ミュージカル『RENT』東京公演 2023.03.14マチネ・ソワレ

主なキャスト別感想

マーク:平間壮一くん<マチネ>/花村想太くん(Da-iCE)<ソワレ>

平間くんは以前エンジェル役を2015年と2017年に演じていましたが、タイミング悪く1度も見に行くことができませんでした。かなり高評価だったということで見てみたかったなぁと。でも、今回彼のマーク役を見て…こちらのほうが合ってるんじゃないかなと思いました。もうなんていうか…すごいハマってた。ずっとこの役でオーディション受けてきたようですから、本当に満を持してって感じですよね。

平間マークは誰とでもすごくフラットで向き合えるすごく愛情深くて”いいヤツ”。仲間たちのオアシス的存在って感じだったかな。
引きこもりのロジャーのこともすごく親身になって気にしていたし、エンジェルやミミに対しても明るく人懐こい笑顔ですぐに打ち解けてた。対立関係にあるベニーに対してもあまりキツめに当たらずかつての仲間という視線で見ている雰囲気をすごく感じました。こんな子が友達だったらすごく楽しいだろうしずっと親友でいたいと思わせるマーク。

でも、2幕に入ってエンジェルの死によってそれぞれの友情、愛情関係が複雑化してくるとこれまで隠れていた”本音”の部分が滲み出てくる。特にジョアンヌとモーリーンの大喧嘩のシーンになる直前に「僕はここ、どこにもいない」と呟いた時の「無」の表情がすごく印象的だった。彼は明るくフレンドリーに振る舞うことでずっと”孤独”を感じていた自分を押し殺し続けていたんだなと感じてめちゃめちゃ切なくなってしまった…。

ロジャーから「本当は仲間が欲しいくせに結局カメラ回してるだけじゃないか!」と現実を突きつけられた時の平間マークの図星を突かれてどうにも動けなくなってしまう、みたいな雰囲気が本当に辛かった…。
ここまであまり自分の本音を出してこなかった彼が、親友から隠していた部分を引きずり出されることになって言葉に詰まる姿に涙が溢れました…。あのシーン見て「もうこれ以上平間マークの心に踏み込まないであげて〜〜〜」と心の中で叫んじゃったよ(涙)。

なんだか本当に色々と感情移入するところが多かった平間マーク。歌は抜群に上手いという感じではないんだけど、お芝居の部分ですごく惹き込まれました。ついこの前まで『キング・アーサー』に出演していたのに間髪入れずすぐ『RENT』入ってるのもすごい。最後まで頑張って欲しいです。

花村くんは前回の2020年公演の時に初めて見たんですけど、あの時から約2年半を経て…マークとしての存在感がめちゃめちゃアップしていました。台詞回しにもすごい感情が乗っていてお芝居に厚みが出ていたと思います。『ジャージー・ボーイズ』のフランキー役を経験したことがさらに大きなミュージカル役者としての飛躍に繋がったのかなとも。
そしてなんといっても、歌が抜群に上手い!!スコーンと澄み渡るような聴き心地の良い高音ボイスはマークのキャラにピタリと当てはまる。

全体的にはとても明るく勢いのあるマークと言った印象。おそらくロジャーを演じる役者によって雰囲気は変わってくると思うんだけど、古屋くんロジャーとの組み合わせで見て感じたのは、すごい弾けてて時々ギラリとしたものも感じさせるなぁと。前回見た時はどちらかというとおとなしさがあったように感じたのでちょっとビックリしました。
そんな彼がライフサポートに取材のため訪れるシーン。この時初めて彼の表情から輝きが消え内面に秘めていた底しれぬ不安みたいな感情が浮き上がってくるように見えました。皆の前ではキラッキラしてるのに、ふと孤独を感じると同自分が振る舞って良いのか分からずに戸惑うといったような雰囲気がとても印象的でしたね。

1幕ラストの場面は、本領発揮ばりの弾けた歌いっぷりですごい迫力があったしあの澄んだ歌声が少し淀んだ内容の歌詞を浄化しているようにも感じてとても心地よかった。この時の花村マークはロジャーがミミと結ばれたことを心から喜んでて自分自身もウキウキしてしまうって感じだったかな。平間マークは暖かく見守るみたいなお兄さん的雰囲気を感じたけど、花村マークは大切な仲間の大事な門出を無邪気に喜ぶって雰囲気に見えた。

圧巻だったのは♪アメリカ♪のナンバーでロジャーとデュエットする場面。本当に自分がやりたいことに目覚めていく過程をすごく繊細に演じていたし、「撮りたいものを撮るんだ!!」と自分の中で覚悟が決まった後の歌いっぷりはものすごい情熱で溢れていました。あの感情の爆発みたいな歌いっぷりはホント流石でしたね。攻めたマークって感じでとても斬新。

明るく弾けた花村マーク、そのふとした隙間に孤独の影を感じさせるお芝居がすごく良かったです。あ、でも、ラストシーンの時のカメラワークはちょっと微妙w。数人ちゃんと撮影できてなかったけどw、でもまたそれも可愛らしいので許せちゃうな。

ロジャー:甲斐翔真くん<マチネ>/古屋敬多くん(lead)<ソワレ>

甲斐くんのロジャーも2020年公演ぶり。あの時初めて彼のことを知ったんですけど、ロジャーとしてはちょっと物足りなくて次に期待かなと思いながら見ていました。それから約2年半が経ったわけですが…もう、信じられないくらいの劇的な進化を遂げていて本当にびっくりしたし感激しすぎて涙が止まりませんでした(泣)。RENTのあとも色々な舞台にチャレンジし続けて…私も何本か甲斐くんのお芝居を見てきましたが、見に行くたびにどんどん歌や表現力がアップしていくのを感じてすごい好印象を持っていたんですよね。
そこを経てのロジャー役としてのカムバック。2020年版の時とは別人のような繊細で愛情に飢えた哀しい甲斐ロジャーの姿がそこにはありました。もうそれだけで感無量と言うか…めちゃめちゃ努力重ねたんだろうなって思えて泣きまくってしまった。

♪One Song Glory♪の場面、甲斐ロジャーは迫りくる死の影に怯えていて自分が生きた証をなんとしても残さなければという焦りの色がすごく濃く感じられました。かつての恋人を失ってから彼の中での生きていくための糧みたいなものが失われてしまったんだろうなと…。曲を作りたくても作れない自分に苛立ち、でも焦りの気持ちは消えなくて、みたいな複雑な感情をとても繊細に表現しててあの姿見ただけで涙が出てきました。

ミミが突然「ろうそくに火をつけて」とやってくる場面では、彼女のことをウザがってはいるんだけど蝋がたれて熱いと彼女が歌ったときにはそっとその手を包み込んであげるような優しさも。これがもう本当に温かい雰囲気でねぇ。甲斐ロジャーは本当はすごく優しくて愛に飢えてるんだなというのが伝わってきた。「縛られてたよね」とおどけて見せる時の笑顔もほんと可愛らしくて(手をクイックイッてしてたの超萌w)最高だったなぁ。

そしてなんといっても♪Another Day♪の場面。ミミの言葉に心を動かされるんだけど、それに必死に抗おうとして逃げている甲斐ロジャーの表情がもう切なくて切なくてたまらなかった(涙)。一瞬心を許して彼女のバックハグを受け入れようとするシーンがあるんだけど、その時見せた母性に包まれた安心感みたいな一瞬の表情がホント泣けました。彼は心底愛を欲しているんだなって…。でも、自分の命の期限を考えると彼女に身を委ねることができなくて涙ながらにその場から逃げてしまう。ロジャーの心の葛藤や苦しみがこれでもかと言うほど伝わってきて大号泣してしまいました(涙)。

ミミと恋人同士になれたあとはもう本当に嬉しそうで。彼の表情がものすごく柔らかいんですよね。2幕冒頭でイチャついてるときなんか甘えまくってて、それが愛しいのなんの。可愛くて仕方なかった。ミミのことを恋人としてすごく大切に思ってるのが伝わってきました。
でも、ベニーが現れてから彼女と彼の関係を疑うようになってしまい精神の均衡を失ってしまう甲斐ロジャー。信じたいけど信じられない苦しみが伝わってきて本当に切ない。さらにその不安定な気持ちのまま親友であるはずのマークの心を抉るようなことをぶつけてしまうわけで…。ミミの前から「もう耐えられない」と泣きながら走り去っていく時の甲斐ロジャーの苦しみを思うと見ているこちらも胸締め付けられるような気持ちにさせられて号泣です(涙)。

クライマックスでミミと再び対峙するシーンで甲斐ロジャーはありったけの愛を彼女に注いでいてもうそれだけで涙が止まらない。涙と、その後の笑顔と、もう全てが最高でした。あ、あと背がめちゃめちゃ大きいのでミミとのラブラブシーンでは身長差もめっちゃ萌えましたw。
よくぞここまで…と、なんか甲斐くん見てたら親みたいな心境になっちゃったなぁw。こうやって役者さんが進化していく姿を目の当たりにするのは観劇の喜びでもあります。そんな気持ちにさせてくれて、甲斐くん、本当にありがとう。

古屋くんは今回が初めまして。ダンスユニットLeadのアーティストさん。Leadという名前は聞いたことがあったのですが、パフォーマンスは見たことがないんですよね。これをきっかけにちょっとチェックしてみたくなったかも。
古屋くん自身はこれまでもいくつかミュージカル作品に出演したことがあるようですが、ご縁がなくてこのRENTが彼を観る初めてということになりました。

まず驚いたのが歌の上手さ!!めちゃめちゃ歌ウマで花村マークとのコンビも相性バッチリ。こんなに歌える人がミュージカル界に飛び込んできてくれるのはとても嬉しいです。ロック調の歌いっぷりがとにかくカッコよくて、作品に勢いを与えていたようにも感じました。ダンスも抜群で歌も歌えてって…最高じゃないですか。

古屋ロジャーは繊細なんだけどどこか尖った雰囲気のある感じ。引きこもりではあるんだけどギラリとした鋭さもあって、そのヒリつきっぷりが”ロジャー”っぽいなぁとすごく思いました。自分に残された命の期限を感じ、どこか諦めに似た想いを抱きつつも必死に抵抗してるって感じだったかなぁ。眼力がとても強いのも印象深かった。

ミミと出会ったばかりの時は甲斐くんのときとはちょっと違ってひたすら拒絶してる感じ。切羽詰まった自分の領域に彼女を入れたくないといった雰囲気があったように思えました。だけど、♪Another Days♪のシーンでは「言わなきゃ」と歌ったあたりから心に隙間ができて愛に頼りたいといった気持ちが漏れてくる。ミミのバックハグを受けた時にそこに委ねたいといった気持ちが一瞬生まれてしまった時の戸惑いの表情がとても切なくてよかったなぁ。
だけど基本的には拒絶して逃げ回ってる感じ。頼むから構ってくれるなといった尖った感情がすごく前面に出てるように思えたかも。

ミミと恋人同士になった後はめちゃめちゃ嬉しそうで可愛い。特に2幕冒頭でドアをこじ開けようとしてる時のシーン、まるで甘える猫みたいな表情してて思わず心の中で”可愛いっ!!”と叫んでしまったww。どちらかというと尖った印象のほうが強かったので、尚更そのギャップに萌えちゃった、みたいなw。

一番古屋ロジャーでグッと来たのがエンジェルとの別れをきっかけに心の均衡を失っていくシーン。ミミとベニーの関係を疑ってしまったことの苦しみ、ミミとの別れが迫っていると感じることへの恐怖、売り言葉に買い言葉でマークの心の奥底をえぐってしまった自分への嫌悪感、そういった負の感情に襲われた時の古屋ロジャーの苦しげな涙がとにかく悲しくて辛くてねぇ…。なんだか壊れてしまいそうな顔しながら走り去ってしまう後ろ姿が見ているこちらの心も抉ってきて涙が止まりませんでした。

少し荒削り的な雰囲気もありましたが、ロックでカッコいいロジャーだったと思います。今後のさらなる進化にも期待したいところ。

ミミ:八木アリサさん<マチネ>/遥海さん<ソワレ>

八木さんも2020年公演の時に観て以来になります。あの時はお芝居と歌の面でちょっと物足りなさを感じてしまったのですが、そこから約2年半を経てすごく進化していたように感じました。歌もあの時より上手くなっててとても良かった。

八木ミミは見た目がとにかく美しくてカッコいい。モデルさんがセクスィーな衣装で歌い踊ってるって感じでこれまでのミミの中ではかなり新しい感じ。♪Out Tonight♪は特に華やかで激しさの中にスマートさを感じる歌いっぷりが目を惹きました。ここの歌唱力も最初に見たときより随分とアップしててとても良かったです。

雰囲気としては終始暗い影を背負っている感じだったかな。華やかに歌い踊ったあとに自分の本音を歌い気分が沈んでしまうシーンの説得力がすごくあった。死の影を常に感じていて、今にもそちらの世界に引きずり込まれてしまいそうな雰囲気。
ロジャーを誘ったのは彼女自身が今の現状から逃げたい一心だったというのが大きかったのかもしれないとも。恐怖に怯え満たされない心を彼に救ってほしいと思ってたのかなぁなんて。

ロジャーと恋人同士になった後も八木ミミはどこか哀しみを抱いているような暗い影が差していたのがとても印象的でした。甲斐ロジャーがどんなにたくさん愛情を注いでいても、その時はやがて終わってしまうのではないかと思っている節があるのではと思ってしまうような感じ。
エンジェルとの別れのシーンではボロボロと涙を流していて、まるで自分自身の未来と重ね合わせているかのよう。ロジャーに別れを告げる時も涙が止まらなくて…ミミの身を切られるような孤独で哀しい気持ちが伝わってくるようでとても切なかったです。

それ故、ラストシーンは見ていてホッとしたなぁ。すごい救いがあるように見えました。

遥海さんは今回が初めまして。2020年公演の時にソワレで見る予定になっていたのですが突然の中止宣告で公演中止となり会えずじまいで終わってしまったんですよね。今回満を持してようやく会うことができました!!2年半前に観た人の評判がとても良かったので期待値高めで行ったのですが…想像以上に素晴らしかったです!!もう、理想の”ミミ”がそこにいた!という感じ。歌の安定度も抜群…というか、歌の表現力に厚みがあって聴いていて随所で胸を揺さぶられる。すごい女優さんに出会えたと感激しました。

遥海ミミはとにかく迫力がすごい!特に♪Out Tonight♪のシーンのパワフルさは半端なかったです。観ているこちらが一気に彼女の勢いに飲み込まれ惹き込まれていく感覚があった。歌の爆発力、パフォーマンスの多彩さ、全てにおいて完璧でびっくりしました。
その直後の孤独を歌う時の表情はとにかく痛々しい。ついさっきまであんなに華やかな爆発力があったのに、そこからの落差がすごいです。あの笑顔の裏にこんな寂しい哀しい顔が隠れているのかと思ったらもう切なくて思わず涙が溢れてきてしまいました。

そして♪Another Days♪がとにかく素晴らしかった。頑なに彼女を拒絶しようとするロジャーに対し、真っ直ぐな気持ちをそのままぶつけて必死に彼の心を奮い立たせようと訴える遥海ミミ。そのがむしゃらな一生懸命さと熱い想いに激しく心を揺さぶられた。
あの場面はいつもロジャー目線で見て涙することが多いんだけど、この時は遥海ミミの熱さに惹き込まれて思わず涙が溢れてきました。それだけ彼女の訴える言葉の厚みが素晴らしかったです。本当に感動的だった。

ロジャーと恋人同士になった後は心からの喜びにあふれていてとても微笑ましい。彼のことをすごく信頼してる気持ちが伝わってきた。2幕冒頭のイチャイチャシーンでの屈託のない笑顔は少女のよう。彼と気持ちが通じ合ったことで彼女の中の死への恐怖みたいなものも忘れられているんじゃないかなぁと思いました。

エンジェルとの別れのあとロジャーとの関係が壊れていくシーンは彼女の深い悲しみと痛みがこれでもかと言うほど襲ってくる。ソウルフルな歌声に滲む孤独感がもう切なくて切なくてたまらない…。♪Goodbye Love♪での遥海ミミは哀しみに押しつぶされて今にも消えてしまいそう。小さな彼女が更に小さく見えて、それが悲しくて悲しくて涙が止まらなかったな(泣)。

それでも遥海ミミは生きることを諦めている雰囲気がなかったんですよね。迫りくる死の影に必死に抵抗しようとしてるようにも見える。
クライマックスで一度力尽きそうになるんだけど、その後の展開がなんだかすごく腑に落ちたと言うか。「エンジェルに会った」と語るくだりの説得力がめちゃめちゃあって本当に心打たれました。素晴らしいミミをありがとう!

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エンジェル:百名ヒロキくん<マチネ>/RIOSKEくん<ソワレ>

百名くんは今公演が初めてのRENT参加でしたね。これまでいくつか彼の舞台を見てきたけど、ココ最近で一番印象に残っているのがミュージカル『北斗の拳』の少年トキ役。特に崖から落ちそうになったところを這い上がるシーンはすごい筋肉にビックリして圧倒されたものでした。それゆえ、あの男性的な筋肉ムキムキの役とは正反対のエンジェル役に彼が抜擢されたと知った時はビックリしましたw。
でも、もともと顔つきはとても可愛らしいしエンジェルにハマるんじゃないかと楽しみにしていました。

百名エンジェルは天真爛漫で子犬みたいな可愛さがあって見ていてとても癒やされました。コリンズと初めて会った時も何の壁もなく自然に彼に笑顔を向けてて、それが本当に屈託なくて愛らしいのです。あれはコリンズが思わず気を許してしまうのも納得。

♪Today 4 U♪のシーンは百名エンジェルの魅力が満載。彼はアクロバットが得意ですから体の動きがとにかくパワフルでカッコいい。ものすごく生き生きとしていて見ているこちらも楽しくなってしまう。歌唱力としてはすごく上手い…って感じではないんだけど、あれだけピュアでお茶目な姿を見たらどうしたって魅了されてしまう。

コリンズに対する愛情表現も本当にピュアでまっすぐ、温かさも伝わってくるのがとてもいい。全信頼をコリンズに寄せているのが伝わってきて♪I'll Cover You♪で二人が結ばれたシーンは思わず嬉しくて涙が溢れてきてしまいました。

圧巻だったのは♪Contact♪の最後の『生』の輝きを表現したダンス。ここの場面は日本人の私としては毎回ちょっと生々しすぎて引き気味になっちゃうんですけど(汗)、その中心でかすかに残った生命の火を燃やし尽くさんとする百名エンジェルのパフォーマンスに激しく心を揺さぶられました。
そして突然終わりの時が来て…。皆がエンジェルを語る中で静かにそっと去っていく姿がなんだか物悲しくてボロ泣きしちゃったよ・・・。最後に浮かび上がる冒頭のエンジェルの姿からはなんだか「もう少し皆と一緒にいたかった」といった声が聞こえてくるようでした(涙)。あ〜〜もう、ほんとエンジェルだったよ百名くん!

RIOSKEくんは本当だったら2年半前の公演で見るはずだったのですがコロナ中止で会えずじまいに終わってしまって。今回念願の初対面ということになりました。
いやぁ〜〜〜〜、なんっって美しいエンジェル!!!というのが第一印象。コリンズと初めてであったシーンからその美しさに目が離せなくなった。お母様がペルーの方ということで、お顔の彫りもくっきりしてるし、なんか全て整っている感じ。久しぶりに超美人さんなエンジェルに出会った気がします。

それから、歌がまた抜群に上手い!!噂には聴いていたけれど本当に美声でしかもセクスィー。聴いていて思わずうっとりしてしまうレベルです。しかも笑顔にはほっこりしてしまうような可愛さもあって本当に魅力的。大人の女性の艶っぽさと、ピュアな少年の無邪気さとが同居したキャラクターで魅了されっぱなしになってしまいました。

コリンズとラブラブになるナンバー♪Santa Fe♪と♪I'll Cover You♪は終始彼をリードしている感じ。グイグイ引っ張っていくっていうのではなくて、そっと寄り添っていきながらコリンズを導いていくっていうのかな。その優しさと柔らかさがとても素敵で、これは愛されるのも納得と腑に落ちまくり。

一番泣いたのはコリンズがエンジェルに捧げる♪I'll Cover You <リプライズ>♪を歌っている時の去り際のお芝居。そのちょっと前に仲間たちがエンジェルへの愛を語るんですが、マークが「彼は…」と語ろうとした時にちょっと後ろを振り返るんですよね。そのあと彼が「彼女は」と言い直した時にまた前を向いて天国への道に去っていく。ここは百名くんの時も同じなんですけど、マークが「彼女」と言い直した時の柔らかいふっとした小さな微笑みがあまりにも美しく悲しすぎてボロボロ涙が出てしまった(泣)。あんな哀しい笑顔、寂しすぎる!!
そして最後に浮かび上がってきた姿も…どこかホッとしたようなうっすらとした柔らかい笑みを称えてるように見えたんですよね。あぁ、エンジェルは本当に「天使」になってしまったんだなってすごい実感してしまって涙が止まらなかったです。

最初から最後まで本当に美しく魅力的なエンジェルでした。

コリンズ:加藤潤一くん<マチネ>/SUNHEEくん<ソワレ>

加藤くんのコリンズは2012年公演から数えて4回目になるのかな。一番最初に見た時はホンワカした優しそうなお兄さん的な印象にちょっと戸惑いもあったのですが、今ではもう”ゴリくんといえばコリンズ!!”と結びついてしまうほど馴染みの役となりました。

加藤コリンズはおおらかで懐が深くとにかく優しいところが本当に魅力的。最初エンジェルに出会った時はちょっと警戒心を見せるんだけど、自分を慕ってくる姿を見て「彼は信用できる人物だ」と受け入れるんですよね。
エンジェルと恋仲になっていくことには途中までちょっと戸惑いもあるんだけど、ひたむきにまっすぐ自分への愛情を注いでくれる姿にいつしかコリンズも心を許していくわけで。ここの過程のお芝居が加藤くん、めちゃめちゃ温かくて泣けるんです。エンジェルだけでなくマークやロジャー、ミミやジョアンヌたちへの友情も素敵。ベニーに対しても皮肉は言いつつもかつての仲間として邪険にできない、みたいな気持ちが垣間見えるのが良い。

そしてなんと言っても感動的なのがエンジェルとの別れを歌う♪I'll Cover You <リプライズ>♪のシーン。歌い出す前に数秒の静寂があってそこで必死に自分の気持ちを立て直してる感じからしてもう泣けて仕方ない…。歌詞の一言一言にありったけのエンジェルへの愛情がこれでもかと言うほど詰まっていて、ラストの歌い上げのところはもう全魂を放出するかのような絶唱!!もう思い出すだけでも涙が出てきますよ(泣)。神様はなぜこんな残酷な引き離し方をしたんだろうと思ってしまうほど…。心が震えまくって大号泣してしまいました(涙)。

SUNHEEくんは2020年公演の時にベニー役として出演予定だったのがコロナ禍の煽りを受けて韓国からの来日が叶わなかったんですよね。あの時は本当に無念だったと思います。そこを経て今回はベニーではなくコリンズとしてのキャスティング。ベニーを演じるSUNHEEくんも見てみたかったけど、コリンズ役も本当に素晴らしかったです。

主な活動は歌手としての音楽活動をしているということもあって歌が本当に上手い!ちょっと深みのあるパワフルで甘い歌声がとても魅力的でした。SUNHEEくんの演じるコリンズはどちらかと言うとちょっとワイルド系。大人だけどちょっとヤンチャな雰囲気もある可愛さみたいなのも感じたかも。RIOSKEくんエンジェルがそんな彼を包み込むような優しさで接していたので、ラブラブになった時はものすごいお似合いのカップルだなと思いました。

エンジェルの命の火がどんどん小さくなっていく場面、SUNHEEくんコリンズが必死に掻き抱くようにしてエンジェルのことを抱きしめていたのがものすごく泣けた…!!表情も今にも泣きそうなんだけど必死に堪えてて…。でも「行かないでくれ!」っていう心の声が見ているこちらにも伝わってきて、あの姿見たらもう涙が止まりませんでした。

おおらかで大胆、でもすごく繊細といった新たなコリンズだったと思います。

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モーリーン:佐竹莉奈さん<マチネ>/鈴木瑛美子さん<ソワレ>

佐竹莉奈さん、という名前を聞いて最初は「新人さんかな?」なんて思ったのですが…調べてみたら、フランク 莉奈さんだった!!確か数年前は”莉奈”っていう名前だけの表記だったと思うのですが、色々と試行錯誤して今の名前に改名されてたんですね。

莉奈さんのモーリーンも2020年公演の時に見る予定だったのですが、コロナ禍でそれが叶わず。今回やっと会うことができました。
いやぁ〜〜、なんって可憐で可愛らしいモーリーン!!スラリとした美人さんでどこか少し幼さも見え隠れするような雰囲気はこれまであまりお目にかかったことがないタイプ。ものすごく新鮮でした。そんな清楚な姿から繰り出されるぶっ飛び発言の数々が最高。見た目と言動のギャップがすごい(笑)。

一番の見せ場はやはり♪Over The Moon♪のパフォーマンス。コケティッシュな可愛さが満載でところどころクスリと思わず笑ってしまうような仕草もあったりしてめっちゃ楽しめました。美しい歌声とパフォーマンスのギャップがとにかくすごい(笑)。特に笑ったのが、追い詰められてるってことを表現する時に突然飛び出したロングトーンの迫力の歌声!客席からは大きな拍手が沸き起こってて、それに気を良くしてか2回めもやっちゃってましたww。それからミルクを飲む仕草をした後のロングトーンの美声もすごかった。
莉奈さんモーリーンのパフォーマンスは全体的にすごい”ミュージカル”的で斬新で面白かったです。

エンジェルとの別れのシーンの時はボロボロと泣いていて、その姿にこちらもつられて涙してしまったほど。感受性が豊かで愛した人にはまっすぐに愛情を注いでいく子だなぁと言った印象。すごく優しさに溢れてるんですよね。それがなんだかとても清々しくて見ていて感情移入しやすかったです。

鈴木瑛美子さんは2020年の時以来。あの時もすごいパワフルなモーリーンだなと思ったけれど、2年半を経た今回はまたさらに力強さが充填されたような圧倒的な存在感がありました。

鈴木モーリーンはスパーンと竹を割ったようなサッパリとしたカッコいいキャラクター。とにかくパワーがあってどこか男前的な逞しさもあるのがとても魅力的。ジョアンヌに対して莉奈さんのモーリーンはすごく女性的だったけど、瑛美子さんはグイグイ引っ張っていく男性的な雰囲気が強いなと思いました。また、太陽のような明るい笑顔がとっても素敵です。

そして♪Over the Moon♪のパフォーマンスですが…いやぁ、すごかった!!あれぞまさにオンステージって感じ。2年半前と違って客席からは声が出せる環境にあり(マスクはしてますが)所々で大きな笑い声の反応があって。それもあってかどんどん瑛美子さんにエンジンがかかりだしてフルスロットルでのリアクションが次々と繰り出されていくw。特にベニーを皮肉るところなんか、壊れたロボットみたいな言い方しててめっちゃ笑ったww。途中で脇にいたジョアンヌ役の塚本さんがちょいちょい上手側に立ってる吉田くんベニーに視線送りまくってたりして、途中で歌うの忘れてしまうレベルだった(笑)。
客席への「Moooo」の煽りっぷりもすごい迫力でしたねぇ。2年半前にできなかった鬱憤を晴らすかのような勢いで、客席も彼女の勢いに押されて争うようにムームー叫んでましたw。

まぁ、ちょっとやりすぎちゃってたかな・・・みたいなことは感じましたけど(結構時間伸びてた気がするしw)、圧巻のステージだったのでそれはそれで良いかなともw。

ジョアンヌ:塚本直さん

長らくジョアンヌを演じていた宮本さんが抜けられて新たに塚本さんがキャスティングされました。

一番驚いたのはどんなにすごい早口の歌でも最初から最後まで歌詞がしっかりと客席まで届いていたことです。宮本さんもすごかったけど、塚本さんはどちらかと言うとすこし抑え気味のスピードで歌ってて、言葉の一つ一つをものすごく大切に歌っているのが伝わってきました。

ちょっとツンな性格が前面に出ていた宮本さんに対し、塚本さんはそれよりもちょっとマイルドな感じだったかな。少し柔らかさもあって、強がってるんだけど時には弱さもチラホラ見せてきてすごく可愛らしい。自由奔放なモーリーンに翻弄されるシーンでは、許せないんだけど好きの気持ちも強くてどちらに想いを向ければわからない、みたいな複雑な心境を巧みに演じていてすごい感情移入してしまいました。

モーリーンが惚れるのも納得の新しいジョアンヌ。次の公演でもぜひ会いたいです。

ベニー:吉田広大くん

吉田くんは2020年公演の時にベニー役で観ることができました。あの時は違う役を演じる予定もあって、あと少しってところで中止になってしまったんですよね。今回はじっくりとベニー役を演じることができて本当に良かったなと思います。

今回吉田ベニーを見て、前回以上に感情移入してしまったかもしれません。ベニーってこの作品の中ではヒール的な立ち位置にいるんだけど、吉田くんの演じるキャラを見ているととても悪い奴とは思えないんですよね。たしかにお金持ちのお嬢様と結婚してかつての仲間たちの一歩先を行く優越感みたいなものがあったということは拭えないんだけど、挑発しながらもどこか寂しそうなんですよ。そこがなんだかたまらなく愛しくてねぇ…。

エンジェルと初めて出会ったシーンの時も嫌味を言いつつ、かつてのルームメイトたちが楽しそうにしているのを羨ましいと思っている節があるように見える。
ロジャーたちに冷たい言葉をぶつけられた時も、自分だけその輪に入れないことへの苛立ちで対抗しているように思えてきちゃって…。エンジェルから「家族亡くしたばかりなのよ」と気遣われた時の笑顔は本心からくるものだったんじゃないかなって感じたし、そう思ったらなんかさらに切なくなってしまった。

ベニーはその後ロジャーと恋人同士になったミミに横恋慕するような場面もあるのですが、あれももしかしたらかつての仲間から冷たく接せられたことへの腹いせでもあったのかなぁ…とも。2幕冒頭の正月事件の時もミミに執着しているようで、実はマークたちともう一度友達に戻りたいという気持ちも垣間見える気がするんですよね。強気でいてもふと表情にさみしげな影が差す瞬間があって…それが本当に切ないし愛しい。
ミミにちょっかい出そうとするようなシーンでも、ロジャーに突き放された彼女のために動いているようにも見えて実は愛情深いキャラなんじゃないかな、なんて。

もしかしたら、お金持ちの娘さんと結婚したけれども実はその生活に馴染めなくて後悔してる気持ちもあったんじゃないかな。マークたちと暮らしていた日々が彼にとって実は大切な時間で、本当はその絆を取り戻そうとしてるのかもしれない。まぁ、これは私の勝手な解釈ですけど…、そんなふうに思わせてくれる吉田くんのベニーは本当にめちゃめちゃ愛しかったです。

後述

カーテンコールのあとにバンドメンバーさんによる最後の演奏があるのですが、マチネもソワレもすごい迫力でビックリしました。特にギターのお兄さんとドラムのお兄さんがめちゃめちゃ激アツで、まるでライブコンサートに来たかのような感覚になってしまった。最後まで本当に熱量の高い公演だったと思います。

今回見て改めて、この作品は”愛”と”生”の物語だなぁと実感しました。人と人との関係が希薄になったここ数年、戦争など世界情勢も不穏なことが続いています。そんな時代だからこそ、「RENT」の物語はどうしようもなく胸に沁みてくる。

大阪公演は日程の都合で見に行くことができないので(本当はめっちゃ行きたいけど!)東京遠征でのマチソワ観劇となりましたが、本当に素晴らしい舞台でした。ありったけの魂の物語を舞台の上から私達に伝えてくれたカンパニーの皆さんに心からの拍手を。今度こそ最後の公演まで無事に完走できるよう祈っています。

これからもずっと上演してほしい「RENT」。また数年後に再び会えますように!!

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