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ミュージカル『ミセン』東京公演 2025年2月9日・11日大千穐楽公演感想

2幕

プレゼンテストを合格したヨンイ、ソギュル、ベッキたちが意欲満々に歌い始める♪本当の仕事♪は音楽がすごくカッコイイ。ライトなポップ調の旋律で、それでいて思わず体が動いてしまうようなワクワク感がある。これから始まる新しい未来に希望を託し邁進していく彼らの躍動感が伝わってきて楽しめました。
でも、現実はそんなに甘くなくて…実際は先輩社員からコキ使われたり怒鳴られたりするばかり、彼らの前には早々に高い壁が立ちふさがる。ここで同じ曲調なのに旋律が半音下がるのが印象的。音楽がちゃんと彼らの心情に寄り添ってるのが良いなと思いました。

そして1幕で天国から地獄に突き落とされたパク課長にさらなる打撃が(汗)。チェ・ヨンフ専務に助けを求めて電話するものの、冷ややかに切り捨てられてゲームオーバーに。実際のところはパク課長の不正を見て見ぬふりしてた節のある専務でしたが、自分を守るために彼を切り捨てたんですよね(♪力を見せる時 リプライズ♪)。アクが強くてめっちゃ嫌な奴だったパク課長でしたが、さすがにこの件はちょっと気の毒だなと同情してしまいました。専務が「お前はちょっとやりすぎたな」と冷徹に言い放って突き飛ばすシーンはゾクッとするほどの迫力。ああいう怖さを表現するの、禅さん本当に上手いんだよなぁ。その後ろで「ふざけるなぁ~~!!!」と断末魔をあげて消えていく中井さん演じるパク課長の迫力もすごかった!!

一方、魅力的なプレゼンをしたにもかかわらず学歴や経験不足から”契約社員”としてしか採用されなかったチャン・グレ。それでもパク課長の一件で頓挫しかけていたヨルダン事業を継続する意味を理路整然と説いて3課を乗り気にさせていきます。この時の前田くんのセリフ回しも実に自然体で。映像と同じようなトーンで語っているように見えるのに、ちゃんとしっかり声が客席奥まで響いて聞こえてくるのもすごいなと思った。
サンシクはグレの商社マンとしての可能性を試すために10万ウォン(日本円で約1万円)を渡し、自分で売れると思うものを購入してそれを売りさばいてこいと告げました。彼はグレの能力を高く買っていたしもっと一緒に仕事がしたいという気持ちからあのような提案をしたのかもなぁと思いながら見ました。あのテストは”親心”みたいなものだよなぁ。

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そして露天商の場面。派手派手な露天の屋台を引き「拍手を下さぁ~~い」と客席を煽りながら登場したの東山くんの3役目(笑)。ばりっばりの関西弁で靴下の販促に力入れてるのが面白すぎるww。衣装の派手さもぶっ飛びまくりだし色々と最高(笑)。グレはそんなクセ強な露店のお兄さんのノリに飄々と乗っかって靴下のみならず一緒に販売されていた男性用パンツも一緒に購入w。しかも、半分自腹でお買い上げしちゃうのが面白かった。ちなみに東山露店商のお兄さん、千穐楽では「お客さんに拍手させて下さ~~い!」と客席に向かって嬉しそうに拍手しながら消えていって可愛かったです。
舞台上に大量に仕入れた靴下とパンツの入った袋(あの黒いゴミ袋みたいなやつ、久々に見たw)を持ったまま数秒間フリーズしてしまうグレ。一見すると放送事故っぽい光景なんだけどww、前田くんのトボけた愛らしさに和んでほっこり。ハッと我に返って「あ、やってしまった・・・」と呟くの可愛すぎかっ!!

この作品の中で特にグッときたシーンのひとつが、グレが棋院を訪れる場面です。彼はプロ棋士を目指しこの場所で必死にしのぎを削ってきましたが、その夢を果たすことができなかった。故に、棋院に対してのトラウマのような気持があって近づくことを避けてきたんですよね。でも、会社での自分の能力を認めてもらいたい一心でその場所に縋ろうとしてしまうわけで…。パンフレットに、”韓国では学歴も実績もない人が大企業に籍を置くことができるのは極めて稀”と書いてあるのを読んだので、彼が今の会社の中で生き残ろうとする必死さに胸がギュっと痛くなりました…。

仕入れた靴下と下着を棋院で売って成果を上げようとしたグレでしたが、棋院の先生(師匠?)が「君はここに来るべきじゃないんじゃないのか?」と厳しくも優しい指摘を投げかけられる。この先生を演じていた田村雄一さんの重厚な芝居がすごく良かった。棋院に来たらかつての仲間たちが同情して協力してくれるけれど、果たしてそれは自分のためになるのかという気付きを与えてくれたんですよね。
その言葉にハッとしたグレが「すみませんでした」と深く頭を下げるシーンは本当に切なくて涙が出ました…。自己嫌悪でなかなか頭を上げられないグレに優しく手を添える先生の優しさにも胸打たれたなぁ。皆、夢破れても新しい道で必死に頑張ろうとするグレを応援してるんだよね。演じてる前田くんからはそうさせるだけの真摯さが伝わってくるわけで…それがまた泣けるんですよ。

八方塞になり「自分は負け犬のままなのか」と一人で落ち込むグレに救いの手を差し伸べたのは、居酒屋で飲んで以来意気投合したインターンの仲間たちだった。明るい笑顔で寄り添おうとしてくれるヨンイ、お調子者だけど仲間想いなソギュル、ツンデレ要素満載で素直になれないながらも友達想いなベッキ。3人でワチャワチャしながらもグレを盛り立てていくシーンは微笑ましくも温かい。個人的には糸川くんベッキのソギュルにスルーされちゃう残念さがツボでしたww。あと、「人生はGIVE&TAKEだよ」とキザに決めてるのにあまり誰も反応してくれないっていうのも笑ったww。
サウナで下着を売るという行動に「素面だと恥ずかしくてできない」というベッキがちゃっかりお酒持ってきてるのも可愛い。ちゃんとコップも用意してるし(笑)。さらにソギュルにだけ少なめに注ぐというイケズをしてるシーンも笑ったなぁww。内海くんソギュル、乾杯してからすぐ飲みきっちゃうんだけど他の3人がまだ一生懸命グビグビやってて、慌てて飲んだフリとかしてたの爆笑だったwww。

このあと客席に降りてのパフォーマンス。サウナで靴下とパンツを売るという設定でしたが、舞台の上のサウナ客にというよりかは、観客に売りさばいているといった雰囲気で(笑)。私の席は2日とも少し遠めの席だったので眺めるだけって感じでしたが、お客さんとのやり取りとかもあって(内海くんが差し出した靴下をお客さんが引っ張るとかいうのも面白かったww)なかなか楽しめました。最後にグレ(前田くん)が余った靴下を1人のお客さんにプレゼントするという超レアな演出もありましたね。東京で2回観た時は1階席の中央ブロック通路側8-10列目くらいの方にあげてた気がする。貰えた人は超ラッキー!!
ちなみに、このプレゼントされた靴下は売店で販売されてましたw。最初は販売物のなかに靴下があるのかと不思議に思っていたのですが、2幕のこのパフォーマンスを見てようやく腑に落ちました(笑)。

このシーンの後グレが営業3課を訪れて全部売り切ったことを報告するのですが、演じてる前田くんの酔っぱらい演技が最高に可愛すぎたっ!!デロンデロンになってふにゃふにゃ顔。動きも軟体動物みたいでww最後には机の上でヘロンって倒れこんじゃう(笑)。これがまたすごく面白くて笑っちゃったよ!まるで本当にお酒飲んで酔っ払ってるかのようなリアリティさもあった。普段見たことがないグレのもう一つの表情にサンシクやドンシク代理が呆気にとられるのも納得ですw。ヨンフ専務なんかビビッて固まってたしねww。

ドンシクが酔っ払ったグレを背負って家まで送り届けようとする場面も面白かったなぁ。あべさんはけっこうアドリブ入れたハイテンションなお芝居が多かったのですが、前田くんもそれに応えるように色んなリアクションしてて(笑)。このシーンでの二人の攻防も面白かったですw。
このあとのサンシクvsヨンフのプロジェクト存続を巡ってのぶつかり合いと、グレとドンシクのちょっと能天気な可愛い二人(前田くんのふにゃ顔最高すぎたw)という正反対のシーンが同時進行で展開されるナンバー♪我が道を行く♪も非常に印象深かったです。

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ドンシクが何とかグレを家まで送り届けた場面。背負われていたグレが「酔いが覚めました」と冷静さを取り戻した時にドンシクが「もっと早くに覚めるチャンスあったよね!?」と猛ツッコミするの、めっちゃ笑いましたww。特に千穐楽はあべさんが前回観たとき以上に”覚めるタイミング”を列挙しまくってて爆笑www。それをニコニコしながら眺めてる前田くんもめっちゃ可愛かったよ!
あともう一つ大笑いしたのが、ドンシクが「おふくろさん、俺と同じ髪型してたぞ」って指摘するシーン。その時の言い方と「間」の取り方が最高すぎてここでも爆笑しちゃったよwww。あべさん、さすがお笑いをやられているだけあるなと思いました。でもほんと、安蘭さん演じるオモニとドンシクの髪型、親子!?ってくらい似てたんだよね(笑)。

あべさんはさらに面白アドリブをかましまくりでしてw。グレの部屋で囲碁盤を見つけた時のシーン。9日に観た時は盤に両手を乗せて舞台上のマスに沿ってスーーッと滑らせるリアクションを、千穐楽では苦し紛れのように囲碁盤を自分の顔に押し当てて「囲碁盤マン」に変身した気になるリアクションをしてました(笑)。これ、毎回グレが同じことを真似することになっていたらしいのですがw、楽の日は前田くん、囲碁盤を顔に当てるのちょっと恥ずかしそうに苦笑いしながらやってて思わず吹き出しちゃいました(笑)。この二人、本当に良いコンビすぎて最高だったなw。

そんな面白シーン満載だったのですが、グレがドンシクにプロ棋士を目指していた頃の苦しい心境を語る場面はすごく切なかったです。特に「(プロ棋士を目指して)やればやるほど先が見えなくなった僕の人生はワンセンではなくミセンだった」と俯き加減で語るグレの孤独が哀しい…。
でも、そんな彼にドンシクは「それだけ一生懸命にやっていたってことじゃないか!」と明るく励まします。それは決してお世辞とかじゃなくて心から出た言葉なんだっていうのがあべさんの台詞から伝わってきてめちゃめちゃ泣けた。さらに「自分は誰からも対局の相手をしてもらえない」と後ろ向きになりそうになったグレに「お前は一人じゃない!」と叱咤激励するシーンもめちゃめちゃグッときた(涙)。ドンシクはグレのこと弟のように大切に思ってるんだなって…。そのあとの「俺たちを囲碁の対戦相手のように見るのはやめろ」というセリフ、グレはこの言葉にハッとさせられるところが大きかったんじゃないかなと思いました。

グレがヨルダンの事業のリサーチに出掛ける場面(♪ヨルダン♪)。サンシクはグレの仕事に対する熱意を認めてくれたってことだよね。初めて大きな仕事を任されたグレは現地まで行って彼らが本当に必要としているものは何かを探るわけですが、ここのシーンはヨルダン人役のアンサンブルさんたちのダイナミックなダンスが非常に見応えあり!皆さん、動きがキレッキレ!!その中でもひときわ目を惹いたのが早川一矢くんの大アクロバットです!

男子新体操経験者ということもあってか、ジャンプの時の滞空時間の長さと美しさが半端ない!!!毎回違うアクロバットを披露していたようで、本当に凄いものを観れたと大感動してしまいました。

ちなみにこのヨルダンのシーンでは失脚したパク課長を演じてた中井智彦さんや、露天商の東山光明くんが煌びやかな衣装のヨルダン大使館員役で登場して超ノリノリでダンスしてます!9日のトークショーで「中井さんは本当は1幕しか出ない予定だったけど稽古で足してもらってさらにヨルダンにも出ることが決まった」って話があったのでw、千穐楽はけっこうガン見しちゃった(笑)。
あと、グレ役の前田公輝くんのヨルダン仕様の衣装もめっちゃ可愛いくて萌えた(ふしぎ発見のスーパーひとしくんみたいだったw)。すっごい楽しそうに踊ってたのが印象的。

ドンシクから現地調査の仕事ぶりを認められプロジェクトの一員になれたグレ。「よしやってみろ!!」というドンシクの言葉を聞いた瞬間から、彼の目つきが一気に変わったんですよね。契約社員という立ち位置で不安を抱えながら仕事をしていたグレの気持ちが前向きに変わったのが一目でわかりました。「僕は今、必要とされる石になれたのか」と歌ってる時の前田くん、本当にキラッキラ輝いてて・・・それ見たら自然とウルウルっときてしまったよ(涙)。本当に見ていて”頑張れっ”て背中を押してあげたくなるキャラを見事に演じてたと思う。

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アン・ヨンイが男性社員ハ代理から邪険に扱われて落ち込んでいる時に安蘭けいさん演じるソン・ジョン次長からフォローしてもらう場面。安蘭さん、クルクルの天然パーマがお似合いなお母ちゃんを演じていた人と同一人物とはとても思えないカッコよさ!!あれは分からない人もいてもおかしくないw。
ソン次長は実に巧みにパワハラしてるハ代理を操ってるんですよね。彼の仕事ぶりも認める発言をしながらプライドを傷つけないような”気づき”を与えてた。それが実に見事で!あんな風にギクシャクした場を仕切れる女性上司がいる会社ってなかなかないんじゃないのかなとすら思えた。

良いなと思ったのは、ハ代理がその”気づき”に毒づくのではなく、渋々ながらもヨンイが提出した資料にちゃんと目を通しその内容を認めるシーン。素直になれないから最後までヨンイに対する態度はツンなままだったけどw、でも彼女が作成した資料をコピーするようにと告げたのは大きな出来事だったんじゃないかなと思いました。もう少し時間をかけていけばヨンイとも上手く関係を築くことができるかもしれないという希望を感じさせる雰囲気だったのが個人的にグッときましたね。ハ代理を演じてた加賀谷真聡さん”ツン後ちょっとデレ”なお芝居も良かったです。

ソン次長が男尊女卑の風潮が色濃く残る課のなかで耐えて頑張っているヨンイを労う場面(♪給湯室♪)。韓国の職場では男性優位な雰囲気が残っているということがパンフに書いてあったのを読んだので、女性たちが本音を押し殺しながら必死に職場で頑張っている心情を歌うこのシーンはすごく感動的だった。安蘭さんのキリッとしながらも優しさあふれる歌声は女子社員を演じる皆さんの心にも確実に響いていて、みんな涙ぐみながら歌ってたなぁ。
ヨンイを演じる清水さんは9日も千穐楽も涙をホロホロ流してた。彼女は見た目上はどんな男性社員からの圧力にも凛として立ち向かっていく強さを感じていましたが、実際内面はめちゃめちゃ傷ついて辛かったんだろうなと思えて切なかったです(涙)。そんな心にそっと寄り添い温かく励ましてくれたソン次長の思いやりがグッとくる。彼女もかつてヨンイたちと同じように理不尽な体験をしてきたからこそ、一言一言に説得力があるんですよね。

誰もいなくなったオフィスで彼女を和ませるために少しおどけて見せるグレのシーンもめっちゃ良かったなぁ。書類を落としそうになりながらパッと掴むリアクションしてニコっとする前田くんグレ可愛すぎた!彼もちゃんとヨンイの気持ちを汲んでいたんだなと思える優しい場面で泣けました…。
この後営業3課にシーンが切り替わるのですが、千穐楽でじゅんさん演じるサンシクが「アン・ヨンイさんに覚えてもらえたーー!!」とめっちゃ上機嫌で飛び込んできたのが可愛すぎてめっちゃ吹きましたwww。

いよいよヨルダン事業の計画作成が佳境に入った時、グレの仕事の姿勢が明らかにそれまでと変わっているんですよね。今まで感情を殆ど表に出さずに淡々としていた彼の表情がとても生き生きしててやる気に満ちている。しかも、仲間に助けを借りることも躊躇わずにできるようになった。この時の演じてる前田くんの歌声がめちゃめちゃ力強いんですよ。これまでの積み重ねの演技を経てのグレの変化なので、見ていて非常に爽快だし…それと同時に胸が熱くなって泣けてきてしまう。人が変わる姿がこんなにも嬉しいものなのかってすごい実感した。

ヨルダン事業の計画書が完成した後、職場でお疲れ様会をするサンシク、ドンシク、そしてグレ。3人のビールを飲むリアクションがすごく可愛らしいw。でもそんな明るい達成感に満ちた中でグレはふと「このプレゼンが成功したら僕は正社員になれますか?」と口にする。その言葉を聞いて思わず口ごもってしまうサンシクとドンシクの姿が切なかった…。契約期間終了が迫るなか、ヨルダン事業のプレゼンはグレにとっての試金石となるわけで…その結果がどう転ぶのかこの時点ではまだ誰にも分からない。こういう時の言葉のかけ方はとても難しい。
3人の絆もすごく深まって良いチームになっているだけに、どうにかプレゼン成功してグレを正社員としてまた一緒に働ける未来が来てほしいと心から願っちゃったよ。そう思わずにいられなかった。

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会社から帰ってきたグレが、母親が電話で自分の話題を喋っているのを聞いてしまう場面。お母さんはグレの前では決して口にしなかった”本心”を語ってるんですよね。プロの囲碁棋士になれず大手商社にコネ入社してからは笑顔を見せることがなくなってしまった息子のことを母親は心底心配してた。でも心配した顔を見せたら息子が気を遣ってしまうからと、あえて本心を押し隠していつも明るく楽しく接してきた母…。
初めて母の想いを知ったグレは必死に涙をこらえながら「背中に乗って」と促す。きっと、自分の涙を見せないようにするための苦肉の策だよね…。でも前田くんグレ、安蘭さんオモニの優しい歌声に感情をこらえきれなくなって号泣しちゃってた(♪お前は私の笑顔♪)。

「何になっても、ならなくてもいい。お前は私の自慢の息子」

あんな言葉言われたら、誰だって泣いちゃうよ…。千穐楽の時は前田くん、背負っている時から声を上げて泣いてて…。さらに嗚咽してるとき両手を目のところにグッと押しやって必死に超え抑えようとしてるんだけど無理になっちゃうのとか、もうホントに思い出すだけでも涙が出てしまう。安蘭さんの「頑張って、笑って」って歌い方、まるで前田くんへのエールかのようにも聞こえたな。
最後の一節の歌、9日に観た時は感情コントロールして歌えてたけど楽の日は涙が止まらなくて必死に歌ってた姿が非常に印象深かったです。

ちなみにトークの時にこの場面の稽古場エピソードがあって。次に登場するキャストの皆さんがグレと母親のシーンで号泣しちゃって出てきたときには目が真っ赤になってたって話してたな。それ以来、次に登場するキャストはこの二人のシーン見ないようにしたって言ってたっけw。

いよいよヨルダン事業継続の是非を問うプレゼンの日。周囲から厳しい声が上がるなかでチェ・ヨンフ専務が彼らを制して営業3課のプレゼンを続けさせた場面はとても印象的。禅さんがトークの時に演出のルピナさんから「悪役にはしないで欲しい」と注文があったと語っていたけど、このシーンがそれを象徴してたなと思います。ラスボス的な雰囲気もあったけど、専務も会社のためを想って仕事をする仲間の一人(歯車ともいえるけど)なんだなと感じた。
そして専務は最終的に営業3課のプレゼン内容を承認。彼らの努力は報われ、ミセンからワンセンへと希望が生まれます。

でも、グレにとってはとてもシビアな現実が待ち受けていました…。大きな希望に溢れたクライマックスだっただけに、最初に見た時このシーンはものすごくショックでしたね。前田くんグレの感情に変化が生まれたのを見ていただけになおさら辛かった…。

サンシクがグレに”少し早いクリスマスカード”を渡す場面。千穐楽ではサンシクを演じるじゅんさんがプレゼンシーンの後半くらいからもう泣きそうになってるのが伝わってて…。そしてグレにカードをポンと渡した時にはもう完全に泣いてたんですよね…(涙)。あんな芝居してるじゅんさん、初めて見たよ…。そしたら前田くんグレはもう耐えられなくなっちゃって嗚咽するくらい泣いてて…。

「チャン・グレ!お前最高だったぞ!!」

あの時、じゅんさんはグレを通して前田公輝くんを見つめていたし、前田くんもサンシクを通して橋本じゅんさんを見つめていた。あのセリフを千穐楽で聴いた時、じゅんさんが前田くんのことを本当に可愛がっていたんだろうなってすごく思いました。その想いが痛すぎるほど伝わったから、前田くんも嗚咽をこらえきれないくらい慟哭したのかもしれない…。
彼はこの後次のシーンのためにいったん舞台袖へ去るのですが、舞台上が暗転して駆け去る時も彼の抑えきれない嗚咽の声が劇場中に響き渡っていてねぇ…。もう本当にあれは思い出すだけでも号泣ですよ(涙涙)。タオルハンカチ絞れるくらい泣いた(泣)。

正社員になったアン・ヨンイ、ハン・ソギュル、チャン・ベッキがグレを思い出しながら複雑な想いで前を向く場面もとても良かったです。このシーンは映像もいいんですよねぇ。光と映像の融合で会社のエレベーターが表現されていて「おっ!」と思いました。

そしてラストシーン、チャン・グレは”ミセン”のまま新たな道を模索していた。そんな彼にチャンスをくれたのは、家族のような絆を築いたあの営業3課の二人だった。たとえ”ミセン”であっても、頑張って前を向いて生きていれば、いつか”ワンセン”への道が開けてくるはずだ。そんな熱い温かいメッセージを感じさせるラストは非常に爽やかで清々しく感動的でした。

本当に素敵な作品と出会えたなぁと思います。東京公演始まった頃に井上芳雄くんがラジオで『ミセン』への想いを熱弁してましたが、今ではその理由がよく分かります。
ドラマ『私をもらって』で前田公輝くんに惹かれたことがきっかけで見ることがでたのは、すごいラッキーだった。前田くん、ありがとう。まだ2025年始まったばかりの時期ですが、既に個人的2025年ベスト3本のうちの1本に数えられる予感がぷんぷんするw。今回公演日数がとても少なかったのがとても残念。次に再演が決まった時にはもっと多く上演してほしい作品です。

っていうか、カメラも入っていたという情報があったんですが…ディスク化実現してほしい!!今回のカンパニーでの公演をずっと手元に残したいっ!!

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後述(千穐楽カテコレポ)

千穐楽のカーテンコールではお客さんも総立ちで熱く熱く盛り上がりました。橋本じゅんさんは挨拶する時も涙ぐんでたし、前田公輝くんは笑顔を見せながらも涙涙状態。全員が出てきたところでもう一度2幕ラストの♪ワンセン♪を歌うのですが、やっぱりじゅんさんも前田くんも涙ぐんでて(前田くんは涙で声がかすれてたな)…もうそれだけで見てるこちらも号泣。
2度目のカテコだったか定かではないのですが(私もボロ泣き状態で記憶がww)、泣きそうになってる前田くんの背中を両端にいたじゅんさんと安蘭くんが”頑張れ”って感じでポーンと叩いてたんですよね。あの光景も本当に感動的だった。

最後に代表して前田くんが「この作品が皆さんの明日の活力になれたら良いなと思っています」と熱いメッセージを語ったあと、全員で「ありがとうございました!!」と挨拶がありました。この時の前田くんはすごい力強い言葉で語ってたな。

そのあと客電が付いてアナウンスも流れ始めたけど拍手は鳴りやまなくて。もう一度出てきてくれた時は前田くん感極まりまくって大号泣してた。マイクの入らない声のなか「本当に、本当に、本当に、ありがとうございましたっ!!」と叫びながら頭を下げてて。それをじゅんさんが優しく涙ぐんで見つめてたり、その横にいた禅さんが目頭を押さえていたり・・・他にも泣いてるキャストの方たくさんいたと思う。

このカテコを見て改めて感じたのは、ミュージカル『ミセン』は前田公輝くんがありったけの愛を注ぎ込み、そんな彼のことをカンパニー皆が心から愛した作品だったなということです。あそこには、とてつもない愛と優しさがあふれてた。

どちらかというとチケット販促的には少し苦労したのかもしれないなと感じたのですが(ホリプロさんの追い込みとかすごかったし 汗)、とてもとても素敵な完成度の高い良作だったと思います。特に主演の前田公輝くんのお芝居は本当に素晴らしかった。彼はもっと大きく評価されていい役者さんだと思う。出来れば、これをきっかけにたくさん舞台のお仕事してほしいな。そしてもう一度、「ミセン」に戻ってきてほしい。

最後に物販について(いまさらになりますがw)。けっこう色々な種類がありましたね。私は9日にほぼほしいものをゲットできたのですが、千穐楽の日に行ったらいくつかの商品が売り切れになってました!

心に響く素敵な作品だったので、また必ず…できれば同じメンバーで、もう少し公演数長く上演してほしいです。

『ミセン』カンパニーの皆さん、お疲れ様でした!素敵な舞台、ありがとうございました!!

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