ミュージカル『エリザベート』博多公演 2023.01.27マチネ

ミュージカル『エリザベート』を観に博多まで遠征してきました。

リベンジ公演が決まりチケット戦線(東京公演)に参戦した時はどのチケットサイトでも全く引っかからなかったので(汗)、一度は今季エリザは見れないんだろうなと諦めていました。あの時はまさか2回も見に行けることになるとは思いもしませんでした。もうこれは奇跡としか言いようがない。博多が比較的近い土地に引っ越してきたという事も運が良かった(東京公演よりもチケットは若干ではありますが取りやすかった)。

博多座…もとい、1月のハカタブルクは本当に最高だった!!劇場全体がエリザを熱烈応援してたし(トート閣下をイメージした黒い羽がそこかしこにたくさん貼られてた)、来場のお客さんへの心配りも抜群に良い。気の利いたツイートもたくさんあったのも嬉しかったな。

こんなきめ細かい情報流してくれる劇場なんて、なかなかありませんよ!

公演回数ごとに貼り付けていたという黒い羽もちゃんとチェックしましたよー!こういう演出本当に粋だなぁと。しかも、これに関するSNSのコメントがまた秀逸でした。

ハカタブルクを盛り上げてくれた博多座さんにはもう本当に感謝しかないです。今後も暫くお世話になるであろう劇場がこのように演劇を愛してくれていることが本当に嬉しい。

ちなみに今回は2階席からの観劇だったのですが、思っていたよりもすごく見やすくて驚きました。2階S席エリア後方寄りでしたが、オペラグラスがなくても役者さんの表情が見えるシーンがかなり多かったです。全体像が見える上に表情も見れて…けっこうお得感あったかも。おそらく2階席前方だったらさらに見やすかったのでは。博多座、ほんと良い劇場。

以下、大いにネタバレ含んだ感想です。

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2023.01.27マチネ in 博多座(福岡・博多)

※あらすじと概要については2019年6月のレポートを参照してください。

博多座公演の上演時間は3時間10分。内訳は、1幕80分休憩30分2幕80分になります。

これまでのミュージカル『エリザベート』の感想

主なキャスト

  • エリザベート:愛希れいか
  • トート:井上芳雄
  • フランツ:佐藤隆紀
  • ルキーニ:上山竜治
  • ルドルフ:立石俊樹
  • ゾフィー:涼風真世
  • マックス:原慎一郎
  • ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ:未来優希
  • エルマー:佐々木崇
  • 少年ルドルフ:西田理人

今回の少年ルドルフは三木治人くん。彼も本当に歌が上手で将来がとても楽しみ。雰囲気としては、前回見た西田くんよりもちょっと幼い感じだったかも。なので余計「ママ」と呼ぶ声が寂しげで儚く思えたかな。それと、「勇気試したんだ」と「でもちょっと可哀そう」の二つのフレーズの歌い方や表情も繊細でとても良かったです。

全体感想と主なキャスト感想

♪我ら息絶えし者ども♪

このナンバーが聴こえ始めてくるたびに「エリザベート観に来てよかった!!」という気持ちがこみ上げてきて胸の奥から続々するようなテンションでいっぱいになります。あの徐々に盛り上げていく曲調とか本当に最高!

芳雄トートは上から降りてきたときから帝王感たっぷりで凄いオーラを解き放っていましたね。”皆の命食い尽くしてやるからな”みたいな獣のような雰囲気もあったし、色んな意味で出てきた瞬間から圧倒されました。
それから、ルキーニにタッチする回数がすごく多いなというのも印象深かったです。”あれ?トート閣下ってこんなにルキーニと密になってたっけ?”と驚いたほど。これ、冒頭のシーンだけじゃなくて他のところでもちょいちょい見られたんですよ。それ故、ルキーニはトートが操ってる駒のひとつという感覚にさせられ、より立体的に物語が見えたような気がしました。

最後のルキーニとトートの「エリザベート」連呼ソング、芳雄トートは最後の「エリザベート」のところを高い音程じゃなくて低い音程で歌ってましたね。それはそれでまた新鮮。

♪パパみたいに♪

ここの場面はもう、原慎一郎くんのマックス公爵が最高に素敵!!おてんば娘のシシィの話を一つ一つ「うん、うん」って聞いてあげてて、時には「ありゃぁ」みたいな反応もあったりですごく可愛らしい。それに、芝居的な歌い方をしてたのも個人的にはすごく良かったなぁと思いました。
ハラシンくんのマックスはこれまでも何度か見てきてるけど、今回が一番”シシィのパパ”って雰囲気が強くてよりキャラクターが立っていて面白かったですね。

愛希さんのシシィはもう本当に超おてんば娘と言った感じで、キャッキャしてるのがすごく可愛らしかった。これはお妃様には向かないよなぁと傍から見ていて感じるレベル(笑)。

♪愛と死の輪舞♪

黄泉の国の入り口で待ち構えていた芳雄トート、シシィの姿を見た瞬間は古川くんほど「はっ…」としたような動揺は見せていなかったかなという印象。でも「その瞳が胸を焦がし、眼差しが突き刺さる」の歌詞を歌う時の表情は完全にシシィにロックオンしてしまったかの表情をしてて。表にはその心の内を見せないけれど、実は彼女を欲しくてたまらない気持ちに襲われているんだなというのがひしひしと伝わってきました。
このあたりの芳雄くんの表現力は流石です。相手に弱みを見せない強気のトート閣下って感じかな。

それからこの場面でいうと、トート閣下とトートダンサーズのリンクがものすごく美しいんですよね。あの一体感は見ているだけで魅了されるし黄泉の国へ誘われるような錯覚すら起こさせます。

現世に戻されたシシィが「待って!」と言葉をかけた時の芳雄トートは、一瞬驚いたように振り向きますがその気持はほとんど表に出ていなかったかな。このあたりの演じ方も古川くんとは違っていて面白かったです。芳雄トートはあの瞬間に、彼女は絶対自分のものになると確信するような強い目をしていた。

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♪皇帝の義務♪

シュガーくんフランツ涼風さんゾフィの”母子”関係も見ていて面白かった場面の一つ。息子が判断を下そうとする瞬間に涼風ゾフィママがピシャリと「冷酷に、冷静にっ!!」と方向性を決めてしまうので、シュガーくんフランツは「え…」と思いながらも厳しくあらねばと自分に言い聞かせて動揺を消してる感じでしたね。そんな息子を母親は満足そうに見つめてて、完全に管理する側とされる側の構図ができてる。

ロシア大使の件では自らの判断で考えを述べようとやる気十分だったフランツでしたが、ゾフィの「戦争は他の国に任せればいい」という一言で縮こまって諦めてしまう。ちょっと反論しようとする姿勢は見せるけど、馬車が来ていると告げられると真顔になってそれに従っちゃうフランツ。
生真面目な雰囲気が全面に出てるシュガーくんが母親に対し超忠実に従ってる姿を見ると、まぁそれも仕方ないことかなと納得できてしまったりしてw。

ゾフィに邪険に扱われた朝隈シュヴァルツェンベルク公爵の「どうしたらいいんだーー」みたいな表情も面白かったですw。

♪計画通り♪

ルキーニが「暑いぜ全く!!」と文句を言いながら従者の衣装に着替える場面、あれを観るたびに”そんな暑いのにあんな分厚いコート着なきゃいけないなんて気の毒だな”と思ってしまいます(笑)。でも、上山ルキーニはあの格好がかなり似合ってたな。

姉の見合いについて来たシシィが「鹿だわ!!」と駆け出していく姿もお転婆少女そのままで可愛らしいし、フランツが獲物を仕留めるのに銃を放った姿を目撃してキャッキャ手を振る姿もキュート。あれは生真面目で厳しい世界に生きているフランツが一瞬で心奪われてしまうのも無理はない。

このお見合い場面で個人的に面白かったのが、ヘレネの腰つきを見て「安産型だわ」と歌うとこ。この時の涼風ゾフィの満足げなニンマリ顔が最高でしたww。あと、未来ルドヴィカ「うちの娘に変わりないわ」のドヤ顔と、「マズイほうよ!」とプリプリしてる涼風ゾフィの表情もめっちゃ好きw。あれはコント級に面白かった(笑)。

♪あなたが側にいれば♪

シシィとフランツが愛を誓い合う場面ですが、ふたりとも”恋”に夢中になってるがゆえにその後のことは「どうにかなるさ」的にしか考えてなかったみたいな雰囲気があってすごくもどかしいんですよね。まさに”恋は盲目”状態。
二人で「いつか私の目で見てくれたなら、わかり会える日が来るだろう」という歌詞がもう切なくてねぇ。これ、2幕の♪夜のボート♪シーンとすごいリンクしてるので、なおさら胸が痛んでしまう。”私の目で見てくれたら”をこの時点では希望を持って捉えてるっていうのがもう、なんとも言えない気持ちになっちゃうんだよねぇ…。つまり二人は婚約したときにはお互いを思いやる”愛”に気付けてなかったわけですから。

そういえば、フランツがシシィに贈るネックレス。前回公演くらいから大きめなものに変わってるんですよね。それ以前は細い鎖のものだったので重みが伝わりづらかった。シシィはこの時に「とても重い」と色んな意味を込めて歌うので、現在のほうが分かりやすいなと思います。

結婚式シーン、トート閣下は客席から登場。今のコロナ禍の時代で客席降りが許されるのは「セリフのないシーン」のみだそうなので、ここは許されてるんだなと思いました。最初舞台の下から二人の結婚式を眺めるトート閣下ですが、そこからは”死”への誘いのようなオーラがムンムン感じられました。

ダンスパーティー前にゾフィとマックスの二人がいがみ合うシーンがあるのですが、涼風さんとハラシンくんがもう超バチバチな雰囲気になっててめっちゃ面白かったww!特にふたりともちょっとコミカル要素含んだような表情みせてるのでなおさら楽しくて、まるで漫画見てるような気持ちにさせられちゃったよww。

♪最後のダンス♪

トート閣下が登場する前に涼風ゾフィと原マックスが鉢合わせになって踊る羽目になるシーンが出てくるのですが、この時の二人にめっちゃ嫌そうな顔が最高でしたね(笑)。なんとか頑張って笑顔は繕っていたけど、踊ってる最中は二人とも顔がこわばっててまるで漫画ww。

そして芳雄トートが現れるわけですが…出てきただけで目線を奪うあの存在感は本当にすごいと思いました!表情には自信が満ち溢れていて、シシィが手に入ることが完全に見えているといった雰囲気。艶っぽく誘うような目線と、ねっとりしたような動きの妖艶さ。そこから一気に肉食系を思わせるような迫力の歌いっぷり!!
クライマックスの迫力は見ているこちらが呼吸を忘れるんじゃないかと思うようなすごい勢いで、今にもシシィの命を食い尽くしてしまうんじゃないかみたいな迫力がありました。最後のマントをバサぁっと翻す姿もめっちゃカッコいい!!芳雄くんのトート愛が存分に伝わってくるような歌いっぷりが本当に素晴らしかったです。

フランツのもとに駆け寄ったシシィを周囲が好奇の目で見つめるなか、マックスだけが心配そうな眼差しでその姿を追っていたのもとても印象深かった。今すぐにでも娘を連れて帰りたいという気持ちがダダ漏れてて切なかったなぁ…。最後泣きそうな表情だったし。ハラシンくんの進化したマックス公爵、ホント最高でした。

このあとルキーニが「自由がなくては生きていけない特別な鳥なんだ」と"トリさん”を飛ばす場面があるんですが、今回はセットの奥の方まで飛んでいってしまってましたw。前回見たときは上山くんが落ちたトリさんを拾いに行ってたけど、今回はそれもできず飛んでいった方向を見つめながらニヤリとする…みたいな感じ。これ、日によってだいぶ違いそうですね(オケピに落ちることもあったのでは!?)。

♪私だけに♪

ゾフィがシシィを起こすためにやってくる場面、この時の涼風さんの「早く起こすのです!!」の言い方がめっちゃマンガチックで面白かったなぁ。彼女のゾフィは基本的にすごく厳しいんだけど、ところどころでキュートさが加味されているので怖いとは感じないんですよね。それどころか可愛らしいとすら感じさせる。
以前見たときはココまでじゃなかったような気がするんだけど、個人的には今回のほうがすごく斬新だし剣幸さんとまるで違うキャラクター(剣さんは配信で見ました)が確立されていていいなと思うし私は好きです。

ちなみに、ゾフィがベッドの布団をふっとばしキツイ目線を贈る場面は…、シシィが「ぐっすり寝込んでしまい皇后の義務を果たせなかった」ことを確認しているという意味があります。このあたりはお子様にはちょっと分かりづらいかも(←教えづらいし 汗)。

ゾフィから何もかもを否定され、フランツからも同意を得られなかったことに絶望するシシィ。この時のシュガーくんフランツ、「なんで分かろうとしてくれないんだ」という気持ちをグッと抑えたような悲しげで険しい表情をしてたのがすごく印象深かったです。
そして愛希さんの♪私だけに♪熱唱。彼女のシシィはものすごく自我が強い印象ですね。何が何でも自分の思い通りにしてやるんだという気迫のようなものも感じます。今季は見れませんでしたが(配信では見ました)、花總さんよりも気が強く闘志を剥き出しにするタイプのシシィといった印象が強かった。

ただ、感情が高ぶりすぎて歌い方がすこし雑だなぁと思うところも正直…。「私に」の最後の歌い上げ、迫力はあるんだけどちょっと声が割れていたのは気になりました。個人的にはもう少し抑えてきれいな声を出してほしかったかも。

♪ハンガリー訪問♪♪ミルク♪

革命運動家の登場は渋カッコいいです。佐々木エルマーを中心に章平シュテファン加藤ジュラの抜群のチームワークが良い。運命共同体といった雰囲気がとてもよく出ていたと思います。

ハンガリー訪問のシーンは以前は「ハンガリー国旗を出さないように」というお達しはなかったと記憶してるのですが、前回公演あたりからこの発言が出てきたんですよね。なので、まだちょっと慣れない(汗)。
でも、シシィが襲撃直後に三色旗柄のドレスを市民の前で披露して「エーヤン!ハンガリー」と高らかに告げたのを見た民衆が、感動して隠し持っていたハンガリーのミニ国旗を出しながらそれに応えるといった演出はすごく良いと思います。

トート閣下がシシィの長女の命を奪ったときに現れるシーン、芳雄トートの「また一歩俺に近づいたな」と言わんばかりにシシィを挑発する姿がめちゃめちゃスリリングで刺激的だった。特に彼女を見つめる目つきが最高に狂気をはらんでいてゾクゾクしたよ!!

フランツがシシィに扉を開けてほしいと頼む場面。この時のシュガーくんフランツ、すごい表情に苦悩が滲んでいてめっちゃ切なかった!深い歌声の中に哀愁をすごく感じさせるお芝居が本当に魅力的だと思います。
愛希シシィは最初の頃の跳ねっ返り娘っぷりがすっかり影を潜め、どんどん内側に籠もり鬱々とした気持ちがにじみ出てくる表情がとても印象深い。自分の理解者がいないと悟ったあとの愛希さんの迫真のお芝居は素晴らしいと思います。

一人きりになったシシィのもとに現れる芳雄トート閣下、この時点で彼女が手に入るといわんばかりの余裕の表情がすごいw。でも思いがけない拒絶を受けた後は自分の計画が狂ったか!?みたいなちょっとビックリしたような雰囲気になってて。ここからさらにシシィを絶対手に入れるといった気持ちにギアが乗ったような印象を受けました。
ちなみにロウソクの消し方は、古川くんは美しく吹き消してたけど(ホントびっくりするほど綺麗だった)芳雄くんは自分の掌を乗せる消し方してましたね。見ていて”熱っ!”って思っちゃたよw。

♪ミルク♪のシーンの時の上山ルキーニ、前回見たときよりも狂気めいた迫力がさらに加味されていてすごく良かった!怒れる市民をあざ笑いつつ煽りながらさらに火を注いでいくようで、ギラついた闘志を感じましたね。

♪私だけに<リプライズ>♪

シシィの要求を飲むことを決断したフランツに語りかける愛希シシィ、完全に上から目線で自分の勝利を確信したような自信に満ち溢れてましたね。強い強い!!あれはシュガーくんフランツ太刀打ちできないわと思っちゃったほど。

そんな彼女を上から見つめている芳雄トート、かなり悔しそうな表情してたなぁ。それにちょっと悲しげな雰囲気もあったり。あんなに肉食系剥き出しにしてたのに、思い通りに彼女が手に入らなくて少し動揺もあるのかなと感じたくらいでした。それでも鋭い視線は変わらず、シシィを手に入れるためなら手段を選ばずみたいな覚悟も伝わってきてとても印象に残りました。

愛希シシィ、扇をバッと広げる時のドヤ顔が美しくも迫力あり。でも最後の「私に」のところはやっぱりもう少しきれいに伸ばしてほしいかなと思わなくもなかったかな…。

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♪キッチュ♪

上山ルキーニ、前回よりもさらに存在感がアップしてたような気がする。2階席まで圧が伝わってきた!

この場面は『エリザベート』のなかで唯一お客さんとのやり取りが密に行われる演出となっているのですが、コロナ禍になってからそれが封印されて舞台上だけのパフォーマンスになってしまいました。次の公演のときには客席通路で盛り上がれるといいなと…。

♪エーヤン♪

戴冠式を終えたシシィとフランツがハンガリー市民の前でにこやかに手を振っているその下で、トート閣下が面白くなさそうに下から見上げてる場面。この時の芳雄トート、馬車で使うムチを民衆たちの前に垂らしてて…まるで彼らを釣り上げようとあざ笑ってるかのような芝居をしてたのがめちゃめちゃ面白かったです。”シシィが振り向かないのが面白くなさすぎて釣りに走ってるよ!”みたいに思っちゃった(笑)。ムチを叩く時の表情も「チィッ」って感じで気ダルそうだしねww。

それにしても、シュガーくんの戴冠式後の扮装…めっちゃ似合ってたなぁ。王としての貫禄がすごかった。そういえば、シシィの「今日ここから始めましょう〜」のくだりの音程は初期の公演時と比べるとだいぶ変わりましたね。キーが低くなった印象が強い。

対する芳雄トート、マントをバサッとはためかせながら「災いの種はお前自らが招いたのだ!もう誰にも歯車を止められやしないさ」の歌いっぷりがオラオラ系でめっちゃゾクッとしました。あのときはもう完全に肉食獣のようだったよなぁ。目のギラつき方が半端なかった!!
そしてここでも対峙するルキーニへのボディタッチが。後でお前に託すからな、みたいなメッセージが込められてるようですごく印象深かったです。

♪私が踊る時♪

愛希シシィと芳雄トートの火花散るようなバチバチした雰囲気がすごい!!あれは歌を通した二人のバトルだったな。
愛希シシィは自分の力で自由を勝ち取ったという自身にあふれていて、どんなにトートが迫っても余裕の表情でそれを拒絶しはねのけてる。芳雄トートは密着しながら彼女を求めようとするも寸でのところで逃げられてばかりの中、それでも最後は自分のものになるんだという絶対的自信を感じたかな。でも最後シシィの背中を見送るときには「ちくしょーーー」みたいな悔しそうな顔もチラリw。

♪精神病院♪

シシィが精神病院を訪れ精神病患者のヴィンディッシュと出会う場面の演出は初期の頃とだいぶ変わりましたよね。未だに以前までの演出が強く印象に残っているので今のシーンはとても新鮮に感じるし、より"精神病院”の雰囲気が強い場面になったなと思います。
特に、ヴィンディッシュがシシィに襲いかかってきた時にリヒテンシュタインが体を張ってガードするのは印象的。ここ、初期の頃はシシィが矢面に立ってましたからね。「無礼者!!」と一喝するのも以前はなかった。

個人的にはシシィがヴィンディッシュを前にして「あなたの魂は自由よ」とうるうるしながら歌うシーンがとても好きなのですが、場面的にはちょっと違和感を覚えるところもあって。
ついちょっと前まではトートの前で「私一人の力で自由を勝ち取ったわ」とドヤ顔して余裕の表情を見せていたシシィだったのに、精神病院に来た途端に弱気な自分をさらけ出すわけで…。さっきはあんなに自信満々だったのに急にどうしちゃったの!?と毎回思ってしまう(汗)。愛希シシィは特に強気イメージが強いのでなおさら…。涙を流しながら「あなたの魂は自由」と歌ってても、なんか信憑性が感じられないんですよねぇ(汗)。

まぁそれだけ、シシィは"自由"を勝ち取るための戦いで精神的に疲弊してたのかなと思うようにはしてますが。だけど、彼女自信のワガママっていう部分も大きいからなぁ。

♪マダム・ヴォルフのコレクション♪

ゾフィがシシィに勝つために妙案を授ける場面。この時の涼風ゾフィと臣下たちのやりとりがめっちゃマンガチックで面白かったw。杖の振るい方なんか、涼風さん、気合い入れてブンブン回してるし(笑)。さらに「きれいな女なら他にもいますぅ」の言い方っw!!あそこまでやられるともう、可愛いとしか思えなくなってくるww。大司教様とのやり取りも最高だったな(笑)。

そして未来さん演じるマダム・ヴォルフの迫力!!ルドヴィカのときも肝っ玉母ちゃん的な雰囲気がありましたが、ヴォルフはそれとは全く違うギラギラした金の亡者的凄みがあって。この演じ分けが本当に素晴らしかったですね。キャスト表見なければ同一人物が演じていると気づかない方も多いのでは?

だけどなぁ〜、やっぱりあの、マデレーネの”黄金のまわし”だけは何度見ても慣れない(苦笑)。海外の演出に合わせてるのかもしれないけど、個人的には好きじゃないんだよねぇ。特に”鍵”でやるやつ…(苦笑)。あそこまでやる必要ある!?とどうしても思っちゃう。せっかくの美人でかわいい姿が台無し。

♪最後のチャンス♪

予期せぬ形で病を移されてしまったシシィのもとにドクトルがやってくる場面。芳雄トートが変装してるドクトルは”おじいちゃん”キャラ。声がかなり年齢の高い男性をイメージしたものになっていたのが面白かったです。そして彼女に病名を告げた後、徐々に正体を明かしていくように声が若返っていく。このあたりの演じ分けが芳雄くん、最高に上手かったですね。「それがいい!!」のところのエコーはちょっと強いかなと思ったけどw。

「待っていた!!」と彼女に迫る時の芳雄トートはもう完全に自分の手に入ることを確信したように喜びにあふれていました。それなのに「あなたとは踊らないっ」と強めに拒絶されちゃって、「あ!?」みたいな驚愕した表情が一瞬出る。でも去り際には「絶対手に入れてやるからな」みたいな不敵な表情をしてて、この一連の感情の動きがドラマチックで印象深かったですね。

♪ゾフィの死♪

ここまでちょっとコケティッシュな雰囲気で憎めないゾフィを演じてきた涼風さんでしたが、最期の場面はとても切なかったです。特に怒りに満ちた息子・フランツから「二人の仲は引き裂けない」と非難された時の「なぜ私の気持ちを理解してくれないの」と言わんばかりのショックを受けた悲しげな表情は見ていて胸が痛みました…。ゾフィもまた戦い続けた人だったのだなと思いましたね。

涼風さんのゾフィ、大好きでした!

♪パパみたいに(リプライズ)♪

フランツに見切りをつけたシシィが旅をしまくる場面。2度目の登場は以前よりも舞台上にいる時間が短くなった印象なので、知らない人が見たらあれが”シシィの姿”だとは気が付かないかも。

コルフ島でシシィがマックス父さんの魂と会話する場面。この時のハラシンくんマックスもシシィを気遣う雰囲気に満ちていて泣けました。それだけに「もう遅すぎる」と歌う愛希シシィの姿が余計悲しく見えたな…。

原慎一郎くんのマックス公爵、出番は少ないけどすごい立体的な役作りでものすごく印象に残りました。ありがとう!!(ちなみに映画「アナ雪」でクリストフの声を担当したのはハラシンくんです)

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♪闇が広がる<リプライズ>♪

ミュージカル『ロミオとジュリエット』でのティボルト役が素晴らしくてとても印象に残った立石くん。彼がルドルフを演じると知った時、ぜひ一度見てみたいと熱望したのですがそれがこの日ついに叶いました。
いやぁ・・・、なんたる美形!!女子役でもイケそうなくらい綺麗なビジュアルにまず目が釘付けになりました。ティボルトのときはゾクっとするような冷たい表情が強烈だったけど、ルドルフはそれとは180度違う青二才の未熟さがにじみ出ていたのも驚きでした。

立石ルドルフはとても聡明そうな雰囲気で、父を批判する新聞投書をしたことにも毅然とした態度で応じていました。まだ力を持つことはできないながらも必死にフランツに世の窮状を訴える姿はとても良かったと思います。
シュガーくんフランツは壮年になった時の偏屈老人っぷりが素晴らしいです。あの深みのある声がすごく活きてるなぁと思いました。

そして芳雄トートと立石ルドルフの♪闇が広がる♪。心が弱っているルドルフの前に現れた芳雄トートは”待ってました”とばかりに妖艶な笑みとギラついた獲物を狙うような視線で近づいて彼を弄ぶような雰囲気。それに踊らされながらトート閣下の引力にハマっていく立石ルドルフ。とてもスリリングで見ごたえのあるシーンになってた。
立石くんは歌も上手くて(透き通るようなきれいな声してる)、芳雄くんとの歌い合いも見事にこなしていましたね。彼は2.5次元舞台を中心に活躍してきた俳優さんですが、これを機に今後は外部作品にも活躍を広げてほしいです。

トート閣下がルドルフを独立運動へと誘う場面。「ハンガリーの王冠が待つ」と決定打を歌う時、芳雄トートは佐々木エルマーの肩を掴みながら一緒に歌ってるんですよね。まるでエルマーにそう仕向けているよう。トート閣下の手の内でその場にいる全員が踊らされてる雰囲気がすごく強かった。
迷えるルドルフがハンガリー国王への欲を見せてルキーニが掲げる王冠を戴こうとする場面、ルキーニは受け取ろうとしたルドルフをあざ笑うように王冠をサッと引っ込めちゃうんですよね。あれ観るたびに、そんなイケズすんなよ〜〜と思ってしまうww。

革命シーンのダンスは何回見てもシビれます!!立石ルドルフの動きもしなやかだし、芳雄トートもキレッキレの動きしてるし、ものすごいアグレッシブで見ていてワクワクしました。そして銃声が鳴った時の芳雄トートの悪魔の笑み!!!あれはめっちゃゾクゾクした!!

♪マイヤーリンク♪

母親のシシィにも話を聞いてもらえず絶望の淵に叩き落されたルドルフ。そんな彼に後ろからトート閣下が「死にたいのか?」と囁く。このセリフも初期の頃にはなかったので背筋がゾクっとしますね。で、この時の芳雄トートのなんとも言えない妖艶さに目が釘付け!!ピストルを持つ手の指先まで死神オーラ全開です。

芳雄トート&ダンサーズと立石ルドルフによる”死のダンス”は非常に美しく見ていて惹き込まれるよう。最後にピストルをルドルフの前に差し出した時の芳雄トートの鋭い指すような眼差しもすごく印象深かった。
死を受け入れた立石ルドルフ、キスを交わした後に冷酷な視線を送り悠然と去っていく芳雄トート。ここの場面も美しかったなぁ。死の瞬間の立石ルドルフは本当にきれいな表情をしていて、少し遠くを見つめるように、やっと重責から逃れられるといった解放感で少し笑みを見せながら引き金を引いてました。死に様の魅せ方は2.5次元を経験してるからこその美しさがありましたね。

ルドルフの葬儀での愛希さんシシィはもうぼろぼろ涙を流しながらの大熱演。今すぐにでも黄泉の国へ行きたいといった切迫感にあふれていました。そこへ現れた芳雄トート、最初は「いよいよその時が来たぜ」みたいな余裕の表情でニヤリとしていたのですが、キスを求めてきたシシィを目の当たりにすると「まだ私を求めてはいない!!」と彼女の本心を見抜いてしまう。この時の「まだダメなのか!」的なちょっと苛ついたようなギラギラした眼差しがすごく刺激的だった。

♪夜のボート♪

1幕の♪あなたが側にいれば♪のアンサーソング的な意味合いのあるこのナンバー。「いつか私の目で見てくれたなら、分かり会える日も来るだろう」というフレーズをここで聞くともう切なくて切なくてたまりません…。
フランツはなんとか寄り添おうと努力していたけれど、シシィは自分自身の自由を勝ち取ることに必死で彼の気持ちに寄せるところまでいかなかったと思うんですよね…。結婚前にお互いの意思をきちんと確認しておけばと、ここ最近♪夜のボート♪シーンを見ると胸が痛んでしまいます。

シュガーくんも愛希さんも目に涙を浮かべての熱唱で素晴らしかった。愛希さんは1幕最初のおてんば娘の雰囲気からガラリと印象が変わった芝居が良かったなぁ。シュガーくんは壮年になって口数は少ないながらも真心からシシィへの愛を伝えようとする芝居がすごく泣けました。

♪悪夢♪

♪悪夢♪は『エリザベート』の中でも特にテンションがMAXに近づくほど続々する大好きなシーン。今回の芳雄トートvsシュガーフランツの闘いは非常に刺激的で全身がビリビリしびれました!!もう、”時は熟した”とばかりに目をクワッと見開きながら感情剥き出しに歌う芳雄トートの迫力がすごすぎて、マスクの中で口がアングリ状態ww。なんとか凶行を阻止しようとボロボロになりながらもトート閣下に挑もうとするシュガーフランツの姿が余計悲しく見えて泣けました…。

そしてルキーニを呼ぶ場面。芳雄トートはルキーニとボディタッチする機会が多めでしたから、ここで彼の名前を呼ぶことにものすごい説得力が増してたと思います。今回特にルキーニがナイフを受け取る瞬間の場面がドラマチックに見えた。スッとまっすぐ落ちてくるナイフを正面向きながら見事にキャッチする上山ルキーニの瞬発力も素晴らしいです。

♪愛のテーマ♪

黄泉の国へ足を踏み入れたシシィをトート閣下が抱きとめる場面。この時芳雄くんはシシィが抱きついてきたことが未だに現実として受け止められていない様子でしっかりと彼女を抱きしめないんですよね。フワッと手が宙に浮いたようになってる。これまであんなにグイグイ肉食獣のようにシシィに迫っていたのに、いざそれが実現したら「本当に手に入ったのだろうか」と不安な気持ちも襲ってきたのかなと思ったり…。
愛希シシィは完全に自由の世界に足を踏み入れたことで表情に輝きが戻り安心しきった様子でした。なんか、立場が逆転しているように見えたのが面白かったですね。

ラストシーンの芳雄トートはシシィの瞳が閉じられたあと正面を見据えるのですが、このときも満足感というよりも「本当に手に入ってしまった…!!」みたいなビックリした表情浮かべてる。彼のドキドキ感が見ているこちらにも伝わってくるようでとても良かったです。

全キャスト制覇はできなかったけれど、博多座で2回『エリザベート』を観れる機会に恵まれて本当に嬉しかった!!それにしても厳しいチケット戦線だった…(汗)。

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後述

カーテンコールでは芳雄くんが出てくるたびにトート閣下の衣装のひらひら部分をはためかせていたのがめっちゃ可愛くて面白かったw。

1月30日の前楽と1月31日の大千穐楽はありがたいことにネット配信があり見届けることができました。30日は私が見た27日マチネと全く同じキャストだったのでいい復習になった。31日は見れなかったキャストさんを堪能できたし、両日とも満喫することができてよかったです。

相変わらずの博多座さんの粋なSNSツイートが最高でした!!感謝!!!

博多座は今回のエリザツアーのなかで唯一完走できた公演でしたね。今年に入ってからも中止になる舞台のお知らせが相次ぐ中、奇跡だったと思います。東京も名古屋も大阪も途中でかなり長い期間できない時期がありましたから…。
カンパニーの皆さんの思いもこれまで以上に様々なものがあるのではと推察します。過酷な環境下での公演、本当にお疲れさまでした、そして、ありがとうございました。

次回公演されるときは全て無事に上演できる世の中になっていてほしいものです。あと、チケット戦線がもう少しマシになっててほしいかも(汗)。今回ファンクラブ枠のチケットが多数転売されているのを見かけたし…、そういうの本当にやめていただきたい。もっと厳正に対処してほしかった。

シュガーくんは公演中と公演後、頻繁にカンパニーとの写真をアップしてくれて楽しませてくれました。ありがとう!!

改めて、2022−2023年版ミュージカル『エリザベート』カンパニーの皆様、長い間本当にお疲れさまでした!!!また次の機会に必ず会えることを心待ちにしたいと思います。

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