劇団四季ミュージカル『美女と野獣』2010.08.06マチネ

新しく大井町にできた四季劇場・夏。その杮落としとして東京では15年ぶりに再演されている『美女と野獣』を観に行ってきました。

まだ赤坂に四季の仮設劇場があった頃、やはりその杮落としとして上演されていたBB。私が観劇にハマり始めたのがちょうどそのくらいの時期だったんですが…あの当時としては珍しく通いましたねぇ。
最初は子供向けミュージカルではないかと劇場に足を運ぶことをためらったのですが、実際に観てみたら大人でも十分楽しめるエンターテイメントだったことが分かり、以来7回通いました。そのほかの都市でも上演されていましたが、結局観に行く機会がなく…このたび約15年ぶりの『美女と野獣』との再会ということになりました。

劇場の場所は大井町の駅手前くらいから見えるんですが、下車してから劇場にたどり着くまではだいたい10分前後見ておいたほうがいいかもしれません。アーケードを真っ直ぐ行くと着きますが意外と歩いた感覚があるので(汗)。ただ、案内もあるし迷うことはないと思います。

ロビーはなんだか広いんだか狭いんだか微妙~(苦笑)。1階ロビーには椅子が少ないというのもちょっとねぇ…。軽く昼を食べたりすることがあると思うのでもう少しスペースを作って欲しい気がします。あとはグッズ売り場。まだ開幕してから日が浅いこともあってごった返しているんですが、それにしてもちょっとスペースが狭い。品川CATS劇場のほうが余裕あった気がする。

客席と舞台は意外と距離感を感じません。赤坂の時よりも明らかに近く感じます。1階席しか見ていませんが、後ろのほうでも十分楽しめるのではないでしょうか。ちなみに今回はファミリー席というものもあるようでS席1階の中央から後ろはご家族連れが多く見受けられました。

それにしても、予想以上に子連れの観劇が多かった。お子さんが喜ぶような仕掛けとかもたくさんあるし楽しめると思うんですが、中にはストーリーが理解できず飽きてグズってしまう子供も…(苦笑)。まぁある程度覚悟はしてきましたけど…あまり長い時間子供の泣き声が劇場内に響くっていうのもちょっと…(汗)。そのあたりの対策も劇場側にはお願いしたい気がします。

ちなみに、私はこの作品は子供向け色の強いミュージカルではないと思っています。ビーストとベルの関係とかそういったストーリー的な部分はどちらかというと大人のほうがグッとくることが多いかもしれません。大人が見ても十分楽しめる非常によくできたエンターテイメント作品なので、「子供向けかも」と躊躇している人にもぜひ一度見て欲しいと思います。

劇団四季ミュージカル『美女と野獣』感想一覧

主な出演者

ビースト:福井晶一、ベル:坂本里咲、モリース:松下武史、ガストン:田島亨祐、ルミエール:百々義則、ルフウ:遊佐真一、コッグスワース:吉谷昭雄、ミセス・ポット:遠藤珠生、タンス夫人:大和貴恵、バベット:長寿真世、ムシュー・ダルク:川原信弘、チップ:川良美由紀

以下、ネタバレを含んだキャスト中心の感想になります。

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約15年ぶりのBBだったのでかなり忘れている部分が多いのではないかと思ったのですが…意外にもセリフとかけっこう自分の中で覚えていたりして、新鮮、というよりかは「懐かしい」といった感覚でした。次に何が起こるかとか、この場面ではこのセリフが出てくるとか…なんか不思議なほど頭の中にバンバンと蘇ってきましたね。当時いかに自分が気に入って通っていたかを再認識しました(笑)。

それと同時に、どうしても初演で観たものと比較してしまうという現象も…(苦笑)。もっと純粋な気持ちで観たかったんですが、この部分は前回のほうが面白かったなとか…ところどころで妙な気持ちも蘇ってしまったり。でもまだ東京公演は開けたばかりですので、これからどんどん進化していくんだろうなとも思います。

ちなみにちょっと違和感を抱いたのはガストンとルフウのコンビ。ディズニーにありがちな乱暴者とそれに忠実に従う弱気な男といったコンビなんですが、なんだかものすごくギコチなく感じてしまった。なんていうか…アニメで見られるような自然な流れじゃなくて、段取りどおりの動きみたいに見えちゃったんですよ。

ルフウがガストンに殴られて倒れるシーンがこの作品の中では数多く出てくるのですが、そのタイミングが微妙にズレてる。ボコっていう効果音とかともズレてるし…あのあたりをもう少し何とかしてほしい気がします。オーバーアクションが多いこの作品ではありますが、それを観ている側に「オーバーすぎる」と感じさせてはいけない気がするんですよね。

ただ、作品全体のエンターテイメント性の高い演出とかは本当に素晴らしい!特に盛り上がるのはやっぱりルミエールがベルを食堂に案内する「ビー・アワ・ゲスト」のシーン。あれは本当に一見の価値ありです。現実世界を忘れさせてくれます。客席からも色んなキャラクターや装置が動いてくるたびに「わぁっ」という歓声が上がり何度も拍手が沸き起こってました。

「ビー・アワ・ゲスト」と並んでもうひとつの大きな見どころとなっているのが酒場シーン
ベルに振られたガストンを励ますために仲間たちがビールで盛り上げるのですが、この時に出てくるカップを鳴らしてのダンスが実に巧みで面白い。このシーンの稽古に先日NHKが密着していたのを見ていたので、まじまじと魅入ってしまった。見事に統制の取れたアンサンブルとガストン&ルフウのアクションに会場からは大きな拍手が沸き起こっていました。これも一見の価値ありです!

それからセットのダイナミックさも魅力。私は特にビーストがベルを図書館に案内するシーンがお気に入りです。本好きのベルが見たこともないような本の数を前にして感動するんですが、あのセットは本当に見ているこちらも胸が高まります。「ダンス・オブ・ヴァンパイア」の書庫シーンといい勝負かも(笑)。

ストーリーは前半はベルと父親のモリースとの親子愛が描かれたりガストンとベルのコミカルなやり取りが描かれています。ただちょっとこのあたりが間延びしているように思えてしまったかなぁ…。で、モリースがビーストの城に迷い込みベルが助けに向かったところから愉快な召使たちとベルとの交流に代わる。どちらかというと城に入ったあとのほうがテンポもいいし会話劇も非常に面白いので見ごたえがあります。

ビーストは1幕の後半あたりから活躍する感じかな。ベルを無理やり夕食に誘おうとするくだりはビーストのヘタレっぷりが最高で客席からも何度も笑いが沸き起こってました。ビーストは魔法使いの呪いを解くためにベルの気を惹きたいんだけど、わがままな性格が災いしてなかなか上手く交流ができない。それを必死にサポートする召使たちとのやりとりは本当に面白いです。ビーストがものすごく愛しく見えてきますよ。

そして2幕に入ってある出来事がきっかけで二人は急に距離を縮めていく。思ったんですが、あれって、どのくらいの時間軸なんですかねぇ。花びらが最後の1枚になるまでどのくらい時間が経ってたんだろう。ベルとビーストが心を通わせる過程が2幕に入ってからかなり早いスピードで描かれていくのでふとそんなことを感じてしまいました(汗)。

今回初演の時以上に感動したのが、ビーストがベルを父親・モリースのいる場所へ帰してやるシーン
魔法の呪いを解くためにはベルとそのまま一緒にいて愛を深めることが重要だったにもかかわらず、ビーストは父を心配するベルのために彼女を手放してしまうんです。この時のビーストの切ない気持ちがかなりグッときました…。福井さんがとても上手くそのあたりを表現していたと思います。ミセス・ポットの「愛することを知ったのね」というセリフもとても印象に残ります。自分のことよりも相手を思いやることを、ベルを手放すことでようやく悟ったんですよね。なんとも切ない…(涙)。

そして、ガストンたちが襲ってきてビーストは窮地に立たされる。瀕死の状態になったビーストにベルが愛を告白した瞬間、魔法が解けて王子の姿になります。この仕掛けもBBの見せ場の一つなんですが…私、その仕掛けが…一瞬チラッと見えてしまいました(爆)。
初演では「こうだろうな」とは思っていてもちゃんと見えたことがなくて確信が持てなかったんですけど…今回「あぁ、なるほど」と(笑)。他にも目撃した人がチラホラいらっしゃるらしいので…(汗)、今後対策が必要かも!?あそこは夢を見せるためにも仕掛けはバレないほうがいいと思うし。

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以下、おもなキャストの感想。

ビースト@福井晶一さん

東京公演から新たにビースト役として入っている福井さん。てっきりエジプトの将軍に入られるのかと思っていたのでこのキャスティングを知った時はビックリしました。私、今まで福井さんは「CATS」でしか観たことがなかったのでようやく人間の姿をした彼を目撃することに(←最後だけですけど 笑)。

王子に戻った姿が、なんか芥川さん(現・鈴木綜馬さん)を髣髴とさせるような感じだったので驚きました。芥川ビーストは大好きで複数回観ているのですが、あの時の王子と雰囲気がとても似てるように感じたんです。紳士な雰囲気で王子に合ってる!欲を言えば芥川さんのようにイギリス発音で「コッグスワース!」と抱きついて欲しかったけど(笑)。

ビーストでの福井さんはあともう一押しって感じだったかな。ビーストのヘタレっぷりは十分観ていて可愛いんですけど、もう少し踏み込んで演じてもいいんじゃないかなと思いました。ちょっとしたリアクションにもう少しコミカルさが欲しいかも。なんかまだ真面目で大人しい雰囲気が残ってしまう。

ベルと心が通じたあとの芝居はとても丁寧でよかったです。前述したとおり、ベルを城から帰す決意をするシーンは思わずウルッときましたし…。福井さんにはもう少し長くビーストとして役を深めていってほしいなと思います。時間が経てばもっと私の好きなビーストになる気がするので。

ベル@坂本里咲さん

坂本ベル…私は初演の時から観てますよ!それを今でもこうして演じていらっしゃるということがまずすごいこと!お顔立ちがとても美形なので舞台栄えするし、芝居やダンスの動きにしてもすごい余裕がある。

ビーストが無理やりモリースと引き離すシーンでは本気で泣いていたし、テンションが高く素敵なベルを見せていただきました。「ビーアワゲスト」のときのナプキンたちとのダンスの足上げはものすごくきれいだったなぁ。しなやかな動きに感動してしまった。ただ、ちょっと、声量が足りないかも!?と思うこともチラホラ…。

ガストン@田島亨祐さん

ガストンのキャラクターにとても合っていると思います。まだちょっと固さも見られたけど、前半は乱暴者だけど憎めないみたいな感じが面白くて楽しませてもらいました。体も大きいしいい筋肉も持ってるみたいだし(笑)今後の田島ガストンに期待したいです。

ただ、2幕からのガストンの悪の部分がちょっと物足りなかったかも…。ただ興奮して城につっこんでって落ちちゃったみたいな(苦笑)。もう少しビーストへの憎しみみたいな部分が出ればよかったなと思います。

ルミエール@百々義則さん

百々さんもCATSでしか観たことがなかったのでとても新鮮でした。コミカルなお芝居とか吉谷コッグスワースとのコンビもいい感じで可愛かったし楽しかったです。
ただですねぇ…台詞回しが…あれ、もろ四季発声でしょう(苦笑)。一つ一つの言葉を丁寧に話し過ぎて全体のテンポを悪くしてしまっていると感じさせるところがチラホラ…。あの台詞回しはナベさんよりもスゴイです(爆)。ただこれも、回数を重ねていけばもう少し滑らかになるのでは…とちょっと期待してみる。

ルフウ@遊佐真一さん

遊佐さんはライオンキングで1回見たきりだったかなぁ。ものすごくお久しぶりだった気がするんですけど…うーーーん…あまり上手いルフウではなかった気がする(苦笑)。殴られて倒れるタイミングがちょっとズレてるんですよね。なので、ただアクロバティック調に転がってるだけみたいに見えてしまう。動きが全体的に重いんですよ。なんか空回りしてるみたいで(汗)。初演に観たルフウ役者さんがけっこう上手く立ち回っていたのでなおさら違和感を感じてしまったのかも…。頑張ってほしいです。

コッグスワースの吉谷さんモリースの松下さんは初演でも観ているキャスト。お2人とも作品の色に染まっていてとてもよかったです。ミセスポット役の遠藤さんはちょっと若いかなとは思いましたが、きれいで柔らかい歌声で癒されました。そういえはポット夫人の息子・チップは子役ではなくなったんですね。それと、タンス夫人の背の高さにビックリしました(笑)。

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カーテンコールはかなり盛り上がってました。『アイーダ』のカテコばかりを最近見ていたもので…なおさらあの盛り上がりっぷりに驚くばかり(汗)。劇中では大掛かりなシーンの時は大拍手が起こっていたのに他の「ここで拍手」みたいなタイミングではほとんどシーンとなっていたので「?」と思うことが多々あったんですが…あのカーテンコールでの大きな拍手を聞くに皆さんこの作品を本当に楽しまれたのだなぁと感じました。

全体的にはまだ少し小慣れていない部分とかも感じたので、少し時間を置いてからまた観に来たいなと思いました。これからロングラン公演になると思うので色んなキャストでも見てみたいです。

余談ですが…私が初演で観たビーストは…荒川さん芥川さん(現・鈴木壮麻さん)石丸さんです。芥川さんと石丸さんがお気に入りでした。ベルは…五東さん坂本さん井料さん鈴木さん。最初に観たコンビが荒川ビースト・五東ベルで最後に見たのが芥川ビースト・坂本ベルでした。当時のキャストで今も残ってるのは荒川さん、坂本さんのみとなってしまった…。

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