ミュージカル『手紙』 2022.03.24ソワレ

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ミュージカル『手紙』2022を観に東京まで遠征してきました。観劇は約2か月ぶりとなります。

2月に子宮筋腫で手術・入院となっていた為しばらくの間観劇を控えていましたが(詳細はこちら)、体調もだいぶ落ち着いたのでようやく遠征できる身となりました。
実は3月上旬に4連続観劇というハードスケジュールを入れていたのですがww、退院後の調子が戻るのに時間がかかってしまい泣く泣く断念(涙)。プレミアつきそうな作品も入っていたので気持ちは揺れたのですが、その時ばかりはどうにもなりませんでした。

そこからようやくまぁまぁ元の体調に戻るのを実感(多少の不具合は残っていましたが 汗)し、なんとか今回の観劇に間に合わせることができました。この作品は初演の時から気になっていたし、『蜘蛛女のキス』で感動した村井良大くんが主演していることもありどうしても観に行きたかったので、無事に劇場に足を運ぶことができて本当によかったです(コロナによる中止の可能性もありましたが、それもなく一安心)。

ただ、一つだけ気がかりなことがありました。それは、劇場が”ブリリアホール”だったことです。

以前からこの劇場に関してはあまりいい噂を聞いてなくて(苦笑)せっかく遠征していくのに見えないストレスにさらされてしまったらどうしようかという不安があったんですよね。なので、中に入るまではけっこうハラハラものでした(汗)。

場所は池袋駅東口から約5分。方向音痴の私でも迷わず到着できたのでww比較的わかりやすいと思います。

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開館したのは2019年なので劇場は非常にきれいです。中に入ってからはけっこう上に上がる感じなので造り的には渋谷のオーブとちょっと似てるかも。窓はとてもきれいに磨かれていて池袋の街をよく見下ろせることができました。
ただ、ホワイエは狭くちょっと暗い感じ。私は毎回観劇前に必ずパンフレットを購入するのですが、物販の場所が分からずにそのまま客席エリアまで上ってしまいまして…。係の人に聞いたらその1つ下がホワイエになっていて物販があるとのことでしたが、閉幕するまではエスカレーターが昇りオンリーなのでエレベーターか階段で下に降りるようにと言われてしまいました(苦笑)。次回この劇場へ行くことがある時には1階のどこに物販があるかまずチェックしなければと思います。

ちなみに物販は2種類。パンフレットトートバッグ。村井君のカレンダーも取り扱いがあるようでしたが、私が観劇したときは売り切れたのか最後の2日間で販売、みたいな形になっていました。

さて問題の座席ですが…、今回私が座ったところは後方席ながらも中央ブロックで段差もついていたので視界的には全く問題ありませんでした。公式サイトから早めにエントリーして購入できたことが功を奏したのかもしれません。

1階席はU列までとほかの劇場に比べると少し少なめな設定。中央ブロックが一番多く座席が並んでいるので、番号によっては中奥まで入らないといけない感じ。
今回1階席後方から数えた方が早いところではありましたが、舞台との距離はかなり近い印象でした。目を凝らせば裸眼でも出演者の表情が見えたほどです(それでもオペラグラスはけっこう使いましたが)。なので、場所によってはこの劇場は非常に見やすいと思いました。

ただ…、比較的傾斜は緩やかな印象があったので段差がないと前に座る人によって見づらいことになるかもしれないとは思いました(噂によると前の方は段差がなく前の人との被りもあるらしい… 汗)。それから、サイドについては…中央に寄っていないと見切れもありうる(汗汗)。

ちなみに、最も評判の悪い2階席3階席端っこのほうは探索していないので分かりません。いくつかの椅子が廊下に出されていたのは目撃したので、最も評判が悪いところのものかな?と思いました(苦笑)。いずれにしても、この劇場は座る場所によって全く印象が違うのかもしれません。

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それからもうひとつ、観劇マナーについてちょっと感じたことがあったので最初に書いておきます。

アイドルの3人が出演しているということもあり、客席にはファンと思しき若い女性の姿を多くお見掛けしました。この中の何人かでもいいからミュージカルそのものに興味を持ってくれる人が現れればいいなと思いました。

ただ、観劇慣れしていない人が多かったようで…。最低限のルールは守ってほしかった。

クライマックス直前で席を立つっていうのがSNSで話題になってたけど、私の観劇した日にもいらっしゃいましたよ…。だけどそれはまぁ仕方がない理由があるかもしれないとしても…、本編上演中にスマホで時間を確認しまくる行為だけはかなり不快でした。私の周りの席で数人見かけました。しかも、けっこうな頻度でチラチラ見てる。客席内は暗いので、たった数秒のことでもものすごく目立ちますし眩しいし、見たくなくても目に光が入ってきてしまいとても迷惑です。

アイドルの子の見せ場のシーンが終わった直後に「〇〇くんがこんなだった」みたいな感想を囁く声もかなり聞こえてきた。言いたくなる気持ちは分かるけど、コンサートではないのでせめて次の芝居が始まったタイミングでは舞台に集中してほしいです。

こういうことって「知らなかったから仕方ない」みたいに言う人もいるんですけど、もう子供じゃないんだから舞台観に行ったことがないんだったらその前に「心構え」みたいなものは事前にチェックするべきではないでしょうか。

本編中は絶対スマホを見ないコソコソ声でいつまでもしゃべらない、最低限この2点だけは守っていただきたいです。できれば事務所側で開幕前に観劇するにあたっての注意喚起を徹底してもらえるとありがたいんですが…。

以下、ネタバレを含んだ感想です。

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2022.03.24 ソワレ公演 in 東京建物 Brillia HALL<ブリリアホール> (東京・池袋)

キャスト

  • 武島直貴:村井良大
  • 武島剛志:spi
  • 由実子:三浦透子
  • 祐輔:中村嶺亜(7 MEN 侍 / ジャニーズJr.)
  • コータ:佐々木大光(7 MEN 侍 / ジャニーズJr.)
  • アツシ:今野大輝(7 MEN 侍 / ジャニーズJr.)
  • 朝美:青野紗穂
  • 忠夫:染谷洸太
  • 検事:遠藤瑠美子
  • 緒方敏江:五十嵐可絵
  • 平野:川口竜也

主演の3人(村井くん、spiくん、三浦さん)以外のキャストの皆さんは本役以外にも多くのキャラクターを演じ分けていました。けっこう早替えもあって、つい今しがたまで違う役で出演していたのに数分後には全くの別人として登場することも多く、皆さんかなりハードワークだったのではないかと思われます。

全ての始まりとなる「緒方敏江」を演じた五十嵐さんの歌声は特に印象深かったです。あの第一声で一気に物語の世界に惹きこまれました。
日々溢れている凶悪事件のニュースを皆が聞き流しているという歌をやがてその当事者となってしまう敏江が歌うわけですが…、淡々とした音調から始まりやがて怒りにも似たような歌声へと変わっていき心が非常にゾワゾワさせられてしまった。

ちなみに五十嵐さんは後半のある重要なシーンで冒頭とは全く逆の立場の役も演じていらっしゃいました。被害者と、加害者家族。この相反する両方を演じ分けるの大変だったと思いますが、どちらもとても印象深く色々と感情移入させられました。

遠藤さんは威圧感のある雰囲気のキャラを多く演じていて、見ているこちらも追い詰められていくような感覚に襲われました。特に、表向きは生徒想いなことを言っていても心の内では「排除したい」といった感情が溢れている直貴の担任の教師役は印象深かった。人間の持っている黒い感情を遠藤さんは非常に繊細に演じられていたと思います。

ジャニーズjr.の7 MEN 侍からは中村君、佐々木君、今野君が出演していました。中村君は主人公の直貴に深くかかわる重要な役どころを熱演していてとても印象に残りました。
佐々木君今野君はバンド仲間という立ち位置を演じていたのですが、ちょっと芝居が平坦で物足りなかったかなぁ…。バンドとしての歌が多かったけど、それ以外でももう少し気持ち入れてほしかったかもというのはありました。でも、すごく頑張ってるのは伝わってきましたよ。演奏もカッコよかった。

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あらすじと概要

原作は東野圭吾さんが発表した小説『手紙』です。2001年~02年にかけて毎日新聞に連載され、03年に単行本化、06年に文庫本化されました。
2006年に映画化(直貴役は山田孝之、剛志役は玉山鉄二)、2018年にドラマ化(直貴役は亀梨和也、剛志役に佐藤隆太)され、多くの人に知られる作品となりました。

山田孝之 (出演), 玉山鉄二 (出演), 生野慈朗 (監督) 形式: Blu-ray
亀梨和也 (出演), 佐藤隆太 (出演), 深川栄洋 (監督) 形式: Blu-ray

最初に舞台化されたのは2008年、ストレートプレイとして上演(直貴を演じていたのは相葉裕樹<当時は弘樹>くんでした)。ミュージカル版は2016年に初演。翌17年には新曲も加えられ再演されました。ミュージカル版の初演で直貴を演じたのは三浦涼介くん、再演は柳下大くん(今は引退されています)と太田基裕くんのダブルキャスト。初演と再演で剛志を演じたのは吉原光夫さんでした。

また、2018年には中国でも上演が行われたそうです。

ミュージカル版の演出は『ジャージーボーイズ』などで高い評価を得ている藤田俊太郎さん。脚本・作詞は高橋知伽江さん、作曲・音楽監督・作詞は深沢桂子さんが担当。皆さん、初演からこの作品に携わっていらっしゃいます。

簡単なあらすじは以下の通り。

弟の進学費用のために空き巣に入り、強盗殺人を犯してしまった兄・武島剛志。高校生の弟・直貴は唯一の肉親である兄が刑務所に15年間服役することになり、突然孤独になってしまう。兄が殺人を犯した事実はすぐに広まり、加害者家族となった直貴に向けられる周囲の目は一変した。高校卒業を控えたある日、直貴の元に服役中の兄から1通の手紙が届いた。

<公式HPより抜粋>

ちなみに私は原作も映画もドラマも一度も見たことがありません。アウトラインだけはなんとなく知っていましたが、今回のミュージカルが初見です。でも、全く初めての人にもすごく心に響く分かりやすい作品でした。

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全体感想

この作品は初演の頃から評判がとても良くてずっと気になる存在だったのですが、なかなか行く機会に恵まれずとても残念に思っていました。今回、ミュージカル『蜘蛛女のキス』で大いに私の心を揺さぶる芝居を見せてくれた村井良大くんが出演すると知り、ついにチケットを入手。体調もほぼ落ち着いた時期だったので無事に観に行くことが叶いました。

全体を見て感じたことは、決して他人事のファンタジーな世界の物語ではないということでした。

親を失い二人きりで生きてきた兄弟でしたが、ある日兄が重罪を犯して15年の服役に処されてしまう。弟はそれと同時に”重罪人の家族”という重すぎるレッテルを貼られることになりありとあらゆる差別に晒されることになる。

こんなことは考えたくないけれど、身近な人が犯罪を犯してしまい”犯罪者の家族”という立場に置かれることは誰の身にも起こり得る、特別な出来事ではないということを痛感させられました。もしもその立場に立った時、私だったらどう生きるのだろうかということを何度も考えました。
逆に、すぐ近くに”犯罪者の関係者”がいたときにどのように接することができるだろうかということも考えさせられました。実際にその立場に置かれた時の自分を考えると身につまされる想いがこみ上げてきて複雑な心境になることも多かった。

そんな非常にシビアで心を抉られるようなエピソードが多かったのですが、その合間合間にはいくつかの”救い”も見え隠れしている。その温かさがこの作品の中で観る者の心を大きく揺さぶるのです。圧倒的に冷たい視線が多いなかでの”救い”の場面には何度も涙させられました。それがこの作品の魅力のひとつじゃないかなぁと思います。

それから、全体的に音楽がとても柔らかな印象があって、どんなに気持ちがギュ~~っとなっても”ポンポンポン”って感じで聞こえてくるピアノの音色などに何度も心がフワッと包まれるような感覚になりました。
直貴の人生を追体験していくと胸が詰まるような展開が自分にも降り注いでくるような気になるんだけど、要所要所で優しい音色が響いてくることが多くて癒される。由実子のシーンは特に。そういう意味では、ストプレよりもミュージカルのほうがこの作品は心に沁み込みやすいかもしれないなと思いました。

特に印象に残ったシーンをいくつか挙げてみます(久々の観劇感想なので長いです、ご注意を 汗)。パンフレットを買った時に歌詞付きの「ソングブック」が付属されていたので、それを読みながら思い返して書いてます。

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1幕

両親を失っていた直貴と剛志の兄弟は、苦しい生活の中でもお互いを大切に想いながらずっと生きてきました。しかし、兄の剛志は肉体労働で体を壊してしまい仕事を失ってしまう。それでも、自分より頭の良い弟には何とか大学へ進学してほしいという一心で、以前引っ越しの仕事で訪れたお金持ちの家庭に忍び込みお金を盗もうと画策。
お金を手に入れた後、剛志は傍らにあった「甘栗」に気を取られ…さらにテレビをつけてそのばにしばし留まってしまった剛志。盗みに入ること自体犯罪だし許されないことですが、あまりにも杜撰な彼の行動に、なぜあの時「人がいるかもしれない」と考えなかったのだろうかと思わずにはいられなかった。

在宅していた緒方敏江さんに発見された時剛志はお金を返そうとしていましたが、予想外に彼女が大声を上げたため気が動転して最悪の手段を取ってしまう。この時の剛志の無意識のうちに出た狂気がとても恐ろしかった…。

弟の直貴は学校生活も上手くやっていて友達も多かった。しかし、兄の犯罪が明るみになると状況が180度一変。友達の半数は彼の元を去り、学校の先生でさえも「私のクラスでこんなことが起こるなんて」と動揺し物事を荒立てたくないという気持ちから、遠回しに直貴を突き放すような態度を取ってしまう。この小さなコミュニティでの最初の洗礼からして見ていて本当に辛かった…。

♪二人だけの兄弟♪

それでも直貴が兄を慕う気持ちは変わらず、裁判でも情状酌量を求める発言をする。その理由に、「自分が生活のことで兄に頼りきりだったのがいけなかったのだ」という彼自身の罪悪感があったというのがとても切ない(涙)。直貴が大学進学を夢見ることは決して悪いことではない。もしもその件で行政などに相談することができていたら状況は違っていたかもしれないのにと思うと本当にやりきれなかったです…。

兄の刑期が15年と決まった後も、直貴は「二人きりの兄弟だから」と歌いながら共に罪を背負う覚悟を決める…。剛志も「お前だけが支えだ。必ず戻るから」と歌う。ここで歌われるのナンバーは極限状態の中でもお互いを支えようとする兄弟の心情が切々と伝わってきて涙なしには聞けませんでした(泣)。

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住処も追い出され、大学進学をあきらめざるを得なくなった直貴。高校はなんとか卒業できますが、彼には容赦ない差別の目があちらこちらから注がれるという厳しい現実が待っていた…。舞台の上から下りてきたのは、兄の罪を大々的に報道する新聞記事。直貴に重くのしかかる現実を視覚的に客席にも訴えかけてくる演出がとても印象深かったです。

ある日、刑務所に面会に訪れた直貴は「こちらのことは大丈夫だから」と気丈に振舞ってしまう。高校も卒業してリサイクル工場での勤務も決まったと告げられたことで、剛志は弟が比較的順調にやっていると思ってしまった節はあったかもしれない。それゆえ、「緒方さんに線香をあげてほしい」と頼んでしまう。それがどんなに弟にとって残酷なことに当たるのか、剛志は気づかないんですよね…。これがもう、本当にもどかしかった。
でも、直貴は面会の最後に兄に対する憤りの気持ちをついにぶつけてしまった。「なぜ甘栗に気を取られたんだ」と。そんなこと覚えてなければよかったのに!と泣きそうになりながら走り去る直貴の姿が痛々しくて見ていてとても辛かったです(涙)。その時剛志は初めて自分が弟を苦しめていたことを自覚したのでした…。

一方で、母の命を奪われてしまった緒方忠夫も犯人である剛志への憎しみに捉われていきます。母の突然の死と、犯人への果てしない憎しみ…。「なぜ死刑にならないんだ」という心情は被害者家族からしたら当然の感情で、忠夫の想像を絶する苦しみを想像するだけでも胸が苦しくなってしまった。

♪恋心♪

リサイクル工場で働き出した直貴のことを常に気にかけていたのが、同じ職場で働く由実子でした。激しい差別の的にされてきた直貴は自分を守るために殻に閉じこもり、なるべく他人と接しないように振舞っている。それでも由実子は構わず積極的に話に行くチャレンジャー。彼女としてはなんとか自分には心を開いてもらいたいと思ってたんだろうなぁ。健気と言えば健気なんだけど、直貴の心情を考えると「そのあたりで引いたほうがいいんじゃ…」とツッコミたくなることもw。
でも、ついに直貴は耐えかねて由実子を激しく拒絶。さすがにそれ以上踏み込めなくなった様子でしたが、それでも彼に対する想いは消えることはなかった。すごく芯が強い女の子だなと驚きながら見てしまった。

場面変わって剛志の刑務所暮らしのシーンになると、鉄格子のセットがたくさん出てきました。上からも鉄公子が降りてきたりして…、こういう光景を見るとやはり思い出してしまう、『蜘蛛女のキス』!!村井くんが出演してるからなおさら連想しちゃうんだよなぁw。ひょっとしたら私は牢獄が舞台になってる作品に心惹かれることが多いのかも!?とも(笑)。

剛志の牢獄生活は罪状の割にはとても穏やかで、周囲の囚人運にも恵まれていた。それゆえ、弟に宛てた手紙の内容も「家族で花見に行った時のことを思い出した」など平和な内容が多い。直貴が傍にいないことへの寂しさは感じているものの、現実世界で差別の目にさらされている弟に比べれば全然マシに思えてしまう。この手紙が少しずつ直貴の心を追い詰めているようで、聞いていて苦しくなってくることすら…。

♪これは俺の人生♪

ある日、兄からの手紙を由実子に知られてしまった直貴。それでも彼女は離れていこうとせず、それどころか「大学へも行けばいいじゃない」と励ましてくれる。世間の冷たさを痛感していた直貴は自分には無理だと自暴自棄になりますが、それでも彼女は根気強く説得し寄り添ってくれている。
最初は由実子の言葉に聴く耳を持とうとしなかった直貴が、彼女の本気の気持ちに触れていくうちに「大学へ行けるかも」と想いが変化していくシーンはとても印象深かったです。これはもう、由実子の粘り勝ちだなと思った。あれだけ心を閉ざしていた直貴の気持ちを変えるなんてすごい子だなとちょっとビックリしました。

通信教育を経て大学に入学した直貴。それを手紙で知った剛志は大いに喜び返事を書きますが、追伸のところに「緒方さんの墓参りはしたのか」と添えてしまう…。ここに彼の危うさが感じられて辛い。刑務所で世間と遮断されているが故に、それがどんなに残酷なことか理解できてないんだろうなと…。

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大学で高校時代からの親友・祐輔と再会した直貴。彼だけは今までと変わらず直貴と接してくれて本当に優しいいい子だなと思った。それくらい祐輔にとって直貴はかけがえのない親友という存在なんだろうと思うとジーンとします。

♪私はあなたを待っています♪ ♪Get Over Myself♪

ある日、祐輔からバンドやってるから見に来てほしいと誘われた直貴は仕事帰りにライブハウスに行くことに。新しい世界に触れて目を輝かせ夢中で聞き入る直貴の姿がとても印象的でした。朝美が歌っている時はまるで恋する少年のような表情で、祐輔たちのバンドの時はこれまでの嫌なことをすべて忘れたかのように開放的にノリノリな表情で。このあたりの演じ分けが、村井くん、ほんっとに魅力的だなぁと思った。
ただ、祐輔たちのバンドの音楽シーンはちょっと長く感じてしまったかも(汗)。2コーラスまでやらなくてもよかったのでは。演奏は生き生きしてたけど、歌がちょっと単調に聞こえてきたので(汗)。

ライブに感動した直貴は祐輔とライブ仲間のコータ、アツシと意気投合。彼らにリクエストされる形で直貴がジョン・レノンの「イマジン」を演奏しながら歌うシーンがあるのですが、ここの演出が意表を突くものですごく心に残りました。
直貴は友達の前で「イマジン」を披露しますが、その演奏も歌声も客席には聞こえてこない。その代わりに聞こえてくるのは、投獄されている兄・剛志による「イマジン」の歌詞の朗読。歌ではなく、語りとして聞かせるというすごく斬新な演出だなと思いました。この歌は直貴と剛志にとって心の支えになるような大切な存在なのですが、それがより濃く心に響いてきて胸が詰まる想いになったな…。

直貴は自らの境遇も受け止めてくれた祐輔たちのバンドに入り一緒に演奏活動していくことを決める。彼らが歌っていた♪Get Over Myself♪を復唱しながら過去を振り返らず前を向いて生きる決意を歌う直貴の姿は力強く、そして眩しく見えた。演じてる村井くんの歌には言霊が宿ってて本当に感動する。

新しい人生を歩み出した直貴には彼女ができていた。ライブで彼の心を鷲掴みにした朝美。金持ちのお嬢様で弁護士の婚約者がいるという身でありながらも、その目をかいくぐって自由に生きる彼女は直貴にとって眩しい存在だったのかもしれない。
一方で、リサイクル工場で出会いいつも励ましてくれた由実子とも交流を続けていた直貴。彼女と一緒になればよかったのにと思いながら見ていたので、この展開はちょっと複雑な心境になった(苦笑)。なんかちょっと”二股”ちっくにも見えたし(汗)。こういう風に調子に乗ってると後々荒波が来るんじゃないかと見ていてめっちゃハラハラしました。

生活が安定したことで、直貴は剛志への手紙を書かなくなってしまった。刑務所にいる兄は弟がなぜ手紙をくれなくなってしまったのか分からず不安が募ってしまう。「写真一枚で良いから送ってほしい」と切々と歌う剛志の歌声が切なくて思わず目頭が熱くなってしまった…(涙)。

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♪仲間割れ♪

そんなある日、祐輔たちのバンド・スペシウムのメンバーにデビューのチャンスが訪れる。しかしそのタイミングで、朝美の婚約者・孝文から直貴に関する内部調査が明かされてしまいメンバー間に不穏な空気が流れる…。
一度は境遇を受け入れてくれた仲間たちでしたが、”デビュー”の話が舞い込んだことでその心境に変化が生まれてしまった。家族に問題のある直貴がメンバーにいるということがデビューの妨げになってしまうからです。直貴の親友である祐輔だけにはそのことを言えなかったコータとアツシ…。このあたりのやり取りは非常にシビアで何とも言えない気持ちになった。

スペシウムにとっては喉から手が出るほど望んでいるバンドのデビューだものね。祐輔だけは直貴に寄り添いデビューを諦めてもいいと言ってくれますが、他の二人は納得できない。自分を受け入れてくれた仲間たちに亀裂が入るのを目の当たりにした直貴は、居たたまれなくなりバンドを抜ける決意をしてしまう。

断腸の想いでバンドを去る直貴に、祐輔は「お前の兄貴をぶん殴りたい」と悔しさをぶつける。それに対して直貴は「できることなら俺も殴りたいんだ」と張り裂けそうな本音をぶちまける。二人の心境を想うと辛すぎて涙が出ました(泣)。

さらに、剛志の件を直接聞くことができなかった朝美は激怒。「言ったら付き合ってくれなかっただろう!?」と食って掛かる直貴の苦しさも分かるし、「そういう問題じゃない」と、好きだった人に本当のことを打ち明けてもらえなかったことの辛さを打ち明けた朝美の気持ちも分かる…。二人は最悪の形で決別してしまったわけで、見ているこちらが居たたまれなくなってしまった…。

♪壁だらけ♪

再び孤独になった直貴。そして牢獄で弟を求める剛志。二人はお互いに逃げ場のない現状を嘆きもがき苦しんでいる。
だけど、牢獄の兄よりも現実社会の中でこれでもかというほどの差別の眼差しを浴びている弟のほうが精神的に限界が近かったのではないかと思えて仕方なかった。一瞬、明るい未来が見えそうになっていただけにそこから突き落とされたことへの絶望感はいかばかりだったかと思うと本当に辛い(涙)。直貴は何も罪を犯していないからなおさらです。

コーラスの中にある「世間は罪を犯した人間の家族さえ許さない」というフレーズがとても刺さりました。そんな理不尽なことないと思う反面、そういう心理が働いてしまう現実があるというのも分かってしまう。
直貴はついに、剛志との決別を決断する。兄という存在がある限り、自分はまともに生きることができないと思ってしまったから…。泣きながら、怒りと悲しみが入り混じった声で叫ぶ村井くん演じる直貴の姿がただただ哀しかった(涙)。

2幕感想以下は次のページにて。

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