劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』大阪公演 2022.06.02マチネ

飯田洋輔くん(ファントム役)について

今回あまりにも舞台から近い良席で見たので…私の心拍数が相当危ないことになってました。ただでさえ姿を見ただけで気持ちのテンションのメーターが振り切れてヤバイのに、それ以上の状況になった。この席を私にもたらした舞台の神様、ありがとうの気持ちでいっぱい。

ちょっと本当に、後半いつも以上に気持ちが振り切れすぎて記憶が飛びそうになったのでいつも以上にまともな感想じゃないかも…。

♪エンジェル・オブ・ミュージック♪~♪ミラー♪

やっぱり声だけでも気持ちのスイッチが入って思わず涙ぐんでしまう。天から降ってくるような美しい歌声がどうしようもなく私の心を揺さぶってくるんですよね。

そして、クリスティーヌの前に姿を現す場面。鏡の奥にいるんだけど、目力がすごかった!見開いてるわけじゃないんだけど、クリスを見つめてる目の力がハンパなかったんですよね。彼女への想いがどれだけ熱いのかがそれだけで伝わってきて…、あぁ、洋輔くん、本当になんて繊細な表現力!!と感動のあまり涙。しかも、彼女の手を取る動きも非常に紳士的で美しい。あれを近くで見れたことに心底幸せを感じました。

クリスティーヌは鏡の中のファントムに向かって「音楽の天使なの、素敵な方」と歌いますが、まさに私が洋輔くんファントムを見て思っている心情そのものです。立ち姿からしてもう本当に”エンジェル・オブ・ミュージック”。これって本当に凄いことだと思う。

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♪The Phantom of the Opera♪

舟を操っている時の動きも非常に繊細です。特に手指の動きが本当に素晴らしいと思う。ファントムのクリスティーヌへの想いが指先から伝わってくるよう。この役って、手指の動きの芝居もすごく重要なんだなということを洋輔くんのファントムを見て思うようになりました。

さらに、転調するシーンの時に見えている方の目がピクッと動いたのが見えた。そこでさらにギアが上がったなみたいな。彼の中の心拍数が上昇していくのが手に取るように伝わってきた。

隠れ家に到着した後、クリスの顔を見ながら「歌え」と命じるんだけど、彼女が歌い出すと同時に”そうそう、それだよ!”みたいにテンション上げて一緒に口を開けて陶酔に浸っていく表情が本当に好き!!”もっと、もっと!!”と彼女に求めるたびに表情がどんどん紅潮していって気持ちを高みに持って行ってる。この変化が非常に分かりやすい。なんか、歌ってるんだけどセリフを語ってるように見えるんですよ。

さらにそんな興奮状態の中でもハットの脱ぎ方が非常にスマートで完璧。マントの外し方もとても美しい。洋輔くんがこんなに美しく見える日が来るなんて…もうなんというか、感無量すぎて涙が止まらなかった。

最後の「歌え、エンジェルオブミュージック!!」と叫びながらクリスを前にやるシーン。見るたびにどんどん扱いが乱暴になってる気がする(これがすごく良い)。自分の高鳴る気持ちを抑えきれずに興奮状態に陥ってるファントムの気持ちが手に取るように伝わってくる。
最初の頃に見た時はここの動きがちょっと丁寧で、あぁ、洋輔くんらしさがあるなと少しほっこりしたのですが、この日観たときはそういう感じは一切なかった。そしてオルガンの前に立った時はもう幸福の絶頂期みたいに悦に入った表情してたな。「連れてきた」の歌い方も以前見た時よりもすごいテンション。素晴らしい進化を遂げてる…!!

♪Music of the Night♪

このナンバーを、間近で聴ける日が来るなんて…(涙)。「私のために歌ってほしい、どうか」のところで祈るような気持で楽譜面を撫でる仕草があるのですが、今回見たらその部分、すごく艶っぽい印象になってた。

洋輔くんのMotNはもう聴こえてくる瞬間から心が癒されます。あれはクリスティーヌが催眠にかかったようになるのも納得。「心は空に高く」のくだりは本当に優しくて柔らかくて美しくて…自然と涙が出てくるレベル(私の場合は尋常ではない精神状態で見てるのでちょっと危ないんですが 汗汗)。特に「く」と伸ばす高音が素晴らしいです。あの一音にクリスへの飽くなき想いが詰まってる。
ほんっとに丁寧に歌ってるんだよね。一音一音に気持ちが乗っているのが分かる。まるでストプレでセリフを語っているかのようにも見えたし(←あくまでもファンの欲目からの話ですが)。なんかもう、それだけで感極まって涙が出て仕方ないんです。色んな感情が溢れてくる。

そこからだんだん気持ちが盛り上がってきて、最高地点に達する「心の赴くまま」を歌う時はものすごい気持ちが前面に出てる。近くで見ると風圧みたいなすごいパワーを感じ滂沱の涙の危険な状態に(←とてもじゃないけどあの位置からこの歌を聞いたら落ち着いていられないw)。

「私に触ってほしい」のところは最初に見た頃よりもかなり執着感出てきたような気がします。だけど触れ方はやっぱりちょっとソフトなのが洋輔くんっぽいなとw。だけど、自分に触れてほしいというファントムの切なる気持ちはこれでもかってくらい伝わってきました。
そのあと、クリスを手繰り寄せるような動きを見せるのですが…クイックイッと微妙に手の動きを変えていたのも印象深いです。私にはあの時、クリスを操り導く糸が見えたような気がした。

そしてこのナンバーで最も印象深いのがクリスの花嫁姿を模した”人形”が登場する場面。それを見せるためにかかっていたシートを取るわけですが、これの取り去り方がほんっとにカッコイイんですよ。これまであまり洋輔くんみて”カッコいい”という感情はあまり生まれてこなかったんですが(←これでもファンのつもりw)、今回のファントムは仕草や行動の一つ一つが非常に洗練されていて本当に素敵です。

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クリスが失神した瞬間の洋輔くんファントムの反応…「あっ…どうしよう…」みたいな動揺した表情。これがもう本当に愛しくてねぇ(涙)。さらにクリスに掛物をかけてあげる時なんか、最後の最後まですごく彼女に気を遣ったような動きするんですよ。この日観たときもフチの部分を2-3回微調整してたくらい。
あの芝居を見ると、もしも彼にコンプレックスがなかったらとても優しい人物に育っていたんじゃないかと思わずにいられません。それを強く感じさせるのはきっと、洋輔くんが演じているからこそだと思います。彼が本来持っている温かみがあのちょっとした芝居の中にすごく出てる。愛しくてたまりません…。

クリスが眠っている間に作曲に没頭するシーン。もう幸せオーラが全身から漂っているかのようで穏やか。それでいて作曲熱をすごく感じさせる。帽子のフチに両手をあてながら「うーーん」と音楽が頭に降ってくるのを待っているかのような仕草が可愛らしかったな。そして脳裏に浮かんだ瞬間から「これだ」みたいにペンを走らせる。その行為にあまり力は入っていないんだけど、すごく音楽を大切に想っている気持ちみたいなのが伝わってきました。あの没頭の仕方だったら、クリスが近づいても分からないよなぁといつも思うw。

仮面を剥がされた瞬間の「うわぁ!!」という衝撃的な叫び。あの瞬間、洋輔くんファントムはものすごい目を見開いた驚きとショックの表情を見せる。クリスに対する恫喝も最初に見た頃よりずっと熱が上がっていて、「ちくしょう」という言葉がしっくり聴こえるようになった。声がちょっと裏返るくらい興奮してるんですよね。
この洋輔くんの激情のお芝居が私は本当に見ていてうれしくて…色々と感極まってしまうのです。彼のこんな爆発力溢れる姿を見たかったんですよね。

ものすごい勢いでクリスに迫って泣かせてしまうわけですが、「呪われろ」と言って膝をつくシーンがとてつもなく痛々しい。「ろ」の言葉のところはもう怒りというよりも哀しみで掠れてしまってるんだもの(涙)。怒りから哀しみの感情へ移る時の流れがものすごく自然。
その後「醜く歪んだ私の顔」と歌い始めた時にはギラギラした表情に変わるのですが、そのうちにどんどん気持ちが追い詰められていくような感じで、「だが、クリスティーヌ…」と愛する人の名前を読んだ時に耐えきれなくなって床に這いつくばるように倒れてしまう。この時のクリスの名前の呼び方がとにかく切なくて哀しい…(涙)。”なぜ見てしまったんだ”というどうしようもない悔しさや哀しみがあそこにこれでもかというほど込められている…。

そして匍匐前進して彼女に近づいてその顔を見つめる時の表情が…もう、”頼むから私を拒絶しないでほしい”と懇願しているよう。もうこれを近くで目の当たりにしたときその心情があまりにも伝わりすぎて号泣してしまった(涙)。なんて繊細でピュアなんだよ…洋輔くんファントム!!
仮面を返してもらった後、思わずその手を彼女に近づけようとして思い止まる仕草ももう1つ1つ全部泣ける。この時、久保クリスもファントムを拒絶している様子がなくてむしろ、受け止めようとしてるように見えてしまうんですよね。それがまたさらに泣けてしまった…。彼が思うほどクリスは拒絶してないように思えるからなおさら…。

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♪イル・ムート♪

この場面は舞台の上からの登場なので前方席だと逆にちょっと見えづらい難点がw。でも、真下から見る洋輔くんファントムも実にスマートでカッコいい。

個人的にはやっぱり、カエルの声しか出なくなったカルロッタを楽しそうに乾いた笑いを浮かべているシーンがお気に入り。肘をフチに乗せてカラカラ笑ってる姿がもう悪意しかないんだけど可愛らしいんですよw。あの場面で可愛いと思うのはたぶん洋輔くんだけかもしれない。でもそこにはちゃんとファントムとしての狂気も表現されていて、色々な意味で見所が多い。

♪All I Ask of You♪

光田ラウルと久保クリスが本当に少女漫画の世界のようにキラキラした恋愛モードになっているので、あれを見てしまったファントムはさぞかし哀しいだろうなと思いながら見てしまいます。

で、この場面のエンジェル像なのですが…、今回の私の位置からだとけっこう真下から見る感じでしかもちょい像の装飾が死角になっていた(苦笑)。なので表情はよく見えないままだったのですが…歌声がとにかく悲しいので見えなくても伝わってきたんですよね。
「そのお返しがこれだというのか」のくだりはもう声が掠れ気味で…これでもかというほどファントムの身を切るような悲しい気持ちが私の心に突き刺さってきた。あんなん聞いたらもう、涙止まんないよ(号泣)。見るたびにこのシーンの洋輔くんファントムの悲哀が深まっているような気がして…。もうほんと、言葉にならない。

シャンデリア落とすときの「行けーー!!」は逆に哀しみが怒りのパワーに変わったのをすごく感じてゾクっと来ました。このあたりの感情の移り変わりのお芝居も本当に丁寧です。洋輔くん、本当に凄いよ…!

♪マスカレード♪

レッド・デスで登場する場面。足取りに迫力があります。他を圧倒するようなオーラも感じる。そして、手指の動きが非常に力強い。そしてやっぱりクリスティーヌを自分の元へ引き寄せる手指の動きが大胆かつ繊細です。まるで言葉を語っているかのよう。最後のマント捌きも実に美しいです。

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♪墓場♪

クリスティーヌが父への想いを歌い上げた後に十字架から登場するファントムの場面。毎回思うけど、この時の立ち姿が本当に綺麗で神々しい。そして、「ここへおいで、私の愛しいクリスティーヌ」の歌い方がこの上なく優しい…!あの声を聞いただけで涙が溢れて仕方ないよ(泣)。前方席で見るとあの歌声が直で訴えかけてくるような錯覚に陥り、いつも以上におかしなテンションになってしまった(汗)。

あれは、クリスティーヌがラウルに気づかずに引き寄せられていくの納得です。もう、気持ちの中では一緒に「エンジェルオブミュージック、私の大切な方!!」と歌ってしまうw。もうそう歌わずにはいられないレベルなんですよね…、洋輔くんファントムの存在が。
クリスと同じ気持ちにさせられてしまうのは、私が尋常じゃないテンションで彼を見ているからというのもあると思うんですけど(汗)、もしかしたらそれと同じ気持ちで見ている方も多いんじゃないかなと。推測ですが。これって本当に凄いことだと思うんだよな。よくぞそこまでの表現力を…と思うともう気持ちが昂って涙が溢れて仕方なかった。

ラウルがクリスの正気を取り戻させた瞬間は、陶酔の表情から「なんでお前がそこに居るんだよ」みたいな苦い顔になる。それでも、ラウルの前では弱みを見せたくない洋輔くんファントム。クリスティーヌが選ぶのは自分しかいないという根拠のない自信に満ち溢れていて、すごい上から目線でラウルに対抗してるのがとても印象的でした。
火の玉も的確にラウルのほうに飛ばしてるのがすごいw。だけど1発だけちょっと不発気味なのがあったようなw。でもそのあと立て続けにバンバン飛ばしまくっててちょっと面白かった(笑)。

だけど、クリスがラウルを選んで去っていった時の「行くなぁーーー!!」の叫びがものすごく痛々しい…。心の底から”行かないでくれ”と懇願しているかのよう。ありったけの声で叫んでるのがもう見ていて苦しくてたまらないよ(涙)。さらにその感情が怒りのほうに触れてしまうのが本当に哀しいんだよね…。

♪The Point of No Return♪

前半はフードを深くかぶった状態で登場するので表情は見えないのですが、ここで重要になってくるのがファントムの手指の動きでの感情表現と、身体の細かな表現です。「オペラ座の怪人」のファントム役を演じるうえでこのシーンは特に難しいと思う。

洋輔くんのファントムは前半から本当に手指の動きの芝居が繊細で感情が伝わってきているのですが、それを最大限に感じられるのがPoNRのシーン。もう、湧き立つ泉のようにクリスティーヌを欲する想いがどんどん溢れているのが手に取るように伝わってくる。
今回その興奮がけっこう熱くて前半でクリスの持つリンゴを取り上げるシーンがあるんですが、ちょっとうまくそこにハマらなかったくらいだったな。落としちゃうんじゃないかとちょっとドキリとしたけどうまくワイングラスと交換できてほっとした。でも、そのくらい気持ちが昂ってるのが伝わってきていることが個人的にはすごいグッとくるものがあったな。

クリスに積極的に迫るようにイケイケ状態で歌ってるのに、途中で彼女の顔が至近距離になったところで思わずサッと身を離してしまうファントムの場面も印象深い。「未知の愛の悦び」の歌い方が特にドキリとさせられた。まるで縋るような歌い方だった。
欲する気持ちは強いのに、いざ彼女を目の前にすると怖気づいてしまう。この臆病な気持ちを洋輔くんは非常に繊細な動きで表現してると思います。

個人的には、クリスティーヌが椅子から離れて「どんな言葉も枯れ果てる世界に」と歌い始めたあとに洋輔くんファントムが規則正しい動きで座りながら横に移動していくのが好きw。なんかまるで、自分で自分を必死に落ち着かせようとしてるようにも見えてちょっと可愛いと思ってしまう。
でもそこからどんどんクリスティーヌへの飽くなき想いが増幅していって、彼女と手を絡めた瞬間に感情が溢れ自分の顔に彼女を思い切り近づける。ここの動きも本当に印象深くて、クリスが欲しくて欲しくてたまらないといった切実な気持ちがこれでもかというほど伝わってきました。それが叶わない未来を知りながらこの場面を見ると、切なすぎて涙が止まらない…。

そしてついにクリスからマントを剥がされる瞬間。久保クリスの表情はすごいメラメラしててファントムの行動に怒りを覚えてるのが伝わってくる。それに対して洋輔くんファントムは、まさか彼女がマント剥がしという暴挙に出るとは夢にも思っていなかったと言わんばかりに”え!!なんで…!!!”と目をまん丸くひん剥いて口あんぐりですごい大きなショックを受ける表情を見せるんですよ(前回見た時はこのタイミングでマスクが取れそうになってたけど今回は大丈夫だった)。それがたまらなく切なくてねぇ…。

そしてクリスに背を向けた時の背中がすごい孤独に見えてしまうのも哀しい。それだけに、泣きそうな気持をこらえながら指輪を外しクリスの指にはめる仕草が切なくて切なくてたまらない(涙)。「どんな時でも二人の誓は決して変わらないと」という歌声のなんと頼りない事よ…。その後の「言ってほしい、僕がいると…」の歌い方は最後の願いを聞いてほしいという切実さが痛々しいほど伝わってくる(号泣)。
そこからの、「クリスティーヌ!!君が全(て)」魂をかけた告白といった勢いで…もう本当に、あの表情を近い距離から見た時に私の感情のメーターが振りきれたというか…胸が苦しくなってしまって呼吸困難になりそうになったほどだった(汗)。毎回思うけど、その度に”あんな哀しい洋輔くんの芝居、観たことないよ”って気持ちが大きくなって涙が零れて仕方ないんだよね…。

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怪人の隠れ家

クライマックスのこの場面、前回見た時「壮絶」だと思ったけど…またさらにそのを行ってた気がします。激闘…とでもいうのだろうか。

クリスティーヌを隠れ家に連れてきたときの行動が、今まで見た中で一番乱暴だった。そして後ろを振り返って追手が来ないことも確認してた。この一連の動きで、ファントムがいかに追い詰められているなかで彼女を攫ってきてしまったのかが伝わってくる。すごい臨場感あったな。

この後、クリスから「飢えた悪魔の餌食の私」とすごい言葉で詰られるわけですが…あの瞬間、”なんでそんな残酷なことを言うんだ”と言わんばかりの哀しみと絶望感が入り混じったかのような洋輔食うんファントムの表情が忘れられない…。もう見ていて辛くて辛くて胸が本当に苦しくなって涙腺が決壊しまくり(涙)。
そこからの自分の過去を語る場面ですから…本当に居たたまれない。「それが私をこうした」と歌う時なんて最後涙声になってるんだもの…。見てるこちらも哀しくて悲しくてたまらないよ(涙)。その姿は”孤独”そのものです。彼女に同情してほしくて言ってるんじゃなくて、自然に口をついて過去の自分を語ってしまったみたいな感じだからよけい辛い。

その後なんとか気を取り戻してクリスティーヌの花嫁コーディネートに没頭するんですが、久保クリスは「穢れは心の中よ」と少し怒りの感情を滲ませながら説得しようと試みてる。でも洋輔くんファントムの耳にはそれが全然入ってこなくて。で、ブーケを手渡すときの仕草がこれまで見た者と全然違ってたのに驚きました。
今まではちゃんと両手で「ほら」って感じで渡してたのに、この日は片手”ほら、これ早く持ってよ”と催促するような仕草を見せてた。クリスがそれを持とうとしないのを見ると、”持てっていってるだろ!”と言わんばかりに強く握らせてたな。まるで物分かりの悪い子供のように乱暴で…それがとても哀しく見えた。

その直後にラウルが助けにやってくるのですが、その瞬間にものすごい高圧的な表情に変わるんですよね。ラウルの前では決して自分の弱みは見せたくないといった意地みたいな気持ちすら伝わってくる。「恋人をよく見ろ」と勝ち誇ったように言って椅子に座った後、余裕な姿を見せようとしてるんだけど体が小刻みに揺れている。すごく落ち着きがない。
あれが、精いっぱいの彼の虚勢なんだと感じてしまって…本当に辛い。気持ちの上では完全に追い詰められてるのがすごい伝わってきたんですよ(涙)。もうそれだけで見てるこちらも本当に苦しい。

ラウルの首にロープをかけた後の展開は…ちょっともう、色々と衝撃が強すぎて体に震えがくるくらいほぼ嗚咽状態に陥ってしまった私(汗)。余すところなく見届けようとするんだけど、あまりにも洋輔くんファントムの感情の爆発というか、情緒の激しい揺れがリアルすぎて…心臓を締め上げられてるような気持ちになってしまった。ほんっとに激しかったんですよね…ラウルとクリスティーヌに対する洋輔くんファントムの場面が…。
それはたぶん、クリスティーヌの「哀しみの涙今、憎しみに変わる」の瞬間から始まってたと思う。あの時、観たこともないような激しいショックを受けた表情してたんですよ…。彼の心が”なんで…なんで!?”と慟哭しているのが伝わってくる。

どんなに激しい言葉でクリスティーヌを追い詰めようとしても、それがそっくりそのまま自分に返ってきてしまっているような感じ。崩壊寸前のところまで行ってる。最後の「もはや戻れない」と歌う時はもう、絞り出すような感じだった。「許さない」というフレーズの前に、洋輔くんファントムほぼ放心状態になってて…。「選べ!!!」はもう渾身の力振り絞るような感じだった。その背中は泣いているようで、とても哀しく孤独だった。
この一連のシーン、私ももう涙が…というよりも”泣く”という域に達してて。彼のどこにこんな激情が宿っていたんだろうと何度も思いました。それと同時に、こんな魂のレベルで舞台で生きている洋輔くんを私はずっと見たかったんだとも…。

そしてキスを受ける場面。1度目の時、少し間を置いてから今起きている状況を悟ってものすごい目をまん丸くして固まってた。そして抱きしめられた時に彼女の体温を感じて”えっ…”ってなってる。2度目のキスの時、斜めに伸ばした両手がクリスを抱きしめようと震えながら動き出して、それを何か見えない力が抑えたような感じだったかな。

キスを受けた直後、あんなにも激しかったぐちゃぐちゃの感情がスーッと消えていくのが伝わってきた。クリスのキスが浄化してくれたみたいに見えたかも。そして、ゆっくりと前にフラフラと歩いていく時は呆然自失なんだけど、少し進んだところでそっと自分の唇に手を当ててキスの感触を確認。
そのあとに彼女のほうに視線を向けるんですが、まるで子供のような幼い表情を浮かべたのが非常に印象深かったです。彼の心の中で何かが変わった瞬間のようにも見えた。

直後にラウルの呻く声でハッと我に返って蠟燭を手にするのですが、彼に向ける視線は険しい。でもそこに殺意のようなものは感じられない。クリスのほうを見てその表情を確認した後、「うわぁーー!!」と色んな感情を断ち切るように焼き切ってた。もうその姿が切なくてねぇ(涙)。
でも「行け、行ってくれ、お願いだぁーーー!!!」の哀しい叫びの後に力尽きたようにガックリとうなだれてしまう姿がさらに哀しくてたまらないです(涙)。思い出すだけでも涙が出る…。

さらに猿のオルゴールの音楽と共にマスカレードを歌うシーン。「仮面に隠れて生きてきたこの人生」と歌った直後に泣き崩れるんですよ。もう辛くてたまんないよ(号泣)。見てるこちらの精神状態が持ちこたえられない…。これでもかというほど彼の寂しさが伝わってきて、もうあの瞬間の気持ちをどう表現していいか分からない。

そのあとクリスティーヌが戻ってきた気配を感じた時。”あっ…”ってちょっと希望を持つ表情を一瞬見せるのがまたさらに切ない(涙)。だけど、彼女が戻ってこないのも悟ってる雰囲気で…そういうのを分かったうえでの「アイ・ラヴ・ユー」のフレーズは、あまりにも切なく、それでいて優しく愛情に満ちているように聞こえた。あんな愛の告白されたら…そりゃクリスティーヌ泣くよ!!
彼女の離れていく手をいつまでも追いかけようとする仕草もほんっとに切ない。あの手が、”待って、待って、行かないで”と雄弁に語ってる。

そして、彼女が指にはめてくれた指輪にそっとキスをする洋輔くんファントム。その立ち姿は哀しいんだけど、どこか愛に満たされている充足感も感じられてなんだか温かい。あぁ、この雰囲気は洋輔くんだからこそのものだなって思ったかも。
それでもクリスティーヌへの未練は尽きなくて、最後、ベールを拾い自分の顔に当ててその名を呼びながら涙するわけですが…もう、あの時感じた感情は言葉になりません。消えゆくボートを求めて手を伸ばしてしまう仕草も本当に・・・切ないという言葉ではくくれない。

それでも最後の「夜の調べと共に」の歌い上げはどこか堂々としていて”オペラ座の怪人”と呼ぶにふさわしい姿だったと思う。愛を知ったことで浄化された姿のようにも見えたかな。

こんなにも私の魂を揺らしてくる洋輔くん、見るごとに新しい発見と感動をこれでもかというほど与えてくれる。彼が日々ファントムという人物と真っ直ぐ向き合い寄り添おうとしている気持ちが本当によく伝わってきます。あぁ、戦ってるなと。
その表現が「オペラ座の怪人」という作品のなかで正解なのかは分かりません。だけど、私はあそこまで感情を表に解放してファントムの激しい人生を生きる姿を見せてくれていることがとてつもなく嬉しいのです。どんどんすごい階段を上って高いところへ向かって行こうとしてるのが伝わる。そんな洋輔くんが、たまらなく大好きだなと思うのです。

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後述

私が観劇した日は2階席にちょっと空席が多い印象がありましたが、カーテンコールはとても盛り上がっていました。号泣しまくって灰になっていた私ですがw、スタンディングオベーションできました。目の前に立って客席を見渡していた洋輔くんは”生き切った”というような非常に良い表情をしてたな。特に唇を軽く噛んではにかんでる姿はたまらなく癒されます。

あの、穏やかで優しげな洋輔くんのどこにあんな”激しく””哀しい”感情が潜んでいるのだろう。きっと、血のにじむような努力を重ねたが故のものなんだろうな。あの柔らかい笑顔を見ながらそんなことを思うと涙が後から後から溢れて仕方なかったです。

帰りに、初めて『オペラ座~』を観たと思しき女性の方が「ホントよかったわ~」とか「最後本当に可哀そうやったな」とかすごい素直な率直な感想を言い合っていて。それを聞けたのがとても嬉しかった。さらに「感動したからお土産買っていかへん?」って話に繋がり物販の列に並ばれてました。
洋輔くんのあの熱い芝居が、四季のグッズの売り上げにも大きく貢献している!!そんな光景も嬉しい終演後の出来事でした。

かくいう私は、あまりの衝撃と感動でまともに歩けないような状況となり(汗)暫く外のベンチに座ってクールダウンしたほどでしたw。まさに精魂尽きたみたいな感じ。それでも、帰りの高速バスの中でも思い出して涙が出るような異常な状況で…色々とすごい体験をした一日だったなぁと。
これからさらに洋輔くん、洗練されていくんだろうな。いつも新鮮な感動をくれる。応援してます。

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