東京公演を終えて旅公演に入ったミュージカル『キューティー・ブロンド』が1日1公演のみではありましたが…現在のわが地元・香川県にやって来てくれました。
公演のお知らせが出た頃は旅日程がハッキリしていなかったので、これは大阪まで出るしかないかなぁと思っていたのですが…こちらまで来てくれることになってホント助かりました(笑)。
なにげに香川は数か月に1本ペースくらいで興味深い公演が回ってきてくれるのですが、「キューティー~」が来てくれることになるとは思ってなかったので決まった時は嬉しかったです。
このミュージカルの原案は2002年に日本でも上映された映画『キューティー・ブロンド』。好評だったことから続編も制作されたそうですが、当時私はこの映画に興味を持っていなかったし上映されたことすらあまりよく知りませんでした。
ではなぜ今回この作品に興味を持ったのかと言いますと…単純に、明るく楽しい恋愛劇の舞台が観たかったから、です。基本的には重厚感のあるズシリとしたミュージカルが好きではあるのですが、たまにこういった明るい作品が観たくなっちゃうんですよね。神田沙也加さんはミュージカルの世界に来てどんどん良い女優さんになってるなって思ってるし(アナ雪以降は特に表現力も上がった気がします)、あと、LE VELVETSの佐藤くんの歌声を聴きたいっていうのもありました。あとどんな役柄かとかも。
ちなみに、映画はこちらになります。
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今回の舞台を観てちょっと映画の方も見てみようかなって思いました。
2017.04.08マチネ公演 in レグザムホール(香川)
主なキャスト
- エル:神田沙也加
- エメット:佐藤隆紀(LE VELVETS)
- ワーナー:植原卓也
- ポーレット:樹里咲穂
- ヴィヴィアン:新田恵海
- ブルック:木村花代
- キャラハン教授:長谷川初範
他に、RENTにも出演歴がある加藤潤一さん(色んな役で登場してきて楽しませてもらいました)や中村百花さん、エリアンナさんがキャスティングされていて、迫力の歌唱力を満喫できたのも嬉しかったです。
そして忘れてはならないのが…チワワのブルーザー。超可愛かったです
全体感想
期待以上にとっても前向きで明るい素敵なミュージカルでした!
主人公のエル(神田さん)はオシャレが大好きなブロンド髪の女の子。特にピンク色がお気に入りでいつも派手な服装でみんなの人気者。恋人のワーナー(植村くん)にももうすぐプロポーズされるはずとテンション高く待ち望んでいましたが、「将来的に釣り合わないから」という理由だけで突然呆気なく振られてしまう。
しかしめげないエルは、ワーナーにふさわしい女性になれば振り向いてもらえると信じ込んで猛勉強に打ち込み、ついに彼の通うハーバード大学のロースクールに合格。しかし、待望の再会はできたもののワーナーにはすでに秀才の彼女・ヴィヴィアン(新田さん)がいた。ショックを受けつつもヴィヴィアンに負けない女子になるべく前向きに頑張るエルを、ちょっと地味で優しい先輩エメット(佐藤くん)は温かい目で応援する。
そんなある日、かつての学生寮での先輩・ブルック(木村さん)の裁判が行われることに。インターン生として選抜メンバーに選ばれたエルは次第に弁護士という職業に興味を持ち始め…
と、ざっとこんな感じのストーリー。
キャッキャした学生寮での生活から徐々にお堅い弁護士への興味を抱いていく過程が見ていてワクワクする展開で進んでいくミュージカル。音楽もポップで乗りのいいものが多く、しょっぱなの♪オーマイガっ!♪って始まる曲からして迫力満点で最初は香川のお客さんけっこうみんなビビってしまってる雰囲気があったんですよね。セットもエルの雰囲気と併せてピンク系がいっぱいだし、学生寮の仲間たちの威勢がとにかく良くて(笑)最初からエンジン全開。
そんな感じでちょっとビックリして観ていた会場の雰囲気はあったのですが(手拍子も起こる間もなかった感じだったし拍手もタイミング逃すことがチョコチョコ)、エルのロースクール生活に入ったあたりから客席の雰囲気も前のめりになって笑いや拍手も増えていき、最後は皆この作品の虜になってる感じで熱気にあふれていました。
一言でいえばエルのサクセスストーリーなんですけど、その過程に起こる出来事がとても楽しい!何が一番の魅力だったかといえば、ものすごく前向きプラス思考なエルというキャラクターでしたね。どんなマイナス要素が振りかかっても、前向きに突き進んでいく(ちょっと強引なとこもあったりしたけどそれも面白要素だったりもしました)・・・私はどちらかというと後ろ向きに考えてしまうことが多いので、あの生き方はものすごく憧れるし見ていて爽快感がハンパなかった。
エルを取り巻く人物たちもすごく魅力的です。樹里さんが演じたポーレットみたいな友達は特に羨ましいなぁって思いながら見ましたね。エルだったからこそ彼女のような明るく温かい友達ができたんだろうなとしみじみ思ってしまった。長谷川さんが演じたキャラハン教授はクセのある人物ではありましたが、後半にちょっとビックリするようなキャラになるのでそこは衝撃でした。ドラマの空気がここでガラッと変わる感じ。こういう緩急つけた展開もこの作品は上手いなぁと思いました。
私の一番のお気に入りは…佐藤くんが演じたエメットですかねぇ、やっぱり。この作品の中の癒し的存在。なのに何だか見ていてドキドキしちゃう、みたいなw・・・そんな不思議な魅力にあふれてました。そんな先輩の心を捕えたのもエルだったからこそだなって観た後思いましたね。あ~~~、エル、羨ましいっww。
クライマックスシーンは「もう一度観たいっ」と思わせるほど素敵な展開の連続。後日談のぶっこみ方も面白かったし、みんながとにかく明るくハッピーになる終わり方が最高でした!!ラストシーンの演出も好きです。長谷川さん、グッジョブ!!
なんだか久しぶりにすごく明るく楽しいラストシーン見れたなって思って…1回しか見れないのが勿体ないとすら。想像した以上に私好みの素敵なミュージカルでした。
あとなんと言っても、エルの相棒犬・ブルーザー役のチワワちゃんがめっちゃ可愛くて最高に癒されました。なんっておとなしいワンコちゃん!!すぐそばで歌声が響いていても静かにおとなしく抱かさってて、いつもトローンとちょっと眠そうにしてるのがまたたまらん。ちゃんと指定通りのところに駆け寄っていくお芝居もバッチリ!カテコの挨拶で大きな拍手が起こっても動じない大物っぷり!こんな賢いワンコがいるんだなぁ~と感心してしまった。
東京公演からツアーで一緒に回っているそう。ちょっと体調とか気になっちゃうけど最後まで元気に頑張ってほしいなって思います。
主なキャスト別感想
神田沙也加さん
エル役はもう沙也加さんにピッタリ!!これは持ち役にしていいと思う!そのくらいドンピシャでした。まずあの全体の可愛さ(ちょっと表現おかしいけどwとにかく可愛いの一言!)は驚異に値すると思いますよ。嫌みのない可愛さなのでポジティブにどんな不利な出来事が起こっても突き進んでいく姿に思い切り感情移入して見てしまいました。
歌に関しても最初にミュージカル出てきたころからすると声も太くなったしすごく良かった。ただ、今回のホールが2,000人規模のかなり大きな会場だったのでパワーのあるアンサンブルキャストさんたちと一緒に歌うシーンになるとちょっと飲み込まれてしまったかなぁというのは感じました。たぶんシアタークリエ級の劇場だったら問題なかったと思うんですが、コンサートも開けるようなホールだったので響き具合とかそういうのも影響あったかも。でも、あの可愛さでなんだかそれさえも気にならないというか許せてしまう。
沙也加さん、映像ではあまり見なくなりましたが、舞台は彼女を欲しているんじゃないかなって思います。いろんな努力で舞台という居場所を作った沙也加さん、これからも応援したいです
佐藤隆紀くん(LE VELVETS)
エメット役も佐藤くんにピッタリだな~と思いました!こちらも今後持ち役にしてほしいくらいキャラに見事にハマっていたんじゃないかな。エメットはちょっと地味な外見ながらもいつも優しく温かい目でエルの成長を見守ってて…彼女と接していくうちに自分自身も変化していく喜びを感じていくわけですが、その気持ちが観ていて手に取るようにわかってしまいものすごい感情移入してしまいました。
自分にはなかったエルの明るくて前向きな姿勢に影響されて、気づかないうちに恋をしてしまう・・・なんて、ほんと純朴で見ていて年甲斐もなくキュンキュンさせられちゃいましたww。
クライマックスでの、エメットが歌うラストの♪オーマイガーーーッ!!♪が特に最高で、私はあのシーン見て「もう一度シュガーくんのオーマイガーっが聴きたいっ!!」と猛烈に思ってしまいましたよ(笑)。危うくあれで堕ちそうになったのはここだけの話。
彼のもう一つの魅力といえばやはり歌ですね。抜群の安定感と心をふわっと包んでくれるような温かい声。エメットという役柄ともピタリと合致。再演するときはまたぜひシュガーくんのエメットで!!
植原卓也くん
ここ最近、ミュージカルでよく観るようになった植原くんですが、今回の役で初めて「カッコいい!」って思っちゃいました(笑)。これはエルが惚れちゃうのも分かると納得の配役。ワーナーはいつもちょっとお高く留まってるようなお坊ちゃんで、やたらと格好つけポーズしたりしつつエルを馬鹿にした目で見てるんですがwそこにあまり嫌悪感はないんですよね。イラっとするんだけど、笑っちゃうイラっとみたいな感じ(笑)。そのあたりのさじ加減が絶妙で面白かったです。
どちらかというとエルの対抗キャラ的存在ではありましたが、あのクライマックスでの描かれ方がすごくスッキリしてて「ワーナーも頑張ってるな」って思えるところがよかった。
樹里咲穂さん
登場するのがちょっと遅かったポーレットですが、出てきた時からもうエンジン全開みたいなテンションの高さでww、もう、「姉さん!!」って呼びたくなるほどカッコいい。エルは本当に素敵な人を惹きつけるよなぁって思えるほど魅力的でした。いつも何かとエルを気にかけてアドバイスしてくれるポーレットでしたが、ある出来事で落ち込んでしまう時は何だか見ていてこちらも泣けてきちゃうほど。ワンちゃんのくだりのシーンは思わずジーンと来てしまいました。
面白かったのは「次の恋」ww。あれはアメリカ的な演出だなって思ったんですけど(笑)樹里さんが演じてるとなんだかくどさもあまりなくてめちゃくちゃ笑いながら見てしまいました。楽しかったです!
新田恵海さん
今回初めましての女優さんでしたが、声優さんだったんですね~。「ラブライブ」で紅白歌合戦に出たうちの一人だったと知ってビックリしました(笑)。最近は声優さんも歌える人が増えてミュージカルに進出してくる機会も増えてきたように思います。新田さんも今後舞台にけっこう呼ばれるんじゃないかなってくらい歌にパンチがあってすごく聴き心地よかったです。
ヴィヴィアンは初めのうちはエルに対抗意識を燃やして敵役みたいな存在だったのですが、ある出来事がきっかけで心変わり。でもその前から少しずつエルのひたむきさに惹かれていた部分はあったよねって分かったので、その変化も自然に受け止められた気がします。ラストの顛末はちょっとビックリ(笑)。キュートで素敵なヴィヴィアンでした。
木村花代さん
花代さん演じるブルックさんが登場するのは2幕からなのですが、1幕でもカタブツな試験管といった面白い役で登場(笑)。この時もめっちゃテンション高くて、花代さんってこんなコミカルな役もこなせるんだな~と思っちゃいました。
ブルックさんは登場した時から超ハイテンションでビックリ!!シェイプアップ講座ビデオのブルックという設定なので、途中でスローな動きになったり驚愕の開脚のままフリーズしたり(笑)とにかく動きっぷりがハンパない!!縄跳びレッスンの時の掛け声なんか、かつて一世風靡したビリー隊長のようなスパルタっぷりwww。アンサンブルさんの一人が一瞬縄跳び落としちゃって(ハプニングだったと思います)も気にせずスパルタ指導で二重飛びしたりww、いやぁ、あんなパワフルな花代さん見たの初めてでめっちゃ楽しませてもらいました。
裁判シーンでもそのテンションは留まるところを知らず。自分のアリバイを話せない理由っていうのがまた面白くて笑っちゃうんですけど、この時のやたら力の入ったエルとのやりとりは見どころの一つだったと思います。すごいテンション高いのに物語の中で浮いてないっていうの、すごいことです。新しい花代さんが見れて嬉しかった。
長谷川初範さん
舞台の長谷川さんは何度か拝見してましたが、たぶんミュージカルは初めてです。教授のソロナンバーもあったのですが、実に楽しそうに朗々と歌ってて…長谷川さんって歌もイケるんだと嬉しい発見。
キャラハン教授は気難しいところもあって、他から浮いているエルを最初見下しているんだけど、彼女の鋭い観察眼や指摘を目の当たりにするうちにその評価が変わっていくんです。なので、教授も実はよく見ているちゃんとした人なんだって最後の方まで思ってました。それがまさかのあの行動にビックリ!!それまでの長谷川さんのお芝居がクセがありながらもちょっと感情移入できそうなキャラに見えていただけに、あれは衝撃でした。この驚きを狙っていたとしたら長谷川さん、大成功ですよ(笑)。
それでもラストシーンでは意外な登場でww、それもあってこの物語が好きだなぁって心底思えた部分はあります。めっちゃ可愛かった。
後述
物語の中盤あたりから客席のテンションも上がってきて手拍子や笑いなんかも起こっていた香川公演。エメットの「ミュージカルでもないんだ!」ってセリフのところでツッコミとも思える客席の笑いの反応が面白かった(笑)。
そんなこともあってか、カーテンコールは大盛況!!2回目の時に沙也加さんから挨拶があってカンパニーに向かって「みんなおいしいもの食べた?」って聞くと、開口一番佐藤くんが「もちろんですよぉ~」とグイグイコメントしてたのが微笑ましくて笑っちゃいましたw。
皆さん、香川には2泊したようで骨付鳥やうどんを堪能した様子(SNSやブログに色々書かれてました)で嬉しく思います。ちなみに沙也加さんは他の仕事でカンパニーの皆さんとは別に香川入りしたみたいで、「私は空港でうどん頂きました」ってコメント。あ、あそこだなとピンとくる私ww(そこしか思い当たらないw)。今度はゆっくり香川に来て他のうどん屋も行ってほしいなと思いました。
で、他の公演ではここでカーテンコールが終わることが多かったんですが、今回は珍しく3回目もあって!そしたら2000人の会場の8割以上のお客さんが一斉にスタンディング。
もちろん私も立ちましたが、その光景に沙也加さんが「わぁ~・・」って感激して言葉を詰まらせちゃって…他のキャストさんの目にもうっすら涙が…。カンパニーの皆さん、香川のお客さんのスタンディングにすごく感動してくれて…わたし、その光景を見ただけでちょっと涙しました。すごく温かくて、素敵な瞬間に立ち会えて私もすごく嬉しかったです。
カンパニーの皆さん、香川まで来てくれてありがとうございました!!
感謝。
ちょうど隣の玉藻公園(高松城跡)では桜が満開を迎えていてとてもきれいに咲いてました。いつかまた、同じメンバーでぜひ再演してほしいです