ミュージカル『蜘蛛女のキス』観劇のため再び東京まで遠征してきました。7日ソワレに続いての8日マチネ公演になります。
この日は前日とは打って変わって寒く雨が降っていた池袋。でも、理想としていた『蜘蛛女のキス』を観れる喜びで興奮気味だった私はめちゃめちゃ昂っておりました(笑)。前日ソワレは自分自身の感情コントロールが効かなくなるくらいになったほどなのでなおさら(汗)。
※情緒がおかしくなった時の7日ソワレ感想(暑苦しい内容に注意w)↓
ただ、一つ大変だったのが荷物です。元々はコロナ禍で見送らざるを得なかった実家に2年ぶりに里帰りするための上京でもあったので、滞在期間はほぼ1週間と長めにとっていました。そのため荷物の量がかなり多くて(汗)。この日は東京から実家の方へ向かわなければならずホテルを出る日だったのですが、劇場のクロークがコロナ禍ということもあってか開いてなかったんですよね。
仕方なくホテルの方に荷物を預かってもらって劇場へ向かったのですが、8日マチネはトークもあったのでかなり遅い時間までお願いすることになってしまいました。劇場からホテルにも戻らなければならなかったし、そこだけがちょっと大変だったかな。遠征だとこういった細かいこともけっこう苦労します(苦笑)。早くコロナ禍落ち着いてクロークに預けられるようになってほしい…。
以下、ネタバレを含んだ感想です。
2021.12.08マチネ公演 in 東京芸術劇場プレイハウス(東京・池袋)
主なキャストと、あらすじと概要については12月2日マチネのレポで少し詳しく書いたのでそちらを参照してください。
過去の『蜘蛛女のキス』ネタバレ感想はこちら↓
全体感想(村井良大くんバレンティン感想中心)
ミュージカル『蜘蛛女~』は本当に個人的にものすごく思い入れが深い作品で、12月2日に久しぶりに観劇して”やっと帰ってきてくれた”と確信した時に実は数回チケットを買い足しましたw。たぶん10年前と同じだと感じたら2回きりで止めてたと思うんですが、そうではないと思えたので今年前半に中止返金された分をほぼこちらにつぎ込んでしまった(笑)。こんなヤバイ買い方したの何年ぶりだろうか。たぶん当分この先ないと思いますw。
ということで、実は大阪は全部観ることになってますww。相葉くん2回と、村井くん2回。なので、今回は初めて見た村井バレンティンについての感想に特化したいと思います。改めて全体を見た感想は大阪公演を観た後に改めて。
村井良大くんがバレンティンを演じることになったと初めて知った時には”イメージに合いそう!”と真っ先に思いました。というのも、今年の1月の大沢たかおさん主演舞台『INSPIRE-陰陽師-』で藤原兼家を演じていた村井くんを観たときに(配信でしたが)、予想した以上に男っぽく力強い印象を受けたんですよね。それまでは「RENT」のマーク役などちょっと抑え気味な役を観ることが多かったのでそのことに驚いてしまった。
だから、革命家で現実を生きる激しく熱い男のバレンティン役は村井くんにハマるはずという確信めいたものがありました。結果、思っていた以上に”バレンティン”だったよ!!やっぱり予感的中してた。陰陽師の時よりもさらに”漢”度がアップしてた気がします。
村井バレンティンを見て一番驚いたのは、相葉バレンティンとキャラがかなり違っていたこと。1公演で同時にこんなにも異なる個性のバレンティンを見れるなんてすごく贅沢なことだなと嬉しくなりました。それゆえ、石丸さんが演じるモリーナもちょいちょい彼に対する反応が違っていて見応えがありましたね。
ブルーブラッド ~ ドレスアップ/一線を引く
石丸モリーナが観るごとにめちゃめちゃ自然体になってて、あれは芝居じゃなくて普通にバレンティンにチョッカイ出してるんじゃないかと錯覚するレベルになってます(笑)。そんなモリーナに対し、村井バレンティンはものすごく鬱陶しそうにするわけですが…、相葉バレンティンと違ってあまり感情を表にグワッと出さないのがとても印象的でした。
喋りまくって気を惹こうとしてるモリーナにたしかに苛立ってはいるんだけど、グッと押し殺した怒りオーラで威圧してくるような感じ。激しく怒鳴っていないのにめちゃめちゃ苛立ってるなというのが一目瞭然だったw。これはけっこう意外だったなぁ。もっとグワーーっと感情をぶつけてくると思ってたので、一人でメラメラしてるようなキャラできたことにまず驚きました。
モリーナに静かにするようにと再三注意する時も、相葉くんみたいに口に手を当てて「シーッ」とかやらなくて睨みつけるだけ。内側にマグマのような感情を秘めた孤高の人っていう印象がすごく強かった。
愛しい人(Dear One)
モリーナとバレンティンが愛する人を想って歌うナンバー、何度聴いてもこみあげてきてボロ泣きしてしまう(涙)。めちゃめちゃ美しい名曲。モリーナのお母さんも、バレンティンの想い人のマルタも、彼らの記憶の中で優しく温かく包み込んでくれるんだよねぇ…。
村井バレンティンはモリーナへの苛立ちに感情が乱されそうになるんだけど、マルタを想っている時はとても穏やかで、戦士の顔から頼りない一人の弱い男の顔になる。ここの変化がまたものすごく泣けました。
夢の中なら
モリーナと一緒の時間を過ごす時間が経過していくにしたがって、少しずつ自分の感情を表に出していくようにみえた村井バレンティン。ここでとても印象的だったのが、現実を見ないようにすればいいと宝塚盤見たいなオーロラの話をモリーナが夢中で歌う場面です。
ここに至るまでの石丸モリーナがめっちゃ乙女になっててビックリ(笑)。石丸さんと同一人物とは思えないレベルにまでいってた。
この場面、相葉バレンティンは妄想の中に入り込むにしたがってその世界観を楽しんでいるように演じていましたが、村井バレンティンはただただ翻弄されまくってるといった感じでダンサーさんたちが一緒に踊ろうと促しても”成されるがまま”みたいになってたのがめちゃめちゃ可愛かった(笑)。目をキョロキョロさせて自分が一体何をされてるのか理解が追いつかないような動揺っぷりがたまらなく萌える!
このあたりの演技プラント相葉くんとアプローチが全然違うんだなぁと面白かった。
マルタ
狭い牢獄に多くの囚人たちと一緒にモリーナとバレンティンが閉じ込められる場面。ここのナンバーも本当に切なくて美しすぎて毎回号泣してしまう(涙)。この作品ほどこんな随所に心の琴線に触れる楽曲が出てくるの、ないんじゃないかなとすら感じます、本当に。
相葉バレンティンは苦しそうに呻きながらも哀しげな表情を見せていたのがめちゃめちゃ泣けたんですが、村井バレンティンは最初感情をどこかに置き忘れたかのように呆然とした表情を見せていたのが非常に印象深かったです。
そんな彼が立っていられたのはマルタへの想いただひとつだけ。途中で死人が出てしまうことに怯えながらも必死にその場にあり続ける姿がものすごく泣けました(涙)。そしてその横の石丸モリーナは胸に手を当てながらバレンティンの感情を感じているようにも見えてさらに涙…。
ガヴリエルの手紙
再び激しい拷問を受けたバレンティンはモリーナの介抱で何とか復活します。このあたりからふたりの心の距離感が近づくのを実感してくるんですけど、村井くんが演じているバレンティンはその少し前あたりからモリーナに対して心の門戸を開いているような印象がすごくあったのでとても自然な流れに見えました。
食事中の会話も、村井バレンティンは比較的穏やかにセリフを話しているのでモリーナも心地よく自分のことを話しているように見えたな。相葉バレンティンの場合はこの時点でもまだ壁を感じさせてましたから、このあたりの演じ方もだいぶ個性が違うんだなぁと思いました。
モリーナがバレンティンの食べるはずの食事を口にしてしまい腹痛で倒れるシーン。モリーナは毒にやられて苦しんでいるのですが、そんな彼に「どうしてほしいのか言ってほしい」とバレンティンが語り掛ける。
相葉くんは少し離れた場所から”早く何をしてほしいのか言って!”みたいな焦りの表情をみせていましたが、村井くんは自分が引いたはずの一線を普通に超えてモリーナのすぐ近くまで行って”俺にどうしてほしいか言え”とかなり優しい雰囲気で尋ねていました。優しさが目に見える形で表れてたのは村井くんのほうが大きかったな。このあたりの表現も演じ方ひとつでだいぶ印象が変わるんだなと思いました。
彼女は女
モリーナが診療所へ行っている間、食事を与えられていなかったバレンティンはモリーナ帰還と共に与えられた食事を完食してしまいます。この時にはもうだいぶ疲弊してることもあり、バレンティンは饒舌でモリーナに自分自身のことを喋ってしまうのですが、モリーナとしては所長から”秘密の任務”を受けてるため聞きたくない。ここの二人の駆け引きみたいな場面がこれまためちゃめちゃ切なくて胸が痛いんですよねぇ…。
しばらくするとバレンティンは食事に含まれた毒にやられてとてつもない腹痛に苦しめられる。この時の反応が村井くん、めっちゃリアルに演じてた。看守たちへの恨み言を言いながらも激痛のあまり苦しいという言葉が随所に出てくる。このあたりの表現力は本当にすごいなと思いました。
朦朧とする意識の中でバレンティンはモリーナに感謝するのですが、その直後に「マルタ」と想い人の名前を呟いてしまう。泣きそうな縋るような声出してたなぁ、村井くん…。彼女を想っている時の村井バレンティンは本当に無防備で頼りなくて泣ける。
そんな姿を見た石丸モリーナが、自分と彼は結ばれることはないと思い知らされて涙ながらにマルタが羨ましいという気持ちを込めて歌うわけで…ここも涙なしには見られなかった(泣)。
愛し合おう
日によって劇場の反応も違うと聞くのですが、今回東京で3回観劇してそれを肌で感じました。実は2日に観劇した時はほとんどのシーンで拍手が起こらなくてめちゃめちゃ張り詰めた雰囲気だったんですよね。で、7日に観たときには拍手があって、今回の8日に観たときには「愛し合おう」で極楽鳥のオーロラとダンサーが出てきたときに手拍子が起こってた!!これはちょっとビックリしました(石丸さんや安蘭さんも驚いたそう)。つくづく、舞台は生ものだなぁと思います。
この場面でのバレンティンも相葉くんと村井くんとでは演じ方が全然違ってた。相葉くんは苦しみながらも必死にモリーナの語るオーロラの映画の世界に没頭しようとする雰囲気を出していましたが、村井くんはその余裕がないくらい苦しんでて…、なんとかオーロラの世界観に足を踏み入れようとしても何度も吐き気に襲われポットにリバースしまくってました(汗)。
あの反応は初めて見た。村井バレンティンはもう、限界超えて相当苦しいんだろうなというのがリアルに伝わるんですよね。このあたりの違いもとても興味深かったです。
グッド・タイムズ
2幕に入ると急速にモリーナとバレンティンの関係が親しくなってるわけですが、村井バレンティンはそこであまりテンションを上げすぎずに自然体のままでモリーナと接していたのがとても印象的でしたね。これまで見下していたけれど、ここにきて同じ目線で接するようになったことが伝わってきます。敵意の表情は消えてとてもリラックスした穏やかな笑顔を浮かべていたのもとても良い。
そしてオーロラの映画の世界に二人で飛び込んでいく。ここで初めてバレンティンはモリーナと同じテンションで同じ世界を見るんですよねぇ。それだけでも本当に胸アツです。
映画の最後のほう、バレンティンが役になりきる場面があるんですがラストシーンのところでオーロラに突き飛ばされちゃう(笑)。この時の突き飛ばしっぷりは日によって安蘭さん変えてるんでしょうかw。7日はけっこうな勢いで相葉くんを飛ばしてましたがw、8日はそれに比べるとちょっと控えめだったような気がします(笑)。
明日こそは
オーロラの映画の世界を堪能した後、バレンティンは自らが体験した現実を語ります。この時のバレンティンの立ち位置が相葉くんと村井くんでは全然違ってて。相葉くんはモリーナとの距離を保ったまま歌い出すのに対し、村井くんは映画が終わった直後あたりからモリーナの真隣に座っていてちょっとビックリしました。村井バレンティンは、無意識のうちにモリーナとの心の距離を自分で縮めていたのかもしれないなとその時に強く感じました。こういう表現の仕方もあるんだと、すごい新鮮でしたね。
ここの演出はちょっとレミゼの『ワンデイモア』を意識したように見える感じになっているのですがw、村井くんは仲間たちが現れると一人一人とじっくり話をしながらその輪に加わっていくような印象でした。そうやって仲間たちの信頼を得ていたんだろうなというのが伝わってきたよ!歌声も力強くてとても感動的だった。
彼のためならなんだって
モリーナは”秘密任務”のためにバレンティンよりも早く出所することが決まる。任務のことを隠しながらバレンティンに牢から出られることを告げた時、彼は心からそれを喜んでくれます。村井くんも相葉くんもモリーナと別れることを本当に寂しいと思っているように感じるのですが、その後の表情が違っていたのがとても印象深いです。
相葉バレンティンは「体を重ねれば彼は何でもやる」と歌いながらも、そう思ってしまう自分に苦悩している想いが痛いほど伝わってきて泣けたのですが、村井バレンティンは「彼はやってくれるはずだ」という確信に満ちたような表情をしているように見えました。
私としては、村井バレンティンはモリーナのことを”革命の同志”という目で見るタイミングが少し早かったのかなと思いましたね。だからこのナンバーを歌っている時もあまり迷っているようには感じませんでした。彼はいつの間にかモリーナを仲間として認めてたんだろうなって思えたな。あぁ、そういうアプローチもあるんだってちょっと驚きました。
モリーナを抱きしめる腕はとても逞しく、そして優しかった。あの時の感情に嘘はなかったと思える優しさに溢れてた村井バレンティン。モリーナもそれに身を任せようと思う気持ちが自然と沸いたと思います。求める愛情ではなかったとしても、受け入れられたというのは感じたんじゃないだろうかとか…、あの場面は色んなことを考えました。
そして別れの時のキス。村井バレンティンの石丸モリーナに対するそれは信頼感に溢れていて泣けました…(涙)。モリーナに人間としての尊厳を持ってほしいと心から思っていることも伝わってきた。そんな感情が伝わるキスだったからこそ、石丸モリーナはあれだけ泣いたんだろうなと思うと胸が詰まる…(涙)。でもこのキスはモリーナにとってはものすごく大きな意味を持ってたんですよね。トークの時にそれを聞いた時にビックリしました(次の記事でレポします)。
嘆きの壁 ~ 映画の夢
牢獄から解放されたモリーナは明らかに表情が変わっている。このあたりの微妙で繊細な表現が石丸さん、本当に素晴らしいなと思いました。
バレンティンは自分の同志としてモリーナが勇気を持った行動をしてくれると信じていた。でも、待っていた現実はあまりにも残酷だったわけで…。そこまでどちらかというと強い信念を持った戦士のようだった村井バレンティンでしたが、あの瞬間、そのすべてが崩壊したかのように大きく取り乱してしまう。この落差が本当に痛々しすぎて見ていてもう、号泣するしかなかったです(涙)。前日に相葉バレンティンで号泣したのに、翌日の村井バレンティンでも嗚咽寸前まで泣かされるとは…!!
ラストシーンはモリーナの最後の晴れ舞台。そこにいる村井バレンティンはやっぱりどこかちょっとシャイで、でも温かい笑顔を称えててそれがまた泣けるんだよなぁ(涙)。このあたりのことは大楽が終わってからまた書こうかなと思います。
後述
東京公演を上演中に東武百貨店でパネルの展示会があるというのを知って8日マチネ前に行ってきました。気づいてない人も多かったからか、私以外で写真撮ってる人いなかったな(汗)。
7階にあった旭屋書店ではメインキャストのサイン入りパネルと石丸さんのサイン付き台本が展示されていました!!めっちゃ貴重!!!
そして12階の吹き抜けスペースでは間近でサイン入りのパネルを見ることができるようになっていました!!これも超貴重!!
ここに展示されたパネルはこの後どうなったのか気になります(欲しかった!!)。何かの応募でプレゼント企画とかあったのかもしれない。
東京公演では他にも相葉くんと村井くんのトーク動画特典日や、スタンプラリー特典もありまして…、私は運が良いことに3回の東京遠征でこれらを受け取ることができました。大阪公演はなかなかこういう企画ないからなぁ…。それが本当に残念。
このミュージカルは本当に中毒性があるというか、あんなにも心抉られるようなしんどいシーンもあるのに、美しくて儚くて切なくて、何度でも足を運びたくなる唯一無二の作品だと思います。とにかく脚本と楽曲、そしてモリーナとバレンティンの繊細な人間ドラマが本当に素晴らしい。
大阪公演は全部観る予定にしてますが、おそらく号泣続きになる予感がするので無事に帰れるのか不安なくらい(笑)。見届けたあと、また暑苦しい感想を書くと思いますw。
本編の後のトークレポは次の記事で少し紹介します。