ミュージカル『ファントム』 2010.11.14マチネ

2度目のミュージカル『ファントム』を観に行ってきました。

※2008年観劇感想↓

日曜日ということもあって客席も大盛況。立ち見の人数もかなり多かったように思われます。おそらく大多数は生の大沢たかおさんを見たい!という方だったのではないかと。

で、客席なんですが…今回かなりヤバイ人の隣になってしまった(苦笑)。普段は演劇を観に来ない人が多く足を運んでいるだろうなというのは前々からある程度覚悟していたんですけど…それにしたってマナーがあまりにも悪過ぎる

まずは話し声。オーバーチュアが始まってから黙らないのはある程度目を瞑ります。音楽が始まってからしばらくの間客電ついたままですしね。それでも本当のところは黙っててほしいけど。ところが、客電が落ちてストーリーがスタートしている時点でもまだペチャクチャ喋ってる…しかも小声ではなくかなり普通の声で(怒)。ヲイッ!ストーリー始まったら静かにするのがマナーってもんじゃないのかい!

その後も声のトーンは落ちたものの隣同士でことあるごとに何かコソコソ話してる。そのうちになにやら甘酸っぱい香りがしてきた…。カサカサ音がしてる…。劇中は舞台上に集中したかったので視線は向けませんでしたが…休憩時間に彼女たちがいなくなったあとの席の下を見たら…お菓子の空袋が無造作に置いてあった…(しかも複数 爆)。コラっっ!場内は飲食禁止だろうが!しかも劇中堂々って…最低です。

さらには…舞台進行中にやたらと何度も携帯メールをチェックしてた(怒)。その光のせいで迷惑するお客がいるってこと、分からないですかねぇ(怒)。

そして…前の席の人たちは終始体を前かがみにしての観劇ですよ…(苦笑)。前が見えたからいいけどねぇ、それやられると後ろの人が見えなくなることが多いのですよ…。観劇する時には背中をちゃんと椅子につけてご覧くださいませ。これ、観劇マナーです、本当に。

正直、私の席の周りは映画館以下でした。家でビデオ見てる感覚ですかね。周りのことなんか全く考えてないとしか思えませんでした。どんなにいい服を着てたって、どんなにお化粧頑張ったって、観劇する時のマナーが最悪ならば意味がありません。

言われなくてもわかるだろうってマナー違反なお客さん…勘弁してほしい。大沢さんだって、そんな人たちがファンだって知ったら絶対悲しむと思う。本当に大沢さんのことが好きで応援しているなら、もっと周りの人のことを考えられる人になってほしいです

ACTシアターの劇場係は、上演前にほとんど何もマナー説明などの注意事項を言ったりしないのでかなり自由な空気になりがちなのかもしれない。普段観劇しないお客さんがたくさん来そうな舞台の時はもっと細かく対応してほしいと思ってしまいました。

舞台が始まったらおしゃべりをしない、上演中も休憩中も客席内での飲食は厳禁、携帯は電源を必ず切る、観劇する時には椅子に背中をつけて観るようにするこれは最低限の観劇マナーです。自分がやられたらどうかということをまず考えてほしい。

主なキャスト
ファントム(エリック):大沢たかお、クリスティーン・ダエー:、フィリップ・シャンドン伯爵:古川雄大、カルロッタ:樹里咲穂、ゲラール・キャリエール:篠井英介、アラン・ショレー:石橋祐、ルドゥ警部:中村まこと、ジャン・クロード:永島克 ほか

以下、ネタバレ的なキャスト感想などを少々・・・。

 

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モーリー・イェストンの音楽は何度聴いても本当に素晴らしいです。どのナンバーも美しい旋律の中に表情があって私の好みど真ん中を突いてくる。これがレミゼみたいに全編音楽だったらいいのになぁとふと思ったりもしました。

この作品は芝居の部分は「芝居」、歌の部分は「歌」みたいにけっこう役割分担がされているのでちょっと音楽劇的な性格もあるんですよね。前回観劇した時にはそのバランスがちょっと不安定かなと思うこともあったのですが、今回はけっこうテンポもよくなって観やすくなっていました。

それにしてもやはり気になる謎の5分休憩(苦笑)。個人的にはやっぱり続けて観たいんだよなぁ。ただ、1幕続けるとかなり長い時間になるので…ひょっとしたら初めて観るお客さんの集中力を助けるために入れたのかもしれないな、ともふと思いました。
まぁ、あと3回観る予定なので…その頃にはこの謎の5分休憩にも慣れてくるかも!?

以下、キャストの感想を少々。

ファントム@大沢たかおさん

相変わらず、感情表現が鬼気迫るものがあって本当に見応えがあります。ただ、その感情がMAXになったときの歌う部分がちょっと不安定になっていたのが気になりました。上手く伸びなかったり、入りの部分で一音ズレてしまったりということが前回よりも少し多かったのが残念。

それでも、大沢さんは歌をものすごく頑張っていらっしゃいますよ。声量も初演よりずっとあるし、感情が高ぶった時の声の最後の伸びもうまくいけば普通のミュージカル役者よりも長いんじゃないかと思うほどすごい。初演では観られなかった大沢さんが確かに目の前にいます。堂々としているし、何よりもミュージカルに対して本当に真摯に向き合っているというのがヒシヒシと伝わってくるんですよ。ちゃんと歌に感情が乗ってるし。

お芝居部分はもう本当に素晴らしいの一言。歌だけならば大沢さんよりも上手い人はたくさんいますけど、あの芝居をできる役者はいないんじゃないかと思うのです。ファントムの…エリックの喜びや悲しみ、そして怒り。あらゆる感情が体全体からほとばしっている

印象的なのはカルロッタを狂ったように惨殺した直後にクリスティーンと子供のように無邪気な顔を見せているシーン。その落差があまりにも激しいが故に逆に胸が痛む。そして素顔を見られたときのあの嘆き…。もう、涙無しにはあの大沢ファントムは見れません(涙)。観ているこちらも胸引き裂かれる想いがしますよ…。

エリックはキャラクター的にかなり破綻した人格を持っているのですが、そうなるまでに至ってしまった彼の過去の人生までもが大沢さんの芝居から見えてきます。

それ故にラストのキャリエールとの親子の絆シーンが泣けるのです(涙)。キャリエールが父親だと名乗ったことに対して「分かっていた」と答えるエリックは完全に息子の表情になっている。あのなんともいえない安心しきった顔が切なくて切なくて…大沢さん、やっぱりすごい役者だと思う。最期は幸せそうな笑顔を浮かべ涙を一筋スーッと落として事切れてた(涙)。

あ、そうそう、初演と変わった部分で大沢ファントムについてもう一つありました。最初に登場してくる大沢ファントムは乞食のような姿になっています。初演では最初から伯爵みたいな衣装だったんですけど、エリックの心の闇をより深く表現するためかボロボロの姿からスタートしていましたね。クリスティーンと出会ッたあとくらいから服装が綺麗になっていきます(笑)。

この日一番個人的に鳥肌がきたのが♪Wherein the World♪のナンバー。前回よりもずっとよくなってた。エリックのもがき苦しむ真情がこのナンバーの中に溢れていました。『ファントム』のなかでも特に好きなナンバーなので大沢さんがすごく頑張って歌ってくれているのがとにかく嬉しいです。

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クリスティーン@杏さん
本当にあの容姿がもったいない…と思えるほどやはり残念なクリスティーン…。やはりまだこの日も彼女に音楽の天使は降りてきていませんでした(苦笑)。

と、いうか、クリスティーンという女性を彼女がどう捉えているのかイマイチ見えてこないんですよね。最初はお転婆な三枚目キャラクターで出てきてそれはそれで面白いなと思うんですけど…途中からなんだかそのキャラが影を潜め…全く違う女性になってる。

そうなるに至る変化といった部分が見えてこないんですよね。あの最初の明るいキャラは何のために出したのか分からない。よかった点を挙げれば…最後の恐怖や哀しみに震える表情かなぁ。あそこはけっこうリアリティが出てるなと思えました。

それにしても…やっぱり歌がダメすぎます

下手なりにも歌に感情がこもっていればまだいいのですが、それすら感じられないのが致命的(苦笑)。音ズレも酷いし、声の出し方も不安定過ぎて…音量が上がる高音部分も綺麗な響きではなく悲鳴をあげてる印象(毒)。歌詞の内容…クリスティーンの心情みたいなものもほとんど届いてこない(毒)。上辺だけに聞こえてしまうんですよ。それを劇中ではファントムはじめ誰もが褒め称え「素晴らしい」とか「天使の歌声」とか言われるものだから違和感だらけ(苦笑)。せっかくの素晴らしい楽曲が彼女の薄っぺらな歌のせいで魅力が伝わりきらないのが本当に口惜しい。ちょっと腹立たしさすら感じてきた…(毒)。

もう少し、何とかならないものでしょうか…(苦笑)。歌の点であまりここまで酷評することは自分的にあまりないものでちょっと申し訳ないなとも思うんですけど…今度ばかりは…。

フィリップ@古川雄大くん

登場してきた時には「おっ、伯爵の雰囲気ピッタリかも」と思えたんですよね。いかにもお金持ちの貴族って感じで個人的にはかなりの好印象でした。歌は初めて聞くのですが…そこそこ上手いかなと…何しろ杏クリスティーンとデュエットなので上手く聞こえるw。

しかしながら、少し経過して冷静に聞いてみると…やはり上手いとはいえなかったかも。声も細いですしねぇ…。歌にあわせてのダンスもなんだかロボットみたいな動きでちょっと吹き出しそうになってしまった(苦笑)。まだ緊張してるんだろうか?

クリスティーンを助けたいという熱さみたいな芝居もなんだかとってもアッサリした印象(苦笑)。叫び声ももう少し腹の底から声出してほしいかも。緊迫感がなかったからねぇ。大阪では2回とも古川くんのフィリップなのでそれまでになんとかもう少し修正してほしいです。

カルロッタ@樹里咲穂さん
アラン・ショレー@石橋祐さん

樹里さんのカルロッタは下品で自己中心的なんですがどこか憎めない可愛さがあってとても魅力的です。This Place is Mineシーンはもう独壇場で何度観ても商い面白さがある。この作品の中で一番大きな拍手が出てますからね。あとクリスティーンに飲ませるドリンクを調合してる時のカルロッタもかなり面白いです。どこか改善点を…と思うならば…もう少し雑に歌ってもいいかも。何しろ杏さんのクリスティーンがあれですから…(爆)。

今回の作品の中で初演と変わったなぁと思ったのがカルロッタとショレーの夫婦愛です。石橋さん演じるショレーのカルロッタへの愛情がなんだかとても微笑ましくて素敵なんですよね。どんなにわがままでもショレーには彼女が可愛くて仕方ないんだろうなっていうのがすごく伝わってくる。カルロッタの死を目の当たりにしてのセリフはなんだかとても泣けました(涙)。

キャリエール@篠井英介さん

1幕と2幕はあまり前面に出ず、クールな存在感を放っている篠井さんのキャリエール。立ち姿がとても美しいです。そんな彼が、瀕死のエリックを前にして「この地下室は私自身の心の闇だ」と心情を告白するシーンはとても感動的で泣けます!今まで押し殺していた自分の弱さと向き合い、エリックを息子だと受け入れる…そこに至るまでのキャリエールの葛藤みたいなのもすごく分かる。最後は大切な息子を守るように抱きしめていて…もう涙無しには見られませんでした。

ちなみに、キャリエールとエリックが二人で歌うナンバーですが、初演ではキャリエールがクリスティーンにエリックの生い立ちを語る時に彼の母親ベラドーヴァが影絵で歌っていました。今回はそのシーンがカットされているのがちょっと残念です…。ベラドーヴァ役が上手く見つからなかったのかな…。

アンサンブルの皆さんはやはりミュージカル慣れしている方が多いので安心して見ていられます。阿部君はカッコイイし、角川さんも面白い。「チケット拾った~♪」が可愛かったです(←前回は安く譲ってもらってた 笑)

東京で『ファントム』を見るのもあと1回。1年前からこの時が来るのをものすごく楽しみにしていましたが…過ぎてしまうのはあっという間ですねぇ。大沢ファントムには毎回本当に感動させられています。ありがとう、大沢さん。

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