ミュージカル『フランケンシュタイン』大阪公演 2020.02.20ソワレ

主なキャスト感想

中川晃教くん

アッキーのビクターはすごい天才肌で神経質で繊細な人物といった印象が強かったです。自分の研究のこと以外には極力感情を動かさない感じで、どちらかというとキャラクターとしては抑え気味的なところが多かったかもしれません。それゆえ、私個人としては見やすかったというのはあります。アッキー@ビクターくらいの匙加減が私には最適だった。

2役目のジャックは打って変わって邪悪なキャラなのですが、アッキーはかなりコミカルに演じていて時たまアドリブみたいな小技も出てきたりで面白かったです。奥さんの尻に敷かれてる感がけっこうハマってた(笑)。冷酷で残忍性を持つキャラだけど、どこか憎めない要素を感じさせる演じ方がとても好きでした。

歌はもう、完璧オブ完璧!アッキーの歌はいつ聞いても全くブレがなく素晴らしい。あの歌声を聞けただけでも見に行ってよかったと思います。

加藤和樹くん

昨年のミュージカル『ファントム』を演じたあとの和樹くんの芝居を観たくて『フランケン~』行く気になっても過言ではない。あのエリックを演じたことできっと和樹くんの引き出しがまた増えたと思ったのでね。いや~~・・・観に行って正解でした!素晴らしい表現力だった。

アンリは冷静で紳士的なキャラだけど、はじめは不信感しかなかったビクターの情熱に徐々に惹かれ、ついには「その目に恋をした」と言うまでの信頼に至るんですが、その過程の気持ちを実に繊細に演じていたと思います。
特に酒場のシーンでは母性すら感じましたからね。友達が「お母さんみたいだった」って興奮して語ってたのがよく分かった(笑)。

アンリが処刑に向かう時の表情は筆舌しがたい切なさが押し寄せましたよ!これから「死」に向かうというのに、愛した友のためならばという確固たる思いが強いゆえに常に穏やかな笑みを浮かべている。その笑顔が聖なるものに見えたくらい美しくて優しくて…あの表情見ただけで涙が出ましたよ(泣)。和樹くん、あんな表情もできるんだ…ってすごい心が震えた。

怪物はとにかく動きがグロテスクなんですが、初演で小西君を観たときにも思ったけど…めちゃめちゃ体力消耗すると思うんですよね。そのうえで怪物の歪んだ感情を全身で表現しなければいけないのだから…相当な体力と精神力が必要だと思います。
そんななかで、カトリーヌと接するシーンは本当に切なかった。彼女と心が通い合う瞬間があるのですが、その時彼女の胸に幼児のようにしがみつくんですよ…。そのピュアさ、繊細さがとにかく愛しくて泣けました。それゆえ、裏切られたときのあの悲しげな眼が辛すぎてまた泣けてしまった。

最期にビクターと対峙した場面、「これが俺の復讐だ」ってセリフの時、一瞬アンリが宿っているように見えたな。怪物のなかにわずかに宿ったアンリの哀しい想いが滲んでた気がします。

和樹くん、観るたびに本当に素敵な俳優へと進化していきますね。歌もまたさらにうまくなっていて驚きました。すごく努力してるんだと思う。良い役者さんになったなぁと…新参者のファンは感慨に浸るのでした。

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音月桂さん

ビクターの婚約者のジュリア役の時の音月さんはとても可憐で可愛らしい。純粋にビクターに想いを寄せているのが良く伝わってきました。どんなにそっけなくされても信じ続ける強さもあって、ビクターは幸せ者だと思ったくらい。

カトリーヌはお嬢様なジュリアとは違って社会の底辺に生きる女性ですが、怪物と一時心を通わせたときにはジュリアの持つ温かい心を感じさせました。二人が共鳴しながら歌うナンバーは感動的ですらあっただけに、その後の裏切りの衝撃が大きかった。「私は生きたいだけだ」という生へのあくなき執念を見せるシーンは圧巻だったなぁ。

歌は地声に近いところはすごく良かったのですが、ジュリア役で高音部分になるとちょっと弱いかもしれない。それゆえ、歌はカトリーヌのほうが安定していた印象がありました。

鈴木壮麻さん

前回見たときもこの作品の唯一の癒しどころだと思ったルンゲ役ですが、今回もほんとにルンゲ役はホッとできる救世主みたいな存在でした。ちょいちょいコミカルなセリフを挟んでくるんですけど、ちょっと真面目な雰囲気の壮麻さんが語る面白さがあるんですよね。
酒場シーンで和樹アンリに耳元でささやかれたときの「ひょえっ」って感じの雰囲気になっちゃうところは思わず笑いましたww。あんなことされたら誰でもそういう反応すると思うけど(笑)。

それだけに、ルンゲの最期は衝撃というか…。1幕で唯一命を落とす主要キャストですが、展開が呆気なくて気の毒なんですよね。この作品の太陽みたいな存在だっただけに悲しかった。

2役目のイゴール役は…ひたすら怖いですww。初演の時も思ったけど、あのメイク・・・知らない人は壮麻さんだって気づかないんじゃないかなと。ルンゲと違いすぎるww。頭の上に乗ってるの、ボーリングのピンとかこけしかと初演では思ったんですが(笑)、今回見たら「マヨネーズ」に見えてしまったwwww。乗ってるものは同じなのに、色々解釈できるなと(違w)。
イゴールはセリフも少ないし歌もコーラス以外はなし。壮麻さんが演じてるのにそこだけは勿体ないなと思ってしまいます。

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相島一之さん

ジュリアの父親ステファン役はけっこう謎めいた印象でしたね。果たしてビクターの味方に立っているのか敵対している側に立っているのか、そこの線引きが難しいようなところに立ち位置があるような気がして見ていていつもドキドキさせられてました。
1幕では歌う場面も出てくるのですが、こちらも巧いのかそうでないのかちょっと微妙な感じw。もともとストレート畑の方なので歌唱力はあまり期待しないほうがいいかなと思っていましたが、どう判断していいかちょっと迷う瞬間も。音程が半音違うかんじだったからかも?

2役目のフェルナンドはベクトルは完全に「悪」側なので分かりやすかったです。カトリーヌをたぶらかすときの怖さ、ことを成し遂げた後のしてやったりな狡猾さ、そういったお芝居はさすが相島さんだなと思いました。

露崎春女さん

メインキャストの中で唯一初演と変わったのがエレン役の露崎さんです。初演では濱田めぐみさんが演じてましたが、今回は違う舞台の稽古に参加するということで外れたようです。

露崎さんは初めて見る方で、お名前を見ると宝塚出身の方?と思ったんですが…シンガーソングライターの方で今回が初舞台なのだとか!しかも演技も初めてだとか!とてもそう思えないほど堂々としてたので、後から知って驚きました。

エレン役は初演の濱田さんの母性溢れる雰囲気とは違いましたが、これはこれでありかなと思いながら見ました。私は個人的にこの作品への思い入れがあまり深いわけではないのでそれも幸いしたのかもしれない。
露崎エレンのキャラは…『エリザベート』に出てくるシシィの側近で女長官のリヒテンシュタインと被るものがあった気がします。常に冷静に周りを見極めててビクターのことも陰から支えるといった感じ。ちょっと事務的にも見えましたけど、違和感はなかったです。

で、2役目のエヴァがすごい弾けてた(笑)。この作品で一番役の性格が真逆になるのはエレン・エヴァだと思ってるんですが、露崎さんも「どんな突然変異!?」と思えるほどかなり刺激的ww。エレンで押さえつけていた感情をエヴァで一気に放出したような感じでw、怖かったけど面白かった。

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後述

感想では辛口系のことを多く描いてしまいましたが、それでも初演の時に感じた微妙さに比べればだいぶ受け入れられたかなという思いもあります。見に行ったことに後悔はありません。まぁ、「好き」にはなれなかったけど(汗)、それ以上に役者さんたちの熱演が素晴らしかったので遠征した価値は十分あったと思っています。

私にとってこの作品は、物語ではなく、好きな役者の芝居を観に行くという感覚かな。

DVDの発売も決定しています。

ストーリー展開はあまり好きじゃないけど、和樹くんの芝居がとても好きだったので購入しようかなと思っていますw。

今回は見れなかったけど、この日、ダブルキャストの小西遼生くんがお誕生日を迎えたようです。

こにたん、おめでとう!!小西くんも大好きな役者さんなので、次は違うお芝居で会いたいなと思います。

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