1976年から現在まで連載が続いている有名な少女マンガ『王家の紋章』のミュージカルが満を持して大阪に初上陸したので、5月に観に行ってきました。
と言っても、私は原作漫画を1巻の途中でリタイアしてしまったクチなので内容はほとんど知らずに見に行きました。なぜリタイアしてしまったかといえば…イラストが好みじゃなかったからでして…。内容以前に絵柄の好みだけで折れてしまったという(苦笑)。ただ、原作の愛読者だとどうしても実写とキャラクターを天秤にかけてしまうところは出てしまうかもしれないので、そういった点では今回知らずに見に行ったのは正解だったかなと思います。
前回の東京公演は早いうちに完売になったそうで、遠征しようか迷っているうちに売り切れてしまった現実がありました(笑)。なので、大阪公演はぜひこの目で…と頑張った結果、2次選考あたりで何とか引っかかった次第。改めて『王家~』人気を実感しましたw。
ロビーには原画も展示してあって多くの人が写真を撮るため群がっていました。梅芸は展示場所が限られちゃうので狭いしあまりゆっくり見れないのが難点。そんななか、観劇前に私も並んでちょっくら撮影してきました。
私は原作を知らないので「ほぉ~」くらいの感想しかなかったんですが(スミマセン!!)原作ファンの方にとってはかなり貴重な数々だったのではないかなと思いました。皆さん熱心に撮影されてました。
以下、ネタバレを含んだ感想になります。
2017.05.29ソワレ・05.30マチネ公演 in 梅田芸術劇場(大阪)
主なキャスト
- メンフィス:浦井健治
- キャロル:新妻聖子(29日)/宮澤佐江(30日)
- イズミル:平方元基(29日)/宮野真守(30日)
- ライアン:伊礼彼方
- ミタムン:愛加あゆ
- ナフテラ:出雲綾
- ルカ:矢田悠祐
- ウナス:木暮真一郎
- イムホテップ:山口祐一郎
- アイシス:濱田めぐみ
29日ソワレのキャスト
30日マチネのキャスト
全体感想
原作を知っている人に聞いてみたところ、コミックでは1巻から4巻にあたる部分が今回舞台化されていたそうです。現在発売されてるのが62巻(2017年6月現在)で未だ継続中ということですから…かなり初期のお話ということになりますね。
それでもなかなかに内容が色々あったのでその後どんなストーリーが繋がっているんだろうかという興味はあります(でもやっぱりイラスト苦手だから買わないだろうけど)。
観劇前にほとんど前知識も入れていなかったのですが、結果的にかなり楽しめました。ストーリー的に面白かったと思います。それに、音楽が世界観とマッチしていてとてもよかった。日本の少女マンガ世界を、あのエリザベートを生み出したリーヴァイさんはどうやって表現するのかちょっとドキドキしていた部分はあったんですけど、個人的にかなりドンピシャでした。これはちょっとした新しい発見。
それから、エジプトの話だったのでちょいちょい大好きだったミュージカル『アイーダ』を思い出してしまいました。めぐさんも出演していたこともあってか、ところどころアイーダの話を重ねて見てしまった😛。また観たいなぁ、『アイーダ』。
物語は現代に生きる考古学好きなアメリカ人少女・キャロルがエジプトで王の墓を発掘する調査に参加した折、謎の人物(たぶんアイシスの生霊!?)に呪いをかけられ古代エジプトへタイムスリップしてしまうところから始まります。右も左も分からない不安の中、キャロルはエジプト王・メンフィスと出会い圧倒されますが、あまりの傍若無人な行動に衝撃を受けついつい反論してしまう。あの当時は日常茶飯事的な出来事も、現代に生きてきたキャロルにとっては残虐な行動そのものに見えてしまうわけで、二人の仲は始めはかなり険悪です。
この、最初は犬猿の仲っていうのがもう、王道少女マンガっぽいですよね(笑)。私、こういうベタな王道展開の恋愛もの…大好物なんです、実は。最近の妙に捻った展開や不倫みたいな恋愛ものがどうしても好きになれなくて、こういうオーソドックスな物語にキュっとしちゃうんですよねww(年甲斐もなく)。
メンフィスとキャロルの距離感はなかなか縮まる気配がなかったんですが😅、ある出来事をきっかけにして二人の間がものすごいスピードで接近w。正直、ちょっと早すぎるかもと思わなくもなかったんですが…メンフィスがすごい引力でキャロルに惹き寄せられていく過程は見ていてけっこう萌えました(笑)。
でもそこに絡んでくるのが、こわ~いオーラを漂わせてる弟・メンフィス大好き姉さんのアイシス。めぐさんが演じているからかとにかく圧倒的な黒のオーラがメラメラ漂いまくっててwしまいには戦争まで引き起こしちゃうっていうね。
そして2幕になって本格参戦してくるエジプトの隣国・ヒッタイト王子のイズミル。人質としてキャロルを囲ってたはずなのに、側近のルカから「敵国のメンフィスと恋仲の彼女を自分のものにしちゃったほうがいい」と囁かれるとあれよあれよという間に恋愛モードに(笑)。イズミル、キャロルに落ちるの早すぎないか!?と思っちゃったんだけど…だけど、あの、狂おしそうな表情や言動見てたらなんか…キュンときてしまった(汗)。あ~、こういうのもまさに古き良き時代の少女マンガらしさだなぁと。それだけで違和感もういいやって気持ちになっちゃったっていう、ね、ホント単純だわ、私って自虐しながら見てました(笑)。
ただですね、クライマックスで「もう結婚!??」って思ったのはありました、はい。かなりの速さで惹かれていきましたが、え、結婚までの紆余曲折がまだ足りないんじゃ!?とそこの部分は消化不良あったな、正直。つまりは萌え要素不足www。2幕がちょっと走りすぎてた感あったのでそれもあるかな。
ただ、原作がまだ続いてるということなので、まとめるにあたりこういう速足になってしまったのも仕方ないかなとも思います。原作の初期段階で結婚まで行ったのかどうかは知らないんですけど(たぶんまだの気が…)。
でも全体的には萌え処も多かったしかなり楽しめました。DVDも思わず予約してしまった(笑)ので届くのが楽しみです。
主なキャスト別感想
浦井健治くん(メンフィス)
舞台で浦井君を見たのはちょっと久し振りになったかもしれませんが、少し見ない間に精悍になったなぁと思いました。フライヤーの扮装写真を見たときはちょっと違和感があったのですが、実際の舞台で浦井君のメンフィスを見たら「カッコいい・・・」と思わず見惚れてしまったほど。想像していた以上にエジプト人扮装が似合っていたのが驚きです。
セリフ回しや歌声に芯があって以前より力強くなった印象がありましたね。可愛い浦井君じゃなくて男っぽく艶もある浦井君って感じたかな。メンフィスって直情型な性格なので最初のうちは残虐なことをためらいなく行ってしまうし怒ると火のように熱い。今までもヤンチャな役を演じてるのを見たことがあったけど、今回が一番違和感なく見れた気がします。大きなマントをバッサバッサとひるがえす姿もなかなかサマになっていました。
キャロルと恋に落ちた後はひたすら真っ直ぐに彼女への愛を表現していて、見ていてちょっとこちらが恥ずかしくなってきたくらい(笑)。澄んだ歌声も力強く彼女を愛する気持ちが伝わってきてとてもよかったと思います。
新妻聖子さん(キャロル)※ダブルキャスト
このところテレビで見る機会の方が増えてしまった気がする聖子さんですがw、久し振りに舞台の上の彼女を見て・・・あぁ、さすがだなぁと思いました。聖子さんはやっぱり舞台の上が一番輝いて見える。少女時代のシーンからもう惹き付ける引力がすごい!無邪気で明るい少女なんだけど、それだけじゃない見る者を捕えて離さないような魅力をすごく感じました。なんていうのかなぁ…圧倒的な安心感みたいな?
歌声の安定感も抜群です。全く不安要素が見つからない。歌声に乗せた表情がとにかく素晴らしい。メンフィスに食って掛かってる時の新妻キャロル、必死の思いがひしひしと伝わるし言葉の中に彼女の怒りの表情がちゃんと分かるんですよね。ある事件からメンフィスに惹かれていく過程も、心の内側にジワジワ広がっていく想いをとても丁寧に演じていて乙女心がストレートに伝わりました。
それにあの輝くばかりの笑顔がなんとも魅力的!聖子さんのキャロル見ることで来てよかったと思いました。
宮澤佐江さん(キャロル)※ダブルキャスト
新妻キャロルを見た翌日に宮澤さんのキャロルを拝見。元AKB48のトップアイドルだった彼女が果たして舞台の上…しかもミュージカルでどれだけ歌えるのか、正直最初はかなり不安が大きかったです。AKBの子たちって歌のソロを聴くと「・・・・」って感じの人が多いから、本当に大丈夫なんだろうかと、ものすごくハードル下げて見に行きました(ファンの皆様ごめんなさい!)。
そしたら、思っていたよりもかなり普通にミュージカルに馴染んでいたのでちょっと驚きました。あ、佐江さんってこんなに歌える人だったんだ~と嬉しい誤算(ハードルを低く設定していったからというのもありますがw)。新妻さんと比べると音域に不安定さがあったし高音部分になると声が小さくなってしまう違和感はちょいちょいあったんですけど、個人的にはなかなか良かったんじゃないかと思いました。
新妻さんが聡明なタイプのキャロルとしたら、宮澤さんはお転婆タイプのキャロルだったかな。少女マンガによく出てくるような闊達な女の子っていうイメージで、もしかしたら原作は宮澤キャロルのほうが近いのかもと思ったり。無邪気さが垣間見えたりして可愛かったです。
平方元基くん(イズミル)※ダブルキャスト
イズミルの出番は1幕がとても少なく本格的に登場してくるのが2幕からなので、登場した時はやっと出てきた~!って感じでした(笑)。元基くんのイズミルは聡明で気高く、清々しさを感じさせるような雰囲気でしたね。正統派王子ってかんじで、少女マンガのキャラ的にはピッタリじゃないかなと思いながら見ていました。
歌声も爽やかさを醸し出しながらも力強く、声の伸びも迫力があってとてもよかったと思います。ただ、キャロルへの恋愛感情を表すシーンが意外とアッサリ気味に感じてしまったのが少し残念だったかも。展開的にかなり急って感じではあったんですがw、もう少し想いを寄せる熱さみたいなものも見たかったなと思いました。
ちなみにこの日が平方イズミルの大千穐楽だったようでカテコで挨拶がありました。作品への想いを込めたしっかりした素敵な挨拶だったんだけど、浦井君から「次の作品あるからね」とバラされて「それ言わないで~」みたいにオタオタしてたのすごい可愛かった。
宮野真守さん(イズミル)※ダブルキャスト
声優としての宮野さんは以前から知っていましたが、舞台・・・しかもミュージカルで拝見するのは今回が初めてだったのでかなり楽しみにしていました。コンサートに行ったことのある人から「宮野さんは歌ウマだよ」って聞いていたこともあり、そのあたりも期待してました。
いやぁ~、想像していた以上に情熱的で熱いイズミルだったんで・・・ビックリしながらもかなり萌えながら楽しませてもらいました。話に聞いていた通り、すごく歌も上手いしちゃんとキャラの感情が旋律に乗っていたのも良かったです。
一番の萌えどころだったのは、キャロルを誤って斬りつけてしまった後の表情。ここ、平方くんはあまり動揺が見えなかったんだけど、宮野さんのイズミルは顔真っ青にしてめっちゃ動揺してて・・・私、あの表情見たときに「王家のDVD買いだな」と思って購入してしまったんですよね(笑)。なんか、求めていたものがキター!って感じで。
最近、歌える声優さんが続々とミュージカル界にも進出してきてとてもいい刺激になってるんじゃないかなと思います。また違う作品での宮野さんも見てみたいかも。
伊礼彼方くん(ライアン)
今回の舞台で一番違和感を持って観たのが・・・伊礼くんのライアン兄さんでした。いや、伊礼くんが悪いとかそういうんじゃなくて、一人だけ現代パートを中心に演じているものだから存在自体がもう異質に見えちゃってww。
エジプトパートで浦井君が歌ってたりしても、たまに現代パートのライアン兄さんが「キャロル…!」とめっちゃ悩ましい顔で舞台横切ってたりwwwすごい真面目で深刻な感情で演じてるんだけど、真面目であればあるほど異質感が際立ってたというか。なんか途中で「伊礼くん、罰ゲーム受けてるみたいだな…」って思わされることも何度か(苦笑)。
これねぇ、伊礼くんにライアン兄さんの髪型が合っていたらまた違う見方になってたかもしれないんだけど…なんか、圧倒的に、あの黒いロン毛が…。もう、ほんと伊礼くんごめん!出てくるだけで笑いがこみあげてしまったw。あれは演出がちょっと悪かったかもしれない。
矢田悠祐くん(ルカ)
テニミュで活躍されてた役者さんのようで、その他のミュージカルにも結構出演していたみたいですが今まで出会ったことがなく…今回が初めましてです。なんか梅芸のロビー物販コーナーに普段ミュージカル作品では見かけないジャンルのCDwwが置かれていて「?」と思ったんですがw、矢田くんがその主題歌を歌っていた関係だった。多岐にわたって活躍してるんだなと思いました。
パンフレットで見たとき、「この人女性?」って一瞬思ってしまったくらい超美形でまずビックリ。舞台の上の実際の矢田くんを見ても本当にすごくきれいな顔立ちしていてとても舞台映えしていました。それだけではなく、歌もすごく上手いし、芝居やセリフ回しも惹きつけられるものがあってビックリしました。役柄的には3番手以下のポジションだけど、登場するたびに目が行っちゃうみたいな。表情も喜怒哀楽分かりやすくとてもよかったと思います。これは将来かなりの有望株が出てきたかも!他の作品でもぜひ見てみたくなっちゃいました。
濱田めぐみさん(アイシス)
ちょっとご無沙汰だった濱田さんでしたが、この人の存在感はもう別格ですね!私は「デスノート」を見ていないのでめぐさんの2.5次元系作品ってどうなんだろうかとちょっと思う部分は最初あったのですが、そんなこと杞憂に終わりましたよ。
冒頭に出てきた時の黒づくめながらもメラメラとした舞台全体を覆うようなオーラにまず圧倒。あれってアイシスの生霊じゃないかって思って見てたんですが、エジプト時代のアイシスはキャロルを認識していたのかちょっと分かりにくかったんだけどどうなんだろう、実際?っていう疑問はありましたが、それをも超越するあの存在感は本当にすごいものがありました。
休憩時間にミュージカルはほとんど知らない原作ファンらしき方が、「アイシスがマンガから雰囲気そのまま出てきててめっちゃ感動してんねんけど!!」とかなり興奮気味にお話されてたのを耳にしました。あぁ、原作ファンをもこうも唸らせるって、めぐさん本当にすごい女優さんだなってちょっと誇らしく思っちゃいましたよ。
登場しただけで客席までもが濱田アイシスの怪しい術に巻き込まれたかのような錯覚を起こしちゃう、そんな感じ。めぐさん、2.5系も全然問題ありませんでした。さすがです!
山口祐一郎さん(イムホテップ)
祐一郎さんを舞台で拝見するの、本当に超ご無沙汰だったので…なんだかすごく懐かしい目で見てしまいました。年齢を感じさせない祐一郎さんですが、イムホテップはけっこう高齢の雰囲気がある役柄(カツラも爺さんみたいに真っ白だしw)でなんだかちょっと新鮮でしたね。あぁ、こういう高齢男性の役がぴたりとハマるような年代に祐一郎さんもなったんだなぁと感慨深くも思ったり。
祐一郎さんといえば、圧倒的な伸びのある歌唱力が魅力だと思うんですが…久し振りに観たらちょっと力が薄まったかなぁという印象を受けたかもです。役柄的に抑えていたっていうのもあるかもしれませんが。あと、歌う時に今まではよく両手を上に上げる癖があったんですが、今回は杖を持っていたのでそれも気にならなかったかなw。
後述
ツッコミどころもちょいちょいはありましたが、全体的にはストーリーも音楽もけっこう好みで楽しませてもらった作品でした。舞台経験豊富な歌える役者さんが多く配役されていたのも大きかったと思います。初めて舞台で観る役者さんもそれぞれ色があって魅力的だったし、新たな発見もあったりして収穫も多かったです。
イラストが苦手なので漫画はやはりこの先も読むことはないですけど、続編版の舞台とかあったらまた観に行きたいなと思います。
DVD発売も決定しています。興味のある方はこちらのリンクから購入してみては😀。