に劇場の客の役を演じ分けていたのがよかったなぁ。カルヴェロ全盛期の時のお客でははしゃぎまくっていながら、最後にはすごい残酷な冷たい表情になるし。落ちぶれたカルヴェロの舞台のお客役では「もう帰ろう」ってセリフがすごく残酷に響いて…さっきと同じ人が演じてるとは思えないような怖さがあった。
あと、新聞配達青年もよかったよ!!第一次大戦を知らせる新聞を持ちながら叫ぶんだけど、戦況が進むにつれて絶望感に溢れた表情へと変わっていく(2回目公演の時には新聞落としてしまうほどの熱演だったし)。その変化の芝居も秀逸だった。

そして2幕のネヴィル。真っ直ぐ誠実にテリーに向き合う好青年なんだけど、カルヴェロに対してはすごく複雑な心境を持っているという難しい役どころです。それを嫌味なく好感度の高い青年として演じ切っていたのが本当に素晴らしかった。ラストシーン、カルヴェロの姿を見て思わず涙を浮かべていたのがとても感動的でした。

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保坂知寿さん

オルソップ夫人と年増の女優ってことになってますが、私は二人は同一人物だと思って見てしまってたので別人だって知ってちょっとビックリしましたw。いっそのこと同一人物でもいいのになぁとも。
保坂さんのコメディエンヌっぷりは実に爽快で本当に楽しませてもらいました。劇団四季の時から芝居の巧い女優さんだと思ってましたが、本当にセリフの抑揚、緩急の付け方、間のタイミングなど実に自然にやりこなしちゃうから本当に凄い。石丸さんとの絶妙なコンビも最高でした!

吉野圭吾さん

本当に面白かったなぁ~!特に興行主のポスタントは同じ単語を2度繰り返す癖があったんですが、その言い方が実に滑稽w。我が強くて舞台の最中にも思わず前に出過ぎてしまって「見切れてるから!!」ってツッコミ入れられて慌てて引っ込んだりww、コメディ芝居がホントに秀逸でした。「ダンス・オブ・ヴァンパイア」で才能開花させてから絶好調ですよね。
でもそれだけじゃなくて、カルヴェロの老いに対する気持ちを慮る優しさも見せたりしてて…その不器用な優しさの芝居もグッとくるものが多かったです。

植本純米さん

たしか初演では「潤」さんのお名前で出演されてましたよね。いつの間にか名前が「純米」になっててビックリしたっけw。この方もコメディのお芝居が抜群に上手くて何度も笑わせていただきました!アドリブが入るシーンもあるのですが、大阪初日では「キャベツと小麦粉で何ができるんだっけ?」と言ってたり2回目公演の時には「カルヴェロ・ポスタント・Wじじい」って言いながらケンケンパみたいなリアクションとってたり(笑)。
なんといっても、吉野さんとのコンビネーションが絶妙でしたね!この二人が主にコミカル担当してたんですが、本当に行きピッタリで本物のコント見てるみたいに面白かった!!またこの二人のコンビで見てみたい!

主にバレエを担当していた佐藤さん舞城さん、美しく華麗な踊りに目が釘付けとなりました。ストーリーのなかにも見事に溶け込んで「芝居」として魅せていたのも素晴らしかったです。バレエだけでなくセリフや歌もあるし、色んなシーンで活躍されていたのが印象的でした。

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後述

再演版の『ライムライト』でしたが、初演の記憶が殆ど抜けてしまっていたので(汗)とても新鮮な気持ちで堪能することができました。舞台全体も分かりやすくて、切ない愛の形にスポットを当ててじっくり描いていたのがよかったと思います。

石丸さんのチャップリンに対する熱い想いも感じることができたし、とてもいい観劇となりました。

またいつか再演してほしい作品です。

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