遠征2日目、東京国際フォーラムCで千穐楽を迎えた『銀河英雄伝説・激突前夜』を観に行くことができました!関東に住んでいたら4回は行ってたはずなのですが(爆)2回連チャンでチケットをあらかじめ抑えていたのは不幸中の幸いでした。
いやぁ…なんか、もう…。銀英伝の舞台って終った後に軽くロス症状来ますね。特にこの1年の銀英伝は翌日まで引きずることが多い。上演期間はどれもすごく短いし、今回に至っては4日間限定だったのですが・・・それ故か、めちゃめちゃ熱いんですよ、舞台もキャストも会場も。特に座組のチームワークの良さが見ていてものすごく伝わってくる。2回しか観劇できなかった私ですら、なんだか楽を迎えた後にものすごく寂しい気持ちにさせられるので…実際のカンパニーの皆さんはなおさらかと思います。
前楽の時はちょっと遅めに劇場入りしてしまったので、今回は少し早目にフォーラムに到着。特典のポストカードもあまり並ぶことなく引き換えることができました。
2回とも間宮くんのラインハルトで。写真セットも間宮くんのラインハルトで。何かねぇ、感慨深いものがあります、こうして間宮くんセットが出ていることが。松坂桃李くんが出てた第1章を除いて、第3章の「内乱」の時までラインハルトは脇役扱いだったんですよね。絶対におかしい!とそこはずっと思っていたのですが、昨年の「星闇」から間宮くんがラインハルトに配役されて。それでも「内乱」まではポスターを見て分かる通りなぜか後方に小さく写るのみだったんです。
が、「内乱」でのラインハルトっぷりがあまりにも素晴らしく評判が上がり…公演途中から間宮くんのラインハルトの写真セットが急きょ発売されたんですよね。あの時はなんか自分のことみたいに嬉しかった。そして「初陣」「激突前夜」とこんな大きくクローズアップされて…なんか勝手に感無量の心境でした。
上演前にはアンサンブル役者さんたちによるロビーパフォーマンスがありました。前楽はギリギリに到着してしまい見れなかったので、今回は2か所見れて楽しかった!
銀英伝を少しでも分かりやすくと解説するために行われているこのパフォーマンス。途中でクイズ大会も挟まり…ちゃっかり私も手を挙げたら当てられて、正解して、景品もらってしまいました(笑)。これもめちゃめちゃ楽しかった思い出。
ただ一つビックリしたのが、千穐楽上演前にはすでにパンフレットが完売してしまっていたことです!前楽のとき、休憩時間の時に私の数人後ろでアウトになっていましたが…本当に在庫がなかったんだと驚愕(汗)。舞台を観に行ったらパンフは毎回必ず購入する派の私は肝冷やしました。前楽のとき購入できてよかった…。
カーテンコールは千穐楽ということもあり、ものすごい盛り上がりで大感動!特に全員揃って歌う「Serching for the light」は今回涙無しに聞けなかったなぁ。前日にはなかった金色のキラキラした紙吹雪が舞ってきてホントにきれいだった。
で、一番最後のコメントを隆一さんが任せたのが間宮くんで。スタッフ・キャスト・お客さんすべてに感謝しているので皆で「ありがとう」って言いましょう!って。いつも思うけど、彼は本当に人に感謝する誠実な心を持った青年で見ていてすごくジンときます…。そういうところも間宮くんの魅力の一つです。なんかあの瞬間ホント胸いっぱいになってしまった。
そのあと隆一さんとのミニトークコーナーで「ラインハルトが素晴らしかった」とべた褒めされると、「恐縮で~す」と若者らしい一面を見せてた間宮くん(笑)。そのギャップがまた可愛いんだよっw。何か一言で〆てと言われると、歌の合間の一言は本当は「ファイエルっ」って叫ぶ予定だったと種明かし(笑)。それが、後ろに金色のヒラヒラが舞ってて「そんなこと聞いてなかったので」ものすごく感動しちゃって「ありがとう」のコメントになったんだとか。あぁぁぁ、間宮くん、可愛いぞ~~!と心の中で一人萌えた私ww。そういう部分、純粋だよなぁ。
で、あの時言えなかったので…ということで、締めは「後篇、激突に向けて・・・ファイエル!!」と会場と一緒にシャウト。めちゃめちゃ嬉しそうに楽しそうに叫んでる間宮くん見て癒されました。今回の本編ではラインハルトは実際に戦ってないので「ファイエル」がなかったんですよね。だから最後にこうして間宮ハルトの「ファイエル」が聞けて嬉しかったです。
このあとまた全員が登場!相変わらず隆一さんの仕切が上手くて色んな人から一言コメントがありました。
西岡さんは冗談っぽく「ものすごく長い公演だったけどあっという間に終わっちゃって」とコメントw。でも、短い間に皆芝居がすごく良くなっていって・・・今日のお客さんはラッキーだったよと。西岡さんはこの後の打ち上げの席でものすごく素敵なコメントをされたそうで、参加された皆さんが「感動した」とか「泣いた」とかブログで報告されていました。現場でもとても素敵な大先輩だったんでしょうね。
石坂さんは「今回こんな素敵な役を頂けて感無量です」というようなコメント。
渡辺さんはコメントの最後に突然「ファイトーー!」とシャウトし、釣られるように会場が「いっぱぁぁぁつ」で返してました(笑)。
その直後の天宮さんが「伝家の宝刀がある人は良いですねぇ」と返してて爆笑www。で、ご自分の好きなセリフがあるということで。オーベルシュタインのセリフ「待て・お手・お座り」を真似して再現(笑)。これも大爆笑!
すると、待ってましたとばかりに貴水さんが飛び出してきて「御意~~!」とwww。その仕草がやたら可愛くて笑えました。
最後には、客席にいた演出家のヨリコジュンさんが呼ばれ、隆一さんと熱いハグ。ヨリコさんはマイクがなかったのでハグしたまま隆一さんのマイクで挨拶するという一種異様な光景に皆爆笑でしたwww。
そして、最後の最後にまた隆一さんと間宮くんが出てきてハグしたあとにご挨拶。大大大盛況のまま銀英伝の舞台は幕を下ろしました。カーテンコールまで本当に楽しかったです。
主なキャスト
ヤン:河村隆一、ラインハルト:間宮祥太朗、ルビンスキー:西岡徳馬、オーベルシュタイン:貴水博之、メルカッツ:渡辺裕之、キャゼルヌ:天宮良、ケンプ:石坂勇、ビュコック:伊藤哲哉、シャフト:迫英雄、ムライ:宮本大誠、ミッターマイヤー:岡田亮輔、ロイエンタール:玉城祐規、シェーンコップ:岩永洋昭、フレデリカ:はねゆり、ミュラー:三上俊、ケッセルリンク:廣瀬大介、ユリアン:長江崚行、ヒルダ:折井あゆみ、キルヒアイス:福山翔大、ネグロポンティ:スガマサミ、オリベイラ:佐藤和久、ホアン・ルイ:bable、シャルチアン:大力、マシュンゴ:一之瀬ワタル ほか
以下、ネタバレを含む感想です。ただし、長いし無駄に熱いです(汗)。思い入れが深いので…興味のある方はどうぞ。
まず冒頭にアンサンブルさんたちがバーーッと客席通路に走ってきて敬礼しながらタイトルコール。最初に観たときは何が始まったのかとちょっとビックリしましたがw、なかなか面白い幕開きだなと思いました。皆さんの声がピタリと揃っていたのも良かったです。チームワークの良さがこんなところにもうかがえるなと思いました。
ストーリーの最初は内乱の最後の部分あたりの再現から。クーデター終結後にヤンがハイネセンの周りに備え付けられてあったアルテミスの首飾りを破壊。破壊した直後に女性アンサンブルさんたちによるアルテヴィーナスが舞い踊るシーン、最初は何が始まったのかとビックリしたんですけどwwここで流れてる讃美歌みたいな音楽がとても美しくてなんか納得できてしまう。三枝成彰さんの音楽が本当に素敵なんですよね。サントラ出してほしい…。アルテヴィーナスが舞う前でヤンが一人複雑な表情をしていたのも印象的です。
その直後に、帝国シーンとなりオーベルシュタインやミッターマイヤー、ロイエンタールが立ち並ぶ中…ラインハルトが登場。楽では間宮ハルトの登場でも拍手が起こって嬉しかったな。それにしてもここの場面…、いつも一緒にいたキルヒアイスの姿がなくて…冷徹なオーラを放ちながらやってくるラインハルトの背中が妙に切なく見えてウルっときました…。前の感想にも書いたけど、ラインハルトの後ろに本格的にキルヒアイスがいない場面を見るのが舞台では初めてだったのでものすごく切なかったですね…。ラインハルトの孤独が登場した時から際立っているなと感じました。その空気感を出してる間宮くんは本当にすごい。
そして今回から本格的にフェザーン自治領が登場。以前一度だけチラッと登場したことあったんですが、あの時はなんかストーリーが詰まった感じだったので存在感が曖昧なまま終わってしまった気がするんですが(ルビンスキーの登場がいきなりすぎて、知らない人にはあのオッサン誰?だったと思う 爆)、今回はちゃんとした存在感を持って出てきます。なんと言っても、ルビンスキー役に西岡徳馬さんが配役されているのが大きい。同盟と帝国を手玉にとって利益を取ろうっていう嫌らしい魂胆がミエミエな感じで非常に分かりやすかったと思います。
この3つの存在を見せてから、本題へと入っていくオープニング。ここまでの盛り上げっぷりがなかなかカッコいい。タイトルも映画チックに工夫されていてワクワク感が募りましたね。
そういえば、冒頭にはユリアンの初陣も描かれてました。今回は中川くんのポプランや中村くんのコーネフがいないのでスパルタニアンチームが妙に寂しく見えたのですが(汗)、遭遇した敵を撃墜し戦慄を覚えるユリアンのシーンは見ていてグッとくるものがありましたね。少年だったユリアンが一段階大人になったような感じ。長江君がこのあたりをものすごく繊細に演じてくれていてすごく良かったです。
それにしても、アッテンボローは今回も出てこないのかぁ。まぁ、ほかに濃いキャラがいるからだろうけど…やっぱりあそこの輪にアッテンボローも加わっていてほしいと思ってしまう。
同盟シーンは相変わらず家族的でとても温かい。無事帰還したユリアンにヤンが「倒した敵の数を誇るような軍人になるな」と迎えるセリフはすごくグッと来たんですが、そのあとが平和で(笑)。フレデリカさん、紅茶に砂糖と塩を間違えて入れるとは…www。これに対してキャゼルヌさんが「うちのお掃除ロボットでもそんなミスはしない」みたいに言ってくるんですけど、このロボ名が毎回日替わりだったらしい。前楽はアンジェリーナジョリー2号で、楽はガガドールでしたwww。
で、ヤンは査問会の呼び出しを受けることにするわけですが、フレデリカと共にボディーガードとしてマシュンゴも連れて行くと。このマシュンゴ、アニメで見るのとはかなり雰囲気が違って超肉体派の番犬タイプ(笑)。ガルル~って唸ったりしてて凶暴そうなんだけど、ヤンの護衛になると分かって思わずニンマリしてしまう可愛い一面も。最初はあまりにもイメージと離れてるのでビックリして戸惑いましたがw、2回目見るとなんかちょっとクセになりそうなキャラでした(笑)。演じてる一之瀬くんはプロレスかなんかやってたんじゃないか?と思って調べてみたら元キックボクサーでした。納得。
一方の帝国側は相変わらずピリピリした雰囲気。このあたりの対比も面白い。フェザーンの策略で送り込まれたシャフトのガイエスブルク要塞を使った戦略に興味を示すラインハルト。ガイエスブルクはキルヒアイスを失った場所でもあるので、ラインハルト的には心にかなり負担がかかる作戦でもあるんですが・・・あえてそれを用いることになります。それを苦々しい想いで見ていたのがオーベルシュタイン。彼はシャフトに疑いの目を向けている。
ミッターマイヤーもロイエンタールも手放しで賛成していないのですが、二人の心理的立場が微妙に違うのが印象的でした。ミッターマイヤーは本気でラインハルトのことを心配しているのに対し、ロイエンタールはこのままラインハルトがズルズルと違う方向に舵を切っていけば次は自分の出番が来るのではないか…という野心が芽生えている。ジワジワ来てるよなぁ、ロイエンタールって想いでこのシーンは見てしまった。
シャフトの作戦はケンプとミュラーに任せることにするラインハルト。このシャフトがまたお調子者というか小者というか…見ていてものすごく分かりやすいキャラで思わずプッと吹きたくなりましたwww。で、ここにきてようやくミュラーが登場。これまで数多く銀英伝舞台に関わってきたミカシュンくんが配役されてます。なかなか雰囲気あってよかったんじゃないでしょうか。
そういえば彼はスタジオライフ退団してたんですね。知らなかった。ケンプは「内乱」の時のオフレッサーが印象的だった石坂さん。今回はあの時とは全く違う雰囲気なので最初分かりませんでした(汗)。ミュラーに「同じ大将というくらいだけど命令することになるのを許してくれ」と語りかけるのが非常に印象的でしたね。ケンプの真面目すぎる律儀な部分がよく現れたシーンだと思いました。
ヤンが査問会へと赴くまでのシーンでフレデリカにちょっと気持ちが動いているかのような描写があったのも良かったと思います。舞台版だと、ヤンがけっこうフレデリカを意識してるのかも!?って思えるな。アニメだと間際までヤンが彼女をどう想っているのかよく分からなかったのでw。乱暴に連れて行かれそうになるヤンを狂犬・マシュンゴwwが阻止しようとするのは何となく違和感あったんですが、ヤンの「やめておこう」ってセリフでコロッと態度変わって「はい」って笑うのは可愛かった(笑)。一之瀬マシュンゴの前では隆一ヤンは頼りなくも可愛い存在ww。
その頃ラインハルトはワープが成功したというガイエスブルクへ赴くことを決意。「ガイエスブルクに行ってみる…」という間宮くんのセリフ回しがものすごく切なかったです…。まるで、キルヒアイスに会いに行ってくるって言っているかのようだった(涙)。
そして、到着してから一人になりキルヒアイスの魂と向かい合おうとするラインハルト…。この場面は本当に涙なしには見られなかった。舞台上では死の直前のキルヒアイスを抱きかかえるように泣いているラインハルトの再現映像が流れてて…舞台下で間宮くん演じるラインハルトが過呼吸を起こしているんじゃないかってくらい罪悪感でもがき苦しんでる(泣)。この姿がもう、痛々しくてたまらなかったですよ…。本当にこの人は翼をもがれてしまったんだなって思えて本当に哀しかった…。
倒れたキルヒアイスの幻に「立ってくれ」と懇願し、ふらりと立ち上がったところを駆け寄るんだけどそれはすぐに消えて…。ここでラインハルトは「俺は…俺は…」と悔恨の涙を流しながら「お前との誓いを果たすために必ず宇宙を手に入れる」と改めて悲壮な決意をします。見ていて胸えぐられるような気持にさせられました(涙)。
ラインハルトが一人孤独と向き合い苦しんでいる頃、外ではオーベルシュタインがミッターマイヤーとロイエンタールを刺激しまくっています。特にロイエンタールに対する挑発がすごいです。「ナンバー2は全力で排除するが、ナンバー1に取って代わるつもりならやってみるがいい。ローエングラム公もそれを望んでおられる」っていうセリフがグサッときましたね。ミッターマイヤーはものすごく憤慨しますが、この言葉にロイエンタールは内心穏やかでいられなくなる。これが後々の悲劇の始まりになるんですよね…。
作戦を任されたケンプは息子から折り紙の勲章をもらったとミュラーに語りかけている。この時のケンプがお父さんの顔になっててすごく優しくて泣けてきます。石坂さん、本当にあの時オフレッサー演じてた方ですか!?って思わず聞きたくなってしまうほどの誠実キャラっぷり。いやぁ、役者さんって本当にすごいなと思いました。そしてそんなケンプを見てミュラーは彼の為にも自分も頑張らなければと決意を新たにするんですよね。ここのシーンがとても良かったです。
そして今回のメインの一つでもあるヤンの査問会。アニメ見ても思ったんですが、あんなに貢献してくれているヤンをどうしてこう追い詰めようっていう輩が出てくるんでしょうねぇと。重宝しなければいけない人物なのに排除する流れが出てくる…いつの世の中もこういうのってあるんだろうなと思うとやたらリアルに感じられる場面でもあります。査問会最初の頃のヤンの態度がけっこう可愛い。特に伸びをするあたりなんかちょっと隆一ヤンに萌えちゃいました(笑)。
ヤンに質問する査問会メンバーがまた濃い~!スガマサミさんのネグロポンティがねちっこく追い詰めようとしながらも脇が甘い感じでなんか見てて面白かったしw、長ーーーい名前の佐藤さん演じるオリベイラはそのことでヤンから「舌を噛みそう」って揶揄されててwww。で、楽ということで佐藤オリベイラさん、ヤンで遊びました(笑)。
「君はまだ若い」「31歳になりました」のくだりの後、「43歳になったと聞いているのだが?」と隆一さんの実年齢を持ち出してきたものだからリピーターのみならず、隆一ファンのお客さんたちも吹き出してましたよ(笑)。それに対する反応を待ってる佐藤さんでしたが、隆一ヤンは集中してて対応しきれなかったのか「いくら千穐楽でもここでそれに応えるのはちょっとどうかと…」と大人のコメント(笑)。これには佐藤オリベイラさんも諦めたように軌道を戻してましたw。それにしてもあの長い名前を7公演言い切ったのは拍手に値しますね。熱血っぷりもすごくて面白かったし見応えありました。
あと、ホアン・ルイのbableさん。前回までリヒテンラーデを演じられていましたが、今回は黒髪で政治家役。アニメではちょっと初老にかかった頃って感じだったので、bableさんのルイはあまりにも若く美形でこれまたビックリしました。あんな美形のルイさんが拝めるとはw。クールにオリベイラたちを挑発してヤンを援護射撃しようとしてるアクティブさが印象的でした。アニメのときより活躍してたよな。
1幕は査問会の最中で終わるのですが、このラストのヤンの怒りに満ちたセリフが非常にグッとくるものがありましたね。「人間の行為の中で何が一番恥知らずなのか、権力を持った人間が戦争を賛美し他人を戦争に送り出す人たちのことです。まずはその悪質な寄生虫から駆除することから始めるべきではありませんか」というような言葉。ヤンの常日頃心の中でくすぶり続けていた鬱憤が爆発したような感じ。楽の隆一さんは特に熱がこもっていてセリフが終わった直後に拍手が起こったほどでした。私もあのシーンは本当に感動しました!
2幕はガイエスブルクのワープからスタート。ワープしていくガイエスブルクを「キルヒアイス…」と呟きながら見送るラインハルトの姿がとても哀しく見えました。彼にとって、ガイエスブルクはイコール、キルヒアイスそのものに思えたんだろうなって…。まるでキルヒアイスを葬るための儀式のようにすら感じられた…。このワープの時の映像表現がカッコよかったです。天井まで映像を映しこんでいて、まるで客席も一緒にワープしているような感覚になりました。
要塞が目の前に現れたイゼルローンの同盟軍は大混乱。その慌てっぷりがよく表されていたと思うのですが、キャゼルヌさんやムライさんはじめ、焦っているからかセリフ回しがちょっと聞き取りづらい部分があったのが少し残念でした。
その中での渡辺メルカッツと岩永シェーンコップの落ち着きっぷりがなんだかとても頼もしく見えました。シェーンコップは今回賑やかしなポプラン達がいないのでひたすらクールでカッコいいです。特に殺陣シーンは見応え充分で見惚れてしまいました。スタイル抜群だしキレがあるし、ホントカッコいいシェーンコップだった!
査問海中のヤンの元にも要塞戦の報告が入り解放されることに。そうなったとたんに掌返したように自分たちに不利なことを言わないでほしいと懇願するネグロポンティの小者っぷりがなんとも情けなかったですね。ヤンにすがりついてる最中に狂犬マシュンゴに持ち上げられて落とされてしまう気の毒さ(笑)。ここでマシュンゴの決め台詞「人は、運命には逆らえませんから」が出てくるんですが・・・、この脈絡もない所から出てきて無理やり突っ込んでみましたみたいなタイミングが逆に笑えて仕方なかったですwww。アニメでは筋が通った形でこのセリフが出てきてたのでね(笑)。
その頃オーベルシュタインはシャフトの部下を尋問しようとしてる。その現場を目撃し、やり方の荒っぽさに疑問を抱くヒルダ…。シャフトに何も罪がない場合はどうするのかと問いただすと、その時は自分が責任を取ると意外な答えに驚く。ここでオーベルシュタインはヒルダにだけ自分がラインハルトにとってどのように役に立つべきかを語っていくんですよね。
そのくだりで、犬を飼っているエピソードが登場。飼い犬だけが自分の言うことを素直に聞いてくれる…と語るオーベルシュタインが切ないです…。外伝の時のオベが蘇ってきちゃった…。彼は彼なりの方法でラインハルトを補佐して行こうと決めている。それがたとえ誰からも認められなくても、忠誠心は揺るぎがないものなんですよね。ヒルダだけにはそのことが伝わるところがまたポイントかなと思いました。
不利な立場に立った同盟を救おうとメルカッツがヒューベリオンで出撃しようとするシーンも非常に印象深かったです。艦長のシャルチアンはまだメルカッツを信じ切れていないのですが、そんな彼の前で帝国の軍服を脱いで本気度を見せるメルカッツ。アニメでは一度も脱がなかった帝国軍服!その脱いだ下に着ていたのは…同盟のアンダーシャツだったんです!!見事な肉体が浮いて見える渡辺メルカッツの同盟シャツ姿に偉い感動してしまった!!なんていうか、メルカッツの同盟て生きていくぞという強烈な意思表示を感じましたね。
見事な艦隊運動でミュラー艦隊に打撃を加えたメルカッツは見事にシャルチアンの信頼を得ることができました。大力さん、声がとても素敵だしシュッとした立ち姿が非常に魅力的でした。メルカッツと握手を交わすシーンが印象的だったな。一方、迎撃に失敗したミュラーはケンプとどんどん折り合いが悪くなっていく。ヤンがイゼルローンにいないのではと進言した時も信じてもらえずフラストレーションをためていく。三上ミュラーのケンプを苦々しい眼差しで見つめるシーンがとても印象深かった。
ラインハルトもケンプの戦績に疑惑を抱き、ミッターマイヤーとロイエンタールに出撃を命じる。オーベルシュタインに武力だけでは宇宙は手に入れられないと指摘されると、「私は宇宙を盗みたいのではない、奪いたいのだ」と自分自身に言い聞かせるように言い、「誰も俺を理解してはくれないな…」とポツリと呟く姿がとても哀しい(涙)。
そしてその時再びキルヒアイスの魂と会話をする。それにしてもキルヒアイス、「星を見ておいでですか」というセリフが必ず出ますね。ただ、これまでは生きているキルヒアイスがラインハルトにそう語りかけていたけど、今回は魂の会話の中で出てくる言葉。それがより一層ラインハルトの孤独を際立たせていて泣けました…。
キルヒアイスの魂にラインハルトは「どうして俺より先に死んだ?」と問いかけるくだりなんかもう本当に聞いていて辛くて…(涙)。「いつか会えるその日までずっと俺を傍で見守っていてほしい」って、こんなこと、キルヒアイスにしか言えないんだよね…。ほんっと悲しかった、このシーンのラインハルト…。
イゼルローンではユリアンが帝国の作戦を見抜いていた。ここのシーンはアニメでも印象的だったのですが、舞台でも観られて嬉しかった。長江君のユリアンは本当に賢くて策略家な一面を非常に上手く演じていると思います。そんなユリアンを頼もしく思ったメルカッツは出撃するヒューベリオンに彼を乗せることを提案。短いけど好きなシーンです。ちなみにこの日の渡辺メルカッツ、間があまりなかったなw。
そして艦隊戦もクライマックス。救援にやってきたヤンと動きを合わせるメルカッツ艦隊がケンプとミュラーを取り囲む。フォーメーションの変化はダンサーさんたちで表現。徐々に追い詰められていくケンプ達が視覚的にすごくよく分かってドキドキしました。最後の手段でガイエスブルク要塞をイゼルローンにぶつけようとしたケンプですが、時すでに遅し…。ヤンの「気づいたか…、だがもう遅い」のセリフはアニメと同様見ていてグッときました。
ケンプとミュラーの別れのシーンはアニメよりもじっくり描かれていて切なさがより一層増しました(涙)。「これは命令ではない、願いだ、生きて帰れ」と言い残すケンプが哀しくてたまらなかった…。そしてミュラーに子供からもらった勲章を手渡して事切れるケンプ。ミュラーは号泣しながらケンプを看取るんですけど…、楽のミカシュンくんの芝居が本当に熱くてここも涙涙でした(泣)。アニメではケンプの死は意外とサラッと描かれていたので、舞台でこんなに熱く描かれていてよかったって思いました。
ミュラーが脱出する寸前にガイエスブルクが爆発。アニメではそれに目をそむけていたヤンが印象的でしたが、舞台ではその様子が見られなかったのがちょっと残念だったかな。傷ついたミュラーを収監したミッターマイヤーとロイエンタール。この時、ロイエンタールは最後に「ヤンウェンリーを倒し、宇宙を手に入れる…」と呟くんですが、これが非常にグッとくるものがありましたね。ヤンが一人勝ちしたことでロイエンタールの野心に火がついてしまった瞬間というか…。後篇ではどのように彼の今後が描かれるのかかなり気になりました。どうにかなるのはアニメではまだもう少し先の話なので…。
無事にイゼルローンに帰還したヤン。そしてまた平和な空気になってます。キャゼルヌさんが予約したレストランっていうのがえらく長い名前で、「もう一度言ってもらえますか」とムライさんにツッコミ入れられても金縛りにあって言えないという(笑)。マシュンゴはユリアンの「ヤン提督は世話がかかったでしょう」という言葉に「人は運命には逆らえませんから」と返し、ムライさんたちが「言っている意味が分かりませんが」とツッコミ入れる一幕もwww。ほんとそうだよ(笑)。
さらに楽では絶妙のアドリブが飛び出した!メルカッツ提督にヤンがユリアンを本当は軍人にしたくないと語るくだり。「それは民主主義に反しますな」と笑い合った後、おもむろにリポビタンDを配りだすじゃないですかwwww。キターーーーwwww!あれは笑った!!!『内乱』のときにもリポDネタつっこんできたとは聞いてましたが、今回はタイミングも絶妙だったよ、渡辺さん。でもリポD人数分足りなくてw、それを見た大力シャルチアンさんが譲ってあげる一幕も(笑)。大力さんの人柄の良さが垣間見えた瞬間で和みました。最後は渡辺さんの「ファイト一発」というアドリブと隆一ヤンの「そろそろスポンサーお願いしましょうかねぇ」の一言で皆わらわらと退場していきましたwwww。
あぁぁ、面白かった。まさに楽ならではのお楽しみシーンでもありました。ここが一番遊びのアドリブ入れやすかったからね。
あのお笑い同盟軍シーンの後に思惑が外れたフェザーンの緊迫シーン。しかしながら、彼らの企みはこんなもんじゃないぞって感じさせる怪しい場面です。もう、西岡さんの存在感の大きさがハンパない!まさに影のドンって感じで迫力満点。そんなルビンスキー西岡の補佐官をしてる廣瀬ケッセルリンク。アニメ版の鈴置さんの声が印象的だったこのキャラですが、廣瀬君のネチッこく少しおネエが入ったようなセリフ回しが彼の只者ではない的な雰囲気を感じさせてなかなか良かったです。西岡さんの存在感にあまり負けてる感じがしなかったのがすごいと思いました。
このフェザーンの二人の最後のやり取りで、もう親子であることのネタ晴らしがあったのは少し驚きました。ちょっと早いのではと思わなくもありませんでしたが、後篇へ向けてこれを繋げていこうということなんでしょうかね。この親子も皮肉な運命を辿るわけですが…舞台でどう描かれるのか気になるところ。
傷つき帰還したミュラーをラインハルトはいたわり、ケンプは昇進させると宣言。しかしこの後、フェザーンの陰謀でシャフトの不正が知るところとなり始末することに。位をと叫び続ける往生際の悪いシャフトに対し「連れて行け」と冷たく言い放つ間宮ハルトが非常に印象的だった。何がって、あの、手の動き!!まさにラインハルトそのものだった!ほんの少しのシーンだったけど、あの手の動きに私はまたまた衝撃を受けたのでありました。
そして再び、キルヒアイスと魂の会話を始めるラインハルト…。さっきまでの冷たさはなく、ただ孤独と向き合う哀しい青年の姿がそこにある…。静かに噛みしめるようにキルヒアイスの魂と向かい合う間宮ラインハルトの姿は本当に涙なしには見られませんよ…(泣)。そんな時にヒルダが「星を見ておいでですか」とキルヒアイスと同じ言葉をかけ、思わず笑いをもらすラインハルト。ここで少しラインハルトがヒルダに心を許しているシーンも印象的でした…。
キルヒアイスの思い出を語るラインハルト…このエピソードが「初陣」の時のキルヒアイスの言葉なんですよね(涙)。これも泣けた…。ヒルダは「閣下はお一人ではありません」と語りかけますが、ラインハルトは哀しい表情で頷くだけなのも切ないです…。
そして幼帝誘拐。アニメではここに至るまでのエピソードがけっこう詳しく描かれていましたが、舞台では時間の関係で報告とヒルダのセリフのみで表現。ここは仕方ないかなと思いました。
ただ、その報告を聞いた後の間宮ラインハルトの熱量が上がっていくのが本当に楽は特に圧巻でした!!フェザーンが自分を手玉に取ろうとしたことへの怒り、そして幼帝誘拐という事件を予見しながら見過ごしたことで宣戦布告しし宇宙を手に入れようという野心。キルヒアイスを失ったことの哀しみを背負い、彼との約束「宇宙を手に入れる」ということだけに執着していくラインハルトの激しさがこれでもかってくらい伝わってくる。演説のときの声の張りがもう、楽のときすごすぎて…なんか、息をしているのを忘れるくらいの感覚で見入ってしまった。
あの時、間宮くんにラインハルトが完全に降りてたね。まさに憑依している感じ。ほんっとにすごいシーンだった。
この間宮くんのすごい気迫の熱演に引っ張られるように、西岡ルビンスキーが両者を戦わせようとほくそ笑み…隆一ヤンが受けて立てることを光栄に思う、と力強く語る。西岡ルビンスキー、この時確かに「ヤン・ウェンリーくん」と言ってました。確認できてよかった。
そしてこのテンションが次の後編へ続くというわけですね。なかなかドラマチックなエンディングでよかったです!
キャストについて少々。
河村隆一さん
最初この人がヤンになると聞いたときには「えぇ?」と思いましたが、今回の『激突前夜』を観て…ヤンはこの人しかいないだろうなって感じられるようになりました。芝居云々っていうよりも、隆一さんが本当に銀英伝が好きで好きでたまらないっていうのがビリビリ伝わるんですよ。銀英伝愛があってこその、あの、ヤン・ウェンリーだと思います。一挙手一投足が本当にヤンに見えてくるからすごい。気を抜いている時も、気を張っている時も、常にヤンでした。特に査問会で政治家たちを一喝するシーンや、クライマックスでラインハルトの宣戦布告を受けるシーンはこれまでにないヤンの気迫みたいなものが感じられてすごく良かったです。後篇も期待しています!
貴水博之さん
素になるとめちゃめちゃ面白い人になるってこの銀英伝舞台を観て知ったので、よくこの人があの冷徹なオーベルシュタインをって思ってしまいます(笑)。「御意」のセリフ一つにしても、お辞儀一つにしても、全てにオベの神経が行き届いた感じ。貴水さんも、本当に身も心も舞台の上ではオーベルシュタインそのものなんだなと思いました。今回はヒルダに自分なりのラインハルトの支え方みたいなのを語るシーンがありましたが、淡々としながらも確固たる意志が感じられてとても印象的でしたね。
西岡徳馬さん
フェザーンの描かれ方は本当に舞台だと特に難しいと思っていたのですが、見事な存在感で圧倒してくれた西岡さん。さすがだなぁと思いました。アニメのようにハゲてはいないんですがww、派手な衣装も決まっているし、暗躍するドンっていう雰囲気がものすごく出てた。出番こそ多い方ではありませんが、西岡さんが舞台の空気をビシッと締めていたような感じがありましたね。次もルビンスキーで出てほしいんですが、どうでしょうか…。
渡辺裕之さん
楽での「ファイト一発」ネタが本当に面白くてww。あのシーンで入れてくるのが絶妙で大いに笑わせていただきました。しかしながら、そのほかのメルカッツはとにかくダンディで寡黙でカッコいい!!今回は帝国軍服を脱いで覚悟を示すシーンもあったんですけど、その時の肉体のみならずw、熱さが見ていてグッとくるものがありました。渡辺さんもさすがだなぁと感動。
岡田亮輔くん
先日ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』で能天気な可愛いパリスを見ましたが、今回はカッコいいミッターマイヤー役。ビジュアル的にもなかなか良かったし、聞き取りやすいセリフ回しもすごく良かった。今回はミッターマイヤーもロイエンタールも見せ場的には少ないんですが、その中でもちゃんと存在感が出ていたと思います。特にオーベルシュタインに食って掛かるシーンは印象的。熱く突っ走りすぎず、いいバランスで迫ってましたね。玉城君とのコンビも息が合っていたと思います。
間宮祥太朗くん
観に行くたびに驚かされることばかりの間宮くん。まだ二十歳になったばかりの青年だとはとても思えないあの繊細でいながら圧倒的なオーラはどうやったら出せるのだろうかと思ってしまう。素に戻るとカンパニーの中の弟みたいな無邪気でちょっとオロッてした可愛い雰囲気になるのにw、ラインハルト役の時には舞台全体を支配するようなものすごいパワーを発揮する。今回も衝撃の連続でした。
今回はラインハルトの隣にいるべきキルヒアイスがいないということで、その孤独がクローズアップされていたと思うのですが…、もう、登場した時から背筋張って威厳を保っているんだけど心に空虚なものを抱えてるなっていうのがピンと伝わってきたんですよ。表面上は凛とした冷たさで臣下たちに接しているのに、なぜかその立ち姿が哀しく見えてしまう。立っているだけでその雰囲気を出すって…身も心もラインハルトになり切っているからこそ出る味ですよね。
印象深いのはラインハルトの表の顔と閉じこもった時の顔の使い分けです。
ガイエスブルクでキルヒアイスの魂と向かい合うシーン、キルヒアイスがもうこの世にいないことを改めて痛感させられてこれでもかってくらいの深い孤独の闇に落ちて涙に暮れるのですが…そのすぐ後に臣下の前に姿を現した時にはその時の弱さを全く見せていない。『内乱』のときにもビックリしたけど、今回も本当に驚きました。あの切り替えのすごさ!!だからこそ余計に、ラインハルトが背負っている罪悪感と孤独が常に浮き彫りになっているように見えるんですよね…。
キルヒアイスの魂と向かい合っているときは本当のラインハルトの姿がある。声のトーンも柔らかく、自分の中の弱い部分もさらけ出している。キルヒアイスといる時だけに見せるそんな表情がもう、切なくて哀しくて…。さらにそれが痛々しいのは表に決してその感情を持ち込まないことなんですよね。なので、ラインハルトのシーンになるともう見ていてたまらなくなってきて涙が止まりませんでした。
そして千穐楽でのあのラストの演説。ほんっとにすごかったとしか言葉が出てこないのが悔しいくらい…。あの時の間宮くんの芝居は…それを越えていたというか…本当に劇場すべてを支配しているかのような迫力でした。どこからあんなすごい熱量が生まれるんだろうかってくらい驚いた。息をするのも忘れれるくらいの圧倒的なセリフ回しにただただ我を忘れて見入っていた自分がいた。こんなすごい芝居を目の当たりにできたことを本当に幸せに思いました。
間宮くんの役者としての魅力は、端麗な容姿ももちろんですが、それ以上に、歌ではなく芝居であそこまで人を魅了できることにあると思います。。それは本当に本当にすごいこと。だから私は応援したくなってしまうんだよなぁと改めて感じました。
銀英伝の舞台も聞くところによるとあと1シリーズだけらしい。間宮くんのラインハルトがそれでもう見られなくなると思うと今から寂しくて仕方ないです。ライフワークにしてほしいとまで思ってたくらいなので…。彼のラインハルトは私の中ではもうゆるぎない絶対的な存在になりました。
『ミス・パイロット』の撮影と並行して行われていた今回の舞台。大変だったと思うけど、本当にすごいものを魅せてくれた間宮くんに心から感謝を!テレビドラマでも少しずつ露出度が上がってきたし、彼の実力があれば今後もっともっと上を…全国区になるのも夢じゃないと私は思ってます。まだ二十歳だというんだから、今後どんなすごい役者になっていくのか本当に楽しみ。そんな役者に出会えたのが心底嬉しいです。間宮祥太朗くん、ほんとにほんとに応援してるよ!!
余談ですが、今回の遠征で…ものすごくビックリな素敵な出来事にあいました。本当にありがとう、宝物にするね。