飯田洋輔くん(ファントム役)について
前回観劇した時は念願だった飯田洋輔くんのファントムに初めて会えるということで、かなりの興奮状態に陥り自分を見失うほど取り乱しましたが(汗)、今回は3回目ということもあるのでもう少し落ち着いて観るよう心掛けたんです、これでもw。
でも・・・やっぱり・・・
キャストボードで『オペラ座の怪人:飯田洋輔」っていう名前を見ただけで感極まってしまう。自分の感情コントロールできなくなるほど大好きなんだなぁと実感いたしました。
今回は2階席からの観劇だったので、裸眼で見ようと思えば見えはしましたが…ファントムのシーンだけはオペラグラス大活躍で一点集中型観劇となってしまった(汗)。覗きながらも涙が溢れて仕方なくてとても忙しいことになったのは言うまでもありません(←もっと落ち着けww)。
ここから先は、今まで以上にネタバレ大全開です。ご注意あれ。
♪エンジェル・オブ・ミュージック♪
舞台を終えたクリスティーヌがファントムの賞賛する声を聴くシーン。天から降ってくる洋輔くんファントムのなんと深みのある美しい歌声よ!!この声が聞こえてくるまで約25分近くかかるわけですがw、待っててよかったと思えるほど甘美に満ちた柔らかく美しい歌声でウルウルきます。心が幸福感に満ち溢れます。
♪ミラー♪
ラウルがウキウキ気分で「2分で帽子を取って戻ってくる」とクリスティーヌの楽屋を出た後の場面。この直後にファントムの「私の宝物に手を出す奴!!」と怒りの歌声が入るわけですが、前回聞いた時には内に怒りを秘めたような歌い方をしている印象があったんですよね。それが、今回聞いてみたら…「私」の「わ」の最初の一音からめっちゃ怒りの感情がこもっててビックリしました。さらにそこから朗々とした素晴らしい低音が響きまくっているので、なおさらファントムのメラメラ感が伝わってきた。
あぁ、”オペラ座の怪人”がそこに居る…!
洋輔くんが演じている…ということを越えて、”ファントム”の存在をものすごく強く感じた瞬間でもありました。2週間前に見た時よりもまたさらに進化を遂げたんだ…、そう思ったらもう感極まって涙があふれまくって仕方なかったです。
しかも、鏡の向こう側に立っている姿がすごいオーラで…!現れた立ち姿も非常に美しい。久保クリスがうっとりしたように「素敵な方」と歌うととても穏やかで満足げな声色で「ここだ、エンジェルオブミュージック」と歌い出してたなぁ。もうこの時点で二人の絆の強さがこれでもかというくらい伝わってきた。
♪The Phantom of the Opera♪
舟に乗って現れるシーンはもうオペラグラスで凝視ww!!前回も思ったけど、本当に美しいんですよね、ファントムとしての立ち姿が。その後ろにはなんだか青白いオーラが見えるんじゃないかって錯覚が起こるほど神秘に満ちている。さらに、手指の動きがとても繊細。あれ、近くで見たら私は心臓撃ち抜かれて倒れるかもしれん(←落ち着けww)。
隠れ家に到着した後、クリスティーヌに「歌え、私の音楽の天使よ!」と促す場面。しっかりとクリスの顔を見て、彼女が歌声を上げると歓喜の表情に変わっていく。ここで一緒に口を開けて声は出してないけど歌ってるんだよね、洋輔くんファントム。もうそれだけで彼がどんなにか幸福度が上がっているのかが嫌というほど伝わってくる。
ハットの脱ぎ方、マントの外し方も本当に完璧です。あの動作を綺麗にこなすのって本当に難しいと思うよ。よくあそこまで…!と思うともうそれだけで胸が熱くなる。
さらにテンション上げてクリスティーヌに「歌え!私のために!!」と歌を要求するシーンでは、前回以上にクリスを強く前に押し出しているように見えました。それだけすごい感情が上がってるんだなと感じたよ。久保クリスが本当に情感たっぷりにその場に存在しているからなおさら引き上げられてるんだろうなと。
さらにそのあとオルガンを弾く場面に移るのですが…、洋輔くんファントムの熱量がすごくてビックリしました。あんなにテンションが振り切れて喜びの興奮状態に陥ってる姿、初めて見たよ!!歌声の力強さがさらに増しているし、もう本当に圧倒的としか言いようがない。特に「私は求めた!」の歌いっぷりが激しくて…、クリスティーヌを求める気持ちが飽和状態になってるのが手に取るように伝わってくる。
♪Music of the Night♪
このナンバーを洋輔くんのファントムで聴けることの幸せに酔いました…。まさに天使の歌声。聴く者の心の中に柔らかく、それでいて確かにしっかり響いてくるあの歌声は本当に唯一無二のもの。動画も涙なしに見れなかったけど(YouTubeにあります)、生で聴くともう本当に体中が幸福感に包まれていくのが分かるし後から後から自然に涙が溢れてきます。
さらに素晴らしいのが、最初の「夜の調べのなかで」のフレーズの後ファントムが抑えきれない感情を徐々に上げながら歌っていくシーン。声のメリハリの効きが本当に素晴らしい。その最高潮が「心の赴くまま」のロングトーン。あれはホント、聴く者の心を揺さぶりまくる。
で、その直後に「君は私のもの」と切々と柔らかい歌声に変わる。もう歌声の一つ一つからクリスティーヌへの溢れんばかりの気持ちがこれでもかというほど伝わってきた。あと、「私に触ってほしい」の歌詞のところは前回以上に切々と色っぽい歌い方になってましたね。あれはすごいドキッとした。
クリスティーヌがダミーを見てびっくりして倒れて失神してしまったシーンの洋輔くんファントムはホント可愛くて萌えるw!「あっ…どうしよう」みたいに戸惑った後、スマートにマントを彼女にかけてあげるんだけど…そのあと彼女の顔を見て「そうっとね…」みたいな手の動きする。あの戸惑いの様子が可愛くて愛しくて仕方がない!!あのちょっとした動きに、洋輔くんならではの味が染み込んでるような気がして…個人的に大好きな場面なんですよね。
作曲中のファントムのシーンはもう、本当に幸せそうでそれ見るだけでもウルウルきてしまう。自分の手元にクリスティーヌがいることが嬉しくて仕方がないというのがあの作曲姿勢から伝わってくるんですよね。幸福ホルモンが充満してるからか、自分の頭の中に曲のアイディアがどんどん降りてきて「これだ、これ」みたいに夢中で楽譜に書き込んでいく姿がとても印象的です。あれじゃ、クリスが近づいてきても気が付かないよな、みたいなw。
その直後に仮面を剥がされるわけですが…、その瞬間断末魔あげるみたいなすごい表情しててビックリした。うわぁあ!!って驚きとショックのあまり声もすごい出てる。そこからの怒りはすさまじく、「ちくしょう!!」という言葉も前回聞いた時よりもすごいスムーズに飛び出してたなと思いました。あの時以上にファントムとして怒りを爆発させていた。
クリスを脅しまくった後に「呪われろぉ~~!!」と恨みの言葉を吐く場面。この言葉の響きがとにかくものすごく哀しくて切なかった…。その言葉の裏に「なぜ見てしまったんだ…」という気持ちが透けて見えたんですよ…。さらに、自分の顔の悲惨さを歌いながら「だがクリスティーヌ…」と呻くのですが…この時ガックリと膝を落とすわけで。あんな哀しい姿見たらもう切なすぎて涙が止まらなかったよ…!!背中から哀しみの表情がこれでもかってくらい伝わってきたよ…。
それでもクリスティーヌへの想いから必死に匍匐前進して彼女の傍へ。クリスの顔を見てその名前を呼ぶとき、洋輔くんファントムはもう泣いてる…。なんと哀しい声色…(号泣)。彼女の心が離れてしまうのではないかという恐怖に怯えているような哀しみがひしひしと伝わってきて、あれは涙なしには見れない…!!
仮面を返したクリスティーヌの顔を見つめた時、思わず彼女の頬に手を触れようとするのですが…この時の表情が「君が僕の全てなんだよ」って訴えているようでさらに切ない(涙)。寸でのところで「触れちゃダメだ…」というように顔を背けて思い止まってしまう表情もホント痛々しくて…。ファントムの繊細で壊れやすい気持ちをこれでもかってくらい丁寧に演じてるのが本当に素晴らしかった。
この一連の感情の動きが洋輔くん、すごい進化してた。たぶん、その感情は久保さんのクリスティーヌが引き出していたように思う。
それとは打って変わって支配人室での手紙の朗読はめっちゃイケイケ。声の張りがすごいし圧を掛けているのも伝わってくる歌いっぷり。ホント好きw。
♪イル・ムート♪
このシーンは2階席の特権があるのでめっちゃ楽しみにしてましたw。ちょうど同じ高さくらいの目線でファントムが観れるんですよね。「ボックスの5番は開けておけと言ったはずだ!」とキレながら登場した時、私の心の中はもう、キターー!とテンション上がりまくりww。
カルロッタが蛙の声を出してしまうシーンの洋輔くんファントム、舞台上の縁のところに肘をついてニマニマしながら登場。これがほんと、こんなこと言っていいのか分からないんだけど…可愛くて仕方がない(笑)。まるでいたずらっ子のようなんですよね、あの時の彼のファントム。そこに彼の危うさも感じるわけですが、とにかく本当に可愛くて何度も見たくなります、あれはw。
それから、消える時のマント捌きがすごくカッコいい。あんなに上手にマント操れるなんてホントすごいと思うよ。しかもあのスペース狭いから大変なはず。それを感じさせない動きをしててなんかそれだけでも胸アツです。
♪All I Ask of You♪
ラウルに恐怖を語りながらもファントムを語るクリスティーヌの言葉に、思わずファントムがその名前を呼んでしまうシーン。ここは声だけなんですけど…めちゃめちゃ切ない声色で心が張り裂けそうになった。あんな哀しい声…切なすぎるよ。
そして超ラブラブになったクリスティーヌとラウルが去っていった直後のエンジェル像の場面。このシーンも2階席からだととても見やすい。オペラグラスから真っ直ぐガン見したんですけど、まるで脆いガラス細工のような、今にも崩れそうな頼りない悲しげな表情をした洋輔くんファントムがそこに居た…。もうその瞬間から私の涙腺が大決壊(涙)。あんな表情見せられたら、見てる私の心も切り裂かれてしまうような感覚にさせられてしまうよ…。
「愛する者に今裏切られて…」と歌う響きはもうか細い泣き声に変わっていて…。「こんなに愛しているのに、なぜわかってくれないんだ」という深い深い悲しみがこれでもかというほど私の心に訴えかけてくる(涙)。もう、あんあの、たまんないよ(号泣)。思い出すだけでも胸が苦しくなる…。
さらに追い打ちをかけるようにクリスとラウルのラブラブな歌声が脳裏に蘇ってくるわけで、哀しみの底に突き落とされていくように涙にくれる洋輔くんファントム…。
でも、その後感情は「うわぁああ!!」という叫び声と共に一気に嫉妬と憎しみへと変化する。この切り替わりの芝居が本当に凄まじかった。「決して許しはしないぞ」のロングトーンが怒りの感情をこれでもかと押し出しているようでめちゃめちゃ圧倒されて、泣きながらも降る描きましたね、本当に。
♪マスカレード♪
レッド・デスで登場するシーン。最初に登場するのが洋輔くんが演じているファントムなわけですが、動きも実にスムーズで貫禄があります。さらにあの圧倒的な歌声なものだから、劇場中が支配下に置かれたような感覚すらある。その声色は冷たく響き渡ってて…改めて「こんな歌い方もできるんだなぁ」と感動してしまった。
クリスティーヌの指輪を奪う動きもゾクっとするくらい不気味な存在感を放っている。表情はドクロで見えないけど、彼女への飽くなき執念が伝わってきた。それに去り際のマント捌きがめちゃめちゃ綺麗でカッコいい。
それから、あの悪魔の笑い声は何度聞いても「本当に洋輔くんの声なのか!?」とビビってしまうw。見る前までは想像もつかなかったので色々と衝撃が大きいw。
♪墓場♪
「ここへおいで、私の愛しいクリスティーヌ」のフレーズが本当に優しく温かい響きの歌声で…もうそれだけで涙涙…。そこに居たのはまさしく、”エンジェル・オブ・ミュージック”その人でした。なんだろう、あの魂レベルから揺さぶってくる歌の表現力は!クリスティーヌが歌う「優しい囁き」という言葉を見事に体現している。素晴らしいよ、洋輔くん(涙)!!!
そして3重唱になるわけですが、久保クリスティーヌとの歌いっぷりがなんかもう、情感がすごくてさらに涙が溢れて止まらない…。お互いに強く惹かれ合い惹きつけ合っているように見えて仕方なかった。あれはラウル敵わないよなぁって気の毒だけどそう思ってしまうほど。もうあそこには二人の世界がしっかりと出来上がっていましたからね。
だけど、そこまでの結びつきを感じさせた直後にクリスはラウルのほうへと走ってしまう。三重唱の時には全く彼のことが眼中になかった洋輔くんファントムが、その時初めて気が付いて「なんでそこに!?」みたいな表情になるのが印象的です。
ラウルに対しての「ブラーーヴォ!!」は前回以上にドヤっててめちゃめちゃ迫力あり。あの時点ではクリスティーヌが自分のところから離れることはないといった自信みたいなものもあるように見える。「ここまで来たぞ、死の天使だ!」といった時の勝ち誇った表情も印象深い。あれだけクリスと熱いデュエットを奏でましたから、そう思ってしまうのも納得だなと思ってしまった。
でも結局その自信は見事に打ち砕かれてしまうわけで…、ラウルとクリスが一緒に去ったのを見た時に信じられないといったショックの色を浮かべながら「行くなぁ!!」と必死に叫んでいた姿は切なすぎて泣けました(涙)。これが憎しみへと振り切れていくのが本当に哀しいよね…。
♪The Point of No Return♪
いやぁ…、壮絶でした、ホント。今まで見た『オペラ座~』PONRの中で、一番スリリングなものを見たかもしれない。正直、洋輔くんがあんなにも溢れんばかりの感情を表現してくるとは思ってなかったので色々と衝撃的でした。
ピアンジと交代して登場した瞬間から、前のめり気味に歌い出してる印象が強い。目の前にクリスティーヌがいるという事実に心の興奮が表にじわじわ漏れてる感じ。前回見た時よりも洋輔くんファントムの熱量が本当に凄かったんですよね。
そのテンションが歌っているうちにどんどんヒートアップしていって、「燃えるこの想いが、熱いこの願いが」のあたりでは、彼にしては珍しく音程が揺れるほど感情がグワワっと上がっていたんですよね。
さらに「行く手には未知の愛の喜び」と歌うところ、マントを深くかぶりながらもクリスへどんどん密着していってて。「愛の喜び」と歌うところなんかもう、縋るような歌い方。まるで久保クリスの引力に吸い寄せられるように、あと一歩いったら抱きしめちゃうんじゃないかくらいの勢いで迫ってた。あんなに”愛”に執着していく彼の芝居を観たの、初めてだよ…!!っていうかあれは芝居じゃなくて役としての生の感情だよね。どんどん見たことない動きが出てくる。もう、私の中の心の震えが止まらなかったよ…。
自分からクリスのほうへグイグイ密着していったのに、彼女の顔が自分の方向に向いた瞬間に慌てて背を向けてしまう洋輔くんファントム。この時の彼の心拍数はおそらくとんでもない状態にあったのではと思ったほど。しかも、背を向けながらもクリスへの強い想いがもう抑えきれないところまで来ていて肩で息をしているような感じになってた。自分を抑えるのがもう苦しくて仕方ない、みたいな…。もうそんなん見せられたら…切なすぎて見てるこちらも苦しくて涙が止まんない(泣)。
そしてクリスがファントムだと気づく瞬間のシーン。彼女の手が自分の手に絡まっていることで感情の振り幅が完全に最高値まで達してしまい、まるでクリスを飲み込まんとする勢いで自分の顔に引き寄せて密着させてた。あんな欲望を剥き出しにする姿を洋輔くんの芝居で見れる日が来るなんて胸熱すぎて涙腺がさらに決壊(汗)。
何としてもクリスティーヌを自分のものにしたいという執念がとにかく凄まじかった。その感情を引き出したのも、やっぱり感情豊かで情熱的な久保クリスだったと思います。感謝しかないよ…!
クリスティーヌがファントムのマントを取りその正体を観客に晒す場面。久保クリスはファントムの仕打ちに怒りにも似た感情を抱いていたからか、かなり大胆にバサァっとめくりあげていて…、その拍子にまだ取れてはいけないファントムの仮面がズルッと落ちそうになる一幕もありました(汗)。
この時の洋輔くん、「なぜ!??」という衝撃的な表情になりながら必死に仮面を元の位置に戻してたな。想定外のことも起こっていたわけで、かなり色んな感情があの時動いたと思うよ。それでも久保クリスの視線はとても痛いわけで、あれは居たたまれなくなっちゃうの分かる。
一度はクリスティーヌから距離を置き背を向けていたファントムでしたが、彼女への想いはどんどん募り抑えきれない。その感情があの少し震える背中から伝わってくるんですよ…。もう本当にそれが泣けて泣けて仕方ない(涙)。
さらに泣けるのが、一つ一つの言葉に繊細な感情を丁寧に乗せて必死に自らの気持ちを愛する人に訴えていること。ファントムの溢れんばかりの想いが、全ての言葉の音に沁みわたってた。歌としてというよりも、感情としてクリスティーヌに思いの丈を伝えたいという祈りにも似た切なる気持ちが、私の心には痛いほど響いてきたよ…。あぁ、なんてそんな身を切るような歌い方…(涙)。苦しいよ、本当に哀しくて苦しい…。そこからの、全身全霊を込めた
「クリスティーヌ、君が全…(て)」
だけどクリスティーヌはその言葉を最後まで受け止めることなくファントムの仮面を大胆に引っ剥がす。彼女は自分の言葉を受けてくれるはずだと信じていたであろうファントムとして、あんなショックなことはないよな。顔を晒された直後の「うわぁああ!!…うっっ…あぁ…!!」みたいな混乱する呻き声がとにかく悲しくて悲しくて心がちぎれそうになりながら見た。
あんなに情熱的にクリスに気持ちを伝えようとしてるのに、クリスはそのやり方に納得できなくて全身で拒否をする。感情と感情のぶつかり合いが本当に激しくて…衝撃的な哀しいシーンでした。
怪人の隠れ家
クリスティーヌを再び舟に乗せて隠れ家へ向かう場面。歌に乗せてるんだけど、まるでセリフとしての叫び声のようだった…。自分の顔のことを呪いまくって、さらには他人から憎悪の目を向けられて…、自分の心の中がもう耐えられないと悲鳴を上げている。「なぜ…なぜだ?」と何度も繰り返しながら舞台袖へ消えていくシーンも、泣き崩れそうになってて思い出すだけでも辛いレベル(涙)。
隠れ家に到着した後力任せにクリスを中に入れるのですが…、前回見た時よりも扱いが乱暴になってました。ファントムの気持ちの混乱っぷりが手に取るように伝わってくる。
そして印象的だったのが自分の過去を苦しげに悲しげに告げた後、それを振り払うようにして「哀れみはいらぬ、この運命には従わねばならぬ」と強引にベールをかぶせる場面。「母にも嫌い抜かれて」のくだりの、本当に傷ついた哀しそうな表情が忘れられない…。あの言葉の中に彼の壮絶なこれまでの人生が見えたんですよね。もうホントにすごく繊細に気持ちを歌声に乗せてる(涙)。
それでもクリスティーヌは「醜さは顔にはないわ、穢れは心の中よ」と指摘してくる。この言葉を聞いた瞬間の洋輔くんファントム、めちゃめちゃ傷ついた表情見せてた(涙)。一番理解してほしい人に理解されない苦しみがこれでも勝手ほど押し寄せてきて、見てる私の心が張り裂けそう…。
ここから彼はどんどん精神崩壊のように暴走への道へと突き進んでしまうわけで。クリスの訴えにも耳を貸さずに花嫁のブーケを持たせる。この時、すごく無邪気な笑顔見せていたのがものすごく印象深い。「綺麗だな、これで君は僕のものだよ」って言っているかのよう。なんていうか、幼児化してる…みたいな。それが余計に哀しく見えるんだよね(涙)。
ラウルがやって来た時、急に冷たい表情に切り替わって悪魔のような声を出す。この切り替えもすごい。あくまでもラウルに対してだけは自分を優位に見せたいという意地が垣間見える気がします。彼が中に入ってきた後の洋輔くんファントムは、怖いくらい冷徹でゾクゾクした。
だけど、ラウルの首に縄を仕掛けた直後の感情の大暴走はもう誰にも止められない、手が付けられないほど激しい。クリスティーヌに選択を迫る時点で、彼の精神がもうズタズタになっているというのが痛いほど伝わってくる…(涙)。「もはや引けないぞ!!」と迫るシーンはもうほぼ叫びに近い。
ここから久保さんクリスと洋輔くんファントムの壮絶な感情のぶつかり合いが展開していきました。
久保さんのクリスティーヌ、ラウルが危険な目に遭って混乱はしているんだけど…そういう行動に出たファントムに対しての怒りが沸々と沸き起こってくるのが手に取るように伝わってくるんですよね。これが洋輔くんファントムの気持ちに火をつけているような気がした。まさに、火に油を注いでる状態みたいな。
私が観劇した回では、「私を嫌えばこいつを…」の時にあまりの興奮状態に陥ってたらクリスティーヌのベールが予定よりも早くに取れて落ちてしまったほど!クリスが自分で外したのを見て大ショックを受けるのも見たかったけど、これはこれでえらい衝撃でした。もうまさに”闘い”です。
「哀しみの涙、今、憎しみに変わる」と歌う久保クリス、”憎しみ”のワードのところで一気にアクセルを踏んだのが分かる。ファントムへのどうしようもない怒りの勢いがとにかくすごい。
これを受けた洋輔くんファントムは必死の応戦をするわけですが、どちらかというと懇願しているようにも見えた。「(ラウルを)救えるのは君だけ」と歌うシーンも、なんだか「君だけが僕を救えると思っているのに」と言っているように聞こえてしまって…決壊した涙腺がさらにバラバラになるかのような滂沱の涙におぼれました、ホント(号泣)。
そして、クリスから「昔は心捧げた」と告げられた後。彼女に背を向け選択を迫る姿は…孤独そのものでした(涙)。あんな哀しい洋輔くんの背中の芝居…泣くしかない…!!
それゆえ、クリスが彼の深い絶望と哀しみを受け止めキスをする行動がいつも以上に自然に見えた気がします。1度目のキスの時に「え…」って呆然としたように目を見開いてる洋輔くんファントム。衝撃で両手が伸びたまま固まってるんだよね…。2度目のキスの時、その両手ががくがく震えだして彼女を抱きしめようと無意識に動いてしまう。あれはなんかもう、芝居ではなくて役としての感覚がそうさせているように見えた。
なんとか自力でクリスティーヌの体から離れたあとの洋輔くんファントムは、直前までの激情が嘘のように静か。憑き物が取れたみたいな感じ。そして、一度だけそっと自分の唇に手を当てて彼女の唇の感覚を確かめる。後ろを振り返ろうとした時、ラウルの呻く声が聞こえて「あ、そうだった…」みたいにろうそくのある場所へ進んでいった。
ラウルと目が合った時は一瞬敵意のような感情が見えるんだけど、クリスが「やめて」というように首を振っている姿を見て「ぐわぁ!!」と気持ちを断ち切るような声を上げてロープを断ち切ってました。
そこから二人を逃がすに至るまでの行動はもう、嗚咽レベルで哀しい…。「行け、行ってくれ、お願いだぁ!!」の叫びはまさに魂の悲鳴です。私の心臓も一緒に壊れてしまいそうに苦しくて哀しい叫びだったよ…(涙)。
さらに哀しかったのが、猿のオルゴールを見つめながら♪マスカレード♪を歌うシーン。猿の顔を半分隠して歌った後、哀しみのあまりガックリと膝をついて泣き崩れそうになってた…。もう、あの姿が脳裏にこびりついて離れない。あんな哀しい姿…堪らない(号泣)。
でもその直後にクリスが戻って来た時、「あっ」って一瞬嬉しそうな顔見せてたな。自分を選んでくれたのかもって期待してるような…。でもその願望は結局叶わなくて、だけど心の中ではその結果になることも分かってて…みたいなとても穏やかなオーラがあってなんだかすごく神々しかった。そこからの…
「クリスティーヌ、アイ・ラヴ・ユー」
その響きのなんと切なく哀しく、優しい温かさ!!!!大号泣レベルだよ、これは…!!!
もうこの時点でオペラグラスを覗いているのも苦しくなって涙涙に暮れて大変なことになっていた私(←もう落ち着けられないレベル 汗)。指輪にそっとキスをする姿も、クリスが行ってしまった方向に思わず手を伸ばしてしまう仕草も…切ないなんて言葉では言い表せない。
さらに、クリスが落としたベールを拾い上げて愛しそうに自分の頬に当て涙声で彼女の名前を呼ぶシーン。この時間が前回見た時よりも長くて…どれだけ彼がクリスティーヌを愛していたのかがこれでもかというほど伝わってきた。それゆえ、振り返った時にはもうすでに二人の姿が消えた後だったんだよね…。そんな光景に向かって弱々しく手を伸ばしてて…もう哀しすぎて私自身が壊れそう(涙)。
それでも、「我が愛は終わりぬ、夜の調べの中で」を歌う時には精いっぱいの正気を見せていた洋輔くんファントム。去り際も非常に紳士的で椅子抜けまで完璧だった。
カーテンコールでも本当に涙が止まらなかったよ…。進化が本当に凄くて、あぁ、飯田洋輔くんのファンを続けてきて良かったなって心から思った。帰りはなんかもう干からび状態で足元がふらついたwほど衝撃的で刺激的な時間でした(汗)。
後述
オペラ座にバラの花を持って座っている”タング”が、なんだかちょっと洋輔くんにも見えてきた夜(←情緒不安定ゆえの空目w)。
2週間経った後に見た洋輔くんは、私の想像を超えるほどの進化を遂げていました。というよりも、久保さんのクリスティーヌが彼の感情の引き出しを全て開けてくれていたような気もします。あのファントムは、久保さんが相手だったからこそのものだったと。もう、感謝しかないです。私が一番観たいと思っていた洋輔くんの新しい表情をこれでもかというほど引き出してくれた。
ミュージカルに限らずお芝居は相手の言葉や動きを受けて演じるものだということを聞いたことがあります。受ける相手によって反応も表情も違う。洋輔くんの芝居はまさにそれだった。あぁ、良い役者だなって改めて思いました。大好きだよ、ホント…。