ミュージカル『蜘蛛女のキス』東京公演 2021.12.07ソワレ

ミュージカル『蜘蛛女のキス』観劇のため再び東京まで遠征してきました。

12月02日マチネ公演から1週間経たずしてまた池袋まで来ることになりました(笑)。しかも今回は7日ソワレと8日マチネの連チャンですw。私の好きだった『蜘蛛女~』が帰ってきてくれて本当に良かったとホッとしております。

本当は2日分一緒にまとめて感想書こうと思っていたのですが…、7日のソワレを見た時に前回とはまた違った衝撃と感動を受けて宿泊先に戻ってもしばらく思い出して涙がぽろぽろ零れる異常事態になりまして(汗)。気持ちが熱いうちに7日ソワレの感想だけガーーっと吐き出してしまうことにしましたw。

この作品に対する思い入れが個人的にちょっと他とは違う暑苦しさがあるのでww、そんなん読んだら疲れるわ!って方はスルーしてください。深く考察してるわけでもないし、ちょっと今回のは感情が赴くまま書いてる感じなのでご注意を(次回はもう少し冷静になって書くと思います 汗)。

以下、ネタバレを含んだ感想です。

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2021.12.07ソワレ公演 in 東京芸術劇場プレイハウス(東京・池袋)

主なキャストと、あらすじと概要については12月2日マチネのレポで少し詳しく書いたのでそちらを参照してください。

過去の『蜘蛛女のキス』ネタバレ感想はこちら↓

全体感想

2021年バージョンの1回目を見た時は、ただただ90年代に観て雷に打たれたかのような衝撃を受けたあの作品の世界観が戻ってきてくれたことが嬉しくて感涙してしまったという感覚が大きかった。でも、今回は純粋に2021年バージョンの『蜘蛛女のキス』そのものに心が大いに震えてボロ泣きしてしまいました(涙)。

なんか、自分のDNAの中に死ぬ間際に観たい作品とまで思うほど好きだったあの衝撃と感動が組み込まれてるような感覚すらしたかも。宿に戻った後も頭の中にあの音楽がぐるぐると鳴り響いて気が付いたら涙が出てる状態になっちゃうし、脳みそがジンジン震えてるような感覚も残るし(汗)、こんなに自分の体に異変が起こるほどの体験はすごい久しぶりでした。10年前に一度ガッカリしてしまった経験があっただけに(個人的に、です。あくまでも←過去記事参照)なおさらかもしれません。
見終わった後に実感したのは、わたしにとって本当にこの作品は特別の中の特別な作品なのだなということでした。

正直、観ながらほぼ全部のシーンで号泣してたといっていいほどだったのですが(マスク取り替えるくらww)、特に泣いた場面についていくつか。

オーロラ

モリーナの大ファンの女優「オーロラ」はが彼の想像の中でだけ登場してくるのですが、暗く重苦しい雰囲気を一気に吹き消してくれるようなカッコいい歌とダンスを披露してくれます。この冒頭シーン見て、もう、感情が90年代にタイムスリップしたような気持になっちゃっていつの間にか涙してた(←はやっ 汗)。

ドレスアップ/一線を引く

拷問されて意識を失っていたバレンティンがようやく5日後に覚醒。そんな彼の気を惹くためモリーナは自分自身のことをまくしたてるのですが、これがまたすごく愛らしくてたまらないのです。石丸モリーナの可愛さが1週間前よりもさらにレベルアップしてて、市村モリーナとはまた違った石丸さんならではの新しい魅力を感じましたね。それが本当に嬉しかった。

でもバレンティンはモリーナのおしゃべりがただただウザいだけで、牢獄の中に見えない境界線を引いてそこから入るなとシャットアウトする。これ、初演再演の時は実際に紐みたいなの置いてライン引いてたんですが、見えない線ということに変わりましたね。10年前もそうだったかな。でも今回はそれがあまり気にならなかったかも。っていうか、バレンティンがモリーナに「シーー!!」って口をつぐませてモリーナもそのマネするってやつがめちゃめちゃ可愛くて萌え泣きww。

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愛しい人

これはもう号泣ナンバーの一つですよ。二人にはそれぞれとても大切な女性の存在がいて。バレンティンはマルタ、モリーナは母親のことを想う。モリーナ、バレンティン、マルタ、モリーナの母の4人による「Dear One」の歌詞と音楽がもう、思い出すだけでも涙がこみ上げるほど美しく優しいのです!!よくぞあんな素晴らしいナンバーをカンダー&エブは創り上げてくれたと感謝の気持ちすら湧いてきますよ。名曲中の名曲です。

嘆きの壁3(マルタ)

バレンティンが政治犯の仲間について口を割らないことでほかの囚人たちと一緒に狭い牢獄に数日閉じ込められる拷問にかけられてしまう場面で、ものすごく美しい切ないナンバーが流れてくるのがこの作品の凄いところ。初演で初めて聞いた時に涙止まらなかったんですが、今回も大いに泣いた。

バレンティンは苦しいなかで愛するマルタを想って歌うんですが、もうこれがほんとに涙なくしては聴けないくらい切ないんですよ。哀しい旋律じゃなくて、優しくて温かいんです。そして、マルタを想いながら歌うバレンティンの横でモリーナがとても悲しげな顔をしながら彼に切ない視線を送ってる。この時のモリーナの手の動きがまた泣けて泣けて仕方なかったです(涙)。

夢の中なら

ここの見どころは何といっても、安蘭さん演じるオーロラがキラッキラの宝塚時代を彷彿とさせるカッコいい衣装で登場することですよね。宝塚時代から安蘭さんのファンだった方は特にテンションが上がるのではないでしょうか。まさに、モリーナがバレンティンに現実を忘れさせる妄想世界をそのまま具現化したような華やかさで観ていて心が躍りまくります。

あと、この場面で個人的にものすごく感極まった場面があって。モリーナの話にこれまで入ってこようともしなかったバレンティンが、このナンバーの後半からついにその世界観に足を踏み入れるんですよね。ここまで苦しいことしかなかったバレンティンが戸惑った表情から、すごく楽しそうに没頭する瞬間があるんです。それ見た時にものすごく泣けて泣けて仕方なくてボロ泣きしてしまった(涙)。あぁ、よかった…ってもうその気持ちだけで感極まりすぎて涙。

愛は奇跡

拷問を受けて傷だらけになったバレンティンを見てモリーナがたまらずオーロラを呼び出す場面。なぜ彼はこんなに強いのかと泣きそうになりながら尋ねるモリーナに対し、オーロラはまるで母のような温かさで彼を抱きしめながら「愛だからよ」と答えるんです。このナンバーも、本当になんでこんなに愛しく美しいんだろうって心が震えて涙が止まりません…!!まさに母性に包まれているような感じ。また幼い少年のようなモリーナの表情が泣けるんですよ…。

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ガヴリエルの手紙

ここはたしか「最初の女」っていうタイトルも入ってたはずなのですが、それがなくなりましたね。モリーナの想い人のガヴリエルの手紙と、バレンティンが同時に思い出す最初の女性経験についての記憶が交互に歌われるんです。

モリーナの記憶の中のガヴリエルはモリーナにとても優しくて、でも彼の気持ちにはこたえることができないとやんわり断っている。一番泣けるのは、「映画のチケットが2枚あるんだけど」ってモリーナが誘うのにガヴリエルは「ごめんよ、本当に」と拒絶しちゃうところ。その時の寂しげに笑うモリーナが泣けて仕方ない(涙)。

バレンティンの最初の女性経験の歌詞はちょっと今回具体的になってたw。でもいやらしい感じじゃなくて。でも砂利の上っていうのは痛かったのではと思っちゃった(←コラw)。初演再演では「2ペソの安い金を払った」みたいな歌詞があったんですよね。

恥だなんて

食べ物に仕組まれた毒にやられたモリーナがモルヒネを打たれている中で母親の夢を見る場面。ここの母と息子のやり取りがこれまためちゃめちゃ泣けるのです(涙)。とにかくお母さんの愛があったかすぎて…。カンダー&エブの歌詞と旋律がこれまた極上に優しくて…、どうやったらあんな泣けるような美しいものを創造できるのだろうと思ってしまうほど。

彼女は女

モリーナが入院中の3日間まるで食事を与えられなかったバレンティンが、モリーナの帰還と共に出された食事に飛びついてしまい今度は彼が酷い腹痛に襲われてしまう場面。
ここは二人の関係が一番動く重要な場面でもあるのですが、バレンティンの世話をするモリーナのセリフが初日明けてからすぐに変更されたと話題になったそうですね。公演中にセリフやニュアンスを変えれるところがこのカンパニーの凄いところだなとも思いました(私は変更後しか見ていませんが、事態は把握しました)。

世話をしてくれたモリーナに心を開き始めるバレンティンでしたが、痛みで気を失う瞬間に告げた名前は「マルタ」だった。それを聞いてしまったモリーナが「マルタは女だから彼に想われるのが許される存在」と哀し気に歌う。ここももう、涙なくして聴けませんっ!!号泣です(涙)。モリーナの心情を想うと切なくて切なくてたまらんです、ほんと。

愛し合おう

1幕ラスト、バレンティンが医務室へ連れていかれないようにモリーナは必死にオーロラの当たり役の映画の話を聞かせる。バレンティンは痛みに苦しみながらも、オーロラが演じる極楽鳥の映画の世界に必死に入っていこうとする。それを誘導するモリーナも、サンバのリズムで楽しげに踊るオーロラとダンサーたちの映画の世界も、痛みに負けじと精神を集中させようと必死になってるバレンティンも…、もう、このせめぎ合いのドラマが痛々しくも切なくて素晴らしくて…!なんかもう、ほんと、すごいものを見てるっていう感動がめちゃめちゃ押し寄せてきました。

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グッドタイムズ

2幕に入るとモリーナとバレンティンの関係が一気に好転します。二人で楽しそうにごちそう頬張ってる姿がなんだか可愛くて愛しくてたまりません。

そんななかで、モリーナはバレンティンのリクエストでオーロラの当たり役だった映画「サンクトベテルブルクの炎」を語ります。ここのシーンの演出が個人的にすごく好きです。映像での見せ方がものすごく巧いと思う。モリーナが目にした映画の場面が一目瞭然で伝わってきて分かりやすい。

この場面の何が一番泣けるかというと、オーロラが演じるタチアーナの顛末が、これから起こるであろうモリーナの顛末とものすごく重なって見えてしまうことです。ラストの伏線みたいになってるんですよね。だから、どのシーンもめちゃめちゃ泣けて仕方なかった。これは初演の時から本当に心揺さぶられてるシーンの一つです。

あしたこそは

初演再演の岩谷時子さんは「その次の日」と訳してて、それが今でもすごい記憶に残っているのでまだ少し今の歌詞に慣れないところがあるのですが、それでも、このバレンティンのビッグナンバーも本当に心がこれでもかってくらい揺さぶられます。びっくりしたのは、相葉くんのバレンティンの歌声が1週間前よりもさらに太く力強くドラマチックになっていたこと。演出がちょっとレミゼ意識したっぽくなってるのでアンジョが被るかもしれないんだけど、相葉くんがアンジョに見えたことは一度もなかったです、私は。本当に心底感動して涙止まらなかった。

ただこのシーンに限っては、初演再演で民衆たちがろうそく掲げて舞台の上に広がって配置されてた演出のほうが好きかもしれない。

ママ、私よ

モリーナは刑務所長からバレンティンから協力者の名前を聞き出すように迫られていましたが、なかなかそれを果たそうとしない。これに業を煮やした所長が特別にモリーナに母と電話することを許可。モリーナの妄想の中の母親はとても元気でチャーミングだけど、この現実世界の母親は体が弱って涙もろくなっていることが伝わってくるのです。石丸モリーナの電話の調子で、そのことがひしひしと感じられるわけで…もうそれ想像するだけでも涙が止まらないです(泣)。

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彼のためならなんだって

所長のたくらみで翌日出所することになるモリーナ。バレンティンは彼が出所できることを知って喜んでくれるのですが、出所したときにやってほしいことを彼に告げようとしてしまいます。

この場面はバレンティンがモリーナに対して「自分と触れ合ったら彼は何でもやってくれる」と歌い、モリーナはそのことを悟りながらも彼に触れてほしいと願ってしまうという繊細な展開になっている。だけど、バレンティンはこの時モリーナに対してすべてが打算じゃなかったと私は思いました。ちゃんとモリーナのことも人間として愛する感情が彼にあったように見えて仕方なかった。「なんでもやるさ」と歌っている時のバレンティンはどこか苦しげに見えるんです。抱きしめるときもそこに確かに情もあると感じられる。相葉くんはこのあたりをすごく丁寧に演じてたと思う。とても感動的で美しかった。

蜘蛛女のキス

タイトルのテーマ曲を歌う”蜘蛛女”。彼女は「エリザベート」でいうところの”トート”と同じ存在なのですが、そこに情が存在しないのが彼女の恐ろしいところだと思います。ただ、獲物(死にゆく者)をじっくり待って捕えるだけ、みたいな無慈悲な存在。すべての世界を支配するような恐ろしい存在だというのがこのナンバーからひしひしと伝わってきますね。

映画の夢

ここに至るまでの展開がもう、大号泣もので…。10年前はそこがごっそりと演出変わっちゃってて大ショックを受けたのですが、今回、一番心がえぐられるあの場面をしっかりと描いてくれて本当に嬉しかった。嬉しかったっていう表現もおかしいけどw、ほんと、あぁ、あの後だからラストシーンの場面が生きるんだよって今回すごく実感させられました。

モリーナの人生の最後に、すべての登場人物たちが彼を賛美する。個人的には、「もう自分を卑下するようなことはするな」と告げてくれたバレンティンとモリーナが満面の笑みを浮かべながら熱いハグを交わす場面がものすごく胸アツでした。あれは本当に泣く…!!!バレンティンはモリーナを恋人という目では見れなかったけれど、人間として認め受け入れ、そして勇気を与えてくれた存在。その二人が最後の最後に心から抱き合う姿を観れたことが何より嬉しかったです(涙)。

観劇直後の感想なのでいつも以上に支離滅裂なこと書いてるかも(汗)。次はもう少し冷静に振り返れたらと思います。

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主なキャスト別感想

石丸幹二さん(モリーナ)

石丸さんのモリーナ度がまたさらに上がってた!!チャーミングでユーモアなセリフが前回よりも自然になってて、少しアドリブのようなものも入っていたように思います。なんか、市村モリーナを彷彿とさせるというか…、それとはまた違った新しいモリーナ像に会えたというか。それから、セリフの言葉の一つ一つの説得力が素晴らしかったです。どの言葉も、モリーナの想いが素直にストンストンと胸に落ちてきてめちゃめちゃ感情移入させられて涙が出ました…!お芝居に見えないくらいモリーナだった石丸さん、最後の最後はどのくらい進化しているのか!?

安蘭けいさん(オーロラ/蜘蛛女)

もうほんと、安蘭さんにオーロラ役が回ってきてよかったと心底思いました。前回も驚かされたけど、それぞれの演じ分けがもう見事としか言いようがありません。モリーナが語るオーロラは華やかで煌びやかでひたすら明るく楽しい。モリーナが助けを求めた時のオーロラはまるで聖母のように温かく優しく懐が広い。そんなオーロラの訳の中で一番印象的なのはタチアーナでしょうか。それまでのオーロラとはまるで違う「女優」な部分が前面に出ていて実にドラマチックです。
それに対して蜘蛛女は、全く切り離された存在。無慈悲で獲物を確実に捕える恐ろしさが前面に出ている。衣装替えも多く大変だと思いますが、あの完璧な演じ分けはホント素晴らしいとしか言いようがありません。

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相葉裕樹くん(バレンティン役)

実は白状しますと、前回遠征して初めて相葉くんのバレンティンを見た時に猛烈に「もう一回見たい!」と思ってしまいまして、遠征を1日早めてこの日を買い足した次第でありますw。

いやぁ…、相葉くんのバレンティンにこんなにも心振るわされ魅了されるとは思わなかったです。真っすぐで、繊細で…なんかもう、観てるだけでものすごく愛しくて泣けてくるんですよ。声もまた一段と太くしっかり力強くなっていたし、何よりも歌声の進化が目覚ましい。狭い牢獄に押し込められながら想い人を歌う「マルタ」のナンバーのシーンは観ているこちらの胸が締め付けられるほど切なく哀しく美しかった…。あんな豊かな表現で歌える役者さんになったんだなぁ…って思ったらなんだか自然に涙があふれてしまった。

最初はモリーナに大反発していたものの、時間が経っていく中でいつの間にか少しずつ彼に心を許していく過程も実に繊細に演じてくれたと思います。「彼のためならなんだって」の場面で相葉バレンティン、眉間にしわを寄せながら歌ってたもの。あれ見た時、彼の中でモリーナを利用することに対する葛藤があるんだなってことが伝わってきた。抱きしめた時の腕の力強さと優しさ、あそこには打算以外の情が確かに存在してたって思ったし。モリーナはそんなバレンティンだから愛するようになったんだというのがすごく腑に落ちました。

クライマックスで目の前でモリーナが…っていうあの場面はもう、涙なくして見れない!!!あの悲痛なモリーナの名前を泣き叫ぶ声が今も頭にこだまして離れません。あんな激しい相葉くんの芝居、初めて見たよ(涙)。本当に素晴らしかった。

あと1回、大阪で最後見届けたいと思います。

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後述

そういえば、村井君と相葉君のバレンティン対談の動画で村井君が「ばっちのキスした後の後ろ姿がすごく好き」ってコメントがあったので今回注目してみましたよ。

あぁ…、わかる!!!!めっちゃ切なかった!!!あれは泣ける!!モリーナへのいろんな感情があの背中から伝わってきたよ(涙)。

今回の観劇では別バージョンのトーク動画も配られていたので、後日煮るのがとても楽しみです。

ということで、結局7日ソワレの感想を一気に書いてしまいました。2回目を見て、ますます自分にとってとてつもなく大切な愛しい作品なのだということを再確認しました。明日は村井君のバレンティンを初めて見ます。さらには石丸さんと安蘭さんのトークも楽しみです。泣きすぎないようにしないと(汗)。

クリスマスが近いということで池袋のイルミネーションも華やかでした。でも同時に劇場入り口のエスカレーター前のクリスマスツリーを見て、年末が近いことを実感(汗)。一年が早い。そんななか、理想としていた『蜘蛛女のキス』に再会できたことは何よりも嬉しい。

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