劇団四季ミュージカル『ジーザス・クライスト=スーパースター』エルサレムver 2011.04.22マチネ

自由劇場で上演中の劇団四季ミュージカル『ジーザスクライスト・スーパースター』を観に行ってきました。今回はエルサレムバージョンです。

元四季の柳瀬大輔さんが初めてジーザスに配役された頃から上演されるたびに足を運んでいる大好きな作品。アンドリュー・ロイドウェバーが初期に作ったミュージカルです。ロックの音楽が心地よい。休憩無しの約1時間45分間ですが飽きることなく楽しめる素晴らしい作品。

前日にけっこう大きな地震があったので正直、この上演中にも揺れがくるんじゃないかとちょっと内心ドキドキしていたのですが(汗)…そしたら、クライマックスの十字架が立った瞬間シーンで下から突き上げるようなドンっていう揺れがやっぱり来ました。いやぁ、あれ、十字架立ててる最中じゃなくて良かったなとホッとしちゃいましたよ。もちろん安全対策はちゃんとやってるんでしょうけど、ただでさえあのシーンは普通にしててもけっこうスリリングだなぁと思えてしまうんで…。
あまり大きな揺れではなかったし、すぐに治まったのでホッとしました。客席ももう地震慣れしたような方が多く(苦笑)多少のことでは皆さん動じませんでしたね。

さて、2年ぶりのJCS。あれから時を経て…新たなジーザスがまた誕生しました。なんと、長いことユダを演じていた芝清道さんがジーザスに!前回も配役されたことがあって少し披露したらしいんですが私は全く知らず…今回が初めてになります。いやぁ、なんだか不思議な気持がしたなぁ。
そしてもう一人新キャストでビックリしたのが北澤裕輔さん!!大好きな北澤さんがなんと、ヘロデに配役!!これビックリしましたねぇ、稽古写真見たときは。あのアクの強い役を北澤さんがどう演じるのか不安と期待が入り混じった気持でした。

座席はかなり早い時期に購入したこともあり(ジャポネスクとのセット販売で購入)かなりの良席。1列目と2列目は舞台の一部になっていたので3列目が最前列・・・ということで、わたしはかなり前のほうの真ん中となり(最前ではないですよ)ちょっと始まる前からドキドキしてしまった。久しぶりですからねぇ、ジーザス。
自由劇場は本当に小劇場並みにコンパクトなのでたぶん最後列からでも十分役者さんの顔が判別できると思います。2階席からもかなりよく見えるそうですよ。この演目はシンプルだけど印象的な光の芸術が楽しめるので2階席からの観劇というのも悪くないと思います。私は今回1回ずつなので1階席オンリーですが、いつか試しに行ってみたいなと思います。

主なキャスト

ジーザス・クライスト:芝清道、イスカリオテのユダ:金森勝、マグダラのマリア:高木美果、カヤパ:金本和起、アンナス:阿川建一郎、司祭:平山信二・内海雅智・伊藤潤一郎、シモン:本城裕二、ペテロ:神永東吾、ピラト:村俊英、ヘロデ王:北澤裕輔 ほか

以下、キャスト別中心のネタバレ感想となります。

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ストーリーはイエス・キリスト最期の7日間を追った形で進められます。はじめは不思議な力で苦しんでいる人々を治癒していくのですが、ユダはジーザスが"自らを神だ"と主張することに強い疑念を抱いている。さらにはジーザスの存在を危険視する司祭たちも現れ、徐々に不思議な力の能力を失っていくジーザス。ユダはついに彼を裏切り捕らわれの身となったジーザスは十字架の上で最期を迎える。
一見するとかなーり重たい内容ではありますが、月日が経っても斬新さを失わない素晴らしいロックな音楽と出演者の熱いパワー漲る芝居により素晴らしいエンターテイメント作品として観れるようになっています。これがJCSの魅力だなぁと見るたびに思いますね。

今回はエルサレムバージョン。傾斜のきつい石ころだらけの荒野の舞台セットが懐かしい。

以下、キャストごとの感想になります。

ジーザス@芝清道さん

JCSでは長いことユダをやっている姿を見続けてきたので、正直なところ芝さんのジーザスが受け入れられるかどうか観劇前は不安のほうが大きかった気がします。で、登場した時の感想ですが…意外とジーザスとして見れるかもって感想(笑)。佇まいが静かで落ち着いてるしなかなかいい感じだなぁと。ただですねぇ、自らを神だと語る青年という異様なオーラみたいなものは感じられなかった気がする。"あ、芝さんのジーザス出てきた"くらいの感覚で見ちゃったので。

全体の印象ですが…うーーーん、結果的には私の求めているジーザス像は見えてこなかったなぁ。なんていうか、まだ芝さんの中にユダが残ってるって印象なんですよね。けっこう攻撃的なジーザス。マリアが「苦しむのはおよしなさい」と歌うんですけど、その苦悩の部分が見えてこないんですよ。2年前の能面みたいだった金田ジーザスよりはマシなんだけど(苦笑)、それでもあまり悩んでいるようには見えない。これは最後までそうでしたね。なんか自分自身でどうにかできちゃいそうな雰囲気もあったし(汗)。ユダをやっていた時のほうがずっと苦悩が表に出ていてよかった。やはりジーザスの場合それを表に見せるというのは難しいんだろうなと思いました。このジーザスの苦悩を一番私好みに表現してくれていたのが柳瀬さんだったんですよね…。芝さんは私の中ではまだまだ柳瀬ジーザスを越えなかった。

後半はけっこうグッとくる仕草とかありました。一番印象的だったのは言い争った後にユダがジーザスのもとから走り去るシーン。そのときに一瞬、彼を引きとめようと体が動いてしまう芝ジーザス…あれはちょっとウルッときました。裏切って金を受け取ったユダを見つめるまなざしはなんだか射るような感じで怖かったんですが(苦笑)本心では引き止めたいっていう想いが垣間見えた瞬間だったのでそれはすごく良かったですね。でもなぁ、あのユダとのケンカシーンのときから苦しい胸の内の部分をもう少し出してほしかった気がする。

「ゲッセマネ」はすごかったですねぇ。たぶん今まで見たジーザスの中で一番"すごっ!"とビックリする迫力の歌声だった。声量あるし「死に様」のフレーズの伸ばしっぷりも見事。だけどなんだろうなぁ、やっぱりちょっと攻撃的という印象。ユダ入ってるなぁとか思ったし(汗)。神様にものすごいたて突いててちょっと怖かったかも(汗)。うーーーん、感情は出てるんだけど私の求めてる感情表現ではないんだろうな、たぶん芝さんの作りたいジーザスは。十字架に貼り付けられてもなんだか自力で脱出できそうとか思えたし(苦笑)。

鞭で打たれたり石を投げつけられたりしているときの表情はけっこうリアルで分かりやすかった。最初に群集から投げられた石が思いっきり芝ジーザスの顔に当たって痛そうだった(汗)。後半のこういった痛めつけられてる時の表情はよかったと思います。ただ、私の中で泣けるジーザスではなかったなというのがちょっと残念。

ユダ@金森勝さん

ジーザスという作品には並々ならぬ熱い想いを抱いているスンラさん。今回も熱演でございました。でも冒頭シーンからちょっと喉の調子がおかしかったような気が…。特に高い声が苦しそうで掠れてたけど、大丈夫なのかな?最後まで持つのかちょっと心配になりましたが、後半ちょっと持ち直していたのでよかったです。

スンラさんのユダは捨てられて野犬に成り果てちゃったみたいなイメージ。哀しみと憤りが目の奥に潜んでいてものすごく複雑な表情を常にしています。ただ最初のほうは声の調子もあまりよくなかったこともあってかさほど印象に残る芝居ではなかった気がする。よくなったのはジーザスを裏切って金を受け取るあたりのシーンからかな。自分の元を去れといわれた直後にジーザスに噛み付くスンラユダは失望と怒りが入り混じったような感情が表に出ていてとても切なかった。
最後の「スーパースター」のナンバーは無難に歌いこなしてたなという印象かな。やはりちょっと声の調子がおかしいのかも?余談ですけど、スーパースターを歌ってるスンラさん見てたらソンダンで同じナンバーを歌ってたナベさんが頭を過ぎってしまった。楽週ではシャウトしてたなぁとか…色々思い出しちゃった(笑)。

一番印象に残ったのはカーテンコール。おそらく、キャストの中で一番ノリノリだったんじゃないかと(笑)。のっけからすごいハイテンション!挨拶する時も「ありがとうございました~」とか何度も出てきては口を動かしたりガッツポーズ作ってたり、めちゃめちゃ楽しそうでした。本編よりカテコのほうがよかったかも!?

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マリア@高木美果さん

高木さんのマリア見たの、何年ぶりだろうか。初めて見たときはなんだかほとんど印象に残らなかったんですけど、今回は歌に深みがあったしとてもよかったです。特にジーザスを見つめる時の眼差しが"女"を感じさせるといいますか、ちょっと官能的な印象を受けましたねぇ。そのマリアを見つめる芝ジーザスもかなり艶っぽかったし、二人の間には大人の世界が感じられました(笑)。

カヤパ@金本和起さん

お初のカヤパ様。カヤパとアンナスって何度みてもブラックミッキーマウスに見えるんだよなぁ(笑)。金本カヤパは歌声がとても安定していますね。低音がよく響いてました。が、あまりこれといった印象は残らなかったかも…。阿川アンナスももう少し高音頑張ってほしかったかな。

シモン@本城裕二さん

前回と変わらないパワフルな歌声に感動!「狂信者シモン」での素晴らしいロックの歌いこなしは前回に匹敵するものがありました。途中であまり息切れを感じさせないところがいい。過去にそういうシモンさんがいらっしゃいましたので(苦笑)。"とこしえの栄光と~"ってラスト上げてくれるところが好き!

ペテロ@神永東吾さん

この方もお初キャストだったんですけど、なかなかのイケメン!ちょっと目が行きました(笑)。それにペテロの芝居もなかなかよかったですよ。"知るもんか、あんなやつ"のセリフの言い回しとか印象的でした。あと歌も安定してますね。ちょっと今後注目したいかも。

ピラト@村俊英さん

村さん見るのかなり久しぶり!今回もしっかりした存在感を示してくれました。ぶれない安定した歌声がやっぱりいいですねぇ。裁判の時に群集に石を投げられて自分の意思を曲げてしまう時の表情が相変わらずいいです。ただ、"お前が望むのなら、死ね"のフレーズの部分はもう少し熱く歌ってもいいかも。ここはかつて光枝さんが思いの全てを吐き出すように歌ってて超感動してたので…その近くまで持っていってほしいなぁと。

ヘロデ王@北澤裕輔さん

いやぁ…まさかまさか、北澤さんがヘロデ役になるとは思いませんでしたよ。出るとしたら夢夢だと思ってたのでさらにビックリ(笑)。だけど、これまでずーーっとラウルかフィエロばかりを演じてきた北澤さんにようやく新役がついたってことが、単純に、ファンとしてとても嬉しかったです。それに東京で再び北澤さんが見れるってことも本当に嬉しい

そんなファン目線で北澤ヘロデを観てしまったのでかなーり評価甘いかも(笑)。なにしろ最後の「ホサナ」が歌われてカーペットが敷かれるあたりからもうドキドキしてましたので。で、現れた北澤ヘロデは…おおっ、美形!!まつげにもキラキラのメイクしててもう全身に高貴な雰囲気が満ち溢れておりました。似合うじゃないか、ヘロデの格好がっっ(笑)。北澤さんにこの役が合うなんて想像もしてなかったわ。指の動きなんかもなんとなく艶っぽくてきれい。そして何より、あの美声ですよ。若くて世間知らずなお坊ちゃま的な雰囲気が出ててとてもよかった。最後の"失せろ、私の前から!"って駄々っ子みたいな表情になってるのも可愛かった。

これまで見た中でベストヘロデは異様な存在感を放っていた下村さんですが、キラキラ美形な北澤ヘロデもいい!っていうか、もう、ただただ、目の前で新役に挑んでる北澤さんがいるだけで嬉しかったです。顔の筋肉が自然に緩んでた私です(爆)。次のジャポネスクも北澤ヘロデで観たいわ~。だけど、将来的にはジーザスもいいんじゃないかと密かに待ち望んでいたりもする今日この頃…。
そうそう、カーテンコールのときの北澤さんすごく可愛かった!!ジーザスを囲んで手をかざす時の事、なんかすごく窮屈そうで縮こまって手を出してたんですけど顔が笑っちゃってるんですよ(笑)。そのあとスンラさんに何か囁かれてて、あれ、「ちょっと場所が狭くて」とか話してたんじゃないかなぁ。いやぁ、かわいい北澤さんが見れて満足満足。

エルサレムバージョンは今回これきりになります。次回は来月のジャポネスク。白塗りになった芝ジーザスがどんな感じになるのか気になるところ。あと北澤ヘロデがどこまであの衣装を着こなせるかも注目かな。

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