ミュージカル『ジャージーボーイズ 』大阪公演 2018.10.26~27

ミュージカル『ジャージーボーイズ』を観に大阪の新歌舞伎座まで遠征してきました!

2年前に初演されたときには東京オンリーの公演でしたが、今回は全国数カ所をツアーで回るということで、大阪でついにお披露目される時が来ました。
私は東京まで遠征して初演版を見ているのですが、あの時、”関西のお客さんにも受け入れられそうな演目だよなぁ”ってすごく思うところがあったので、今回満を持して上陸してくれたことはとても嬉しかったです

チケットの売れ行きも良くて、始めの前売り分は希望日全て撃沈…。今年5月にJBコンサート行ったときに「何としてもまた見たい!」という気持ちを強く持ったのでかなり焦ったのですが(汗)、なんとかその後の前売りチャンスを生かしてゲットすることができました。

実は、最初は予定や金銭的なことを考えてブルーチームは今回は諦めかなぁとずっと燻った想いを抱えてましてw(ホワイトだけ確保できてました)。チケット発売日がきた後もジリジリと我慢していたのですが…、ふと、ブルーチーム公演の1階席がチラッと空いているのを目にしてしまい…耐えきれず気が付いたら購入ボタンを押してました

あーーー、やっちまったぁーーー・・・・

と、あの時は思いましたがw、観終わった今は・・・

あーーーー、ブルーチームも観れて良かったーーー!!

な心境であります(笑)。同じ演目でも演じる人が違うとこうも印象が変わるんだなぁというのを実感することができました。

劇場は大入り満員だったようで、2日間とも真っ赤な「満員御礼・全席売切」の札が。

新歌舞伎座は「1789」で初めて観劇した劇場でしたが、本当に客席と舞台との距離が近くて見やすいのが魅力です。1階席の最後列からでもオペラグラスなしで表情を確認することができるので、ライブ感あふれるこの作品にはピッタリの場所だったなと思いました。

 

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

 

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2018.10.26~27ソワレ公演 in 新歌舞伎座(大阪上本町)

キャスト

2018.10.26ソワレ チームWhite

  • フランキー:中川晃教
  • トミー:中河内雅貴
  • ボブ:海宝直人
  • ニック:福井晶一

 

2018.10.27ソワレ チームBlue

  • フランキー:中川晃教
  • トミー:伊礼彼方
  • ボブ:矢崎広
  • ニック:Spi

 

アンサンブル

太田基裕・阿部裕・畠中洋

綿引さやか・小此木まり・まりゑ・遠藤瑠美子

大音智海・白石拓也・山野靖博・石川新太

 

あらすじと概要

1960年代に活躍したロックボーカルグループ『フォー・シーズンズ』。今でも耳馴染の多い楽曲を次々にヒットさせた彼らの青春を、成功と挫折のエピソードをうまく織り込んで描いたのがこの作品です。
タイトルの「ジャージーボーイズ」というのは、彼らの出身がアメリカのニュージャージー州だったということに由来。劇中でもよく”ジャージーっ子は”というフレーズが登場してきます。

フォーシーズンズが絶頂期の時でも、当時の雑誌はあまり彼らを大きく取り上げていなかったようでグループについては謎の部分が多かったそうです。それを、ミュージカル化の話が出た時に関係者に取材をして物語にしたのが『ジャージーボーイズ』なのだとか。
つまり、ミュージカル作品になって初めて彼らの実情が明らかになったということらしい。そういう経緯もなかなか興味深いですね。

2014年にはクリント・イーストウッド監督によってこの舞台が映画化されています。

あらすじは以下の通りです。

ニュージャージー州の貧しい片田舎。

”天使の歌声”を持つフランキーは、成功を夢見る兄貴分のトミーとニックのバンドグループに迎え入れられる。鳴かず飛ばずの日々が続く中、作曲の才能溢れるボブが加入。

過酷な下積み生活を経て、ついにボブの楽曲と4人のハーモニーが認められる。
彼らは「ザ・フォー・シーズンズ」としてレコード会社と契約し、《Sherry》をはじめとする全米ナンバー1の楽曲を次々に生み出していく。

しかし輝かしい活躍の裏では、莫大な借金やグループ内での確執、家族の不仲など、さまざまな問題が彼らを蝕んでいた。

それらはやがて大きな軋轢となり、グループを引き裂いていく。

成功と挫折、その先で彼らが見たものとは―。

公式HPより抜粋

 

この作品は、出来事の移り変わりを”4つの四季”に構成して描いています。

「春」を語るのは、街灯の下で兄と友人のニックと共に成功を夢見て歌っていたトミー
彼は破天荒な性格で問題ばかり起していましたが、貪欲に歌手としての成功を夢見ていて、やがて運命のリードボーカリストとなるフランキーを引き寄せることになります。トミーがいなければ、フランキーの存在はあり得なかったと言っても過言ではない。
結成の一番最初の導入部をトミーに語らせているのが面白いところです。

「夏」を語るのは、最後にグループに加入したボブ
トミーは最初はボブに不快感を抱いてしまったがためにグループに入れることを反対しますが、フランキーやニックが絶賛したために渋々折れることになる。ボブの登場で、それまで燻っていた彼らの活動が一気に花開いていく様が実に痛快です。
”フォーシーズンズ”が大衆に受け入れられ栄光の時を迎えた時代は、そのきっかけを与えることになったボブが語っているのです。

「秋」を語るのは、グループの中では比較的控えめな存在だったニック
彼は流されやすい性格でこれまであまり自分の意見を通そうとしてきませんでした。が、トミーの不祥事が明るみになり、グループ内の関係に影が差し始めたところで初めて自分の思いの丈をメンバーにぶつける。栄光の道を辿っていたはずの”フォーシーズンズ”が下り坂を歩み始めたところをニックが語るところが実に印象的です。
トミーは大借金を抱えたことでグループに居られなくなり、そしてニックはボブの決定的な一言が引き金になって完全にグループから身を引くことになってしまうのです。

最後の「冬」を語るのが、”フォーシーズンズ”のカリスマ的存在でもあったフランキー
ボブもプロデュース業へと専念することになり、フランキーはたった一人の生き残りとなってしまう。しかし、ボブの後押しもあってフランキーは新たなグループを結成して歌い続けます。そのことがやがて最大のヒット曲を生み出すことへと繋がっていく。グループの解散という辛い時期を乗り越え花開いていくフランキーの成功物語がとてもドラマチックに描かれています。
しかし、フランキーは自らの成功の喜びと同時に家族を失うという悲劇に見舞われてしまう。華やかな成功の裏で起こった彼の悲劇…その落差が切ない。

4人が一緒のステージに立ってから20年以上の時が過ぎた頃、ロックの殿堂で歌うために再びオリジナルの”フォーシーズンズ”が再結成される。久しぶりに4人顔を合わせた彼らは穏やかな時間を共有する。そして、一人一人、これまでの歩みを振り返りつつ語りながらステージを後にしていく。
ラストシーンは、”フォーシーズンズ”として一番華やかだった時代に戻り、キラキラと輝いていた彼らが戻ってくるのです。

 

東京初演感想は別ブログで書いてあるので興味がありましたら是非。

2018年に行われたコンサートも行ってます。興味がありましたらこちらのレポもぜひw。

 

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全体感想

2年ぶりの上演でしたが、やはり疾走感あふれた非常に面白い作品だなと思いました。

セットも前回公演とほとんど変わらず。

ステージの両脇には積み重なったブラウン管が配置されていて、実際のカメラマンが撮影している映像がそのまま流れたり、ストーリーの補足になるような映像が流れたりする仕組みになってます。この映像の使い方が実に巧みで面白かった。
特に、フォーシーズンズのテレビ映像場面を実際にカメラマンが撮影したリアルな映像として流すというアイディアが楽しい。観ているこちらは、実際に彼らの生ライブを楽しんでいるような気持ちにさせられます。

ちなみに、カーテンコール後の音楽が流れる時もカメラマンさんが登場して、舞台上手側上部で演奏しているミュージシャンのメンバーさんを一人一人アップにして映し出してくれるんですよね。皆さんの生き生きと楽しそうに演奏してる表情が客席に映し出される光景がなかなかに感動的でした。

盆を使った演出も印象的です。
盆の一番奥にフォーシーズンズがいる時はバックステージ的な雰囲気を醸し出していて、それが回って客席の方に彼らが近づいてくると本番のライブの雰囲気がそのまま伝わってくる。
また、客席に背を向けて歌い始めて(この時彼らはテレビカメラに向けて歌ってます)、徐々に一人ずつ前を向いてパーっと前面に光が当たる演出も彼らの成功を印象付ける華やかさがあってワクワクさせられました。これが確か、1幕ラストの『Dawn』だったかな。彼らの成功の集大成って雰囲気が感じられて感動的でした。

さらに驚くのが、3階席と同じ目線まで行くくらいの大階段セットです。
一番上の部分に彼らの楽屋があって、たぶん最前列付近にいたら首が痛くなるんじゃないかってくらいの高さ(笑)。あそこまで登っていくのも恐そうだし、てっぺんの楽屋で芝居をするのもけっこうな勇気がいったんじゃないでしょうか。そこをいとも簡単に上り下りしてたボーイズの皆さんはほんとプロだなって思いながら見てました。

この大階段セットが一番生きてくるのがラストシーンです。

解散から20年以上の時を経て再会した4人。年齢を重ねて白髪も増えたり髭も生えたりしてみんなどこか落ち着いてる。破天荒な行動が行き過ぎて借金を重ね解散のキッカケになったトミー、自分はメンバーの中で必要とされない人間なのだと感じて去ったニック、そして二人が去った今でも歌い続けるフランキーと彼を裏方として支えるボブ
それぞれ違う道を歩みながらも再びメンバーとして集まった彼らの間には、全盛期だった頃のギラギラしたものは薄れたように見えます。でも、まだみんなどこかお互いになんとなく違和感みたいなものは感じているようで…すべてを受け入れられているわけではないんだなって思えてしまうところがなんだか切なかった。

そのちょっとの違和感みたいなものは、てっぺんの楽屋から階段を下りていくときに一人一人が心の内を客席に打ち明けていくことで浄化されていくようにも見えました。
年老いた姿から、フォーシーズンズが一番輝いていた時代の若い彼らに戻っていく(白髪やヒゲを自ら剥がしていく)演出も非常に印象的でしたね。本来の自分をそれぞれがさらけ出し告白しながら舞台袖へと帰っていく。きっと、そうすることで彼らはリセットしてもう一度結成して輝いていたあの頃の自分たちへと戻れたんじゃないかな。

最後の告白をするのがフランキー。
彼はトミーに見い出されてグループの一員になり、栄光と挫折を経験してきました。フランキーの最後の独白を聞いて感じたのは、彼は誰よりも”フォーシーズンズ”というグループを愛していたんだなということ。それを守るために、家族も犠牲にしたし、トミーが抱えた莫大な借金もグループで請け負うという決断を下してきましが、彼が守ろうとすればするほど、フォーシーズンズは徐々にバランスを失いついには崩壊してしまった。
それでもフランキーは様々な形で歌い続け、遂には『君の瞳に恋してる』で大輪の花を咲かせることに繋がっていきます。でも、ソロで成功しながらもきっと心の中にはいつもオリジナルの”フォーシーズンズ”のことが離れなかったのではないかと思いました。

フランキーの想いがメンバーひとりひとりにちゃんと届いたような演出になっているラストシーンは、涙なくしては見れません。酸いも甘いも分け合ってきたメンバーが、何のわだかまりもなく肩を抱き合って笑いながら歌う『Who Loves You(愛はまぼろし)』は最高に心を揺さぶられます。
きっとフランキーは、いつまでもオリジナルメンバーとこうして一緒に歌いたかったんだろうなって思うと泣けて仕方なかったです

私はこのミュージカルに出会うまで「フォー・シーズンズ」というグループの存在をほとんど知りませんでしたが、聴いたことのある曲が多くてスッと心の中に入ってくるのが非常に心地良かったです。
どれも聴き馴染のある名曲ばかりですが、その背景にあるドラマがこのミュージカルの中で濃く描かれているので、当時の彼らの心境と併せながら聴くとさらに沁みるんですよね。明るくポップな曲を歌いながら、実はその裏で色々な事件が起こっていたり…関係に亀裂が生じたりしていたんだなと思うと心がヒリヒリすることも。

そんな中で一番興味深いエピソードなのが、フランキー最大のソロヒット曲『君の瞳に恋してる』誕生秘話。
世に出るまでの出来事がテンポ良く描かれているのですが、最初に観た時は「え!?そうだったの??」って驚きました。この曲のヒットの大きな功績は二人のボブによる売り込み作戦。彼らがいなければ、きっとあの名曲は誕生しなかっただろうなと思うと・・・世の中本当に何が起こるか分からないものだなぁと感じずにはいられませんでした。

オリジナルのフォーシーズンズのメンバーひとりひとりも非常に個性豊かに描かれています。
それぞれに感情移入してしまうのですが、個人的に一番心を寄せたのはニックだったかな。何だか一番自分に近い気がしたので…。それだけに、最後のフランキーの独白はものすごく泣けましたでも、彼は自分でその人生を選んだんだから…きっと幸せだったと信じたいです。
破天荒な行動でみんなを翻弄していくトミーもいつの間にか感情移入してしまうんですよね。彼は自分が仲間を集めて”フォーシーズンズ”を結成させたという絶対のプライドを持っている。でも、フランキーやボブの才能に自分が叶わないことも悟ってしまっていて、最終的にグループを崩壊させるきっかけを作ってしまう。そのジワジワと追い詰められていく心境みたいな部分にはやはり同情してしまいます。
ボブは、一番クールな立場を貫いてたキャラ。彼はグループよりもフランキーの才能に惚れ込んでしまってたんですよね。そのことも”フォーシーズンズ”を解散に導くきっかけになってしまったりして。それだけに感情移入はあまりできなかったかな(笑)。

全く個性の違う4人が集まって、最高の作品を次々に生み出した”フォー・シーズンズ”。色々あったけど、やはり出会うべくして出会った4人なんだなと最後は自分の中で納得してしまった。きっと彼らでなければ名曲の数々は生まれなかったと思います。

 

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主なキャスト別感想

中川晃教くん(フランキー役)

今回も主役のフランキーを一人でやりきったアッキーはやはり只者ではない!!っていうか、この役はおそらく彼にしかできないと思います。
「天使の歌声」とも評されたフランキーの歌声を見事に情感豊かに再現。独特のあの歌唱法をマスターしているうえに、聴く方に何のストレスも与えないことが本当に凄い。しかも、青チームと白チーム両方で演じてますからなおさらです。
2日目の青チームの時、アンサンブルの大音智海くんがセリフを噛んでしまった一幕があったんですが、すかさずそこをイジって「もう一度言ってみようか!?」とけしかける余裕もあったアッキーw。瞬時のアドリブも万全で…いったいどこからその余裕は出てくるんだろうとビックリさせられっぱなしでした。

歌だけでなく、芝居の面でも”少年”から”大人の男”へ変化していく様が見事に表現されてました。
最初の頃はトミーにバカにされてしまうようなお子様的雰囲気を出していたのが、ボブと出会って音楽の才能を大きく花開かせた後あたりからはリーダーシップをとるような貫録さえ身についている。それだけに、自分がリーダーだと常に自負していたトミーがフランキーに劣等感を覚えていく気持ちが浮き彫りになっていて分かりやすかった。
あと印象的だったのが、家族との場面。ステージに立っているときとは全く違ったフランキーの暗い一面を繊細に演じていました。表の顔と裏の顔を使い分けた演じっぷりは見事でしたね。

ただ一つだけ気になったのが、アッキーの歌い方に若干「溜め」が入っていたことかな。ソロだと気にならないんだけど、4人で歌うとコーラスの部分とアッキーの歌い方の部分とが微妙にズレているように感じてちょっと違和感があることもありました。
やはり長丁場、一筋縄ではいかない役を1人でこなしているので、さすがのアッキーにも疲労があるのかもしれない(汗)。何とか最後の凱旋公演まで乗り切ってほしいです。

 

中河内雅貴くん <White>・伊礼彼方くん <Blue>(トミー役)

中河内くんは初演に続いての続投。2年前に観た時はとにかく「スマートでカッコいいトミー」という印象が強かったんですが、今回はさらに「危険な男」という印象を強く感じさせられました。俺に触れたらヤケドしちゃうぜ!的な(笑)。フランキーもいつもちょっと中河内トミーにはビクビクしてるような感じでしたね。
スマートさはそのままですが、こいつに関わったら一緒に闇まで落ちてしまう的な雰囲気が強くて観ていて終始ハラハラさせられました。これまでちょっとクールな印象だった中河内くんでしたが、今回の役を見てまた新たな引き出しが増えたなぁと思った。
ただ、非常にスピード感のあるトミーでもあったので、セリフ回しがちょっと聴き取りづらいと感じてしまったのが残念。早口だとけっこう難しいところもあるよね。

伊礼くんは今回がJB初参加でしたが・・・予想した以上に「トミー」でした!こう感じられたので、青チーム観劇できて本当によかったと思えたんですよね。伊礼くんのトミーは見る価値がありました!!
雰囲気は中河内くんとはかなり違ってて…、どちらかというとドッシリ落ち着いて構えてる感じのトミーという印象。初演の時の藤岡トミーとも違う新しいイメージだなと思いました。行動は破天荒なんだけどそれをあまり前面に出し過ぎていないし、それどころか時折柔らかい優しさすら感じさせました。でも、自分が常にリーダーだというプライドだけはブレてなくてメンバーたちに有無を言わせないような静かな迫力があったりする。なかなかに面白いトミーでした。
個人的には、軽口を叩いてメンバーを翻弄していく伊礼くんのトミーが好きでした。実に自然でいい感じに力が抜けてて、茶目っ気もあって破天荒だけど憎めない…まるで本物のトミーが目の前にいるような感覚にさせられました。これは伊礼くんの大きな代表作になったんじゃないかな。

 

海宝直人くん <White>・矢崎広くん <Blue>(ボブ役)

海宝くんも初演からの続投組。先日『グレイテストミュージカルコンサート』でビックリするくらいの歌の存在感を見せつけられたわけですが、ボブはクールで知的なキャラなので役としてはちょっと抑えめ。
でも、登場してきた瞬間にパーッと華やかで爽やかな風が吹き抜けるような感覚にさせてくれるのはさすがです。彼なら燻ってるグループに何か新しい何かをもたらしてくれるかもしれない…といった希望を抱かせてくれる。それくらい確かな存在感を感じさせられました。『Cry for Me』のナンバーはやはり何度聞いても絶品!!初演と同じく胸熱くなりました。
ボブはフランキーの才能を第一に考えるというキャラですが、海宝くんの演じたボブはそれと同時にどこかグループに馴染んじゃってるなと思わせるような雰囲気だったのが印象的。最終的にはフランキーのプロデュースに専念することを選択しますが、最後の独白で「僕はステージの上で演じることが苦手だった」と語る時にグループへの未練みたいなものが見え隠れしているようにも感じられたんですよね。

同じく初演からの続投組だった矢崎くん。初演ではどちらかというとちょっと影が薄いイメージがあったのですが、今回はボブとしてしっかりとした個性を前面に出してきて素晴らしかったです!それに、歌がかなり進化してた!!コンサートで聴いたときにもそれは感じましたが、ストーリーの中ではさらにしっかりとした歌声になってて感動しました。
矢崎君が演じたボブは海宝くんよりもさらにクールで物事を冷静に捉えているなという印象がありました。特にフォーシーズンズに対する想いは他のメンバーとは違うんだなというのを最後まで感じさせたのが印象的。矢崎ボブは始めからグループの活動よりもフランキーの歌声に魅せられていて、解散する時にも一番何の未練も感じていないように見えたんですよね。そこの部分は初志貫徹してブレていなかったので、非常に分かりやすいキャラになっていたと思います。

 

福井晶一さん <White>・Spiくん <Blue>(ニック役)

初演からの続投となった福井さんのニック。メンバーの中では一番目立たない存在ではあるのですが、福井ニックは寡黙ではありながらもたまに主張するときには自我が出てしまうような、ちょっと棘を感じさせるワイルドさが魅力。前回よりも中河内トミーに影響された感じで時折危険な香りを出してくるのが印象的でしたね。
あまり自分を前に出さずその場の雰囲気に任せてメンバーに存在していたニックが、トミーの行動に我慢の限界を迎えて思いの丈を叫ぶシーンは迫力があります。そこで全てをさらけ出したことで、ニックの中のつっかえ棒みたいなものが外れたのを感じました。そんな時に、ボブのあのセリフが飛び込んでくるわけで…「家に帰る」と告げて突然グループを抜けてしまう気持ちがすごく痛々しくリアルに伝わってきました。やっと楽になれるね…とも思えたし、悔しさもあっただろうね…とも思えたし、去っていく福井ニックの背中には色んな感情が沸き起こりました

SpiくんはJB初参戦。コンサートで初めてSpiくんのニックを聴いたときに「これはかなりいい感じ!」と思えたので本舞台で見るのを楽しみにしていました。
Spiニックは福井ニックと比べると若くてちょっとどこか頼りない印象もあったのですが、それ故に流されやすい性格でいつもメンバーに合わせてきたというキャラがすごくハマっているように見えました。それに、伊礼くんと同じくハーフの役者さんということもあって…なんかすごく雰囲気がリアルだった!
どちらかというと穏やかでメンバーの中では癒し系的な存在感すらあったSpiくんニック。そんな彼がトミーへのたまりにたまった感情をぶつけるシーンはちょっと物悲しく見えました。いつもメンバーに馴染んでいたように見えていた彼にも、誰にも言えない忸怩たる思いがあったんだなって思えて切なかったんですよね。
そして、ボブの言葉にハッとさせられる場面。福井ニックよりもSpiニックのほうが「裏切られちゃった感」が強くて胸が痛かったです。繊細でどこか穏やかさを持ち合わせていたSpiくんニックはなんだかとても愛しい存在でした。

 

アンサンブルの皆さんも様々な場面で違う役柄として登場してきますが、どれもすごく個性的で面白かったです。

太田もっくんのボブ・クルーは前回以上にテンションMAXで非常に魅力的!思えばJB初演で初めて持っくんのことを知ったんだよなぁ。それくらいインパクト強いんですよ、彼のクルーは。ちょっとおねぇキャラも取り入れた変わり者のゲイのキャラを今回も茶目っ気たっぷりに演じていました。

畠中さんは今回が初参加ですが、トミーの兄貴の役がけっこうツボ!二人並んだ時の身長差が凸凹コンビを演出していて面白かった。かと思えば、取り立て屋のワックスマンは静かな凄みを感じさせるキャラでドキドキさせられました。基本は穏やかなんだけど(彼はフォーシーズンズの歌が好きだったので)、一歩間違えたらグサリとヤってしまうような危険な香りがプンプン漂ってた。こういう微妙なラインの芝居はさすが畠中さん、上手いなぁと思いましたね。
アンサンブルという立ち位置なのでソロの歌声がなかったのが残念でしたが、要所要所でしっかりとした存在感を放っていて素晴らしかったです。

阿部さんは初演からの続投ですが、何といってもマフィアのデカルロのどっしりとした存在感が素晴らしい!この人を味方につければ恐いものは無いな!と思える説得力が今回もすごかったです。
それに対して、ラジオ局のDJのお茶目っぷりが可愛いのなんの!!「この曲だ~~い好き!もう一回かけちゃおう♪」っていうセリフ回しが毎回ツボ過ぎて大好きでしたww。

男キャストが多い中で4人の女性キャストもすごく頑張ってました。フランキーの妻・メアリーを演じた綿引さんは、夫が家庭を顧みないことへの不満からどんどん自己崩壊の道へ進んでしまう悲しさを繊細に表現。フランキーの恋人となるロレインを演じた小此木さんもチャーミングな魅力と最終的に突き放すクールさが印象的でした。
まりゑさん遠藤さんも色々な場面で良い存在感を放っていたと思います。

男性アンサンブルの皆さんも歌唱力が素晴らしいし動きもキレがあってとても良かった。特に石川新太くんは随分逞しく成長したなぁと見ていて嬉しくなりました。

 

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後述

2018年版の紹介映像は、5月に行われたコンサートになってますね。これだけだと本当に歌だけっていう印象があるかもしれませんが(汗)、本編はさまざまなドラマが折り重なった濃い内容になっているのでぜひ多くの人に観ていただきたいところです。
とは言いつつも、チケットは完売状態の人気公演なのでその心配はないかと思いますが。

本編が終わった後のカーテンコールもこの作品の大きな楽しみの一つです。

ここで、あの、コンサートを観に行ったときに購入した「JBライト」が活躍する時が来ましたよww!!もうあれきり使わないかと思っていたけど、公演前に「ぜひそれを持ってきて」と公式から声がかかっていたので…持って行きました(笑)。スイッチ押すごとに色が切り替わるので重宝しました


Whiteチームはこちらのライトで!


Blueチームはこちらのライトで!

オールスタンディングの中、アンサンブルさんたちが客席通路にまで出てきてくれて一緒に振付やったり・・・めっちゃ盛り上がりましたよ!!関西のお客さんにもあの高揚感を体験してもらえて本当によかったです。

海外版のCDは発売されていますが、日本版はまだ発売されてないんですよね。今回のメンバーでの歌声をもう一度聞きたいので何とか商品化を実現させてほしいなぁ。

海外版CD

また近い将来、全国展開で再演してほしい『ジャージーボーイズ』。心配なのは1人で両チームに登場するアッキーの体力だったりするのですが(汗)、でも、また会いたいです。

JBカンパニーの皆さん、素晴らしい公演をありがとうございました!!

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