ミュージカル『パジャマゲーム』 2017年東京公演

ミュージカルコメディ『パジャマゲーム』を観に東京まで遠征してきました。

実はこの公演は大阪もあるのですが…第一次抽選でアフタートークの回を申し込んだところ落選してしまって(苦笑)。これはかなり競争率激しいのかもと第二次抽選の時に「どちらかが当選すれば」という気持ちで東京と大阪二つをエントリーしていたんです。そしたら、今度は両方とも当選してしまって😅。
どちらか一方…とも思ったのですが、東京のトークショーも魅力的メンバーだったこともあって、結局行ってしまったと、こういう経緯がありましたw。一番最初にハズレたのはいったいなんだったのか…未だに謎(苦笑)。

日本青年館ホールは初めて訪れた劇場。どうやら新しい国立競技場建設の都合で移動したらしく、2017年8月にオープンしたばかりのようでした。もしもまだ青山劇場が存続していたらそこで上演したんだろうなと思ったので、今後は青山劇場クラスの作品は日本青年館ホールでということになっていくのかもしれませんね。
アフタートークの時に新納くんが皮肉ってましたが(笑)私の座った席はサイドながらも見やすかったのでよかったです。もしかしたら2階席や後ろの方は「悪評」が分かるような創りなのかもしれないけど😓。ただ音響がちょっと響きすぎかなぁという印象も。端の方だったからかもしれませんが、ちょっと聴き取りづらいシーンがいくつかあったのでそれだけが残念。

アフタートークのレポは新たに書く予定なので、こちらでは作品の感想を中心に。

以下ある程度ネタバレを含んだ感想です。

 

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2017.09.27マチネ公演 in 日本青年館ホール(東京)

主なキャスト

  • ベイブ・ウィリアムス:北翔海莉
  • シド・ソローキン:新納慎也
  • グラディス:大塚千弘
  • プレッツ:上口耕平
  • チャーリー:広瀬友祐
  • メイベル:阿知波悟美
  • ハスラー:佐山陽規
  • ハインズ:栗原英雄

宝塚を退団されたばかりの北翔さんを除いて、他のキャストの皆さんはミュージカルの舞台で何度も観たことある方ばかり。ベテランと若手が上手い具合にバランス良く配置されてるなぁという印象です。アンサンブルも青山航士さんを始めキレのいい動きや歌える人がずらりと揃っていたのもよかったです😀。

 

全体感想

初日が明けて間もない頃の公演なので、今回はあまりネタバレに触れないように書いていこうかと思います。
ちなみに、開幕前にストーリーが簡単に分かるポップなイラスト動画がアップされました。

予習がなくても単純なストーリーなので問題ないと思いますが、内容をちょっと頭に入れる意味ではこの動画を見た方が舞台を楽しめるかもしれません。何も知らないまま真っ新な状態でという方はスルーしましょう😁。ちなみに私は見てから行きました(笑)

トム・サザーランド演出の舞台を観るのは『タイタニック』『グランドホテル』に続いて3作目になります。前2作が本当に素晴らしくて大好きな作品だったのですが、今回はそれとは違ってコメディものということで・・・どのように演出されるのか楽しみにしていました。
まず思ったのが、舞台の使い方が非常に巧いなということです。日本青年館は比較的大きなステージなのですが、そこを目いっぱい有効に使っていて余計な空間がなかったのがすごく良かった。舞台美術は1950年代の香りのするパジャマ工場を再現していて外観的には壮大で圧倒される感じ。それでいて動きのあるセットはいたってシンプル。可動式の組立を自在に動かしてオフィスに仕立てたりと、場面転換がとてもスムーズでテンポが良かったのも好印象でした。こういう魅せ方がやはりトムは上手いなぁと😃。

ストーリーは至極単純で、正直あまり考えさせられたりするようなシーンはあまりないです(笑)。労働者の賃金を上げろ!っていうのが大きなテーマになってて当時の環境を皮肉ってるようなところはあるのですが、それよりもスコーンと明るいちょっとおバカなやり取りの方を楽しんで!って感じの作品。
特にダンスシーンがとても多いので、視覚的に楽しむといった意味合いがけっこう大きいかも。いわゆる古き良き時代の「ザッツ・ミュージカル」みたいな感じ。物語を楽しむというよりかはエンターテイメント的なところを注目してほしいっていうコンセプトの作品かな。ここ最近はストーリー性の高いミュージカルが日本では多く上演されているので(新納くん曰く、ちょっと暗めなやつねww)、それに慣れ親しんできた人にはちょっと苦手意識持ってしまうかもしれないなぁという印象は正直ありました。

ただ、個人的には・・・たまにはこんな「元祖ミュージカル」な作品も面白くて良いんじゃないかなって思えました。懐かしさを感じつつ、それでいてどこか新しい雰囲気を感じたんですよね。たぶん、ダンスがすごく革新的で面白かったからかもしれない。2幕の頭には「シカゴ」を連想させるようなボブ・フォッシー的ダンスも出てきて「おっ」ってなったし。
歌って踊れる役者さんが今回ずらりと勢ぞろいしていたので、全体的にアグレッシブでポップなショーを楽しんでいるような感覚になりました。あのダンスを踊りながら、ちょっと難しそうな音程のナンバーを歌いこなすのって…ホント大変だと思いますよ!?そういった意味でも非常にレベルの高い舞台だなと思いました。

ストーリーだけを追って見てしまうと「おいおい!」みたいなツッコミどころ満載な物語なので(笑)、こいつらバカだなぁ~、でも、よかったね~、みたいな感覚で楽しむのが一番良いかなと😁。
ここ最近ではほとんどお目にかかれなくなってきたタイプのミュージカルを、今上演しようと踏み切ったチャレンジに私は拍手を送りたいです。日本人受けするタイプの作品ではないかもというのは何となく感じましたが😅、ミュージカルの多様性というものを示してくれたことはとても意味が大きいのではないかなと思いました。

ちなみに私が一番好きだったのはベイブとシドの関係がこじれてしまったあたりの場面。この時の新納くんの切ないお芝居がものすごく良くてめっちゃ萌えました(笑)。そんなキュンとするような物語もあったりして…あれが見れただけでも行った甲斐あったと思っちゃいましたw😄。
エンディングで皆それぞれ特徴あるパジャマで登場してワイワイっていうのも面白かった。めでたしめでたしなハッピーエンド感満載です。こういうのもなんかここ最近見かけない懐かしい雰囲気がありましたね。

 

主なキャスト別感想

北翔海莉さん(ベイブ)

宝塚を退団されて女優としてこれが最初のスタートになったという北翔さん。たまにヅカ出身の女優さんで歌が…っていう人がいたりするんですが(苦笑)、この方は歌もダンスも全く申し分ありませんでした😃。全体的に歌の音域が低めだったので歌いやすそうだなとは思いましたが、不安に思う個所はなくてすごく安定していたのが良かったです。それにダンスがすごく魅力的!2幕頭のシーン見たときは将来「シカゴ」できるんじゃないかと思ったほど。
ただひとつ気になったのが…顔つきがまだ「男役」さんから抜けてなく見えちゃったので…シドがいくら「キュートで可愛い」って台詞を言ってもピンとこなかった😅。外見的なことでいえば、千弘ちゃんのほうが合ってたかも!?ロングヘアのカツラがあまり似合っていなかったのが気になっちゃって(苦笑)。でもこれは北翔さんの問題じゃないですからね。たぶん次に見る時には違和感そんなないはず・・・かな。もうすこし男性的な女性役のほうが似合うのになってちょっと思ってしまいました。

新納慎也くん(シド)

新納くんがミュージカルでこんな2枚目相手役するの初めて見た気がする(笑)。本人も言ってたけど、どちらかというとこれまでアクの強い感じが多かったですからね。そういった意味ではどんな感じなのかすごくワクワクしていたのですが・・・めっちゃカッコよくてビックリしましたがな😆!!蜷川舞台版の『ガラスの仮面』で速水真澄役を見た時もそうだったけど、新納くんの2枚目芝居ってすごく魅力的だよなぁって改めて思いました。
特にベイブにアプローチかけながらも振り向いてもらえなくて、留守電に想いを吹き込んで一人デュエットする場面はかな~~りキュンときましたよ(笑)。恋に悩んで悶々とする姿がなんてハマるんだろうと、速水真澄以来の新納くんに対するトキメキを覚えたww。

あと、『パレード』見た時にも思ったけど、歌がすごく進化しましたよね。すごく自信を持って伸び伸びとしてるし、何よりも歌声に力強さが加わったのがとても印象的です。大阪公演までにまた進化してると思うので次に会うのが楽しみ!

大塚千弘さん(グラディス)

久しぶりに千弘ちゃんのミュージカル見ましたが、すごい大人っぽくなっていてちょっとビックリしました。役柄的にも小悪魔的に男性を翻弄していくような感じだったんですけど、可愛さだけじゃなくて思わず男たちがフラフラ~って行きたくなっちゃうような色気もあってすごく魅力的だったな。あれはみんな手玉に取られても仕方ないわ、みたいな😁。
それでいてどこかちょっと抜けてるというか、大胆というか(笑)。酔っぱらってシドを翻弄させたり恋人(?)のハインツをアタフタさせたりする芝居がめちゃ可愛かったです。すごくお芝居に余裕もって演じてるなぁと…良い女優さんになったなと思いました。

上口耕平くん(プレッツ)

今回のミュージカルで楽しみにしていたうちの一人が上口くん。でも、今回は見た目がくるくるのパーマヘアにメガネくんといった風貌だったので…正直、始まってからしばらくしてもそれが上口くんだとは気が付かなかった😅。いや~~、外見がこんなに変わっちゃうもんなんだねぇ(笑)。台詞と出番が増えてきたころになってやっと「あ、プレッツは上口くんだったか!」と気が付いたくらいで…惜しいことをしてしまった😅。
役柄的にはちょっと「ゲス」が入ってるプレッツw。奥さんがいるくせに色っぽいグラディスにお熱あげてて…かと思えば彼に想いを寄せる女の子に強引に迫られてズルズル付き合っちゃう、みたいなね(笑)。この翻弄されっぷりのコメディ芝居が実に可愛くて微笑ましい。ゲスなことしてるのに嫌みがないのは上口くんが上手い按配で演じてたからだろうな。歌もダンスも相変わらずすごく力があってカッコよかったです😆。次見る時はちゃんと最初から注目しようw。

広瀬友祐くん(チャーリー)

先日観たミュージカルのトークショーの時、井上芳雄くんから「次のコメディ芝居で彼がちゃんと笑える役を演じられるのか気がかり」と心配されていた広瀬くんww。

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いやいや、なんの、ばっちり爽やかな素敵な笑顔満載でしたよ😊。あの優しさと笑顔の芝居はかなり多くの人の心を掴んだんじゃないでしょうか。広瀬くんが上手く笑えててよかったw。
これまではギラギラした感じのどちらかというと狂暴なキャラで観ることが多かったので、今回の役柄は非常に新鮮でした。眼光鋭い役もカッコよかったけど、こういった人を思いやる優しい温かい青年の役もめっちゃハマりますね!とても印象深かったです。

阿知波悟美さん(メイベル)

色んな作品で見る度に上手い女優さんだなって思ってましたが、阿知波さんのコメディ芝居は本当に観ていて面白くて笑えて…最高です!!表情がマンガみたいでwwコケティッシュな動きには何度も笑わせてもらいました。
ダンスは苦手とパンフレットにも書いてありましたが、それでも大縄跳びをあの衣装で華麗に飛んだのはめっちゃすごいと思いますよ!?それに栗原さんとのダンスシーンもコミカルですごく面白かったです。

佐山陽規さん(ハスラー)

今回の作品の中で、どちらかというと敵役だった佐山さん演じるハスラー。パジャマ工場の社長で従業員の給料を頑固に上げないと宣言しまくって、「自分は戦士!」って胸を張っちゃってるw。でも敵役なんだけど、どこか憎めないようなコメディ的お芝居で…その按配がものすごく上手いなぁと思いました。作品に棘を残さないようにあくまでも「コメディ」という余韻を残した感じがとても印象深かったです。佐山さん、さすがですね。

栗原英雄さん(ハインズ)

栗原さんのミュージカルを見たのは『タイタニック』以来。あの時は妻に翻弄されながらも温かく彼女を見守る優しさが光る役柄でした。栗原エドガーに何度泣かされたことか…。で、今回も同じトム演出作品ということで…どんな役かと思ったら、超3枚目キャラでビックリしました(笑)。初日カテコの写真を見たときに「え!?」となったほどだったんでww。あんな3枚目な栗さんのお芝居見たの、初めてかも😁。とても新鮮でした。
女性に翻弄されるといった点ではタイタニックと同じようなシチュエーションですが、その中身は180度違いますw。前回は受け身なお芝居でしたが今回はすごい攻める感じ。恋人に対する執着心がハンパなく、シドを疑って刺しにいこうとしたくらいですからね😅。工場で働いているときは仕事にすごくまじめに取り組むお堅い雰囲気のハインズですが、恋人のグラディスが絡んでくるとガラッとキャラが変わってしまう(笑)。あの激しい落差が観ていてすごく面白くて何度も吹き出しちゃいました😄。ここのキャラの変化の芝居って、演じる方はすごく繊細で難しいだろうなと思います。それを感じさせないスイッチの切り替えっぷりが、やっぱり栗さん上手いなぁと😊。

ひとつ気になった場面が、ピクニックの時に酔っぱらって酒瓶もってフラフラするシーン。袖に捌ける時に酒瓶を前足のように操ってヨツンバ歩きしていたのって…あれ、ライオンキングの動物演出に見えちゃったんだけど意識したんだろうか(笑)。
身体能力も高い栗原さんですから、大阪公演に来るころにはまた違うアクション取り入れてたりして!?期待していますw。

後述

見終った後に頭に残ったのが「♪今日は、年に一度、年に一度の~♪」って歌のフレーズ。あれ、すごく楽しいナンバーでなんか残っちゃうんですよね(笑)。

古き良き時代のミュージカルっぽいナンバーがたくさんあって、楽しくてどこか懐かしいような素敵な作品だと思います。何よりカンパニーの雰囲気がとても良いのも魅力。トムさんの演出作品って、前2作もすごく結束力感じましたからきっと今回もそれに負けないような絆があるんだろうなと思いました。

カーテンコールでは北翔さんがごあいさつ。演出のトムと振付のニックがこの日に母国へ帰ってしまったことがすごく寂しいと語っていたのが印象的でした。そんな風に語ってもらえるチームを作ったのがすごいなと。
で、カーテンコールで着ていた自分のパジャマは売店に売ってますよ~と宣伝。「みなさま、夢の続きは売店で」ってすごい上手いフレーズで締めくくってて出演者一同が「おぉ!」と感心(笑)。新納くんなんかそのあと「上手いこと言いましたね!皆さん一緒にご唱和を」と客席と一緒に「夢の続きは売店で」と唱えちゃったほどでしたから😁。「このあとは新納さんと栗原さんの爆笑トークがあるのでお楽しみに」ということで、トーク前のカテコもすごく盛り上がって楽しかったです。

※カテコで北翔さんが着ていたパジャマはSNS特典のもので売店で売ってるものじゃなかったことが後に判明しましたww。

ちなみに、今回観劇した日はSNS企画として作品に登場するスリープタイト社製のパジャマがプレゼントされる日に当たってました。トーク目当てに取ったチケットでしたが、パジャマと、あと可愛いステッカーも頂けてとてもラッキーでした!

ということで、次回の記事ではアフタートークについてレポしています。よろしければお付き合いください。

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