ミュージカル『笑う男 The Eternal Love-永遠の愛-』大阪初日 2019.05.16ソワレ

ミュージカル『笑う男』を観に大阪まで遠征してきました。

実はこの日、自身の誕生日でして…、それに合わせてチョイスしたチケットでした。ま、いつものごとくロンリー観劇ですが(笑)。でもなんだかちょっと特別感が増して観る前まではけっこうテンション高かったです。

はい、観るまで・・・はww。

えーーーと、ちょっと、今回の感想は辛くなりそうです。正直、2回取らなくてよかったって思ったくらいなので(汗)。作品が好きな方は読まない方がいいかも…。

以下、ネタバレ含んだ感想です。

 

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2019.05.16 ソワレ 大阪初日公演 in梅田芸術劇場(大阪)

主なキャスト

  • グウィンプレン:浦井健治
  • デア :衛藤美彩
  • ジョシアナ公爵:朝夏まなと
  • デヴィット・ディリー・ムーア卿:宮原浩暢(LE VELVETS)
  • フェドロ:石川 禅
  • ウルシュス:山口祐一郎

デアはダブルキャストになっていて、私が見た日は衛藤さんでした。私は彼女のことは全く知らなくて、新人の女優さんなのかなと思っていたのですが…、元乃木坂46の1期生のメンバーだった子とのこと。どうりで劇場の男子トイレに珍しく行列ができていたはずだと納得しましたw。

リトル・グウィンプレンを演じた大前くんは、今年2月に観た『ラブネバ-ダイ』ですごく綺麗な歌声だなと注目していた子です。その後もこうして作品が決まっていってすごいですね。今回も美しい声を堪能させてもらいました。

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あらすじと概要

原作は『レ・ミゼラブル』や『ノートルダムの鐘』で知られるヴィクトル・ユゴー。なんでも、この『笑う男』はユゴーが「これ以上のものはない!」と断言するくらいの自信作だったらしい。個人的には…あ、そ、そうなんだ…って感じなんですがww。

1928年に初めてデンマークで映画化された後、2012年にフランスとチェコの合作としてリメイクされたようで、今回のミュージカルはそれを参考にしている部分が大きいらしい。
ディスク化はされてないとのことですが、WOWOWで18年に放送したらしいので再放送があれば見てみたいなと思います…って言うか、むしろそちらを見てみたいw。

2018年に韓国で世界初演されたあと、今回日本での上演となったようです。韓国はミュージカル作品の自国発信が進んでいて羨ましいなぁ。

簡単なあらすじは以下の通り。

1689年、イングランド、冬。“子供買い”の異名を持つコンプラチコの手により、見世物として口を裂かれ醜悪な笑みを貼り付けられた少年、グウィンプレンは、一行の船から放り出されて一人あてもなく雪のなかを彷徨う。そのさなか、凍え死んだ女性が抱える赤ん坊、後のデアを見つけ、道すがら偶然辿り着いた興行師、ウルシュス(山口祐一郎)の元へ身を寄せた二人は彼と生活を共にすることとなる――

青年となったグウィンプレン(浦井健治)はその奇怪な見た目で“笑う男”として話題を呼び、一躍有名人になっていた。盲目のデア(夢咲ねね/衛藤美彩)と共に自らの生い立ちを演じる興行で人気を博す二人は、いつしか互いを信頼し、愛し合う関係となる。

そこへ彼らの興行に興味を持った 公爵のジョシアナ(朝夏まなと)とその婚約者、デヴィット・ディリー・ムーア卿(宮原浩暢)が来訪する。
醜くも魅惑的なグウィンプレンの姿に心を惹かれたジョシアナは、彼を自身の元へ呼びつけ誘惑する。 突然の愛の言葉に動揺するグウィンプレンがウルシュスらの元に戻ると、突然牢獄へと連行され、そこで王宮の使用人、 フェドロ(石川 禅)より衝撃の事実が明かされた――

公式HPより引用

幼い頃に口の部分に大きな傷をつけられたグウィンプレンと、偶然出会った彼と一緒にいた孤児のデアを引き取ったウルシュスとの絆の物語…ってところに核を置いていたと思います。本当の家族、本当に愛する人を見つけるまでにグウィンプレンは紆余曲折するわけですが・・・、どうも彼の考えに共感できないことが多くて(苦笑)。

ストーリーの概要からすると主人公のグウィンプレンは悲劇性が大きいように思えたのですが、実際に見てみるとほとんど悲壮感は感じられなくて・・・むしろ攻撃的な印象が強かった。
なんというか、想像していたものとは違ったなぁというのが正直なところです。それがいい方向に向かえばよかったんですが、今回は違和感多めになってしまったのが敗因だったかもしれない。

楽曲を担当したのは、日本でもすっかりお馴染みとなったフランク・ワイルドホーン
ストーリーはハテナ状態が続いたんですがw、ワイルドホーンの音楽はドラマチックで良い曲がたくさんありました。CDも発売されるとのことなので、興味のある方はチェックしてみては。

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全体感想+キャスト感想

ほとんど辛口系になりそうなのでご注意を・・・(苦笑)。

まず良かった点は、セット。梅芸という大きな舞台空間を有効に活用したダイナミックなセットが多くて迫力がありました。特に冒頭の舟の遭難シーンはかなり大掛かりで「すごい!」って思いました。
あと、セットと併せた映像美術も臨場感があって綺麗でした。最近の舞台の照明や映像はちゃんと作品の中に違和感なく溶け込んでいて物語を引き立てていますよね。エリザベート初期の頃の迷走していた映像を見ているのでw、ずいぶん進化したなぁと嬉しく思います。

あと、曲も素敵なナンバーが揃ってて個人的には好感度が高い。特にグウィンプレンとデアが交互に歌う♪木に宿る天使♪はとても美しく可愛らしく、聴いていて胸にジーンと響くものがありました。
それから、グウィンプレンが歌うソロの♪笑う男♪も印象深かった。浦井君の素晴らしい歌唱力に圧倒されるものがありましたね。

キャストも実力派揃いで、浦井くんをはじめほとんどが作品の世界観をきっちり伝えられる歌唱力があったのがとても良かった。禅さんの裏がありそうな怪しいキャラの作り方もさすがだなぁと思ったし。
個人的には『グランドホテル』以来の宮原さんの舞台姿が見れたのが嬉しかったです。 LE VELVETSということもあって歌唱力は全く問題ないんですが、今回の自己中心的で卑屈な貴族といった敵役キャラは実に新鮮で面白かった。あんな悪い顔もハマるんだなぁと新たな発見でしたw。責めの芝居がよかったです。
あと、朝夏まなとさんの圧倒的歌唱力も印象的。昨年「オンユアフィート」で初めて見た時に歌のうまい女優さんって思ったんですが、大きな舞台を支配する勢いのソロナンバーとかは迫力があって続々させられました。

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ここから先は辛口系です、あしからず。

私は1回しか観なかったからかもしれないんですが…全体的に何を伝えたいのかがよく分からなかった。

最初の船が難破したシーンの時に瓶の中に何かを託してた人物が出てきて、その真相みたいなのが1幕クライマックスで明かされるわけですが・・・フェドロはなぜその瓶の存在を知っていたのか、真相を入れた瓶を持っていた人物は誰なのか、そのあたりの関係性がハッキリと語られてなくてモヤモヤが残ったんですよねぇ…。
フェドロはコキ使われる立場から権力を握る側に回るために暗躍したってことなんだろうけど…、けっこう重要な役割を担っているっぽいにもかかわらず結局何をやりたかったのかがよく分からなかったよ(苦笑)。最後はジョシアナに「あんたの悪事がバレる前に退散しなさい!」みたいな感じで追い払われてたけど、あなたに言われたくないって思ったんじゃね!?とツッコミたくなったw。

グウィンプレンは幼い頃に貴族に売られて酷い傷を負わされてしまった過去を背負っていますが、本人はむしろそれを隠して生きようっていう感じではなくて利用してやるってくらいの強さを持ってる。逞しい青年だなとは思うんだけど、行動があまりにもブレブレなところが多くて…ちょっとついていけなかった。

ウルシュが率いる見世物小屋(このシーン見た時に映画「グレイテスト・ショーマン』思い出した)での生活にグウィンプレンは息苦しさみたいなのも感じていて、ジョシアナに誘惑されたらそっちにフラフラ~~っと気持ち持って行かれそうになる。え?そういうキャラなの!?って思った(苦笑)。さらに自分の出生の秘密を知ると、大切に思っているはずのデアを置き去りにしてさっさと貴族の世界へと旅立ってしまう。なんだかなぁ…と苦い気持ちになったよ(苦笑)。

貴族の世界にグウィンプレンが飛び込んだのは、貴族第一主義の世界を変えるためっていう彼なりの大義があったようではあるんだけど、至れり尽くせりな生活にまんざらでもなくてむしろ喜んじゃってるシーンがあるから見てるこちらとしては複雑(苦笑)。
たしか、貴族の世界を軽蔑してたはずだったよね?まぁ、人間的でいいっていえばそれまでなんだけど、それにしてもなんだかブレてるって思ってしまって感情移入はしづらかったかも。

で、議会で自分の意見がバッサリ斬り捨てられると「こんなところもう未練はない」と飛び出してウルシュスの元へあっさりと戻る。外に出ては見たものの、自分の水とは合わないみたいだったからやっぱり戻ろうっていう感じに見えちゃってなんだか苦笑いしながら見てしまったw。グウィンプレン、翻弄されすぎだろ(苦笑)。
彼が立ち去った後にジョシアナが悲劇のヒロインみたいになってデヴィット・ディリー・ムーア卿やフェドロを追放する、みたいな流れもちょっと理解できなかった。ジョシアナはけっこう傲慢なキャラとしての側面が大きいように感じてたので、あなたに追い出されたくないよねぇ…みたいにツッコミ入れちゃったよw。っていうか「ジョシアナ」って名前が…w。「女子アナ」と被っちゃってどうにも(ヲイww)。

デヴィット・ディリー・ムーア卿の描き方もかなり浅かったなぁ…。生い立ち的にはけっこう辛い過去があったりするらしいのに、その背景が付け足し程度くらいにしか描かれてないので彼がなんであんな粗暴な人間になってしまったのかが全く伝わらない。宮原さんが熱演していただけにホント勿体なかった。
グウィンプレンの過去にも深くかかわってたって後半に出てくるんだけど、その因縁とかも描かれ方が弱いし…ドラマとして色々と中途半端感は否めない。

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そして肝心のウルシュスなのですが・・・彼は常に「この世は残酷だ」と言って周りを信じないようなところがあったけれど、グウィンプレンやデアを引き取って育てたことで”親”としての愛情が芽生えるという重要なキャラクター。
この作品の中ではブレることなく厳しくも優しく二人を見守る人物で、その愛の大きさに感動するところもあるわけですが…私は全く感情移入することができなかった…。

ウルシュス、という作品の中のキャラではなく、山口祐一郎さんにしか見えなかったからです(汗)。

台詞の言い方、ぎこちない動き方、どこをとっても祐一郎さんにしか見えなくて物語が入ってこない(ファンの皆さん、ごめんなさい 汗)。ほとほと私の観劇と相性が合わない方なんだなっていうのを痛感させられました。
祐一郎さんは歌中心の役柄の方が違和感なく見れる。芝居の比重が大きい役はちょっと私には合わないことが改めて分かりました(苦笑)。ヴァンパイアは期待してます…!!

それから、もう一人の肝心なキャラクターでもあるデア。ひたすらグウィンプレンに想いを寄せる健気な少女で、普通に見たらすごく泣けると思うんですが・・・えっと、衛藤さん、もう少し頑張ってほしかった(汗)。
可愛いっていうのは十分伝わるんです。元アイドルだったし、キラキラしたものは感じられました。でも、それ以上には何も感じるものがなかった(苦笑)。歌がねぇ・・・あまりにも弱い。音程を合わせるのに必死になってるように見えちゃって…。

ウルシュスとデアの二人のシーンは本当なら泣き所なのかもしれないんだけど、私にはちょっと手に汗握る時間みたいになってましたよ(苦笑)。

クライマックスではグウィンプレンが帰還して感動の対面…みたいになるわけですが、えっと、あまりにもグウィンプレンの行動に感情移入できなかったからか、予定調和的なシーンにしか見えなかった(汗)。デアとの関係も一気に進む感じになるんですけど、私は見ながら「え、いまさら!?」って感想しか浮かんでこなかった(苦笑)。ウルシュスたちは泣きながら二人のことを祝福するんだけど、なんだかすべてが白々しく見えてしまって…。

そしてよく分からなかったラストシーン。えーーー、あれは、後を追った・・・みたいな解釈ですかね?そうだとしても、ふーーーん、程度で私の中では終了(汗)。久しぶりに心がほとんど動かない舞台を観てしまった・・・という残念な気持ちが大きかったです。

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後述

劇中で一カ所アドリブみたいなシーンがあったのは面白かった。
議会に入る直前、浦井くん演じるグウィンプレンが禅さん演じるフェドロに会釈の方法を教わる場面で、浦井くんが「こんな感じですか?」ってグリコのポーズやってww。それに対して禅さんが「なんですかこれは?」って無表情ツッコミ入れてきて(笑)。そのあと数秒二人のボケツッコミがなんとな~く展開され、最後には「ま、いいでしょ」みたいに禅さんが折れてたww。

たしか『ハル』観に行った時もカテコでキャストの半分がグリコポーズしてたんですよねw。大阪といえばみんなミナミのグリコが連想されるんでしょうか(笑)。

『笑う男』曲は良いのが多くて興味惹かれたんだけど、作品的にはあまりにも微妙な感想だったので今回は買わない方向です。再演されても行かないかなぁ…キャスト次第ではありますが。

久しぶりに不完全燃焼な観劇となってしまったため、毒多め感想ですみません(汗)。次は楽しめるといいなぁ…。

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