劇団四季『ジーザス・クライスト=スーパースター』大阪公演 舞台美術セミナー

劇団四季ミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター』大阪公演の上演後に舞台美術に関するセミナーイベントが行われたので参加してきました。

参考 本編の感想↓

劇団四季ミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター』大阪公演
劇団四季ミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター ~エルサレムバージョン~』大阪公演を観に行ってきました。2月から3月にかけての全国ツアー公演でしたが、どうにも四国までは来てくれないようだったので😅、遠征という形になりました。 2...

ちょうど確保してあったチケットがセミナーイベントと被っていたのでラッキーでした(これを狙って取ったわけではなかったのでw)。本当はその前に行われていたリハーサル見学会も行きたかったのですが、遠征の身ではどうにもできず…無念😣。次の機会を待ちたいところです。

参加はこの日に観劇して希望する人は誰でもOKでしたが、事前の受付が必要となります。だいたい四季のイベントは事前申し込みになりますね。で、開演前に参加証をもらう列に加わったのですが、ものすごい人数でビックリ!!本編が終わった後、一度ロビーで待機するのですが…人人人…で埋め尽くされていて、こんなに参加するのか!とビックリしました。
後から聞いたところによると、全部で541人いたのだとか😳!!セミナーの講師を担当された土屋先生も客席半分近くを埋め尽くした状態を見てかなり驚いていらっしゃいました。

以下、ネタバレを含んだレポートになります。ご注意を。

 

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劇団四季『ジーザス・クライスト=スーパースター』大阪公演 舞台美術セミナー 2018.02.23

舞台の前にはプロジェクターがあって、資料を映し出せるようになってました。
前半は舞台美術の歴史を映し出されたスケッチの資料と併せて見て、後半は実際に舞台の上で美術に関するレクチャーが行われていました。最後に舞台裏を見せてもらって自由解散。舞台に上がるまでの待ち時間で、美術監督の土屋先生が個別に質疑応答に答えてくださってました。

講師は、舞台美術監督で今は亡き金森馨先生のお弟子さんだった土屋茂昭先生です。『ジーザス~』(以下JCS)の初演からずっと関わってこられた…いわば、生き証人のような方。そんな先生から貴重なお話がたくさん伺えて、大変内容の濃い興味深いセミナーとなりました。

 

JCSの変遷 ~1973年初演当時~

JCSは1971年にブロードウェーでオープンした後、ロンドンで上演され、1973年に日本にやってきました。これが、劇団四季とアンドリュー・ロイド・ウェバーとの最初の出会い。日本初演の劇場は2000人のキャパを持つ中野サンプラザホールだったそうです。
その時は『ジーザス』ではなく『イエス・キリスト=スーパースター』として上演。ところが、キャパに対して200人程度しかお客さんが入らなかったのだとか😵。

JCSを上演する前の劇団四季は、越路吹雪さんを中心としたミュージカルやリサイタルを主に行っていたとのこと。越路吹雪さん、一時期劇団四季の看板女優だったそうですからね(今お昼にやってる連ドラでそのことに触れるかどうかは謎ですがw)。ところが、JCSと同じ時期に上演していた作品の時に、越路さんが骨折してしまうという事件が発生。代役(Yさん)を立ててその間を乗り切ったそうですが、大量の払い戻しが出てしまったそうで・・・これをきっかけに「スターシステム」はやめようということになったと。
あぁ、そういう経緯があって今に至ってるわけですね。ただ、表立ってはそうでも、結局はスターに頼ってると思える部分もチョイチョイ散見することありますけどね😅。
その、スターシステムに頼らないって方針になって最初の演目がJCSだったということのようですが、客入りが伸びずに失敗作と言われたのだそうです。

この話の後、スライドに初演の時のパンフレットが映し出されたのですが、土屋先生の私物だそうで今もたまに読み返すことがあるのだそうです。表紙にはマイクを持って熱唱しているイエス・キリスト役の鹿賀丈史さんがドーーンと載っててロックしててえらいカッコよかったです😃。ちなみに「鹿賀丈史」という芸名になったのはこの時だそうで、当時まだ研究所の2年か3年くらいの頃だったとのこと。ネットを検索するとこのパンフについての記事がいくつかありましたので、気になる方は探してみては。
あと、23-4の頃の市村正親さんのヘロデ王の写真も出てきました!ほっそりした体型に端正な顔立ち、若々しく勢いのある表情をしていてこちらもすごくカッコよかったです😃。土屋先生が「今はもうおじいちゃんになってますけど」って付け加えていたのでちょっと吹いちゃったけどwwいやいや、市村さん、まだお若いですよ😁。

初演のスタッフたちはロンドンでこの作品を見て「日本でも挑戦してみたい!」と意欲を燃やし上演にこぎつけたのですが、土屋先生曰く「表現方法が早すぎた」と(苦笑)。つまり、当時の日本人はこの作風に慣れていないこともあってついて来れなかったようなんですね。

上演するまでの舞台美術を決めるのにも色々と紆余曲折があったようで、当時出てきたアイディアをスケッチした貴重な資料をスライドショーで見せていただきました。

3つの球体を使った舞台美術、花道にスノコを敷いた舞台美術、トランポリンの使用(土屋先生曰く、できるわけないだろうww)、山車と大八車(ジャポネスクで使われる形に近い)、能舞台式・・・などなど。
大八車を使った者は実際、中野サンプラザで採用したそうで・・・十字架の場面は民衆たちがロープを引っ張って立てる演出にしていたのだとか!!けっこう危ないというか…怖いかも😱。鹿賀さん、さぞかし最初は恐ろしかったのでは(汗)。

羨ましいなと思ったのが、初演当時は生演奏だったこと。色々と演出と意見がぶつかることも多かったそうではありますが、生演奏のジーザスを観れた当時の人がうらやましいです。

 

JCSの変遷 ~1976年日生劇場版~

そして、1976年の日生劇場公演の時に初めて砂漠セットが登場したそう。つまりは、現在も続くエルサレムバージョンですね。変遷としては、ジャポネスクからエルサレムへって感じでしょうか。初演の大八車演出(ジャポネスクの原型)の失敗があったものの、作品としてはどうしても上演を続けたいという熱い想いから誕生したのが、この砂漠版だったそう。
初演では斬新さばかりが際立ってしまっていたため、76年に上演するときには物語を追求していこうという流れになり、クリスチャンでもあった作家・遠藤周作(「沈黙」などの作者)からの意見を聞いたりして創りこんでいったのだとか。

舞台美術に関しては、『物語は大地から始まる』というコンセプトのもとにデザインされていったそうですが、金森馨先生は「飾ることが大好き」でwwデザインの段階で神殿の柱など色々と書き加えていたようなのですが、それを演出の浅利慶太さんがどんどん排除していって現在のような超シンプルな砂漠にたどり着いたと(笑)。

初期案で面白かったのが、ヘロデ王の登場の仕方。土の中から登場してくる設定(群衆を前に立つジーザスの石の下からw)にしてたらしいww。あと、ユダがスーパースターの時に上から降りてくるっていう案もあったとのことですが、これはたしかジャポネスクで採用されてますよね?私、何度か上から降りてくるユダ観てるんでw。今はもうジャポでもやらないのかな?エルサレムでもそれをやろうとしてたってことか(笑)。
これらの面白演出は実際には行われなかったそうですが、実は全て舞台上に仕込んであったとのことです!これはけっこう驚きました。費用もけっこう掛かっただろうに(汗)。全てそぎ落としていったなかで唯一残ったのが十字架だったということでした。これだけは外せないってことで、それは正解だったと思う。

 

JCSの物語について

『ジーザスとは何か』ということについて。ロイドウェバーとティムライスは「人間・ジーザス」をテーマにこの作品を作ったと言われているそうですが、劇団四季としては

”人間・イエスとユダのラブストーリー”

を骨格として描きたいと。あぁ、やっぱりこの作品は二人の『愛の物語』として捉えているので正解だったんだなと思いました。あの場面、一番グッとくるしね。

クライマックスでユダが裏切ってしまったジーザスに抱きつくという演出があるのですが、今では「ユダ、裏切るのか、お前は」という歌詞になっていますが初演の頃は「ユダ、キスして裏切るのか」というかなりストレートな表現の歌詞だったそう😳!これはたしかに当時としては斬新過ぎたかもね(笑)。しかも、二人で抱き合いながら砂漠の上をごろごろ転がってたっていうんだからw・・・そりゃ、みんな驚いたはずだ😅。

もうひとつの骨格としたのが、「イエスと民衆との物語」。民衆の心の動きの変遷によってジーザスを神格化させていくといった感じのものを目指したとのことでした(たしかそんなニュアンスだったような…)
民衆による賛美と迫害、ジーザスの沈黙からあふれ出すものを舞台に出したいと浅利慶太氏は常々熱弁を振るっていたそうです。ちょいちょい土屋先生が「僕が言ったんじゃないですからね、浅利が言ったんですから」と言い訳のように挟んでくるのが可愛くて面白かった(笑)。

ユダはジーザスの永遠を成就するための行動を取っていると。ちなみに「マイ・ゴッド!」と叫んでいるのはジーザスのことではなく「神」そのものを指しています。ユダの愛は『独善的』なものだったという捉え方。それに対してマリアの愛は『献身』。ジーザスの悩みを『献身』によって支える存在という捉え方。ユダは矛盾の統一を求め、マリアは矛盾ごと受け入れる存在だと。
このあたりの話は哲学的でちょっと文章にするのは難しい。パンフに載ってるらしいので後で読んでみたいと思います😅。

十字架に関してのジーザスの捉え方としては…

”十字架にかけられた後からジーザスが生きてくる”

この言葉はけっこう興味深かったです。たしかに、十字架にかけられたあとに神格化していく雰囲気は舞台上でも感じますからね。司祭が「ジーザスは死ね」と言っているのは、ジーザスを神格化するために必要なこととして描いているのではないかとも語ってましたね。

 

舞台美術作品の創り方

ひと通り変遷や物語についての説明が終わった後、実際に土屋先生が舞台上に上がって当時試行錯誤しながら作った舞台美術について実践しながら見せてくれるコーナーがありました。助っ人として舞台監督さんも登場。
スタッフさんの数は、舞台上に10名、照明に5名、音響に3名、メイクに1名の合計19名とのこと。衣装は役者たちが洗濯など自らしているのでいないそうです。意外と少ないんだなぁって思いました。衣装の管理が俳優に任されてるのも意外だったな。

エルサレムバージョンの荒野は、ほとんどが布・スチロール・ウレタンでできているということで、舞台上で荒野の色を出すための作業工程や岩などの造り方を土屋先生自らが実践。たまに「適当でいいや」みたいな感じになったり、こぼれそうになったり、手袋忘れそうになったりと、行動がいちいちお茶目でホノボノしながら見てしまった(笑)。いや~、土屋先生、本当に可愛らしい方でしたよ😊。
ちなみに、砂のイメージはおが屑やカンナ屑を使用、石はウレタンでその中身はスチロールだそう。初期のころは客席の前にだけ本物の石を配置していたというのは驚きでした。

 

JCSの衣装

続いて、JCSエルサレムバージョンで使用される衣装についての解説が行われました。この時に俳優さんも2人参加ということで、アンサンブルの大森瑞樹くん森川温子さんがちょっと照れながらスタッフの人(スタッフの人もJCSの衣装着てたので最初誰が役者だか分かりづらかったww)に混じって登場。私のネットの友人に大森君の大ファンの方がいるので、登場した時には密かに「あ・・・」って思っちゃいました(笑)。

大森君は役柄としては群衆と兵士(鞭打ちの人)。森川さんは群衆。すると土屋先生が森川さんに「なんていう名前の女性?」って質問してきてww、ちょっと動揺した後に「エレンです」って答えてたの可愛かった😁。
民衆(モブ)は土の中から生まれたというコンセプトなので、衣装もみんな土色をしているのだそう。なるほどね~!さすがに初演の頃の衣装は今は使っていないそうですがw、それでも基本的に新調はしないのだそうです。土屋先生が大森君や森川さんの衣装をチェックして「ここは穴が開いちゃってますけど、舞台でリアルに開いたままにしてるんだよね」みたいに解説。そこはリアリティを出す意味であまり修復しないようです。

また、ボディメイクも見てみましょうってことで、これはさすがに女性のをめくるわけにいかないのでww大森君で(笑)。大森君の上の衣装をペラっとめくってみると、赤黒い色でペイントされた鍛え抜かれた肉体が露わに😃!!大森君は特に鞭打ちの兵士の役で上半身裸になるので、全体的に塗っているのだそうです。だいたい2人がかりで10分くらいかかるらしい。鞭打ちの衣装はアメフトのプロテクターを使用しているとのことでした。
ちなみに森川さんは半袖衣装なので見える部分までを塗っているとのことでした。ストッキングは自前だそうです。
二人の登場はわずかな時間でしたが、たまに大森君がおどけてマネキン人形の手真似みたいなリアクション(手の甲をクイッと上げるような感じ)をちょいちょい入れてきて可愛かったですww。舞台袖に去る時にもやってたのでなにげにお気に入り😁!?

ヘロデ王の衣装とスーパースターの時のユダの衣装は「次元が違う人」ということで他とは違う装飾的なものになっているとのこと。デザインした土屋先生的にお気に入りなのはスーパースターでユダと一緒に歌ってるソウルガールズの衣装らしいです😁。

興味深かったのはジーザスが鞭打ちのシーンで背中を見せた時に見える「傷」のメイクです。床山スタッフの人が使用前と使用後の「傷」を持ってきてくれて…なんだかすごく妙な光景でしたね(笑)。
これはウレタンを焼いたものを使用しているということで、なんと、1回こっきりの使い捨てなんだそうです😳!!なので、使用前のものは「ジーザスの血」の赤が鮮明な色だったのですが使用した後のものは赤い色が半分くらい褪せたような感じになっていました。ちなみに初期のころは勿体ないので全公演1つの「傷」を使いまわしていたそうで(しかも両面テープで貼ってたらしいw)、たまに十字架に傷がついて残ってしまったこともあったらしいです(笑)。

ジーザスの傷メイクは、女性の俳優3人と床山スタッフさんの4人がかりで開演前に20分~25分かけて貼りつけているのだそうです。これ、途中で付けるんじゃなくて最初からもう背中についてたんですね。つまり、鞭打たれる前からジーザスは傷をつけていると😅。これが見えるようになるのが鞭打ちされてる最中ですが、劇中に女性がジーザスに抱きつく瞬間があって、その時に背中の部分をはがしていますね。よく見てるとその場面が分かると思います。
この「傷メイク」は、初期のころはユダが「なぜだ~!!」と転がってる間に急いでつけていたのだそうですwww。

あと、ジーザスの衣装ですが、クライマックスで民衆たちが衣服をはぎ取る場面の時に切れやすくするよう作られているのだそうです。土屋先生が「ほら」って感じでジーザスの衣装の仕付け糸を大胆にビリビリと切り取りまくっててwwwかなり豪快な光景でした(笑)。
このような仕掛けになるように、手作業で毎回微妙な調整を行っているのだそう。ちなみに、ジーザスは鞭打ちの時などに引きずられまくることが多いので、役者がけがをしないように密かに衣装の裏地に膝プロテクターのクッションが取り付けられているとのことでした。ポケットのようになってちょうど膝に当たるところに2つついてましたね。これがついたのは数年前からという事なので、柳瀬さんとかはプロテクターなしで頑張ってたってことだよな💦。

 

JCSの照明

JCSの照明を担当したのは、当時まだ30代くらいだったという沢田祐二さん。この業界ではかなりの重鎮となられている方のようです。
スタッフさんに色々と場面ごとの光を再現してもらっての解説がありました。

神殿の光は人口調の色合い

回廊(祈りの場)は神殿の中にある設定ですが限られた光の幅の中だけでドラマを展開(光の道の外側は大地という設定)

砂漠にさす光は雲の隙間から覗いた感じの色合い。

ユダが裏切りに向かう道は1本の光で表現、その周りには混沌とした渦。

十二使徒の場面でのユダの周りにある渦は「墨流し」で表現。これはユダの心の範囲なので、劇中にその渦の中にジーザスが踏み込んでくることはないとのことです。

ラストシーンの十字架。白い布でジーザスを仮想して見てみると、暗くなる中でちゃんとジーザスの輪郭の残像が見えるよう計算されているそうです。「死」を通してジーザスの存在感の重みをあのラストの照明で表現している、と。そして最後消えていきます。土屋先生的にはこの光が一番印象深いとのこと。

 

十字架の種明かし(超ネタバレ注意😅)

最後にジーザスが十字架にかけられる場面の演出の種明かしがありました。知りたくない方はスルーしてください😅。

 

まず、ジーザスが十字架を運んできて、ある程度のところで倒れます。そのあと、兵士たちが十字架に取り付ける準備にかかりますが、最初に釘を打つ音が聞こえてきます。これはジーザスの掌と足に釘を刺すという痛々しいシーンになるのですが…、釘を打つときは掌や足の近くに音の出る金属を置いてそれを叩いているとのことw。
さらに、釘打たれたジーザスが掲げられる仕組みですが…両手の部分に下から手を挟み込むような金具があって、そこに掌を入れると釘が刺さったように見えるようになると。さらにそこに血糊をたらしまくって、いかにも釘で刺された痛々しい姿に見えるように細工をしているそうな。ちなみに、足の部分は特に金具で固定しているわけでもなく乗ってるだけらしいです(血糊は付けていますが)

これらの作業をやるために、ジーザスが倒れこんで十字架にセッティングされるシーンで兵士たちが周りに一斉に集まってきて客席から見えないようにしているのだそうw。血糊は毎公演ジーザスから地面にたれてくるので、スタッフさんたちが毎日元の色にするために塗る作業をしているとのことでした。細かくて大変なお仕事ですよね…。お疲れ様です。

あと、十字架シーンではありませんが最後にもう一つネタばらしがあって(笑)。

ピラトが最後に連れてこられたジーザスに向かって「聞こう、ユダヤの王」と言うシーンがありますが、その時に持っていたステッキをジーザスの前に持っていくんですよね。その直後に「王国などないのだ、命も終わる。王国とはこの世の他にある!」とジーザスが歌います。
このシーンのときには既に裸で十字架にかかるための準備ができている状態なので、ジーザスにピンマイクを付ける事ができないそう(ペテロが裏切るシーンで連れて行かれるまでは額にマイクが付いてますね)。そのため、ピラトのステッキの裏の部分にマイクが仕込んであってそれに向かってジーザスが「王国などない」と歌うことになっていると!

あぁ、納得です。このシーンのときだけちょっとジーザスの声の質が今までと少し変わるなってずっと不思議に思ってたんですよね。マイクが違うからなのか~。なんか、見たままジーザスがピラトにインタビューマイク向けられてるって体になってたのかと思うとちょっと面白い😁。
おそらく、鞭打たれたジーザスがピラトにしがみついて「あなたの力も知れたもの、神の御心を変えることができるのか!?」と最後の言葉を発するときもステッキに向かって言ってるんだと思われます。

ちなみに、磔にされた後もジーザスの語りがありますが(黙示録)、これの解説はなかったんですが、ネットで調べてみたら茨の冠のところにマイク仕込んであるそうです。

 

JCS舞台裏見学

ひと通り説明が終わった後、参加者全員が舞台裏を見せてもらえることになりました。

さらに、抽選で10人の人が実際に十字架の重みを感じることができるということになってて…くじ運の悪い私ではありますが、これはぜひとも持ってみたい!とドキドキしながら待っていました。結果、案の定、選ばれず😫。あれ、かなり重みがあるそうでジーザスがものすごく苦しそうに運んでいる姿は芝居ではなく「素」なんだ、といつかのトークか何かで聞いたことがあるんですよね。私もその重みを体験してみたかった~!
ちなみに、この抽選っていうのが参加証の右下にある番号が目安になってたんですが…土屋先生がくじを引くわけではなくインスピレーションで番号をサクサク言ってくスタイルで(笑)まさに気まぐれ状態ww。たしか、10人限定と言っていたのが、番号どこまで行ったか分からなくなっちゃって結局10人超えてたような気がします😅。そんなところもお茶目で可愛い土屋先生でしたw。

今回初めてJCSの舞台裏を見たわけですが、やっぱりバックステージってワクワクしますね!

上手入口から入って下手入口から出るという方法で。

まず上手に入るとすぐに、ピラトの手を血に染める器があって「お!」と思わず見入ってしまいました。なんか、見た目ぶどうジュースみたいだったなw。さらにちょこちょこ小道具が置いてあって・・・一番マジマジ見たのが舞台正面の裏側。

JCSエルサレムバージョンの八百屋舞台の傾斜って、観ていて怖くなるくらいの傾斜がついているんです。その裏を見てみたら…いくつもの鉄の柱が組んであって、その様はまるで「清水の舞台」を支える柱のようでした。
その支える柱のちょっと奥を見てみると、ユダが「自殺」シーンで沈んでいく穴とジーザスの十字架を挿すと思しき構造もありました。かなり狭くて、特にユダの自殺の時はかなりきつそうなのでそこそこ痩せていないと無理だなって思いましたね😅。
あと、砂漠の一番高いところには鉄筋で作られた階段がついていました。カヤパが砂漠にやってくるときや、ユダが裏切るためにフラフラ現れる時、また、ジーザスが祈りに現れたりするときなどはこういった階段を上っていたんだというのが判明。
それにしても、本当に「てっぺん」の首がちょっと痛くなるくらい見上げる高さだったなぁ…。ユダの自殺ではここを上っては転げ落ちるといった演出があるので、相当度胸がないと無理だなって思っちゃいましたよ😖。役者さんってすごい。

下手舞台裏には十字架を持ったスタッフさんが待機。私は土屋先生の気まぐれ抽選wに当たらなかったので(当たった人はパスみたいなものをかけられてました)持てませんでしたが、少し触らせてもらえました。木っぽい触り心地かと思ったら意外と造りこんだ感触があって。何かテープみたいなものが質感を出すために巻き込まれているような感じだったかな。素材は木材使ってるような気がするんだけどどうなんだろう。

 

質疑応答コーナー

参加者が541人もいたので、舞台裏見学もかなりの時間がかかりまして。見学から戻ったら自由解散ということになっていましたが、見学列が回ってくるまでの時間は空いてしまうことになるということで土屋先生が質疑応答コーナーを作ってくださいました。

舞台裏観終わったら自由に帰っていいということになっていましたが、土屋先生のお話が面白く興味深そうだったので、見学が終わった後も残って質疑応答コーナーを聞いてました。8割近い方が残っていたように思います。

ここはあまりメモできなかったので曖昧なんですけど…、なんとなく覚えてる質疑応答を幾つか。

エルサレムの荒野の斜度は?

たしか、前方部分は7度程度で、ググッと上がってるところが25度近くって言ってた気がします。

十字架の高さは一定?

初演の時から高さは変えていないそう。「そういえば、鹿賀も山口も、柳瀬も、神永もみんな背が高いし十字架に合った体をしているなぁ」と土屋先生がボソッと言ってたなw。図ったわけではないけどジーザス役者の体形はみんな似ているようです。

以前見た時と演出が若干違うような気がしたのですが?

「ここだけの話ですよ」と茶目っ気を出された後に「まったく変えてません、というか、変えられない契約になってます」というようなニュアンスの回答w。ただ、役者の質だけは向上させてる、みたいな感じのことを仰ってたかな。「今日も神永君の楽屋に行って”よかったよ”と激励してきましたよ」と土屋先生がニコニコしながら発言してたのが可愛かった。

エルサレムの演出を考える時に遠藤周作はどんなアドバイスを?

説明の中でチラッと「たまに遠藤周作が来てあーだこーだ言ってった」みたいなコメントがあったのでそれを受けての質問。これに対しては「遠藤さんはクリスチャンだけど、基本的には舞台に関するアドバイスみたいなものはあまりしないで雑談程度だった」と暴露されてましたww。

舞台の照明はLEDにしてますか?

現在はしていないそうですが、将来的には全演目がLEDになると思うとのこと。今そのための機材購入とかを検討している最中のようです。

そのほか、光の使い方についてとか、歌詞についてとか、衣装についてもちょいちょいあったような気がするのですが、メモ録れなかった(または見学中)なので分かりません。すみません。
ちなみに、歌詞関連の質問については「管轄外」みたいなことを仰ってたような気がします。個人的には、カヤパとアンナスがなぜミッキー頭なのかをちょっと聞いてみたかったww(もしかしたら見学中に出てたかもしれないけど)

 

以上、美術セミナーレポでした。今まで気づかなかったり分からなかったJCSの秘密が分かったりして大変興味深い内容でした。長い時間説明してくださった土屋先生、ありがとうございました。

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