ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2011.09.21マチネ

『ロミオ&ジュリエット』観に行ってきました。

前売りの段階で1回にするか2回にするかかなり悩んだのですが、個性の違う二人のロミオを見てみたくなって結局追加してしまった。その日がまさかあんな悪天候日と重なろうとは…(苦笑)。
ハイ、運悪く台風15号が首都圏直撃っていう時に当りましたです…。どうも私が観劇する日は自然災害とぶつかることが多い。3月の震災の日も観劇予定だったし、この前の朗読劇もゲリラ豪雨だったし、台風の日の観劇なんていうのも今回が初めてじゃなかったりする(苦笑)。

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それにしても、本当に大変でした…。劇場に着いたお昼頃は降ったり止んだりといった小康状態だったのですが、休憩時間に外を見てみると土砂降り+暴風状態!さらに終演後に外に出てみるとパワーアップしてるじゃないですか(汗)。赤坂ACTシアターは劇場入り口が狭いので暴風雨にたじろいでいても「入り口に立ち止まらないでください」といった係の方の声が響いていまして…(苦笑)。劇場の構造の悪さをちょっと恨んでみたりもした。

地下鉄のダイヤもかなり狂っていたので色々と乗り継ぎしましたが、結局これに乗らないと帰れないJRが完全アウトになっていたので帰宅困難者ということになりました…。いやはや、観劇の思い出に浸る間もないような一日でございました(汗)。

今回のロミオは育三郎君。やっぱり城田君と比べるとちょっと知名度が低いからか少し客席に余裕があったかも。私の隣も結局来なかったし、隣の列とかもポツリポツリと空いてました。立ち見のお客さんも城田君のときよりは少ない印象だったかな。

ただ、おかげさまでけっこう前のほうの見やすい席に座ることができたので、前回よりもどっぷり楽しめたような気がします。オペラグラスも使いましたが、あまり使用しないでも表情が分かったし。

あ、そうそう、前回引き換え損ねていたロミジュリの限定チケットホルダーをゲットいたしました。

カーテンコールも盛り上がってました。いっくんが挨拶に立ったんだけど、ちょっとカミカミになったりしたときに後ろで禅さんがなにやらチャチャを入れたくて仕方ない様子だったのが笑えた(笑)。

その雰囲気に気づいたいっくんが振り返ると「ううん、なんでもないよ~」みたいな何事もなかったかのようにお澄まし状態になってて会場がかなりウケてました。禅さん、イジりたかったんだよね、いっくんを(笑)。

挨拶後のカテコは毎回「世界の王」ナンバーかかってるみたいですね。そこでのパフォーマンスが毎回違うらしく、今回は男性アンサンブルの永野くんがソロでグルングルンとピルエットを披露!何回転くらいしてたかなぁ。バレエダンサーの経験とかあるんだろうか?CATSに出てくるミストフェリーズもビックリだよ、あれは。

客電がついた後も最後にもう一度出てきてくれたカンパニーの皆さん。いっくんから「台風なのでお気をつけてお帰りください」みたいなメッセージがありました。…結局電車止まってなかなか帰れなかったけど(汗)いっくんは無事に帰れたんだろうか?あ、車だから大丈夫なのかな。

 

主なキャスト

ロミオ:山崎育三郎、ジュリエット:昆夏美、ベンヴォーリオ:浦井健治、ティボルト:平方元基、マーキューシオ:良知真次、パリス:岡田亮輔、キャピュレット卿:石川禅、ロレンス神父:安崎求、モンタギュー夫人:大鳥れい、モンタギュー卿:ひのあらた、ヴェローナ大公:中山昇、乳母:未来優希、キャピュレット夫人:涼風真世、死のダンサー:中島周、ほか

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

 

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前回の感想でかなり辛口批評してしまったんですが…今回はかなり印象が違うといいますか、満足の行く観劇ができたと思います。

たしかにスマホが出てきたり留守電メッセージが出てきたりフェイスブックなんていう言葉が出てきたりするのは違和感感じるんだけど、前回見て少し免疫ができていたのかさほど気にならなくなりました(笑)。でも、あの演出が「いい」とは未だに思えませんけどね。やっぱり現代用語の多用はあの芝居に合わないって思うので。

衣装も…まだちょっと「?」と思うものがあるんだけど、その違和感よりもストーリーや音楽で楽しめたので前ほどは気にしなかったかも。ジュリエットの妙に幼稚っぽいあのドレスだけは何とかしてほしいと思ったけど(苦笑)。
全体的にはまとまりのある締まったいい舞台だったと思います。前回ちょっと眠気が差した場面も(爆)今回はしっかり最後まで見ることが出来たし。ストーリーのテンポもよく、音楽もじっくり堪能しました。

いやぁ、いいですねぇ、ロミジュリのナンバー!!ロックで楽しいナンバーが多いのでそれらでワクワクしてしまうのですが、逆にしっとりした壮大なバラードも魅力です。

特に1幕ラストに歌われる「エメ」は感動的!!このナンバーになんだかものすごく心打たれて…頭の中に音楽がグルグル今も渦巻いています。ラストシーンでも違ったシチュエーションで歌われるのですが、これがまた壮大な鎮魂歌に聞こえて…思わず涙がこぼれてしまった(涙)。

そう、この作品…ラストシーンがものすごく泣けるんです。ロミオとジュリエットの死によって対立していたモンタギュー家とキャピュレット家がついに和解する。きっと皆、これまでも憎しみという感情の裏のどこかで和解の道を探っていたんだろうなって思わせられるんですよね。

最初は戸惑いながら、少しずつ近づいていって握手を交わし抱擁する姿になんだか涙が止まらなくなりました。
和解する両家、育三郎ロミオと昆ジュリエットの無垢な永遠の眠りについた表情、その後ろで存在していた『死』がまるで『天使』に生まれ変わったかのように昇華していくシーンは美しく1枚の絵画のようでとても感動的でした。

若い力が弾けているような楽しいナンバーも見応えあり。特に『世界の王』は盛り上がりますね。開場からは手拍子も沸き起こっていて舞台上の役者さんたちも楽しそうでした。浦井ベンヴォーリオの弾けっぷりがなんだか楽しい(笑)。

いっくんロミオのシャキシャキ動いてる姿もいい感じだったし、良知マキューシオはダイナミックなバク転も披露!そういえば彼は「タンブリング」でも見事な身体バランスを見せてくれていたっけ。

他にも素敵なナンバーがテンコ盛りなこの作品。そういえばこの舞台演出、けっこうどこかで見たことあるものが多い気がする。両家が対立する時のセットなんかはどことなく「RENT」を思い起こさせるし、時々出てくる鏡の扉は「エリザベート」を連想します。霊廟シーンもエリザに似てるな。

それにしても、みんなけっこう高いところで激しい動きをしてるんですが…セットがやたらギシギシ動いていたのでちょっとドキドキした(汗)。安全に作られているんだろうけど、あれ、けっこう揺れてるような…。

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ドキドキするといえばロミオがジュリエットのいる部屋まで塔を登っていくシーンもそうだな。有名な場面ではありますが、二人のラブシーンよりも昇っていくロミオが落ちやしないか心配になったりした(苦笑)。

笑いどころは安崎ロレンスさんが自分の研究成果をロミオに披露するシーンですかね。安崎さんがバサーッと布シート外した時の勢いがあまりにもすごくて思わずいっくんロミオが「すごい勢い…」と素で呆然としてたのが笑えました(←安崎さんもちょっと肩震えてたし 笑)。

城田ロミオには「あんなに小さかったロミオがこんなにデカくなって」みたいなことを言っていた安崎さんw、いっくんにはどう言うのかと思ったら「こんなに立派になって」みたいなけっこうオーソドックスなセリフでまとめてました(笑)。城田君はデカいからねw。

育三郎君のロミオは城田君とはやはり雰囲気が違う。

城田ロミオはとても繊細で少年っぽくちょっと触れると壊れてしまいそうな危うさと儚さがありましたが、育三郎君のロミオはどこか世捨て人みたいな部分はあってもちゃんと自分を分かっていて地に足がついている印象を受けました。なので、冒頭の他の女性たちからの携帯伝言を消去する姿がやけに説得力があったような気がします。

そんなどこか鬱々と過ごしていたロミオがジュリエットと出会って雷に撃たれたかのように衝撃を受ける。情熱的にジュリエットに愛を告白していく姿がとても自然でよかったです。

ジュリエットとの結婚までの幸せな表情も可愛くてよかったけど、2幕でティボルトを殺害してしまうくだりの心の動揺も印象的だったなぁ。刺してしまったあとにガタガタ震えてナイフを落とし、自らの罪と向かい合って号泣するくだりはなんだか胸を締め付けられるように見ているこちらも苦しく哀しかった(涙)。

恋に生き、恋に死んでいったロミオ。どちらの芝居もとても魅力的だったけど、個人的には育三郎君のひたむきで情熱的なロミオのほうが好みだったかもしれません。

昆さんのジュリエットは莉奈さんよりも見た目がとても幼いのでちょっとビックリした(笑)。あの衣装を着るとなおさら幼く見えてしまって、少し大人っぽいいっくんのロミオがロリ○ンに見えてしまいそうなときがあったくらい(爆)。

ただ、歌とお芝居は新人とは思えないような堂々としたものでとても良かったと思います。歌、なかなか上手いですね!今はまだ必死になっているという雰囲気がチラホラ感じられましたが、場数を踏んでいけば笹本怜奈ちゃんのような貫禄あるミュージカル女優さんになれるかもしれないなと思いました。今後の舞台も決まっているそうなので頑張ってほしいです。

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良知くんのマーキューシオは雰囲気にピッタリでしたね。いつも飢えてるというか、野良犬みたいな荒々しさがあります。身体バランスもいいし見応え十分です。

ただ一つ残念だったのは時折セリフや歌が聞き取りづらい部分があったこと。もう少しハッキリ話してくれればなぁなんて思ったりしました。
まぁ、四季の発声法まではいかなくていいんですけどね(←あれはあれで不自然なので 苦笑)

浦井くんは相変わらずとても役に合っている。改めてここ最近の中で一番しっくりくるなぁと思ってしまった。カッコいいしねw。平方くんのティボルトは本当にちょっと惚れてしまうかもっていうくらいイケメン(笑)。歌も上手いし、今後もっと舞台で観たいなぁと思ってしまう。中山さんの大公は相変わらずの安定感!!素晴らしい歌唱力に惚れ惚れすることしきりでした。この方ももっと大きな役で今後も舞台で活躍してほしいです。

それから、この作品の中では癒し系な存在みたいになってる岡田君のパリス。ピンクの衣装がなんかやたら似合ってて可愛い!キザな仕草もどこか憎めなくて…ちょっと母性本能くすぐられる感じ(笑)。

アダルトチームの安定感もドッシリといった感じ。

ただ、禅さんと涼風さんによる最強キャピュレット夫妻の爆発力がすごくてやっぱり大鳥さんとひのさんのモンタギュー夫妻がちょっと霞んで見えてしまった気がする。禅さんと涼風さんの爆発力、ホントにすごいですねぇ。濃さからいったら一番じゃないでしょうか(笑)。
 
安崎さんの神父さんも緩急織り交ぜたお芝居で魅せてくれたし、乳母の未来さんによるソロはゴスペルシンガー並の迫力で圧倒されっぱなし。彼女がいつもしていいる牛柄のエプロンがなんか気になった(笑)。
そういえばロミオに初めて会いにいったときの格好がなんかCATSのオバサン猫に見えたな(笑)。

そして『死』のダンサー中島くん!!彼から目が離せなかった。

色んなシーンで『死』が出てくるんですけど、本当にゾクゾクっとするほど妖しいんですよ。なんか半分透明になっているんじゃないかと思えるくらい『死』の影を見事に表現している。バレエのダンスの動きで不気味さすら感じさせる。
そのあまりの存在感に、ロミオやジュリエットではなく中島君の『死』に目が釘付けになることがあったくらいでした。あれは一見の価値ありだと思いますよ。

2回の観劇で見れなかったのはティボルトのダブルキャストだった上原くんだけでした。彼はレミゼでも結局見ることができなかったんだよなぁ(汗)。次回何かの機会にどこかの舞台で見れればなと思います。

ロミジュリ、ツッコミどころも色々ありますが…全体的にはとてもよくできた舞台だと思います。音楽がとにかくいいのでオススメ。前もって携帯のこととか衣装のこととかツッコミどころを頭に入れておけば楽しめるかと(笑)。そういった意味では、2回観に行ったのは正解だったなw。

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