ミュージカル『ファントム』 2008.02.14ソワレ

大沢たかおさん主演のミュージカル『ファントム』を観に青山劇場まで行ってきました。

以前WOWOWで宝塚版の『ファントム』を見てストーリーはなかなか素敵だなぁと思っていたので観劇を楽しみにしていました。

ただ、大阪や名古屋の公演を観に行った人の評判があまり芳しくなかったので正直半分不安も…(苦笑)。やっぱりねぇ、ミュージカル初参戦の二人が主役ですからそれなりに覚悟も必要なのかなと。2回分チケットを確保していたのでちょっと心配な部分もありました。

客席に入ってまず驚いたのが普通に一般人に混じってアンサンブルの人たちがウロウロしていたこと。自分の席に着いてからふと通路側を目にしたときにものすごいケバイ化粧した人が無愛想に立っていたんでビックリしたらキャストの人だったw。横扉の入り口ではアコーディオンを弾いている外国紳士の方もいたし、それはそれは華やかな開演前の客席でございました。

さて舞台全体の感想ですが・・・ツッコミたいところもありましたが私は好きでした、この作品。予想以上にツボにはまりました(笑)。

主演二人の歌唱力は確かに不安な部分もあるんですが、ストーリーが完全に私好みなのでほとんど気になりませんでしたね。それになんと言っても音楽!去年『タイタニック』で号泣した私にとっては今回も同じモーリー・イェストンの音楽が堪能できて至極の幸せ。本当に素晴らしい旋律で1幕の休憩時間に即英語版CDお買い上げしてしまいました(笑)。

ロイドウェバーみたいにすぐに耳に馴染むといった感じの音楽ではないのですが、それでも聞いていて個人的にものすごく心地いいんですよね。それゆえに物語に入っていきやすい。そういった意味ではイェストン音楽の力でこの作品は支えられているんだろうなとも思います。

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セットは大掛かりなものが中央にあるくらいでかなりシンプルな印象。回り舞台をうまく使っていたと思います。ファントムの住んでいる地下と貴族が戯れる社交場の明と闇も分かりやすかった。

ただ今回ちょっと座席が端っこのほうだったので時折ファントムが見えなくなってしまったのが残念だったなぁ(まぁこれは時の運ですが 爆)

セットは意外と地味でしたが、仕掛けはけっこう面白かったですよ。ロープをうまく使っていましたね。クライマックスがけっこうビックリします(でもちょっと不自然さも 苦笑)。ちなみにこの作品にはシャンデリアは出てきません(笑)。

印象的だったのが舞台が混乱に陥るシーン。ロイドウェバー版ではシャンデリアが落ちて大混乱となりますが、今回の作品では違った形で事件が起こります。そのとき、アンサンブルさんたちがワーッと客席に降りてくるのですごい臨場感があって面白かったですよ。まるで自分も混乱の中にいるかのようなリアリティがありました。通路側の人にはアンサンブルの何人かが話しかけたりしてましたし(笑)。

ちなみに14日ソワレはバレンタイン企画として大沢たかおさんによる特別カーテンコールが行われました。

私は特に大沢さんのファンではなかったのですが、たまたま確保していたチケットがこんなイベントに当っちゃいまして(笑)ほんとラッキーでした。この日は2階席の後ろまでギッチリ立ち見客が入っていたようで、皆さんこの大沢さんの特別カーテンコール目当てだったんでしょうか。写真はその時にもらった限定カードです。

で、何をやったかというと・・・このカードの中に歌詞カードが入っていてそれを見ながら劇中で歌われた『You are Music』を大沢ファントムと一緒にデュエットさせていただきました(もちろん会場全体ですよ 笑)

一度練習をちょこっとして(それに至るまでの客席と大沢さんのやりとりがオモロかった 笑)本番。馴染みやすい音楽だったので歌いやすかったです。それに単純に大沢ファントムとデュエットできてるみたいで嬉しかったです。

歌い終わったあと、「本当は終わった後にまた歌うのしんどいんだけど」と苦笑いしてた大沢さん。でもそのあともけっこう面白トークで客席盛り上げてくれてすごく楽しかったです。お礼の挨拶で「本日は足元の悪い中」って言っちゃってツッコミ入れられてたり(この日は晴天だったんですけど劇場でファントムみたいな生活が続いていると天気が分からないんだとか 笑)・・・けっこう大沢さんって客席と話せるんだ~と感心してしまいました。それまではちょっと冷めた感じの人なのかなと思っていたので印象が変わりましたね。

主なキャスト
ファントム(エリック):大沢たかお、クリスティーン・ダエー:徳永えり、フィリップ・シャンドン伯爵:ルカス・ペルマン、カルロッタ:大西ユカリ、ゲラール・キャリエール:伊藤ヨタロウ、アラン・ショレー:HISATO、ルドゥ警部:中村まこと、ジャン・クロード:永島克、文化大臣:コング桑田、ベラドーヴァ(映像):姿月あさと

以下、ネタバレ的なキャスト感想を少々・・・。

 

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『ファントム』は『オペラ座の怪人』をベースにしているので全体的にはロイドウェバーと大筋では変わっていません。

地下に住んでいる孤独なファントムが歌姫クリスティーヌと出会い恋をしますが、彼女は伯爵貴族シャルル(ALWではラウル)から求婚されてしまう。それに嫉妬したファントムは彼女を地下にさらうのですが最後は追い詰められて…。そんな感じで基本的な流れは一緒なのですが、ストーリーは違います

ALW版が神秘的なファントムとするならば、今回の作品のファントムはとても人間的です。一人の孤独で繊細な青年として描かれているので見ているほうはどうしても彼に心惹かれてしまいます。

1幕ではクリスティーヌがオペラ座に雇われるところから始まり、それにシャルルが一枚噛んでいることになります。

そのときにシャルルはクリスティーヌに恋をするんですが・・・出番は思いのほか少なくてちょっとビックリしてしまいました(苦笑)。それだけこの作品はファントムに重点が置かれているんだなと思いました。ルカスを目当てで観に行った人はちょっとガッカリするかも。

地下の奥に住んでいるファントム・・・つまりエリックは新しくやってきたオペラ歌手カルロッタの歌声にイライラしていますが、やがてクリスティーヌと出会いその歌声に惹かれていきます。ALWでは出てこない部分が丁寧に描かれていてこのあたりは非常に興味深かったです。ちなみにカルロッタは新しく来た支配人の奥さんということになっててピアンジは出てきません(笑)。さらに冒頭でブケーはあっという間に殺害されてしまいました。

クリスティーヌに恋をしたエリックでしたがやがてシャルルとクリスティーヌの仲を知って苦しむことに。このあたりはALWと同じなんですが、この時のエリックは一人静かに泣くように苦しんでいるので見ていて切なくて仕方ない。

このあたりは大沢さんが非常に繊細でいい演技をしていて感動的でした。その後オペラに出演することになったクリスティーヌでしたがカルロッタに騙されて舞台上で声が出なくなってしまう。ちなみにALW版ではカルロッタがファントムのせいで声が出なくなってますね(笑)。クリスティーヌの一件がきっかけで舞台が大混乱に陥りアンサンブルさんたちが客席に降りてくるわけです。

2幕に入るとファントムの生い立ちについて詳しく語られます。このあたりがちょっとセリフ的に長すぎるような感じで・・・テンポ悪いんですよね。それが残念。もう少し簡潔にするかテンポ上げるかしないとせっかくのいい舞台がだれてしまうような気がしました。

その生い立ちのことをクリスティーヌは聞かされて知る事になるのですが、この舞台のクライマックスになるエリックの素顔を晒すシーンは本当に感動的でした。ここで流れる音楽がものすごくいい!!そして大沢さんの背中の演技がこれまた素晴らしい!ここは完全にツボはまりました。そしてそのあとに訪れる悲劇がものすごく切なく苦しく・・・見ていてかなり心揺さぶられました。

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キャストについて少々。

エリックを演じた大沢たかおさん

最初にも書いたとおり、はじめはそんなに好きな役者さんってわけじゃなかったんですよ(苦笑)。でも、このミュージカルを見てからそれまで抱いていた大沢さんの印象が激変しました。すごく繊細ないい演技をしてくれて…私の個人的ツボにズボズボはまりっぱなしでした(笑)。

歌についてはたしかに音楽の先生と呼ぶには相応しくないのは否めません。でも下手って感じでもなかったんですよね。たぶん大阪・名古屋と公演を重ねていくうちに安定してきたんじゃないでしょうか。

ただミュージカル初挑戦ということもあってか喉に疲れがきているんじゃないかなあっていうのは感じました。私はかつて『エリザベート』初演の内野トートを観ているんで・・・ちょっとやそっとの歌ではビックリいたしません(笑)。この公演で大沢ファントムにかなり魅せられてしまったので勢いで千秋楽チケットも購入してしまいました(爆)。あと2回観れるので楽しみ。

クリスティーヌを演じた徳永えりさん

彼女はドラマでの活躍が多かったそうで今回が初舞台のようですね。劇団四季のクリスティーヌがすごく大人っぽく見えるくらい徳永クリスティーヌは幼くて可愛かったです。歌声もそんなに悪くはないのですが、やはりところどころ音程がずれたり伸ばしきることができなかったりするのが残念(ここは大沢さんにも言えるんですけど 苦笑)

舞台としての演技も不慣れなのか、あまり変化が観られなかったのも残念ですが・・・でもかなり健闘していたと思います。経験を重ねればいい舞台女優さんになれるかも。

シャンドン伯爵を演じたルカス・ペルマンさん。

今回チケット確保した大きな理由の一つがこのルカスの出演です。昨年ウィーンのエリザベートツアーで来日した時にルドルフ役で出演していたんですがすっごい綺麗な青年だなぁと感動しちゃって…。いったい彼がこの舞台でどんな風に出てくるのかとても興味がありました。

が、想像していたよりも出番がなくてちょっと拍子抜け。しかも、日本語のセリフを喋らされているのですごく大変そうでちょっと手に汗握りました(笑)。なんか、日本人の中に一人だけ外国人が混じったような感じでちょっとバランス的にもよくなかったかも。

でも、その美しさは健在でした!あれぞ紳士!あれぞ貴族!THIS IS 伯爵って感じでした(笑)。もう本当に目の保養…させていただきました。

カルロッタを演じた大西ユカリさん

この方も初舞台だったそうですが・・・素晴らしい貫禄でございました。オペラ歌手の役ではあるのですが、歌いっぷりが演歌調で、これならファントムが嫌がるのも納得できるといったリアリティが(笑)。堂々とした演技でしたし、これからも舞台にチャレンジしていただきたいですね。

そのほかの皆さんも熱演されててとてもよかったです。
予想外にかなりハマった舞台なのであと千秋楽も含めてあと2回観に行けるのがとても楽しみです。

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