『十二番目の天使』香川公演 2019.04.17マチネ

舞台『十二番目の天使』を観に行ってきました。久しぶりのストレートプレイです。

今回は遠征じゃなくて地元!
3月に東京のシアタークリエで上演したのち地方公演に出ているようですが、その中のリストに香川の高松公演も入っていて。こっちまで来てくれる演劇は年間数えるほどもないので本当にありがたい。四国は今回の1回きりだったので、近県からもファンの方が足を運んでいたようです。

っていうか、あのミュージカル界のプリンス・井上芳雄くんが香川にやってくるってだけでなんかテンションが上がるじゃないですかっ!

レグザムホール公演は昨年の秋に劇団四季のソンダンで行って以来。


天候にも恵まれ、ホール前から見える瀬戸内海もきれいでした。

以下の感想はネタバレを含んでいます。ご注意ください。

 

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2019.04.17マチネ公演 in レグザムホール大ホール(香川・高松)

キャスト

  • ジョン:井上芳雄
  • ティモシーの母ペギー/サリー:栗山千明
  • ビル:六角精児
  • ティモシー/リック:大西統眞
  • トッド:城野立樹
  • ローズ/ジョンの母:木野花
  • メッセンジャー医師/ジョンの父:辻萬長

子役は東京ではWキャストだったようですが、地方公演は大西君と城野くんのコンビで回っているようです。

大西君は2017年レミゼでガブローシュを演じてた子。もう中学生になったようで…大きくなったなぁと感慨深い。声変わりも始まっているようでした。どこかひ弱なティモシー少年を繊細に演じてくれていました。見ていて本当に心配になるくらいぎこちない動きなのに、常に明るく前向きな言葉を発する姿は涙を誘いました。

城野くんは大好評だったミュージカル『ビリー・エリオット』に出演した子だそう。初演は観に行かなかったので今回が初めましてでしたが、セリフや動きが少ないなかでも心情を滲ませるお芝居が上手いなと思いました。

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あらすじと概要

原作はオグ・マンディーノの小説『十二番目の天使』です。

十二番目の天使 [ オグ・マンディーノ ]

価格:
864円

(2019/04/18 13:06時点 )

けっこう有名な小説で知っている人も多いようですが、私は恥ずかしながら一度も読んだことがなくて…今回の舞台で初めて内容を知りました。

オグ・マンディーノは”この世で最も多くの読者を持つ成功哲学書作家”とよばれているそうで、彼が生涯で出版した19冊は今も多くの人の心を掴み続けているとのこと。『十二番目~』の舞台のなかにも印象的なセリフが数多く散りばめられていたので、なるほどなと納得です。

説明的な文章ではなく読んでいるうちに惹き込まれるような内容とのことなので、いつかちゃんと読んでみたいなと思いました。

あらすじは以下の通り。

ビジネスで大きな成功を収め、故郷に戻ったジョンは幸せの絶頂にあった。人々に英雄として迎えられ、新生活を始めようとした矢先、妻のサリーと息子のリックを交通事故で失う。

ジョンが二人のいない世界に絶望し、人生に幕を下ろそうとしたとき、幼馴染のビルが訪ねてくる。ビルは地元のリトルリーグのチーム監督を引き受けてくれるよう、ジョンに頼みに来たのだった。

そのチーム、エンジェルスの監督を引き受けることにしたジョンは、ティモシーという少年と出会う。十二番目のメンバーとしてチームに選ばれた彼は体が小さく、運動神経も悪かったが、決してあきらめることなく人一倍練習に励んでいた。そんなティモシーにリックの姿を重ねたジョンは、チームの練習とは別に、ティモシーに個人練習をつけることを提案する。

ティモシーの努力に触発されるように、エンジェルスはリーグで快進撃を続け、決勝戦に駒を進める。

ティモシーが抱える、ある重大な秘密を誰も知らないまま―

公式HPより引用

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人生の成功者だったはずのジョンは、愛する妻と息子を事故で突然失ったことで絶望の淵に追いやられる。そのタイミングでかつての幼馴染が現れ、少年野球の指導をしてほしいともちかけられたことにより少しずつジョンの人生に色が戻っていきます。

そんな中で出会ったのが、「十二番目の天使」少年・ティモシー
ティモシーはプレーが不器用でレギュラー入りすることがなかなか難しい少年だったのでいつも補欠の「十二番目」の選手だった。ジョンやビルも最初は”できることならチームに入れたくない”と思っていましたが、チーム分けの順番で最後に残ったティモシーを受け入れる。でもこれは、後から考えると…神が仕組んだ出来事だったのかと思えるわけです。

何度練習してもなかなか上達しないティモシーでしたが、人一倍前向きに努力を重ねていくうちに多くの人の心を掴んでいきます。その影響を最も大きく受けたのが、人生に絶望していたはずのジョンでした。いつも前向きでひた向きなティモシーに接していくうちに、彼の人生にも明かりが灯っていく。まるでティモシーの想いが伝染していくように。

物語はすごくシンプルで見ているうちに先の展開が何となく読めてしまう感じではありましたが、それでもなぜか心がジーンと熱くなり、気が付けば涙が零れてしまう・・・そんな不思議な作品でした。
もしかしたら、普段生活していくなかで失ってしまったものがこの作品の中に詰まっていたからなのかな…って見終った後に思いました。ティモシーのように純粋で前向きに生きるってシンプルだけど一番難しいことなのでね…。心のどこかで、あんなふうに生きられたらって思っているのかもしれません。

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全体感想

この物語の中で重要なキーとなっているのが「野球」。何度も野球場でのシーンが出てくるので、これをどう表現していくかに注目が集まっていたようですが、セットの構造は極めてシンプルでちょっとレトロな香りすらしましたw。

舞台の中央から後ろのほうに物語の舞台となっている町のパネルが立っていて、上手側と下手側が開閉できるようになっており、そこからキャストが出入りすることが殆どといった感じ。
その開閉をするのが黒子のスタッフさんだったのですが、客席からその姿が見えてるw。ふつうスタッフさんは客席の目に触れないように動いていることが多いので、「あれ、見えちゃってても大丈夫なんかな」とちょっと心配になってしまった。ただ、野球のシーンでスコアボードに数字をはめていくのもスタッフさんが担当してて、黒子スタイルが野球の審判の制服と似て見えたので…あえて見せる演出なのかなとも思いました。

舞台中央も町のパネルの一部になっているのですが、そこだけ回転する仕組みになっていて…ぐるりと回ると「野球場」が登場してきました。この中央だけが回転して動きを見せているといった感じ。ストーリーの肝となってくるので場面転換するたびに何度も「野球場」が姿を現してきて面白かったのですが、ボードゲームみたいな簡素な印象は拭えなかったかな(汗)。しかも、セットよりも人間の方が大きいのでリアル感がどうしても足りなくてw・・・しかもスペースもかなり狭かったので4人くらい乗ってしまうともはやそこは「球場」には見えてこない(スコアボードも隠れるしw)

なので、野球場のセットはもう少し豪華にしてもよかったんじゃないかなぁ…とは思いました。予算が少なかったんだろうか(苦笑)。

ただ、回転の角度は自由に調節できるので、球場のセットを使ってのジョンの車を表現した演出はなかなか印象的でした。
車のドアを閉める音やサイドブレーキを引く音に合わせて、ジョンとティモシーが上手い具合にパントマイムでリアクション。ジョンがハンドルを左右に切るのに合わせて舞台中央の盆が動くのはなかなか面白い魅せ方だなと思いました。井上くんと大西くんの動きも見事にそれに合ってたしね。

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井上くんが演じたジョンの台詞量はハンパなく多いのですが、その半分くらいは心の中の声ということで…録音した音声で対応してました。舞台で登場人物の録音音声を使うという手法はよくあることではあるのですが、今回の舞台ほど多いのは初めてだったかもしれません(汗)。特に1幕は井上くんが実際に声を発しているよりも録音で流れてた声の方が多かったような気すらしたし。

原作に出てくる「言葉」がとても印象的なものが多いということで、なるべく舞台に乗せるためにジョンの台詞を膨大にした…というのは分かるんですが、もう少し減らしてもよかったんじゃないかなともチラッと思ったかな。
ジョンは自分の心の深層を語るだけでなく、ストーリーテラーのように状況説明することもけっこうあったので一人二役こなしているかのよう。それを全部実際の声に出す台詞に乗せてしまうとたしかにクドイと感じてしまうかもしれないので、録音音声を流すことでそういう違和感を緩和することは多少はできていた気はします。

でも、生の舞台を観に行っているこちらとしては、やはり役者の生の声で演じる芝居が観たいじゃないですか。全体を通して、そこはちょっと残念だったなと思った次第です。

ストーリーはとてもシンプルです。人生に絶望した男が再生していくまでの感動の物語。その再生の大きなキーになっていたのが「十二番目の天使」となったティモシー。
野球センスは全くと言って無いに等しいティモシーでしたが、野球に賭ける情熱は誰にも引けを取ることがなかった。どんなに不器用なプレーをしても、必死に立ち上がり頑張ろうとするティモシーからは心に残る言葉がいくつも発せられます。

「僕は、絶対、絶対、絶対、絶対、あきらめない!」

「僕は、毎日あらゆる面でどんどんよくなっているはずだ」

どんなに上手くいかないことがあっても弱音を吐くことなく、常にポジティブシンキングで努力を重ねるティモシーの姿はジョンや大人たち、やがては彼を馬鹿にしていたチームメイトたちの心を持掴んでいくことになります。
最初はほとんどのチームメイトがティモシーのことを笑っていましたが、優秀な選手だったトッドだけは最初から味方でいてくれるんですよね。野球チームの少年はティモシーとトッドの二人しか登場してこないので状況はジョンの語りの部分でしか把握できないのですが(苦笑)、この二人のさりげない友情のシーンはなかなかに感動的でした。

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不器用なプレーしかできないティモシーの様子を見て、早い段階から「この少年には何か深刻な事情があるんじゃないか」と察するものはありました。母親が時折見せる少し悲しげな表情からも、ティモシーに待ち受けているのは悲劇なのかもしれないと思うこともあったし…。
こういった先が読めてしまう物語の展開って、結論が出た時に「やっぱり」って感動が薄れてしまう危険性もはらんでたりするわけですが…この作品は分かってはいても心が震える感動がありました。

それはおそらく、ティモシーの「生きた証」がとてつもなく純粋で輝いて見えたからかもしれない。

特に、彼の努力が報われる結果となる”最後のゲーム”の場面は涙なくしては見れなかったな。できればあそこの演出は「映像オンリー」じゃないもので見たかったというのもあるけど、それでもやっぱり泣けた(涙)。

結末は哀しい結果を迎えますが、それと同時に「再生」の瞬間もちゃんと描いています。最後のジョンとティモシーの母親ペギーの晴れやかな表情がとても感動的で涙が止まりませんでした。

その流れで最後に、井上くんによるこの作品のテーマソング♪白いボール 青い空へ♪(作曲は宮川彬良さん)が歌われるわけで…これがもうほんと、素晴らしかった!!舞台が始まる直前くらいに「井上くんが一曲だけ歌います」みたいなPRがあったんですけどw、そんな軽い告知に反してとても素敵な良いシーンに仕上がってました。ボロ泣きしちゃったよーー(涙)。

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