ミュージカル『フランケンシュタイン』大阪公演 2020.02.20ソワレ

約3年ぶりに再演されたミュージカル『フランケンシュタイン』を観に大阪まで遠征してきました。

2017年の初演のときにも観に行っていますが、その時の印象としては正直ちょっと微妙~…と感じていた作品だったので(苦笑)今回の再演は最初観に行く予定に入れていませんでした。

が、昨年末に加藤和樹くんの本格的なファン(といってもヒッソリ系ですがw)となりまして…やっぱり和樹くんの怪物見てみたいなと思うようになり行くことに決めました。前回はカッキーと小西君のコンビだったので(キャストの印象はすごくよかった)、再演はアッキーと和樹くんで。

※2017年観劇の感想↓

オリジナルの物販は思っていたよりも少なめな印象。

それにしても…友達とも話していたのですが、今回のオリジナルシャツのデザインがちょっと…(汗)。あのデザインはちょっと微妙じゃないかなぁw。誰もNGって意見出さなかったんかいなとすら思った。稽古場見学の特典でのみ販売された熊Tシャツのほうがよほどいいと思うんだけど。

以下、ネタバレ含んだ感想です。

 

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2020.02.20ソワレ in 梅田芸術劇場(大阪・梅田)

主なキャスト

  • ビクター・フランケンシュタイン/ジャック:中川晃教
  • アンリ・デュプレ/怪物:加藤和樹
  • ジュリア/カトリーヌ:音月桂
  • ルンゲ/イゴール:鈴木壮麻
  • ステファン/フェルナンド:相島一之
  • エレン/エヴァ:露崎春女

今回も子役の歌唱力がめちゃめちゃ良くてびっくりしました。けっこう出番も多く難解なキャラクターですが、見事にそれをこなしていて感心してしまった。

ここ最近の舞台に出る子役さんたちは本当によく訓練されてますね。将来、海宝くんみたいなスターになる子もたくさん出てくるのでは。楽しみです。

あらすじと概要

原作はメアリー・シェリーのゴシックホラー小説「フランケン・シュタイン」で、2014年に韓国でミュージカル化され以降も再演されている人気作です。日本の初演は2017年の日生劇場でした。この作品をきっかけに韓国ミュージカルが本格的に日本に輸出されるようになったといわれています。

この作品の一番の特徴は、メインキャストが主役も含めて一人二役を演じる点にあります。その効果も相まって1幕と2幕では受ける印象がまるで変ってくる。ジェットコースターのような刺激ある作品だなぁと。

簡単なあらすじは以下の通り。

19世紀ヨーロッパ。科学者ビクター・フランケンシュタインが戦場でアンリ・デュプレの命を救ったことで、二人は固い友情で結ばれた。

“生命創造”に挑むビクターに感銘を受けたアンリは研究を手伝うが、殺人事件に巻き込まれたビクターを救うため、無実の罪で命を落としてしまう。ビクターはアンリを生き返らせようと、アンリの亡き骸に自らの研究の成果を注ぎ込む。

しかし誕生したのは、アンリの記憶を失った“怪物”だった。そして“怪物”は自らのおぞましい姿を恨み、ビクターに復讐を誓うのだった・・・。

<公式HPより引用>

”フランケンシュタイン”というと、顔に傷のある四角い顔した巨人…みたいなのを想像する人がけっこう多いと思いますが(笑)、実はその人物は「怪物」なんですよね。”フランケンシュタイン”は「怪物」を創り出してしまった博士の名前なのです。

最初は信頼し合っていたビクターとアンリが、どのようにして悲劇への道へと突き進んでしまったのか…。そのドラマをガツンとくるような音楽とスパイス強めな演出で展開していくのが特徴的だなと思います。

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全体感想

ちょうど約3年前に初演を見たわけですが、最初にも書いた通り個人的な感想としては「何回も見たいとは思わないかな」って感じだったので、色んな記憶が抜け落ちてて前回と比べるような見方はできませんでした。まぁ、かえって新鮮な気持ちで見れたのでそれは良かったかもしれない。

今回見て、ストーリーの雰囲気は『ジキル&ハイド』と『オペラ座の怪人』または『ファントム』を掛け合わせたような要素があるなと思いました。

『フランケン~』は死者をよみがえらせようとして怪物を創り出してしまう悲劇は『ジキル~』でジキル博士が人間の「善」のみを引き出そうとして「悪意」のみを抽出する人物を創り出してしまう悲劇と重なる気がする。
また、ビクターがアンリをよみがえらせようとして創り出した怪物の過酷すぎる体験談は『オペラ座~』のファントム(またはエリック)が醜い顔のせいで過酷な過去を辿ったことに重なるかなと。

それゆえ、題材としてはかなり私好みなテイストのはずなんですよね、この『フランケンシュタイン』という作品。音楽も派手なのが多いし。なのですが・・・・・

ここから先はちょっと個人的に辛口路線で書いてます。ご注意を。

 

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再演を観て思いましたが…好みの点からいうと、やっぱりこの作品の「ファン」になることはできなかったかな。悪くはないんだけど、色々私のストライクゾーンから微妙に逸れてる感覚がすごくあって。
たぶん、個人的に韓国ミュージカルのスタイルがあまり好みに合わないのかもしれません。

音楽は壮大で派手なものが多い。個人的にそういった音楽はすごく好きなんだけど…この作品の楽曲はなぜかあまり心に響かないんですよね。ゾクゾク来ないというか…。歌詞の内容が伝わってこなかったというのもあるかもしれない。
ただただ、役者さんの歌がすごいな~と感動するにとどまったかなぁ。

あと、何というか…ストーリー展開の突拍子もない感じがちょっと苦手かなぁ(苦笑)。

たとえば、ビクターとアンリが酒場で心を通わせて盛り上がるシーン。ここって途中にルンゲがグッドニュースを持って現れてすごいハッピーな雰囲気になるんですよね(内容はゾクっとするようなことなんだけど 苦笑)。しかもそのあとアンリが酒代をルンゲに押し付けて逃げちゃう、みたいなちょっとコミカルな場面すらある。
この時点で、観ているこちらの気分は「可愛い」とか「クスッとしちゃうよね」とかそういう楽しい感情になるわけですよ。ところが、暗転明けて次のシーンになったら

突然アンリが捕らえられて「死刑」宣告を受けるという衝撃的な展開になっている(驚)

私、色々前回公演のこと忘れてたんですが…このシーンが出てきたとき、そういえばここで椅子から落ちそうになったんだっけということを思い出しましたよww。

なんでハッピーにやってたシーンの直後が、突然の「悲劇」な展開になるんだよ!!と、やっぱり今回も納得いかなかったかなぁ(苦笑)。ジェットコースターにもほどがあるっしょ、みたいな。こういう感覚に私は慣れてないのでやっぱり苦手なんですよね。
積み重ねていったドラマの先にある「悲劇」なら感情移入できるけど、そこに至るまでのドラマを付け足しみたいな「語り」だけで済まされる感じは正直好きではありません。

それから2幕についてですが・・・1幕はちょっと気を抜ける場面があったのに対し2幕はひたすらダークな展開まっしぐらで(汗)見ていて真綿で首を絞められるような感覚になりました。あぁ、前回感じた私の違和感みたいなものはここだったかもなぁと、またまた過りましたよw。

ビクターが自分が創り出してしまった「怪物」を探しに出かけた場面が出てくるのですが、この時に怪物と遭遇して衝撃を受けてるビクターのシーンだったのが、

いつの間にか全く違う物語へとすり替わるんですよ。

これって、怪物の語りのなかでの過去の過酷な体験談シーンなんですが…その切り替わり方がなんか、力業というか強引というか(汗)。こっちの気持ちが次へ移る準備をする間もなくそっちの世界へ連れ去られるような感覚にさせられてしまった(苦笑)。

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で、この過去の体験談シーンに主要キャストの2役目が登場してくるわけです。

主要キャストの中で全くの別人を演じていないのは和樹くんだけかな。厳密にいうと同じ人物という認識なので。

で、この2役目の人物たちの残虐性が・・・

めちゃくちゃエグい。

悪意むき出しの人物ばかり。音月さんの2役目であるカトリーヌは唯一哀しい運命を背負っているバックボーンを感じさせるのですが、そんな彼女も展開が進んでいくと本性をむき出しにしていくわけです。そういう意味では人間の「弱さ」「業の深さ(または愚かさ)」を一番体現していたのはカトリーヌだったかもしれません。

怪物が絶望してしまうのには余りある説得力のある場面だとは思うんですが…、あまりにも悪意が濃く描かれすぎて見るのがツライ(汗)。心の拠り所がないというか…悪意のむき出しが私には強すぎて疲弊してしまうんですよね(苦笑)。

まぁ、カトリーヌと怪物がひと時だけ意気投合する場面はあるんですが…。わたし、前回の記憶で唯一濃く残っていたのが「熊」の連呼だったんですけど(笑)、あぁ、ここだったわと思いだしましたww。でもいまだになんで「くま」というワードがこんなにフィーチャーされるのかよくわからないw。
今回もこのシーン見て脳裏に「くまモン」の姿が浮かびまくってたのでwww「クマ美味しい」ってセリフ聞くといたたまれない気持ちにさせられた(笑)。

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怪物が悲惨な体験を経てビクターと対峙したあとの展開も悲劇の連続

怪物は自分を創り出したビクターをひどく恨んでいるので彼に復讐を企てるのですが…やり口が残忍なんですよね。ビクター本人ではなく、ビクターの大切な人の命を次々と奪っていく。

個人的に見ていて一番ショッキングなのは、ビクターの姉のエレンの最期。完璧な濡れ衣を着せられた彼女は町の人たちの手で処刑される。とても悲しくて心が痛くなるシーンなんですが…、今までもこういう展開になる作品はいくつか観ているはずなのに、この作品の中のエレンの死の場面はものすごい嫌悪感があったんですよね。

なんていうか…首根っこ掴まされて処刑される人を目の前で見せられてるような感覚にさせられた…。とにかくエグい。削られる感覚。

それゆえに、ビクターとエレンの魂が触れ合うことなくすれ違う切ないシーンも感情移入して見ることができませんでした…。

そして最後にビクターと怪物が1対1で向かい合う場面。ここも結局悲劇で幕を閉じるのですが、2幕の中で一番心を据えて見れたシーンかもしれません。対峙したことでやっとお互いの心の内みたいなものが響いてきたかなと。

結局、アンリはビクターのことを友情以上恋愛未満みたいな感情を以て接してたことになるんですかね。セリフにも「ビクターの目に恋をした」みたいなものがあってちょっとびっくりしたんですが、初演でもそんな描写あったっけ(汗)。
怪物はアンリの心を失ったとされていたけど、ラストシーンのある一瞬、戻ったような気がしました。アンリのビクターに対する気持ちがあの瞬間だけ宿ったのかなと。

ビクターはアンリのことは同じくらいの気持ちを抱いていたのかは微妙かもしれない。だからこそ処刑されるときも本気になって彼を救おうとしなかったのかなと。死体をよみがえらせる研究への想いのほうが勝った結果だと思ったので。結果として、アンリを怪物としてさらに過酷な目に遭わせてしまった。
それゆえ、ラストシーンでビクターが抱えた重荷はとてつもなく重いのではないかと胸が痛みました。彼の将来に光がさすことが想像できなかったし。

色んな意味で、ひたすらダークな物語だったなというのが大まかな感想です(汗)。

ストーリーはそんなわけでやっぱり好みではなかったんですが、役者さんはとてもよかった!大熱演でした。それゆえもう少し繊細なストーリー展開だったらよかったのになとも思ったかな。

キャスト感想は次のページにて。

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