ミュージカル『ミス・サイゴン』2008.10.21ソワレ

予定では今月あと1回くらい「サイゴン」追加する・・・はずだったのですが、イベントもなくなっちゃったしお金もなくなってきたし(苦笑)という超個人的な理由でこの日が10月初サイゴンになりました。この日のチケットはかなり早い時期に購入したのでとても楽しみにしていたのですが、その時は気付かなかったんですけど、新妻さんと浅野さん楽の日になってました。

というわけで、カーテンコールはお二人からの挨拶がありました。なんか、舞台上に「千秋楽ありがとうございました」なんて看板が下がってて…"ああ、本当に終わりが近いんだなぁ"と実感。寂しかったなぁ。

いつもの舞台上からの花投げが終わった後にその日の全キャストが勢ぞろい。客席もオールスタンディング状態のなか、橋本さとしさんの司会で特別カーテンコールが行われました。たしか前回30日に井上くん楽を観に行った時もさとしさんが軽妙なトークで司会してたなぁ。今回ものっけから

「今日は新妻聖子さんと浅野実奈子さんのサヨナラ公演になります!!」

と言って場内を沸かせてました。さとしさん、これ、宝塚じゃないですから(笑)。そんな楽しいさとし司会のもと、まずは浅野さんがご挨拶。この公演中に「生」と「死」に向き合った出来事を絡めながら感慨深そうに涙を浮かべてスピーチしていた姿がとても印象的でした。聖子ちゃんも最初は感情が高まっているようでちょっと涙ぐんでいる様子でしたが、エレンの部屋からキムが飛び出すシーンでコケてしまったことをしきりに詫びてたりして(笑)終始明るい笑顔でスピーチしてくれました。

最後のオケが終わった後も二人が出てきてくれて「ミス・サイゴン最高!!」と最高の笑顔を見せてくれてました。聖子ちゃんは袖に引っ込む間際に「お気をつけて~」と客席に声をかけてたりして可愛かったです。全力で役の人生を駆け抜けた二人のすがすがしいラストに立ち会えて本当によかった。

主なキャスト
エンジニア:橋本さとし、キム:新妻聖子、クリス:原田優一、ジョン:岡幸二郎、エレン:浅野実奈子、トゥイ:泉見洋平、ジジ:菅谷真理恵 ほか

キャストの感想は追記へどうぞ・・・

スポンサーリンク

橋本さとしさん(エンジニア)

この日の特別カーテンコールで聖子ちゃんと浅野さんの挨拶が終わった後に「明日は我が身です!」とシャウトしてたさとしさん。私にとってはこの日がさとしエンジニア楽だったんだよ~。寂しいなぁ~。本当に見れば見るほどハマるものすごく魅力的なエンジニアでした。もっと会いたかった…。

冒頭ドリームランドのシーンから"魅せる"芝居をしてくれてて・・・やっぱり誰よりも目を奪われます。この時のさとしエンジは本当にかっこいい。3年後のサイゴンで「人民委員長」と言われた時に「釈放!?」とものすごく嬉しそうな顔をするのも可愛くて好きだったなぁ~。トゥイからキムを探す期限を2日と言われた時に「たった2日!?」とツッコミ入れるのもさとしさんならでは。こういう細かい合いの手のセリフがすごく自然で可愛くて私は大好きでしたよ(キムが覚悟を決めたシーンで「あの人来るわ」と歌ったあとに「な~んだ♪」と安心した笑顔を見せてるのも好きだったし)

グッときたのはキムがジョンから「クリスがバンコクに来ている」と知らされて舞い上がっている姿を見ている時のシーン。今までアメリカ行きのパスポートとしか思ってなかった彼女に初めて同情する表情見せるんですよね。あの複雑な心境のさとしエンジニアの芝居がものすごく良かった。

そしてやっぱり・・・「アメリカンドリーム」ですよ。4年前に3回目くらいで初めて涙が出たさとしさんのアメドリですが・・・この日は個人的にも「さとし楽」の感情も手伝ってかボロ泣きしてしまった(涙)。あの最初の自分の生い立ちを語るところ…あそこを見るとそのあとのエンジニアが描く華やかなアメリカンドリームの世界がものすごく切なく思えて仕方なくなるんです。最後の最後まで切なく素敵なアメリカンドリームでした。

ちなみに、さとしさんならではのお笑いアドリブも盛り上がってました(笑)。「ハイ、ホーチミン」のあとのアドリブは・・・

「暑っ・・・。(洋服)臭っっ!お風呂入りたい。♪俺は夢のニュウヨーク(←入浴の仕草つき 笑)」

ムーランルージュでのやりとりは

「今日は赤組(←アンサンブルさんは赤と青に分かれてます)とお前のラストなんだよ」

という切ないオーナーのお言葉に「何か本当に切なくなっちゃった」と一言。混血野郎と言われたことへの「くたばれブタ!」ってフレーズもちょっと切なめでした(笑)。楽しくて切なくて魅力的なさとしエンジニア、やっぱり最高!大好きなエンジニアです。

スポンサーリンク

新妻聖子さん(キム)

大好きなキムでした、本当に。新妻さんのキムは純白っていうイメージで見ていてとても感情移入がしやすいのですが、この日はなんだかいい意味でそこから一歩脱却したというか…ちょっと泥臭いようなお芝居をしていたのがとても印象的でした。純白なイメージではあるんだけど、今まで見てきた以上に感情の起伏がとても大きいように感じたんですよね。

ドリームランドでの初々しさはたぶん今までの中でいちばんオドオド度が激しかったし、両親が死んだとクリスに告白するシーンでは胸の内をえぐられるような悲しみを表現していて泣けました。クリスとラブラブモードになったときの無防備な喜び方もすごく印象的だったなぁ。玲奈ちゃんのキムが一番クリスがいなければ生きていけないキムだと思ってたんですけど、この日の新妻さんのキムはそれに迫るものがありました。クリスに全身全霊を捧げてる感じ。だからエレンとクリスが結婚した時を知った時の絶望感がものすごくて、本当に息ができなくてその場に倒れちゃうんじゃないかと思ったくらい。エレンに詰め寄るシーンは涙なくして見られなかったです…。感情があふれすぎたのか出て行く時に転んじゃいましたけど(本人はカーテンコールでものすごく謝ってましたが 笑)、あの時は芝居の一環だと思ってものすごく感情移入しちゃってた私です。

それからトゥイとの対峙シーン。前回新妻キムを見た時は「あれ?ちょっとトゥイに冷たくなってきた?」と感じたのですが、この日はちゃんと正面から向き合おうって気持ちが出てましたね。最後のプロポーズをしたトゥイの手を外す時にも思いやりが感じられて泣けました。

原田優一くん(クリス)

ものすごく久しぶりの原田クリス。相変わらずとても美しい歌声です。原田くんのクリスってどこぞのお金持ちのお坊ちゃまってイメージなんですよね。あまり世間がよく分からなくて、それでも心はとても繊細で壊れやすいみたいな。キムに対する優しい笑顔もとても印象的です。あと、前回観た時よりも感情面における芝居が濃くなっていたように思いました。「神よ、なぜ」での最後の音の伸びは素晴らしいものがあったし、エレンにベトナムのことを告白するシーンも危機迫っていて感動的だった。それから「ナイトメア」でのキムの名前を叫ぶシーンも思わず涙がこぼれたほど哀しくて「いいお芝居するなぁ」って思いました。

ただ、この日は周りが楽雰囲気だったからかものすごくテンションが高くて・・・原田くんがそれに若干付いていけてないような気がしたんですよね。熱演しているのはすごく伝わるんだけど、いまひとつ客席まで届いてこないようなシーンがいくつかありました。歌声がシーンごとによって弱すぎてしまったりっていうのも感じたし・・・なんとなく粗が目だったかも。それがちょっと残念でした。

スポンサーリンク

岡幸二郎さん(ジョン)

私がイメージしているジョンに最も近い「ジョン」を演じてくれたのが岡さんでした。岡さんの演じるキャラって個人的にあまり合わないことが多いんですが(苦笑)、今回の「ミス・サイゴン」では本当にジョンは岡さんがドンピシャだった。この舞台全体の核みたいな頼もしい存在でしたね。

ドリームランドでのはしゃぎっぷりもいつもどこかで一線引いてて「これは遊び」ときっちり割り切れる男性。ただのチャラ男じゃないところが魅力的です。そんな岡ジョンだから2幕の人格が変わるところが腑に落ちる。「ブイ・ドイ」での説得力はピカイチだと思います。エレンとクリスに喝を入れるシーンも「ジョンの言う通りだ」とこちらを納得させるだけの説得力がありますし。本当に最初から最後まで言葉を一つ一つ丁寧にした演技をしていたのがとてもよかったと思いました。

浅野実奈子さん(エレン)

浅野さんも久しぶりだったのですが、アメリカ女性っぽい感じでしたね。綺麗で可愛くて、聡明でしっかり者、そんな言葉があてはまる女性だったと思います。クリスのことも彼女からアタックして結ばれたんじゃないでしょうか(笑)

印象的だったのはキムと対峙するシーン。「クリスの妻」と告白するところに彼女の勝気さが表れているなぁと思いました。自分のほうがクリスの妻であるということをキムに宣言しているような感じ。でも、キムが実はまだクリスのことを心から愛していることを感じ取ってひるんでしまうんですよね。それでも必死に自分のほうが正式な妻であることをキムに伝えようとしてている姿がとても印象的でした。

ちなみに、新妻キムがショックで部屋から飛び出す時に転んでしまったときに浅野エレン、咄嗟に「キム!?」と呼びかけていました。あれ、けっこうビックリしたんですね(笑)。

スポンサーリンク

泉見洋平くん(トゥイ)

もういっつも泉見くんのことを書くと長くなってしまうんですが(笑)・・・やっぱりこの人のトゥイは何度も何度も会いたくなる。この日はやや上手寄りではあったのですがかろうじてほとんどの表情を見れる席だったので(楽は超上手なので表情が限られてしまうんで)、もう登場してからずっといつも以上に必死に見入っちゃいましたよ(汗)。

キムを最初に見つけた時の優しげな顔、そのキムが自分ではなくアメリカ兵を好きになっていたと知った時の絶望感、冒頭のこれだけでも泣ける…。あの表情見たら本当に切なくて泣けてきますよ(涙)。かと思えば、3年後にエンジニアにキムを探してくるようにと命令するときの氷のように冷たい顔・・・。ギラギラとしたあの目力!惹きつけられっぱなし。そう、泉見くんは本当に目の演技が素晴らしすぎ。遠くからでもその目の表現力だけでトゥイの心の動きが分かりますから。

そして再びキムとの対峙。「闘いながら見たよ、嫁いでくる夢を♪」の泉見トゥイの歌い方が想いに満ちあふれてて本当に切ない…。ものすごくストレートに想いを伝えるんだけどそれが届かずに自分の部下にキムを乱暴させてしまうときも、泉見トゥイは一緒に打たれていて痛々しい。そう、痛みが伝わってくるんだよなぁ、彼の演技って。そして衝撃的だったのがタムを見た時の絶望感。ヘナヘナと座りこんでショックのあまり口に手を当てて半泣き状態になってましたよ(涙)。哀しい、哀しすぎるよ、泉見トゥイ~!

そしてキムに撃たれた瞬間・・・銃の衝撃に耐えながら最後必死に「キム!!」って叫ぶんですよ(涙)。これが泣かずにいられようか~~…。必死に抱きかかえるキムの腕の中で必死に頬に手を伸ばして震えながら彼女の顔を焼きつけようとしている最期・・・号泣(涙)。

菅谷真理恵(ジジ)

菅谷さんのジジ、ほんっとに魅力的でした。彼女、これが初舞台なんですよね。もう信じられないくらい成長したと思いますよ。「ミス・サイゴン」に相応しい貫禄があるカッコいいジジだったし、アメリカへの切ない気持ちを切々と歌い上げているのも素晴らしかったです。今後が楽しみな女優さんですね。

あと、赤組アンサンブルの皆さん、熱のこもった素晴らしいお芝居でした。特にドラゴンダンスのシーンでは今まで見た中で一番ピッタリはまった動きを見せてもらいました。ホント、いい舞台でした。

error: Content is protected !!