ミュージカル『ミス・サイゴン』2008.09.30ソワレ

実は当初予定に入っていなかったのですが(最近こればっかりだよ 爆)、大阪の親友が上京してくるというので急きょチケット救済掲示板にて入手してしまいました。安くお譲り頂き感謝してます。劇場ではさらにもう一人の観劇仲間様と偶然お会いしてちょっとしたプチオフ会に。皆サイゴンをよく知りつくしているのでトークが弾む弾む(笑)。幕間での観劇仲間とのトークは本当に最高です。ありがとうございましたっ!

ちなみに私、今回のサイゴンがついに7回目(爆)。今月だけでも4回目だったよ…。4年前の再演の時(9回 爆)よりは通わないようにしようと心に決めていたのに、このままいくと結局タイ記録に持ち込んでしまうことに。ハイ、とうとう、千秋楽チケットも入手してしまいました(汗)。どんだけこの作品が好きなんだよ自分、みたいな。作品ももちろんですが、私の中ではやっぱり泉見くんのトゥイがいるからかなぁ。彼がいなければたぶんここまでは通ってないと思うんで。

さてさて、今回は井上芳雄くんの東京公演千秋楽。どうりでチケットが入手しづらかったはずだ(汗)。1000回記念の時同様、ロビーのごったがえし具合がすごいことになってました。やはりこういった節目の公演になると客入りがずいぶん違うもんですねぇ。劇場内の雰囲気も楽独特の空気があって、もうみんな「ミス・サイゴン○×回目」みたいなベテランさんばっかりだったような感じでした(え?私も? 爆)。開演前はシーンと静かになるし、拍手のタイミングもフライング一切なし、さとしさんの小ネタには大笑いするといったメリハリある反応が面白かったです。

ちなみに休憩時間に観劇仲間と語り合っていると目の前を浦井健治くんが通りかかってビックリ。その後ろには浦井くんとエリザのダブルキャストをやってる伊礼くんがいました。やっぱり目立ちますなぁ。初めて間近で見たけど二人ともものすごくきれいな顔してましたわ。客席も気づいていたのかかなりざわついてて、彼らが席を立った時には軽く拍手まで起こってました(笑)。

主なキャスト
エンジニア:橋本さとし、キム:笹本玲奈、クリス:井上芳雄、ジョン:岡幸二郎、エレン:鈴木ほのか、トゥイ:泉見洋平、ジジ:菅谷真理恵 ほか

以下、ネタバレ感想です。キャスト別というよりかはシーン別になってるかも。・・・っていうか、相当長いかも(爆)。

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橋本さとしさん(エンジニア)

久しぶりにさとしさんのエンジニア見ましたけど、井上くんの楽だからか前回以上に飛ばしまくってました。もう冒頭からして勢いが違いましたから。ということで、飛ばしすぎのようなさとしエンジニアの気になる名場面をいくつか(笑)。

井上クリスに「変更だ、キムの値段」と迫るシーン。ここでクリスはエンジニアにアメリカ行きのビザはやれないと銃で脅すんですが、さとしエンジニア、思いっきり井上クリスの銃を奪いに行こうとして交され大コケしてました(笑)。なんだあのコントは(笑)。あとで井上くんが楽の挨拶で語ってたんですが、このシーンは珍しくさとしさんから「打ち合わせ」が入るほど狙っていたらしいです。いつもは打ち合わせなしで乗り切っていたのに、この日に限って「どうしたんだ、さとし」(by井上くん)と思ったらしいです(笑)。

あとこれは毎回やってる(と思う)んですが、3年後のサイゴンで自分の本性をエンジニアが語るとき「行こうUSA」と歌うシーンがあるんですが、ここの「A」の言い方が体文字付ですごく可愛いんですよねぇ、さとしさん。あれがめっちゃ好きです。

それから「飛ばしすぎだろう~」と思ったのがトゥイを射殺したあとに駆け込んできたキムとアメリカへ渡るための手続きをしに飛び出していく場面。「ハイ、ホーチミン♪」のあとはいつもエンジニアのアドリブが入ることになってるんですが・・・さとしエンジニア、この日は客席に向かって「やっほ~♪」とやまびこを求めるリアクション。私らは山か(笑)!最初は客席もどう反応していいのか戸惑っている感じだったんですが、この呼びかけにシオタクターこと指揮者の塩田さんが「やっほ~♪」と反応(笑)。これで終わるかと思いきや、さとしエンジニアもう一度客席に向かって「やっほ~」の再チャレンジ(笑)。そこでノリのいいお客さんから「やっほ~♪」の反応をもらい満足げに立ち去っていきました。まさに力技だよ、さとしさん(笑)。

さらに2幕のムーランルージュ客引きシーンでのボスとのやり取りも「やっほ~♪」の話題に。

ボ「客はどうした!?」
エ「今日は満員御礼です」
ボ「誰かさんのファンばっかりじゃないのか?今日はアウェーだぞ」
エ「アウェーっすか!?」
ボ「なのにお前さっき客席に向かってヤッホーとか言ってただろう」
エ「はい」
ボ「よくやった!気に入った!この混血野郎!」
エ「混血・・・くたばれ、豚」

と、こんな流れになってました(笑)。毎回このシーンはちょっとだらけてるなぁと思い始めてたんですが、今回だけは面白かったよ、うん。素直に笑った(笑)。

と、飛ばしすぎなさとしさんのアドリブはここまでかなぁ。そのあとのキムがクリスに会えると興奮しているのを複雑な思いで見つめている眼差しが印象的だったし(エンジニアがキムを利用するだけの存在でなくなった瞬間に見えるんですよね)、「アメリカンドリーム」はやっぱり切なくて涙が出ました。さとしさんの「アメドリ」は本当に切ないんですよ・・・。なんでだろうなぁ、心に訴えてくるものがある。あんなにお茶らけてたのも必死に生きようとしているからこそなのかな、なんて思えてきます。これがあるからさとしエンジニア大好きなんだよなぁ。

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井上芳雄くん(クリス)

前回井上クリスを見た時も1000回記念という節目の公演だったよなぁ。つまり、私は一番熱い井上クリスしか見ていないことになるのかも(笑)。いや、でも、明らかに4年前のクリスよりも良かったです。一番感情移入できないかもと思ってた井上くんでしたが、気がついてみればかなり好きなクリスになっていました。確かに歌の面においてはなんとなくクリスのイメージと合っていないような気はするし、高音が不安定だなと感じることもありましたが、お芝居がとてもよかった。今回も思ったけど、4人の中では一番アメリカ人ぽいです。

ただ1000回の時とちょっと違ったように見えたのが、クリスのキムに対する想い。前回は「キムのことは確かに愛していたんだけどどこかでやっぱりその場しのぎみたいな想いがあったのかも」と感じてしまったのですが、今回はキムのこともクリスは一途に愛したんだろうなっていうのが伝わってきたんです。印象的だったのが、「神よ、なぜ」のナンバーの後そ~っとキムのところに近づいて彼女に触れようとしたシーン。クリスがキムに特別なものを感じたことがとてもよく伝わってきてすごく良かった。なので、そのあと「一緒に暮らそう」と提案することがとても自然な流れに思えました。

キムがクリスを心の底から愛したように、クリスもあの時本気でキムのことを愛していた。でも、その想いの種類みたいなものが違ったんでしょうね…。クリスにとってのキムは混乱するベトナムのなかで唯一の救いとしての存在だったんじやないかなと。

それゆえにアメリカにもどりエレンと結婚した経緯も納得できてしまう。井上クリスはエレンとの相性がとてもいいように思えます。なので、ベトナムでの出来事を告白するときのあの取り乱しようがものすごく切ない。あそこの井上くんの芝居はかなりグッとくるものがあります。「話すべきだった」と地べたに座りポタポタと涙を流す姿にこちらもウルウルさせられました(涙)。

そしてラスト、銃で自殺したキムが自分の腕の中で息絶えた後…井上クリスの茫然自失になったあの表情が素晴らしかった!クリスの衝撃の重さとこれから彼が背負う苦しみがあのなかに込められていた気がしました。千秋楽の演技、よかったよ~、井上くん!

笹本玲奈さん(キム)

やっぱり玲奈ちゃんはクリスがいないと生きていけないキムだよなぁと再確認しました。クリスが「一緒に暮らそう」と言った瞬間から、彼女にはクリスしか頼る存在がないんだなっていうのをすごく感じるんですよ。なのでトゥイを拒絶するのも納得できてしまう。でも、トゥイに対しても非情になりきれてない部分があるのか、銃で撃った後、すぐにトゥイのもとに駆け寄って抱きかかえるんですよね。あれが本当にものすごく泣ける(涙)。キムの腕の中で微笑みすら浮かべる泉見トゥイだとなおさら泣けるんだよなぁ…。

今回一番すごかったのがキムがクリスの部屋を訪れるシーン。ここで彼女は初めて愛するクリスがアメリカでエレンという女性と結婚したことを知るんですが、その瞬間の演技が今まで以上に危機迫るものがあった!「胸ふさがれ、息ができない」という言葉そのままの玲奈ちゃんキムを見てたらこちらも胸が苦しくなっちゃいましたよ。心の支えはクリスと再会して共に生きることだけだったキムにとってあまりにも残酷な運命なんですよね、このシーン。それを一番鮮明に感じさせられたのはこの日の玲奈ちゃんの演技だったかもしれない。切なすぎて涙が出てしまった。

ということで、玲奈ちゃんのキムはこれでマイ楽となりました。素晴らしい演技をありがとう!

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岡幸二郎さん(ジョン)

岡ジョンは相変わらずの安定感。「火がついたサイゴン」でのチャラ男ぶりも堂に入ったもんです(笑)。で、やっぱりクリスとの電話のやり取りでは「蓮ですかぁ」と返してましたが、1000回記念のときほどオーバーじゃなかったかも。

「ブイ・ドイ」の歌声は最高ですね。この日は特に一言一言が胸に響いてきてものすごく感動してしまった。岡さんのブログでも「洋平に褒められて嬉しかった」と書かれているので、今まで以上の特別な響きのある「ブイ・ドイ」だったんだと思います。

鈴木ほのかさん(エレン)

相変わらず包容力と優しさで満ちあふれているほのかさんのエレン。それに井上クリスと並んでいても違和感をあまり感じさせないのがすごいですよ、ホント。エレンを熟知してるから為せる技だろうなぁ。

いちばんグッときたのはショックを受けたキムが飛び出して行ったあとの「今彼女と会った」ソロ。今回の玲奈ちゃんキムはいつも以上に危機迫る熱演だったのでほのかさんもそれに呼応するような感じでエレンの苦しい胸の内を切々と歌い上げていました。「♪あの目…あの声・・・」と歌っている時の涙ながらの表情が見ていて泣けます(涙)。

そしてラスト・・・息絶えたキムを見届けた後にそっと、優しく、そして強くタムを抱きしめる姿にまた涙!あそこは何度見ても泣けます・・・。

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泉見洋平くん(トゥイ)

ついこの前ラジオの公開録音を見学して、メッセージまで読んでもらって、キラキラの洋平くんに感動してきたばかりなのですが(笑)、「ミス・サイゴン」のなかでの彼のトゥイも超最高でした!やっぱり私の中で泉見トゥイは特別な存在です。歌はさることながら、トゥイの心情表現が本当に何度見ても素晴らしいのですよ。「キムを深く愛している」というこの芯の部分が全くブレてない。ものすごく感情移入しやすいトゥイを熱演してくれていると思います。

幸せモードのキムとクリスの間に突然やってきたトゥイの「いた、お前・・・」という第一声からして泣けます!毎回思うんですが、このときの泉見トゥイのキムを愛しむ眼差しが哀しいほど切ないわけですよ(涙)。クリスを撃とうと銃を構えた所にキムが割り込んだときのあの絶望と悲しみに打ちひしがれたが・・・切なくて仕方がないっす。

さらに3年後になるとキムへの愛が海より深い状態になってる。でもそれを伝えるのがとても不器用で・・・。拒絶されたことにキレて部下にキムを暴行するよう命じてしまうのにまるで自分が暴行されたような顔になってるし。「お前は、俺と・・・」と最後のプロポーズもキムへの愛を伝えたい必死さがひしひしと伝わってくるし・・・。タムを目の当たりにしたときのあの地獄の底に突き落とされたような絶望感にあふれた表情がさらに切なさを誘います。タムを殺そうとしてキムに銃を向けられた時、泉見トゥイは「撃たれる覚悟」をしてるように思うんですよね。撃てるはずはないと歌いながらも心のどこかで撃ってほしいと思ってる。キムへの愛が報われるのにはそれしか方法がないと悟ってるんじゃないのかなぁ。だから、彼は撃たれた瞬間に必死にキムのもとへ歩み寄り、彼女の腕の中で微笑んで死んでいったんじゃないかと。もうねぇ、死の間際に震える手でキムの頬に触れようとしている仕草がたまらなく泣けるんですよ(涙)。

そして見どころは2幕の亡霊にも!今まではまっすぐ前を見据える感じで上ってきたのに、今回は首が斜め45度くらい曲がって登場してきた!!あれはかなり怖い(笑)。まさに亡霊。いやぁ、考えてますねぇ、洋平くん。でもそのあとキムに「見ろ、俺は、まだ死んではいない」と歌うところが無念の涙をこらえている感じでやっぱり泣ける(涙)。哀しすぎるよ、泉見トゥイ!

ちなみに、この前ラジオ収録の時に語られていた裏話を少し(ここは多分放送されたと思うんで)。トゥイのラストはあまりにも哀しいのでカーテンコールに笑顔で出なければいけないノルマをどうやって果たせばいいのか当初かなり悩んだらしいです。そしたらある日、舞台袖で「アメリカンドリーム」のアンサンブルの華やかなダンスを見てピンときたと。その日から、毎回トゥイの格好で舞台上手袖で振り付きで一緒に歌い踊ってるらしいです(笑)。洋平くん曰く、「いちばんミュージカルやってる気持になるシーン」。たしかにねぇ。なるほど、それで1000回記念のカーテンコールでアンサンブルと一緒にアメドリを踊ってたのか~。納得。そんなわけで今回の「アメリカンドリーム」は上手舞台袖にも注目してしまいました(笑)。

カーテンコールは井上くん楽ということで大盛り上がり!最初にさとしさんが「もっと彼とやりたかったです!」とシャウトし井上くんと熱き抱擁を。さとしさんに送り出される形で井上くんが挨拶してましたね。このときに「今日で引退する、井上芳雄くんです」みたいな感じでさとしさんに言われたので「もう少し続けさせてください」と切なげに反応してたのが可愛かった(笑)。とりあえず、一時的に引退ということで。さとしさんとのやり取りが毎回とても楽しみだったとか、サイゴンでは毎回毎回発見が多くて勉強になったとか、そんなことを語ってたかな。最後に「ミス・サイゴンは今が一番脂が乗り切った時だと思うのでまた足を運んでください」と宣伝することも忘れてませんでした(笑)。

そのあと追い出しのオケもあったんですが、スタンディングオベーションが鳴りやまず再びさとしさんと井上くんが仲良く登場。この二人、本当に気が合うみたいで兄弟みたいだったよ(笑)。一番最後にさとしさんから弾かれるような形で(笑)1人舞台に残された井上くん。突然「最後に僕の特技を披露します」と言うと、見事な両足開脚ジャンプを披露してくれました!いつの間にあんな技を!すごいぞ、井上くん。披露した後にちょっと恥ずかしげに舞台袖に引っ込んでったのが可愛かったです(笑)。

早抜けしたのは多分、今月から始まるドラマ「OLニッポン」に専念するためでしょうね。ドラマの中でどんな活躍を見せてくれるのか楽しみです。井上くん、とりあえず東京楽お疲れさまでした!

そういえば、終演後のロビーでのアンサンブルさんお見送りがなかったですねぇ。前日もなかったらしいし・・・夏限定だったのかな?

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