ミュージカル『BARNUM -バーナム-』兵庫公演初日 2021.03.26ソワレ

兵庫西宮の兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールで上演されたミュージカル『BARNUM -バーナム-』を観に遠征してきました。

3月2日以来の観劇遠征…前回からけっこう間が空いてしまったので、久しぶりの観劇に前日はちょっと気持ちがソワソワしてしまいました(笑)。

昨年は舞台の幕が上がるか上がらないかという切迫した状況が続いていましたが、今年に入ってからはお稽古中の対策を変えたりしたのが功を奏してか(マスクをつけての稽古になったり)7割以上が無事完走できている印象があります。今回の『バーナム』も無事に関西公演まで来てくれて本当に嬉しかった!

とはいえ、まだワクチン接種時期も定まっていない上に解除後の感染者リバウンドも始まっているという状況なので気が抜けません(汗)。久しぶりの都会ということもあり細心の注意を払っての遠征となりました。いつになったら安心して舞台へ向かえる日が訪れるのだろうか…。
とにかく私たちは演劇の火を消さないためにも感染対策ルールを徹底して守っていくしかありません。

兵庫公演の初日ということもあってか(といっても公演期間は3日間のみですが)、1階席はほぼ満席状態。2階席も前方のほうはけっこう入っていたなぁという印象でした。緊急事態宣言が明けたとはいえ、発売期間中はまだ予断を許さない状況だったことから6-7割くらいじゃないかなと予想していたのですが、人気キャストということもあってかチケットの売れ行きも好調だったようです。
未だにちょっと隣に人が据わる状況にビクついてしまうところはあるのですが(汗)、スタッフの人も注意喚起してくれていることから昨年に比べるとだいぶ静かな環境になってきたと思います。皆さん意識して話し声もなるべくトーンを落としている様子でしたし、その点はホッとできるかも。

以下、ネタバレ含んだ感想です。

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2021.03.26ソワレ(兵庫初日) in 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール(兵庫・西宮)

主なキャスト

  • フィニアス・テイラー・バーナム:加藤和樹
  • チャイリー・バーナム:朝夏まなと
  • トム・サム/リングマスター/ ジェームス・A・ベイリー:矢田悠祐
  • ジェニー・リンド:フランク莉奈
  • エイモス・スカダー:原嘉孝
  • ジョイス・ヘス/ブルースシンガー:中尾ミエ
  • 映像出演:フィリップ・エマール石田純一(Performer Ai)

今回の舞台では随所に映像を使った演出が出てくるのですが、そこに登場する”可愛らしいおじさんキャラ”に何度も目を奪われました。フィリップ・エマールさん、フランス出身の道化師でパフォーマーとのこと。あの有名なシルクドソレイユにも出演したという超すごい方です!現在は日本を拠点に活動されているとのことで、今回の映像での”共演”が実現したのかな。
めちゃめちゃ表情が可愛らしくて、登場するたびにほっこり癒されてしまった。天使の羽根を付けている姿も全く違和感なくてぬいぐるみみたいな愛らしさを感じてしまうほど。ちゃんとカーテンコールの時にも「映像で」ご挨拶してるのがホント可愛くて癒されました(可愛いばっかり言ってますがw、ほんとに可愛かったのでww)。

それから、今回の演出ではサーカス団が登場してくるということでアンサンブルキャストの皆さんがめちゃめちゃジャグリング頑張ってました!!以前見た『PIPIN』の時も驚かされたけど、今回もスゴ技がたくさん出てきます。歌って踊る以外に難易度の高いジャグリングのパフォーマンスもこなすって、どれだけお稽古頑張ったんだろうかと見ていて胸が熱くなりました!!
たまに失敗しちゃうキャストさんも見られましたが、落とした後に床叩いて悔しがったりしてて…それがなんだかストーリーの中でリアルに感じられたのが印象的でした。成功することを求められているっていうよりも、サーカス団としてのパフォーマーのリアルに重点を置いているようにも見えたかな。

で・・・、そのジャグリング指導を行ったとされているのが”石田純一さん”。最初にこの名前を見たときにはビックリしましたよ~ww。え!??あの人そんなことできる人だっけ!?みたいな(笑)。でもよく見ると全くの別人。同姓同名のプロのパフォーマーの方で若くてかっこいい方でした。でも、映像出演…どこに映ってたか見えなかった(汗)。サイド席だったこともあって見えない部分もちょいちょいあったのですが、どこかにいらしたのかしら?見つけられなかったことがちょっと心残りです。

それから、今回出演するはずだった藤岡正明くんが喉の不調により無念の降板となってしまいました。降板が発表された時に藤岡くん、ものすごく無念そうに自分を責めてしまっていたけど…健康第一です!いくら気を遣ってケアしていてもどうしようもない時もあります。今は焦らずゆっくり養生して、また次の舞台で元気な姿を見せてほしいと思います。

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概要とあらすじ

1800年代に実在した興行主”P.T.バーナム”がこの作品の主人公です。2019年公開され大ヒットしたミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』の主人公としても大いに話題となりました。

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この作品は『グレイテスト~』の舞台化ではなく、1980年にブロードウェイで初演された『BARNUM』の日本初演版となります。映画のヒットによりバーナムという名前が有名になりましたが、実はそれよりも約40年前に彼を主人公にした作品が存在していたんですよね。ブロードウェイ初演後にロンドンでも上演され、直近では2018年に韓国でも公演があったそうです。

『グレイテスト~』はダイナミックでドラマチックな楽曲が多かったですが、『BARNUM』はそれよりも比較的ライトなナンバーが多かった印象が強い。気持ちが重くなるようなシーンもほとんどなく、最後までワクワク楽しい気持ちで観ることができる作品だったと思います。

簡単なあらすじは以下の通り。

バーナムの興行師としての人生は、「ジョイス・ヘス」という女性を”世界最高齢の160歳“として売り出すことから始まる。彼の誇大な広告や作り話によって、見世物の興行は成功をおさめるが、妻のチャイリーは人々をだますような仕事ではなく、社会的に尊敬されるような安定した職に就くことを望んでいた。しかし、見世物こそが自分の世界に彩りを与えてくれるのだと考えているバーナムは、博物館を経営したり、世界で最も小さい男「トム・サム将軍」といった話題性のある見世物を手掛けることによってますます有名になっていく。

その後スウェーデン人のオペラ歌手であるジェニー・リンドと契約した彼は、すっかり彼女に熱中し、チャイリーを置いて彼女とともにツアーへと旅立つ。公演は大成功となり、ジェニーとの距離も縮まる中、バーナムはふと愛する妻が共にいない生活への虚しさを感じ、ジェニーのそばを離れる。チャイリーの元に戻った彼は、時計工場で働いたり、ついには市長に選ばれたりと、彼女が望む通りの安定した生活を送ることになるが、そんな生活にも突如終わりが訪れ…

バーナムは再び、自らの才能をショーの世界で生かそうと決意するのだった…。

<公式HPより引用>

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全体感想

舞台全体を覆うようなスクリーン状の壁とステージ中央部分に大型スクリーンがドーンと鎮座。シーンごとにメルヘンチックな映像やw、道化のような天使に扮したフィリップ・エマールさんによるパフォーマンスが神出鬼没的に登場してくる映像を出して舞台の華やかさを演出するスタイルになっていました(プロジェクションマッピング的な感じ)。
休憩時間には舞台中央のスクリーンに今回の舞台に協力しているという木下大サーカスの映像が流れていました。映像見ただけでも心拍数上がりそうになったのでw、実際生で観たらもっとドキドキするんだろうなぁと思いましたね。

パンフレットには当初の演出プランにも触れられていたのですが、もしもコロナ禍ではなかったら入場したらすぐにキャストたちによるおもてなしパフォーマンスを披露する計画があったそうです。劇団四季の『夢から覚めた夢』みたいな始まる前からのお客さんとのコミュニケーションを図る雰囲気にしたかったのかな。
今回は残念ながらそういった「密」を呼び込むような演出はカットとなってしまいましたが、舞台上でのキャストの皆さんのパフォーマンスが素晴らしかったので十分華やかさは伝わってきたし、アットホームで物語に入っていきやすい雰囲気のステージだったのも良かったと思います。まぁ、バーナム個人としてはもっとド派手なパフォーマンスを魅せたいといったところでしょうが(笑)。

舞台セットは少なめで、背景的なものはほぼ映像で補っていました(本当はもっと華やかにしたかったようですが、今回はコロナ禍を意識した演出になっているため映像を駆使したものになったそう)。それと、大きな可動式階段をダイナミックに動かして舞台の奥行きを表現していたのも面白かったです。アンサンブルキャストさんたちを中心に展開の中でごく自然に見えるように縦横無尽に動かしていて、躍動感ある雰囲気が演出されていたと思います。

あと、2階建て構造になっていたスクリーン背景の一番舞台奥で巨人のキャラを上下で繋げて見せていたのも面白かったですね。そこだけは映像演出とは違ってアナログで古典的な手法になっていたのですがw、当時のサーカスの見せ方のようにも思えてかえってリアルに感じられました。
アンサンブルの福田えりさんと廣瀬水美さんの役名欄にそれぞれ”上半身””下半身”っていう記述があったのは「そういうことだったのか」とあれを見たときに納得ww。

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映画『グレイテスト~』はP.T.バーナムの手掛けるショーをド派手にダイナミックに壮大なスケールで描いているエンターテイメント作品といった印象が強かったですが、ミュージカル『バーナム』はバーナム個人の人生にスポットを当てていて、どこかホッコリするような展開が多い印象がありました。なので、『グレイテスト~』と同じ雰囲気を求めていくとけっこう肩透かし食らった気持ちになるかもしれません(汗)。

冒頭はキャスト皆がチェック柄上下の衣装で集まっていて、そこにP.T.バーナムがカッコよく登場し彼らの中心に立って周りを動かしていくといった感じでスタート。劇中劇のようなスタイルだったと思います。
”バーナム”が中心になって自らの創り出したサーカスに集まっているキャストを配していく。彼の言葉によって物語が動き出していくといった演出は抽象的な表現が多い荻田さんらしさが垣間見えたりしたかも。

印象的だったのはやはりバーナム夫妻のドラマ。

妻のチャイリーは夫が様々なコンテンツを誇張して見世物として興行する「いかさま」に対していい印象は持っていないのですが、その反面で奇抜なアイディアを出しまくって多くの人を魅了する夫の生き方にも大きな魅力を感じてしまっているんですよね。相反する二つの感情があるんだけど、結局は「彼の生き方に惚れてるの」っていう気持ちのほうが勝ってしまう。女心というのは非常に複雑だなぁと(笑)。
バーナムもそんな彼女の想いは重々承知しているのですが、溢れ出てくるアイディアが止まらなくてどんどん先に進んでいってしまう。でもそれができるのは、チャイリーの理解があるからこそ。凸凹なようで非常に良いバランスを保ってるのがすごいです。

バーナムが博物館の準備が間に合わないとパニック状態に陥るシーンは、夫婦の絆がしっかり結ばれていることを証明するような場面だったと思います。
夫がパニックになっている時、チャイリーは「まだあきらめないで」と励まし短期間で準備できるような提案をするんですよね。「いかさまの見世物興行」事態には反対の意見を持ってることに変わりはないのですが、思う存分夫に好きなことをして輝いていてほしいという想いから結果的にそれをアシストしてしまうチャイリーは非常に男前!!バーナムが自由に大きく羽ばたけるのは、彼女がなんだかんだ言いながらもしっかりサポートしてくれているからなんだなというのがこの場面からすごく伝わってきました。

意見は正反対だけど、それでもお互いに愛していると歌うナンバー♪生き方が好き♪はこの作品の中で一番印象に残ったシーンです。ライトでポップな曲調ながらも、二人の温かい愛情風景が心に沁みてきてちょっとウルウルしてしまった。
何といっても、バーナム役の加藤和樹くんとチャイリー役の朝夏まなとさんのコンビネーションの安定感が素晴らしい!!この二人を見ているだけですごい安心感があったし、最高の夫婦像が見えてきました。『ローマの休日』コンビ、最高でした!

しかし、そんな二人の間に隙間風が吹くときが訪れる。

超美人でキュートなスウェーデンのオペラ歌手ジェニー・リンドと契約したバーナムはすっかり彼女の魅力にハマってしまいメロメロに(笑)。英語が上手く話せない彼女に必死に言葉を教えようとレクチャーしていくうちに「あぁ、可愛いっ」って男の本性がムクムク顔を出してきちゃうバーナムが面白かったww。
でも、ジェニーを最初に採用するよう背中を押したのは妻のチャイリーだったんですよね。「いかさま」ではなく「本物」のオペラ歌手である彼女と契約すればショーに箔がつくと考えてのことだったと思うのですが、まさか夫の心が彼女に吸い寄せられてしまうとは予想してなかった。でも彼女はそんな二人に苦い思いを抱きながらも表立って責め立てるようなことはせずに黙って静観するんですよねぇ…。ラブラブな雰囲気の二人を振り返りながら哀しげな表情をしたチャイリーのシーンがとても切なかったです…。

バーナムとジェニーは旅公演を続ける中で良い関係を築いていましたが、バーナムはあるときその関係に限界を感じてしまう。「男としての本能がーー」とジェニーへの未練との葛藤はありましたが(笑)、結局は妻のいない生活に寂しさが募ってしまうんですよね。
そして彼はジェニーとの関係に終止符を打つわけですが、ジェニーはそんな彼を「物わかりのいい女」として手放す。一人になった時に「甘い裏切りね」と歌う姿がとても切なくてグッときました。ホント、男っていうのは勝手な生き物だよねぇ。でもそれでも女は惹かれてしまうわけで、男女の関係は複雑だなぁと思ってしまいました(苦笑)。それに、和樹くんが演じるバーナムは実に魅力的だったし仕方ないかw。

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チャイリーは複雑な想いを抱きながらも「それでもまだあなたのことを素敵だと思ってる」としてバーナムを受け入れます。なんと大きな度量よ!!でもその代わり、彼女はバーナムに「今後は私のやり方に従って」と条件を出します。妻を裏切った手前、それに従うしかないわなw。

ということで、元鞘に戻ったバーナムは妻の希望通り堅実な職業に就きます。最初は時計工場の従業員でしたが、そこからさらにステップアップして政治家を目指しついには市長になる。やればできるんですよね、バーナム。これまで様々な奇抜なアイディアで人を楽しませてきた経緯もありますから、頭の回転はすごく良い人だったんだろうなと思いました。そしてやっぱり、妻チャイリーのサポートも大きかったと思いますね。

しかし、そんな二人の時間もある日終わりを告げるときが…。

だいぶ年齢を重ねたであろうバーナム夫妻が現れるのですが、二人とも老けメイクをせずにあえて若い姿のままで老後の姿を演じていたのがとても印象的でした。姿形はまだ若々しいのに、チャイリーは歩く速度もゆるやかで息切れをしていて、バーナムはステッキを手にゆっくり歩みを進め妻をいたわっている。
市役所前の階段で立ち止まり二人の穏やかな時間を過ごすわけですが、チャイリーは徐々に階段を上り始め風船を掴んだまま姿を消してしまいます。いくら妻の名前を呼んでも、彼女は振り返ることなく天へ昇って行ってしまった…。チャイリーの死をとても穏やかにメルヘンチックに演出、こういう抽象的表現は荻田さんならではだなと思いました。

一人残されたバーナムは政治家の道に見切りをつけ、支援者の声に背中を押されもう一度ショービジネスの世界へ戻る決意をします。最初は渋っていたバーナムが「それは木下サーカスにでも頼んでくれ」ってそっぽを向いたシーンが面白かったw。これは、この作品をサポートしてくれている木下大サーカスへのリスペクトのセリフってことでしょうね(そもそもこの時代に木下大サーカスないしww)。
次々に浮かんでくるアイディアに心躍らせショービジネスの世界で息を吹き返していくバーナム。やっぱり彼にはこういう派手な世界が似合います。そんな夫の姿を舞台後ろの上段から天国の妻が優しく見守っている。姿は見えなくてもちゃんと絆が繋がっているんだなぁと感じられてとても感動しました。

そして最後の最後、バーナムは幕の中へ去っていきました。
冒頭のシーンを見たときから”劇中劇”的な雰囲気を感じていましたが、ラストシーンを見たときに「私たち観客は、バーナム自身の”人生”という名のサーカスを見てきたんだな」ということを悟りました。この作品には終始”リングマスター”というナレーション的立場のキャラクターが登場していたのですが、彼の存在がより際立ったラストでもあったなと思いましたね。

私個人としては荻田演出作品は好き嫌いが分かれることが多いのですが(とある作品演出に関してはけっこうトラウマになったし 苦笑)、今回のは当たりでよかったです。

主なキャスト感想

加藤和樹くん(フィニアス・テイラー・バーナム)

和樹くん、とにかく今回の舞台では出ずっぱり状態でめちゃめちゃ頑張ってました!登場した後に舞台中央で側転してみせたのにもビックリ!さらには劇中でタップダンスも披露!!タップ巧者のアンサンブルさんたちとの息もぴったり合っていてすごく感動しました。大変なお稽古状況のなかであそこまで踊れたり動けたりするのは本当に大変な作業だったと思います。やっぱり彼は努力の人だなぁと。

舞台の立ち姿はもう言うまでもなく惚れ惚れするほどスマートでカッコイイのですが、バーナムは感情表現が豊かな人物だったことから、可愛らしい子供みたいなスネ顔や屈託ない笑顔など時には子供みたいなピュアな表情が盛りだくさんで最高に萌えました(笑)。実にチャーミングでした!
特にチャイリーの前でふくれっ面した時に彼女からその頬風船を割られたシーンは可愛すぎ!!思わずマスクのなかで見ている私の口角が上がりまくってしまったww。

歌の表現力もまたさらに上がった気がしますし、それに何より、相当分量の多いセリフをよどみなくシーンごとに様々な感情を織り交ぜて演じていたことにとても感動しました。それがまた、流れるように自然に演じてたんですよね。演じてるっていうよりも…バーナムその人そのものだった。

見るたびにどんどん進化していく和樹くん、次の作品で会えるのがとても楽しみです。

朝夏まなとさん(チャイリー・バーナム)

朝夏さん演じるチャイリーは夫のやることに複雑な感情を抱きながらも「それでも愛してる」と言って彼を献身的に支えていくのですが、実に爽やかに好演されていました。夫のことが大好きだから自然と彼を支える行動をとってしまうというのがすごく納得できた。ピンチの時には明るく励まして前向きモードにさせたりといった男前な一面もあって、バーナムはこんな良妻を持てて幸せ者だなぁと何度思ったかw。

スウェーデンのオペラ歌手ジェニーの登場によって夫の心が一時離れてしまっても、チャイリーはじっと耐えて待つ。待ちながらも、夫の心が離れてしまったことに対する哀しみを宿した目をして振り返ったシーンがとても切なかったです。バーナム、あんだけ支えてくれたチャイリーにそんな顔させちゃダメだよーー!!って思わず心の中で叫んだくらい。

晩年に彼と語り合うシーンでは大きな母性を感じさせられました。年老いても子供のようにはしゃいで語るバーナムを包み込むような優しい眼差しで受け止めていた姿はとても美しかったです。語りの最中に風船を掴んでこの世から去っていく朝夏チャイリーにはグッときました。

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矢田悠祐くん(トム・サム/リングマスター/ ジェームス・A・ベイリー)

今回藤岡くんが無念の降板となってしまったことで、彼が演じるはずだった役を一手に引き受けてくれていたのが矢田くんでした。最初はトム・サムとアンサンブルだけだったんでしたよね。

リングマスター役は舞台をけん引するナレーションのような役柄でとても難しかったと思うのですが、よく通る声で時に滑稽に、時に力強く観るものを惹きつける話術は実に見事でした!まるで彼の手の内で登場人物が踊っているかのような感覚にもさせられましたし。

ベイリー役は2幕クライマックスでバーナムを再びショーの世界へ導く役。最初は渋っていたバーナムを見事な話術でその気にさせていく様は実に爽快で説得力がありました。

そして本役のトム・サム(親指トム)。身長がとても低い(16センチって売り出してるしww)設定をどう表現するかと思ったら、顔の下に小さな衣装を着けてアンサンブルさんの影を利用して小さく見せるっていうとても古典的な手法だった(笑)。でも不思議とちっちゃいサムが見えてきたから不思議。この見せ場シーンはとても面白かったです。

これだけの役柄を、矢田くんは実に巧みに演じ分けていてビックリしました。リングマスターのあとにサムが出てくるんですけど、表情も声色も同じ人物とは思えないくらいでしたよ!しかもそれを自然に演じてたのがすごい。
そして、歌が抜群に巧いです!!!確か以前「王家の紋章」初演の時に矢田くんを見たことがあって「この歌の上手い子は誰!?」と思ったのですが、あの時からまたさらに進化してたんじゃないですかねぇ。これからもどんどんミュージカルの世界で活躍してほしい逸材です。

フランク莉奈さん(ジェニー・リンド)

莉奈さんは本当は昨年の「RENT」で久しぶりに観る予定だったのですが、公演中止になってしまったので見れずじまいになって…。『パレード』も体調不良での降板となってしまい心配していたのですが、今回久しぶりに元気な姿の彼女に会えて嬉しかったです。

莉奈さんのジェニーはもう登場した時から華やかな美しさと可愛さで一気に目線がそちらに向いてしまうような存在感がありました。元々美人な子でしたが、今回の輝きは本当にまばゆい程でグッと心つかまれましたね。バーナムが一目惚れ的に恋に落ちてしまったのも納得です(笑)。彼女の顔見るたびに「あぁ、可愛い…!」って崩れ落ちてたくらいでしたからww。

そしてもう一つ印象的だったのが、歌唱力がものすごくアップしていたこと。ジェニーはオペラ歌手役ということもあってか、相当頑張ったと思います。以前見た舞台の時よりも格段と歌声に安定感があったし、高音も美しく響いていました。それに加えてあの”天使の微笑み”でしたから、どこをとっても魅力満載でしたね。

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原嘉孝くん(エイモス・スカダー)

原くんは今年初めに観に行った『両国花錦闘士』が記憶に新しい。あの時は旧居の主役抜擢でとても大変だったと思うのですが、全力で熱演していた姿がとても好印象でした(作品自体は個人的にはあまり好きではなかったけど)。

今回はバーナムの支援者という役どころでしたが、キャラがすごく濃くて面白かった(笑)。とにかくハイテンションで土岐にはピエロのように滑稽な表情を見せたりと本当に熱演!和樹くんとのドタバタなやり取りも面白かったです。

中尾ミエさん(ジョイス・ヘス/ブルースシンガー)

中尾ミエさんはもう、圧巻の存在感でしたね!

冒頭シーンでは突然「116歳のおばあさん」に仕立て上げられるわけですがw、よぼよぼのおばあさん的に声を震わせて歌いながらも歌の芯の部分はシッカリしていてブレてなかったのはさすがです。和樹くんにお姫様抱っこされてたシーンとかもあってショー的に見てもとても楽しかった(ちょっと羨ましかったww)。

2幕ではバーナムの新しい人生を彩る形でブルースシンガーとして登場。圧倒的な存在感と心に響くようなブルースの歌声に大いに魅了されました。

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後述

神戸公演初日ということで、カーテンコールも盛り上がりました。徳に挨拶とかはなかったのですが、スタンディングオベーションとなって大きな拍手が送られている時に、頭を下げていたキャストの数人は興奮を抑えられないような感じで声を上げていました(今回、最前列だったのでそれがよく聞こえました)。和樹くんも声上げてたっけ。

最後のカテコで舞台袖に入っていくとき、和樹くんは深々と少し長い時間頭を下げた後に力強く拳を上に突き上げてガッツポーズしてましたね。何度も生声で「ありがとうございます!」って言ってたし、あの瞬間、ものすごい手ごたえを感じていたんだろうなと思いグッときました。

サーカス演出的には色々と物足りなさもあったと思うのですが、私はそこにあまり違和感を感じなかったし、むしろ温かい雰囲気でじっくりバーナム夫妻の人生を見れたことにすごく満足感を覚えました。映像演出やジャグリングなど見所の多い楽しい作品でした。普段のミュージカル以上のパフォーマンスをやってのけた役者の皆さんには本当に拍手!!
再演の時にはコロナも落ち着いてさらに華やかな演出で見れるといいなと思いました。