劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』大阪公演 2022.04.22マチネ

2022年3月6日に大阪で開幕した劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』を観に行ってきました。前回東京で見て以来約10か月ぶりとなります。久々のオペラ座だーー!!

今回は前日にドラマシティで『ブラッド・ブラザーズ』を観てからの観劇となります。遠征ともなると現地にいるうちにそこでやっている演目はまとめて見ないと交通費かかっちゃうのでね(苦笑)。

13年ぶりの大阪公演ということでロングランされるのかと思いきや、なんと来年2023年春までの限定公演とのこと(汗)。私の西側生活も長くなりそうなのでもう少し留まっていてほしいんですけど…、次の作品の兼ね合いとか調整があるんでしょうね…。とりあえず大阪にいるうちに何度かは足を運びたいところ。

ちなみに、 喉から手が出るほど欲しかった「関西版ぴあ」をついにゲットすることができました!飯田洋輔くんのファントム役のインタビュー記事が掲載されていると知ってからずっと欲しくてウズウズしてたのですがw、なんとかギリギリ確保。合併号でよかった(汗)。

東京遠征では叶わなかった彼のファントムをこの目で見るまでは絶対死ねないと思っているので…そこだけは絶対逃したくないです。待ってるよ!

大阪四季劇場に入るのは久しぶり。開幕してから1ヶ月ちょい経過していましたが、まだ多くのお客様で賑わっていました(コロナ禍ということで客席やロビーはかなり静か)。この日は学生の団体さんも入っていたので、少しずつこういう行事も再開されているのかなと思いました。

そうそう、パンフレット購入する時に提示していた「四季の会会員証」。これを提示すると一般よりも少し安くなるのでいつも持参していたのですが、これがつい最近ネット会員証の提示という方式に変わったようですね。私は現物カードのほうが好きだったのですが…これも時代の流れということでしょうか。まぁ、スマホさえ持っていれば忘れる心配もないですけどねw。

バラを持ったタングも可愛い!『ロボット~』は広島公演を観に行く予定なので楽しみです。

劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』感想一覧

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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2022.04.22マチネ公演 in 大阪四季劇場(大阪・西梅田)

主なキャスト

  • オペラ座の怪人:岩城雄太
  • クリスティーヌ・ダーエ: 海沼千明
  • ラウル・シャニュイ子爵: 加藤迪
  • カルロッタ・ジュディチェルリ:河村彩
  • メグ・ジリー: 五所真理子
  • マダム・ジリー:木村智秋
  • ムッシュー・アンドレ:見付祐一
  • ムッシュー・フィルマン: 平良交一
  • ウバルド・ピアンジ:永井崇多宏
  • ムッシュー・レイエ:日浦眞矩
  • ムッシュー・ルフェーブル:青羽剛
  • ブケー: 村田慶介

ルフェーブル役で青羽さんを見るのは今回が初めて。つい先日まで公演していた『アンマスクド』公演ではロイドウェバー卿の声の吹き替えを担当されていましたよね。とても聴き取りやすい声で耳心地がとても良い。新しい支配人に任せて逃げちゃうシーンでの無責任男っぷりが滑稽で面白かったですw。

ブケー役の村田さんは初めましてかな。まだお若い印象ですが、ブケーの軽薄さや怯えっぷりのお芝居はなかなか良かったと思います。
ダンサーたちを前にふざけていたのをファントムに見られたとマダム・ジリーから忠告されたシーンで、ブケーは恐怖のあまり声を出して逃げ去っていくんですが、この怖がり方がけっこうツボでした。旧演出ではあまり大きな反応を見せずに捌けていくスタイルだったんですが、個人的には新演出のほうが分かりやすくて好きかな。

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全体感想

大阪公演の『オペラ座の怪人』は上演5分前までの客席からの写真撮影が許可となっていました。

基本的には、舞台の上のものは”著作物”とみなされるので始まる前からその撮影は禁止されているのですが、今回はこの『オペラ座~』を含めいくつかの公演が開演前に限って許可となっているとのこと。そこにはおそらくコロナ禍の影響も大きかったんだろうなと思います。

まさかこの光景を写真に収めることができる日が訪れるなんて夢にも思わなかったので、本当に嬉しかったです!!

緞帳を下ろした状態ではなく、オペラ座のオークション会場の光景が見える形になってスタンバイされてるのがこの作品の面白いところ。カバーがかぶさっているものの、なんだか見ているとドキドキするんですよね。

開演前から客席の興味を惹く仕掛けを施した演出家のハロルド・プリンスさんは本当に凄い方だなと改めて思いました。今頃天国でまた新たなアイディアを披露してるのかも…。

ちなみに、大阪公演は生演奏ではなく録音での公演でした。やっぱりツアーとなるとお金の問題とかいろいろあるんでしょうけど…ミュージカルは生演奏が醍醐味のひとつでもあるのでそこだけは残念だったなと思いました。

印象に残ったシーンについていくつか。

オークションのシーン。ナンバーを一つ一つ数字で読み上げるのはまだちょっと慣れないかなぁ。つい頭の中で「六百六十六番」とか変換してしまう(笑)。

猿のオルゴールが出てきたときの加藤ラウル、「今もなお奏で続ける…」と歌った後に息をぜぇぜぇさせているんですよね。今は亡きクリスティーヌのことや彼女とファントムの関係など色々なしがらみに今も苦しんでいるんだなというのが伝わってきて切なくなりました。

♪ハンニバル♪

今回はアンサンブルさんたちの動きにちょっと注目。以前から言われているカルロッタの恋愛事情を垣間見ることができましたw。ピアンジはカルロッタにぞっこん状態で顔を合わせるとニッコニコしてるんですが(癒し系w)、カルロッタのほうは一瞬笑顔を見せた後すぐに後ろのイケメンダンサーに色目を使ってたww。以下に彼女が劇団の中で好き勝手やっているのかが伝わってきて面白かったです。

あと面白いのは、新しい支配人たちがやって来た時の場面。フィルマンは芸術にあまり興味がないのでピアンジが挨拶してもシレっとした態度をとってしまう。これに腹を立てたピアンジの反応が「子供か!!」とツッコミたくなるくらい駄々っ子で可愛いのです(笑)。またまた癒されちゃったよw。

♪Think of me♪

カルロッタがファントムのことを軽視する新しい支配人たちに怒ってピアンジと帰ってしまった後、マダム・ジリーとメグ・ジリーは代役にクリスティーヌを推薦します。海沼クリスティーヌは前に出て歌うまでの怯えっぷりがすごくて、「本当にこの子で大丈夫なのだろうか」と心配する支配人さんたちの言葉がすごくリアルに聞こえました。
旧演出では声を小さくする程度でしたが、新演出になってからここのクリスティーヌの芝居がより大きくなった印象があり面白いです。より立体的にクリスティーヌの心の動きが分かるようになっていて私は好きですね。

本番の舞台シーンで面白いのは、ボックス席で観劇していたラウルがオペラグラスでガン見しまくってるところw。加藤ラウルは「あれ?」と思った後何回もオペラグラス覗き込んでてそこからの「あれは、クリスティーヌ!ブラヴァ!!」ですからww、より興奮度が伝わってきました。この時点で想いが盛り上がってしまってるのをひしひしと感じます。

もうひとつ面白いのが、舞台が終わった後のカーテンコールのシーン。奥の方に指揮者がいるんですが・・・彼の歓喜の仕方がハンパない(笑)。超ハイテンションでクリスティーヌを称えまくっていてその姿に思わず吹き出してしまうレベルです、あれはwww。
それから、幕が閉まった後に大道具さんが横切る場面があるんですけど…女性ダンサーの一人にウィンクして色目使ってたのも印象的でしたw。オペラ座のバックヤード、色んな人間関係が渦巻いていそうだなと(笑)。

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楽屋に戻ったクリスティーヌに再会したラウルは、初恋の人にやっと会えた的なテンションでクリスティーヌを食事に誘おうとします。最初は懐かしさに喜んでいたクリスも戸惑ってしまうくらいの勢いで見ていてちょっと危なっかしいw。
「私の音楽の先生はそれはそれは厳しいの」とやんわり断ろうとしますが、ラウルは全く気にせずどんどん自分の気持ちを前に進め一緒に食事に行くことしか考えていない。彼が部屋を出て行った後に「もう子供の頃の私たちじゃないのよ」と不安いっぱいの表情を浮かべるクリスのことを思うと気の毒になってしまいました(汗)。

まぁ、そんなラウルですから…ファントムがこっそり鏡の向こうから見ていてムカつくっていうのは納得かな。「無礼な奴、愚か者」と罵りたくなる気持ちも分かる気がするw。でも、この♪ミラー♪のシーンは毎回本当にゾクゾクしますね。何度も見てきたんですけど、いつも新鮮な胸の高鳴りを感じます。
ちなみに、戻ってきたラウルが「エンジェル!?」と戸惑うセリフを告げるシーンは、新演出になってから暗転して殆ど姿が見えないようになってしまいました(汗)。ここはもう少し明るい時間長くとってあげればいいのに…ってちょっと思うかな。旧演出はバッチリ表情見せてから次のシーンにいっていたので。

♪PHONTOM OF THE  OPERA♪

暗い地下室をどんどん進んでいくクリスティーヌとファントム。いつも思うんですが、あの橋の傾きはけっこう急だなぁとドキドキしてしまいます。あそこに立つキャストさんは相当足腰強くないとあんな綺麗な姿勢で立てないと思う。

地下室の住処に到着した後、胸の高鳴りを抑えきれないファントムは「歌え、私の音楽の天使よ」とクリスティーヌを掻き立てる。このあと、身に着けていたハットやマントを外すんですけど…、岩城ファントムは目の前にクリスがいることに興奮が止まらない様子でハットの脱ぎ方がけっこう雑(笑)。マントも簡単に丸めてポンと置く感じです。
なので、すごいリアルにクリスティーヌへの執着心みたいなものが冒頭から見えるんですよね。その興奮はラウルを越えたものがある。彼にとってそれだけクリスが生きる糧みたいな存在だったんだなというのが伝わってきました。

一つ驚いたのが、割れた鏡の中に用意していたクリスティーヌのマネキン(この時点では女優さんが演じてます)が仮面をつけていたことです。東京の時はこれに気が付かなかった…。あの姿で突然目の前でブワッと手を広げて迫られたら、そりゃビビって気を失うのも分かるなと思ってしまったw。
クリスが倒れてしまった後、岩城ファントムはちょっと動揺したように掛布団をそっとかけてやっていたのがツボ。彼女に対しどう接していいか分からないといったような戸惑いも見え隠れしていて萌えました。

作曲活動に没頭している時の岩城ファントム、めちゃめちゃテンション高くてちょっとビックリw!あんなに体全体でノリノリな作曲してる姿、初めて見たかも(笑)。まさに人生最高の時を迎えてるって感じがリアルで面白かった。あれではクリスが近づいても気づけないのも納得w。

その後の好奇心旺盛なクリスティーヌに仮面を取られた時の激怒っぷりはかなり激しいのですが、「地獄へ行け!呪われろ!」と恨み言を言った後に震えるように拳で床を叩いていたんですよね…。怖いというよりも、それがすごく哀れで逆に切ないのです。さらに彼女の近くへ寄った時にその顔に手を触れようとして顔を背けて涙してしまうシーンも泣ける…。その姿はまるで捨てられた子供のよう。クリスティーヌが思わず同情して仮面を手渡す気持ちもよく分かります。

♪支配人のオフィス♪

相変わらず平良フィルマンの新聞紙の投げっぷりがスマートでカッコイイです!思わず惚れ惚れしますね。

この場面は2人の支配人、カルロッタとピアンジ、ラウル、ジリー親子のそれぞれの心情の歌声が絶妙な旋律で重なっていくのが大きな魅力。みんな好き勝手なこと言ってるんだけど、それが一つの音楽にちゃんと乗っているのがすごいと思います。

♪プリマ・ドンナ♪ではカルロッタをなだめるために芸術に興味がなかったフィルマンも仕方なくヨイショにかかるのが面白い。経営のためだけに彼女を持ち上げようとするので、所々で「やってらんないよ」みたいな表情をチラチラ見せてくるww。その態度が一番出るのが、カルロッタのために用意した椅子に最初に座って一息ついちゃうところ(笑)。アンドレから促されて慌てて立ち上がる姿をカルロッタが見てなくてよかったと思ってしまいますww。

あと、二人の支配人が「女は厄介だ」と歌った直後にマダム・ジリーが杖でバンっ!と床を叩いて歌い出すのも面白い。あれ、ちょっとムカついたわ的な意味合いもこもってたのではとww。

♪イル・ムート♪

カルロッタの要望通りセリフ無しのなくで出演することになったクリスティーヌ。だけど、海沼クリスはけっこう楽しそうに演じてたなぁ。腰の振り方もけっこうハッチャケてるし、なかなかの演技派だなと思いましたw。

でもこの場面で一番面白いのは高井さんが演じてる白塗りの殿様。よく響く低音を響かせているのですが、なかなかに滑稽な役どころで。出かけたふりをしながらこっそり遠くから覗き見して、見てはいけない場面を目撃してしまう。この時の反応が、めっちゃおじいちゃんぽくて可愛いww。
カルロッタのカエルハプニングで繰り返し演じることになった時のオタオタっぷりもツボですw。殿様見てるだけで癒されちゃったよ(笑)。

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事件発生後、次のシーンが始まるまでバレエの場面でつなぐことになるのですが、見付アンドレさんはなかなか舞台袖に上手く入れなくて何度もダンサーさんとぶつかりまくってて面白かったw。

このバレエシーン、男性ダンサーさんが一人だけ登場しているのですが…彼がめちゃめちゃ美形で思わず目を奪われてしまった。彼は岡山市出身の吉田ケインくんだそうで、ちょっと親近感が。ジャンプする姿も奇麗だし、時々投げキスなんかしてきて軽く色気を振りまいてるのもツボ(笑)。今後注目していきたいです。

♪All I Ask of You♪

屋上へ逃げたクリスティーヌとラウルが心を通わせる場面。とにかくクリスティーヌの怯えっぷりがすごくて、ラウルとしてはあれはもう「僕が守ってあげなければ」という気持ちになっちゃうよね。海沼クリスと加藤ラウルはお互いに感情のテンションがすごく高いんだけど、どこか幼くて危うく見える。本気で抱き合って口づけを交わすんだけど・・・その場の感情だけで突っ走ってるんじゃないかなぁ…みたいな。

こんな後先考えないような幼い恋愛を目の前で見せつけられたら、そりゃファントムのショックも大きいだろうなと。しかも、岩城ファントムも精神的に未熟な点が多いのでなおさら怒りと哀しみに襲われてしまっているというのは想像に難くない。

クリスティーヌとラウルの幸せそうな歌声に耳を塞ぎ嗚咽を漏らす姿は痛々しすぎて見ていられません…。そしてその哀しみが呻き声と共に怒りに変わるわけで…、そうなったらもうだれにも止められないだろうなと心が痛くなってしまいました(涙)。私としては、一幕ラストは岩城ファントムを助けてあげたい気持ちでいっぱいになります。

♪マスカレード♪

久しぶりに観ると、大階段の煌びやかさがとても眩しい。マネキンもキャストと同化していてその場で楽しんでいる人々のように見えてくる演出は実に見事だなと改めて思いました。

で、この日ちょっとしたハプニング。上手のほうから飲み物のグラスを持った給仕さんが登場するのですが、カルロッタがグラスを取ろうとした時にちょっともたつきがあってお盆の上で転がってしまってたww。あれ、中に液体が入ってたら数人濡れてたと思う(幸い空グラスなので事なきを得ましたが)。グラスの中身がなくなってしまったということになり、カルロッタはそれを手に持っただけですぐお盆に返していましたw。
あの場面は歌いながらグラスを取らなきゃいけないので、何気に難易度が高いシーンだと思います。役者さん同士呼吸を合わせるのも大変そうだなと思いました。

赤髑髏ファントムが出現した後、ラウルはマダム・ジリーに事情を聴くために必死に追い縋ります。旧演出では3回くらい呼ばないとジリーさん止まってくれなかったのですが、新演出からは1回で引き留めることに成功することになってますw。ここはその方がすっきりしていていい。
でもあまりにも加藤ラウルが熱いのでw、木村ジリーは捕まった後もその場から立ち去りたいオーラめちゃめちゃ出してましたけどね。

ファントムからのスコアを渡された面々は支配人室で文句を言いまくっているのですが、そのなかでラウルはクリスティーヌを囮にしてファントムを捕らえるという荒業を思いつく。クリスティーヌは「そんな怖いことやめて」と必死に訴えるのですが、みんな完全に乗り気になってしまう。
支配人たちまで大乗り気になってしまい、マダム・ジリーが「勝ち目ないんだからやめなさい!」と諫めるとカルロッタとピアンジが口をそろえて「彼女は(ファントムと)グルだ!」とあらぬ疑いをかけてくる。このカオス的な状況も、重唱という手法で歌われていて聴きごたえがあるんですよね。

恐怖心から座り込んでしまったクリスティーヌをラウルは必死になだめて説得。それでもファントムの恐ろしい顔が過ってしまいどうしても受ける気持ちにならないクリス。そんな様子を見てさすがのカルロッタも「あの人頭が変よ…」と恐怖心を募らせていくのですが、気の良いピアンジはすっかりクリスに同情しちゃう。「僕が助けてあげるよ」的な表情でクリスに両手を広げる姿が可愛くてちょっと萌えてしまいましたw。
以前はこのシーンでカルロッタが焼きもち焼いてしまう表情を見せてたんだけど、今回は黙ってそれを見守るといった感じでしたね。

その後、「ドンファンの勝利」に向けた歌稽古が始まるのですが、ピアンジはなかなかうまく歌えずだんだん他のメンバーたちの苛立ちが募ってくる。そんななかでカルロッタだけは「彼の歌い方のほうが音楽的だ」と庇うんですよね。それを聞いたピアンジの嬉しそうな顔が可愛すぎてまたツボww。
この後マダム・ジリーが「作曲の前でも言えるかしら!?」と威嚇するのですが、このセリフのタイミングが若干早くてその後のカルロッタの「もちろん言えるわよ」とちょい被りしてしまったのは少し残念でした。

ただ、カルロッタがレイエに抗議しに行ったあと、端っこに座ってた高井さん演じるキャストがピアンジの横にいって「ここはね」みたいに優しく教えてあげてる姿に癒された(笑)。永井さんと高井さんが並ぶとなんだかすごく萌えるw。

♪墓場♪

騒然とする稽古シーンの後、クリスティーヌは父親のお墓の前で心の内に秘めた孤独を歌います。切々と訴える圧巻の歌声がとても印象的でした。

そして十字架から現れるファントム。新演出になってからそれとほぼ同時に上手からラウルもやってくることとなり、三重唱へ。「彼女が(ファントムのほうへ)行こうとしている。信じられない」と驚愕するラウルの歌詞が少し切ない。
だけど、そう歌ってしまいたくなるほどファントムとクリスティーヌの見えない引力は脅威に感じたんだと思います。

それでも何とかラウルはクリスティーヌを引き戻すことに成功しますが、それを見たファントムは怒りの火の玉攻撃をバンバン仕掛けてくる。岩城さんはかなり感情的にバンバン発射させるので、ラウルに火が当たるんじゃないかと非常にスリリングw。それだけ彼の必死さが伝わってくる。
だけど結局は奪われてしまって…そのあとの「行くな!!!」という必死の叫びがあまりにも哀しく聞こえて思わずウルッとこみ上げてきてしまった(涙)。あの瞬間から彼の暴走は加速していったんだろうなと言うのが手を取るように伝わってきて本当に切なかったです。

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♪ドンファンの勝利♪

ここでもちょっとしたハプニングが。ピアンジ演じるドンファンが隠れ部屋に入る時のこと。カッコよくカーテンを閉めるはずが…なぜかレールをうまく滑らずになかなか閉まらなくて(汗)。音楽は前に進んでしまうし、このままでは例の場面が見えちゃうんじゃ!?と変な緊張をして手に汗を握ってしまいましたww。けっこう永井ピアンジ慌てた感じはありましたが、なんとか中が見えない感じにカーテン閉じて一安心ww。あれ、もしかしたら最後助け舟を岩城さんが出してたかもだなw。

カーテンでけっこうもたついた印象があったので、黒マントの男が出てくるタイミングがいつもよりちょっと早く感じたかも。ホント、ぎりぎりだったなと肝冷やしてしまったw。

クリスティーヌと”ドンファン”のシーンはかなり情熱的でした。役に入り切った時の海沼クリスはすごいパワーを出してきますね。「舞台に出たくない」と泣きながら逃げていた子と同一人物とはとても思えないほど妖艶な女性を大熱演。特に、”ドンファン”を誘惑する芝居がめちゃめちゃリアルで、マントに隠れた”彼”がその姿に思わず動揺して背を向けてしまうことの説得力がハンパなかった。

そして、佳境に入った時についにクリスティーヌは同じ舞台の上に”彼”がいることを悟る。マントを剥がすときまでの彼女は、それまでの熱演が嘘のように怯えた表情で完全に素に戻った状態だった。
正体を明かされた時の”彼”…すなわちファントム、めちゃめちゃ泣けたよ…!!背を向けたときに泣いてるんだよね…。それでも彼女を失いたくなくて傍にいたくてたまらないという切なる想いが溢れてて観ているこちらももらい泣きしてしまうレベル…。

その後、強引にクリスティーヌを連れ去ったファントムは再び隠れ家へ。恐怖で涙に暮れているクリスティーヌに乱暴な言葉を掛けながらも、どう接すれば彼女の気持ちをこちらに向けられるのか戸惑う気持ちがひしひしと伝わってくる…。特に、ベールをかぶせ花を持たせる時の彼はなんだかとても優しいのです…。怯える気持ちは、クリスティーヌよりもファントムのほうがよほど強いように私には思えて仕方がない。

そこへ助けにやってくるラウル。その時岩城ファントムは自分が優位だということを見せつけるためにそっくり返って椅子に腰かけるんですよね。だけど、動揺を隠せないからか落ち着いた威厳を出すどころか挙動不審みたいな動きになってて今にも椅子から落ちそうになってる。もう本当にギリギリの精神状態だって言うのが伝わってきて胸が痛い(涙)。

ラウルの首にロープを巻き付けクリスティーヌを脅迫するファントム。もはや自分が何をしているのかすら分からないような状態で…痛々しすぎて見ていられない(涙)。クリスを脅しながらも、その言葉の中には「僕から離れないで、僕を見て、僕を愛してくれ!!」という切実な気持ちが込められていて涙なしには見れません…。

それに対してラウルも必死にクリスティーヌを庇う。「僕を見捨てろ!」の時の加藤ラウルは本当に捨て身だなって思えた。さらにクリスティーヌも必死の懇願で「昔は心捧げた」と歌うところは綺麗にではなく決死の想いみたいな切迫感がヒシヒシと伝わってきた。
岩城ファントム、海沼クリス、加藤ラウル、熱すぎるっ!!!まさに感情の格闘技みたいなすごい光景で見ていて圧倒されて涙涙の連続でした。

そして最後の選択をクリスに迫るファントム。この時の岩城ファントムの言い方が歌ではなくて「えーーらーーべぇーー!!」って感じでもうシャウト状態。もうあとほんのわずかで精神崩壊してしまうんじゃないかと本気で心配になるレベルだった。子供が母親に「行かないで!!」と泣き叫んで止めるみたいな、そんな感じだったよなぁ・・・。

その瞬間、海沼クリスの表情が怯えから哀しみに変わったんですよね。悪魔のように思っていた目の前の人が、一人の孤独な少年に見えたかのような表情がとても印象的だった。そして慈愛に満ちた目で優しくファントムに近づき、唇を重ねる。

突然触れた温かい感情に何が起こったのか分からず呆然と立ち尽くすファントムに、クリスティーヌはもう一度唇を重ねる。その時、ファントムの心の中に今まで感じたことのないような温かいものが駆け巡り、体中が震えてしまうのです。
岩城ファントムはこのシーン、クリスティーヌと同じ身長まで腰を下げて震える手で抱きしめようとするんですよね。たぶん、どのファントムよりも抱きしめるまでの距離感が短い気がします。それがもう切なくて切なくて号泣してしまった(涙)。

そして呆然としながらラウルの縄を切るシーンになるのですが、ろうそくへ向かうなかで岩城ファントムは自分の唇を震えながら触ってたんだよなぁ・・・。これがまた切なすぎて涙…。何が起こったのかを必死に自分の中で解釈しようとしてる感じ。なんだか憑き物が取れて一人の少年に戻ったかのような雰囲気だった。
ラウルとクリスティーヌを逃がすときの「行ってくれ!お願いだ!!」はまさに血を吐くかのような絶叫…。どれだけ断腸の想いだったか想像するだけで今でも涙が出そうになる。

誰もいなくなった部屋で一人猿のオルゴールを見つめながら歌うファントム。そこへ涙目のクリスティーヌが指輪を渡しに戻ってくる。彼女の指から指輪が外れて自らの掌に戻った時、岩城ファントムは感情が溢れて涙を浮かべている。そこからの「アイ・ラヴ・ユー」ですから…もう、泣けて泣けて仕方がなかった(涙)。彼はあの瞬間、初めて「愛」を知ったんだなって実感した。

さらにクリスティーヌが泣きながら立ち去ってしまった後の場面。ふと床に落ちていたクリスティーヌに被せたベールを大切そうに自分の胸の中に丸めて抱きしめる岩城ファントム…。その時、「アイ・ラヴ・ユー」と何度も泣きながら呟くんですよ(涙涙)。こんなん、切なくてたまらなすぎるよ(号泣)。本当の「愛」を知った時には、もう一番傍にいてほしい人は手に入らない存在になっていたなんて…あまりにも哀しすぎる…!

そんな切なさと哀しみに溢れた岩城ファントムですが、最後の消え方は実に美しくスマートでした。

キャスト感想は次のページにて。

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