ミュージカル『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』19.01.17

新作ミュージカル『ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812』を観に東京遠征してきました。今回は東京のみということですが、評判がよかったら西の方でも上演が実現するかもしれません。

それにしても、タイトルがやたら長い(苦笑)。オリジナルタイトルをそのままカタカナ表記にしてるのですが、もう少し短くしてもよかったのではとも思ったり。

この公演が始まったのは1月5日だったので、グッズ的にはまだ余裕があるかなぁと思っていたのですが…すでに井上くん&生田さんバージョンのクリアファイルと、劇中で使うとされていたエッグシェーカー(正規品)が売り切れとなっていてビックリしました。
いったいいつ完売したんだろう!?もうちょっと入荷してもよかったんじゃないかと(苦笑)。

とりあえず「既製品ならあります」ってことだったので、お得価格で1つエッグシェーカーを購入w。劇中で使うっていうのであればやっぱり必需品かなぁって思ったので。

このなかに、シャカシャカ鳴るものが入ってます。ちなみに正規品にはグレコメのタイトルが印字されてあったらしい。このエッグシェーカーはどうなったかは…また後ほどちょっと触れますw。

毎公演当日券を求める人も増えているようで、私が行った日はもともと予定になかったソワレも追加公演として発売していたほどでした。評判がとにかくすこぶる良いので、期待値はかなり高めで観劇しました。
が、私のリサーチがちょっと甘かったことが災いしてしまい…予想とは違う感想になってしまった(苦笑)。そんな感じなので、「グレコメ最高!!」と思っている方は読まない方がいいかも…。

ネタバレ感想前にひとこと書くと・・・、この作品は”客席参加型”ミュージカルです。

開演前5-6分前からアンサンブルさんたちが現れて、エッグシェーカーやピロシキ(ロシアの話なのでw)を配りまくって盛り上げます。ちなみにピロシキは売店でも販売してましたw。特に通路側のお客さんにはかなりの確率で役者さんが絡んできてました。私は真ん中ゾーンだったので何も起こらずw。こういう時はやっぱり通路のほうが美味しい想いをすることが多いんだよねぇ。客席の構造上仕方ないんだけど。
全くこういった雰囲気になることを予想していなかったので、「え?何が始まった??」と混乱してしまって周囲のお客さんのテンションの高さにビビッて乗り切れなかった(汗)。

この空気感を事前に把握していればビビることもなかったし、もしかしたら楽しめたかもしれないと思うと…自分のリサーチ不足を嘆くしかない(苦笑)。
ということで、始まる前からかなり『お祭り』的なノリになりますってことは最初にお知らせしておこうと思います。

それから、トルストイの『戦争と平和』を全巻読破して内容に自信がある人以外は、ある程度の人物関係を把握しておいた方がいいと思います。かなりのスピード感がある作品なので、最初に乗り遅れると何が起こっているのかよく分からなくなるかも(汗)。

舞台の入り口に「人物関係図」の用紙が置かれているので、観劇前に確保しておくことを強くお勧めします。

私は元々新作舞台の場合は新鮮な感動を得たくてほとんどの情報を頭に入れずに臨むのですが、今回ばかりはこの相関図をかなりじっくり読んでから観劇しました。それでもちょっと迷子になりそうになったくらいなので(苦笑)読んでおいてよかったと思いましたよw。

 

以下、ネタバレ含んだ感想になります。

 

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2019.01.17 マチネ公演 in東京芸術劇場・プレイハウス(東京・池袋)

主なキャスト

  • ピエール:井上芳雄
  • ナターシャ:生田絵梨花
  • エレン:霧矢大夢
  • アナトール:小西遼生
  • ソーニャ:松原凜子
  • ドロホフ:水田航生
  • まりあ:はいだしょうこ
  • パラガ:メイリー・ムー
  • マーリャ D.:原田薫
  • アンドレイ/ボルコンスキー老公爵:武田真治

アンサンブルにはAdamsで活躍した山田元くん小暮真一郎くんがいました。Adamsは残念ながら大田翔くんが事務所を辞めてしまったようなので今後どうなるのか分からないのですが…、どちらも頑張ってほしいです。

元くんは二の腕の筋肉がすごいことになっててビックリ!武田さんと「筋肉体操」やってるってSNSで言ってたけど、ホントなんだなって思いました(笑)。

 

あらすじ・雑感

原作はトルストイの名作『戦争と平和』。この作品では、全4巻のうち2巻第5章の部分を全編歌で綴っています。映像化も何本かされているようです。

Bitly

トルストイの『戦争と平和』といえば超有名作ですが、かなーり長編なこともあって今まで読んだことがありません(汗)。今回のミュージカルで初めて知るわけですが、そのなかでも舞台化されたこの章は人間関係に重心を置いたエピソードが多いとのこと。

2017年のトニー賞では最多12部門がノミネートされ、舞台デザイン賞と照明デザイン賞を受賞しました。この時の生中継をWOWOWでサラッと見たんですが、セットのインパクトがすごくてビックリした思い出があります。

ブロードウェイ版のCDも発売されています。

Bitly

あらすじは以下の通り。

19世紀初頭、モスクワ。貴族の私生児として生まれたピエールは、莫大な財産を相続したが愛のない結婚をし、その人生にどこか虚しさを抱えながら、酒と思索に耽る毎日を送っていた。ピエールと親交のある、若く美しい伯爵令嬢ナターシャは、婚約者のアンドレイが戦争に従軍し寂しさを募らせていた。そんなある日、美しく魅力的な男アナトールと出会ったナターシャ。その誘惑に抗えず遂には駆落ちを計画する。だがそれは失敗に終わり、アンドレイとの婚約も解消されてしまう。

一方、ピエールは妻エレンの不倫を知り、不倫相手のドロホフに決闘を申し込む。かろうじて勝利するものの、意味の無い命を賭けた闘いに、ますます鬱屈した気持ちを募らせていく。

虚しく生きる男と全てを失った少女、2人の運命はやがて重なり―。

公式HPより引用

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まず劇場に入って驚くのが、舞台上の光景です。

↑こちらが座席表なのですが(クリックすると大きくなります)、この舞台の大きな特徴の一つが、ステージ上に客席を配置していることです。左側に描かれている図が、ステージ上の客席の位置。

これまでも客席がステージの上にある作品を観たことがあったのですが、その時には舞台の上手と下手にスタンド席のようなものが設けられているパターンだったんですよね。
この作品も舞台上に客席があるというのは事前に知っていたので、以前に見たことのあるようなスタイルなんだろうなと思っていました。

が、劇場の中に入ってみると・・・どこぞの会員制レストランか!?と思うくらいの雰囲気が広がっていてビックリ(笑)。まさか、客席がステージの端ではなく役者が行き来するスペースに設けられているとは思わなかった!これがコメットシートと呼ばれるやつです。

ステージ上に4つの「くぼみ」を造り、その中に結婚式場のような形でイスとテーブルが置かれている。お客さんが一つのテーブルを2人~3人で囲む感じ。さらに驚きなのが、舞台上で飲み物(ワインもあったらしい)とピロシキを自由に持っていけるスタイルになっていたことです。
普通の客席では飲み食い禁止ですが、コメットシートだけは提供されているものに限って自由にOKだったようなので、なんとも優雅な雰囲気が漂っていました(笑)。

また、オケボックスの下手側スペースも客席ゾーンになっていたのもビックリでした。あの位置のコメットシートは正直、舞台が見えないんじゃない!?って思ったりしたんですけど…結構おいしい体験のできるゾーンでもありましたね。

このコメットシートはお値段的にも普段のS席価格よりさらにお高いので、何度も…というのはよほど余裕のある人以外は無理じゃないかなと思います。その分、役者さんと間近で接する機会が多かったり、時にはストーリーの中の一人として接することになったりと普段では絶対に体験ができないようなことが起こるんですけどね。

ただ、初めてこの舞台を見る人でストーリー全体を把握しておきたい人にはコメットシートは不向きかと思いました。
あの席に居たら、たぶん、客観的にストーリー見れないんじゃないかなとww。かなりの頻度で役者さんがコメットシートに入り込んでいってたし、夢心地にさせられるような人もいたりしたので、落ち着いて物語に入ることできないんじゃないかなぁ。まぁ人によると思いますが。

私は1回きりの観劇予定だったので普通の席で観劇しました(それも決してお安い価格ではないですが)。客席ゾーンにもシーンによって役者さんが下りてくるので(2階席にも)全体的にムラなく楽しめる仕掛けは作ってある作品だなという印象はありました。

今回はこんな風に舞台上に大きな穴がいくつも空いているような状況なので、役者さんたちも普段以上の動きを求められていたように見えましたね。
実際の舞台スペースは十字路のようになった通路と前方ステージのみ。基本的には板の「上」でお芝居を展開していましたが、場面によっては「下」のコメットシートゾーンにも入り込んでお客さんの合間を縫いながら移動…なんてことも多々ありました。

あと、出番がない時にも常に客席から見える位置にいるキャストが多くて、袖に引っ込む回数は他の舞台作品に比べると格段に少なかった印象。なので、役者は常にお客さんの目にさらされているという状況で、これはこれでかなり大変そうだなぁと思いました。

まさに、気力と体力が試されるような…出演者にとってはよりハードな舞台作品だったんじゃないかと。ストーリーよりもそっちの方に圧倒されてしまった気がします。

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