ミュージカル『エリザベート』2019.06.25ソワレ

東京の帝国劇場で上演されているミュージカル『エリザベート』を観に遠征してきました。

チケット発売が決まった時、大阪でも公演するだろうと予想してて待つことに決めてしまったのですが…結局は東京でしか上演しないと知りガックリ(汗)。
この日のチケットは、大阪もあると予想する中で”前回と同じく京本君だけは東京オンリーだろうな”と踏んでてあらかじめ一番早い先行で取ることができたやつです。今から思えば、その時にもう少しエントリーしておけば…という後悔があるんですが、とりあえずは来ることができてよかった。

以前はここまでの激戦じゃなかったんですけど…いつの間にこんな爆発的人気演目になったのか。まぁ、ミュージカルファンが増えたという点では喜ばしいことでもあるんですが。

帝劇を訪れたのは2017年に『ビューティフル』を観に行って以来2年ぶり!!大型ミュージカルはだいたい梅芸に来てくれるので、すっかり帝劇とは疎遠になってしまった。


満員御礼の看板が誇らしげに見えた。まぁ、全日完売ですから毎日出てるんでしょうけどw。

今回久しぶりに帝劇に来て驚いたのが、物販コーナーの位置が変わっていたことです。以前はロビーの中央部分に設置されていたはずなのですが、いつの間にか一番奥スペースに移動していた!でも確かに、あの一の方が人の流れ的には邪魔にならないからいいのかもね。
クリアファイル買おうかなって思ってたんですが、6月開幕したばかりなのにもう品切れ状態(涙)。7月にもう1回だけ来れる予定なのですが…その時には売っているのだろうか?

※2019年7月観劇感想はこちら↓。クリアファイルも買えましたw。

以下、ネタバレ含んだ感想です。

 

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2019.06.25 ソワレ in帝国劇場(東京・日比谷)

主なキャスト

  • エリザベート:花總まり
  • トート:古川雄大
  • フランツ:平方元基
  • ルキーニ:成河
  • ルドルフ:京本大我(SixTONES/ジャニーズJr.)
  • ゾフィー:涼風真世
  • マックス:原慎一郎
  • ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ:未来優希
  • エルマー:植原卓也
  • 少年ルドルフ:加藤憲史郎

エルマーの革命仲間の一人に山田元くんがキャスティングされました!パンフには役名はありませんが、「ジュラ」という青年名がちゃんとついてるキャラなんですよね。エルマー役の植原くん、シュテファン役の佐々木さんと並ぶとホントにイケメン三銃士!って感じでカッコいい。

ちなみに、3年前の公演でシュテファンを演じていたのが廣瀬友祐くんでした。今では大きな役柄もこなすほどの人気俳優に成長しました。

少年ルドルフは加藤憲史郎くん。私は子役登場の演目では憲史郎君に遭遇する率がものすごく高い(笑)。やっぱり憲史郎くん可愛いし、歌も上手い。ラブネバで見た時よりもまたちょっと大人に近づいたかな。青年になったらお兄ちゃんみたいにイケメンになることでしょう。楽しみです。

あらすじと概要

19世紀後半のオーストリア=ハンガリー帝国に君臨した皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の妻エリザベート皇后の生涯を描いたミュージカル。
ウィーンでの初演は1992年。日本では、宝塚版が1996年、東宝版が2000年に初演を迎えて以降数年おきに上演されています。

作詞はミヒャエル・クンツェ、作曲はシルヴェスター・リーヴァイ。
今やすっかりミュージカル界ではお馴染みとなったヒットメーカーコンビですが、日本で最初に大きくブレイクしたのはこの『エリザベート』だったかと思います。

「死」を擬人化させた黄泉の帝王トート閣下は、シシィ(エリザベート)がまだ少女だった頃にビビビっと恋に落ちてしまいw、彼女がフランツと結婚した後も執拗に愛を求めて迫ってくる。
エリザベート皇后は宮廷の中では孤立していた存在だったらしいというエピソードから、彼女は常に「死」の存在を感じていたのではという解釈がなかなか興味深いです。でもぶっちゃけ、個人的にはトート閣下のシシィに対する熱烈な片想いが報われるまでが毎回楽しみで観に行ってるんですけどねw。

簡単なあらすじは以下の通り。

自由を愛し、類なき美貌を誇った ハプスブルク帝国最後の皇后エリザベートと、 彼女を愛した黄泉の帝王“トート=死”。

トートはエリザベートが少女の頃から彼女の愛を求め続け、 彼女もいつしかその愛を意識するようになる。 しかし、その禁じられた愛を受け入れることは、自らの死を意味した。
滅亡の帳がおりる帝国と共にエリザベートに“運命の日“が訪れる―。

公式HPより引用

ミュージカル版に沿った小説も発売されています。


エリザベート 愛と死の輪舞 (角川文庫) 

2016年版の公演はDVD化しています。トートは城田優くんバージョンと井上芳雄くんバージョンがあり、エリザベート役はどちらも花總まりさん。エリザ役はWキャストだったんですが…なぜこうなっているのかは見た者のみぞ知る(苦笑)。まぁ、仕方ないかなと。
演出は2019年版とだいたい同じです。

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全体感想

2016年も東京と大阪で観劇していたのですが、ちょうどこの時期引越しなどがあってバタバタしていたせいか記憶が半分飛んでしまってあまり覚えてない(汗)。なので、その時から始まった新演出版の記憶もあいまい過ぎて…今回初めて見たかのような錯覚に陥ってしまいましたw。DVDを見返してみたら、あれ、前にも観てたんだ…みたいな驚きが(笑)。
まぁ、逆に新鮮な気持ちでエリザベート見ることができたのでよかったです。

東宝の初演時からずっと見続けている演目ですが、「あ~~、来てよかったよ!」と最初に実感させられるのは冒頭の♪我ら息絶えし者ども♪の最初の音を聴いた瞬間です。
私をエリザに強く惹きつける一番大きな要素は”音楽の素晴らしさ”なのですが、特に最初に流れてくる♪我ら~♪のナンバーを聴くと胸の内側からアドレナリンがグオーーーッと上がってきて体全体が熱を帯びたような感覚にさせられる。今回も否応なくテンションが爆上がりしたのでw、やはりエリザの持ってる音楽の力は只者じゃないなと改めて感じました。

冒頭のシーンに関してもう一つ、トートダンサーズの動きが実に統制が取れていて素晴らしかった。静かに登場したかと思うと見事なフォーメーションで物語を動かすきっかけを表現し、その延長でルキーニが登場する。この一連の流れが新演出はすごく良いなと思います。
これ以外にも、作品全体を通して今回はトートダンサーズの皆さんの動きに思わず目が吸い寄せられる瞬間が何度もありました。一つ一つの動き、フォーメーションがとにかく本当に無駄がなくて美しいです。今まで見てきた中でも特に印象に残ったかも。

さらにシーンごとにちょっと振り返ってみたいと思います。

少女のシシィが父親への憧れを歌う♪パパみたいに♪ですが、マックス侯爵とシシィの家庭教師のラブラブっぷりがえらい濃厚になっててビックリした(笑)。私が覚えてるのは軽く抱き合ってチュッチュしてるくらいだったんですが、新演出からはさらに濃厚に描写されてて見ててなんかハラハラしちゃったよww。そこまでやらんでも、いいんでないかい!?と個人的には思うw。
この時に家庭教師が落としたスカーフがちょっとした小道具になってたのは面白かったけど。

木から落ちたシシィが初めてトートと出会う♪愛と死の輪舞♪は、以前までと比べるとトート閣下とシシィとの距離がデカいセットのせいでけっこう遠くなっちゃったなという印象。
あと、シシィがトートダンサーズたちに誘われて黄泉の国の入り口に来る場面ですが…ここはやはり普通に歩いてくるよりも新演出になる前のフワッと持ちあがってシシィが現れたって演出の方が個人的には好きかなぁ。

フランツとシシィが恋に落ちた瞬間の”幼さ”がクローズアップされた感じの演出は好きです。
シシィは恋愛に酔ってる感が強くてフランツとのバラ色の生活にワクワクしてるのに対し、フランツは皇帝の義務による将来の不自由さを予感して不安が過ってる。でも結局はシシィへの愛の強さが勝って彼女を受け入れちゃうわけで、そこが見ていて何とも危うい感じがするんですよね。ここのドラマは上演を重ねるごとに繊細に描かれていってるなぁと思いました。
そういえば、♪計画通り♪の最後のシーンのところ…ルキーニは舞台に寝転がるという演出じゃなくなりましたね。そこはちょっと寂しかったかな(笑)。

結婚式のシーンは舞台上がえらいダイナミックに描かれてるもんだから、トート閣下が登れる隙間がなくなり客席側にいる時間が長くなりました(笑)。ただ、個人的にはこのシーンはやっぱりトート閣下に舞台上にいてほしいかなぁ。結婚式の様子を客観的に冷たい目で眺めるっていう意味では客席から操る演出はありかと思うんだけど、あまりにも舞台上がゴタゴタした印象になってるのでそれにトート閣下の存在感が消されちゃってるような気がした。
それにしても、古川トートの笑いっぷりが予想以上に狂気めいててちょっとビックリしましたw。

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♪最後のダンス♪はやはり何度聞いてもテンションが上がる壮大なロック調のナンバー。トート閣下の登場が舞台下手側の一番上の階段から降りてきて、この時点でシシィは舞台上手の端っこの方にいる。以前よりも距離感は最初感じるんですが、徐々に「死」の存在が彼女に近づいて最終的に執着していくという過程が分かりやすくなってるなと思いました。ここのシーンのトートダンサーズのフォーメーションも綺麗でカッコいい。
ちなみに、初期の頃はトートダンサーの一人が四つん這いになってシシィを上に乗せて運ぶっていうちょっと面白いことになってたんですよねww。今となっては懐かしい。

結婚式のあとシシィとフランツが二人きりになって捌けていく場面のあとにルキーニが皮肉を言いに現れるシーンがあるのですが、たしか前回までは「籠の中の小鳥」と言うところでトリさんのおもちゃが登場していたはずなのですが…今回は出てこなくて台詞のみで済まされてました。
あのおもちゃ、気まぐれで壊れたりしそうだったからなw。ここは無くなっても別にいいかも。ちなみにいっくんはトリのおもちゃ使ってるそうです。

♪皇后の務め♪でゾフィーがシシィを叩き起こすような場面があるんですが、前回からゾフィーが高台からシシィのベッドを見下ろすという演出になってダイナミックさが増しました(笑)。ただねぇ、物理的距離が開きすぎてるなぁと思っちゃうんだよなぁ。まぁ、シシィとゾフィーの心理的距離は永遠に縮まらないんだけどw。二人の掛け合いがあるんだけど、距離が離れてしまった分ちょっと違和感もあるんですよね。以前のようにもう少し近い距離でやり合ってもいいんじゃないかねぇ。

フランツが途中からやってくるシーンは新演出前は下手からだったのが、今は上手のしかも上の方からに変更になりました。以前はすぐにフランツに「お母様がいじめるの!!」と詰め寄ることができていたシシィでしたが、新しくなってからは最初の距離が遠いためシシィはわざわざ階段を駆け上がってフランツの元へ走り寄らなければならなくなりました(汗)
でも、フランツはシシィを何とか説得しようという意思は新演出になってから強調されるようになってそこは良いなと思います。それまではけっこう「他人事」みたいな言い方に聞こえたのでww。

フランツのシシィを想う気持ちがより強くなったことで、シシィの”わがままさ”みたいな部分がけっこう浮き彫りになったなと。♪私だけに♪が以前よりもなんか我の強いナンバーに聞こえる(笑)。
ここのシーンは2016年版の記憶が残ってました。というのも、歌ってる途中で後ろに板がせりあがってくる演出があるからです。その板がけっこうな角度まで上がってくるんですが、シシィがクライマックスでそこを駆け上るとさらにそれがせりあがって90度近くくらいまで上がるんですよ!!で、シシィが倒れたまま滑り降りるっていう・・・。
あれ、見ていて本当に怖いから個人的には止めてほしいんだよなぁ(汗)。一歩間違ったら事故になりねないよ!?そこまでダイナミックにしなくても歌の表現だけでもいいんじゃない?と思ってしまう。

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ハンガリー訪問の場面。ここは前回見た時の記憶がほとんどなかったんですが(汗)、新演出になってから状況が分かりやすくなりましたね。

皇帝を迎えようと集まった市民に向かって市長は「エーヤンで迎えましょう」と呼びかけ機運が高まるんですが、以前はそこで終わってたんです。なので、ハプスブルク家の旗と一緒にハンガリーの旗も普通に出てたと思う。それが、新しくなってから途中で軍が介入して「三色旗は禁止」と忠告して無理やりひっこめさせるんですよね。結果的には旗はハプスブルク家のみとなる。
こういうやりとりを入れることで、平和なように見えてウィーンの支配下に置かれているという「負」の部分が強調され、エルマーたち革命家の存在の意味がより分かりやすくなったなと思いました。さらにはシシィの「三色旗」ドレスの意味もより大きく感じられます。あれでハンガリー市民の心を掴んだというのが以前よりも伝わりやすくなりました。

ちなみに、私今まで全然気が付かなかったんですがww・・・2幕から登場する青年ルドルフがこの「エーヤン」のシーンで市民として影出演しているそうです。ミルクは知ってたんだけどここは気付かなかった~。気になる方は是非探してみてください。

ルドルフの養育権をゾフィーに取られたことでストレスがたまったシシィはフランツへの不信感も募らせていく。フランツはそんなシシィになんとか機嫌を直してもらおうと「一緒にいたい」と訴えるのですが、「私か母親か選んで」という最後通牒を手渡されてピシャリと拒絶され・・・まぁ、なんともフランツがお可哀想な場面。
時代背景とか考えると、ここはやはりフランツに同情してしまいますね、毎回。シシィは自分の思うとおりにできないことが多すぎてストレスMAXになってるんだけど、フランツの立場というものを理解しようとはしないわけで。あそこでシュンとしたあと厳しい顔で髪を見つめながら去るフランツにいつも同情してしまう。

その直後にトートが現れるんですが、以前は暗闇に紛れてシシィの椅子に座っていたり、机の上に乗ってたりと色んなアクションがありましたが(笑)、今は明るくなった後に椅子の後ろからユラ~~っと登場する感じになってて逆にインパクトが増しましたw。

♪ミルク♪の場面は毎回後ろの方で帽子を深くかぶって踊ってる「ルドルフ」役の役者さん探しちゃうww。京本君は顔立ちがけっこうハッキリしてるので見つけやすいです。
で、ナンバーが終わった後にルキーニが皇后のお世話係に残ったミルクを注ぐシーンがあるんですが…新演出になってからミルクの量がかなり増えましたな(笑)。その前まではチョロチョロ程度だったのが、今ではザバーってけっこうな水量あってビックリですww。

1幕ラストの♪私だけに(リプライズ)♪はシシィと彼女を愛するトートとフランツの掛け合いのドラマが見どころ。超上から目線のシシィにはけっこうイラっとくるんですが(笑)あの美しさに圧倒されて結局は魅せられちゃうんですよね。客の方もしてやられたな気持ちになるww。

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2幕冒頭の♪キッチュ♪は前回の記憶がけっこう残ってました。
このシーンでルキーニは客席に降りてパフォーマンスをするんですけど(前方だけですが)、売り物として持ち歩いてるエリザベートグッズ、以前はお客さんには渡してなかったんですよ。渡す振りして引っ込めちゃうみたいなことやってたくらいなんで(笑)。
それが、新演出になってからホイホイと前方の目に着いたお客さんに渡すようになって。マグカップまで渡してるのを見た時は最初ビックリしましたww。最後には紙切れみたいなのもばら撒いて大判振る舞い状態。これは美術さん、作るの大変そうだなと思ってしまったw。

ハンガリーを平和裏に支配下に置いたフランツとエリザベートを市民たちがこぞって歓迎するシーンも何度見てもテンション上がります。ここの高揚感ある場面と音楽がすごく好き。馬車のセットがなくなって巨大棺桶みたいなのが馬車代わりに変わってしまったのはちょっと残念だけどw。
ここを囲むトートダンサーの動きも綺麗だし、鞭を振るう古川トートも美しくて見惚れました。

で、この後♪私が踊る時♪というシシィとトートの掛け合いの壮大なナンバーが入るのですが、この時のシシィは完全に勝ち誇っててドヤ顔状態。それを冷ややかに見つめながらも「お前は絶対俺に屈する日が来る」とトート閣下は迫る。二人のひりひりしたやり取りが魅力的なシーンですが、これを見る限り、シシィは自分の立ち位置を確立させてけっこう幸せ掴んじゃったんじゃないの!?といった印象が個人的には強いんですよね。

それだけに、その後に来る精神病院でのシーンがなんだかつながらない気がして(汗)。♪魂の自由♪を歌うシシィは「自分の居場所がない」とか「私は孤独」とか完全に悲劇のヒロインになってる。この様子を見ると、どうしても心の中で「あんたさっき、トート閣下に勝利宣言してドヤ顔してたやん!」ってツッコミ入れたくなるんですよね(笑)。ここは展開的にちょっと違和感だったり…。
でも、ナンバーは個人的にすごく好き。旋律が美しくてグッとくるものがあります。

そういえば、精神病患者のメインでもあるヴィンデッシュとシシィが対面した時に激しくやり合う場面があるんですが、以前はシシィの傘を二人で取り合ってたように記憶してますが、新しくなってからはヴィンデッシュが投げつけたストールみたいなものを引っ張り合うみたいになってましたね。しかも、引っ張ってた相手はリヒテンシュタインさんだったような?
ここはシシィがヴィンデッシュの心に触れていくことにもつながっていく場面でもあるので、二人で直接やり合うようにしてた方がよかったなと思いました。

幼い皇太子ルドルフが母親を求めてしょんぼりしてるところにトート閣下が現れるシーン。
「勇気を試すために猫を殺した」ってルドルフが歌う場面があるんですが、以前はここで剣を突き出していたのですが、最近は”銃”に変わりましたね。今回見ていてハッとしたんですが(今さらですがww)、これがルドルフの将来を暗示する伏線になってるんです。トート閣下がルドルフから手渡された銃を彼に差し出そうとするのがとても印象的だった。古川トートは銃口とは逆の方向を向けてて…さらにその暗示が強く感じられました(以前見た時は銃口向ける演出だったと思うので)。

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♪マダム・ヴォルフのコレクション♪のシーンは毎回かなり大胆に演出されてますが、今回は上の段も使ってさらにダイナミックになった印象がありましたね。特にマデレーネの登場場面はインパクトがあります。
それにしても、あの、ベルトみたいなやつの演出、いるか!?以前はあのリアクションなかったんだけど、なんか、年々卑猥さが増してる気がする(苦笑)。なんかあれだけはエゲツなさすぎてちょっと見たくないかも。

シシィに一矢報いたゾフィが力尽きる場面は2004年からよりドラマチックに描かれるようになりました。初演の頃はゾフィの死がすごいコミカルに描かれていたので、そこから考えるとだいぶ印象が変わったなぁと。
ゾフィはこの作品のなかでも重要人物ですし、シシィの前に立ちはだかる壁的な大きい存在でもあったので、ちゃんと最期を迎えるシーンが加わったのはよかったなと思っています。ゾフィを抱えるトートダンサーズの立ち居振る舞いもとても美しく印象的です。

フランツに裏切られたシシィが旅を続けるシーン、ここは1回シシィのダミーが出てくる場面があるんですが、以前はそこでルキーニに覗き見られて逃げ出す…みたいな演出があったように記憶するんですがそれがなくなりましたね。普通に横切ってましたw。
ただ、ステージの上ではなくていくつかの巨大棺桶セットの上を歩いていく演出になってるので…一歩踏み外したら落ちてしまうのではないかとちょっとハラハラします(汗)。

そしてようやく青年皇太子のルドルフが登場。
♪憎しみ♪の場面、ドイツ民族のアンサンブルさんの声が前回までとは違ってすごい抑え気味に入っていたのがすごく印象に残りました。囁くような感じで入っていき、徐々に狂気が増していく様子がより濃く感じられるようになりゾクッとさせられた。
最後に鍵十字の巨大な幕が下りてくるのですが、以前はこの幕を群集役のアンサンブルさんが走りながら持ち去っていたのに対し、新演出からは最終的にトートダンサーズが掲げることになっていて、その幕に隠れる形で群衆がいなくなりトート閣下が登場するという非常にドラマチックな魅せ方になりました。これは新演出の方が好きですね。

♪闇が広がる♪は今回の観劇で一番楽しみにしていたシーンのひとつ。なぜかといえば、古川トートと京本ルドルフの美の共演が見られるからです。二人とも本当に綺麗な顔立ちしてるしスタイルも抜群。まさに目の保養ということでww、どんなシーンになるか期待していました。
いやぁ~~、なんか、ええもん見させていただきました(笑)な気分。予想以上に妖しく美しかった。それに、けっこう刺激的でもあったなあ。二人ともちょっと顔立ちが似てる感じで、見ながら「将来、兄弟の役とかいけそうじゃない!?」とか思ってしまったw。

♪独立運動♪の時のダンスシーンもカッコよかった!上手側でルドルフたちがダンスしているのに対し、下手側でトート閣下がダンサーたちと応えるように踊り操る。この対比させた見方が実に刺激的で面白かった。

♪マイヤーリンク♪のルドルフの最期の場面も見応えありました。ルドルフがトート閣下から必死に逃れようとするんですが、以前は操られ感があったのに今回見たらルドルフはトートの魔力から必死に逃げようとしてました。でも最終的にはそこから逃れられなくなって、無の表情で銃を受け取りトートのキス(=死)を受け入れる。
逆らって、逆らって、逃げようとしたけど逃れられなかった。そんなルドルフの無念さとやるせなさが浮き彫りになってて切ないシーンでもありましたね。

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ルドルフの死にショックを受けたエリザベートは喪服姿のまま放浪の旅をつづけますが、コートダジュールの海辺でフランツとの面会に応じる。フランツはシシィとやりなおしたいと切々と訴えますが、シシィは最後までその申し入れを受け入れることはしませんでした。
♪夜のボート♪でフランツが「愛している」と最後に告げる言葉がすごく切実で悲しく響くだけに、「わかって、無理よ」と拒絶するシシィの歌が刺さるんですよね…。美しく哀しいナンバーでエリザのなかでも特に好きな場面だったりします。

そして、皇帝がその夜に見る♪悪夢♪
この場面はトート閣下が全てを仕切ってフランツを心理的に追い詰めていく緊迫感があって見るたびにゾクゾクします。一番印象的なのはやはりトートがルキーニに「彼女を救うのはこれだ」とナイフを渡す場面。上の段から下にいるルキーニに最後ストンとナイフを落とすんですが、あれ、受け取るタイミングも難しそうだなぁといつも思って見てますw。今のところ失敗したところを見たことがないのですが、落とした日もあるんだろうか?
さらに、ルキーニを止めようとフランツが必死に食い下がるシーンがあるんですが、以前は胸倉掴んで投げ飛ばされるっていうのはなかったかと思うので、なんか派手になったなぁという印象もありましたねw。

ラスト、ルキーニに桟橋でシシィがぐっさりとやられるんですが…ここ、初演の頃は刺された後も直後は「大丈夫よ」と平静を保とうとして少し歩いてから倒れるって感じだったんですよね。史実でも、刺された直後は何が起こったのか分からないくらいだったという記録があるらしいのでけっこう忠実に再現したんだなと思ってました。でもそれがいつしか刺されてすぐに黄泉の国入りする感じに変わったので…時間の関係かなとw。
トート閣下のキスを受け入れて終わるラスト、ここも公演ごとに色んな演出がありましたが…個人的には棺桶の中にスッと納まる演出が一番しっくりきたかな。今のは何だかちょっと無機質な気がしてちょっと違和感あります。

とはいえ、やっぱり『エリザベート』は魅力的なミュージカルでした。長く上演されるのも納得です。

続いてキャスト感想。

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