ミュージカル『エリザベート』2010.08.10マチネ

2年ぶりに帝劇で上演されているウィーンミュージカル『エリザベート』を観に行ってきました。

帝劇に行くことじたい久しぶりだなぁと言う印象。よくよく思い返してみたら…昨年12月の「パイレートクイーン」以来行っていないことが判明。今さらながら今年初の帝劇だった…。このところずっと四季劇場ばかり行ってたからなぁ(汗)。どうりで懐かしさすら感じたはずだ。

エリザは9月から行く予定だったのですが、田代万里生くんのルドルフが9月頭で楽を迎えてしまうことを知り焦ってこの日を取りました。なので、初日明けて2回目の舞台だということはつい最近知った私です。

この日初日を迎えたのは朝海ひかるさん。通常カーテンコールのあと幕が上がり高嶋政宏さん司会でちょっとしたご挨拶がありました。彼曰く、「本日は初日パ~~トⅡ」とのこと(←客席にもこのリアクションを要求 笑)。みんなが見守る中、エリザベート皇后の朝海さんは千秋楽まで頑張りたいと意気込みを語られてました。挨拶を終えて後ろに下がる時、アンサンブルさん(一人はさけもとさんだったかな)2人がドレスの裾をちゃんと持ってあげるという気遣いも。カンパニーの雰囲気もとても良さそうです。この様子はエリザのブログに動画で上がっているので興味のある方は覗いてみては。

挨拶のあとも盛り上がってて、最後はスタンディングで締め。万里生くんと禅さんが幕が下りる寸前まで客席にパタパタと手を振り続けてて可愛かった。エジプトのある海劇場ではお目にかかれない光景だ…(苦笑)。

主なキャスト
エリザベート:朝海ひかる、トート:石丸幹二、フランツ:石川禅、ルキーニ:嶋政宏、ルドルフ:田代万里生、ゾフィー:杜けあき、マックス:村井国夫、ルドヴィカ:阿知波悟美、マダム・ヴォルフ:伊東弘美、エルマー:岸祐二 ほか

以下、ネタバレを含んだ感想になります。

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新キャストが多く登場する今回のエリザですが、基本的に演出は変わっていませんでした。東宝初演の時のトートダンサーズが幕をビリッと破いてから物語がスタートするっていうやつも好きだったんですけどね…最近はルキーニの首吊りからスタートするようになってます(汗)。
A席最前列からの観劇だったのですが、間際に取ったせいか超上手ゾーン。それでも特に見づらいシーンはなく、けっこう快適に観劇できました。ただ、やはり遠さは感じるよなぁ。S席でも観てみたいんですが…財政的にムリです(苦笑)。というわけで、オペラグラスフル活用でございました。

久々のエリザでしたが、やっぱりこの演目が好き!!何と言っても音楽が本当に素晴らしいです。幕開きの墓場シーンからゾクゾクっとくるし、それにセットがとても豪華で視覚的にも楽しめる。いい作品だなぁと改めて感動しました。
あと鳥肌がくるシーンが前回よりも多かったなぁ。「最後のダンス」「闇が広がる」「夜のボート」「悪夢」は思わずオペラグラスを目から離してしまうほどの衝撃がありました!何度も繰り返し見ている作品なのに、ここまで心揺さぶられたのってもしかしたら初めてかもしれない。

で、今回の注目は何と言っても石丸トートと最初で最後となってしまう万里生ルドルフ!もう、オペラグラスでガン見しまくりでしたよ(笑)。と、いうわけで以下、キャスト感想。

トート@石丸幹二さん

最初に石丸さんがトートにキャスティングされたと知った時は正直驚きました。イメージとしてはフランツ役のほうが合ってるかもと思ったんですが、いったいどれだけこの想いを裏切ってくれるのか…ものすごく楽しみにしてきました。

いやいや、こりゃスゴイ!!石丸トート最高でした!!

私は武田君の荒削りな小悪魔ちっくなトートも面白くて大好きだったんですけど、石丸トートは黄泉の美しき悪魔といった印象ですっかり目を奪われてしまった(笑)。石丸さんの歌ってどちらかと言うと少し湿度が高い声だと思うんですが、今回はそれをさらに生かしている感じ。トートの妖しい魅力が歌声に見事に乗っていて素晴らしかった。何と言っても音程に不安がないという安心感がいいですよ(笑)。トート役に石丸さんの声がもしかしたらとても合っているのかもしれないと思いました。

歌声だけではなく動きも非常に妖しげで見応えがありますよ!!常に「時」を支配している感じ。シシィにしてもフランツにしてもルドルフにしても、彼の指の動き一つで翻弄されて動かされているように見える。指先の一つ一つにまで神経が行き届いているようで見応えがあります。それに、仕草も非常に色っぽいし観ている側にも伝わりやすいように演じているのが分かる。あんな妖艶な石丸さん、観たことないですよ(笑)。

観たことないといえば、石丸トートの激しさの部分。観る前まではどちらかというと紳士的なトートになるのかなと思っていたのですが…とんでもない(笑)。キレるとものすごく怖いです(笑)。「最後のダンス」の時のノリノリなロック調での激しい石丸トートにまずビックリしました。さらにビクっとなったのが2幕でドクトルからトートになる瞬間。「それがいい、エリザベート!待っていた!!」とコートを脱ぎ捨てて正体を現すのですが、この時の爆発力がハンパなかったですよ!全身にゾクゾクっとくるものが走りました。とてもカーテンコールで優しい笑顔を見せている人と同一人物とは思えません(笑)。ルドルフに対してはとことん冷たさを感じますしね。

いやぁ、本当に楽しみなトート閣下が誕生しましたよ。何より石丸さんがとても生き生きしながら楽しんでトートを創り上げていっているのがわかることが嬉しい。解放感があります。本当によかったなと…カーテンコールで少しジーンとしてしまった。これから3ヶ月間、どんどん進化していくであろう石丸トート!観れる機会はあと今のところ1回しかないんですが(涙)なんとかもう少し増やせればいいなと目論んでいます(笑)。

ルドルフ@田代万里生くん

どうしても観てみたかったんです、万里生君のルドルフ!というのも、新しくキャスティングされたと知った時に「ついにキタか!」と。彼のイメージとルドルフがものすごく自分の中でマッチしてて、いつか配役されるんじゃないかとずっと思っていました。これは観ないと後悔する!と思ったわけですが、本当に観れてよかったです!

やっぱりすごく合ってる!!フランツとすれ違うシーンで初登場した時から皇太子オーラがバリバリ出てましたから(笑)。姿勢がピシッとしているし、神経質そうで真面目一直線な感じ。父親を裏切って祖国のためにと反対運動に参加してしまうというのがものすごく納得できる万里生ルドルフでした。とても繊細で壊れそうなルドルフがトートに翻弄されていく様がなんとも切なくてグッと来ました(涙)。

彼の魅力のひとつは何と言っても美しく伸びやかな歌声。あの凜とした歌声がルドルフ皇太子のイメージにものすごく合ってると思う。心地いいんですよ、万里生君の歌声って。ミュージカル界でとても貴重な存在だと思います。石丸トートとの「闇が広がる」は最高でしたね!!あれは鳥肌来ますよ!それが観れただけでもお金払った甲斐があると思わせてくれるひとときでした。

さらにダンスのほうも頑張ってましたよ。アンサンブルで参加している「ミルク」シーンもしっかりオペラグラスでチェックしましたが(笑)いい表情で踊って動いてました。マイヤーリンクでの動きも一所懸命さが伝わってきて、逆にトートに翻弄されている雰囲気が出てるように見えて見応えありました。銃を渡された時、最期に見せたあの安らかな笑顔がとってもよかったな…。大汗かきながらもとても頑張ってました。
あぁ、本当はもう一度観てみたかった万里生くんのルドルフだけど…日程的に無理だ(涙)。

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フランツ@石川禅さん

相変わらず、若き日と年老いてからの演じ分けが素晴らしい禅さん。今回はシングルキャストなので3ヶ月間大変そうですが、禅さんならばこのレベルをずっと保ってくれそうな気がします。

若き日の禅フランツは母親に支配されて身動きが取れないといった苦悩と未熟さが前面に出ていていいんですよね。ただちょっと禅さん…顔がむくんだような!?気のせいかな。艶はよかったんだけど(笑)。エリザと関係がギクシャクしてきた頃の、特にあの最後通告を突きつけられるときの哀愁は何度観ても切なくなります…。あのシーン見るといつもフランツに肩入れしたくなる(笑)。

2幕の年老いたフランツになってくるとますます禅さんの本領発揮!どんどんエリザへの愛情が深まっているのにその気持ちが通じないあの切なさ…。「夜のボート」での"分かってほしい、君が必要だよ"のフレーズでは今回も泣きました(涙)。フランツの温かさが滲み出てる…。

そしてものすごく楽しみにしていた、石丸トートとの対決になる「悪夢」。武田トートとのやりとりも迫力満点だったけど、石丸トートとのぶつかり合いも火花が見えるんじゃないかってくらい激しくて、思わずオペラグラスを持つ手が震えましたよ!鳥肌!!いやぁ、すごいものが観れた!

エリザベート@朝海ひかるさん

前回朝海シシィを観た時の印象があまりよくなかったのでしばらく外していたのですが…(汗)今回久しぶりに再会。以前、能面みたいで感情表現が乏しいかも…と思っていた部分がかなり改善されていました。幼いシシィのお転婆っぷりとか、ゾフィにたてつくところの感情表現とか、以前よりもかなり厚みを帯びてきているように思います。1幕クライマックスで出てくるエリザベートは朝海さんの美しさが栄えて思わずため息が出てしまうほど目を惹きました。見た目の雰囲気は本当にピッタリなんですよね、朝海エリザ。

しかし…やっぱり、歌声はかなり不安定(苦笑)。2幕になりエリザベートの年齢が上がって音のトーンが落ちてきたあたりからはなんとか安定していたのですが…1幕の…ハンガリー訪問あたりまでの歌が…。「私だけに」のナンバーとか、もうすこしラストの伸びがほしいんですけど…あれが限界でしょうか。なんていうか、歌声があっちに行ったりこっちに行ったりといったような印象なんですよ。特に高音が聞いていてあまり心地のいいものじゃない。もう少し頑張ってほしいなぁ…。せっかくイメージが合っているだけに勿体ない。

ゾフィ@杜けあきさん

お初のゾフィが登場してきました。初風さんや寿さんに比べるとダイブお若い杜@ゾフィ。スタイルもいいのでホッソリした印象であまりゾフィの迫力が伝わってこない印象でした。ただ、セリフでのお芝居では威厳が端々に見られてとてもよかったと思います。
が、歌声が弱いですねぇ…。低い音の時は出やすそうなのですが、やはり高音になるととたんに音量がガクっと落ちてしまう。それゆえにゾフィの迫力が伝わってこない。うーーん、残念。もう少し頑張ってほしいです。

あと、岸さんのエルマーも登場しましたが、まだちょっと存在感が薄い感じ。私はどちらかと言うと仲間のシュテファン役の谷口浩久さんに目がいってしまう(笑)。やっぱり愛之助さん似だと思ってしまう(笑)。

10年前から変わらずルキーニで出演し続けてる高嶋さんですが…今回はあまりしつこく感じることもなくてよかったかも。ちょうどいいあんばいで演じてたように思います。そういえば、キッチュのナンバーでエリザの物販するシーンの時、今までは見せるだけ見せて「やっぱダメ」と取り上げるリアクションだったんですが今回からハガキと思しきものを客席に3枚くら撒いてました(笑)。後ろにも来て撒いてほしいわ~。

次回のエリザは来月末までお預け。できればその少し前に1回突発で入れたいです。そのくらい今回のエリザベート好きかも!石丸トートの更なる進化に期待です♪

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