ミュージカル『モーツァルト!』 2018.07.17マチネ

ミュージカル『モーツァルト!』を観に大阪遠征してきました。
2015年に大阪で観て以来約3年半ぶりの上演となりました。その時はちょうど初演からヴォルフガングを演じていた井上芳雄くんのラスト公演だったんですよね。

 

当時の観劇記録記事↓。めちゃめちゃ簡潔な内容になってますがw

『ミュージカル「モーツァルト!」』
新年最初の観劇は、ミュージカル「モーツァルト!」でした。 ちなみに、2回行きました(笑) 1回目(1/5ソワレ)←病み上がり状態 2回目(1/10マチネ)←ほ…

あの時はまだ関西に住んでいたので、劇場にも行きやすかった…。

 

今回の再演は新たに古川雄大くんをヴォルフガングのダブルキャストに迎え、さらには演出の方もだいぶ刷新されたバージョンになってます。初演の頃から上演されるたびにこの作品を観つづけてきましたが、今年から新たな再スタートということになったようですね。

本当のところは、山崎育三郎くんと古川雄大くんの2バージョンを見て比べ観劇したいと思っていたのですが、上演期間もあまりない上に予定が建てられず・・・結局、新しく配役された古川くんバージョンのみの観劇ということになりました。「ロミオ&ジュリエット」のジュリエット役で注目した木下晴香さんのコンスタンツェもぜひ観てみたかったのですが、今回はそれが叶わず残念でした。次の機会があればぜひチェックしたいです。

 

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

 

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2018.07.17マチネ公演 in 梅田芸術劇場(大阪)

主なキャスト

  • ヴォルフガング・モーツァルト:古川雄大
  • コンスタンツェ:平野綾
  • ナンネール:和音美桜
  • エマヌエル・シカネーダー:遠山裕介
  • ヴァルトシュテッテン男爵夫人:香寿たつき
  • コロレド大司教:山口祐一郎
  • レオポルト:市村正親

 

あらすじと概要

2002年に初演されたウィーンミュージカル『モーツァルト!』。今回で6演目となる人気作です。
この作品でミュージカルデビューした中川晃教くんは今やトップスターに。初演当時から圧倒的な歌唱力と存在感で魅了していて「彼は何者だ!?」感が半端なかったので今の活躍は本当に納得だし嬉しく思っています。

クラシック界の英雄であるヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが33年という短い生涯を駆け抜けていくまでのストーリーが描かれていますが、登場人物たちはカジュアルでポップな扮装でどちらかというと現代的です。
さらに音楽もロック調のものが多く、ドラマチックなナンバーが目白押しなのが魅力。同じウィーンミュージカルの『エリザベート』の楽曲も好きですが、個人的には前に攻めていくような勢いのある楽曲が多い『モーツァルト!』のほうが好みだったりします。

大まかなあらすじは以下の通り。

あらすじ

ザルツブルクの宮廷楽士であるレオポルト・モーツァルト(市村正親)とその娘ナンネール(和音美桜)は、錚々たる名士たちが集まる貴族の館で、今、幼い息子がピアノを弾くのを目の当たりにしている。5歳にして作曲の才が花開いたその子ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、"奇跡の子"と呼ばれていた。

歳月は流れて、ヴォルフガング(古川雄大)は故郷ザルツブルクで音楽活動を続けている。傍にはいつも、奇跡の子と呼ばれた頃のままの“才能の化身・アマデ”が寄り添い、作曲にいそしんでいた。しかし、青年ヴォルフガングは、ザルツブルクの領主であるコロレド大司教(山口祐一郎)に仕えて作曲をすることに嫌気がさしていた。「大司教に逆らうな」という父と意見が衝突。ついに自分を束縛する大司教に、怒りを爆発させてしまう。
そしてヴォルフガングは名声と自由な音楽活動を求めて、母親と共にザルツブルクを出るが、幼い時のように持て囃されることはなかった。逆に旅費を使い果した上に、旅先で母を亡くしてしまう。失意のうちに故郷に帰ってきたヴォルフガングは、幼少からヴォルフガングの才能を見抜いていたヴァルトシュテッテン男爵夫人(香寿たつき)の援助を受けて、ウィーンで音楽活動をする決意をあらたにする。ヴォルフガングはウィーンに移り住み、知人のウェーバー一家の三女であるコンスタンツェ(平野綾)との愛情を急速に深めていく。しかし、コロレド大司教の謀略によって、演奏の機会をことごとく絶たれてしまう。ヴォルフガングは再び大司教と対決。二人の関係はついに決裂する。

大司教との決裂後、ヴォルフガングはウィーンの社交界で話題を呼んでいた。コンスタンツェとも結婚、仕事も精力的にこなし、ヴォルフガングにとって、故郷に残してきた父と姉の存在がどんどん薄くなるのだった。レオポルトは息子の成功を誇りに思う反面、その思い上がりを感じ取る。しかしヴォルフガングは父の苦言を聞き入れようとしない。二人はついに心を通い合わせることなく、レオポルトはウィーンを後にする。そしてオペラ『魔笛』を成功させ、音楽家として頂点を極めたヴォルフガングの前に謎の人物が現れ、『レクイエム』の作曲を依頼する…。

公式HPより引用

モーツァルトの生涯を描いた作品として映画『アマデウス』が有名ですが、

映画ではライバルのサリエリとの関係を濃く描いていたのに対して、ミュージカルではヴォルフガングという一人の等身大の若者の人物像に深く迫って描かれています。フィクションとノンフィクションが織り交ざっていると思いますが、モーツァルトを知る入口としてはなかなかに興味深い作品だと思います。

あと、「モーツァルト」の存在を等身大のやんちゃな青年とアマデという天才少年時代とに分けて描いているのも特徴的。ヴォルフとアマデは一心同体で共に行動しているのですが、ヴォルフはアマデの存在に常に縛られ苦しめられている。天才的な作品を作り出していく才能(アマデ)故に本当の個性を押さえつけられ苦悩し葛藤するヴォルフガングは見ていてとても痛々しく切ない。
このように、一人の人間をあえて二人に分けて全く違う個性が混在していたモーツァルトを表現していくストーリー展開は斬新で面白いです。

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全体感想

最初にも書きましたが、今公演からセットや演出がだいぶ変わりました。ストーリーや楽曲はほぼ同じですが(新曲が1曲加わりました)、演出が変わるだけで今までとは違った新しい作品を観ているかのような感覚になりとても楽しめました。

まず凄いと思ったのが、舞台中央にある巨大なピアノ型(この時代だとチェンバロかな)セットが盆で回転していくごとに様々な場面を演出していたことです。
鍵盤部分になっているところは階段になっていたり、側面に来るとウェーバー家のっセットの一部として見えるようになっていたり、上の大きな蓋は閉じたり開いたりする構造になっていて貴族の世界を表現するような華やかな場面に変わったり・・・とにかく多彩!ピアノの形一つでこれだけ色んな魅せ方ができるんだなぁと感心させられました。

そういえば巨大板が閉じたり開いたりするので最近見覚えがあるのが「1789」だったなぁ…。小池修一郎さんはこういうセットがお好みなのだろうか

ミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』2018.06.05~06
ミュージカル『1789-バスティーユの恋人たち-』大阪公演を観てきた感想。2018年6月5日ソワレと6月6日マチネ公演を観劇。新歌舞伎座にて上演。主な出演は加藤和樹・神田沙也加・凰稀かなめ(5日)、小池徹平・夢咲ねね(6日)

でもあれ、見る分には迫力あっていいんだけど…万一の事故が起こらないか心配になっちゃうのも正直あるんですよねくれぐれも安全第一でお願いしたいです。

それプラス、上部に台が出てきてコロレド猊下の部屋が再現されていたり、はたまたヴォルフのコンサートシーンになっていたりとドラマの奥行きも出ていました。
あと嬉しかったのは、宝塚で言うところの銀橋(オーケストラボックスの手前に設けられるエプロンステージ)が設置されたこと。重要な場面でヴォルフが思いの丈を歌ったりするときにこの場所まで出てきてくれることが多かったので、遠目の席でも近くに見えるようになってよりワクワクできるような演出になっていました。

楽曲については少しだけ変更がありましたね。

1曲加わったのは2幕の後半で歌われる♪破滅への道♪です。ヴォルフとコロレドが対峙しながら自分の主張をぶつけ合うスリリングなナンバーでなかなかにカッコいい曲でした。意見をぶつけ合いながらも、本当のところはコロレドはヴォルフのことを理解しているのかもしれないと思わせる展開がとても良かったと思います。
が、二人が出会うシーンがなんとも不自然というか…(苦笑)。街中を少ないお供連れてコロレドがプラプラ歩いてる時にヴォルフとすれ違って…みたいな感じだったような気がするんだけどww、もそっとしっくりくる二人が遭遇するシナリオはなかったんだろうか

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これまでと違うなと気づいたのが、姉のナンネールがヴォルフがザルツブルクを出て行った後に買い物をしに出かける場面

弟のことを誇りに思うとウキウキで歌っていたところを、そのことを面白く思っていないコロレドの配下であるアルコ伯爵に「お前の弟は猊下なしではやっていけない」とやり込められてしまう。
ここまでの展開は同じなのですが、今まではアルコ伯爵が去った後にナンネールは気を取り直して買い物を続けて明るい感じで立ち去っていたんですよね。それが、今回はその部分がカットされていて…暗い気持ちのままフェードアウトって形に変わっていました😅。ヴォルフの先行きの危うさを出すという点ではこちらの方がリアルだと思うのですが、買い物するナンネールも可愛くて好きだったので無くなってしまったのはちょっと残念。

カットされたという点でもうひとつ気になったのが、コロレド猊下とアルコ伯爵の馬車移動の場面

ヴァルトシュテッテン男爵夫人(名前が長いww)の誘いに乗りヴォルフが父の反対を押し切ってウィーンへと旅立って行くのですが、実はそのことを裏で糸引いていたのがコロレドなんですよね。ヴォルフをウィーンに出すことによって自分の名声をより高めようと画策してるっていう策略をアルコ伯爵と馬車の中でニヤニヤしながら会話を弾ませているわけですが、今までだと、ちょうどその会話の最中に猊下がもよおしてしまう場面があったんですよねwww。
このおトイレタイムのところがまるまるカットされてまして、代わりに馬に餌をやる時間帯に取って代わられておりましたw。

あのコロレドのおトイレタイムは権力者である彼を思い切り皮肉るために設けられたシーンだと聞いていたので無くならないと思っていたのですが、どういうわけだか馬の餌タイムになっちゃいましたね😅。
相変わらず馬車が止まる場面での動きは祐一郎さん、めっちゃオモロイんですけどww・・・おトイレタイムはさらに面白さが日に日にアップしていて楽しみの一つだっただけに、無くなっちゃったのはけっこう残念な出来事でもありました。

ヴォルフとウェーバー一家が再会する場面も今までとちょっと違うニュアンスになってたような気がします。
確か以前は、ウェーバーの2番目のダンナはクマかなんかの着ぐるみ着て猛獣の振りかなんかしていたんですよね。ヴォルフが登場すると突然クマから男が出てきて最初見た時は何事かと思ってビックリしたww。でも、今回はその部分が無くなっていて普通に2番目の旦那さんが現れてましたww。サーカスっぽい場面じたいがちょっと時間短縮されてた影響かも。それはそれでスッキリして見やすくなった印象です。

そのあとヴォルフを見張っていたアルコ伯爵が現れたことでドタバタな展開になる♪並みの男じゃない♪がコミカルなロック調で歌われるんですけど(このシーン大好き!)、一つ変わったのが、ボックスマジック
今までは横たわって中に入れられていたのが、今回から立ったまま入れられる羽目になっちゃいました、アルコ伯爵😅。そのあと刀でグサグサやられるのは変わらずw、毎度毎度災難でございます。まぁ、マジックですから刺されても大丈夫なんですけどね(笑)。

アルコ伯爵を追い出した後、みんなが捌けていってからヴォルフとコンスタンツェが急接近していくんですけど…ラブラブっぷりの表現は少しおとなしめになったなという印象でした。今までは盛り上がっちゃってシーンの終わりではヴォルフがコンスタンツェを押し倒してましたからね😅。

2幕冒頭の♪ここはウィーン♪ナンバーも少し演出が変わってました。

今までは貴族たちが歌っている最中に中央にあったピアノが宙に浮くといった演出があったんですけど(夫人が魔術師に見えたんだよな、あれww)それが無くなってましたね。まぁ、舞台中央のセットじたいが巨大ピアノみたいなものなので、ここではあえて楽器をクローズアップしなくてもよくなったのかなと思いました。

他にもチョイチョイ変更点はあったような気がするのですが、1回きりの観劇となったので印象に残ったシーンはこんな感じです。

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今回久しぶりに観て思ったのは、ヴォルフガングと父親レオポルトとの親子の絆がかなり濃く描かれているなぁということでした。
「天才少年アマデウス」であり続けることを望んだ父と、自分の思うままに自由に世界を駆け巡りたい息子との想いのすれ違いがとても切なかったです。お互いに愛しているという気持ちは変わらないのに、理解しあえないもどかしさが哀しかったな…。なんとか近づこうと努力はしてるのに通じない2人。そのまま永遠に別れてしまうことになるコンサート終演後の夜の場面はかなりグッとくるものがありました。

そういう視点で見ると、ヴォルフの分身である「アマデ」の存在は非常に厄介な存在
こんかいのアマデは今までにも増してヴォルフに対して冷徹な態度を取っているので、なおさら彼の苦悩が浮き彫りになっているように見えました。もしもあの”自分の影”の存在がなかったら…もっと楽に生きられただろうにと思わずにはいられない。

ラストシーンですべてが終わった後のヴォルフはなんだか憑き物が取れたかのような、すべてを出し切ったかのような、抜け殻のような・・・そんな表情に見えたのも印象深かったですね。
やっと最後に「自分の影」を受け入れて同化することができたのかもしれない…みたいなことを想いながら見届けました。

この作品はDVD化されています。以前の演出と比べる楽しみもあるので、興味がある方は購入してみてはいかがでしょうか。

参考 東宝のディスク発売サイト

TOHOリテール株式会社
TOHOリテール株式会社では、首都圏および西日本において多彩な8業態21店舗の飲食店舗を運営いたしております。皆さまのご来店を心よりお待ち申し上げます。

ちなみに私はラスト公演記念として井上くんのバージョンを購入しています。特典映像も盛りだくさんなのでお勧め!

あと、たま~~にWOWOWで放送されることもあるので両バージョンの本編が気になる方はそちらもチェックしてみるといいかもしれません。

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主なキャスト別感想

古川雄大くん(ヴォルフガング)

今回初めて主役のヴォルフに抜擢された古川くん。これまではどちらかというと王子様系のキャラが多くて繊細で線の細いイメージが大きかったので…正直、天真爛漫で破天荒な部分が大きいヴォルフガング役は大丈夫だろうかと心配に想うところもありました。

それが、今回歌声を聴いてビックリ!!いつの間にあんなに芯の太いしっかりとした歌い方を身につけたんでしょう!?っていうくらいの力強さがあったんですよね。
それから、開放感あふれる歌いっぷりも好感が持てます。ヴォルフってかなり破天荒で大胆な行動をすることが多いキャラなのですが、古川くんが歌うとなんだか爽やかな一迅の風が吹いたような清々しさを感じたんですよね。どんな行動してても憎めないというか…あの笑顔と歌声でやられたら許せてしまう、みたいな(笑)。そこがすごい魅力だなと思いました。

歌声の伸びもしっかりしていて、特にコロレドから解雇された後の「自由だーーーーー!!」の爆発力は素晴らしかった!古川くん、あんな力強い声の伸びを持ってたんだと感動してしまいましたよ。

そしてもう一つの魅力は繊細さと脆さの芝居
もともと古川くんはこういった内面を表現するのが上手いなと思っていたのですが、ヴォルフは特に感情の起伏が激しいので、フッと闇を感じた時の表情がとても危うくて壊れそうで見ていてこっちも泣きたくなってしまう・・・みたいに思えることが多かった。特に父・レオポルトとの対峙の場面は印象深かったですね。必死になって「ありのままの僕を愛して」と訴えている様は何度も胸を打たれました。

さらにラストシーン。「僕の血はもう一滴も残っていない」と歌う時の虚無感溢れる表情がすごかった・・・!!もう本当に何も残されてないんだなって思える説得力がありました。アマデに自分を抹殺させるという選択肢を選ぶことが納得できるヴォルフだったと思います。

想像以上にヴォルフガングにハマっていたので、今後もどんどんと役を深めていってほしいなと思いました。

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平野綾さん(コンスタンツェ役)

前回観た時はたしかソニンさんだったので(ちなみにソニンさんは1789公演中)、平野コンスタンツェは初めましてでした。平野さんのミュージカルはレミゼの時から数本観てきましたが、そのたびにどんどん歌唱力が増してきて本当に素晴らしいなと思います。

前半のウェーバー一家登場の時には目立たない存在だったコンスタンツェ。いつも姉や妹の影に隠れてるのですが、そんななかヴォルフと出会ってドキドキしちゃう。端っこの方でチマチマとアピールしてるんだけど気づかれてないっていう・・・あの場面がすごい可愛かった。
元々の顔つきが可愛らしいので、コンスタンツェのちょっとポップで派手な衣装や髪型もなんかハマって見えちゃうのも得ですよね~。

ヴォルフと再会して恋に落ちていくあたりは本当に少女マンガのような感じで演じているのですが、結婚した後その生活が荒んでいくあたりのお芝居の迫力がすごい!前半と後半の芝居のメリハリがものすごく効いてて♪ダンスは止められない♪のナンバーでの彼女の鬱々とした気持ちがストレートに見る者に伝わってくるんです。
そして、ヴォルフとの別れを悟る山荘でのシーンは…なんか、失望や怒りよりも哀愁の色が濃いなと思いました。去っていく姿がとにかくすごく悲しかったです。

本当に素晴らしいコンスタンツェでした。

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遠山裕介くん(シカネーダー)

これまで初演からずっとシカネーダーを演じてきた吉野圭吾さんが1789公演の真っただ中ということもあり、今回から新しく遠山くんがキャスティングされました。遠山くんというと今までは「ダンサー」といった顔の方が印象強くて(吉野さんもダンサー要素強いですが)、こうして大きな役として選ばれたのはすごいなぁと思いました。

あまり遠山くんの芝居をがっつり観たことがなかったのですが、シカネーダー、すごく生き生きと演じていてとても良かったです!やはりダンサーさんだけあって体の軸がしっかりしていてダンスの部分はとても見ごたえがあるし、さらに歌声もすごい聴き取りやすくて好印象。どちらかというと、吉野さんよりも歌は好きかもしれないです。

シカネーダーはヴォルフを良い意味でも悪い意味でも影響与えていく個性的なキャラなので、かなりのパワーを必要とすると思うのですが、その強烈さでいうとちょっと物足りなさっていうのもやはりあったかな。
見た目すごい弾けてて良い感じなんだけど、そこにさらに独特の妖しい魅力っていうのも出してほしかったかなと。まぁ、吉野さんがこういう時の雰囲気作りすごいものがあったので比べてしまうのは気の毒だと思うんですが(汗)。

全体的には好印象のほうが大きかったシカネーダーなので、次も演じる機会があったらもう一味加えてほしいなと思いました。

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市村正親さんのレオポルトは安定感抜群。市村さんは私生活でもお父さんになってから、レオポルト役にひと味もふた味も深みが加わったような気がしますね。
ヤンチャな息子を断腸の想いで手放さなければならなくなったときや、コンサートの成功を素直に喜べなかった時の後姿の切なさは絶品で見ていて思わずウルっとくるものがありました。

山口祐一郎さんのコロレド猊下は、存在感がやはり半端ないです。マント捌きも相変わらず派手にやってましたが(笑)ちょっとお疲れ気味!?と思えてしまったかもw。
それでも劇場を支配するような歌声は圧巻。2幕の♪神よ、何故許される♪は息を詰めて聴き入るほどの迫力があります。が、最後の
まーじゅーぅーー・・・・・つぅーーーー!!
の歌い方だけは毎回ちょい違和感ww。魔術の”まじゅ””つ”の音に差をつけすぎって思っちゃうんだけど、それがまた魅力なのかも!?
それにしても、おトイレシーンがカットされたのは残念w!あの場面のアドリブめいた動きとか好きだったんだよなぁ~~(笑)。

和音美桜さんのナンネールは落ち着いたしっとりした雰囲気で安心して見ていられました。が、個人的にはもうひとつ”可憐さ”みたいな部分も加えてほしいかも…と思ったり。

香寿たつきさんのヴァルトシュテッテン男爵夫人は、抜群の安定感!!深みのある壮大な歌いっぷりが素晴らしいです。タータンさんは本当に歌唱力が良いんですよねぇ。♪星から降る金♪の聴き応えは特に最高です!

阿知波悟美さんのウェーバー夫人の迫力も毎回高レベル!年々悪どさが増しているようにも見えるのが良いww。めっちゃ黒い肝っ玉母ちゃんみたいな阿知波さんのウェーバー夫人、好きですw。

アルコ伯爵の武岡淳一さんもコミカルな芝居が良いスパイスになっていたし、戸井勝海さんがメスマー医師として出演していたのも面白かった。メスマーを戸井さんが演じることで、今までの公演よりも存在感が強くなったように感じました。

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後述

色々と新しい発見が多かった今回の『モーツァルト!』観劇。演出も新しくなったし、楽曲も増えたりして、これまでとはひと味違う魅力が出たのがよかったなと思いました。
舞台はやっぱり生ものですよねぇ。上演するたびに熟成されていく、そこが楽しみの一つだったりもします。

次に再演も期待しています(3年後くらいかな?)

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