ミュージカル『モーツァルト!』2010.11.26マチネ

帝劇のウィーンミュージカル第3弾となるミュージカル『モーツァルト!』を観に行ってきました。前回行ってからもう3年も経ってしまったんですねぇ…。

大好きだった中川くんのヴォルフが抜けてしまったのが残念ですが、そのあとを継いで新たに山崎育三郎くんがキャスティングされました。新しいヴォルフは是非観ておかないと!ということでチケット入手。ちなみに今回Mは2回行く予定ですが、どちらもいっくんバージョンになってます。井上芳雄くんのヴォルフも評判がいいのですが、私はどうしても初演の時に感じた違和感と高音部分に対する手に汗握り感が拭えなくて…(汗)今年もやはり外してしまいました。

舞台セットや演出などはほぼ変更点はありません。エリザに比べるとシンプルですがこの舞台に関してはこのくらいスッキリしていたほうが個人的にはいいと思います。背景の映像美術に関しても、後ろから眺めるとけっこうきれいに見えて好きです。

そして何より…やっぱり音楽が素晴らしい!どちらかというと『M!』の音楽のほうが好みなんですよね。ポップス系の音楽から美しいバラードまで実にバラエティに富んでいて聴き応えがあります。貴族の衣装もかなりド派手なので視覚的にも楽しめる。ドラマ的にも初演に比べるとかなり深みが増しているように思えましたし、いい舞台だったと思います。

主な出演者

ヴォルフガング・モーツァルト:山崎育三郎、コンスタンツェ:島袋寛子、ナンネール:高橋由美子、ヴァルトシュテッテン男爵夫人:涼風真世、コロレド大司教:山口祐一郎、レオポルト:市村正親、セシリア・ウェーバー:阿知波悟美、アルコ伯爵 :武岡淳一、エマヌエル・シカネーダー:吉野圭吾 ほか

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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この舞台のストーリーはヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトという一人の青年の人生を追った構成になっていますが、モーツァルトという一人の人間を2つに分けて登場させているところが面白いと思います。
天才ともてはやされた幼少期のモーツァルトが“アマデ”としていつも自由を渇望する青年モーツァルト=“ヴォルフガング”のそばについている。どちらも“モーツァルト”なんですよね。普通の若者でありたいと願うヴォルフガングは天才的才能のアマデというもう一人の自分に付きまとわれ、苦悩し、崩壊していく。そういった意味で1幕ラストと2幕クライマックスに流れる♪影を逃れて♪というナンバーは観ている者の胸にズシンと重く深く響いてきます。天才と呼ばれる者の孤独と葛藤がこの作品の見どころの大きな一つだと思います。

そしてさらに、ヴォルフガングの家族との微妙な距離感もドラマとして非常に見応えがありました。♪私ほどお前を愛する者はいない♪と切々と歌い上げる父・レオポルトの心情が切なく哀しい…。その気持ちをヴォルフガングも分かってはいるんだけど、自由への憧れのほうが強く結果的に家族を捨てて飛び出してしまう。このあたりの家族物語も非常に深く感動的でした。

楽曲で特に好きなのは前述したとおり♪影を逃れて♪なのですが、ヴォルフが音楽への溢れる気持ちを切々と歌う♪僕こそ音楽♪やヴァルトシュテッテン男爵夫人がヴォルフをウィーンに誘う時に歌う♪星から降る金♪、コンスタンツェが結婚生活の孤独をうたう♪ダンスはやめられない♪やコロレドの独裁っぷりが分かる♪どこだモーツァルト♪も名曲です!非常に多種多様に飛んでいて聴いてて飽きません。

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以下、キャストの感想。

ヴォルフガング@山崎育三郎くん

育三郎くんの芝居を見ることじたいかなり久しぶりだったんですけど、かなり弾けた威勢の良いヴォルフでとっても面白かったです!もう内側にエネルギーが破裂しそうにたまっている感じ。それだけに自由への強い憧れがヒシヒシと伝わってきました。それでいて外へ飛び出したあとの破天荒な行動はなんとも見ていて危なっかしくて…周りにすぐに影響されちゃうところとかコロッと騙されちゃうところとか、本当にハラハラする。単純なんですよね。そして気がついたときには追い込まれている…みたいな、そういう危うさがなんだか哀れで痛々しい。そういったヴォルフガングの人物像が非常に分かりやすく演じられていてとても良かったです。

表情もコロコロ変わって可愛かったし、歌もかなり安定していて聞きやすかった。ただ惜しかったのは1幕クライマックスでコロレドから自由になれると叫ぶ♪僕はウィーンに残る♪「自由だぁぁーーー」の部分かなぁ。ここの高音はかなりキツそうで伸ばすのに精一杯みたいな余裕のなさを感じたのが残念!もう少し頑張れ、いっくん!

そう考えてみると…中川君のヴォルフってすごかったんだなぁと改めて実感。あのすごい歌唱力とヴォルフの危うさ…彼にモーツァルトが降りてきてたとしか思えなかったからななぁ。育三郎くんもそのくらいの域に達することができるか!?次回に期待したいと思います。

コンスタンツェ@島袋寛子さん

前回はhiroとして参加していましたが、今回は本名での出演ですね。言わずと知れたSPEEDのhiroです。3年前はちょっとミュージカルに慣れていなかったのか不安定さに手に汗握ることが多かったんですが…その時に比べるとかなりよくなったと思います。1幕の♪マトモな家庭♪あたりではちょっと気になる部分はあったんですけど(汗)ヴォルフと結婚したあとの♪ダンス~♪のナンバーなどは感情が上手く歌に乗っていて良かったです。見た目的には可愛いしイメージとも合うのでこの調子で頑張ってほしいところ。

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ヴァルトシュテッテン男爵夫人@涼風真世さん

こういった派手な貴婦人衣装が本当に似合いますねぇ(笑)。清楚と威厳を備えた存在感もバッチリだし、ハマリ役だと思います。ヴォルフを買っておいて後になって突き放すような冷たさを見せる芝居なんかもよかった。♪星から~♪のナンバーもドラマチックに歌い上げていて聴き応えがありました。

ナンネール@高橋由美子さん

ナンネールの歌もかなり上下音が激しく動いて難しいと思うのですが、高橋さんはそれをかなり上手く歌いこなしていると思います。弟を想いながらも彼の行動に疑問を抱いていく複雑な姉の心も上手く表現してた。私は彼女のミュージカルデビュー作を見ているんですが、その頃から比べると本当にいいミュージカル女優になったなぁとちょっと感慨深く思ってしまうんですよね。最初に見たときから「向いてるかも」って思ってたしなんだか嬉しくもあります(同い年だしね)

レオポルト@市村正親さん

父親の息子に対する複雑な心情が至るところに感じられてとても感動的でした。後先考えない息子の破天荒な行動に常に心配し、あらぬ方向へ行こうとするのを必死に食い止めようとしている姿がなんとも切なかった。厳しい言葉も愛する息子を想ってのものだったのですが、なかなかそれがヴォルフガングには伝わらない。成功したコンサートのあとの親子の別れのシーンがとても切なくて泣けました(涙)。やっぱり市村さんの芝居は心を打ちますねぇ。

ただ、気になるのが滑舌です。以前からあまりいいほうではななかったのですが、ここ最近はさらに悪くなってしまったような気が…。お年のせいでしょうか。口が回らなくてセリフがちゃんと言えないみたいなシーンがいくつかあったのが気がかりです。

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シカネーダー@吉野圭吾さん

ダンサーだけあって動きが軽やかで見応えあります!初めて観た時よりもずっとアグレッシブになっているし台詞回しの勢いもあって楽しませてもらってます。ますます遊び人的なキャラになってたかも(笑)。♪チョッピリ・オツムに、チョッピリ・ハートに♪でのダンスと大ラインダンスはこの作品の中の見せ場でもあるんですが、すごかったです、本当に!

コロレド大司教@山口祐一郎さん

私は祐一郎さんの芝居は実はあまり好きではないのですが(爆)このコロレド大司教様はあまり違和感なく見れる数少ないキャラの一つであります。歌う時のあの手の動きもそんなに派手じゃないしキャラクター的にも上げててもあまり目立たない(笑)。出番も多いほうではないので上手い具合に作品の中に溶け込んでると思います。始めのころは歌だけを朗々と歌い上げてるイメージがありましたが、回を重ねていくごとに感情も乗ってきてドラマチックな歌い方に。ただちょっとバランスが悪い感情の乗せ方かも…とか思う部分はありましたけどね(苦笑)。

お楽しみは馬車シーンでの「御用足し」(笑)。前回は髪を振り乱していて大笑いしましたが、今回はちょっとおとなしめ!?でも、もう、限界まできていたようで体をかなりクネクネさせてやたら情けないキャラになってました(←可愛かったけど 笑)。たぶんまた楽が近づいてくるにしたがって派手になってくるような気がするので(笑)次回の動きにも期待!

セシリア@阿知波さんのドぎついキャラっぷりや、アルコ伯爵@武岡さんのヘコヘコっぷりもかなり面白く楽しめました。皆さんやはり上手いですね。

次は楽間近になった21日観劇予定。育三郎くんのヴォルフがどこまで進化したかも楽しみです。